歯髄保護処置 - health sciences university of hokkaido歯髄保護処置 3 1.学習目標...

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歯髄保護処置

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直接覆髄法

歯髄保護処置

歯髄保護処置

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1.学習目標 2.直接覆髄法とは 3.医療面接 3-1 医療面接 3-2 検査 4.ラバーダム防湿 4-1 準備する器具 4-2 ラバーダムクランプの選択・試適 4-3 ラバーダムシートの穿孔位置の決定 4-4 ラバーダムシートの穿孔 4-5 ラバーダムクランプのシートへの装着 4-6 患歯への装着 4-7 フレームの装着 4-8 ラバーダムシートの密着 4-9 装着状態の確認

5.う蝕除去 5-1 準備する器具 5-2 う窩の開拡時の注意点 5-3 う蝕除去 6.覆髄剤の貼付 6-1 準備する器具・材料 6-2 ケミカルサージェリー 6-3 覆髄剤の貼付 7.裏装 7-1 準備する器具・材料 7-2 裏装 8.仮封 8-1 準備する器具・材料 8-2 セメントの練和・填入 8-3 最終確認 9.覆髄後の処置

歯髄保護処置

使用模型歯:A29A-005#34

歯髄保護処置

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1.学習目標

歯髄保護の適用症を学ぶ。

直接覆髄法の術式を習得する。

覆髄後の治癒機転を理解する。

歯髄保護処置

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2.直接覆髄法とは

窩洞形成中の髄角部露出のように、ごく小範囲(2mm幅以内)の非感染性の 露髄を生じたときに行う処置方法。 【目的】 修復象牙質の形成を促進すること。 【方法】 水酸化カルシウム製剤などの硬組織形成性の薬剤で被覆・仮封し、経過を 観察する。

露髄した状態 覆髄剤を貼付した状態 修復象牙質が形成された状態

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2.直接覆髄法とは/適応症

【適応症】

1. 窩洞形成時の偶発的露髄

2. 外傷による健全歯質破折

3. 臨床的正常歯髄もしくは歯髄充血から可逆性歯髄炎

【ポイント】

露髄面が感染されていないことが重要で、う蝕象牙質

除去中の露髄は適応にならない。

かつ

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3-1.医療面接

年齢:28歳

性別:女性

主訴:下顎左側臼歯部が水にしみる。

現病歴:半年前から冷水痛があり放置していた。

全身的既往歴:なし

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3-2.検査

【検査結果】

視診 :#34( 4 )咬合面に変色を認める。

触診 :探針を挿入して引き抜く際にスティッキー感を認める。

打診 :水平(-),垂直(-)

温度診:エアーにて一過性の疼痛を認める。 温熱刺激に疼痛を認めない。

歯髄電気診:生活反応を示す。(対照歯:#44・ 4 )

エックス線検査:二等分法

咬合面に象牙質に達する透過像を認める。

隣在歯に異常を認めない。

歯槽骨に吸収を認めない。

インピーダンス測定:50kΩ

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4.ラバーダム防湿

【到達目標】

適切な位置にラバーダムを装着し、防湿と術野の確保ができる。

【ポイント】

適切なラバーダムクランプを選択する。

ラバーダムシートの適切な位置に穿孔する

患歯にラバーダムクランプを確実に装着する。

ラバーダムシートを歯間部へ確実に挿入する。

ラバーダムフレームを適切に装着する。

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4-1.準備する器具

練成充填器 ラバーダムクランプ (小臼歯用)

ラバーダムパンチ クランプフォーセップス

ラバーダムシート デンタルフロス

フレーム

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4-2.ラバーダムクランプの選択・試適

※有翼型ラバーダムクランプを用いた場合の手順を示す。

【選択】

歯の形態、大きさに合わせてラバーダムクランプを選択する。

【誤飲・誤嚥対策】 スプリング部にデンタルフロスを結紮する。

【試適】 クランプフォーセップスを用いてラバーダムクランプを患歯に装着し

適合状態を確認する。

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4-3.ラバーダムシートの穿孔位置の決定 【三つ折りによる位置決定】

【テンプレートによる位置決定】

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1. ラバーダムパンチのターレットを患歯に合わせて調整し穿孔する。 ※#34( 4 )においてはmediumを

選択する。

ターレット穴の大きさ

4-4.ラバーダムシートの穿孔

smallest

(前歯)

medium(小臼歯)

small

largest

(大臼歯)

large

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4-5.ラバーダムクランプのシートへの装着

1. ラバーダムクランプの両翼部をラバーダムシート穿孔部に引っかけて装着する。 ※歯列弓に平行に装着する。 ※この時点でデンタルフロスは除去しても良い。

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4-6.患歯への装着

1. クランプフォーセップスを用いてクランプを広げつつ、歯面に沿わすように装着する。

2. クランプの装着状態を手指で確認する。

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4-7.フレームの装着

1. フレームの向きを合わせる。

2. フレーム中央を正中に合わせる。

3. 上顎側を基点とし対角線上にラバーを引きフレームに掛ける。

4. 張り具合を確認し、調整する。

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4-8.ラバーダムシートの密着

1. 練成充填器を用い、ラバーダムシートを翼部から外し歯頸部に密着させる。 ※先端が鋭利な器具は使用しない。 ※歯間部がラバーで覆われていない場合は、デンタルフロスを用いて挿入する。

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4-9.装着状態の確認

① ②

1. ラバーダムクランプ・ラバーダムシート・フレームが確実に装着されていることを確認する。

悪い例 ①先端が目に近い ②鼻孔を塞いでいる ③左右にズレている ④回転している

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5.う蝕の除去

【到達目標】

MI(Minimal Intervention)に基づいたう蝕病巣除去ができる。

【ポイント】

う蝕検知液を使用したう蝕除去を行う。

エナメル質部の切削は必要最小限の除去を心がける。

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5-1.準備する器具

基本セット

ピンセット

エキスカベーター

エキスプローラー(探針)

デンタルミラー

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5-1.準備する器具

種類:ダイヤモンドポイント ペアーシェープ EX-41

種類:スチールバー ラウンド #1/2~7

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5-1.準備する器具・材料

スプーンエキスカベーター う蝕検知液

ダッペングラス マイクロブラシ

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5-2.う窩の開拡時の注意点

作業姿勢を整える。

術者の位置 :11:30

開口度 :3横指

患者頭部の前方傾斜 :0~10度

左右回転角 :0度~右5度

フィンガーレスト :#33( 3)の尖頭

固定指の接触部位 :指先または第一関節外側

開口度

3横指 前方傾斜

基準位より前方に0~10度傾斜

10度

術者の位置

11:30 左右回転角

0~右5度

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5-3.う蝕除去

1. う窩の開拡を行う。

2. う蝕象牙質の染色を行う。

3. う蝕象牙質の除去を行う。 ※必要に応じ局所麻酔にて除痛を 行う。

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5-3-1.う窩の開拡

EX-41

1. ダイヤモンドポイントを用いてう蝕エナメル質を除去する。

※エナメル質部の切削は最初から 大きく削らず、必要最小限の除去を心がける。

※高速、軽圧、注水下にて行う。

※カーバイドバーを用いる場合もある。

【使用するポイント・バー】

ダイヤモンドポイント EX-41

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5-3-2.う蝕象牙質の染色

1. 染色 2. 水洗

操作時間の経過後、水洗を行う。 1. エアブローにて窩洞を乾燥する。 2. マイクロブラシを用いてう蝕検知液で 染色する。

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5-3-2.う蝕象牙質の染色

デンタルミラーを用いて染色部を確認する。

3. 確認

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5-3-3.う蝕象牙質の除去

#1/2~7

【使用するポイント・バー】

スチールバー(ラウンド) #1/2~7

1. スチールバー(ラウンド)もしくはスプーンエキスカベーターで染色部(う蝕象牙質)を除去する。

※低速、軽圧、注水下にて行う。

※歯質が染色されなくなるまで、染色と

除去を数回繰り返し行い、う蝕象牙質を

完全に除去する。

※う蝕象牙質除去時にバーが到達しない

場合は、エナメル質部の開拡が不十分

なので再度エナメル質部の切削を行う。

※スチールバーのサイズを徐々に小さ いものに変えて使用する。象牙質も 必要最小限の除去を心がける。

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6.覆髄剤の貼付

【想定】

窩底の整理中に偶発的に露髄を生じた。

また、形成前の検査では臨床的正常歯髄であった。

【処置法】

直接覆髄法

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6.覆髄剤の貼付

【到達目標】

直接覆髄法を理解し、適切な覆髄剤の貼付ができる。

【ポイント】

窩洞を消毒剤で清掃する。

覆髄剤は露髄面のみに貼付する。

無菌的な処置を心がける。

無圧に近い状態で貼付する。

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6ー1.準備する器具・材料 今回は、次亜塩素酸ナトリウムを使用してケミカルサージェリーを行う。

3%過酸化水素水 ダッペングラス

10%次亜塩素酸ナトリウム液

滅菌綿球

滅菌生理食塩水 各種シリンジ

歯髄保護処置

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6ー1.準備する器具・材料

ガラス練板(紙練板で代用)

アプリケーター 水酸化カルシウム製剤

今回は、水酸化カルシウム製剤を使用する。

精製水

金属スパチュラ

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6-2.ケミカルサージェリー

1. ケミカルサージェリー

次亜塩素酸ナトリウム液と過酸化水素水を交互に使用して洗浄する。

2. 洗浄・乾燥

滅菌生理食塩水で洗浄し、滅菌綿球で

乾燥を行う。

※機械的刺激を与えないようにするため に、エアーは使わない。

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6-3.覆髄剤の貼付

1. 練和

水酸化カルシウム粉末と精製水を練和しペースト状にする。

2. 貼付

アプリケーターを用いて、水酸化カルシウムを貼付する。

※露髄面のみに貼付する。

※無圧に近い状態で貼付する。

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7.裏層

【到達目標】

覆髄剤を補強し、適切な裏層ができる。

【ポイント】

無圧に近い状態で貼付する。

歯髄保護処置

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7ー1.準備する器具・材料

紙練板

練成充填器 (3年生で購入した器材使用)

FB裏層器

金属スパチュラ 酸化亜鉛ユージノールセメント

今回は、酸化亜鉛ユージノールセメントを使用する。

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7ー2.裏層

1. セメントの計量・練和 2. 裏層(セメント泥の貼付)

酸化亜鉛ユージノールセメントを計量し、練和する(添付文書に従う)。

1. 練成充填器を用いて、セメント泥を 窩底部に貼付する。 2. FB裏層器を用いて、セメント泥の表 面を平坦にする。

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8.仮封

【到達目標】

覆髄法での適切な仮封ができる。

【ポイント】

健全歯の形態を回復する。

咬合が高くならないよう注意する。

歯髄保護処置

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8-1.準備する器具・材料

紙練板 プラスチックスパチュラ グラスアイオノマーセメント

咬合紙 咬合紙ホルダー

今回は、従来型グラスアイオノマーセメントを使用する。

練成充填器 (3年生で購入した器材使用)

歯髄保護処置

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8-2.セメントの練和・填入

1. 計量・練和

グラスアイオノマーセメントを計量し練和する(添付文書に従う)。

2. 填入

練成充填器を用いて窩洞に填入する。

歯髄保護処置

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8-3.最終確認

1. ラバーダムシートを除去後、咬合紙を用いて咬合を確認する。

※咬合が高い場合はスーパーファ インダイヤモンドポイント、ホワイト

ポイントを用いて調整する。

【使用するポイント・バー】 スーパーファインダイヤモンドポイント

ホワイトポイント

歯髄保護処置

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9.覆髄後の処置

【直接覆髄】

1ヶ月以上の予後観察を行い、電気歯髄診で生活反応を確かめ、エックス線検査で修復象牙質の形成状態を確認する。

【チェック項目】

修復象牙質の形成状態を確認する

電気歯髄診での生活反応 あり

エックス線検査での修復象牙質形成 あり

自発痛 なし

打診痛 なし

温(冷)診痛 なし

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