「もんじゅ」ナトリウム漏洩事故原因究明 流体力による温度...
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「もんじゅ」ナトリウム漏洩事故原因究明
流体力による温度計の振動について
1 997年 1月
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動力炉・核燃料開発事業団
-
複製又はこの資料の入手については、下記にお問い合わせ下さい。
干311-1393 茨城県東茨城郡大洗町成田町4002動力炉・核燃料開発事業団
大洗工学センター
システム開発推進部・技術管理室lnquiries about copyright and reproduction should be address巴dto: Technology Management S巴ction,O-arai Engineering Center, Power Reactor and Nucl巴arFu巴lDevelopm巴ntCorporat ion 4002 Nar i ta-machi, O-arai -machi, Higashi -lbaraki, lbaraki-ken 311-1393, Japan.
。動力炉・核燃料開発事業団 CPowerReactor and Nuclear Fuel Development Corporation) 1997
⑧
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公開資料PNC TN9410 97-017 1 997 年 4 月
「もんじゅJナトリウム漏えい事故原因究明
流体力による温度計の振動について
岩田耕司和田雄作2 森下正樹 2 山口彰 3 一宮正和 4
要1:::::. 目
本報告書は.1995年 12月8日に発生した高速増殖原型炉「もんじゅJ2次主冷却系
ナトリウム漏えい事故の直接的原因となった,温度計の破損に関する調査・分析の結果
を取りまとめたものである。
各種破損要因調査,温度計の流力振動試験を含む流力振動特性の調査,流力振
動による高サイクル疲労の評価,疲労き裂の進展と破断に至る経緯の調査,ならびに,
なぜ当該温度計のみが破損したかの詞査,等を実施した。これらの調査の結果,流体
力による振動(流力振動)による高サイクル疲労が温度計破損の直接的原因であるとの
判断に至った。
大洗工学センター基盤部技術開発部
2 大洗工学センター基盤部技術開発部構造・材料技術開発室
3 大洗工学センター基盤部技術開発部熱流体技術開発室
4 大洗工学センターシステム開発推進部プラント工学室
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PNC TN9410 97-017
内容
1 .まえがき
2.検討方法 ………………………………………………………… 2
3. 温度計の振動特性 ……………………………………………… 4
4. 流力振動 ………・・・…ー・・・・・・・…・・・…・・・…………・・・……・・・…… 31
5. き裂の発生 …・…・・・・・・…・・・……...••. ...…・ー…・・・……...•.. .•. ••. 82
6. き裂の進展と破損 ……………………………………………… 99
7.破損温度計の特殊性に関する調査 …………………………… 199
8.まとめ …………………………………………………………… 237
付録A.相関長さと等価荷重の考え方 …………………………… 239
付録B.流力振動に関する水試験と実機条件の相似性 ………… 245
付録C. さや段付部のひずみ集中係数 ……………………一-…… 251
付録D.温度計さやに作用する流体力と乱流振動応答の評価 … 263
付録 E.変位応答線図のき裂停留への影響 ………………ー・…… 276
E
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PNC TN9410 97-017
1. まえがき
平成7年12月8日,動力炉・核燃料開発事業団(以下,動燃事業団という)高速増殖
原型炉「もんじゅJ(電気出力28万Kw)において.2次主冷却系配管から冷却材ナトリウ
ム漏えい事故が発生した。漏えい箇所の調査の結果,本事故は.2次主冷却系CJレープ
の中間熱交換器出口配管に取付けられた熱電対温度計のさや管先端細管部が破断し
たことにより,ナトリウムが漏えいしたものであることが判明した。
動撚事業団では,各種破損要因の調査,温度計の流力振動試験と解析を含む流力
振動特性の調査,流力振動による高サイクル疲労評価,疲労き裂進展と破断に至る経
緯の調査,なぜ当該温度計のみが破損したかの調査等を実施してきた。調査の結果,
温度計さやの破断は,対称渦の放出を伴なう抗力方向(流れの方向)の流力振動による
高サイクル疲労が原因であるとの判断に至った。
これらの調査結果は,科学技術庁に設置された「もんじゅナトリウム漏えい事故調査
検討タスクフォースJに逐次報告している。また,上記の調査結果は,金属材料技術研
究所及び日本原子力研究所において行われた破損温度計の破面調査の結果と整合し
ている。
本報告書は,当該温度計の流力振動について定量的な評価を行い,これにより温度
計さやが破断に至った経緯について検討した結果をとりまとめたもので、ある。
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PNC TN9410 97-017
2. 検討方法
今回ナトリウム漏洩を起こした温度計さやの流力振動について行った検討の全体
の流れを図 2-1に示す。検討に当たっては、まず、温度計の打振試験、加振試験及
び解析により温度計の振動特性を把握した上で、定格 100%流量状態の流れの中に
置かれた温度計さやについて流体ー構造連成振動解析を行い、流力振動の特徴と応答
の概略を把握した。流力振動解析結果、別途実施した流力振動実規模水試験の結果、
及び既往の実験結果等を参考にして、冷却材の流速と温度計さや先端の応答変位振幅
との関係を表す変位応答線図を策定した。この線図より算出される応答変位を基に、
さらにさや細管段付部のひずみ集中を考慮して疲労評価を行い、疲労き裂が生じる可
能性を調べた。
つぎに、き裂が想定された場合において、温度計さやの振動特性に及ぼすき裂深さ
の影響を考慮、しつつ、運転履歴に基づき、き裂の進展を算定した。このようにして、
き裂が進展、貫通し最終的lこ40%流量時に破断に至る推移を検討した。この検討に
おいても、上記の変位応答線図を用いて、き裂の進展に伴う温度計の振動特性の変化
を考慮した変位応答を評価した。
上記の一連の検討結果から得られた破損原因、破損シナリオに関する知見は、金属
材料技術研究所及び日本原子力研究所で実施された当訟破損さやの損傷部の破面等
の調査結果と比較検討するとともに、き裂の進展及び破断過程を調べる流力振動実規
模水試験(水中疲労確認試験)によりその妥当性を確認することとした。なお、同様
な使用条件下にあった 2次系配管の温度計のうち、当設温度計のみが破損した理由に
ついても調査した。
。,u
-
可
Z
口↓z∞h
H-(
〕∞4Alo--吋
[き裂進展の調査]
(6章 き裂の進展と破損)[控労の調査]
( 5章 き裂の発生)[流カ振動の調査]
(4章流力振動)[さや振動特性の調査]
( 3章 温度計の振動特性)
く金材抜研、原研実施〉
損傷部の破面等の調査.破鏡要因の推定・き裂進展速度、過程の推定
くli}:研実飽〉
流力娠動基礎水誌験
-円
↑ 破損温度計の特殊性の調査
( 7章)
|運転雇藍め詞蚕I
句
|き裂進鵬析 lrー さやの撮動特性、 ~m力振動の変化考E量
き裂を有するウェル娠勤特性解析
さや段付き部ひずみ集中の解析
流力量量動水試験
匂
温度計さや打援・加掻試験
|疲労線図の霊~~-l
.SUS304高サイクル疲労曲線
11111b出
一
E
よ算
一
圃
に
畑
一
匹
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量
鍋
一
軒
-
清
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圃
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一疲-一山県
〈
υv
さやを用いた水流動訳験
|既往の時寸|
|流体-…解析 | ・有限要素法コードによる2次元連成解析
O -実物をf重量fしたさやに対する鼠駿
温度計さや復勤特性解析
-はり要素モデルによる解析
巳占
|水中疲労一一i・一定流貨でのき裂の発生/進展と停留・その後の減量変動におけるき裂の進展
流力振動による温度計さやの疲労破損についての調査の流れ図2ー 1
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3. 温度計の振動特性
温度計の基本的な振動特性を解析及び試験によって把握するとともに,減衰定
数を測定する。さらに,き裂が振動特性に及ぼす影響を解析的に検討する。
3. 1 振動(固有値)解析
温度計は,振動系としては中央部で支持されるはりと見なすことができるので,はり
要素によるモデルを用いて振動解析を行った。図 3-1に解析モデルを示すが,モデル化
の対象範囲は温度計さや,保護管.コネクタ,及び管台等である。寸法データ等は可能
な限り当該温度計の実測値を用いた。さやのナトリウム接液部については流体付加質
量を考慮した。ここで,配管内部については排除質量を管台との狭い間隙部分につい
ては仮想付加質量を,それぞれ付加した。また,管台を支持する主配管の局所的な面
外変形に対応する剛性については,見11途3次元シェルモデルによる当該部分の静的応
力解析を行って評価し.これを回転パネで、表現して温度計のはりモデルに組み込んだ。
解析によって得られた固有振動数を以下に示す。
温度1次固有振動数 (Hz) 2次固有振動数 (Hz)
流れ直角方向 流れ方向 流れ直角方向 流れ方向
200C* 216 280
2000C 162 173 257 257
3250C 159 170 251 251
4850C 153 164 241 241
5000C 153 163 240 240
本 200C以外の解析は Naの付加質量を考慮している。一方, 200Cの解析結果
は大気中条件であり, Naの付加質量は含んでいな。また,後述の打振試験に対応
することから,管台を支持する回転ばねは剛としおり,異方性はない。
料 2章の設計における固有振動数は 5050Cの値であり,ほIまこれに該当する。
1次固有振動数は主配管の面外変形の剛性やネジ部の締結状態等の条件に対し
て敏感である。例えば,よ表のように流れ方向と流れ直角方向とで振動数が異なっ
ているが,これは主配管の剛性に異方性があることによる。一方, 2次固有振動数
は細管部の部分的な振動なのでこれらの条件の影響をほとんど受けずほぽ一定値
に保たれる。
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図3-2fこ固有振動モードを示す。これは2000Cの例であるが,振動モードは温度によ
らずほぼ一定である。 1次は管台と配管の溶接部近傍を中JC;として,温度計の上下がそ
れぞれはりとしてたわみながら全体として回転するモードであり, 2次はさや細管部分が
太管部に弾性支持された片持ちはりとして部分的に振動するモードである。
3.2 固有掻動数の測定
3.2.1 試験方法
実機の設計図面に基づいて製作した温度計を用いて打振試験を実施した。図 3-
3fこ試験概念を示すが,実機と同様に水平姿勢で、管台に支持された温度計の保護管
をインパルスハンマで、打振し,コネクタ,ネジ部,及びさや先端の加速度応答を計
測して FFT(高速フーリエ変換)アナライザを用いて伝達関数を算出し,これによ
り固有振動数を求めた。試験環境は室温(約 OOC)大気中である。
3.2.2 試験結果
図3-4は試験結果の一例であるが,この場合の固有振動数の計測値は 1次が約
150Hz, 2次が約 260Hzである。試験は温度計保護管部のねじ込み状態(トルクを管理)及びヘッドへの模擬配線管の取り付けの有無等,種々の条件で、行ったが, 2次
固有振動数は解析と同様にこれらの条件に影響されない(約 260Hz一定〉。一方,1次固有振動数は変動が大きい。
試験に対応する室温・大気中条件での解析結果は 1次が約 217Hz,2次が約
280Hzである。 1次固有振動数の需離が大きいが,これは,解析では管台の下端と
ネジ部を完全固定としていること(支持治具やネジ部の影響を無視)等に起因する
ものと推定される。後述のように 1次モードは流体力によってほとんど励起されな
いので,この差異は評価上特に問題になるものではないと考えている。
3.3 減衰定数の測定
3.3.1 試験方法
温度計の流力振動応答に大きく影響する減衰特性を把握するために,スナップ
パック試験及び単体の振動台試験を実施した。
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(1) スナップパック試験
温度計の減衰に関する基本特性を把握するために,打振試験と同一の試験体を
用いて,スナップパックによる減衰測定を行った。誌験では,さやの先端に初期変
位を与え,これを解放した時に生じる自由振動波形から減衰定数を評価した。
(2) 振動台試験
減衰定数に及ぼす熱電対の効果を詳細に把握することを目的として,撮動台試
験を実施した。試験は図 3-51こ示すように動電型の振動台に温度計を固定し,正弦
波掃引加振(掃引周波数:240Hz-280Hz,掃引時間:4分)によってさやの伝達関
数を求め,ハーフパワー法によって減衰定数を評価した。
3.3.2 試験結果
(1) 基本的な減衰特性
図 3-6はスナップパック誌験の結果を示したものである。減衰定数は約1.2目
- 1. 4犯の聞に分布しており,初期変位に対して僅かな増加傾向を示している。自
由振動波形を詳細に分析したところ,減衰特性にはさや先端変位約 0.1mmを境界と
して明らかな変化が認められた。すなわち,変位撮幅が大きい聞は1.3弘内外の減
衰があるが,振幅が 0.1mmを下回った後は,減衰定数は初期変位の大小にかかわ
らず O.日程度まで、低減する。これは,例えば微小振幅時にはさやと熱電対の間の
衝突や摩擦が生じなくなるなど,減衰機構が振幅によって変化することによるもの
と推定している。図 3-6下段には減衰定数の切替わりを考慮した振幅包絡線と実験
による自由振動波形の対比を示しているが,広い振幅の範囲にわたって実験データ
との一致が見られる。
(2) 減衰に及ぼす熱電対の効果
熱電対が温度計の減衰特性に影響を及ぼすことが明らかとなったので,振動台
試験では,熱電対の装着状態(加振方向の曲がりの有無)の影響に着目して試験を
行った。使用した試験体は以下のとおりである。
L (mm) δ(mm) 曲がり方向 本数5
(曲がりなし) 4
~τT三:150 10 加振方向 5 ( )
150 10 加振直角方向
270 10 加振方向 2
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熱電対のない場合(図 3-7) :
減衰定数は o.1目-0.3弘の範囲に分布し,全体の平均値は 0.24弘である。応答変位の増大によって,減衰定数は若干増加する傾向を示す。
真っ直ぐな熱電対の場合(図 3-8):
減衰定数はo.7弘-1.7弘に分布,全体の平均値は1.1%である。応答変位の増大に対して僅かに低下する傾向が見られる。
10/150mm,加援方向曲がりの場合(図 3-9):
減衰定数は 0.2目-0.8弘の範囲に分布し,全体の平均値はo.日と,熱電対の内場合と真っ直ぐな熱電対の場合の中間に位置している。応答変位に対して僅かに増加
する傾向を示す。
10/150mm,加振直角方向曲がりの場合(図 3-10) :
減衰定数は 0.5覧-1.0札全体の平均値は O.7弘と加振方向曲がりの場合よりやや
大きい。変位応答依存性も強くなっている。
10/270mm,加振方向曲がりの場合(図 3-11) :
減衰定数はO.7目-2.0弘の範囲に分布し,全体の平均値は1.2%である。応答変位に対して負の依存性を示す点を含め,真っ直ぐな熱電対の場合と同程度の減衰特性
であると判断できる。
図3-12は熱電対の挿入状態による減衰特性を比較したものであるが,熱電対の
曲がりが減衰に及ぼす影響は明瞭であり,統計的に有意な差があると判断できる。
これを整理すると以下のようになる。
分布範囲(目) 平均値(弘)
熱電対無し 0.1 - 0.3 0.2
熱電対有り,曲がり有り 0.2 - 0.8 0.5
熱電対有り,曲がり無し 0.7 - 1.7 1.1
熱電対による減衰の機構としては,さやと熱電対内壁の聞の衝突及び摩擦に起
因するエネルギ散逸が考えられる。熱電対を細管段付部に該当する位置で曲げるこ
とにより,熱電対はさや内壁に押付けられた状態となる。このため,振動中にさや
との衝突が生じなくなり,減衰が低減していることが要因のーっと考えられる。
なお,熱電対はばねによって 0.94kgfの力でさやの先端に押付けられているが,
下に示すように座屈荷重はこの押付け力を上回っており,通常の押付け力によって
熱電対が座屈してさやの内壁に押付けられた状態になることは想定し難い。
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PNC TN9410 97-017
ん=mr2 (El / 12) = 2.06kgf 、‘,,J.‘
Ea-
r,.、、
ナこだし,
E1: 熱電対曲げ剛性 (=6.27xl04kgf!'mm2, 3250C)
1: 熱電対長さ (274mm)
n: 端末係数 (=1/4,一端固定,他端自由の場合)
(3) 減衰に及Iます各種因子の効果
なお,データは省略するが,別途実施した配管モデル試験において種々の因子
に関する減衰への影響の調査を行ったところ,減衰に及ぼす流体(静止水)の影響
は見られない。また,保温材の有無やケーブルの有無など,他の試験パラメタの影
響は無いことがわかっている。
3.3.3 温度計の減衰定数の推定
以上の試験結果に基づき,有意な変位振幅を伴う流力振動応答を評価する観点
からは,温度計の減衰定数を以下のように見積もっておくことが適切であると判断
しナニ。
熱電対に曲がりが無い場合:
熱電対に曲がりが有る場合:
(熱電対無しの場合(参考)) :
1目程度
O.日程度
O.問程度
3.4. 温度計の応答特性
流体力によるさやの振動応答について,モードの寄与の観点から予備的な解析
により検討した。解析モデルは固有値解析と同一で,圧力荷重の時刻歴をさやの細
管部分に分布荷重として負荷した。減衰は一律 0.5目とし,計算はモーダル時刻歴
によった。
図 3-13は, 100Hz--300Hzの範囲でほぼ一様な周波数特性を持つホワイトノイ
ズに対するさや先端変位の周波数伝達関数であるが,さやの応答は2次の固有振動
数が明確に車越しており, 1次モードの寄与は小さいことがわかる。応答解析にお
いて用いるモード、を種々変えた場合の最大応答値の比較を以下に示すが, 1次モー
ドの寄与は高々5--10唱であること,及び3次以上の高次モードは無視できること,
等が明らかである。
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PNC TN9410 97-017
解析に用いた さや先端 段付部応力 温度計一管台 管一管台溶接部
モード次数 変位 溶接部応力 応力
1次+2次 1.00* 1.00 1. 00 1. 00
1次-5次 o. 99 1. 01 1.09 1.00 1次のみ 0.12 0.06 0.06 1. 00
2次のみ 0.89 0.95 O. 94 0.04
* 2000Cにおける計算値
本 表中の数値は1次+2次の応答に対する比を表している。
以上の検討から,温度計さやの流体力による振動の評価にあたっては2次モー
ドに着目するのが適切であることがわかる。
3.5 温度計の振動特性に及ぼすき裂の影響
温度計さや細管段付部の疲労き裂進展により温度計の振動特性が変化するとさ
やの応答もこれに伴なって変化してし1くものと推定される。そこで,温度計の振動特性に
及ぼすき裂の影響を解析によって把握した。また,き裂が有る場合のさや先端変位と付
け根部応力との関係を明らかにした。
3.5.1 固有振動数の低下
3次元ソリッド要素を用いてさや細管段付部にき裂を有する温度計の固有値解析を
行った。解析モデルを図 3-14に示す。ソリッド要素によるモデル化の範囲はき裂面を中
心に軸方向に 30mm(約30.0:細管外径)としそれ以外の部分ははり要素を用いて全
体をモデル化した。き裂は,接合されていない節点の組を同一断面内(き裂の上面と下
面)Iこ設けることによって模擬した。
き裂形状としては前縁が直線状の弓形を想定し,これが外表面から反対側の表面
に向かって細管軸に垂直の断面内を進展すると考えた。なお,破面観察の結果を参考
にして,主き裂と反対側に冨Ij次き裂が存在するケースについても解析を行った。
図 3-15に解析結果を示す。なお,温度計全体が回転振動するモード(1次モード)の
固有振動数はき裂の影響を受けずほぽ一定に保たれる。従って,き裂の進展に伴なっ
てさやの振動モードの固有振動数が低下していくとある時点で振動数の大小関係が逆
転し,さやの振動モードが低次となる。ここでは,モードの次数に関わりなくさやの振動を
支配するモードの振動数に着目して整理している。
図から次のことがわかる。
-9ー
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PNC TN9410 97-017
1) き裂の進展に伴なって固有振動数は低下する。ただし,き裂が浅い聞は固有
振動数の低減傾向は緩やかであり,顕著な影響はき裂が十分深くなって初めて
現れる。
2) 固有振動数は,き裂が細管断面の 1/2まで進展した段階で固有振動数はき
裂なしの場合の約 80覧に低下し,主き裂が十分深くなって副次き裂との聞に幅
約 O.4mmのリ力.メントが残存している状態では約 40出まで低下する。
3) 主き裂の反対側に副次き裂が有ると,リ力.メント剛性は同一でも振動数の低下
の度合いは若干大きい。
以上はき裂進展方向の固有振動数の低下に関する結果であるが,き裂が深くなる
とリカ.メント形状の異方性によって固有振動数にも異方性が現れる。図 3-15には代表的な
き裂深さに関して,き裂進展と直交方向のモードの固有振動数も示している。当然では
あるが,き裂進展と直交方向の固有振動数の低下はき裂進展方向と比較して緩やかで
ある。
上述の解析モデル(線形固有値解析)では,圧縮応力場におけるき裂の閉口に伴
なう断面剛性の増加の影響を無視しており,実際の振動数よりも若干低めの値を与えて
いると考えられる。そこで,き裂の閉口の効果を簡易に見積もる方法として,以下の等価
固有振動数を用いることにする。
1 l( 1 1 一一一一一ー|一一一一+一一一一-1f Equil'alenl 2 '¥ fc叫んoCrock)
(2)
ここで,
hquivaienc 等価固有振動数
き裂が有る場合の固有振動数(解析値)
き裂が無い場合の固有振動数
fCrack
ん。Crack
上記の簡易評価は,き裂の開閉口がさや先端の変位が中立点にくる時点、で切り替
わるとしき裂の関口時には固有値解析結果の振動数で,閉口時にはき裂無しの場合
の振動数で,それぞれ振動すると仮定したものである。この妥当性を確認するために,
代表的なケース(き裂深さ 5.2mm)についてき裂の開閉口をギャップ要素によって摸擬し
た非線型モデルによる自由振動応答解析を行った。
結果を図 3-16に示すが,き裂の関口中は固有値解析により求まった振動数で,き
裂の閉口中はき裂無しの場合に相当する振動数で,それぞれ振動しており t (1)式の等
価振動数の有効性が確認できた。図 3-16下段に固有値解析の結果と等価振動数の関
係を示している。
AU
司
44
-
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3.5.2 援動モードの変化
段付部のき裂によって,温度計の固有振動モードも変化する。図3-17に示すように,
き裂の進展に伴なう断面岡1]性の低下によって,さや細管部の振動モードは太管に弾性
支持された片持ちはりのモードから,き裂断面で支持される剛体の回転振動のモードに
遷移していく。さや先端変位に占める寄与率を見ると娠動数の低下に伴なって剛体回
転モードの寄与は放物線的に増加していき,振動数比が約 0.7の近傍で両者の寄与は
ほぼ同等となる。
3.5.3 さや先端変位と段付部公称曲げ応力1の関係
き裂が無い場合には,さやの振動による段付部の公称曲げ応力はさやの先端変位
と比例関係にある(5.4節参照)。
σb=CXO (3)
Tこだし,σb さや段付部公称曲げ応力
C 比例定数
o さや先端変位
一方,はりモデルによる応答解析によると,き裂の進展に伴なって固有振動モードが
変化した場合,さや先端変位と公称曲げ応力の聞には比例関係は成立するが,この比
例定数が振動数(き裂の深さ)Iこよって変わってくる(図 3-18上段参照)。図 3-18下段は
種々のき裂深さの場合の公称曲げ応力とさや先端変位の比を振動数比によって整理し
たものであるが,図から比例定数((3)式の Cに相当)が振動数比の二乗に比例するこ
とがわかる。
3.6結論
(1) さや温度 2000Cにおける温度計の固有振動数は1次が約 165Hz,2次が約 260Hz
である。 1次モードは温度計全体の回転振動であり,配管の局所的な面外変形やネ
ジ部の影響を受けやすい。 2次モードはさや細管部が太管部に弾性支持された片
持ちはりとして振動するモードである。なお,さや温度 3250C及び 485
0Cにおける2次
さや段付部に生じる曲げモーメントを,き裂が無いとして算定した断面係数で除して得られる
曲げ応力の値。
.• '
.• '
-
PNC TN9410 97-017
モードの固有振動数はそれぞれ約 251Hz及び 241Hzである。
(2) 打振試験の結果と解析結果は.2次モードの固有振動数についてはほぼ一致し
た。 1次モードの差がやや大きいが,これは上記(1)に示す条件の影響と推定され
る。
(3) さやが流体の圧力荷重によって励振される場合,さやの応答は2次モードに支配
され.1次モードの寄与は無視できるほど小さい。
(4) 温度計の減衰定数を室温・大気中及び水中条件でづ則定した結果に基づき,連成
振動解析に用いる減衰定数として,有意な変位振幅を伴う振動に対して以下の値
が妥当と判断した。
熱電対に曲がりの無い場合 1%
熱電対に曲がりの有る場合 0.5%
(5) さや細管段付部のき裂が進展すると温度計の固有振動数は低下し,き裂が細
管断面中央部に達する段階で固有振動数はき裂無しの場合の約 80%に最終破断
直前では同 40%程度になる。き裂の進展に伴なって固有振動モードも変化し片持
ちはりのモードからき裂断面を回転中心とする振動モードに選移してして。与えられ
たさや先端変位に対応するき裂断面の公称応力は,き裂の進展に伴なう振動モー
ドの変化によって大幅に減少してして。
。〆hM3
,ha
-
PNC TN9410 97-017
「巳
/
主配管 l
局部剛性
K J F2 G Fl C 0 B A
温度計の寸法・重量データ
温度 備考
200 A: Na.黙電対の付加質量を考撞2oす (Na比重量:8. 23xl0・7kgflmrrのlW 熱電対重量:0.32 gflcm 百5問。汚百π百花百200管台ぉσ管台T宮古宇':;ト+スヲリング関係重量を付加150スプリング関係重量を付加l bOナット+スプリング関係重量を付加l 00集中重量=258g
℃
外径内径長さ付 加 重 量10.4 3.8 154 0.0-109 22.4 15.7 96 0.OJi4 2o. 0 10. 7 3 34.0 15.7 17 34.0 4.0 10 21.2 4.0 30 21.2 21. 4 60 27.2 21. 4 55 a4.0 25.0 11 31.2 20.0 49 27.2 21.4 10 2J.2 21.4 10 27.2 21.4 10
剛なはりを想定 01
寸白n町古打7町古窃7
間一EEUEE円百四
Hi司花羽
K
200 oc 150 oc 100 oc
kgf/mmヲ
1. 87E+04 kgf/mm 2
1. 90E+04 kgf/mm 2
1. 94E+04 kgf/mm 2
mm mm
縦弾性係数:
(告示501号)
mm
(ナトリウム中, 2000Cの例)温度計の振動解析モデル
内叫U
唱
EA
図3-1
-
PNC TN9410 97-017
¥ぐ
1次モード 2次モード
図3-2 温度計の固有撮動モード (ナトリウム中, 2000Cの例)
-14-
-
PNC TN9410 97-017
/岡吋治具
模擬管台
打振点 (2)
v
A 加速度計測点
*宏子';J:ヲパック試験ではさや先端に水平方向の初期支位を与え,これを開放して自由振動波形から対数減「去評価した。
図3-3 打振試験の概念図
phd
-
PNC TN9410 97-017
30 塑
騨20
nu
n《M
岡4』
鞘20
50
40
i一一計測点A ~ =~ = = = ~ = ~ = = = = = ー一打振点ーーーーーーー
、 ÷ーーー---ーーーーーーーc
一ーーー'ードーーー,-ーー,ーー -j-- -- -ーー一一 ー-.. -----ーー伊-.... ---¥ーーー・ーーーーーー
10
二:i二干?芳二三 l 匂
12JjillUjijijjjjJJLJJjjjii[(: 。。 100 300 200 振動数 Hz
50 Iトー十一一〔↑次---1 子
一一測戸川 ーーーーーー一号次
40 自--
-i-司
匂
l
-
----一
----一
FE--F
,
e-
-----
-"---
----一
1411414411寸114
-----
時
『
崎
句
司
』「
l-llLFI--
一
-----
-白---
-----
寸
t
-
1
4
F
4
----一
-----
:FI--』
16-f」
-----
----戸
----一
l
-
a
s
-
a
-
-
4
F
E
-
-
-----一
----一--
----一--
-噌-----
---M
一--
-------
----一-一
l-11-』」『
l-IB--f-1141
-4-----
----一一-
-4---mE
l
i
l
i
-
-
-
l
i
l
i
-
-
--a---
------
------
--司---
------
崎町----
E-----
-
帥
-
-
-
一•
ーーーーーー
------1
F
-
司
-一---
lllJ司llI4--
『
町-
」------
leiJ
----
B-
」一-----
-
e
--
----------E
F
ー
l『
lt
司:--、-
-
L
I
------
t
-
J
--一-
・-l」6
-----
e
-
F
目
-
10
ーーー一司ーー_:___...1_ _ _ 1 _ーー
日---
--『一
----
e
F
-
F
---一
---』
1I4114114i寸!
----
----
m
』-・
1-Ih
----
--一-
----
d4l-lie
----
----
-6-・--
----
----
---
-
F
-,-ーー-" -ーーーーー」ーー _1-_
。。 100 300 200 援動数 Hz
図3-4 代表的試験結果(打掻試験)
nnv
唱
aaEa
-
PNC TN9410 97-017
, 50/TTl1
↓コ↑
シースの曲げ形状
J俗語2略膨戸
Eヨ
/ /
/ /
/〆/〆// /
振動台
(紙面直角方向に加撮)
図3-5 振動台試験の概念図
円
t'
-s・4
-
PNC TN9410 97-017
宗1.5
ま語倒耐震1.0
nu
垣則禍パギ寵聴
2.5
|スナップパック誌験11室温・大気中 t
ーーーーーーー』ーーーーーーーーーーーーー-- -ーーーーー ーー -一 ーーーーーー~ -ーーーー、--
-ー.-ー」ーーーーーー-- - -ー-_1- ーーーー・ーーー I白』回ーー ‘ ーーーーーーーーーーー一ー------
ーーーーーー』ー一ー】ーーーーーーー可ーーーーーーーーーーーーーー 一 - - -ーー-ー-- - - -、---
一ー目『ーー-0---,--ーーー-... - - ・ ー ー ー ー ー ー - -.-ーーーーー ・一・ーーーーーー-. -ー,--
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー自由ーーーーーーー
2.0
0.5
ーーーー句ーーーーーーー"ー λ~--~-.- ー ーーーへーもーー -, ~.~-:" -......ー
ーへーーーーー「ー ー-・ーートーー;ーー」ーートー -l-ーーーーーー ー ーーー ーーーー→勾,ーイーートーートーーーー
ー←ーーー.-ーイーー1--L--J-J-ト十----_ _~ _ _ -i. _ _ !..ーー --1--7--:"ーイ--トー-!-ーーーーーーー!ー目崎ーーーーーー司よーー」ーー,-- -1 _ _ 1-_ー;ー ーーーーー
ーー四品ーーレー-.-ー寸ー_1-__;__.....自ームー -1---
ーー---十-i--7-(-j-J-i-ーーーー戸 : ー司ー ーーーーーー-ー「ー -o--ーτー-~ーー l自ーーーー
ーで十イ--~--I----
0.0 0.0
日..ーー『司ー'r"----~・一一一帯 。 1 「
,ー「ー「ー-'f - - ,- - 'j
】-- ,_ -_1 _ _ 1. _ _'ー
ムー_i_ _ -!_ームー- - -
-ーーーーー-1--...ー-.ーー
ーーーーーーーーー,-ー吋ーーーーーー日
- - - - _.-ー「ー一宇ーー Iーー
ー-ー一一,ーー-ーーー-ーーー-ー
0.5 2.0 1.0 変位掻幅 (nm)
(a) 変位振幅と減衰定数
0.5国
,~ : ~\,I\;\:"!;I\nt1i',!\l i :i~'i\: t/':\川\{;,,'\
0.0
1.5
o. 1 0.3 0.4 0.2 時間 sec
(b) 減衰定数のあてはめ性
図3-6 スナップパック試験による減衰定数の測定結果
nD
Tよ
-
PNC TN9410 97-017
OtE!
震1.0
桝撰
熱電対無し2.0
.試験体#2
-・ヤ ~ ・.00.・e d> ・.・ .・'
1.5
0.5
0.0
o 1.5 2 0.5 応答変位 mm
図3-7 温度計の減衰(熱電対のない場合)
nHU
司
h'
-
PNC TN9410 97-017
副哩
語1.0側提
熱電対有り(真つ直ぐ)2.0
。試験体制
ロ試験体#2
. .試験体制
. .試験体桝
。 ! 口
'‘ロ.皿・)_ i . .・・ ・[0 。-・且・・ 1 e -. ・.・・・• i-cF・。o ・。•
1.5
0.5
0.0 O
応答変位 mm
1.5 0.5
図3-8 温度計の減衰(真っ直ぐな熱電対の場合)
nu
円
ι
2
-
PNC TN9410 97-017
副主
震1.0
制策
熱電対有り(曲がり 10/150mm,加振方向)
2.0 。試験体制
ロ試験体#2
.試験体制
←ー一一 .試験体#4
&試験体#5
一一一一
ロ &ロ A ..・・LA•• A!.. A・t ・&ー ι-za “.~品...-': - :-必圃・ h円ド恒 J;;. ...... - . • 0'0 ・・ 100 0i& 。o
1.5
0.5
0.0 o 0.5
応答変位 mm 1.5
図3-9 温度計の減衰 (10/15伽1TI,加援方向曲がりの場合)
η〆“
2
-
PNC TN9410 97-017
熱電対有り(曲がり,10/150mm,加振直角方向)
2.0
1.52
副哩
g 日。十 • • e. 提 . .. , 、.-. 0.0
0 0.5 1.5 2
応答変位 mm
熱電対有り(曲がり,10/150mm)
2.0
1.5
.加掻直角方向
。加掻方向
副ぞ
震1.0蝉撰
0.5
o Jfo。 。。
1.5 2 0.0
O 0.5
応答変位 mm
。lc。。。
-0ι一一一一一ー。。。
図3-10 温度計の減衰 (10/15伽m,加振直角方向曲がりの場合)
円/M
円/M
-
PNC TN9410 97-017
.試験体制
A誌験体#2•
四・
熱電対有り(曲がり, 10/270mm,加振方向)
• • -..--• • -•
企
• • .: ・千
2.0
• • 1.5
~ • • • •
通R
話1.0桝慎
0.5
2 1.5 π1π1 応答変位
0.5
0.0 0
ll.lia--ib
・・舟》
熱電対有り(曲がり, 10/270mm,加振方向)
.. 。。HH
,
,、4μ 一曲m
同ぐ
11市
直
刀つ
叩
真.。
2.0
。。。
• 。。
o ...
O~O ・&~
• 1.5 話1.0制提
0.5
通R
2 1.5 π1打1応答変位
0.5
0.0
O
加援方向曲がりの場合)温度計の減衰 (10/27伽111,
nペu
n〆M
図3-11
-
PNC TN9410 97-017
副哩
震1.0桝矯
2.0
。。
1.5
。sI ~。も。L三L ム。
0.5
41316.
。。. l' ~ ・1・
• I玄血 |・.-. -Xx
滞 x
0.0
。真っ直ぐ.10/150mm,加掻方向曲がり
x熱電対なし
。。。。
o 2
。人|。。。 f
tpL____ (>
令。 8! 1 。
4> _1。1よ "1@.。. F・.・・・.. .・・ --・i ・."、♂守'・二 ..1
・2・'F.:J血も X J .. ...,ヨxC
s。,。。。。
'
0.5
応答変位 mm
1.5
図3-12 温度計の減衰特性に及ぼす熱電対の影響
aA宮
内〆いE
-
PNC TN9410 97町 017
o. 12
0.10
0.08
嬰
0.06
騨
0.04
0.02
0.00 0
1ノキー-:2次モード「句
ーーーー---ーー『ーーーーーー L_ -~_ーーー弓ーーーしー目『ーーー』ー- - ~ -ー-~ーーー______..:___i-__~_ーー」回- - -ーーーー-.... - -ー』ーー
ー ~ -ーーーーー叫ーーー」ー--{Mーー L _ _ ....1 _ーー』ー-ー ー - r-ー」ーーー」ーー
ー-------ーーー --'---l---~ ー_.J__ー」ー_.Jーーードーー J ー司司」ー時
ーー--一ー ーーーーーーー自由」ーーーしーー」ーーー.ーーー」ーーーーー_.J___'-ーー
ー--日ー‘ーーーーーーーーー--4--ートー _~___1___ ーーー一←,ーー」一ー
::;:;::::::;:?:::j:::j:::j::::::::::::::j:::j;:: ーーーー・ーーーーーーー ____L__,_ー句ー--抽ー -L--J---L--
ーーー」ーー
3
- -ーーーー
ー「一寸11次モード;ト一一十十一トー
-
『.,寸
1
----r
t
-
l
-
m
-
e
--寸1111吋stt白
----
m
「・
------
『
-14
--
-
F
O
--
--
「白
E
一.
『
司
100 200 接動数 Hz
図3-13 ウェル先端変位の周波数伝達関数〈ホワイトノイズに対する応答解析結果)
Fhd
n〆M
300
-
PNC TN9410 97-017
¥¥き裂を想定した断面
図3-14 き裂を有する温度計の固有値解析モデル
-26-
-
PNC TN9410 97-017
1.2
1.0
0.8
封揺
露0.6~ 回
0.4
0.2
0.0 0 2 4
。止さ説¥n'県Ij)の再.主き裂+副次き裂C1.5mm一定)&直交方向
6 8
主き裂深さ amm
図3-15 段付き部き裂が固有振動数に及ぼす影響
-27-
10
-
PNC TN9410 97-017
主き裂深さ a=5.2mmの場合(2000C)
き裂閉口側の半周期(sec)
ハ /怜¥----..I¥ロ』FE
V~ιι 。組側諜
以柄、-『HP
0.02 0.01 間 (sec)
0.00
時
(a)非線型時刻歴計算の結果の例
1.2
1.0
0.8
ままま話
露。6.jqI: 回
a主き裂のみ,等価握動数0.4
- - -ーーーーーーーーーーーー ーー--'-ーーーーーー ーーーーーーーーーーーーー寸ーーー 『 司 ー ー ー
企副次き裂あり,等価援動数
0.2
10 8 6 4
主き裂深さ
2
0.0
O
am町、
等価固有振動数(b)
き裂の閉口を考慮した等価固有振動数
nmu
円ノ臼
図3-16
-
PNC TN9410 97-017
100
80
ま 60
掛lrf、伸1ム
↓40 さや細管部
~九、-J回転モード\\~変形モード20
o o 0.2 0.8 0.4 • 0.6
振動数比
図3-17 き裂進展に伴なう援動モードの変化
nHu
n/“
-
PNC TN9410 97-017
xき裂深さ
。き裂深さ
3 a = 0.0 mm
8.5 mm a=
。
2
。
一2
NEE¥EU4
4ミ七2# ::::4 話令、
i -1 ~ 祇J
1.0 0.5 0.0 さや先端変位
-0.5 -3
-1.0
町1π1
(a)さや先端変位と段付部公称曲げ応力の線形関係
;:;;J1iJlJJJぷ二;:;:L ;タ!?:
(iJJJJiJJJJJj三JjJJJJjiJ;JJjjJJ:云ぞ竺jjJ;:::;;;jjjJ2:
12
10
6
4
2
8
組側諜ボ¥門h
世hm-司品格引
0.8 0.4 0.6 掻動数比
公称曲げ応力の先端変位に対する比
0.2
O
O
さや先端変位と段付部公称曲げ応力の関係
ハHv
n毛U
(b)
図3-18
-
PNC TN9410 97-017
4 流力振動
温度計さやと流体の連成振動解析により、さやの振動とさやの後流に発生する渦の相互
作用を検討し、さや先端の応答変位を算定する。また、温度計さやの実寸大模型を使用し
た水流動試験を実施し、温度計さやの流力振動特性を把握する。さらに、段付部において
き裂が進展するに伴い、さやの固有振動数が低下することを考慮して、さやの固有振動数
をパラメ一女とした解析を実施する。以上の結果を総合的に判断して、無次元流速とさや
先端の無次元変位の関係(変位応答線図)を評価する。
4.1 プラントの運転状態
(1 )流動条件
ナトリウム流速
ナトリウム密度
レイノルズ数
体積流量
100%流量試験
(200.C等温)
v 5.2 m/s
P 904 kg/m3
Re 1.0X105
100%流量試験 100%出力運転時
(325.C等温 505.C (参考)
5.2 m/s
874 kg/m3
1.4X105
5.5 m/s
831 kg/m3
1.7X105
pv 4.3X103 m3/hour 4.3X103 m3/hour 4.3X103 m3/hour
ナトリウム流速
ナトリウム密度
レイノルズ数
体積流量
V
40%流量試験(485.C)
2.2 m/s
836 kg/m3
7.2X104
1.7X103 m3/hour
P
Re
pv
レイノルズ数が2X105から3X105を上回ると放出される渦の特性が変化し始めること
が知られており、この限界値は臨界レイノルズ数と呼ばれる。もんじゅでは、 100%定格
運転時も含め、各流量試験の条件では、レイノルズ数は臨界レイノルズ数を下回ってい
る。
(2)温度計さや
細管部単位長さ質量
固有振動数 (200.C)
m 0.574 kg/m
f 272 Hz (流体質量効果を考慮すると257Hzに相当する)
qu
-
PNC TN9410 97-017
固有振動数 (3250
C)
固有振動数 (4850
C)f f
265 Hz (流体質量効果を考慮すると251Hzに相当する)
254 Hz (流体質量効果を考慮すると241Hzに相当する)
減衰定数hは、 3章にて検討した熱電対シースの曲がりの影響や応答変位への依存性を
考慮して、 1.0%及び 0.5%としたD
4.2 流力振動解析
4.2.1 流体構造連成解析モデル
解析コードは有限要素法流動解析コードSPLASH1であり、解析体系は二次元(温度計
さや断面を含む平面)である口図4-1に温度計さやの解析モデルの概念図を示す。さやは
この平面に垂直方向に配置されており、片持ちはりとして振動する D 規格化したモード形
状を図4-2に示す。さやの質量と抗力方向(主流と平行で、さやを水平に振動させる)友
び揚力方向(主流と直交する方向で、さやを上下に振動させる)のば‘ねと減衰をモデル化
している D すなわち、抗力方向友び揚力方向にばねと減衰をもっ質点としてさやをモデル
イヒした。
Blevins2は、モーダル解析の考え方により、連続体(はり)の i次モードの運動を記述
する偏微分方程式と等価な質点の運動方程式、 (1)式を示した。これは、はりと質点の運
動エネルギが等しくなるような定式化となっている D
ァ~d
lI/
ヶ~
,,Eも
勾
〆
LW
A判
d
Ill--j一
汁
v
l/}/
一υ1
J
J
一肉料
ヶ
~
ァ
~
一
円
.
/'1/'1-vtu
phApy
一L
・co
f--tIL--J
F
u
-fl!山一
一一、i〉fl
XVJ
razJ
、‘tk
可atf'EBEla--J
odt
dtO
FEEEE'EEEEEEEEEBEE‘
+
、t11/』fr
・x・VJ
rIIf--lk
苛
E'EBEEtEBEEEEEEJω
ハυ
z'n 「/-
Mo
司/酎
rial--BISE-L
+
、ltt
、pfapfJ
HXHVJ
fll〈llk
、、,,,41
,. (
ここで、 xとyはそれぞれ抗力方向と揚力方向の変位、()とけはそれぞれ、時間に関す
る1陪と 2階め微分を表すo mはさやの単位長さあたりの質量である o 1次のモードに関
1 A. Yamaguchi, SPLASH Program for Three Dimensional Fluid Dynamics with
Free Surface Boundaries, Computational Mechanics, Vo1.18, NO.1, pp12・23(1996).
2R. D. Blevins, Flow-induced vibration, Van Nostrand Reinhold, New York (1977)
nJu
n‘u
-
PNC TN9410 97-017
して、叫は固有角振動数、 hiは減衰定数、 iは規格化されたモード関数である20Zはさや
細管部の長手方向座標で、さや先端で Oとする D 右辺のpμ,t)、Piz,t)はそれぞれ、単位
長さあたりの主流方向の荷重(抗力)と主流と直交する方向の荷重(揚力)であり、さや
先端 (z= 0)においては次式で計算される D
nu ,d
d一2
、h.,、fE,,J
nuno
un
c--cs
,,,.,,《、‘.,‘、
、EBEE-aEEEZEEE
,J
l,ノ
hbF
nunu-
J'HJ1
2
P
一一l,ノ、4
'l,ノ
μいQU
P./制
一t
rEE
・E・e・--EaBEE-h
π
ヲA
nili--山一-111trill
、‘,ノha'''
a'ea'e
ο円ο円
JttJtt
RAP勺
fit--tL
(2)
6はx軸の正方向から反時計四りにとる。 dはさやの外径、 p(8)は二次元のナヴイエス
トークス方程式を解いて求められるさや表面の圧力分布、 τ。(8)はさや表面の接線方向流速
の半径方向勾配から計算されるせん断応力の周方向分布である。二次元の場合、せん断応
力は
dVIl τeC8) =μ37 (3)
により表される D ここで、 μは粘性係数である D
付録Aに示されるように、抗力方向の自励的な振動が発生しているときには、荷重は温
度計さやの変位に比例しでほぼ同位相で作用している。さやの長手方向の変位分布はモー
ド関数により記述されるので、荷重分布はモード関数に比例すると仮定して等価な質点の
運動を記述したD ここで用いた仮定は、荷重がさや全長にわたって同位相で作用し、相関
長さをさや全長とすることに相当する(付録A参照)。
流体ー構造連成を考慮するために、温度計さやの運動方程式を陰解法により解き、求め
られた変位速度を流速境界条件として、ナヴイエストークス式に導入している D 一方、さ
やの運動方程式では、流動解析の圧力方程式を解いて得られる抗力方向と揚力方向の荷重
(圧力とせん断応力)を外力項として用いた。図4-3には、流体ー構造連成解析の手順と
モデル化の概要を示す。
4.2.2 解析結果
図4-4に解析メッシュ図(全体図および温度計さや周辺の拡大図)を示す。中央の円形
が温度計さやであるo 図4-4に示されるとおり、さや周辺のメッシュ寸法は境界層厚さ
(およそ10U)lrn程度)の数分の 1 (30凶n程度)とした。またさや周辺では、周方向にさ
らに細分割しているo 時間刻み幅は、解析精度と数値安定性から判断して100%流量条件
では/).tを約 lμsec、40%流量条件では /).t= 2μsecとした。表4・1に解析ケースの一覧を示
一33-
-
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す。
以下(1)項では、振動を抑制できる条件と当該さやの状態を対比する。 (2)項では、段付
部にき裂が発生し、進展したとみられる、 100%流量状態の解析結果に基づき、自励的な
振動現象を考察する。
(1 ) 解析条件とASMEコードとの対応
ASMEコード3によれば¥ナトリウム中の構造の固有振動数をf、流速を v、円柱直径をDとするとき、無次元流速 V,と安定性のパラメータ k,が次の(4)式を満足すれば揚力方
向、抗力方向ともにロックインは防止され、 (5)式を満足すれば、揚力方向のロックイン
は防止され、抗力方向のロックインは抑制される。
ドかく1.0 (4)
v= _v_く 3.3 かっfD
k 2F716 2 ーームニ>1.2
pD2 (5)
ここで、 m,は単位長さあたりの等価質量である。ムは円柱の対数減衰率である。 Kingの
実験4によれば¥抗力方向変位は V,三 2.1で最大となり、最大変位は ksに依存することが
示されている。本解析の条件 (100%流量、ナトリウム温度2000
C、減衰定数1.0%) を代
入すれば¥
ν'r = 2.02 (6)
k, = 1.08 (7)
であり、 ASMEコードに記載される自励的な振動が抑制される範囲にはないことがわか
る。
40 %流量状態(ナトリウム温度4850
C、減衰定数0.5%)の無次元流速尺と安定性パラ
メータ九は
3ASME Boiler and Pressure Vessel Code Section 111, Oivision 1 Appendix N, Article
N・1300ASME, (1995)
4Roger King, A Review of Vortex Shedding Research and Its Application, Ocean
Engng, Vol.4, pp141・172 (1977)
an--qu
-
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Vr = 0.90 (8)
ks=0.41 (9)
となる D 従って、 (4)式を満足するので、 40%流量状態は抗力方向に自励的な振動は生じ
ない条件を満足している D なお、 40%流量条件での解析結果は、 4.4.1節において述べ
るD
(2) 抗力方向の自励的な振動現象
100%流量状態、ナトリウム温度200.C、減衰定数 1.0%として流力振動解析を実施し、
その結果を分析したD 図4-5と図4・6には荷重の x方向成分(抗力)と y方向成分(揚力)
の時刻歴を、図4-7と図4-8tこはその時間に関しての拡大図 (0.1秒間)を示す。図4-9と図
4・10にはさやの抗力方向と揚力方向の変位を、図4-11と図4-12tこは同様に変位時刻歴の
時間に関しての拡大図 (0.1秒間)を示すD 図4-13と図4・14にさやの抗力方向と揚力方向
の変位速度を示す。また、応答がほぼ定常的になった範囲 (0.4秒から1.3秒)の荷重と変
位応答の時間平均値を表4・2に示す。
この結果から、抗力方向の変位が支配的となっていることが分かる D これはKing4が実
験的に研究したインライン振動(抗力方向の振動)であると考えられる D
Kingは、この無次元流速において抗力方向の振動が発生するとき、円柱後流渦は、円柱
の両側面から交互に生成されるのではなく、同位相で対称に生成されることを観察してい
るo 図4-15に実験により観察された交番渦と対称な渦の様子を、図4-16には解析により
得られた対称な渦放出の様子を示す。図4・17に、円柱両側面(流れに相対する方向を0度
として、 +90度と-90度の点)の圧力時刻歴 (0.4秒から0.5秒まで)を示す。参考に、同一
入力条件で円柱を静止させた解析結果を図4・18に示すD 静止円柱では、約100Hzで‘圧力が
振動し、両点の圧力変動は位相が180度ずれるo 一方、図4・17から、連成させたときに
は、 +90度と-90度の点の圧力が同位相、約250Hzで‘変動していることがわかる o すなわ
ち、円柱を静止させたときは交番渦となっているが、連成振動を考慮すれば対称な渦が生
成されており、図4-15の実験結果と一致している D 従って、この解析の条件においては、
抗力方向に温度計さやの自励的な振動現象が生じていたものと考えられる D
図4・19と図4-20にはそれぞれ、抗力方向変位と抗力の時刻歴を0.5秒から0.55秒まで示
す。これらの図を比較すれば、抗力と抗力方向変位はほぼ同じ位相で推移しており、従っ
て、二次元的に見た抗力と抗力方向変位は比例していると考えられるo すなわち、この結
果と、 4.2.1節の仮定の考え方とは、さや全長にわたる荷重の積分値として見れば矛盾し
ていないので、本章では、モード形状に比例したさや長手方向に同位相の荷重分布を仮定
して変位応答を評価することとする D
図4-21と図4-22にそれぞれ、温度計さやの抗力方向変位と揚力方向変位のパワースペ
クトルを示すD 約250Hzにピークが見られ、対称、渦が放出される周波数とさやの振動数は
戸町u
qu
-
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ほぽ一致している。
初期の 0.4秒を省いた解析結果から求めた荷重と変位の時間平均値と平均値まわりのこ
乗平均値 (RMS)を表4・2に示した。時間平均は抗力方向変位は0.040mm、揚力方向の変
位は0.0059mmであるo 平均値まわりのこ乗平均値は抗力方向では 0.59mm、揚力方向
は0.13mmであるo 変位応答は正弦波に近いので、平均値まわりのRMSを12倍して平均変位振幅を求めることができるo 表4・2にその結果を示した。抗力方向の平均変位振幅は
0.83 mm、揚力方向は0.18mmとなる。
次に減衰定数が解析結果に及ぼす影響を見るため、 100%流量状態、ナトリウム温度
2000
C、減衰定数 0.5%と変更した解析を実施したo その結果、減衰定数が 1.0%の場合
と同様の現象(抗力方向の自励的な振動)が生じることが判明した。この場合には、無次
元流速は(6)式と同様であり、安定性のパラメータ ksは
九=0.54 (10)
である。従って、 (4)式と(5)式に示される抗力方向の振動が抑制される範囲には含まれて
いなし1。減表が 0.5%の場合には、平均変位振幅は抗力方向に1.34mm、揚力方向に
0.069 mmとなる。
さらに、 100%流量、 3250
Cにおいても試験が実施されているので、ナトリウム温度の
影響を見るため、ナトリウム温度を 3250
C、減衰定数を 1.0%として解析を実施した。解
析の結果、ナトリウム温度が2000
Cの場合と同様に抗力方向の自励的な振動現象が再現さ
れた。この場合には、ナトリウム温度が高くなるため、ナトリウム密度が小さくなって
流速が増加することと、さやの固有振動数が低下することにより、無次元流速 Fは大きく
なる。一方、安定性のパラメータ ksは、ナトリウム密度の低下により若干大きくなる。
本解析の条件を代入すれば¥
Vr = 2.07 、.‘.,,d「EE
4.
,
,,s・‘‘
k,= 1.04 (12)
である o (11)式は、 Kingが実験的に示した変位が最大となる無次元流速にほぼ等しくなっ
ているo 平均変位振幅は抗力方向に0.91mm、揚力方向に0.18mmとなるo
(3)抗力方向振動の特性
温度計さや管の変位応答が時間的に減衰することなく、ある一定の振幅を維持するため
には所定のエネルギーが構造系に注入される必要がある。その特性を調べるために、抗力
と抗力方向変位の位相を調べるo 図4-23には抗力と抗力方向変位の相互相関係数を示す。
相互相関関数は正弦的な形状であり、抗力の位相が抗力方向変位に先んじているo 図4-24
nhu
nd
-
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には相互相関関数を時間に関して微分して示す。 x軸との交点を読み取れば¥この位相差は0.36m秒(固有振動数が約250Hzで‘あるので、 0.18πに相当)である D よって、エネル
ギーが系に注入されていることが示される D
振動が開始してから、振幅が定常的になるまでの0.35秒間のさや管先端の軌跡と抗力と
抗力方向変位の関係を、図4-25に示す。 0.25秒程度で定常的な抗力方向の振動が生じてい
るD 抗力と抗力方向変位の関係図は右回りになっており、すなわち抗力の位相が進んで‘い
ることがわかる o 0.15秒から0.2秒まではさや管先端は八の字状とも考えられる軌跡を描
いているo これは、抗力方向の振動が発達するまでの一時的な状態である o 0.35秒程度
の抗力方向振動が発達した時点で、単位長さあたりの抗力Fを先端の抗力方向変位に関し
て1周期にわたり積分すると、振動により系に加えられるエネルギーが求められる D これ
は、数値解析の結果(図4・25) から、変位増加時と変位減少時の抗力の差を50N/m、変
位両振幅を 1.5mmと見積もれば
(13)
程度である o 一方、 1周期あたりの減衰による単位長さあたりのエネルギーの散逸Edは
Ed = 2n m ω叫Vy2 h (14)
である o ただし、 ω、ωN、Yは、それぞれ、振動の角振動数、温度計さや管の固有角振動
数、抗力方向の変位振幅であるo 振動の角振動数と温度計さや管の固有角振動数はいず、れ
も250Hzで‘あるから、 h=1%とm=0.574kg/m、変位振幅を1mmを用いると(14)式よ
り、 Edは0.09Nとなり(13)式とほぼ一致しているo
4.3 流力振動試験
温度計さやの流力振動特性を実機配管と同じ薄肉配管系の条件下で把握することを目的
として、温度計さやの実寸大模型を使用した水流動試験を実施したo
4.3.1 試験の概要
使用した既存水流動試験設備を図4・26に示す。試験では配管内流速と水温を変化させる
ことによって実機ナトリウム条件下でのレイノルズ数を模擬したo なお、水試験により実
機条件を模擬することの妥当性については、図4・27に温度計さや管の振動特性に着目して
円
inJ
-
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整理した。流力振動における水とナトリウム相似性に関連して付録Bに詳述する D この試
験では、配管については配管の径(外径558.8mm) と肉厚 (9.5mm) を模擬し、温度計
さやについては、図4-28'こ示すように、さや本体、ニップル部およびコネクタ部まで含め
て模擬した。また、有意な損傷を受けていない健全なウエル、及び、損傷を受け固有振動
数が低下した状態を模擬するために付根部を周方向に一様滅肉させたき裂模擬試験体(劣
化さや)の 2種類を用意した。但し、何れも熱電対シースは、さや先端へ加速度計を設置
する場合を考慮して、挿入していない。
図4-26に示すように温度計さやを設置する配管の上流には整流格子を設置し、当該部で
の流れを整流するものとした。配管内の旋回流の影響を見る場合には、図中に記載した旋
回流発生装置を設置した。
4.3.2 試験の結果
(1 )流力振動の基本特性
(a)固有振動数
図4-29に示すように、ウエル先端に設置した加速度計の応答から、温度計ウエル先端の
細管部が付根の太管部に弾性支持された片持ちはりとしてほぼ独立に振動するモード(ナ
トリウム中で‘約250Hz) で振動していることが確認された。
(b)加速度応答
一例として、水温5rc (ナトリウム温度2000
CとReが同等)の条件下で配管内流速を
1 m/sから8.3m/sまでスイープした加速度計応答(さや細管/太管段付部)を図4-30に示
す。流れ方向の振動は、実機定格流速(約5.5m/s) からみて低流速の領域(約3.5m/s) か
ら開始するo これは、カルマン渦放出固有振動数が温度計さやの固有振動数の0.8倍以下
の領域に相当するo この振動の振幅は流速の増加と共に増加し、流速約5m/sでほぼ最大
値をとり、それ以上の流速ではほぼ一定あるいは低減する傾向を示す。また、実機の40
%流量条件(流速約2.2m/s) では振動は発生しない結果となっているo
流れ直角方向の振動については流れ方向と比較してその振幅は小さい。ただし、図4-31
に示すように、水温9rcの試験では約 6m/s程度から、揚力方向の振動が卓越する結果が
得られているo このときの振動数はさやのナトリウム中の固有振動数(約250Hz) であ
るo
(2)温度の影響
図4-32にさや先端部の振動振幅(両振幅)を無次元流速で整理した結果を示す。振動特
性には温度依存性があり、さや先端部の変位の最大値(両振幅)は温度が低いほど高くな
る傾向を示す。また、温度が高いほど低流量の条件で、流れ方向の振動が抑制され、流れ
直角方向の振動が卓越する傾向を示す。
nku
n司U
-
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(3)温度計さやの固有振動数の影響
温度計さやのき裂が進展することにより、温度計さやの固有振動数が低下した状態を想
定した試験を実施した。図4-28に示すき裂模擬試験体(劣化さや)の固有振動数は約
100Hzで、あるo 図4-33tこさや先端部の流れ方向振動振幅(両振幅)を無次元流速で整理し
た結果を示す。
この結果から、き裂を模擬して固有振動数が100Hz程度に低下した温度計さやでは、
40%流量条件(流速約2.2m/s) においても流れ方向の振動が発生することが推定され
る。流れと直角方向の振動の振幅は流れ方向と比較して小さい。
図4-34に水温570
C条件でのさや先端部の振動振幅(両振幅)を健全なさやと比較した
結果を示す。この結果から、上記温度条件では、固有振動数の低下したさやであっても、
ほぼ同じ無次元流速範囲で流れ方向振動が生じることが示された。
(4)劣化さやの高温での振動特性
図4-33に3種類の温度条件について、さや先端部の流れ方向振動振幅(両振幅)を無次
元流速で整理した結果を示す。き裂を模擬したさやの場合、無次元流速が1.3~3.5までの
範囲で流れ方向振動が卓越する結果となっており、この範囲では図4-32の健全なさやの
ケースで見られたような流れ直角方向の振動は観察されなかった。図4-32友ぴ4-33には
横軸に配管内流速を併記したが、これから推定すると、流れに直角方向の振動の発生には
配管内流速が影響しており、流速が高い領域で発生する傾向となっているo またこの特性
には温度の影響もあることから、レイノルズ数が関連している可能性あるo
(5)旋回流の影響当該温度計さやの設置個所では配管引き廻しの影響による配管内での旋回流(主流の流
速に対して約20%の旋回流速)が生じていることが推定された。この旋回流が温度計さ
やの流力振動に与える影響を確認するため水流動試験設備に旋回流発生装置を設置して試
験を実施した。図4-35にさや先端部の流れ方向振動振幅(両振幅)を無次元流速で整理し
た結果を示す。この結果から、当該温度計さやの設置個所では、温度計さやの基本的な流
力振動に友ぽす配管内旋回流の影響は小さいことが確認された。
(6)可視化の結果
図4-37に流況を可視化した様子を示す。流れ(抗力)方向に振動が発生しているときに
は温度計さやの両側面から振動 1周期あたり一対の対称な渦が発生することが観察され
た。
4.3.4 まとめ
(1 )無次元流速が1.3程度(流速で;3.3m/s程度)の状態から、流れ方向(抗力方向)に有意
な流力振動が生じることが確認されたo 同振動では、温度計ウエル先端の細管部が付け根
nud
内向U
-
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の太管部に弾性支持された片持ちはりとしてほぼ独立に振動するモード(約250Hz)に対応する成分が車越している o 100%流量条件(無次元流速で2.0)では、温度計さやの振動
は流れ方向の振動が車越した結果となっており、それと比較して流れと直角方向の振動は
小さい。このとき対称渦の発生が観察されたD 一方、 40%流量条件(無次元流速で0.9)
では健全なさやにこの振動は発生しない(図4-36)0 (2)温度計さや段付部にき裂が進展することにより、さやの固有振動数が100Hz程度まで
低下したことを想定した劣化さやでは、 40%流量条件(流速約2.2m/s)においても、流
れ方向の振動が発生することが確認された。また、劣化さやの場合には、無次元流速が約
3.5までの範囲で流れ方向振動が車越する結果となっており、この範囲では健全なさやの
ケースで見られたような流れと直交する方向の有意な振動は測定されなかったo 図4・
33)
(3)当該温度計さやの設置個所では、温度計さやの基本的な流力振動に及ぼす配管内旋回
流の影響は小さいことが確認されたD
4.4 変位応答線図
4.4.1 温度計さや固有振動数をパラメータとした流力振動解析
温度計さやの細管付根段付部にき裂が生じていたとすれば¥その後のき裂進展に伴い固
有振動数が減少すると考えられることから、さやの固有振動数をパラメータとして流体ー
構造連成振動解析を実施したD
先ず、健全なさや管の場合に40%流量で抗力方向振動が生じるかどうかを確認するために流力振動解析を実施したD この条件は表4・1のケース4であり、健全なさや管の真空中で
の固有振動数は254Hzで、ある D 匡14-38と4・39にそれぞれ、抗力方向変位と揚力方向変位の時刻歴を示す。抗力方向の振動数は約 240Hzであり、流体質量効果を考慮した固有振
動数に一致している D 応答がほぼ定常的になった範囲 (0.4秒から0.8秒)から求めた平均
変位振幅は、抗力方向には0.058mm、揚力方向には0.022mmで・あり、いずれもさや直径の 1%(0.1 mm)以下と十分に小さく、さやに損傷を生じさせるものではないと考えられ
るD また、 100%流量条件の解析結果と異なり、抗力方向の振動が著しく卓越する現象は見られなかった。従って、抗力方向の自励的な振動は抑制されているといえる。 Chen5に
よれば、渦放出の同時性が増加し始め、抗力方向の自励的な振動を生じさせる抗力方向変
位の下限値は、円柱直径の 1%から 2%であり、本解析の結果は、これと符合している D次に、さや管にき裂が生じたことを想定して、真空中での固有振動数を145Hzとして
40%流量条件で流力振動解析を実施した(表4・1のケース9) 0 このときの無次元流速は
58-8. Chen, Flow Induced Vibration of Circular Cylindrical 8tructures, Hemisphere Publishing Corp. (1987)
-40-
-
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約1.6ある。図4-40と4-41にそれぞれ、抗力方向変位と揚力方向変位の時刻歴を示す。こ
の場合には抗力方向の自励的振動が解析されており、さや管の固有振動数が低下していれ
ば‘抗力方向振動が生じることが確認された。
40%流量条件の解析(表4-1のケース4からケース11)により得られたさやの抗力方向
と揚力方向の変位時刻歴から、応答がほぼ安定した時間領域 (0.4秒から0.8秒)で平均変
位振幅を求めた結果を図4-42に示す。図4-42では、減衰定数が1.0%の場合と0.5%の場合
について抗力方向変位と揚力方向変位を示しているo さらに、 4.2節の結果 (100%流量、
200.C条件で減衰定数1.0%と0.5%の 2ケース、 100%流量、 3250
C条件で減衰定数1.0%
の 1ケース)も図4-42には含まれているo 抗力方向と揚力方向の変位の傾向や、抗力方向
の自励的な振動が生じる限界となっている無次元流速は、既往の実験結果と整合してい
る。従って、ここで実施した流力振動解析は、抗力方向の自励的な振動を再現していると
考えられる。なお、本解析でも、さや先端の変位と荷重は同位相となっていることが確認
されており、 4.2.1節の仮定は妥当といえる。
4.4.2 抗力方向振動の変位応答線図
(1 )抗力方向振動の特性と変位応答線図
4.2節と4.4.1節の結果をあわせた全ての解析結果を、無次元流速と安定性パラメータで
整理し、ナトリウム流速とさやのナトリウム中の固有振動数に応じたさや先端の変位応答
線図を策定した。変位応答線図とは、 (4)式で定義される無次元流速と、無次元変位振幅
(変位振幅 Yを円柱の直径Dで除した量、巴の)の関係を表す図である。き裂進展解析
に用いる変位応答線図の作成に参考となるデータは、 4.2節に述べた流力振動解析結果、
4.3節に述べた水流動試験結果、及び、 King6の既往の実験結果等である。
Kingの実験体系や流動条件は、当該温度計さやと異なっているが、最も包括的に多くの
実験結果の整理に基づいて、抗力方向振動は1.25く Vrく 2.5で発生しVr=2.1で最大となる
ことを述べている。図4-43にKingの実験結果の無次元流速と無次元変位振幅の関係を示
す。無次元流速が2.7から3.5程度にもう一つの応答のピークが存在するが、第二のピーク
の領域はき裂進展に寄与しないので第一のピークのみを考慮する o Chen(1987年)はその
著書5で抗力方向振動の特性としてKingの結果を引用している。この知見に基づき、変位
応答曲線の設定において以下を仮定した。
(1 )自励的な振動の開始無次元流速を1.25とするo
(2)無次元流速が2.1のときに無次元変位振幅は最大値を示す。
(3)無次元流速が2.5のときに無次元変位振幅はOに低下する。
さらに簡単のため、
6R. King and M. J. Prosser, On Vortex Excitation of Model Piles in Water, J. of Sound and Vibrattion, Vol. 29(2), pp169-188, (1973).
T6ム
8aa
-
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(4) (1)から(3)の3点を直線で内挿できるものとするo
従って、無次元流速が2.1のときの無次元変位振幅のピーク値を設定すれば¥変位応答線
図は決定されるo なお、き裂進展解析により、無次元変位振幅が0.03以下であればき裂が
停留することが確認されている o 実験の知見によれば¥変位振幅は安定性パラメータに強
く依存し5、従って温度計さやの減衰特性に依存する o さやの減衰定数評価の不確定性が
大きいことを考慮して、上に述べた 3種類の情報(数値解析、水流動実験、 Kingの実験)
のほぼ中央値をとり、
(5)温度計さや直径で規格化した無次元変位振幅ピーク値は0.1とする o
このようにして策定した変位応答線図は、解析と実験から得られる知見を総合的に判断し
たものであり、減衰定数で表現すればほぽ0.5%に相応し、曲がりのあるシースが挿入さ
れたさやの応答を代表していると考えている o しかしながら、ピーク変位に関しては、さ
やのき裂進展から破損に至る過程を解明するという観点、からは、減衰定数のば、らつきなど
を考慮して、ピーク値として0.1土0.025程度の幅をとることが適切であると判断した。図
4-44に、こうして設定した変位応答線図を上下幅を含めて示す。
以下に個別のデータと変位応答線図を比較検討するo
(2)変位応答線図と流力振動解析結果の対比
図4-45に流力振動解析結果と、ここで設定した変位応答線図を示す。解析結果は減衰定数を1.0%と0.5%とした曲線が示されている o 3章に示されるように、さやの減衰定数
は、熱電対シースの挿入状態により 1.0%から0.5%と評価されているo この評価と解析結
果を対比すれば、変位応答線図の無次元変位振幅ピーク値は0.09から0.13程度と考えてお
くことができるo なお、無次元変位が0.01から0.02以下になるとさや長手方向の渦放出の
同時性が崩れるために、二次元解析では荷重を過大に評価することになるo 従って、無次
元変位が0.02以下ではそれ以上の領域と同じ傾きで直線的に低下するとすれば、解析結果
は変位応答線図友ぴ図4-46に示される水流動試験結果とほぼ一致するo
(3)変位応答線図と水流動試験結果の対比
図4-46には水流動試験結果と変位応答線図中央値を示す。水流動試験に用いた流量計の
測定限界流速は6m/s(無次元流速2.4)であることから、無次元流速2.4以下の結果を参照
した。熱電対シースが入っていない温度計さやの減衰定数は0.3%程度であり、その場合
には無次元変位振幅は0.1から0.13程度であるo シースが挿入されており、かつシースに
曲がりがある場合には、減衰定数は0.5%程度と考えられ、無次元変位振幅は0.1程度であ
るo シースの曲がりが.小さい、もしくは曲がりが無い場合は減衰定数は1%あるいはそれ
以上であり、無次元変位振幅は0.05以下となっているo このように、無次元変位振幅は
シースの曲がりの程度に依存していることがわかるo 設定した変位応答線図の中央値は、
シースに曲がりがある場合の応答に対応しており、減衰定数で表現すれ,~fO.5%程度であ
るo 変位応答線図の上限値はシースが無い場合に対応しており、シースが挿入された温度
円〆“an-
-
PNC TN9410 97~017
計さやの応答としてこれを設定することは現実的ではないが、さやの応答の上限を与える
ものと理解されるo このような観点から、変位応答線図の中央値と上限値は水流動試験の
結果と対応しているo 一方、変位応答線図の下限値は、さやの応答の下限(図4・46のシー
ス曲がり無しの曲線)に相当し、 0.05以下とすべきところであるo しかしながら、き裂進
展解析に用いる線図であることを考慮して、中央値から上限値への増分と同じ幅をもって
策定した。
(4)変位応答線図と既往の実験結果の対比
図4-47にKingの実験結果と設定した変位応答線図の対応を示す。温度計さやの減衰定
数1.0%のときの安定性パラメータは1程度、滅衰定数0.5%のときの安定性パラメータは
0.5程度であり、図4-47tこはそれに近いデータをプロッ卜した。 Kingの実験は液面を有す
る流路に直径1インチ、長さ41インチのアルミニウム円柱を浸漬したものであり、円柱付
け根部の曲げモーメントを測定し、換算係数を乗じることによって先端変位を求めてい
るo 流速は10から20インチ毎秒であり、レイノルズ数は数1,000から10,000程度と見られ
るo 安定性パラメータが0.38と0.82のデータは水面から突き出た円柱上部に質量を付加
し、安定性パラメータを変化させたものであるo また安定性パラメータが0.60と0.94の
データは水位を変化させて安定性パラメータを変化させたものである。従って、温度計さ
やの条件とは必ずしも対応しない。図4・47から、試験の方法によってデータはば‘らついて
いるが、変位応答線図の中央値は、 4本の実験データに対して平均的な線図となってい
るo
(5)変位応答線図の考え方
図4-48には図4-45から図4-47の全ての結果を示している o ここで求めた変位応答線図
は、自励的な振動が発生する無次元流速の上下限値及び変位応答最大となる無次元流速に
ついてはほぼ最確値を与えると考えられるo 変位応答線図中央値は、減衰定数で表現すれ
ば0.5%程度に相当し、シースに曲が、りがある場合を代表するo 変位応答線図上限値は、
図4-48から全てのデータの最大値を与えていることがわかるo これはシースが無い状態で
減衰定数0.3%程度に対応する D 変位応答線図下限値に関しては、図中にも示されるよう
にシースの曲がりが小さい場合には応答変位がきわめて小さくなっており、二次系の温度
計さやの応答の下限とは対応しない。変位応答線図下限値は、き裂進展への影響を検討す
るために、中央値から上下に同じ不確定幅 (0.1+0.025) をとって定めた。
4.5 結論
(1 )二次元の流体ー構造連成モデルを作成し、 SPLASHコードに導入した。 SPLASHにより、 100%流量、ナトリウム温度が 200.Cおよび325.Cの状態で温度計さやの流体ー構造
連成解析を実施した。その結果、抗力方向に車越する自励的な振動が解析された。抗力
内べ
uaAτ
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PNC TN9410 97-017
方向の振動が車越するという現象は、水流動試験において観察されているだけでなく、
Kingら複数の研究者の実験でも現れている。今般の解析により、円柱両側面から、同期した対称渦が放出されるという現象も再現された。これらの結果を踏まえると、無次元流速
が2程度の時に発生する抗力方向の自励的な振動現象が当該温度計さやで発生していたも
のと考えられるo
(2)疲労損傷解析の荷重条件として参照される平均変位振幅を評価した。ナトリウム温度
が2000
C、減衰定数を 1.0%の条件では、平均変位振幅は抗力方向が0.83mm、揚力方向が0.18mmであった。減衰定数を0.5%とすれば、抗力方向の平均変位振幅は 1.34mm
、揚力方向の平均変位振幅は 0.069mmとなるo ナトリウム温度を3250
C、減衰定数を
1.0%とすれば¥抗力方向の平均変位振幅は 0.91mm、揚力方向の平均変位振幅は 0.18
mmとなる。
(3)ナトリウム漏洩が発生したときの運転状態 (40%流量、ナトリウム温度4850
C) で、
温度計さや段付部にき裂を想定し、さやの固有振動数が低下した状態での流体ー構造連成
振動解析を実施した。き裂が無い健全な温度計さやでは、抗力方向の振動が車越する現象
は見られず、また、抗力方向、揚力方向ともに平均変位振幅はさや直径の 1%以下と十分
に小さい結果が得られた。従って、さやが健全な状態であれば、 40%流量相当の流体力に
よりき裂は進展しないことが示された。一方、さやの固有振動数が低下すれば、 40%流量
条件でも抗力方向の自励的な振動が生じる結果が得られたo これらは、 Kingの実験結果とも一致しており、さやの固有振動数をパラメータとした解析により評価した、無次元流速
と温度計さや先端の変位の関係は妥当であると考えられるo 水流動試験においても、 40%
流量条件でき裂を模擬した温度計さやでは抗力方向の自励的な振動が観察されたが、健全
なさやでは有意な振動が発生せず、流力振動解析、水流動試験、既往の実験とで整合する
結果が得られた。
(4)流力振動解析結果と水流動試験結果及
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