トルコ共和国 republic of turkey - 総務省...
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トルコ共和国 (Republic of Turkey)
通信
Ⅰ 監督機関等 1 運輸・海事・通信省(Ministry of Transport, Maritime Affairs and
Communications)
Tel.:+90 312 203 1110 URL:http://www.ubak.gov.tr/ 所在地:Hakkı Turayliç Caddesi No:5, Emek, Ankara, TURKEY 幹部:Binali YILDIRIM(大臣/Minister) 所掌事務
電気通信関連戦略の策定、電気通信産業の振興政策及びユニバーサル・サービ
ス関連政策等を所掌する。担当部局は「通信総局( Directorate General of Communications)」である。なお、かつて所掌していた自然災害等の危機管理へ
の対応は、首相府災害緊急事態対策庁(AFAD)が一元的に所掌している。 2 情報通信技術庁( Information and Communication Technologies Authority:
ICTA)
Tel.:+90 312 294 7200 URL:http://www.btk.gov.tr/ 所在地:Yesilimak Sokak No.16-Demirtepel, 06430 Ankara, TURKEY 幹部:Ömer Fatih Sayan(委員長兼総裁/Board Chairman and President) 所掌事務
2000 年 1 月に設立された電気通信庁(Telecommunication Authority:TA)を
母体とする。「2008 年電子通信法」により、TA に代わる独立規制機関として改組
された。免許の許可、競争政策における規則の策定、市場分析と SMP 事業者の
決定、番号資源の割当て等を所掌している。最高意思決定機関は ICT 委員会(ICT Board)で、議長並びに関係省庁と事業者から選出される 5 名の委員(5 年任期)
で構成されている。運営基金は、電波利用料等の事業者からの収入により、独立
採算で賄われる。
2
Ⅱ 法令 1 2008 年電子通信法(Electronic Communications Law No.5809)
「2000 年電気通信法(No.4502)」及びその他の法令を置き換える形で、2008年 8 月に採択、11 月に施行された。EU の規制枠組「2003 年電子通信規制パッ
ケ ー ジ 」 に 順 ず る 法 枠 組 を 導 入 し 、 独 立 規 制 機 関 と し て 情 報 通 信 技 術 庁
(Information and Communication Techologies Authority:ICTA)の設立を規
定している。 2 1983 年無線通信法(Wireless Law: No.2813)
電波分野における基本法令は「1983 年無線通信法(Wireless Law: No.2813)」で、「2008 年電子通信法」に合わせて改正されている。この法令においては、一
般規則として、無線機器の設置と運用に関する許認可と監理の遂行主体及びその
責任、周波数計画の策定、標準規格順守、緊急通信の優先、不法電波の監視及び
防止などの項目が盛り込まれている。
Ⅲ 政策動向 1 免許制度
「2008 年電子通信法」に基づき、2009 年 5 月より「一般許可制(general authorisation)」がとられている。電気通信事業を開始する際には ICTA に届出
を行い、許可を得る必要がある。電話番号や周波数といった資源の割当てが必要
な場合には、ICTA より利用権を得る必要がある。 2 競争促進政策
(1)自由化 「2000 年電気通信法」によって、固定電話サービスを除く電気通信分野の自由
化が図られた。固定電話については、同法で独占的固定電話サービス提供事業者
のトルコ・テレコム(Türk Telekomunikasyon)を株式会社形態の免許事業者に
改組し、2004 年より自由化している。また、自由化に合わせて ICTA の前身であ
る TA が設立された。 (2)民営化
2001 年 5 月の「2001 年電気通信法」に基づき、2002 年初めよりトルコ・テレ
コムの民営化計画が進められた。2004 年 3 月、政府は、同社株式の売却を 2004年末までに実施、株式全体の 45%以上を外国の投資家が購入するのが望ましいと
発表した。2005 年 7 月、新たに設立されたサウジアラビア、レバノン系の合弁事
業者 Oger-Telecom が総額 65 億 USD で落札し、2005 年 11 月、トルコ・テレコ
ム株式 55%の売却が完了した。残りの政府保有株 45%のうち 15%については、
2007 年 12 月に上場決定が行われ、2008 年 5 月より上場されている。
3
(3)料金規制 電気通信サービス分野の料金規制の基本枠組は「料金令(Tariff Ordinance)」
に示されている。ICTA は SMP 事業者あるいは法的/事実上の独占事業者の料金
の承認及び監査を行う。 (4)相互接続規制
「2008 年電子通信法」第 15 条によって、通信事業者の相互接続義務が定めら
れている。相互接続の必要性については ICTA が判断するが、市場において顕著
な支配力を有する(Significant Market Power:SMP)事業者には接続義務が課
せられている。SMP 事業者は、固定通信市場では 2006 年からトルコ・テレコム
が、移動電話事業市場では 2007 年から Türkcell、Avea、ボーダフォン・トルコ
(Vodafone Türkiye:前 Telsim)の 3 社が指定されている。SMP 事業者は、相
互接続約款(Reference Interconnection Offer:RIO)を ICTA に毎年提出する。 (5)番号ポータビリティ
運輸通信省(Ministy of Transport and Communications、当時)は 2007 年 1月、番号ポータビリティに関する政令を公布した。2008 年 5 月、移動電話の番号
ポータビリティ(MNP)についての規則と手順が公開され、同年 11 月に MNPが導入された。トルコにおける番号ポータビリティは、EU の「ユニバーサル・
サービス指令(2002/22/EC)」を参照している。 (6)ローカル・ループ・アンバンドリング
ローカル・ループ・アンバンドリング(LLU)に関しては、「電信電話法(No.406)」と「無線通信法(No.2813)」の中で、ローカル・ループの開放・共有として規定
されている。また、TA(当時)の「Ordinance on Access and Interconnection」の中でも、通信網の接続と相互接続に関連する条件、手続等が規定されている。
2005 年 7 月には、「Communique on Procedures and Principles Regarding Unbundled Access to the Local Loop」が施行され、LLU の手続やトルコ・テレ
コムによる接続料の設定方法などが規定されている。 トルコ・テレコムは 2006 年 11 月に公表した「Reference Unbundling Offer
(RUO)」案に月額のレンタル料金の引下げ等の変更点を加えた改訂版 RUO を
2008 年に発表し、それをもとに 10 事業者と LLU の合意書を交わしている。な
お、RUO は 2009 年にも改訂されている。 3 情報通信基盤整備政策
ユニバーサル・サービス 2005 年 6 月に施行された「ユニバーサル・サービスの提供に関する法律(Law
On Provision of Universal Services and Amendments to Certain Laws: No. 5369)」に基づく。適用範囲は、固定電話サービス、公衆電話サービス、印刷物
あるいは電子データによる電話帳サービス、緊急通話サービス、基本的インター
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ネット・サービスである。純費用は既存事業者がユニバーサル・サービスを提供
しない場合と提供する場合の間の差額を基に算出される。2007 年 4 月に同法が改
正され、デジタル放送も対象として含まれるようになった。
Ⅳ 関連技術の動向 基準認証制度
2005 年 5 月に EU の「R&TTE 指令(1999/5/EC)」を採用した自国法を発効し
た。これに伴い、TA(当時)によって民間の認証機関が承認され、無線及び電気
通信端末機器の CE マークの取得が義務付けられた。参照する欧州規格について
は「省令 26617 号(2007 年 8 月)」で規定されたが、欧州でのその後の規格変更
に対応した改訂を 2009 年 4 月に「省令 27210 号」として発表している。回線網
に接続する機器へのインターフェースについても、各事業者が公表することが義
務付けられている。
Ⅴ 事業の現状 1 固定電話
移動電話の普及に伴う「固定電話離れ」によって、2002 年から加入者は減少傾
向にある。2014 年現在、加入者数は約 1,250 万まで減少している。 2004 年 1 月の市場の自由化により、トルコ・テレコムの独占が終了し、新規事
業者が参入した。現在は、トルコ・テレコムのほか、TurkNet、Millenicom Turkey、IsNet などが地域、長距離、国際通話の免許を保有し、サービスを提供している。
ただし、市場は依然としてトルコ・テレコムの独占状態にある。2015 年 3 月現在、
53 の事業者が固定音声サービスの許可を受けている。VoIP は 2009 年から国内通
話サービスの提供が行われており、主な事業者として、Vodafone Net、Millenicom Turkey などが挙げられる。 2 移動体通信
(1)概況 Türkcell、英ボーダフォン・グループのボーダフォン・トルコ及びトルコ・テ
レコムが株式の 9 割を所有する Avea による 3 社体制が続いている。先行事業者
の Türkcell は、1998 年より GSM でのサービスを開始しており、市場シェアは
最大となっている。 MVNO は 2009 年第 2 四半期から許可されており、2014 年 9 月までに 88 の事
業者に対して ICTA による許可が与えられているが、現在実質的に事業を展開し
ているのは Posta Telgraf Tskilati の 1 社だけである。 なお、2013 年 2 月、Türkcell が 3 年間にわたるユニバーサル・サービス提供
義務の一環として、現在移動通信の非カバー地域に、移動通信網を提供する契約
5
を運輸・海事・通信省と締結した。Türkcell は人口 500 人未満の 1,799 か所の地
域に移動通信網を構築し、3 年にわたってサービスを提供する。 (2)3G サービスの導入
2008 年 11 月の周波数オークションにより、Türkcell、ボーダフォン・トルコ、
Avea の既存 3 事業者に対して 20 年間の免許が交付され、3 社ともが 2009 年 7月にサービスを開始した。なお、オークションでは新規参入事業者を想定した第
4 の周波数帯が用意されたが、希望者が現れず中止された。2015 年 9 月末現在、
3G サービスの加入数は約 7,276 万となっている。 (3)LTE サービスの導入
情報通信技術庁は 2015 年 8 月に周波数帯オークションを開催し、既存の移動
体通信事業者である Türkcell、Avea、ボーダフォン・トルコの 3 社が落札した。
落札金額は全体で約 33 億 5,611 万 EUR となり、当初想定を 6 億 EUR 上回る結
果となった(電波/Ⅱ-2の項参照)。サービス開始は 2016 年 4 月 1 日を予定し
ている。 なお、情報通信技術庁は落札事業者に対して、今後 8 年以内に 4G 受信可能範
囲を全人口の 95%以上を達成すること、今後 3 年以内に 1km 以上のトンネル区
間(高速道路及び高速鉄道)でサービス提供することを求めている。 また、4G の展開においては、国産製品の利用を拡大させるため、運輸・海事・
通信省が防衛産業庁(Ministry of National Defence:SSM)と協力し、基地局
を初めとした関連機器の国産化のための研究開発を実施中である。 3 インターネット
(1)概況 インターネットについては、2001 年 2 月にトルコ・テレコムが ADSL 接続サ
ービスを開始して以来、急速に利用者が増加している。トルコ・テレコムは TTNetのブランド名で ADSL、ADSL2+、VDSL2、FTTx、WiMAX 等のサービスを提供
しており、2015 年 9 月現在の加入者数は約 631 万となっている。同時期のブロ
ードバンド市場における TTNet のシェアは 68.6%であり、依然として市場シェ
アの大半を占めている。以下、Türkcell が株式の 100%を保有する Türkcell Superonline が 16.3%、国営の衛星通信事業者 Türksat が提供するケーブルモデ
ム・サービスが 6.4%と続く。 新規参入の動向としては、2011 年 7 月にボーダフォン・トルコがトルコのコン
グロマリット Koc Holding との間で傘下の固定回線事業者の Koc.net を 1,800 万
USD で買収することで合意した。買収案はトルコ競争委員会に承認され、
Vodafone Net のブランド名で DSL サービスを提供している。しかし、2015 年 9月現在の市場シェアは 1.7%にとどまっている。なお、ボーダフォン・トルコは
2013 年 12 月に国営送電会社の TEIAS と光ファイバ網の長期借用契約を結んで
6
いる。 (2)FTTx サービス
FTTx サービスについては、トルコ・テレコムと Türkcell が長期計画での敷設
プランを進めてきた。商用サービスは、トルコ・テレコム(TTNet)及び Türkcellが株式の 100%を保有する Türkcell Superonline が提供をしている。サービスは
主要都市を中心に展開され拡大の途にある。2014 年末現在、利用可能世帯は約
210 万世帯に達している。なお 2011 年 10 月、ICTA は光ファイバの普及を促進
するために、FTTH 及び FTTB 分野について、5 年間あるいは国内の FTTx 加入
数が 25%に達するまで、同分野の SMP 指定を行わないことを発表した。 4 新成長サービス
(1)IPTV 2012 年よりトルコ・テレコムが「Tivibu Home」の名称でサービスを開始して
いる。170 以上のチャンネルのほか、ビデオ・オン・デマンド(VoD)のコンテ
ンツが提供されている。2015 年 3 月時点での加入数は 190 万とされる。Türkcellもブロードバンドと IPTV のバンドル・サービスを提供している。 (2)モバイルテレビ
2006 年に ROK TV がトルコのコンテンツ事業者と共同でサービスを開始した。
2013 年には、トルコの放送事業者 MCH が、ラジオ・テレビ最高評議会(Radio and Television Supreme Council :RTUK)から 1 年間の試験放送免許を取得し、イ
スタンブールにおいて ISDB-T 方式によるモバイルテレビの試験放送を実施して
いる。
Ⅵ 運営体等 1 トルコ・テレコム(Türk Telekomunikasyon)
Tel.:+90 312 313 1113 URL:http://www.turktelekom.com.tr/ 所在地:Turgut Özal Bulvarı 06103, Aydınlıkevler Ankara, TURKEY 幹部:Mohammed Hariri(会長/Chairman)、Rami Aslan(経営最高責任者/
CEO) 概要
旧国営の通信事業者であり、2000 年 1 月に株式会社化された。2005 年 7 月、
サウジアラビア資本でドバイに拠点を置く Oger-Telecom が株式の 55%を取得し、
民営化された。電気通信の全分野にわたって事業を行い、自社のネットワークを
通じてケーブルテレビ事業者に接続サービスを提供している基幹電気通信事業者
である。
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2 Türkcell
Tel.:+90 212 313 1000 URL:http://www.turkcell.com.tr/ 所在地:Turkcell Plaza, Meşrutiyet Cad. No:71, Tepebaşı, İstanbul 34430, TURKEY 幹部:Kaan Terzioğlu(経営最高責任者/CEO) 概要
1994 年にトルコで最初の GSM 事業者としてサービスを開始した。スウェーデ
ンに本拠を置く電気通信事業者テリアソネラと国内の投資会社 Cukurova Holding による合弁会社である Türkcell Holdings が株式の 51%を、テリアソネ
ラの子会社 Sonera Holdings が 14.02%を所有する。トルコ最大の移動体事業者
となっているが、競争事業者の増加によりシェアは減少傾向にある。北キプロス
を事業エリアに含むほか、近年ではアゼルバイジャン等、CIS 諸国への進出を進
めている。
放送
Ⅰ 監督機関等 1 首相府プレス・情報局(Office of the Prime Minister, Directorate General of
Press and Information)
Tel.:+90 312 583 6000 URL:http://www.byegm.gov.tr/ 所在地:Ceyhun Atıf Kansu Caddesi No:122 Balgat, Ankara, TURKEY 幹部:Murat karakaya(局長/General Manager) 所掌事務
1920 年に設立された。主な所掌は、国内及び国外のメディアとの関係の構築及
び維持を行い、それらの事業環境及び事業活動を向上させるための効果的諸手段
を実施することである。 2 運輸・海事・通信省
(通信/Ⅰ-1の項参照) 3 ラジオ・テレビ最高評議会(Radio and Television Supreme Council:RTUK)
Tel.:+90 312 297 5000 URL:http://www.rtuk.org.tr/ 所在地:Universiteler Mah. 1597. Cad. No:13 Bilkent 06800 Ankara, TURKEY
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幹部:İlhan Yerlikaya(議長/President) 所掌事務
「1994 年ラジオ・テレビ会社設立及び放送法(Law on the Establishment of Radio and Television Enterprises and Their Broadcasts: Law No.3984)」に基
づき、1994 年に設立された。周波数の割当て及び商業放送事業者の認可・規制監
督等を所掌する。評議会は議会により選出される 9 名で構成されており、任期は
6 年である。議長及び副議長は評議会メンバー自身により選ばれ、任期は 2 年で
ある。
Ⅱ 法令 2014 年現在の基本法令は「1994 年ラジオ・テレビ会社及びメディアサービス
設立法(Law on the Establishment of Radio and Television Enterprises and Their Media Services: No.6112):通称「トルコ放送法」」である。同法により、
規制機関である RTUK が設置されたほか、公共放送事業者トルコ放送協会
(Turkish Radio & TV Corporation:TRT)の独占が廃止され、商業放送の正式
な認可が行われた。2002 年以降、規制の基準を EU 基準に合わせるために、幾度
かの改正が行われている。2011 年 3 月に改正された現行法では外資規定が変更さ
れ、一部の事業者に対して外資の資本比率の上限が 25%から 50%になった。
Ⅲ 政策動向 1 免許制度
外資規制 2005 年 3 月、政府は放送事業者全体の 4 分の 1 に当たる一部の全国放送事業
者に限り、外資規制を緩和し、単一の事業者に対する外資の上限を 25%に設定し
た。2011 年 3 月には、この上限が 25%から 50%に変更された。 2 公共放送関連政策
国営 TRT の財源は、電気料金税、テレビ・ラジオ受信機の売上税、広告収入、
政府予算からの補助金及び国全体のエネルギー関連総収入の 2%等から成り立っ
ている。 3 コンテンツ関連規制
(1)番組規制 RTUK は放送コンテンツの監視権限を有しており、テロリズム、暴力あるいは
公序良俗に反する番組を提供する放送局に対して、放送停止処分を行うことが可
能になっている。昨今では政治、宗教、治安、風俗などにかかわる規制が強化傾
向にある。2014 年にはソーシャルメディアに対する規制が実施されたほか、テレ
ビの報道番組で政府を批判したジャーナリストが解雇されるなど、報道の自由に
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対する政治圧力が強まっている。 (2)多言語放送
EU 加盟候補国であるトルコは、加盟に向けた準備段階として EU が定めてい
るマイノリティのテレビへの公平なアクセスを受け入れた。TRT は 2009 年にク
ルド語放送を、2010 年にはアラビア語放送を開始した。また 2010 年 2 月、RTUKは商業放送局 14 社(ラジオ 9 局、テレビ 5 局)に多言語放送を認可し、2015 年
現在 30 言語で放送が行われている。 4 地上デジタル放送
放送方式は DVB-T が選択されている。2006 年 2 月より、アンカラ、イスタン
ブール、イズミルの 3 都市で試験放送が開始されている。2007 年 4 月には、テ
レビ放送事業者が共同出資して、地上デジタル放送プラットフォームの建設・運
用を目的とした送信会社 Anten AS を設立した。地上デジタル放送を推進する通
信高等評議会と RTUK は、2015 年 3 月までのアナログ放送終了を予定していた
が、一部放送事業者によるデジタル化政策への反発等に伴い、デジタル放送への
移行は、アンカラ、イスタンブールを含め全く進んでいない状況である。
Ⅳ 事業の現状 1 ラジオ
2013 年現在、全国ネットワークは国営・商業放送合わせて 44 局あり、複数の
都市をカバーする地域局は 83 局、1 都市で放送する地方局は 833 局ある。TRTは全国向けのラジオ 1(AM・総合)、TRT FM(ニュース、音楽)、ラジオ 3(AM・
外国語ニュース等)、ラジオ 4(AM・ニュース、音楽)、TRT Nağ me(古典音楽)、
TRT Türkü(民族音楽)、TRT Radyo Haber(ニュース)の 7 系統と、ローカル
放送、国内主要都市での地域放送を行っている。商業放送事業者は、Show Radio、Radyo Foreks 等、大部分が FM 放送である。国際放送は TRT が 5 種類の放送を
行っている。そのうち TSR は短波やインターネット、衛星で 32 言語の放送を行
っている。 2 テレビ
TRT が 4 系統の全国放送と地域放送を実施している。商業放送は、1990 年に
設立した Star TV が同国初で、その後、90 年代には Show TV、Kanal D、ATV、
TGRT(現 Fox TV)などが開局し、これらの 5 事業者が視聴シェアの 5 割近くを
占めている。18 局が全国放送を、12 局が地域ネットワークでの放送を実施して
おり、地方局は 168 局ある。 3 衛星放送
テレビ保有世帯の約 8 割が衛星放送を受信しており、地上放送の受信割合は低
い。TRT 及び商業放送局は、衛星による同時放送も提供しており、総チャンネル
10
数は 500 を超える。また、DTH は、Digiturk と D-Smart によって行われている。
Digiturk は 2000 年に放送を開始し、SDTV131 チャンネルのほか、HDTV を 50チャンネル放送している。なお Digiturk は運営母体の債務問題により、2013 年
に預金保険基金によって差し押さえられた。 ビデオ・オン・デマンド(Video on Demand:VoD)もオプションで利用可能
である。後発事業者の D-Smart は、2007 年 3 月に放送を開始した。 2013 年現在、183 万 5,000 の利用者のうち有料サービス加入数は約 103 万 3,000
となっている。 2015 年末現在、トルコで衛星放送用に利用されている衛星(Turksat-4A 及び
4B)は 2011 年 3 月に三菱電機が受注したものであるが、トルコ政府は Turksat-5A及び 5B 等の新たな衛星調達を計画中である。 4 ケーブルテレビ
ケーブルテレビの基盤整備は 1990 年代後半に行われ、全国 22 都市をカバーし
ている。サービスは 2005 年までトルコ・テレコムが独占していたが、同社の民
営化に伴い Türksat が基盤管理を行い、子会社の Kabolnet が放送を行っている。
国内放送のほか、BBC や CNN 等の海外放送も含めた 82 チャンネルの放送を行
っている。なお、2008 年 10 月にイスタンブール、アンカラ、イズミルの 3 都市
でデジタル放送を開始、以降全国に拡大している。
Ⅴ 運営体 トルコ放送協会(Turkish Radio and Television Corporation:TRT)
Tel.:+90 312 463 2330 URL:http://www.trt.net.tr/ 所在地: Türkiye Radyo-Televizyon Kurumu Genel Müdürlüğü TRT Sitesi 06109 Or-An Ankara, TURKEY 幹部:Şenol GÖKA(最高経営責任者/CEO) 概要
1964 年に「トルコ・ラジオ・テレビ(TRT)法」の制定によって設立された国
営放送である。全国放送として TRT-1(総合編成)、TRT-2(ニュース、文化、芸
術)、TRT-3(スポーツ)、TRT-4(教育・子ども向け)の 4 チャンネル、地域放
送として南アナトリアを対象とした TRT-GAP、クルド系住民を対象とした TRT-6を放送する。2009 年から衛星チャンネルが増加し、TRT-Belgesel(観光、ドキ
ュメンタリー)、TRT Müzik(音楽番組)、TRT Arapça(アラビア語放送)など
の放送を開始している。
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電波
Ⅰ 監督機関等 1 監督機関
(1)運輸・海事・通信省 (通信/Ⅰ-1の項参照)
(2)情報通信技術庁(ICTA) (通信/Ⅰ-2の項参照)
所掌事務 電波監理、衛星位置の割当て等を所掌している。
2 標準化機関
トルコ標準化機構(Turkish Standard Institution:TSE) Tel.:+90 312 416 6200 URL:http://www.tse.org.tr/ 所在地:Necatibey Cad. No:112 06100 Bakanlıklar, Ankara TÜRKİYE 幹部:Sebahittin Korkmaz(総裁/President) 所掌事務
1960 年に設立された。首相府に属し、工業製品一般にかかわる標準の策定及び
調査・研究を所掌する。
Ⅱ 電波監理政策の動向 1 電波監理政策の概要
電波監理業務は、ICTA の所管業務とされており、国家周波数計画の策定、周
波数の効率的な分配・割当て、周波数監視などを実施する。「2008 年電子通信法」
により、EU の規制枠組を取り入れた結果、電波監理においても大きな変化があ
った。2009 年 7 月に ICTA は「周波数管理令第 27276 号」を発し、それまで官
民が協議して進めてきた周波数分配計画の策定方法を変更した。これによって、
周波数分配は国際的な決定に従い、新技術の迅速な導入を進めるとした。同時に、
ICTA に新技術の導入や国際的な協調のために周波数分配を変更する権限が付与
された。 2 無線局免許制度
「周波数管理令第 27276号」により、免許不要で利用できる周波数帯を除いて、
無線局の運用には ICTA が付与する免許が必要とされる。免許付与においては、
軍及び国家安全機関が優先される。また、軍用及び放送用の周波数は、周波数分
配計画によって分配されるが、割当ては ICTA では行わない。
12
周波数等の使用の権利が限られている場合、電子通信分野における認可に関す
る入札条例(By-Law on Tenders concerning Authorization in the Elecotronic Communications Sector)に従い、入札手続により、免許が付与される。2007 年
9 月の 2.1GHz 帯の 3G 周波数の免許付与で初めてオークションを試みたが、応
札が 1 社のみであったために、これを中止した。2008 年 9 月に改めてオークシ
ョンを実施、11 月に 3 社が落札したことを発表した。更に、2009 年 2 月には
900MHz 帯の GSM 免許のオークションを実施している。 WiMAX 用周波数帯として、2.4 及び 3.5GHz 帯についてもオークションによる
割当てが予定されている。そのほかアンカラ市当局に割り当てられていた
450-470MHz 帯が公共移動体アクセス(Public Access Mobile Radio:PAMR)・
サービスに割り当てられる予定である。 2015 年 8 月には、モバイルブロードバンドへの割当てに、800MHz 帯、900MHz
帯、1.8GHz 帯、2.1GHz 帯、2.6GHz 帯のマルチ周波数オークションが実施され
た。オークション結果は下表のとおりである。
ブロック 周波数帯域 幅(MHz) 落札価格(EUR) 落札者
A1 800MHz FDD 2×10 390,000,000 ボーダフォン
A2 800MHz FDD 2×10 380,000,000 Avea
A3 800MHz FDD 2×10 372,926,013 Türkcell
B1 900MHz FDD 2×7.6 216,819,184 Avea
B2 900MHz FDD 2×1.4 39,940,376 ボーダフォン
B3 900MHz FDD 2×1.4 39,940,376 Türkcell
C1 1.8GHz FDD 2×29.8 430,000,000 Türkcell
C2 1.8GHz FDD 2×20 310,000,000 Avea
C3 1.8GHz FDD 2×10 95,104,623 ボーダフォン
D1 2.1GHz FDD 2×5 160,000,000 Türkcell
D2 2.1GHz FDD 2×5 188,000,000 Türkcell
D3 2.1GHz TDD 1×10 35,664,234 Türkcell
E1 2.6GHz FDD 2×25 384,000,000 Türkcell
E2 2.6GHz FDD 2×15 240,000,000 ボーダフォン
E3 2.6GHz FDD 2×10 25,858,917 Avea
E4 2.6GHz FDD 2×10 ― ―
F1 2.6GHz TDD 1×15 22,000,000 Avea
13
F2 2.6GHz TDD 1×10 12,929,461 ボーダフォン
F3 2.6GHz TDD 1×10 12,929,459 Türkcell
F4 2.6GHz TDD 1×5 ― ―
合計 390.4 3,356,112,643
3 電波利用料制度
1983 年無線通信法によって、免許料及び年間の電波利用料が各種通信機器に賦
課される。 4 電波監視体制
ICTA は全国の 7 地域に電波監視センターを置き、固定・ポータブル・移動監
視装置や方探装置によって、広範な周波数範囲の電波の利用状況モニター、占有
バンド幅測定や不法な電波干渉の測定を実施している。このシステムは National Monitoring System(NMS)と呼ばれている。更に、周波数の有効利用を図るた
めに監視データを解析する National Frequency Management System を構築し
ている。
Ⅲ 周波数分配状況 周波数分配表 URL: https://ifis.btk.gov.tr/wmfys/millifrekanssorgu.aspx
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