o-ps を用いた cp 対称性の破れ探索
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o-Psを用いた CP対称性の破れ探索
東京大学 素粒子センター 小林研究室修士2年 西原一幸
原子核若手三者夏の学校@パノラマランド木島平
内容1.イントロダクション
2.実験概要
3.実験に向けての準備状況
4.現段階での見積もりと今後の予定
2007年 若手夏の学校 o-Psを用いたCP対称性の破れ探索
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1.イントロダクション
2007年 若手夏の学校 o-Psを用いたCP対称性の破れ探索
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レプトンセクターで CPの破れを測定することは大事!
・クォークセクターでの CPの破れ
★ Kの物理 KL→π+ π- 稀崩壊の発見 (1964) Γ(KL→π+π-)/Γ(KL→all)=(2.0+/-0.4)×10-3
★ Bの物理 B0 と B0bar との崩壊率非対称 (2001) sin2Φ1 = 0.99+/-0.14(stat)+/-0.06(syst)
・レプトンセクターでは? →未発見
大統一を考えると、レプトンセクターでの CP の破れは必須 その程度は?
・レプトンセクターで CPの破れを測る対象 ★ニュートリノ振動 (ニュートリノ、反ニュートリノの遷移確率の違いを測定する) ★荷電レプトンのEDM (T対称性の破れ→ CPT対称性を信じるなら CPの破れ) ★ポジトロニウム →本実験
2007年 若手夏の学校 o-Psを用いたCP対称性の破れ探索
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ポジトロニウム系での CPの破れ その1
ポジトロニウム →電子 (e-) と陽電子 (e+) の束縛系
スピン状態により
p-Ps (τ=0.125ns) と o-Ps(τ=142ns) に分けられる
主に p-Ps は 2γ へ、 o-Ps は 3γ へ崩壊
+
-
o-Ps (S=1)
p-Ps (S=0)
m=0 m=1m=-1
磁場中でのポジトロニウム
o-Psの m=0の成分が p-Psと mixingを起こす
→寿命が短くなる
本実験では o-Psの m=+/-1の成分のみを選択的に使用したい
→磁場をかけて、かつ崩壊時間を測ることで m=0成分を除去する
2007年 若手夏の学校 o-Psを用いたCP対称性の破れ探索
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ポジトロニウム系での CPの破れ その2 o-Psの 3γ崩壊を用いたCP測定
N+ と N- のイベント数の差→CPの破れ
N
o-Ps
2k
1k
3k
S
o-Ps
1k
2k
3k
S
N
検出器
検出器 検出器
検出器
))(( 211 kkSkSCCP
fCNN
NNA CP
(f~ 0.1 角度依存など )
現在までに行われている実験
M.Skalsey and J. Van House Phys.Rev.Lett 67(1991)1993
CCP=-0.0056+/-0.0154
精度不十分
O (10-3 )まで上げると見えるかもしれない !!
2007年 若手夏の学校 o-Psを用いたCP対称性の破れ探索
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2.実験概要
2007年 若手夏の学校 o-Psを用いたCP対称性の破れ探索
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※CCP を 10-3 の感度で測定しようとすると、線源・検出器の配置に~ μmの精度が必要
→検出器を乗せた台を回転させることによって、この系統誤差をなくす
実験装置のセットアップ
Ps生成部
γ線検出器 (LYSO結晶 )
リターンヨーク
ネオジム磁石
回転駆動モーター
現在、設計および製作中・・・。 ○線源まわり
22Naβ+線源 (1MBq,Eend=546keV)
エアロゲルターゲット
○γ線検出器
LYSO結晶 (Φ30×30)
H8409-70(高磁界用PMT)
0,60,150,210°の位置に中心から7cm
離して設置
○磁石およびリターンヨーク
ネオジム磁石 (Φ80×50)
鉛直方向から 30°傾けて設置
Ps生成部で 3.5kGauss
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3.実験へ向けての準備状況
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線源まわりについて・22 Na(e +線源 1MBq Eend = 546keV) を 100μm のプラシンで挟む
・ e +通過時のプラシンの光をライトガイドで回転ステージ上のPMTまで導いて、
2 つのコインシデンスで Ps生成をタグ
・プラシンを通過した e+ はエアロゲル中で静止し Psを生成
・ Psの寿命は e+ のプラシン通過時刻と γ線検出時刻との差から算出
光量チェック中(M1 東くん)
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γ線検出器( LYSO結晶)その1*** γ 線検出器に対する要件***
★高いエネルギー分解能 ( 検出した γ 線にエネルギーで順序をつけるため)
★短い減衰時間 ( 統計量を稼ぐようにハイレート下で使用)
★磁場中で使用可
・ LYSO 結晶( Lu1.8Y0.2(SiO4)O, 大きさ Φ30×30)
・ H8409-70 ( 高磁界用PMT ,1 テスラまで耐久 ,実際の数百ガウスのもとでオペレート )
511keVγ線によるシグナル50ns
137Cs(662keV γ線 )のエネルギースペクトル
減衰時間 約40ns
FWHM 10.5%@662keV
本実験で使用するもの
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γ線検出器( LYSO結晶)その2
厄介な 176Luのバックグラウンド
LYSO結晶構成元素 176Lu(天然存在比 2.59%)のせいで自分自身で光る β ー (Eend=580keV)
γ(307keV)
γ(202keV)
γ(88keV)
93.6%
78.0%
14.5%
3.6×1010y
176Luによるエネルギースペクトル
88keV
88keV+202keV+307keV
88keV+202keV
88keV+307keV
それぞれの γ 線光電ピークに β のスペクトルがのった形
176Luによるバックグラウンドの rate
⇒ 約 5.8 kHz
176Lu の崩壊
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γ線検出器( LYSO結晶)その3
176Lu の Backgroundは落とせるLYSO結晶 2つ、 self トリガーの場合とコインシデンス信号によるトリガーの場合とでトリガー rateの比較を行った。 (線源なし )
5.8kHz(self トリガー ) → 16Hz (コインシデンスでトリガー )さらに、 16Hzのうち fake signal(一方 300~ 400keV,他方 400~ 500keV)を作るものは 1.7%
時間分解能は200ps
20kBqの 22Na線源を用いて back to backに放出された 511keVγ線で評価
←片方の LYSOでの測定エネルギーを、 511+/-25keVに固定したときの時間分解能(エネルギーの関数として)
300 ~ 500keV で 200ps を実現
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磁石まわり設計 その1
磁場をかける目的
★m=0 成分の分離
★スピン量子化軸の決定
Ps生成部に 3.5kGaussの磁場をかける
***磁場系に課せられる要件***・ Ps 生成部で一様な 3.5kGauss 程度の磁場
・ Ps からみて LYSO 結晶を遮らない
・ライトガイドや回転台などとぶつからない
現在、 ANSYS (有限要素磁場解析ソフト)を
用いて設計を進めている
・ Sim の形状 ・曲がり角での磁束のロス
・リターンヨークの太さ
ネオジム磁石 Φ80×50
(表面磁束密度 ~ 4.5kG)
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磁気回路プロトタイプの製作(現在進行中)
磁石まわり設計 その2
主な目的
⇒ ANSYSによる計算の妥当性チェック
黒: ANSYS計算結果
赤: BELL610による実測値
青: GM04による実測値
z=0 平面における Bz 分布
Bz [
kGauss
]
磁石のみ系で磁場測定
中心からの距離 [cm]
~0.1kGauss で実測値と一致
・Φ90×20 のネオジム磁石 2ヶ
( 表面磁束密度 ~ 3.7kGauss)
・全長 130cm のリターンヨーク(鉄)
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4.現段階での見積もりと今後の予定
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目指す精度と現段階での見積もり (統計 )
C CPパラメータを 10-3 の精度で測定したい!1.4×10 8ヶのシグナルイベントが必要(1年間の測定なら 5Hz )
・使用する22 Na 線源: 1 MBq
・ o-Ps 生成率: 6.6%
( 内訳 ) プラシンタグ効率 80% エアロゲル中で静止 30% Ps 生成率 55% m=+/-1 成分 50%
・崩壊時間 =100 ~ 270ns : 30%
・ γ線のエネルギー: 0.03% (1st=400 ~ 500keV, 2nd=300 ~ 400keV, 1st>2nd+50keV)
-> 実際は LYSO の組み合わせ:3組
-> 回転台による効果も考慮
m=+/-1 成分の選択
6Hz
※系統誤差、バックグラウンドなどの議論は今回省略
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今後の予定
2007年
8月 磁気回路プロトタイプ測定
本番用磁石まわりの設計完了&発注
9月 ライトガイド光量チェック、線源まわり設計完了
日本物理学会秋季大会
10月 回転駆動および制御系・台座、設計完了&発注
11月 装置組み立てなどもろもろ
12月 テストRUNスタート
2008年
1月 RUN本番開始
3月 日本物理学会春季大会
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backup slides
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