イベントの調査方法 結果(総括) -...

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はじめに平成22年度の調剤報酬改定により、調剤薬局

においては後発医薬品(後発品)のシェゕ(数量ベース)での加算の導入、病医院においてはDPC導入などにより、後発品の採用が推進されてきた。

後発品の使用促進は患者さんの医療費負担軽減のみならず、医療保険財政への貢献にも繋がる。

しかし先発品から後発品へ変更した後、服用している患者さんにはどんな変化が起きているのか、或いはその効果に変化がないと感じているのか等の追跡調査を行った報告はあまり見られない。

目的一つの先発医薬品に対して複数の後発医

薬品が販売されている以上、いずれかの商品を選定することになる。

しかし後発医薬品の選定基準は各医療施設において様々であり、採用の際には薬剤師が頭を悩ませることとなる。

そこで後発医薬品選定の際の一助になればとの考えに基づき、当地域において既に流通している後発医薬品に関してベント調査を行ったので、一定期間に収集されたベントについて報告する。

背景(調査を行った天草地域)世帯数:49365戸人口:126751人(▲111名/前1ヶ月比)人口の自然増減:▲84(死亡-出生/前1ヶ月比)人口の社会増減:▲37(転入-転出/前1ヶ月比)0~14歳 が13%、15~64歳が54%、65歳以上が33%(天草市・上天草市・苓北町 平成22年7月1日現在)

医療施設(病院・薬局)数病院: 19 施設 診療所: 80 施設歯科医院: 52 施設調剤薬局: 64 施設

天草の調剤薬局における「後発医薬品調剤体制加算」算定状況(平成22年6月26日現在)

天草の調剤薬局における後発医薬品採用品目数少ない施設で10数品目、多い施設で約400品目平均約140品目の採用(平成22年6月26日現在)

イベントの調査方法 結果(総括)集積された報告のうち、

1. 医薬品名が正確でないもの2. 医薬品名もしくはベントのみしか記載のないもの

は丌備を含むデータとして今回のベント集積には含めなかった。

ベントの報告があった施設の内訳(病院/薬局)

そのうち、調剤薬局における後発医薬品調剤体制加算の算定状況

ベント内容の内訳(複数回答あり)

天草郡市薬剤師会は、会員用のホームページ(以下HP)を開設している。このHPでは業務連絡やフゔルのダウンロードができる。

今回のベント調査にあたり、報告にかかる負担軽減と目的としてベント報告フォームのページを作成した。

また紙媒体でも報告できるように、PDFのダウンロードにも対応した。

集積されたデータは定期的に天草郡市薬剤師会のHP上にPDFで公開し、閲覧できるようにした。

なお当調査は今も継続しているが、今回は7月2日~8月3日の1ヶ月間に集積されたものを報告する。

ポジテゖブなベントとしては・負担金が減った・(矯味にて)飲みやすくなったなどが挙げられた。

ネガテゖブなベントとしては・味や口当たりが悪くなった・効果が弱くなったように感じる・(貼付薬が)剥がれやすいなどが挙げられた。

8月3日現在の総報告数 61うち有効報告数 59

3例以上報告された後発医薬品6品目に関して資料調査を行ったので、その結果を以下に記す。なお資料に関しては、「先発品との同等性ならびに差異があればそれが判るもの」として後発品メーカーに依頼した。

考察 先発に戻された例 : 42 例後発が良かった例 : 16 例判別丌能 : 1 例

今後の展望今回の調査を通し、以下の理由から今後もイベントの収集・更なる解析の

必要性がうかがわれた。・医師から提案されての変更?・患者自身の後発変更希望?・薬剤師の勧め?あらゆるバゕスを考慮する必要がある。

後発品へ変更する際の説明・中身が同じで値段が安い・効果は変わりない・添加物の違いによる差があるかも、etc

も重要なバゕスとなり得る。

よってどのようなバイアスがかかっているのかを調査する必要性も考えられた。

今後はこの点を課題として、継続的にデータの収集に取り組む必要があると考えられた。

資料調査:アロリン錠(東和薬品)方法:メーカーへの情報提供を要請内容:製剤特性等先発との差異

資料調査:コバルノン細粒(日医工)方法:メーカーへの情報提供を要請内容:製剤特性等先発との差異

資料調査:サイラゼパム錠(日医工)方法:メーカーへの情報提供を要請内容:製剤特性等先発との差異

資料調査:タッチロンテープ(救急薬品)方法:メーカーへの情報提供を要請内容:製剤特性等先発との差異

資料調査:フロセミド「タイヨー」(大洋薬品)方法:メーカーへの情報提供を要請内容:製剤特性等先発との差異

資料調査:ロルフェナミン錠(日医工)方法:メーカーへの情報提供を要請内容:製剤特性等先発との差異

ゕロリン※バルク元は非公開(要望に応じ個別に提示可能)

・添加物乳糖水和物バレショデンプンセルロースヒドロキシプロピルセルロースステゕリン酸マグネシウム

※薬審第718号(旧ガドラン)施行以前の品目のため、ヒトでの生物学的同等性試験は実施していない。

ベント概要・効果が弱い気がする・剥がれやすい・剥がす時、痛い 等、計7件

コバルノン細粒10%※バルク元は非公開

・添加物乳糖D-マンニトール無水ケ酸トコフェロールヒドロキシプロピリセルロースタルク香料

ベント概要・味・口当たりが悪く服用しづらい・先発と比べて服用しづらい 計3件

※サラゼパムは製造中止のため、資料はないとのこと。よって、記載丌能

ベント概要・効果が弱い気がする・痒みが出た・雨の日が効かない(?) 等、計4件

タッチロンテープ※バルク元は非公開

・添加物流動パラフゖンl-メントールクロタミトンメタクリル酸・ゕクリル酸

n-ブチルコポリナー天然ゴムラテックスSBR合成ラテックスミリスチルゕルコールBHTポリブテンオレン酸ソルビタンポリソルベート80

ベント概要・痒みがでた・効果が弱く、痛風発作が出た 等、計3件

フロセミド「タヨー」バルク元:Ipca Laboratories ltd(ンド)F.I.S.Fabbrica Italiana Sintetici S.p.A

(タリゕ)フゖルムコーテゖング錠

・添加物ステゕリン酸マグネシウムトウモロコシデンプン軽質無水ケ酸乳糖水和物部分ゕルフゔ化デンプンゕルフゔ化デンプンカルナウバロウヒプロメロース(コーテゖング)マクロゴール6000(コーテゖング)結晶セルロース酸化チタン(コーテゖング)

ベント概要・ふらつく・尿量が減った気がする

等、計3件

ベント概要・気分悪化、口内炎発生・胃痛・効果が弱い 等、計4件

6~14歳

15~65歳

67歳~

33%

13%

54%

算定なし(21施設)

1(13施設)2(15施設)

3(15施設)

33%

20%

23%

23%

病院 3 件(5%)

調剤薬局 56 件(95%)

体調に変化があった

(27件、44%)

負担金が減り、喜ばれた(18件、30%)

飲みやすく(使いやすく)なり、

喜ばれた(1件、2%)

飲みにくく(使いにくく)なり、クレームがついた(15件、25%) 算定なし

(9件、16%)

1(21件、38%)2(18件、32%)

3(8件、14%)

後発医薬品調剤体制加算とイベント発生報告数は相関しなかった

後発品へ変更する機会が多い分、説明が工夫されている可能性もある。また今回の調査においては「イベント」の定義付けが不十分だったことは否めない。

生物学的同等性や溶出試験、添加物等の一般データをもとに先発品と比較

県の検査センター等を利用しての製剤後試験なども有効な比較検討手段ではないかと考える。

厚労省も品目を指定しての品質調査等してはいる(本来であれば市販前に徹底しておいて欲しい事項)

現状その結果が周知されているとは言いがたく、現場でのこういった行動を繋げていくことも後発品使用の基礎固めとなり得るのではないだろうか。

先発(ゕロプリノール)ザロリック(グラクソ・スミスクラン)

・添加物乳糖水和物トウモロコシデンプンポピドンステゕリン酸マグネシウムヒプロメロース酸化チタンマクロゴール400マクロゴール6000

先発(テプレノン)セルベックス細粒10%(エーザ)

・添加物含水二酸化ケ素タルクトコフェロール乳糖水和物ヒドロキシプロピルセルロースD-マンニトール

先発(ケトプロフェンテープ)モーラステープ(久光製薬・祐徳薬品)

・添加物l-メントール水素添加ロジングリセリンエステルスチレン・ソプレン・スチレンブロック

共重合体ボリソブチレン流動パラフゖンその他2成分

先発(フロセミド)ラシックス(サノフゖ ゕベンテゖス)バルク元:Sanofi Aventis

裸錠

・添加物ステゕリン酸マグネシウムトウモロコシデンプン軽質無水ケ酸乳糖水和物部分ゕルフゔ化デンプンタルク

先発(ロキソプロフェンNa)ロキソニン(第一三共)

・添加物ヒドロキシプロピルセルロース低置換度

ヒドロキシプロピルセルロース三二酸化鉄乳糖水和物ステゕリン酸マグネシウム

天草郡市という限られた地区内調査の・メリット:依頼や周知等がやりやすい・デメリット:報告数や解析などでの限界

医薬品に関する情報は、本来であれば正確性および普遍性を期すべきものと考える。

そのためにも今後はより大きな規模でイベント収集・解析されることを期待したい。

また可能であれば追跡調査を行い、全ての薬剤師がそのデータを閲

覧・利用できるようなシステムの構築に繋がればと考える。

現場の薬剤師がこういった事業・調査を徹底して行ったうえで医療財源確保に貢献することも社会責務ではないだろうか。

説得力があり、満足のいく情報を提出・閲覧できるようになれば、医師・薬剤師に根ざす後発医薬品への不安感・不信感の解消の一助となり得る。

外来処方箋において、後発品変更のネックになっている変更不可指示の減少に貢献できるのでは。

ロルフェナミンバルク元:大和薬品(日本)

KOLON(韓国)

・添加物乳糖ヒドロキシプロピルセルローストウモロコシデンプンメタケ酸ゕルミン酸マグネシウムカルボキシメチルスターチナトリウムステゕリン酸マグネシウムタルク三二酸化鉄

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