トレーニング論 - seesaaブログ(シーサー...

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トレーニング論

第10回

スキルの獲得と獲得過程

スキル

身体運動を上手に(巧みに)行うために必要な身体能力

随意的運動制御能力

不随意運動

=反射:上手下手の区別はない

スキルの構成要素

状況把握能力正確さ素早さ持続性

スキルの構成要素

状況把握能力正確さ素早さ持続性

状況把握能力

視覚、聴覚、筋運動感覚によって

周囲の状況と

自分のからだとの関係に関する感覚情報を収集する能力

状況把握能力

現在の感覚情報をもとに、近未来の状況を

予測する能力

スキルの構成要素

状況把握能力正確さ素早さ持続性

正確さ

運動を正確に出力する

適切な筋を選定し(ポジショニング能力)、

適切な時間に(タイミング能力)、

適切な強さで活動させる能力(グレーディング能力)

スキルの構成要素

状況把握能力正確さ素早さ持続性

素早さ

時間的な早さ

陸上短距離競泳短距離

動作開始の素早さ

対人競技ターゲットキャッチ型球技

切り換えの素早さ

スキルの構成要素

状況把握能力正確さ素早さ持続性

持続性

正確さや素早さを持続する能力

集中力とも言われる能力

• 体で覚えるとは脳で覚えること

• サイバネティックス的体力を決めるのは脳・神経系

• 運動が上手=

脳で作られる運動指令(運動プログラム)

脳・神経系のニューロン回路

性能がよい

ウォーミングアップ

静的ストレッチ

スキルトレーニングの原理

エネルギー的体力の進歩に比べ

スキル系のトレーニング法の開発は遅れている

1.反復練習

一般に反復は多いほど効果がある

ひとつの要素的動作の反復は注意

鏡映描写練習

• 週2日5週間の実験

• 1日に8セット vs. 5セット vs. 2セット

• 8セット練習したグループの方が5週間を通じて常によい成績を示した

• 特に最初に1週の伸び量の差が著しい

• 練習期間終了後3週間の練習休止期をおい

て再テストを行った結果、練習終了時のスコアはそのまま保持されていた(8セットグループが最高)

ブロック練習とランダム練習

• 目の前に並んだターゲットを3通りの順序でできるだけ早く倒す課題

• ブロック練習:同じ順序の試行を続けて1セット行ってから別の順序を1セット行うというような練習

• ランダム練習:毎回異なる順序の試行を行わなければならない練習

• 練習中にはブロック練習のほうが成績がよいが、休息期間をおいて再テストを行うとその関係が逆転し、ランダム練習の方がよくなる

2.集中練習と分散練習• 一時に集中 vs. 休息をはさんで何回かに細分

• 分散練習では回数を追って順調に向上

• 集中練習ではある程度でプラトーに達する

3. レミニッセンス• 練習終了後5分休止し再開すると集中グループの成績向上

• 時間ない→集中

• 時間のゆとりあり→分散

4. リテンション• 練習の休止後の練習効果の保持

• リテンションスコア(%)=

練習休止後の成績/練習休止前の成績×100

• 運動スキルのリテンション>知的学習効果のリテンション

• 「目的意識」

• 上達の早い者はリテンションもよい

5.オーバーラーニング• ある技術を練習する場合に、課題達成基準が1回クリアできたところで練習を打ち切ってしまわず、さらに何回も練習を繰り返すこと

• 1週間に1度程度、基準到達後それまでに要した試行数の半数を追加

6.転移• ある一つの技術を学習(練習)することによって、その後に行われる新たな技術の学習効果が影響を受ける現象

→正・負

• 硬式テニスとバドミントンの壁打ち

• 陸上競技とアメリカンフットボールのスタート動作

• バスケットボールとバレーボールの落下してくるボールを打って的に当てる動作

7. イメージトレーニング• 自分がそれを今行っているつもりになって頭の中にイメージを描くことによって、その動作の実際のパフォーマンスを向上させる方法

• イメージを描きやすい技術に効果的

輪投げ実験

第1日目

210本の輪投げテスト

翌日から20日間毎日

70本の練習

15分間イメージトレーニング

VS

22日目に再テスト練習グループ

28回

67回

イメトレグループ

38回

51回

8.フィードバック• 動作の結果に関する情報を知らせること

• 「動作の知識」「結果の知識」

• クローズドスキル→動作自体のフィードバック

• オープンスキル→周囲の環境すべてに関するフィードバック

スキルの獲得過程の特性と注意

• プラトー:経験的にはよく知られた現象ではあるが、実験的にはその存在は証明されていない

→長期間にわたる練習のマンネリ化

• 開眼:突然別人のように上手くなる

→休養中に生じる超回復という適応機構に

よって、神経回路に含まれるシナプスの疎通性が向上することが原因

• スキルトレーニングにおいては、トレーニングの原則に則り、臨機応変に行いより良い脳の回路形成を目指して粘り強く練習を続けることが必要

「スキルの学習段階(8段階)」

(1) 知覚する:しようとする動作における身体の位置、姿勢や動作の様式などを感覚受容器を通して認知、理解する。(先生のお手本を頭に入れる段階)

(2) 模倣する:知覚の結果より、動作様式を実際にやってみる。(お手本の通りに”まね”をする段階)

(3) 様式化する:動作の様式を完成させる為に、連続にしかも調和のとれた方法で動作を反復する。(動作を繰り返し練習する段階)

(4) 適応する:様式化した動作を特殊な課題に応じて変化させる(音楽やリズムに合わせる。またはグループで協調しながら動作を獲得する段階)

(5) 洗練する:様式化した動作を遂行するにあたって、円滑な効率のよい調整能力を獲得する。(余分な動きを排除したり、時間的・空間的な位置関係を獲得する段階)

(6) ある動作様式を遂行するときに、特異的な、あるいは新しい動作様式採用または考案する(動作をアレンジする段階)

(7) 即応する:環境の変化に対して、新しい動

作様式もしくはそれらの組み合わせで即座に対応する(動作の先読みを完成させる段階)

(8) 構成する:特異的な動作様式を計画または創造する。(これでスキルが向上する)

メンタルトレーニング

• マクルランド理論:ハーバード大学のデビッド・マクルランド博士が輪投げにより打ち立てた理論

• 達成確立60%の目標を設定して最高の努力を積み重ねる

モチベーター

• モチベーションを左右する要素

• 外発的モチベーター

• 内発的モチベーター

• セルフイメージを変えない限り、一流の仲間入りはできない

• 蛇口からでる水の量が努力、容器の中の水の量がパフォーマンスで、容器の大きさがセルフイメージ

• パフォーマンスと感情には強い相関関係がある

• 感情がそのアスリートの態度を支配する×

• 態度がその人間の感情を支配する○

自律訓練法

• J.H.シュルツ ドイツ精神科医 1932年

• 公式を順番に心の中で繰り返し唱える

• 1〜2週間実行すれば自己暗示を簡単に受け入れる脳に仕上げることができる

• 目を閉じて、ゆったりとした呼吸を行い心の中で唱える

• 1回あたり5分間、1日に2〜4回行う

• 背景公式(安静練習):「気持ちがとても落ち着いている」

• 第1公式(重感練習):「両腕・両足が重たい」

• 第2公式(温感練習):「両腕・両足が温かい」

• 第3公式(心臓調整):「心臓は静かに規則正しく打っている」

• 第4公式(呼吸調整):「呼吸が楽だ」

• 第5公式(腹部温感練習):「おなかが温かい」

• 第6公式(額涼感練習):「ひたいが涼しい」

ゾーン

• 最高の心理状態の8つの要素• 心理学者チャールズ・ガーフィールド博士1. 精神的にリラックスしている2. 身体的にリラックスしている3. 自信がある/楽観的である4. 現在に集中している5. 高いエネルギーをだしている6. 非常に高い認識力7. コントロールしている8. 繭の中にいる

イメージトレーニング

• 旧ソビエトの宇宙飛行士のためにもともと開発された

• 最高の心理状態に導くメンタルスキル

• スポーツ心理学の権威、リチャード・スイン博士:実技とイメージトレーニングの脳の働きの比較

→実際の演技とイメージトレーニングにおける脳の働きはほぼ一致する

イメージトレーニング基本テスト

• 腹式呼吸をしながら目を閉じて、5秒間かけてそのシーンを脳裏に描く

• 次に示すイメージを、その鮮明度によって0〜4までの数字で記入する

0 全くイメージできない

1 ぼんやりイメージできた

2 ふつうにイメージできた

3 かなり鮮明にイメージできた

4 リアルにイメージできた

1. 家族の顔2. レモン3. 温かいシャワー4. 冷たいプール5. うなぎのにおい6. 大好きなアイスクリームの味7. 飛行機の爆音8. 花火9. 太ももを思いきり指でつねられた10.梅干しの味

• ストレスにより表れた生理的不安を除去するのではなく、それは自然な生理現象ととらえて、そのことに動じない精神を形成することが大事

• プレッシャーを感じるときほどすごいパフォーマンスを発揮できると考えて、プレッシャーを抱えながら相手と戦う

正しい思考習慣

• トップアスリートに不可欠な3種類の思考パターン

1. セルフコントロール

2. プレッシャーコントロール

3. 執着力

• サイキングアップ→短く、激しい呼吸 アップテンポの曲 大きな声

• リラクゼーション→ゆったりとした呼吸 クラッシックやヒーリング音楽 瞑想

4種類の集中力

• 集中の所在と集中の範囲

1. 内的に広く焦点を合わせる

2. 外的に広く焦点を合わせる

3. 内的に狭く焦点を合わせる

4. 外的に狭く焦点を合わせる

4つのレベルの集中状態

• パフォーマンスレベル高1. 無我夢中2. 心を奪われる注意集中3. 興味をともなった注意集中4. 単純な注意集中• パフォーマンスレベル低

• 場面場面でメリハリをつけてこの4種類の集中レベルを自由自在にコントロールするスキルが必要

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