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文部科学省 木材を活用した学校施設づくり講習会

木の学校、木の教育、木のチカラ

埼玉大学教育学部 浅田茂裕 NPO法人 木づかい子育てネットワーク理事長

平成27年11月25日

於宮崎県企業局県電ホール

浅田 茂裕(あさだ しげひろ) 九州大学大学院農学研究科修了(博士(農学)) 埼玉大学教育学部教授

東洋大学WASSセンター客員研究員。現A-WASSメンバー <研究の概要> 小中学生に対する木材教育の方法(木育) 学校教育に対する木材利用の効果、居住性、快適性研究など 木材利用に向けた消費者意識調査、マーケティング研究 「木育」運動の総合委員会委員。木育アドバイザリーボードメンバー NPO法人木づかい子育てネットワーク理事長

asadas@mail.saitama-u.ac.jp

木育ということ

木と触れあわない社会 • 木に触れる機会が少ない ・・・生活の都市化、家庭の中の木製品の減少

• 木についての経験、理解がない ・・・木の使い方がわからない大人が増える。

• 木で遊べる子どもがいない ・・・プラスチックの環境、ゲームで遊ぶ

伐って使う林業の時代

植える→育てる→収穫する→上手に使う

作り手の育成 使い手の育成

木で育てる

木が育てる

木を育てる

次世代への継続

木育 長期的視点

短期的視点

経済・産業振興 教育・市民啓発

学校カリキュラム 各種教材作成 指導者養成 子育て支援活動

木造校舎の研究 公共施設の木質化 研究開発の推進 地域材の利用

製品デザイン開発 木製品利用 カーボンオフセット 企業のCSR活動

木工教室 講演会 各種展示会 市民活動の活性化

「木材の効能を最大限活かして人の育ちを支援する」

学校の木造、木質化

・健やかな学び環境の提供 ・木材消費者育成のインフラストラクチャー

快適性が 中心的課題

問題意識 学校の快適性とは何か

・教員の日常的な教育活動に対する木材利用の及ぼす影響

・児童・生徒のストレスの状態への影響

・学校における居場所と過ごし方への影響

・学校施設の木質化状況と児童・生徒の心身の健康の関わり

木造校舎や内装木質化の校舎のもつ機能

児童・生徒、教員の学校校舎の快適性概念

研究の方向を決定づけた3つの出来事 ・T中学校での出来事

・オープンスペースに対する教師のつぶやき

・掃除についての捉え方

木の持つチカラ

木と人の関わり

温かみ・断熱(触覚、視覚、全体感覚) 香り(嗅覚) 木目・色(視覚) 柔らかさ・弾力(触覚) 湿度感(全体感覚) 滑り(触覚) 吸音・消音(聴覚) 振動(全体感覚) 食料・薬(味覚) ・・・・・・

木材の4つの性質 多孔性 ・ 異方性 不均質性 ・ 多様性

多孔性、多様性、異方性、不均質性・・

ハリギリとカラマツ

人の健康と木材

木の木目は気持ちを落ち着かせて、疲れをとるというはたらきがある! 白い壁は攻撃的になったり、気持ちが落ち込んだりすることもある。

子どもの学びと木

子どもは、外界の物体や環境の意味が十分理解できていない

曖昧なものに対して、見立てあそびが多様になる。

(ゲシュタルトの崩壊、集合が頻繁に起こる)

- 3 > - 3 > - 3 >

これはヘリコプター?

子どもの学びと木 木目

• ものには地と模様がある

• 地と模様は同時に見ることができない。

• 木材製品にはさらに木目がある。

ルビンの杯

子どもの育ちと木 安全性、安心感

• 東京おもちゃ美術館

まず、幼少期はここが求められる。 木材は人に優しい

幼児期の子どもに対する多様な機能 ーBühlerによる機能分類ー

20

機能遊び音を聞いたり、手足を動かしたりすることを楽しむ身体的諸機能を働かせる

ことを中心とした遊びのこと。(「運動遊び」)

想像遊び想像力を働かせて、想像の世界に遊ぶ遊びのこと。(「模倣遊び」「ごっこ遊

び」)

受容遊び絵本を見たり、音楽を聴いたり、紙芝居や人形劇を見たりといったやや受動

的な遊びのこと。(「鑑賞遊び))

創造遊び積み木を組み立てたり、崩したり、折り紙を折ったり、粘土で様々なものを

作ったりする遊びのこと。(「構成遊び)

表  シャロッテ・ビューラーによる遊びの機能的分類

○ Bühlerの幼児の遊びの機能的4分類のいずれの 場合にも、木材は子どもの発達に深く関与する。

木の学校の役割

木の学校の効果 • 心理情緒面 ストレスの緩和、集中力の増加、作業能率の向上 居場所を確保する、空間認識の変化 • 健康面 インフルエンザの抑制、免疫活性の高まり けがの防止、足腰への負担軽減 • 学校への愛着、ほか 学校に対する愛着の増加、清掃活動への積極性 物を大事にする心 • その他 エネルギーコストの抑制、学校イメージの向上 学習活動との連携

児童・生徒の快適性を実現するもの 教室空間に対する「広々とした」イメージの結果

5項目以上のストレス反応を訴えた児童の割合

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

全児童 男子児童 女子児童

該当者率

(%

P<0.01 n.s. P<0.01

●木質化校 ■非木質化校

児童の活動範囲とお気に入りの場所 回答率

校舎別にみたお気に入りの場所と該当者の割合

0%

5%

10%

15%

20%

25%

図書室

特別室

教室

階段・廊下

校庭

ベランダ

職員室

保健室・相談室

体育館

その他

なし・ない

無回答

木質化校 非木質化校

非木質化校では、「保健室」、「無回答」、「なし・ない」の回答率が高い。

図書室、特別室、教室、校庭は、児童の「お気に入りの場所」である。

木質化校では、木質化された階段、廊下もお気に入りの場所とされている。

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