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ケーススタディ2「自己調整学習能力を育む学習支援」
-概算プロジェクト概要と平成29年度取組み -2017年10月17日
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概算プロジェクト概要• 学生が自ら進んで学べるプラットフォームの構築による教育改革の更なる推進-オンラインによる自学自修環境と自身の学修マネジメントをつなぐ-
• 本事業は,教育の質向上の度合いを客観的・継続的に測り,教育改善に反映させることを目的として,教育PDCAサイクルに教学IRシステムとオンライン学修教材開発を構造的に組み込み,学生を中心軸とした新たな“環“を構築する。それによってデータに基づいた教材設計を可能とし,学生の自己調整学習能力を高める新たなプラットフォームを構築し,本学の教育改革を更に加速させる。
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オンライン自学自修環境 学修マネジメント
(補足)支援する学習の想定• 自己調整学習
• 目標を達成するための学習者の能動的プロセスZimmerman and Schunk 2011
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• 学習者が問題を解くための方略を身につけるために学習者自身が誤答分析を行い,その問題や類似問題を解けるようにすることが有効
Zimmerman et al.(2011)• リフレクションシートにある「振返分析」に注目し,学習者の学習の取り組み方を可視化することに効果があるとしている
Nilson (2013)一斉授業においてもフィードバックが大切だとされているが
授業内で実施することは困難
発想に至った経緯• 教育改革のさらなる推進
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将来、科学・技術の力で世界に貢献するため、学生が自ら進んで学び、鍛練する“志” を育てます。
東京工業大学学長 三島 良直
国立大学法人東京工業大学 教育改革のお知らせ
発想に至った経緯• 学生が自ら学びたくなるツール/学生支援体制強化
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授業では自主性とコミュニケーション能力とリーダーシップを身につけることができ、
予習・復習の学修も充実します。
学生支援体制強化
インターネット上のオンライン講座で授業が公開されるため、
学内外の学修機会が拡大します。
グループワーク、ディスカッション、プレゼンテーション等を取り入れて、学生の能動的な学修参加を促します。
学生と教員の双方向授業 ・ オンライン学修環境
教員がアカデミック・アドバイザーとして、学生一人一人を担当。学生の成績や履修状況等を考慮しながら、相談や指導を行い、将来の夢や今後の学修計画・就職の実現をきめ細かくサポート。学修ポートフォリオを活用して、学修・修博一貫教育カリキュラムをサポートします。学生のやる気をサポートするため、希望すればいつでも相談可能とします。少なくとも年1回程度は、全学生に面談の機会を設ける予定です。
より力強い支援体制が必要
発想に至った経緯
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• どのような学生を育てていくか
生涯学び続け、主体的に考える力を育成する
発想に至った経緯• 自立的学習者をどう育てていくか
• ペダゴジー• 学習は依存的である• 教師は,学習に関して,強い責任をもつよう社会から期待されている• 学習者(子ども)の経験は,(未成熟ゆえに)あまり価値を置かれない• 先行世代の専門家の経験は最も多く利用される
• アンドラゴジー• 学習者の自己主導性の(self-directedness)増大• 豊かな学習資源としての経験の蓄積• 教育の基本的技法は経験的手法(実験,討論,問題解決事例学習,シミュレーション法,フィールド経験)
• 学習者は自らの学習課題「知への欲求」を発見する。教育者(学習援助者)は,その発見を援助し,必要な道具・手法を提供する
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ペダゴジー(初等中等教育を中心とした教育学)
アンドラゴジー(成人学習理論)
高等教育は,ペダゴジーからアンドラゴジーの移行期
高等教育の文脈で,自己主導型学習・自己調整学習が注目されつつある
森隆夫ほか(1997)
発想に至った経緯• オンライン自学自修環境の整備
• 学生が自ら学びたくなるツールとしての動画コンテンツ開発
• 持続可能な学習環境に適合したオンライン学習コンテンツ開発
• 学内における問題と本課題が解決しようとするもの• SPOC教材の普及• コンテンツ収録に関するノウハウの蓄積
• DIYによるコンテンツ収録設備• インストラクショナルデザインの諸原理に沿ったデザイン原則• 多様なデバイスに応じたコンテンツ配信システムの構築
• 法的課題の解決• コンテンツデリバリーシステムの開発
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手厚い支援だけでなく,自己主導型学習者を育てる枠組みを考える
発想に至った経緯• 学修マネジメント
• 学修支援体制の強化• アカデミックアドバイザー制度強化• アカデミックブランチ(修学に関する分岐点)のうち,データに基づいて判断すべきであるにもかかわらず,多くの場合適切な判断材料を与えられていない場面を具体的に想定し学生の判断を支援する
• 学内における問題と本課題が解決しようとするもの• 社会人として求められる能力,成人学習理論や自己調整学修能力等のスキルの育成
• 成績下位層だけでなく,上位層に対しても,さらに高い目的を持って学修に臨む態度を育てる
• 学内に散在する学生のデータや,過去のデータを学生のために用いる
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自己主導型学習者を育てる
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学生が自ら進んで学べるプラットフォームの構築による教育改革の更なる推進-オンラインによる自学自修環境と自身の学修マネジメントをつなぐ- 取組み概要図および組織
プロジェクト総括(教育革新センター長/兼担)
(文科省提出書類)
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全国的な国際レベルの人材育成(外国人留学生や外国の大学との交流状況)・外国人留学生数
13%->20%・外国大学交流MOUなど10組織,学生間交流2回/年
より良い能動的学修者(世界水準の学生)の育成状況(自己調整学修能力の涵養)・SPOCなどを用いた反転授業の200科目増加
より良い能動的学修者(世界水準の学生)の育成状況(自己調整学修能力の涵養)・自己調整学習能力尺度の継続的な調査結果向上
評価指標①
評価指標②
評価指標②
学生が自ら進んで学べるプラットフォームの構築による教育改革の更なる推進-オンラインによる自学自修環境と自身の学修マネジメントをつなぐ- 波及効果および評価指標
(文科省提出書類)
本学情報活用IR室との連携
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情報活用IR室 教育革新センター
平成29年度の主な取組み1. 自己調整学習評価の枠組み設計
1-1. 教学IRデータ収集・探索的分析1-2. 自学自習実態の調査設計と試験実施
2. オンライン自学自習環境の構築2-1. 自学自習を促すシステムの設計
3. 動画を活用した自学自習コンテンツ制作の促進:Tokyo Tech Teaching Online (T3O)3-1. 教員による動画制作環境の整備3-2. 教員向けセミナー設計と実施
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1-1. 教学IRデータ収集・探索的分析
❏ 教務システムなど学内に蓄積されているデータを収集❏ 自学自習や意思決定の支援に関連する変数間の探索的分析
1. 学習者特性に関わる諸変数• 基本属性(類・学院等),進路希望
2.学習行動・成果に関わる諸変数• コース選択・成績など
3. 意思決定・選択に関わる諸変数• 系・研究室選択,進路(就職・進学)選択など
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学院,類,系及びコース等の関係
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1-2. 自学自習実態の調査設計と試験実施
❏ 既存の自己調整学習研究(e.g., 伊藤 2009)を参考に自学自習実態調査項目の設計と試験的実施
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既存の自己調整学習関連尺度例• MSLQ: Motivated Strategies for Learning Questionnaire
(Pintrich & DeGroot, 1990)• ADOGS: Academic Delay of Gratification Scale
(Bembenutty & Karabenick, 1999)• LASSI: Learning and Study Strategies Inventory
(Weinstein et al. 2016)• PALS: Patterns of Adaptive Learning Survey
(Anderman et al. 2003)• AVSI: Academic Volitional Strategy Inventory
(Maccan & Garcia 1999)
2-1. 自学自習を促す新システムの導入❏ 導入の目的
• 学生の授業外の自学自習を促進• 学生に自学自習の促進や意思決定を支援するフィードバックを提供
• 教員による反転授業やSPOC*の促進*SPOC: Small Private Online Course
❏ 主な設計方針• 動画活用を促進するインターフェース• レポートの相互評価• 詳細な学習行動ログの記録• 学習状況を可視化するダッシュボード• システムによる個別フィードバックなど
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3-1. 教員による動画制作環境の整備
DIY環境の整備
• 撮影スタジオ,Webカメラ,書画カメラの貸出• スクリーンキャプチャ・動画編集ソフトウェア• 動画を簡易登録できる仕組みの構築• 上記に関わるマニュアルを制作
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写真
先行事例:バレンシア工科大学(UPV)❏ 動画活用実績で知られるUPVを訪問
• エンジニアを中心に動画制作・学習環境を構築• インストラクショナル・デザイナーによる設計支援• 学生スタッフによるコンテンツ制作補助
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Polimedia Systemhttps://www.youtube.com/watch?v=5KSMFzN-mQI
Paella Playerhttp://paellaplayer.upv.es/
3-2. 教員向けセミナー設計と実施
❏ 動画を活用したインストラクショナル・デザイン• 動画の設計:内容や構成,長さなど• 動画を活用した授業設計:反転授業など
❏ 動画の録画・編集チュートリアル• 各種撮影機材・録画ソフトウェアの利用方法• セミナー中に制作し,実際に授業で活用
❏ 著作権に関わる著作物の取扱い• 著作権に関するガイドブックの提供など
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主な取組みのまとめ・今後の予定
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1. 自己調整学習評価枠組みの設計
2-1. 自学自習を促す新システムの設計
3. 動画を活用した自学自習コンテンツ制作の促進
2. オンライン自学自習環境の構築
1-1. 教学IRデータ収集・探索的分析1-2. 自学自習実態の調査設計と試験実施
学習者特性 意思決定・選択
学習行動・成果
3-1. 教員による動画制作環境の整備3-2. 教員向けセミナー設計と実施
毎年実施による経年比較評価
主観・客観データに基づく評価/改善
動画活用による教授・学習環境の革新
ご清聴ありがとうございました
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本取組の全体計画• 平成29年度
• 教学IR・・・データの取得開始,データ分析・ダッシュボード設計を行い,システム開発に着手する
• オンライン学習環境・・・スタジオの整備,法的課題の解決などノウハウの蓄積を行い,システム開発に着手する
• 平成30年度• 教学IR・・・システムの開発に着手• オンライン学習環境・・・システム開発を終了し,運用の準備を行う
• 平成31年度~平成33年度• 教学IR,オンライン学習環境 システム運用,改善活動を行いながら,想定される問題へのノウハウの蓄積,セミナー等開催
• 平成34年度以降• 大学内の他のシステムと統合し,運用を行う
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