テレビ局制作現場の映像技術¸†足講師(テレビ...関西テレビ放送株式会社...
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関西テレビ放送株式会社
制作技術局 制作技術センター
ビデオエンジニア
帆足聡一郎
テレビ局制作現場の映像技術
1998年 関西テレビ放送入社 放送部(マスター)配属
デジタルマスター、CMバンクシステム構築
2005年 制作技術部へ異動
映像グループにてVEを担当し、現在に至る
スタジオ スタジオ番組全般
中継 野球中継、競馬中継等
大阪国際女子マラソン 2008,09,10年にSEを担当
ダイヤモンドカップゴルフ 2009,10,15,16年にSEを担当
連続ドラマ 2011春「グッドライフ」 主演:反町隆史
2012春「37歳で医者になった僕」主演:草彅剛
2013春「幽かな彼女」 主演:香取慎吾
2015冬「銭の戦争」 主演:草彅剛
2016春「僕のヤバイ妻」 主演:伊藤英明
2017冬「嘘の戦争」 主演:草彅剛
受賞ドラマ 2010年「その街の今は」日本放送文化大賞準グランプリ
2011年「レッスンズ」 文化庁芸術祭大賞(テレビドラマ部門)
US国際フィルム・ビデオ祭最優秀賞
2012年「ピロートーク」日本民間放送連盟賞優秀賞(テレビドラマ部門)
HDR制作 「Livejack Special」4K 音楽ライブ収録
「つくるということ」 8K カンテレテクニカルフェア展示
経歴と過去の担当番組
日本映画テレビ技術協会大阪支部 第3回基礎技術セミナー 2 2017/6/26
目次
スタジオ
• カメ調の基礎
• システムの基礎
中継
• システム構築
• 変化する状況
• 優先順位
• 特殊中継
ドラマ
• 作業の流れ
• トーン、色表現
• 編集へ引継ぎ
4K
• 高画質化
• ワークフロー
• HDR
• 課題
3 日本映画テレビ技術協会大阪支部 第3回基礎技術セミナー 2017/6/26
スタジオ
光CAMケーブル
CCU(カメラコントロールユニット) RCP(リモートコントロールパネル)
制御ケーブル
カメラ
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実際の照明の雰囲気 カメラを通すと
カメ調(カメラの調整) ・カメラ単体の色調を整える
・複数台のカメラの色調を揃える
・総合的にカメラの調子を見る
視聴者が違和感を
感じないように
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色温度
・光の色味を温度で表現したもの(K:ケルビン値)
白熱電球 太陽光(朝夕) 太陽光(晴天) 太陽光(曇り) 晴天の青空
スタジオの多くは3000K付近のハロゲンライトを使用
その色温度下での白(ホワイトバランス)をとることで見やすい画に仕上げる。
見たままを表現すると画が赤っぽくなってしまう
6 日本映画テレビ技術協会大阪支部 第3回基礎技術セミナー 2017/6/26
カメラ内蔵フィルタ
業務用カメラは色温度3200Kの時にホワイトバランスを取ると最適な状態となるように作られている。
白熱電球 太陽光(朝夕) 太陽光(晴天) 太陽光(曇り) 晴天の青空
【CCフィルタ】色補正フィルタ
高色温度の青さを補正するために内蔵している物理フィルタ。
3200,4300,5600,6300,8000Kが一般的。
【NDフィルタ】光量調整用フィルタ
光量の強さに合わせて最適なNDフィルタを使用し、最適な明るさにする。
色補正フィルタ (CCフィルタ)
素通し(基準)
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ホワイトバランス(WB)
カメラは光の3原色であるRed、Green、Blueの値を変化させて色を表現する。どの明るさ(階調)に於いても均一にバランスが取れた状態をWBが取れた状態という。
照明が均一で光量も一定の条件下では、色温度に変化がないので色も一定に保たれる。
グレースケールを使用し、その色温度下における白(WB)をとる
W
3CCD
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WFM(波形モニタ)
映像信号を波形として表示し、色の三要素である色相・彩度・明度(輝度)のうち、主に輝度とRGBバランスを計測・監視することができる
R G B 暗
グレースケールをカメラで撮りWFMを見ると上図のような波形表示で見ることができる。明部、中間部、暗部の各階調ごとのRGBバランスが整うように調整する
明
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VECTOR(ベクトルスコープ)
色の三要素である色相・彩度・明度のうち、主に色相(HUE)と彩度(Saturation)を計測・監視することができる
波形表示が中心に収束するほど、彩度が低く白黒に近付くことを表す。反対に外側に伸びるほど、その色が鮮やかに色濃くなる。
色成分の配置をみれば反対色(補色)の関係もわかる
濃 薄
W
10 日本映画テレビ技術協会大阪支部 第3回基礎技術セミナー 2017/6/26
最終調整 ・グレースケールはあくまで基礎調整。
最後は実際に撮る画を見て最終調整を行う。
朝のトーク番組なので明るめに
爽やかに
女性が多いので肌が綺麗になるように
色味を乗せすぎるとベッタリするから 程
よくいい感じに
番組に合った雰囲気作りをすることが大切
出演者の服の色、背景のセットとの
バランス 全編通して明暗の極端な変動がない
ように
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システム
【系統図】
カメラ等の入力素材と出力先を図面に表したもの
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入力素材
カメラ、VTR、テロップ装置などの入力素材は図面左側に
カメラ系
VTR系
テロップ ファイル系
館内分配系 (外部からの素材)
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スイッチャー、ルーター
スイッチャー
ルーター(MTX)
スイッチャー、ルーター等の大型切替装置は図面中央に
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出力先 モニタ系
マスター 他サブ TRK など
モニタ系、マスター本線送出などの出力先は図面右側に
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【スイッチャー】
・入力信号をショックなく切り替えることができる。
・入力素材の同期がとれていなければならない。
・内部でエフェクト等の効果、スーパー処理などを行える。
【ルーター】
・入出力系ほぼ全てが一度ルーターに入力されている。
・切り替え可能な巨大分配器のようなもの。
・必ずしも同期がとれていなくてもよい。
・切替時にショックが出るのでOAに出る切替には向かない。
・SD/HD/3G/6G/12G-SDI対応の
ルーターも登場。IPや音声信号と混在できるもの
内部で信号変換やマルチビューア作成等
各社の特色があるものが登場し注目されている
機器の特性
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システム構築の考え方
入力素材は?
臨時で増えたら?
同期はとれている?
どんな信号をどこが必要 としているか、分配先は?
信号切り替えが必要?
事前準備は必要か?
作業時間はどれくらい?
冗長構成は万全か?
万が一壊れたらどうする?
システム構築
余裕をもって構築すると様々な局面で対処しやすい
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スポーツ LIVE
制作番組 特殊中継
中継
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システム構築
環境
場所
中継車
バラシ
電源
規模 カメラ台数
スロー数
布線距離
信号ルート
追加機材
信号 映像
音声
同期
タリー
インカム
本線伝送
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変化する状況
天候による影響
• 機材の保護
• 色温度の変化
時間による影響
• 時間制限がある場所
• 日の出、日没での色温度変化
人・機械による影響
• 予期せぬトラブル
• 本番スタンバイ直前に発生する変更
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優先順位
優先順位を判断
カメラ
イン カム
本線
車内 環境
カメ調
モニタ
切替
本社 連絡
中継車 間接続
信号 布線
OA 時間
本番
現場設営
事前準備 (プランニング)
事前のプランニングをもとに現場設営を行う。出先も一斉に作業を始める為、対処すべき事象が同時に発生することも多い。優先順位を見極め、対処することが重要。
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特殊中継【ゴルフ中継】
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特殊中継【ロードレース中継】
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ドラマ
撮影 音声
照明 映像
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ベース
設営
アイリス
色調整
収録
編集立会
映像担当の作業の流れ
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設置場所 シンプル接続
作業環境
ベース設営
監督モニタ 映像ベース
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トーン・色表現
実際の感じ 調整後
番組全体のトーン
場所 時間 場面 心情
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色が持つイメージ
トーン(色の印象)
暗い
地味な
暗
明度
彩度 高 低
明るい
華やか
明
白
グレー
黒
暖色系
• 楽しい
• 明るい
• 女性的
• 情熱的
寒色系
• 不安な
• 暗い
• 男性的
• 理知的 IQ軸を利用
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編集への引継ぎ
収録形態の
多様化 編集室 現場
現場 ⇔ 編集
収録形態 修正 合成 カラコレ
グレーディング
カラリスト、DITとしての成長が望まれる
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映像の高画質化
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高画質化
高解像度
ダイナミックレンジ
色域 量子化
フレームレート
HD(1920*1080)
2K(2048*1080)
UltraHD(3840*2160)
4K(4096*2160)
8K(7680*4320)
23.98p,24p,25p
29.97p,50i,50p
59.94i,59.94p etc
8bit
10bit
12bit
16bit
SDR HDR
Rec.709
Rec.2020
etc
HDR(High Dynamic Range)
SDR(Standard Dynamic Range)
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4Kワークフロー
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撮影
カメラ/レンズ
選択
HDR制作
SDR制作
撮影・収録
フォーマット
(OETF)
システム
伝送方式
解像度・色域変換
遅延
モニタリング
収録
編集
データ管理
グレーディング
HDR/SDR
納品
表示
HLG/PQ
ディスプレイ
ガンマ
(EOTF)
モニタの性能
OETF:Optical Electro Transfer Functionの略。カメラ側の信号変換。S-log3etc
EOTF:Electro Optical Transfer Functionの略。モニタ側の信号変換。
HLG:Hybrid Log Gammaの略。NHK提案。SDRとの互換性部分が多く仕上げ含めイメージングが楽。放送系。
PQ(ST2084):Perceptual Quantization の略。Dolby提案。HDR効果がより大きく得られる。配信系に多い。
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HDR(High Dynamic Range)
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【効果】
・広いダイナミックレンジを活かして、暗部から高輝度部まで色・
階調を豊かに表現できる
・視聴者は、より視覚に近い映像を体感でき、臨場感が得られる
【ポイント】 1.HDRに対応したモニターでのみ表示可能 2.HDR規格は大きく分けて2種類。PQかHLG 3.PQで仕上げた作品はPQで、HLGで仕上げたものはHLGで、 とHDRモニターを適正なモードに合わせて初めて効果が得られる 4.撮影はRAWかLogで、ダイナミックレンジを広く記録する。 RAWかLogかはデータサイズと完成度を鑑み、用途に応じて選ぶ。 SDI出力がネムイ映像になる→LUT(LookUpTable)でのモニタリング 5.編集でHDR対応モニタを見ながらグレーディング 6.納品に合わせてPQあるいはHLGのOETFに再変換し、納品 7.表示側(テレビ等)でEOTF(戻し)を行い、視聴者に正確に伝わる
SDR HDR 例)野球やサッカー等の日向と日陰の両立
室内の人物と窓外の風景が1枚の画で成立
4K HDR
HD SDR
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4Kシステム構築の課題
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・様々な信号伝送方式
・信号変換、色域変換、それに伴う遅延
3G-SDI×4 12G-SDI
高価
対応機器が少ない
伝送距離の制約
非圧縮で遅延がない
LEVEL-A/B SQD/2SI
システム構築が大変
既存の安心感
非圧縮
IP TICO
各社のメイン提案 ではない
既存の3Gシステムを利用可能
遅延・画質劣化は ほぼ無い
視覚上無損失の 圧縮技術
IPエンジニア
規格の乱立
伝送距離の制約が ない
IP化部分の遅延
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4K(HDR)制作の課題
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撮影
フォーカス問題
レンズズーム幅の不足
CMOS問題
VE HDR/SDRの両立
特にPQは難
アイリスコントロール
モニタによってHDR効果の出方が違う
見えてほしくない部分も見える
収録機の充実を
編集 膨大なデータ量
グレーディング
素材受け渡しの伝達項目
納品OETF対応CB
番組にどう活かせるかを念頭に技術を有効に使うことが重要
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