多発性骨髄腫(multiple myeloma : mm) 多発性骨髄腫(mm) …€¦ · -3 - 図3...
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■多発性骨髄腫(multiple myeloma : MM)
多発性骨髄腫(MM)は免疫グロブリンを産生する形質細胞の腫瘍性疾患である。
60 歳以上の高齢者に発症する.腰痛,息切れや骨疼痛,貧血症状などを主徴として来院す
ることが多い。骨髄腫細胞はモノクローナルな免疫グロブリン(M 蛋白)を大量に作るた
め,血清検査では電気泳動にて M ピークを,免疫電気泳動では M-bow を認め,尿中には免
疫グロブリンの L鎖である Bence Jones 蛋白(BJP)をしばしば検出する。骨病変の存在は
診断,予後の判定に重要であるが,単純骨 X 線像で,辺縁明瞭な溶骨性病変である
“punched-out lesion”(抜き打ち像)を呈するのが特徴である。骨髄穿刺または骨髄生検
で異型性の強い形質細胞(骨髄腫細胞)(を 10%以上認める。M蛋白量の早期増加や,貧血,
骨破壊,腎障害の進行,β2 ミクログロブリンの高値,高カルシウム血症などを呈する症
例は予後不良である。
症候性骨髄腫の症例では通常治療が行われ,治療開始後は平均生存期間は約 3年,10 年以
上の生存率約 3~5%前後と報告されたが,現在、新規薬剤の登場で長期予後が改善されつ
つある疾患である。
図 1 多発性骨髄腫(MM)とは
から引用
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図 2 骨髄の抗体を作る形質細胞が癌化
から引用
表 1 多発性骨髄腫は、抗体産生 6種類、産生なし 1種類ある。
から引用
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図 3 抗体(M 蛋白)と多発性骨髄腫の病勢の関係
血液腫瘍科から引用
表 2 機能性腫瘍から浸潤性腫瘍へ進展するのが、多発性骨髄腫の特徴
表 3 MGUS 無症候性骨髄腫、症候性骨髄腫の比較
血液腫瘍科から引用
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表 4 多発性骨髄腫の症状
から引用
表 5 多発性骨髄腫の症状
血液腫瘍科から引用
1.疫学・発症機序・分類
(1)疫 学
多発性骨髄腫は 40 歳以後,特に 60~70 歳に多くみられる高齢者疾患であり,発症頻度は
男性にやや多いといわれた時期があったが,最近は男女比はほぼ 1 対 1 とされる。近年罹
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患率,死亡率は増加傾向にある。1992 年以降,死亡数,死亡率とも増加傾向にあるが,60
歳以降の死亡率が頭打ちの状態にあることなどより,老年人口の増加を反映しているに過
ぎないと考えられている。
多発性骨髄腫は,1850 年 Macintyre が最初に症例報告をし,同症例で多発性骨髄腫におけ
る Bence Jones 蛋白の存在が Bence Jones によって報告 1)された。その後,1873 年に
multiple myeloma の病名が初めて用いられたとされている。
多発性骨髄腫の病因論に関しては種々の報告がある。人種差によって発症頻度が違うこと,
家族内発症,特定のマウスに形質細胞腫ができることなどによる遺伝説,被曝者や放射線
技師に高率に発症する放射能説,特定地域に起こるウイルス感染説,炎症性疾患に続発し
て起こる慢性刺激説などがあるが,いずれも骨髄腫の病因としては不十分であるといわざ
るを得ない。
(2)発症機序
多発性骨髄腫は B細胞の最終分化段階である形質細胞の腫瘍性疾患である。
1.骨髄内微小環境:In vitro において骨髄腫細胞を維持するのに骨髄類似の微小環境を作
る必要があり,そのためには骨髄ストローマ細胞が必須であり,単球やマクロファージの
存在も重要であることが判明した。また骨髄内微小環境で,骨髄腫の成熟・分化に,他の
細胞群との関連性において接着因子(VLA-4,5,CD40/40L,CD28/CD80,86)の重要性も
報告されている。
2.サイトカイン:IL-6,IL-1,LIF,OSM,GM-CSF,G-CSF 等のサイトカイン類の重要性が
示唆されている。特に IL-6 に関しては骨髄腫細胞より骨髄ストローマ細胞に IL-6mRNA の
発現が高いことよりパラクライン説が有力視されている.複数のサイトカインが複雑に関
与していると想定される。
3.癌遺伝子:古くから C-myc,Bcl-1/2 が関与している報告,N-ras,K-ras の点突然変異,
IgH 遺伝子群の複数遺伝子転座異常などの報告があるが,骨髄腫特有の遺伝子異常は明ら
かになっていない。
図 4 多発性骨髄腫では、はじめは免疫グロブリン抗体産生の B 細胞遺伝子異常からは
じまり複数遺伝子の異常が加わり進展する
血液腫瘍科から引用
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図 5 病勢進展と遺伝子の関与
(3)分 類
Kyle らは,以前,多発性骨髄腫,マクログロブリン血症,アミロイドーシスなど血液悪性
疾患に属さない M蛋白血症を良性 M蛋白血症と呼んでいたが,19 年間の追跡調査でその約
20%は骨髄腫類縁疾患に移行することを示し,診断未確定の M蛋白血症(MGUS ; monoclonal
gammopathy of undetermined significance)と呼ぶことを提唱した。MGUS241 例の基礎疾
患の主なものとして,悪性腫瘍,感染症,膠原病などが含まれる。
多発性骨髄腫の分類は報告者や考え方によって異なり,統一されない難しさがある.(1)
病変の広がりや進行度,部位などを考えての分類,(2)M 蛋白の種類で分ける分類(IgGκ,
IgAκ,IgDκ,IgEκ,BJP type など),(3)骨髄腫の形態学的な特徴である未熟型,中間
型,分化型を考慮した分類(mature,inter-mediate,immature,plasmablastic など)が
ある。
表 6 CRABO 臓器障害
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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図 6 前がん状態 MGUS 患者の多発性骨髄腫へ進展リスク
図 7 無症候性骨髄腫患者の症候性骨髄腫進展リスク
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図 8 多発性骨髄腫の診断
から引用
表 7 MGUS と骨髄腫の鑑別点
血液フロンテイアから引用
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造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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表 8 IMWG による形質細胞腫瘍の診断規準
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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表 9 国際骨髄腫作業部会 統一効果判定規準 IMWG uiform response criteria
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造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
表 10 染色体所見による多発性骨髄腫の病型分類
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
表 11 多発性骨髄腫の 11 病態
①感染症←白血球減少、正常な抗体減少
②二次性発癌(MDS など) ←腫瘍性免疫の低下
③貧血←赤血球減少←骨髄不全、腎不全
④出血傾向←血小板減少症+血小板凝集能低下←異常な抗体(M 蛋白)が血小板に付着
⑤自己免疫現象←異常な抗体(M 蛋白)の自己抗原との反応 例 血小板減少性紫斑病など
⑥腎不全←サイトカイン分泌、M蛋白の腎沈着,アミロイドーシス(M 蛋白の分解産物)
高 Ca 血症、尿路感染症、腎浸潤
⑦神経障害←髄外腫瘍、神経圧迫,アミロイドーシスの末梢神経沈着,M 蛋白末梢神経沈着
⑧意識障害←腎不全、高アンモニア血症,高 Ca 血症、クリオグロブリン血症,過粘稠症候群
➈骨障害←骨融解←破骨細胞活性因子 MIP-α←骨融解← 骨形成障害←造骨細胞抑制因子
⑩その他の因子産生←CEA、アンモニア、Ca クリオグロブリン、過粘稠症候群
⑪意外と臓器浸潤は多いので注意
30% 脾、腎、肝。 20% リンパ節、膵 15% 肺 10% 消化管、心臓、副腎
4% 血液(形質細胞性白血病)
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図 9 多発性骨髄腫の病態
国際医療センター 三輪哲義先生の講演から引用
表 12 多発性骨髄腫の染色体異常と病態
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表 13 多発性骨髄腫の染色体異常の頻度まとめ
血液フロンテイアから引用
2.臨床像・病期分類・予後
(1)臨床像─症状・検査所見
発症年齢は,男性は 60~65 歳,女性 70~75 歳に多い.初発症状,主訴などで頻度の高い
ものとして,疼痛(腰痛,胸背痛)がある。これは,骨破壊,神経圧迫によって生じると
される。次に多いのは息切れ,動悸,顔色不良などの貧血症状,その他として全身倦怠感,
体重減少,気道感染症,出血傾向などが報告されている。肝脾腫,リンパ節腫脹,神経症
状(対麻痺,脳神経炎,多発性神経炎)を呈する患者も認める。高カルシウム血症,過粘
稠度症候群に伴う腎不全,意識障害を示す症例は予後不良である。
末梢血液像で貧血,赤沈亢進,赤血球連銭形成を示し,骨髄穿刺・生検では異型性の強い
骨髄腫細胞を 10%以上認める。血清電気泳動では,M 蛋白の存在を示す M ピークが認めら
れ,他の免疫グロブリンは減少し,免疫電気泳動では M-bow を認める。Bence Jones 型骨
髄腫は総蛋白は電気泳動法では低値を示し,尿には多量の Bence Jones 蛋白が存在する。
尿検査では,Bence Jones 蛋白,沈渣異常がみられる。骨 X 線像では頭蓋,大腿骨等に抜
き打ち像がみられ,シンチグラフィー,CT,MRI 検査では骨髄腫の限局性の溶骨性変化が
詳細に解析できるようになった。その他の検査所見として重要なのは,血清 Ca 値であり,
急速な意識障害,腎障害を来す症例は予後不良であり,十分な治療,管理が必要とされる。
(2)臨床像─主要臓器所見
1.骨:多発性骨髄腫において骨病変の存在は重要な予後因子であり,骨痛,病的骨折,骨
折による神経圧迫症状は生存期間を縮める。骨病変の診断は先に述べた骨 X線像,CT,MRI,
シンチグラフィーなどで容易である。骨溶骨性病変の病因に,OAF(osteoclast activating
factor)の重要性が指摘された。その後の研究で OAF は単一因子ではなく TNF,IL-1,IL-6,
G-CSF など複数のサイトカインが破骨細胞の活性化にかかわり,骨溶骨性病変を引き起こ
していると考えられている。
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2.腎:一般に骨髄腫腎と呼ばれる.Bence Jones 蛋白尿の排泄増加による円柱形成性尿細
管障害が中心である.その他,腎アミロイドーシス,尿酸腎症,高カルシウム血症性腎症
がある。高カルシウム血症をきたすと,Ca が尿細管細胞,尿細管基底膜に沈着し変性壊死
に陥り,間質性腎炎を呈する.急激に高カルシウム血症が進行すると,腎血流量低下,脱
水に続いて急性腎不全を招きやすく予後不良である。IgD,Bence Jones 型骨髄腫に腎障害
が多い。
3.神経:多発性骨髄腫では 50%以上の症例で神経病変を呈するという報告が多い。その主
なものとして,骨髄腫の直接侵襲障害,骨髄腫の症状(高カルシウム血症,出血)に続い
て起こる神経障害,化学療法薬に伴うものが挙げられる.頻度的に高いものとして,神経
根痛,脊髄神経圧迫障害などがあるが,骨障害による疼痛も含まれる。脳障害の報告例に
は腫瘍の直接浸潤ではなく,骨髄腫に伴う高カルシウム血症,貧血や,治療薬によるもの
も多い。治療薬のビンクリスチンによる末梢神経障害や腸管麻痺によるイレウス症状の症
例も少なくない。
(3)病期分類
Durie & Salmon の分類が頻用されている.ヘモグロビン濃度,血清 M蛋白量,尿中 M蛋白
量,Ca 値,骨病変の 5つの因子と腎障害の有無をもとに,三病期に分類した.この分類は,
臨床的な重症度,治療奏効率を反映するとされ,病期が進むほど生命予後が悪い。
図 10 Durie-Salmon の病期分類
から引用
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図 11 Durie-Salmon の病期分類による予後 (海外データ)
から引用
図 12 Durie-Salmon の病期分類による予後 (日本データ)
から引用
(4)予 後
種々の報告があるが,長期生存は難しいと考えられていたが、最近、分子標的薬や自家
造血幹細胞移植が導入され改善した。
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図 13 国際病期分類(ISS)
から引用
図 14 ISS
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から引用
表 14 ISS(海外データ)
から引用
図 15 ISS(海外データ)
から引用
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図 16 ISS(日本データ)
から引用
図 17 !SS による全生存曲線(日本データ)
から引用
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図 18 多発性骨髄腫の予後(海外データ)
から引用
臨床病期 1~4 期の症例で通常治療が行われ,治療開始後は平均生存期間は 3 年,10 年以
上の生存率約 3~5%と報告され,長期予後が望めない疾患であるのが現状である 1)。予後
因子について,多施設の研究が報告されているが,優れた予後因子に関しては現在十分に
議論し尽くされてはいない。その重要なものとして,年齢,PS(performance status),Hb,
血小板数,LDH,血清 Ca 値,β2 ミクログロブリン,CRP,BJP,アルブミン,骨髄腫細胞
数,UA,labelling-index などがある。
3.治 療
治療開始時期について種々の議論があるのは,高齢発症で予後不良の疾患のため当然とい
える.通常,症候性骨髄腫が治療対象となる。
治療の主体は分子標的薬療法であり,ほかに化学療法、放射線療法、支持療法および外科
療法がある.それらの効果は治療成績向上につながる。ここでは,これらの治療法に加え
て,最近本邦や欧米で積極的に行われつつある造血幹細胞移植の意義,適応,免疫療法な
どの新しい治療にもふれる。
図 19 新規分子標的薬の抗骨髄腫効果の機序 (赤四角がビルテミゾブ)
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血液フロンテイアから引用
図 20 新規分子標的薬ベルケードの抗骨髄腫効果の機序
血液フロンテイアから引用
図 21 新規分子標的薬ボルテゾミブ(ベルケード)の抗骨髄腫効果の機序
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血液フロンテイアから引用
図 22 プロテアーゼ阻害剤
血液フロンテイアから引用
図 23 プロテアーゼ阻害剤ベルケードの投与法
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から引用
表 15 ベルケードの末梢神経障害
表 16 ベルケードの副作用
ベルケード製品情報から引用
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表 17 ボルテゾミブ(ベルケード)による末梢神経障害
ベルケード製品情報から引用
図 24 5 サイクル前後にボルテゾミブ(ベルケード)による末梢神経障害増加
ベルケード製品情報から引用
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図 25 ボルテゾミブ(ベルケード)による末梢神経障害
ベルケード製品情報から引用
図 26 ボルテゾミブ(ベルケード)による重い末梢神経障害
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図 27 ボルテゾミブ(ベルケード)による末梢神経障害
ベルケード製品情報から引用
表 18
ベルケード製品情報から引用
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図 28 ボルテゾミブ(ベルケード)による末梢神経障害
ベルケード製品情報から引用
図 29 ボルテゾミブ(ベルケード)による末梢神経障害
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図 30 ボルテミゾブ(ベルケード)の生存延長効果
図 31 サリドマイド
血液フロンテイアから引用
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図 32 新規分子標的薬の抗骨髄腫効果
血液フロンテイアから引用
図 33 レナリドナイド
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血液フロンテイアから引用
図 34 レナリドマイド
図 35 レナリドミドのステロイド減量
レブラミド製品情報から引用
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図 36 サリドマイド
血液フロンテイアから引用
図 37 サリドマイド
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図 38 今後の展望
図 39 新規プロテアゾーム阻害薬
血液フロンテイアから引用
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(1)分子標的療法・化学療法
1.ボルテゾミブ
2.レナリドマイド
3.サリドマイド
4.化学療法
1)MP:メルファランとプレドニゾロンとの併用療法で,少量持続投与法と大量間欠投与法
がある。化学療法のゴールデンスタンダードであり,多剤併用療法と生存率に差のないこ
とが 1998 年に国際的に評価されている。
2).CP・CVP・MCNU-VMP:CP(サイクロフォスファマイド+プレドニゾロン),CVP(サイク
ロフォスファマイド+ビンクリスチン+プレドニゾロン)のように多剤を併用して治療効
果を期待する療法で,MCNU-VMP 療法(MCNU+ビンデシン+メルファラン+プレドニゾロン)
もその一つである。
3)VAD:ステロイドパルス療法にドキソルビシンとビンクリスチンの少量持続投与を組合せ
ることにより,メルファラン耐性の骨髄腫症例に有効とされる。
4)その他の化学療法:M-2,VMCP,VCAP,VBAP,hyper CVAD,high-dose melphalan などが
ある。
5)IFN-α/IFN-α併用化学療法:インターフェロン単独,インターフェロン+化学療法は
MP と比較して有効性は証明されていなが,腫瘍量の少ない病期 I,II に効果があるとの報
告がある。
(2)放射線療法
孤立性形質細胞腫や髄外性形質細胞腫に対する効果は良好なため,第一選択の治療である。
多発性骨髄腫に対する位置付けは,局所の疼痛寛解や脊髄圧迫症状を呈する重篤な神経障
害などの改善が主目的であるが,化学療法抵抗例で全身照射法である半身照射法が積極的
に行われている施設もある。
(3)外科療法
孤立性形質細胞腫や髄外細胞腫などで手術可能な症例,神経根圧迫に対する laminectomy
は適応である。
(4)補助療法
1.高カルシウム血症,腎障害対策:原病に対する治療に加えて次の対策を行う。十分な補
液と水利尿を行い尿量を維持する。ビスホスホネート製剤やカルシトニンを投与し血清 Ca
値の低下を図る。腎機能を悪化させる造影剤の使用や不適切な利尿剤の投与を避ける。
2.骨融解:ビスホスホネート製剤が有効である。
3.感染症,貧血対策:液性,細胞性免疫の低下があるため日和見感染しやすい。顆粒球異
常も報告されている。抗生剤,γ-グロブリン製剤,G-CSF 等を積極的に用いる.貧血に対
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してエリスロポエチンを用いることがある。
図 40 治療まとめ
から引用
表 19 多発性骨髄腫の治療法
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から引用
表 20 肺浸潤の場合
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図 41 分子標的薬の作用機序
表 21 新規低分子治療薬
血液フロンテイアから引用
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図 42 染色体異常 t(11;14)の cyclinD1(BCL1)-IgH は 自家移植有効
図 43 染色体異常 t(4;14)の FGFR3-IgH は 自家移植無効
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図 44 染色体異常 del(17p13.1) 欠失は 自家移植無効
図 45 染色体異常と形態
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図 46 移植適応ある初発症候性骨髄腫
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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図 47 移植非適応の初発多発性骨髄腫
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
表 22 多発性骨髄腫の移植学会ガイドライン
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日本における造血細胞移植 平成 25 年度 全国調査報告書 日本造血幹細胞移植学会から引
用
(5)造血幹細胞移植
1.自家造血幹細胞移植:メルファラン大量前処置等のもとに末梢血/骨髄幹細胞移植治療
が行われているが,治療成績・生存率の改善に関しては十分とはいえない。通常の化学療
法との比較検討が現在なされている。
2.同種骨髄移植と同種末梢血幹細胞移植:生存曲線が平行に達する意味で,自家よりは再
発率が少なく,唯一の根治療法ではあるが,適応年齢の限界,早期治療関連死亡が多く,
問題点が山積している。
3.ミニ移植:非骨髄破壊前処置として免疫抑制剤(フルダラビン,MMF,ATG)や低濃度の
放射線照射を用い,ドナーリンパ球輸注(DLI)との組合せによって,この疾患の高齢発症,
前処置関連毒性の問題点を解消し抗腫瘍効果を期待できる治療である。
図 48 自家末梢血幹細胞の採取
から引用
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(6)サリドマイド投与
1998 年頃より米国施設を中心として,サリドマイドが治療抵抗性多発性骨髄腫に治療効果
があるということが報告されている.作用機序は不明だが,骨髄腫の持つ血管新生作用,
血管新生に関与するサイトカイン(TNFα,VEGF など)の放出を抑制するとの説がある。
(7)免疫療法
臨床応用としては,海外の特定研究施設で有効性が確認されたのみであり,これからの新
しい治療といえるものがほとんどである.今後の成果が注目される。
1.抗 IL-6/抗 IL-6 リセプター抗体:骨髄腫の IL-6 を介する autocrine 増殖を抗体によっ
て阻止する。
2.抗 CD38 抗体:抗 CD38 抗体+ricin 結合体を用いて骨髄腫細胞を障害する。
3. Idiotype 特異的免疫の誘導:Id(イディオタイプ)-免疫グロブリンをドナーにワクチ
ンし,免疫されたドナーリンパ球を患者に投与する。GM-CSF,や Id で免疫された樹状細胞
を利用した方法である。
表 23 予後不良因子まとめ
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表 24 多発性骨髄腫治療のまとめ
表 25 多発性骨髄腫治療効果判定概略
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図 49 治療効果と予後が相関
図 50 治療効果と予後が相関
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図 51 治療効果と予後が相関
図 52 治療効果と予後が相関
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図 53 高齢者、臓器障害は予後不良因子
表 26 アメリカ合衆国のメイヨ・クリニックが 2013 年に発表したガイドライン
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表 27 染色体異常を予後別に 3群のリスク群に分ける
図 54 染色体異常のリスクに対応した治療戦略 移植可能群
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図 55 染色体異常のリスクに対応した治療戦略 移植不可能群
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図 56 染色体異常のリスクに対応した治療戦略 文献まとめ
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表 28 進行すると変化する事がある骨髄腫
図 57 多発性骨髄腫は難治性
血液内科から引用
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図 58 Elotuzumab
血液フロンテイアから引用
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図 59 DKK1
血液フロンテイアから引用
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図 60 多発性骨髄腫の骨病変
血液腫瘍科から引用
図 61 多発性骨髄腫の骨病変の機序
から引用
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図 62 多発性骨髄腫の骨病変発生頻度
図 63 多発性骨髄腫の骨病変画像検査
血液腫瘍科から引用
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図 64 骨病変の進行に伴う変化
血液腫瘍科から引用
図 65 頭部パンチアウト 単純レントゲン像
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図 66 骨融解単純レントゲン像
図 67 PET-CT 骨病変
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図 68 顎骨壊死の予防対応
図 69 顎骨壊死
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造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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図 70 再発・再燃骨髄腫の治療フローチャート
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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表 29 再発・難治性骨髄腫患者に対する新規薬剤を中心とした救援療法
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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図 71 ボルテゾミブ(ベルケード)の骨形成促進作用
図 72 全身 AL アミロイドーシス
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
図 73 AL アミロイドーシス治療フローチャート
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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造血器腫瘍ガイドライン 2013 年版 日本血液学会 金原出版から引用
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