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Medizine Annual Report 2013
Organized by
medizine
Aico Shimizu, Yuki Furukawa, 2013/12/31
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Medizineは、これからの医療・ヘルスケアのあり方を探り、提案するユニットとして2013年に発足しました。
2013年8月、 “Future of Healthcare” と題して、国内外70名以上の医療関係者・企業内イノベーター・社会起業家・
デザイナーに「これからの医療やヘルスケアの何に注目をしているのか」についてヒアリングをしました。
本レポートは、この結果から見えてきた日本の医療やヘルスケアの未来像をまとめた簡易版レポートです。
これからの医療・ヘルスケアに期待されている指針として、以下の3つ方向性が見えてきました。
Performance Affordability / Accessibility Humanity
医療技術の進歩に代表されるパフォーマンスの向上は、これまで通り今後も必要であり発展していくと考えます。
これに加えて特筆すべきは、より身近で気軽に利用する事の出来る医療・ヘルスケアの機会を求める動きや、
全人的な価値観を問いなおす手段としての医療、生活者発想で考える医療の重要性です。
本レポートでは、この3つの方向性を、これから注目したい既存の事例と合わせて紹介していきます。
summary
Medizine 2013 - some rights reserved - 2
3
P2 | summary
P3 | index
P4 | macro analysis
P5 | three view points
P6 | case study
Performance /
Affordability / /
Humanity Patients Like Me /
P16 | preview
2014 Medizine
P18 | appendix
index
Medizine 2013 - some rights reserved -
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本レポートの前提条件としてあるマクロトレンド
macroscopic analysis
↓
↓
IT
Medizine 2013 - some rights reserved -
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これからの医療・ヘルスケアを考える上で重要だと考える3つの方向性/指針
P A H Performance Affordability / Accessibility Humanity
Evidence Based Medicine
Quality of Life
Performance/ Affordability/ Humanity
5 Medizine 2013 - some rights reserved -
6
これからの医療・ヘルスケア領域におけるキーファクター (アンケート結果より抜粋)
• Evidence Based Medicine
•
•
•
Performance P
Medizine 2013 - some rights reserved -
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アメリカで、15歳の少年Jack Andraka氏が、迅速で安価ながん検査
方法を発明した。まだ研究段階だが、ネットで研究の足がかりを作り、
若者ならではの発想力で、安く早くできる検査方法を着想した点や、
他のマーカー検出にも展開可能な手法だという点で注目されている。
彼の場合、ベースとなる技術は、必ずしも真新しい技術ではないか
もしれないが、医療分野のイノベーション/技術革新は、パフォーマ
ンスの向上という目的のもと、今後も多方面で追求されていくだろう。
Jackは、まず、初期の膵臓がんに特異的なバイオマーカーとなるた
んぱく質を発見。これに反応する抗体とカーボンナノチューブを水の
中で混ぜ、この水に紙を浸すことで試験紙ができる。試験紙に血液
を一滴落とすと、カーボンナノチューブの構造に変化が起こるため、
簡易的に膵臓がんがスクリーニング出来る仕組みだ。この手法にか
かるコストは1回あたりわずか3ドルで、既存の手法よりも168倍速く、
266.67倍安く、400倍感度がいい。
P Performance
参照: http://www.ted.com/talks/jack_andraka_a_promising_test_for_pancreatic_cancer_from_a_teenager.html
Medizine 2013 - some rights reserved -
ダヴィンチは、低侵襲手術を支援し、外科手術の患者への身体
的負担を低減する手術ロボットだ。従来からある開腹手術では、出
血が多く、回復にも時間がかかった。鏡視下手術では、傷口は小さく
抑えられるが、視野が限られ、動きも制限されるという欠点がある。
一方、ダヴィンチは鏡視下手術を進化させることを実現。立体映像と
ズーム機能を活用した広い視野を提供し、多関節アームを活用する
ことで、人間の手以上の複雑で繊細な手術を可能にしている。
ダビンチの技術的な欠点としては、触覚によるフィードバックが得
られないこと、制度的な欠点としては、前立腺癌の全摘出以外に保
険が適用されないことが挙げられる。現状では本体費用3億円、年
間保守料1,600万円と、金額は莫大だ。
ただし、高齢者が増えると、従来の外科手術の負担に耐えられな
い人が増える。病院としても、術後の入院期間は極力短くしたい、な
どの理由から、低侵襲手術の需要は今後も増加することが見込まれ、
それを支援する技術も一層発展するのではないか。
8
P Performance
参照: http://intuitivesurgical.com/company/media/images/davinci_si_images.html http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/davinci/charm/index.html
※低侵襲とは:手術・検査などに伴う痛み、発熱・出血などをできるだけ少なくする医療のこと。患者の負担が少なく、回復も早い。
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Affordability/ Accessibility /
A これからの医療・ヘルスケア領域におけるキーファクター (アンケート結果より抜粋)
•
•
•
•
参照: http://dakko.jp/medicine_info/20100305/
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生活習慣病患者やその予備軍の数は増加するばかりだが、これ
を事前に把握するための健康診断を様々な理由で受けられてい
ない人たちがいる。国民皆保険をうたう日本だが、忙しくて健康診
断が受けられないビジネスマン、検診の機会が限られているフ
リーランスで働く人や主婦、わけあって健康保険証をもっていない
方など、健康診断弱者と呼ばれる人たちがいる。
ケアプロは、こうした日本の現状を社会課題ととらえ、欧米のモ
デルにならった500円ワンコイン検診を行っている。東京と岡山に
常設のサービス拠点をもつと同時に、ショッピングモールやデパー
ト、駅、アミューズメント施設など公共空間で簡易検診ブースを設
けて日本全国を対象にサービス展開を行っている。
「医師しか医療行為を行えない」という制度的な壁を乗り越え、
ファストヘルスという新しい領域にチャレンジしているケアプロ。こ
れから、より身近に気軽に安く医療が手に入る時代の到来と、そ
れに合わせて、医療従事者の働き方にも変化が起こるだろう。
参照: http://carepro.co.jp/
A Affordability
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医療サービスを受けられるかどうかは、経済的な状況だけでなく、
交通状況によっても左右される。そのため、高齢化の進んだ地方な
どでは、公共交通機関がない、自分で移動ができないなどのために
医療にアクセスできないお年寄りも多い。
長野県千曲市や愛知県海部郡飛島村など、いくつかの行政では、
地元タクシー会社と共同で、特定のバス停と指定病院との間を結ぶ
乗り合いタクシーサービスを開始している。あらかじめ予約をして、他
の利用者と一緒タクシーに乗ることで1回500円~1000円にコスト
を抑えることができる。
実際の運用状況や、運賃などが利用者にどのように受け止めら
れているかは分からないが、バスや電車よりも融通のきくモビリティ
として乗り合いタクシーのような新しい移動手段が、これからより必
要とされるとともに、都市部でのスマートシティ構想やパーソナル
ビークルの動きと並行して注目されるのではないか。
参照: http://www.city.chikuma.lg.jp/docs/2013070900017/ http://www.vill.tobishima.aichi.jp/bus/taxi.html
A Affordability
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A Affordability
インドで年間30万件以上の白内障手術を実施する、Aravind Eye
Hospital。 患者の多くは貧困層で、6割の患者は無料で手術を受け、
資金は裕福な患者のお金と政府からの資金で賄われている。
いかに安く、高品質な医療サービスを提供するか。これを考える際
に参考にしたのがマクドナルドのオペレーションシステム。効率的な
作業、仕事の標準化、徹底的なコストのコントロール、そして規模の
経済。手術室の様子を見るといかに効率性が追求されているのか理
解出来ます。Aravind Eye Hospitalでは効率的に、多くの手術を実施
することが出来るため、医師にとっても良いトレーニングとなる。
日本でも医師の偏在や、不足が叫ばれている。インドと日本では医
療課題は異なるが、医療分野に民間企業の知見を導入する事で突
破できる課題が存在すると気付かされる好例。今後、民間企業と医
療機関とのソフト面でのナレッジ共有が期待されていくのではないか。
参照: http://www.aravind.org/
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これからの医療・ヘルスケア領域におけるキーファクター (アンケート結果より抜粋)
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Humanity /
H
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Patients like me
患者としての悩みや不安を共有したくても、同じ経験を共有出来る
人と知り合うきっかけはあまりない。特に、難病患者の場合、同じ症
状の人と知り合う機会はとても少ない。ゆえに孤独に陥りがちだ。
日本では患者会という形で、大学教授や病院の医師がイニシアチ
ブをとる、または患者や家族が中心となってコミュニティを作っている
が、アメリカでは「疾患に関する情報検索」やSNSを活用したオンライ
ンコミュニティが台頭している。
Patients Like Meは難病患者が参加する無料のオンラインコミュニ
ティだ。患者同士で実際の経験や結果を共有することで新しい情報
を得たり、生活の質が改善されることをミッションとしている。利用者
は、疾患関連の医学情報を簡単に共有することができたり、自分の
情報を入力することで病状を管理できる。また、研究者にとっては、
集積された患者データを利用できたり、研究対象者のリクルーティン
グパネルとして活用する事ができる。
患者同士、研究者同士が、悩みや共感といった接点で新しいオー
プンなネットワークを形成することで、疾患への新しいアプローチも生
まれるかもしれない。
参照: http://www.patientslikeme.com/
H Humanity
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:
デザインプロセスを小児医療現場に導入した九州大学の事例。
ユーザー観察からプロトタイピングまで芸術工学府と医学部の共同
プロジェクトとして実現した。学童期までの子どもと親を主な対象とし
たこどもの服薬に関するインクルーシブデザインの活動は、課題の
整理とユーザーである子どもの視点に立ったデザイン解決策の提案
を目的としている。
研究方法は、子どもたちの日常生活からの「気づき」を活かすた
めにリサーチ、ワークショップ、デザイン開発・展示を組み合わせた
ユーザー参加型デザイン手法。ぞうの鼻をした吸入薬、ストーリーと
連動して服薬できるくすり絵本など、アウトプットはコンセプトレベル
やプロトタイプに留まっているものの、生活者/患者視点のデザイン
を導入する動きとして日本では先進的な事例。
今後、生活者のライフスタイルやQOLを考えた医療の提供を考え
る上で、こうした取組みが実践の中にも取り込まれていくことが強く
期待される。
H Humanity
参照: http://www.inclusive-d.com/img/311child.pdf Medizine 2013 - some rights reserved -
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Medizine
NPO
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Thank you…
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appendix
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questionnaire
19
appendix
Medizine 2013 - some rights reserved -
20
appendix
Evidence Based Medicine /
治療効果・副作用などなるべく客観的な臨床結果を根拠にして行う医療の在り方の事。
過去の研究をひも解き、必要であれば新たに臨床研究を行う等、演繹的判断から、現場の臨床
や研究結果による帰納的な判断に基づいて患者と共に治療方針を決めていくアプローチ。
高い知識や技能をもった看護師を育成し、医師の具体的な指示がなくてもより高度な医療行為
に携われる人材として導入が検討されている新しい資格
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