骨骨粗鬆症粗鬆症yam:若年成人平均値(22-44歳)...

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骨粗鬆症骨粗鬆症

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 骨粗鬆症とは低骨量で、かつ骨組織の微細構造が変化し、そのため骨がもろくなり骨折しやすくなった病態と定義され、一般に原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症とに分類されます。

■低骨量を呈する疾患(原発性骨粗鬆症の診断基準(2000 年改訂版)より引用)低骨量を呈する疾患

続発性骨粗鬆症 その他の疾患原発性骨粗鬆症

閉経後骨粗鬆症老人性骨粗鬆症特発性骨粗鬆症(妊娠後骨粗鬆症など)

甲状腺機能亢進症性腺機能不全Cushing 症候群

Ⅰ)各種の骨軟化症Ⅱ)原発性、続発性副甲状腺機能亢進症Ⅲ)悪性腫瘍の骨転移Ⅳ)多発性骨髄腫Ⅴ)脊椎血管腫Ⅵ)脊椎カリエスⅦ)化膿性脊椎炎Ⅷ)その他

壊血病ビタミンAまたはD過剰神経性食思不振症吸収不良症候群、胃切除後

コルチコステロイド抗癲癇薬、抗痙攣薬methotrexate(MTX)ヘパリン、ワーファリンGnRHとその拮抗薬

全身性(臥床安静、対麻痺、廃用症候群、宇宙旅行)局所性(骨折後など)

骨形成不全症Marfan 症候群

関節リウマチ糖尿病肝疾患、腎疾患など慢性アルコール中毒

退行期骨粗鬆症 内分泌性

栄養性

不動性

先天性

その他

薬 

■原発性骨粗鬆症の診断手順(原発性骨粗鬆症の診断基準(2000 年改訂版)より引用)腰背痛などの有症者検診での要精検者、その他

骨密度値が YAM の 80%未満またはX線像で骨粗鬆化の疑いあり

鑑別診断:問診、理学的所見     画像診断、血液・尿検査

骨密度値が YAMの 80%以上かつX線像で骨粗鬆化の疑いなし

骨密度値がYAMの70%未満またはX線像で骨粗鬆化あり

骨密度値がYAMの70%以上80%未満またはX線像で骨粗鬆化あり

骨評価:骨量測定または脊椎X線像

脆弱性骨折の有無の判定 低骨量をきたす他の疾患

骨折あり

骨粗鬆症

続発性骨粗鬆症 原発性骨粗鬆症

骨折なし

骨量減少

正常

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■原発性骨粗鬆症の診断基準(2000 年度改訂版) 低骨量をきたす骨粗鬆症以外の疾患または続発性骨粗鬆症を認めず、骨評価の結果が下記の条件を満たす場合、原発性骨粗鬆症と診断する。

Ⅰ.脆弱性骨折(注1)あり

Ⅱ.脆弱性骨折なし

骨密度値(注2) 脊椎X線像での骨粗鬆化(注3)

正  常 YAMの 80%以上 な し

骨量減少 YAMの 70%~ 80% 疑いあり

骨粗鬆症 YAMの 70%未満 あ り

YAM:若年成人平均値(22 - 44 歳)注 1:脆弱性骨折:低骨量(骨密度がYAMの 80%未満、あるいは脊椎X線像で骨粗鬆化がある場合)が原因で、軽微な外力によって発生した非外傷性骨折、骨折部位は脊椎、大腿骨頸部、橈骨遠位端、その他。注 2:骨密度は原則として腰椎骨密度とする。ただし、高齢者において、脊椎変形などのために腰椎骨密度の測定が適当でないと判断される場合には大腿骨頸部骨密度とする。これらの測定が困難な場合は、橈骨、第二中手骨、踵骨の骨密度を用いる。注 3:脊椎X線像での骨粗鬆化の評価は、従来の骨萎縮度判定基準を参考にして行う。

脊椎X線像での骨粗鬆化 従来の骨萎縮度判定基準

な  し 骨萎縮なし

疑いあり 骨萎縮度Ⅰ度

あ  り 骨萎縮度Ⅱ度以上

■年齢別・性別の骨量の変化 ■年齢別の骨粗鬆症発症頻度骨量

0 10 20 30 40 50 60 70 80歳

閉経後に →急激に減少

男性

女性

年齢 40 45 50 55 60 65 70 75 80(歳)

60(%)

50

40

30

20

10

0

発症頻度

男性 女性

図1 年齢別にみた骨粗しょう症の発症頻度

男性では80歳をすぎないと増加しないのに対して、女性では50歳代から段階的に増加している。

骨のカルシウム量

0 20 30 40 50 60 70 80 (歳)年齢

が骨粗鬆症

男性

女性

(g)

1000

700

500

300

10030

1ー2

●閉経後、加齢とともに女性は急速に骨のカルシウム量が減少する。

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■骨代謝マーカー骨代謝マーカーには、骨形成マーカーと骨吸収マーカーがあり、血液や尿により骨代謝状態を評価できます。

1)骨形成マーカー

検査項目 測定意義

BAP(骨型アルカリフォスファターゼ)

血清総ALP活性は加齢にともない、特に閉経後の女性では、わずかに増加します。その大部分は骨性ALPの増加によるものです。この骨性ALPを測定することにより鋭敏に骨代謝を捉えることができ、骨粗鬆症の薬剤治療における経過観察、前立腺癌や乳癌など造骨性腫瘍の骨転移、原発性甲状腺機能亢進症の手術適応などの指標として利用されます。

OC(オステオカルシン)

オステオカルシンは、骨芽細胞により特異的に産生されます。骨基質蛋白の約 95%はコラーゲンよりなりますが、非コラーゲン蛋白の中ではオステオカルシンが最も多く存在し、骨基質中の非コラーゲン蛋白の約 20%を占めるといわれています。骨は骨吸収と骨形成を毎日繰り返している動的な臓器であるといえますが、代謝性骨疾患においては、骨代謝回転状態を把握することが重要です。オステオカルシンは骨芽細胞により特異的に産生されるため、骨形成の指標と考えられ、骨代謝回転状態を反映する有用なマーカーとして利用されます。

2)骨吸収マーカー

検査項目 測定意義

血清NTx ・尿NTx

標的分子が安定であるため測定値は再現性に優れ、しかもピリジノリン、デオキシピリジノリンより鋭敏に骨吸収活性を反映するとされます。主には骨粗鬆症の診断、治療効果の判定に利用されます。また、転移性骨腫瘍や癌発性副甲状腺機能亢進症の病勢診断にも有用です。

DPD(デオキシピリジノリン)

骨組織の吸収、破壊によって、遊離したデオキシピリジノリンが循環中に放出され、そのうちの約 40%が遊離体のまま糸球体を濾過され、尿中に放出されます。このことより、尿中デオキシピリジノリンは骨吸収のマーカーとして、骨吸収性疾患一般の病勢評価、経過観察に利用されます。特に甲状腺機能亢進症においては著しい高値を示すことが知られています。

TRAP-5b(骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ)

TRAP-5b は、骨代謝において骨吸収を行う破骨細胞から分泌される酵素であり、その血中濃度は破骨細胞数や活性を反映します。骨粗鬆症の他、副甲状腺機能亢進症および腎臓病による代謝性疾患や一部の癌の骨転移における診断補助並びに治療経過観察時の補助的指標として利用されます。

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