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コンパニオン診断薬の開発及び評価の考え方と課題~診断薬開発企業の立場から~

PMDA ワークショップ「コンパニオン診断薬~開発及び評価の考え方と課題~」

2014年9月1日(月)全社協・灘尾ホール

協和メデックス株式会社研究開発部 篠田 達也

本発表は、コンパニオン診断薬の開発経験に基づいていますが、内容の一部に関しては、個人的見解・提案が含まれていることをご承知おきください

原則として、当該医薬品の承認申請を行う際は、同時期に当該コンパニオン診断薬等の承認申請が行われるべきであること。

原則として、同時申請が望ましいが、遅くとも医薬品の承認申請から1ヶ月以上遅れることがないようにコンパニオン診断薬等の承認申請を行う必要がある。

コンパニオン診断薬の承認申請時期

平成 25 年7 月1 日付薬食審査発0701 第10 号「コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請に係る留意事項について」

平成 25 年7 月1 日付事務連絡「コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品に関する質疑応答集(Q&A)について」

2011                   2012             4/26                    3/2 4/1                              5/7

ポテリジオ®

テスト

2011                                               20124/26                                                3/30                                                              5/29  

ポテリジオ®

申請

申請

承認

上市

承認

薬価収載

上市

検査の実施

ポテリジオ®テストの上市までの経緯

コンパニオン診断薬の審査は、医薬の審査のタイムラインに合わせて審査されるのが適切であるが、CoDxの分析的性能のレビューは医薬の審査と必ずしも並行しなくともよかったのではないか?

製造検査施設のバリデーション

保険適用

課題① コンパニオン診断薬の審査タイムライン

新薬との同時申請

診断薬

薬事承認

薬事承認

診断薬

薬事承認

分析法の妥当性の審査

薬事承認

臨床的有用性・妥当性の審査

臨床性能試験

の追加申請

コンパニオン診断薬の申請企業が医薬品の審査タイムラインに合わせて照会の回答等を行う等医薬品の審査期間に準じた対応を行うことを約する場合には、医薬品の審査タイムラインに合わせて対応していくこととしている。

平成 25 年12 月26 日付審査管理課事務連絡「コンパニオン診断薬及び関連する医薬品に関する技術的ガイダンス等について」

分析的妥当性→臨床的有用性の審査を審査期間の中で審査する

医薬品の審査タイムラインに合わせて臨床的有用性のみを審査する

臨床的カットオフ値の妥当性等の臨床的バリデーション→ 主に医薬品の承認審査

分析法バリデーション → 主にコンパニオン診断薬の承認審査

課題② コンパニオン診断薬の審査に必要な情報

承認申請の際、コンパニオン診断薬の臨床的意義、臨床的カットオフ値については、

当該臨床試験に用いた治験薬の名称、試験名、試験方法及び試験結果の概要等に関する情報を含めた、当該医薬品の臨床試験成績の概要を用いて説明することで差し支えない。

平成 25 年12 月26 日付審査管理課事務連絡「コンパニオン診断薬及び関連する医薬品に関する技術的ガイダンス等について」

コンパニオン診断薬申請添付資料のト項には医薬の成績以外にどのような情報を記載すべきか例示があるとよい

<ポテリジオ®テストの場合>

・エントリー患者の臨床的背景 ・検査前工程(固定時間、検体の保存期間等)

・判定における留意事項 等

コンパニオン診断薬の開発例(1)

コンパニオン診断薬

医薬 申請

早期に対象セグメントが決定できる場合

非臨床 P1 P2 P3

キット開発試験用キット製造

同時申請

医薬開発の失敗あるいは中断のリスクを負う

キット供給分析法バリデーション

開発のインプット臨床的カットオフ設定

データ共有

コンパニオン診断薬の開発例(2)

コンパニオン診断薬

医薬 申請非臨床 P1 P2 P3

キット開発試験用キット製造

同時申請

分析法バリデーション

開発のインプット

同等性試験

Clinical Trial Assay (CTA)

医薬開発の失敗リスクの影響を最小化

対象セグメントの見極めに時間をかけられる

※ポテリジオ®の場合はP2後申請

ポテリジオ®テストはこの開発スキームで実施されたが、同様なケースは多いのではないかと思われる。

分析法バリデーション

(コンパニオン診断薬が検証的試験に用いられなかった場合)

臨床試験で使用した測定法と、申請予定のコンパニオン診断薬との同等性を評価する必要がある。また、比較対照として設定できる標準的な方法(公的機関、標準化機関が採用している基準的な方法等)がある場合は、コンパニオン診断薬による判定又は測定結果の妥当性について評価することを目的に、原則として、当該方法とコンパニオン診断薬の間での同等性試験を実施する必要がある。

課題③ 臨床試験の測定法のバリデーション

平成 25 年12 月26 日付審査管理課事務連絡「コンパニオン診断薬及び関連する医薬品に関する技術的ガイダンス等について」

コンパニオン診断薬以外の臨床試験測定法(Clinical Trial Assay: CTA)を用いる場合、コンパニオン診断薬と同等の分析法バリデーションの評価が要求されるのか?

真度 併行精度、室内再現精度、室間再現精度等の精度及び精度を下げる要因等

反応特異性(交差反応性、共存物質の影響、非特異反応、不活性化の影響及び血漿検体を用いる際の抗凝固剤の影響等)及び測定値又は判定結果に影響を与える要因等

定量範囲又は検出限界等の測定範囲及び直線性 分析的カットオフ値 較正用の基準物質又は標準物質 検体採取方法、処理方法、保存方法及び期間等の採取する検体に関する情報 反応条件等のアッセイ条件並びに非特異反応が生じる可能性とその抑制方法 コンタミネーションによる誤判定の可能性とそれらを排除するための方策

参考:コンパニオン診断薬の分析法バリデーション

平成 25 年12 月26 日付審査管理課事務連絡「コンパニオン診断薬及び関連する医薬品に関する技術的ガイダンス等について」

用語の意味・解説等については「ガイダンスQ&A」もご参照ください

臨床試験の測定法の品質が一定以上であることが、同等性試験の成功確率を高めることにもなる。

同等性試験で使用する検体の要件

① 検体の入手法、治験審査委員会又は倫理審査委員会の審査の承認、被験者の同意が得られていることが明確になっていること。

② 臨床検体が使用されていることが明確になっていること。また、当該検体を採取

した被験者に係る臨床情報、検体調製方法、保存方法等の検体の背景が明確になっていること。

③ 検体を入手した施設、研究責任者、試験実施期間等の試験の実施背景が明確

になっていること。また、ヒト検体を用いた試験での検証が現在の倫理指針等を遵守して実施されたものであることが明確になっていること。

検体採取時期並びに病変の質、固定状態及び保存状態等の観点から検体が適切に管理されていること

既存試験で採取された検体をレトロスペクティブに再使用する場合

コンパニオン診断薬の試験・申請データに必要となるため、医薬メーカーと事前によく協議して治験計画等に適切に反映しておくことが重要

相互依存の関係

医薬とコンパニオン診断薬の関係は切っても切れない関係である。薬事審査においても相互依存の関係性を考慮した審査が望まれる。

医薬品A

コンパニオン診断薬A

コンパニオン診断薬B

課題④ CoDx後発品に求められる薬事要件

医薬品AとCoDxAが先発している場合、後発品となるCoDxBの臨床的有用性は医薬品Aの治験によって証明されるべきか、CoDxAの同等性試験によって証明されるべきか?

CoDx後発品の薬事要件は患者・医療者の視点で考えるべきであり、 後発品の開発(あるいは先発品の改良)においては医薬品Aの製薬メーカーの意向が反映されるべきと考える。

「後発品」の定義

薬事要件

コンパニオン診断薬等であることが明確になるように、関連する医薬品の一般的名称及び当該医薬品の投与における体外診断用医薬品の必要性(適応の判定、副作用の予測、投与量の判断等)について記載すること。

課題⑤ CoDxと医薬の紐付に関して

製造販売承認申請書に記載する事項

臨床的意義

平成 26 年2 月19 日付薬食機発0219 第4 号「コンパニオン診断薬等に該当する体外診断用医薬品の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について

ポテリジオ® ポテリジオ®テスト

CCR4 抗原は、フローサイトメトリー(FCM)又は免疫組織化学染色(IHC)法により検査を行い、

陽性であることが確認されている患者のみに投与すること(【臨床成績】の項参照)

CCR4タンパクの検出(モガムリズマ

ブ(遺伝子組換え)の適応を判定するための補助に用いる)

薬事未承認の研究用試薬での検査も可であると解釈できてしまう

申請品目がコンパニオン診断薬として使用される医薬品の適応疾患名を記載すること。なお、がん組織を検査対象とする場合は、適応がん種を記載することでよい(肺癌、乳癌、胃癌、大腸癌等)。

製造販売承認申請書に記載する事項

臨床的意義

平成 26 年2 月19 日付薬食機発0219 第4 号「コンパニオン診断薬等に該当する体外診断用医薬品の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について

使用目的欄の適応がん種の記載

(記載例)

・ 癌組織中の〇〇遺伝子の増幅度の測定(〇〇(医薬品一般名)の〇〇癌患者への適応を判定するための補助に用いる。)

・ ヒト白血球の細胞表面上に発現する〇〇抗原の検出(〇〇(医薬品一般名)の〇〇患者への適応を判定するための補助に用いる。)

医薬品A

コンパニオン診断薬A

癌種A

癌種B

課題⑥ 医薬品適用追加の場合の申請要件

医薬品AとCoDxAが癌種Aを適用としてすでに上市している。医薬品Aは癌種Bに対して適用を追加した。癌種Bの適用追加においてCoDxAに求められる薬事申請要件は?

CoDxAの癌種の追加における必要な試験項目及び申請書の記載方法等について例示が望ましい。

「最新の情報を臨床現場に提供する方法」、 「適切な組み合わせが使われるように、臨床現場で混乱をきたさない適切な情報提供の方法」も考慮される必要があると思われる。

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・ CoDxに準ずる検査については体外診と同等レベルの分析性能が要求されるべきではないか。・ (体外診、薬事法対象外検査を実施する)臨床検査室において臨床検査の品質・精度保証に関する法令が必要。・ 「臨床研究用診断薬」(IUO)を薬事承認し、臨床的有用性を臨床現場で検証していくことによって、薬事法対象外検査を減らす効果が期待できるであろう。

課題⑦ 薬事法対象外の検査法に対する取り扱い

米国では

・ 本年7月にLaboratory Developed Test (LDT)のレギュレーションに関する2つのドラフトガイダンスがFDAより提案された。リスクに基づいて分類し、中・高リスクのLDTにおける薬事要件を明確化しようという意図あり。

・ 検査プロセスの品質・精度管理に関わる臨床検査室に対する要求事項を定めた法令として、「CLIA法」がある。

※ 臨床研究用診断薬(仮称、IUO):日本臨床検査薬協会が提唱している、臨床的有用性が検証されていないが分析的妥当性が確立されている診断薬の考え方

現状:Bcr-Abl転座、VKORC1遺伝子多型、CYP遺伝子多型等→ 今後:次世代シークエンス、DNAチップ等

課題の総括

① コンパニオン診断薬の審査タイムラインに関して、医薬の申請前に分析法の妥当性を事前に審査することは可能か?

② コンパニオン診断薬申請添付資料のト項には医薬の成績以外にどのような情報を記載すべきか例示があるとよい。

③ コンパニオン診断薬以外の臨床試験測定法を用いる場合、コンパニオン診断薬と同様の分析法バリデーションの評価が要求されるのか?

④ 後発のコンパニオン診断薬の臨床的有用性は医薬品の治験の中で証明されるべきか、先発のコンパニオン診断薬の同等性試験によって証明されるべきか?

⑤ 医薬の添付文書においても、薬事承認された診断薬を用いて検査すべきことを明示する必要があるのではないか?

⑥ 適用癌種を追加する場合、すでに上市しているコンパニオン診断薬の申請における試験項目及び申請書の記載方法等の例示があるとよい。

⑦ 薬事法対象外の検査法を含め、臨床検査室において臨床検査の品質・精度保証に関する法令が必要。

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ご清聴ありがとうございました。

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