“つばさ”プロジェクト連携校 東京家政学院大学からのお知らせ … ·...

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“つばさ”プロジェクト 運営協議会 委員長 小田 隆治 平成 25 年 9 月 30 日発行 FDネットワーク “つばさ” プロジェクト代表校 山形大学教育開発連携支援センター 〒990-8560 山形県山形市小白川町 1-4-12 TEL 023-628-4480 / FAX 023-628-4720 URL http://www.yamagata-u.ac.jp/gp/tsubasa-p2012/ NEWS Vol.4 山形大学、会津大学、札幌大学、北翔大学、青森中央学院大学、石巻専修大学、東北芸術工科大学、東日本国際大学、明海大学、国際武道大学、了德寺大学、 東京家政学院大学、東京造形大学、日本女子大学、札幌大学女子短期大学部、北翔大学短期大学部、青森中央短期大学、羽陽学園短期大学、いわき短期大学 北海道教育委員会、北海道釧路市、北海道沙流郡平取町、NPO 法人阿寒観光協会まちづくり推進機構、山形県新庄市、山形県最上郡金山町、山形県最上郡最上町、 山形県最上郡舟形町、山形県最上郡真室川町、山形県最上郡大蔵町、山形県最上郡鮭川村、山形県最上郡戸沢村、神奈川県川崎市、神奈川県相模原市 連携校 連携機関 Faculty Development / Staff Development Newsletter NEWS 文部科学省平成 24 年度「大学間連携共同教育推進事業」採択事業 東日本広域の大学間連携による教育の質保証・向上システムの構築 東日本大学間連携 FD ネットワーク “つばさ”プロジェクト 東日本大学間連携 FD ネットワーク “つばさ”プロジェクト FD ネットワーク “つばさ” プロジェクト 事務局 スタッフ紹介 “つばさ” プロジェクト 東京家政学院大学 シンポジウム in 千代田 “つばさ”プロジェクトの各事業は、私たち山形大学スタッフが分担・協力して準備にあ たっております。補助事業開始から 2 年目を迎え、連携校・連携機関の方々からも認知い ただけるようになってきました。本プロジェクトの各種事業においては、「おもてなし」が キーワードです。そうです、あの「お・も・て・な・し」です。 ご参加いただく皆さま方を女性らしい細やかな心遣い、そしてホスピタリティの心を持っ てお迎えいたします。 一方で、連携校の皆さま方には、ご寄稿、会議へのご出席など、お願いしなければなら ないこともたくさんありますので、お忙しいところとは存じますが、これからも温かいご 支援とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。 写真左から… 西田 靜子(酒田市出身 担当:FD/SD News 他刊行物の編集、プロジェクト運営協議会など) 岡崎 倫子(東根市出身 担当:エリアキャンパスもがみ、大地連携ワークショップなど) 渡部ひとみ(上山市出身 担当:プロジェクトシンポジウム、基盤教育ワークショップなど) 小田島希子(山形市出身 担当:学生 FD 会議、大学間連携 SD 研修会など) 志田 リサ(山形市出身 担当:FD 合宿セミナー、授業改善アンケート、HP の管理・更新など) 山形大学教務課教育企画担当係長 庄司 由紀彦 JR A 従来は 8 月に入ると夏休みの気分にどっぷりと浸っ ていました。ですが、FD の仕事に従事するようになっ た 10 数年前から 8・9 月は授業がある期間よりももっ と忙しい時期になってしまいました。 今年の 8月1日「学生主体型授業合同成果コン テスト」で幕を開けました。そこでは3つの授業の学 生による課題発表会が行われましたが、とてもユニー クで内容の濃い発表がなされました。1 位から 3 位ま でのチームには(つまりすべての参加チームですが) 米沢牛と釧路市から提供されたシカ肉が副賞として提 供されました。 週が明けた 6 日から 9 日は、北海道から関東までの 8大学・短大の 19 名の学生が山形県金山町に集まっ て、地元の人たちを講師として現地体験型学習の「大 地連携ワークショップ」が実施されました。銀山の廃 坑に入ってコウモリに襲われたり、ニラの収穫作業で ブヨの襲来にあったりと、辛いおもいをしながらも、 他大学の学生や地元の人たちと深い交流をし、いろい ろなことを考えたようです。学生たちにはとても良い 体験になったことでしょう。 この「大地連携ワークショップ」は、来年には北海 道の平取町と釧路市阿寒町、神奈川県の川崎市と相模 原市、そして山形県で開催する予定です。今年はその パイロット版でした。いろいろな大学からたくさんの 教職員の方々が見学されました。来年度が楽しみです。 たくさんの学生さんが参加されることを望んでいます。 ここで嬉しいニュースがあります。来年度から開講 する予定だった平取町の「大地連携ワークショップ」が、 東京造形大学と平取町の連携によって、今年の 8 月 17 日から 20 日の間、6 名の大学院生が参加して実施 されました。こうした自律的な動きに、プロジェクト の委員長である私は、東京造形大学の越村先生や平取 町の木下係長にとても感謝しています。 私は金山町で開催された「大地連携ワークショップ」 に学生と一緒にすべて参加する予定でしたが、7 日に 私の授業の試験があったので大学に戻り、8日北海 道の IDE の研修会で『山形大学の大地連携による現地 体験型学習とその発展』というタイトルで基調講演を し、その日のうちに東京に飛び、翌日の 9日「大学 改革フォーラム」で GP の総括と“つばさ”プロジェ クトの「大地連携ワークショップ」の講演を行いました。 というわけで、金山町のワークショップは 1 日の参 加だけでした。私は大きな口は叩けないのです。 12 日から 16 日は、山形大学は一斉休業に入りまし たが、私は授業の試験の採点や原稿書きなどで毎日大 学に出、13 日は病気で試験を受けられなかった学生 から連絡を受けて、お盆なのに研究室で試験をしまし た。溜まった仕事を帳消しにする週となりましたが、 もちろんこの週だけでは帳消しになりませんでした。 お盆が明けると、20 日には北海道の北翔大学で“つ ばさ”主催の「学生 FD 会議」を行いました。全国から たくさんの学生と教職員が集まって活発な議論が展開 されました。準備と当日の運営をしていただいた北翔 大学の学生 FD 組織の「アンビエント」の学生さんたち にはとても感謝しています。おかげさまで、とても良 い会となりました。 26 日から 28 日は山形大学の蔵王山寮で「FD 合宿 セミナー」を開催し、全国の大学・短大・高専からた くさんの先生方が参加され、大学の規模や専門性を超 えて、大学教育について活発な議論が展開されました。 山形大学では「FD 合宿セミナー」を平成 13 年度か ら毎年開催しており、平成 15 年度からは他大学にも開 き、今年で 13 年目となりますが、これまで千名を超え る全国の教員の方々が参加されています。開始当初は 「FD」や「シラバス」という言葉も一般的ではありませ んでしたが、最近はこうした用語を説明しなくてもよ くなりました。大学の教育改革は着実に進んでいます。 教育とりわけ授業をより良いものにしていけるかど うかは、我々大学教員にかかっています。 29 日と 30 日は福島大学で開催された「東北・北海 道地区大学等高等・共通教育研究会」に参加して発表し、 8 月は終わりました。この他にも、ある大学から依頼 されて FD の講演をするなど、8 月は FD 漬けでした。 この原稿を書いているのは、9 月 2 日です。明日 3 「山形大学教員研修会 第 15 回基盤教育ワーク ショップ」が朝 10 時から夕方 4 時半まであります。 国際基督教大学元学長の絹川正吉先生の基調講演『な ぜ教養教育か?』がいまから楽しみです。90 分も話し ていただけるのですよ。 5 日から 6 日まで山形大学で 「大学間連携 SD 研修会」 を開催します。北海道から鹿児島まで全国の職員さん が参加されて、一泊二日の SD を行います。今年のテー マは「大地連携(大学と地域の連携)の可能性と事務 職員の役割」です。例年通り今年も楽しくも激しい SD が展開されることでしょう。 8 月に実施された FD の詳しい内容については、この ニュースをご覧ください。参加された学生や教員の生 の声が聞けるはずです。 ブルース・ウィリスのようにマッチョでも格好良く もありませんが、息を切らせながらとりあえず 8 月を 乗り切りました。ぜえぜえ。 “つばさ”プロジェクト連携校 東京家政学院大学からのお知らせ 8 月1日から始まった怒濤の事業強化月間が終わり、 山形市内は日に日に肌寒い秋風を 感じるようになりました。 毎朝 「じぇじぇじぇ」 と元気をもらい、 日曜日には、 八重さんと半 沢課長 (現次長) に勇気をもらって月曜日を迎えるという繰り返しでした。 毎日めまぐるしく 報道される異常気象やニュースさながらに、 雨と嵐の合間を縫うように開催された各事業を 終えて、 事務局スタッフの面々もようやく一息ついています。 委員長は、 ぜえぜえ言いなが らも、 東京オリンピック開催決定に沸く日本を出て欧州へ。 映画の 「ダイ ・ ハード」 ではト ラブルが続出ですが、 各事業ともトラブルは回避、 天候にも恵まれ、 無事開催に至りましたのは、 ご参加 いただいた皆様の熱意と志のおかげだと思っています。 また、 今号では、 事業毎に参加学生、 教職員の 多数の皆様からご寄稿いただき、 大変読み応えのある構成となりました。 お忙しい中、 速やかに快く原稿 の提出にご協力いただきまして、この場を借りて感謝申し上げます。 事業毎に連携が深まり、出会いがあり、 「“つばさ” は交換と実験の場」 という言葉が何度もよぎった夏でした。 (に) / S D ン  サマー “首都圏”から“つばさ”プロジェクトに参加している東京家政学院大学が、11 月 8 日(金)「都市型アクティブ・ラーニング」シンポジウム in 千代田を開催します。 本学千代田三番町キャンパスは、官公庁・企業・各種社会教育施設などのアクセスの よさが特徴です。大都市『東京』らしい顔の見える連携、『千代田という地域』だから できる大学生のアクティブ・ラーニングを考えるシンポジウムを企画しました。 シンポジウム前半では大学間連携をテーマとして、文部科学省高等教育局 里見朋 香氏、千代田区長 石川雅己氏にご講演をいただきます。 後半は「金融」「協同」をテーマにした取組に焦点をあてます。東京家政学院大学と 連携実績のある地域金融機関(西武信用金庫)と消費生活協同組合(パルシステム神 奈川ゆめコープ)に、話題提供をいただき、都市型アクティブ・ラーニングの意義や 方法について考えます。消費者庁長官 阿南久氏に「協同」、信金中央金庫 藤野次雄 研究所長に「金融」に対しコメントをいただき、大学におけるアクティブ・ラーニ ングの可能性と課題を展望します。 “つばさ”プロジェクトの新たな領域へのチャレンジとなる都市型アクティブ・ラー ニングのシンポジウム、多くの方のご参加をお待ちしています。 <問合わせ先> 東京家政学院大学 (千代田三番町キャンパス) 教育研究支援グループ 〒102-8341 東京都千代田区三番町22番地 TEL/03-3262-2251( 代 ) FAX/03-3262-2174( 代 ) E-mail/[email protected] 12 NEWS Vol.4

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“つばさ”プロジェクト 運営協議会 委員長 小田 隆治

平成 25 年 9月 30 日発行FDネットワーク “つばさ” プロジェクト代表校山形大学教育開発連携支援センター〒990-8560 山形県山形市小白川町 1-4-12TEL 023-628-4480 / FAX 023-628-4720URL http://www.yamagata-u.ac.jp/gp/tsubasa-p2012/

NEWS Vol.4

山形大学、会津大学、札幌大学、北翔大学、青森中央学院大学、石巻専修大学、東北芸術工科大学、東日本国際大学、明海大学、国際武道大学、了德寺大学、東京家政学院大学、東京造形大学、日本女子大学、札幌大学女子短期大学部、北翔大学短期大学部、青森中央短期大学、羽陽学園短期大学、いわき短期大学

北海道教育委員会、北海道釧路市、北海道沙流郡平取町、NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構、山形県新庄市、山形県最上郡金山町、山形県最上郡最上町、山形県最上郡舟形町、山形県最上郡真室川町、山形県最上郡大蔵町、山形県最上郡鮭川村、山形県最上郡戸沢村、神奈川県川崎市、神奈川県相模原市

連 携 校

連携機関

Faculty Development / Staff Development Newsletter

NEWS

文部科学省平成 24 年度「大学間連携共同教育推進事業」採択事業

東日本広域の大学間連携による教育の質保証・向上システムの構築

東日本大学間連携 FD ネットワーク“つばさ”プロジェクト東日本大学間連携 FD ネットワーク“つばさ”プロジェクト

FD ネットワーク “つばさ” プロジェクト    事務局 スタッフ紹介

“つばさ” プロジェクト 東京家政学院大学シンポジウム in 千代田

 “つばさ”プロジェクトの各事業は、私たち山形大学スタッフが分担・協力して準備にあ

たっております。補助事業開始から 2 年目を迎え、連携校・連携機関の方々からも認知い

ただけるようになってきました。本プロジェクトの各種事業においては、「おもてなし」が

キーワードです。そうです、あの「お・も・て・な・し」です。

 ご参加いただく皆さま方を女性らしい細やかな心遣い、そしてホスピタリティの心を持っ

てお迎えいたします。

 一方で、連携校の皆さま方には、ご寄稿、会議へのご出席など、お願いしなければなら

ないこともたくさんありますので、お忙しいところとは存じますが、これからも温かいご

支援とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。

写真左から…

西田 靜子(酒田市出身 担当:FD/SD News 他刊行物の編集、プロジェクト運営協議会など)

岡崎 倫子(東根市出身 担当:エリアキャンパスもがみ、大地連携ワークショップなど)

渡部ひとみ(上山市出身 担当:プロジェクトシンポジウム、基盤教育ワークショップなど) 

小田島希子(山形市出身 担当:学生 FD 会議、大学間連携 SD 研修会など)

志田 リサ(山形市出身 担当:FD 合宿セミナー、授業改善アンケート、HP の管理・更新など)

山形大学教務課教育企画担当係長 庄司 由紀彦

JR A

 従来は 8 月に入ると夏休みの気分にどっぷりと浸っていました。ですが、FD の仕事に従事するようになった 10 数年前から 8・9 月は授業がある期間よりももっと忙しい時期になってしまいました。 今年の 8 月は 1 日の「学生主体型授業合同成果コンテスト」で幕を開けました。そこでは3つの授業の学生による課題発表会が行われましたが、とてもユニークで内容の濃い発表がなされました。1 位から 3 位までのチームには(つまりすべての参加チームですが)米沢牛と釧路市から提供されたシカ肉が副賞として提供されました。 週が明けた 6 日から 9 日は、北海道から関東までの8大学・短大の 19 名の学生が山形県金山町に集まって、地元の人たちを講師として現地体験型学習の「大地連携ワークショップ」が実施されました。銀山の廃坑に入ってコウモリに襲われたり、ニラの収穫作業でブヨの襲来にあったりと、辛いおもいをしながらも、他大学の学生や地元の人たちと深い交流をし、いろいろなことを考えたようです。学生たちにはとても良い体験になったことでしょう。 この「大地連携ワークショップ」は、来年には北海道の平取町と釧路市阿寒町、神奈川県の川崎市と相模原市、そして山形県で開催する予定です。今年はそのパイロット版でした。いろいろな大学からたくさんの教職員の方々が見学されました。来年度が楽しみです。たくさんの学生さんが参加されることを望んでいます。  ここで嬉しいニュースがあります。来年度から開講する予定だった平取町の「大地連携ワークショップ」が、東京造形大学と平取町の連携によって、今年の 8 月17 日から 20 日の間、6 名の大学院生が参加して実施されました。こうした自律的な動きに、プロジェクトの委員長である私は、東京造形大学の越村先生や平取町の木下係長にとても感謝しています。 私は金山町で開催された「大地連携ワークショップ」に学生と一緒にすべて参加する予定でしたが、7 日に私の授業の試験があったので大学に戻り、8 日は北海道の IDE の研修会で『山形大学の大地連携による現地体験型学習とその発展』というタイトルで基調講演をし、その日のうちに東京に飛び、翌日の 9 日は「大学改革フォーラム」で GP の総括と“つばさ”プロジェクトの「大地連携ワークショップ」の講演を行いました。 というわけで、金山町のワークショップは 1 日の参加だけでした。私は大きな口は叩けないのです。 12 日から 16 日は、山形大学は一斉休業に入りましたが、私は授業の試験の採点や原稿書きなどで毎日大

学に出、13 日は病気で試験を受けられなかった学生から連絡を受けて、お盆なのに研究室で試験をしました。溜まった仕事を帳消しにする週となりましたが、もちろんこの週だけでは帳消しになりませんでした。 お盆が明けると、20 日には北海道の北翔大学で“つばさ”主催の「学生 FD 会議」を行いました。全国からたくさんの学生と教職員が集まって活発な議論が展開されました。準備と当日の運営をしていただいた北翔大学の学生 FD 組織の「アンビエント」の学生さんたちにはとても感謝しています。おかげさまで、とても良い会となりました。 26 日から 28 日は山形大学の蔵王山寮で「FD 合宿セミナー」を開催し、全国の大学・短大・高専からたくさんの先生方が参加され、大学の規模や専門性を超えて、大学教育について活発な議論が展開されました。 山形大学では「FD 合宿セミナー」を平成 13 年度から毎年開催しており、平成 15 年度からは他大学にも開き、今年で 13 年目となりますが、これまで千名を超える全国の教員の方々が参加されています。開始当初は

「FD」や「シラバス」という言葉も一般的ではありませんでしたが、最近はこうした用語を説明しなくてもよくなりました。大学の教育改革は着実に進んでいます。 教育とりわけ授業をより良いものにしていけるかどうかは、我々大学教員にかかっています。 29 日と 30 日は福島大学で開催された「東北・北海道地区大学等高等・共通教育研究会」に参加して発表し、8 月は終わりました。この他にも、ある大学から依頼されて FD の講演をするなど、8 月は FD 漬けでした。 この原稿を書いているのは、9 月 2 日です。明日 3日は「山形大学教員研修会 第 15 回基盤教育ワークショップ」が朝 10 時から夕方 4 時半まであります。国際基督教大学元学長の絹川正吉先生の基調講演『なぜ教養教育か?』がいまから楽しみです。90 分も話していただけるのですよ。 5 日から 6 日まで山形大学で「大学間連携 SD 研修会」を開催します。北海道から鹿児島まで全国の職員さんが参加されて、一泊二日の SD を行います。今年のテーマは「大地連携(大学と地域の連携)の可能性と事務職員の役割」です。例年通り今年も楽しくも激しい SDが展開されることでしょう。 8 月に実施された FD の詳しい内容については、このニュースをご覧ください。参加された学生や教員の生の声が聞けるはずです。 ブルース・ウィリスのようにマッチョでも格好良くもありませんが、息を切らせながらとりあえず 8 月を乗り切りました。ぜえぜえ。

“つばさ”プロジェクト連携校 東京家政学院大学からのお知らせ

 8 月1日から始まった怒濤の事業強化月間が終わり、 山形市内は日に日に肌寒い秋風を感じるようになりました。 毎朝 「じぇじぇじぇ」 と元気をもらい、 日曜日には、 八重さんと半沢課長 (現次長) に勇気をもらって月曜日を迎えるという繰り返しでした。 毎日めまぐるしく報道される異常気象やニュースさながらに、 雨と嵐の合間を縫うように開催された各事業を終えて、 事務局スタッフの面々もようやく一息ついています。 委員長は、 ぜえぜえ言いながらも、 東京オリンピック開催決定に沸く日本を出て欧州へ。 映画の 「ダイ ・ ハード」 ではト

ラブルが続出ですが、 各事業ともトラブルは回避、 天候にも恵まれ、 無事開催に至りましたのは、 ご参加いただいた皆様の熱意と志のおかげだと思っています。 また、 今号では、 事業毎に参加学生、 教職員の多数の皆様からご寄稿いただき、 大変読み応えのある構成となりました。 お忙しい中、 速やかに快く原稿の提出にご協力いただきまして、この場を借りて感謝申し上げます。 事業毎に連携が深まり、出会いがあり、「“つばさ” は交換と実験の場」 という言葉が何度もよぎった夏でした。 (に)

FD / SD イン サマー “首都圏”から“つばさ”プロジェクトに参加している東京家政学院大学が、11 月

8 日(金)に 「都市型アクティブ・ラーニング」シンポジウム in 千代田を開催します。

本学千代田三番町キャンパスは、官公庁・企業・各種社会教育施設などのアクセスの

よさが特徴です。大都市『東京』らしい顔の見える連携、『千代田という地域』だから

できる大学生のアクティブ・ラーニングを考えるシンポジウムを企画しました。

 シンポジウム前半では大学間連携をテーマとして、文部科学省高等教育局 里見朋

香氏、千代田区長 石川雅己氏にご講演をいただきます。

 後半は「金融」「協同」をテーマにした取組に焦点をあてます。東京家政学院大学と

連携実績のある地域金融機関(西武信用金庫)と消費生活協同組合(パルシステム神

奈川ゆめコープ)に、話題提供をいただき、都市型アクティブ・ラーニングの意義や

方法について考えます。消費者庁長官 阿南久氏に「協同」、信金中央金庫 藤野次雄

 研究所長に「金融」に対しコメントをいただき、大学におけるアクティブ・ラーニ

ングの可能性と課題を展望します。

 “つばさ”プロジェクトの新たな領域へのチャレンジとなる都市型アクティブ・ラー

ニングのシンポジウム、多くの方のご参加をお待ちしています。

<問合わせ先>

東京家政学院大学 (千代田三番町キャンパス) 教育研究支援グループ

〒102-8341 東京都千代田区三番町22番地 

TEL/03-3262-2251( 代 ) FAX/03-3262-2174( 代 ) E-mail/[email protected]

後 記

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NEWS Vol.4

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 今回学生たちが来ていただいてとても楽しかったです。若い人たちが農業に、また金山に興味を持って作業をしていただいたのは、生産者として金山の住民としてとてもうれしく思いました。これがきっかけで金山のニラや他

の農産物などを手にしていただけたら幸いです。 また、学生たちには早朝からニラ狩り作業を体験してもらい、生産者の大変さや大事に育てている思いなどが少しでも伝わったのではないでしょうか。選別作業の時も真剣に取り組んでくれて助かりました。 たまに若い人たちが作業に加わるとこちらもやる気が出て楽しく仕事ができます。またいつでもいいので金山に遊びに来たときは気軽に顔を出してください。 参加してくれた学生の方から後日とても素敵な写真を頂きました。 本当にありがとうございました。皆さんも体に気を付けて勉強頑張ってください。

  月6日から9日までの4日間、山形県最上郡の金山町に8つの高等教育機関から総勢 22 名( サポーター3名)の学生と 22 名の教職員が集結し、第 1 回大地連携ワークショップが開催されました。初対面の学生たちが打ち解け合えるのか心配していましたが、サポーターや地域の方々、金山町教育委員会の皆様のおかげでジメジメした暑さに負けない熱いものになりました。 今回のテーマは、「きらり金山再発見!」です。 3 グループに分かれた学生たちは、銀山で坑道を修繕したり、ニラ収穫を体験したりするなど、金山町の自然と文化に触れながら、金山町の魅力について考えました。日中のフィールドワークが終わると、夜はゆっくり...といきた

いところですが、そうはいきません。 今回の大地連携ワークショップでは、最終日に地域の方々を招いて発表を行うという課題が設定されているため、夕食の後は各グループで振り返りの時間です。眠い目をこすりながら、「金山町の魅力は一体何なのか」「自分たちは地域に対してどのような貢献ができるのか」を真剣に議論する姿は、見ていて清々しいものでした。 異なる地域にいる人たちと出会い、親密な関係性を築くことができると、学生たちはその新鮮さに刺激されます。しかし、大地連携ワークショップにはそれ以上の価値があります。課題について集団で協力し合いながら真剣に議論し、グループとして1つの結論をまとめあげる事は、

今後多様な状況におかれた際に異質な集団と適切に協働することのできる力の習得に繋がります。もちろん、4日間の中で力を完全に習得することは難しいのかもしれません。しかし、私は学生たちが仲間と共に葛藤し、時には衝突を繰り返し、自分達の結論を導きだそうとする姿を見て、4日間の経験が彼らの成長を促す重要なきっかけに繋がると確信しました。 今後も、連携校の方々と協力し合いながら、素晴らしいプログラムを考えていきたいと思います。

 当組合は、森林・林業の中でも、自然環境教育といった分野は恥ずかしながら不得手で、大学生の皆さんが森林のどこに魅力を感じ、林業の何に関心があるのか、みんなの知りたい、学びたい事に対して応えることができるか、不安であったことは確かです。

 「安ずるより生むが易し」とはよく言ったもので、来組した 8 名の皆さんは、共通のテーマと個別の問題意識を持ち、森林を取り巻く課題や地域における林業の役割を理解しようとする姿勢が、説明者の私にも十分に伝わり、私自身ワークショップに参加できたようで楽しい経験をさせていただきました。特に枝葉を山から集め、燃料チップに破砕し、実際に温泉に利用するという、再生可能エネルギー(バイオマス)を入り口としたアプローチは、私も含め、みんなで楽しめた体験であったと考えております。 山形だけでなく、他の地域からの参加があったことも、学生の皆さんの発想や価値観を広げていたようにも感じ、私自身、学ぶことの多い一日でした。

 今回のフィールドワークの4日間はとても内容の濃い4日間でした。 1日目と2日目に私たち2班は林業についての体験として、山を登ったり、木工クラフトをしたりしました。 私は今まで自然豊かな場所で育ってきたため、 幼いころに戻った気分で体験できたのでとても楽しかったです。 しかし、 一番楽しかったのは昼の1時から翌朝5時までかかったプレゼンの発表準備です。 こんなに長い時間班のみんなで意見を出し合い、 話し合い、 意見をまとめ、プレゼンの資料を作るのは初めてで、 とても楽しかったです。 また、 今回のように自分とはまったく違う分野を専攻し、 違う経験をしてきた人たちと話しをしたことにより、自分とは違う着眼点や意見を多く知ることができ、 とても勉強になりました。 今回のフィールドワークで私はとても貴重な経験をすることができました。 この経験を今後の大学生活に生かしていきたいです。

 今回のフィールドワークは地元の活性化が目標の一つだったが、 僕は 「交流」 をすることの大切さを実感した。 それは、 大きく分けて2種類ある。 一つは 「学生交流」。 夕食時、 挨拶を担当することになり、 戸惑いながらも成功。 僕は今さらながら人前で話すことが苦手だと自覚していたので、今回の活動を転機としようとしていた。 結果、自分の持ち味と他大学との合同活動ということもあり、 4日間を通して多くの学生との親交を持つことが出来た。 二つ目は 「現地交流」 ニラの農家やブルーベリー農家と苺農家などと出会い、 経営や仕事内容を教わった。 蕎麦屋で実際に蕎麦作りもした。 結果、 季節に収入が偏るため、多くは兼業している事など、 厳しい側面も痛感した。 ただ、 明るいこともあった。 今回の活動では山形県外の、農業に関わりがないメンバーが多く、彼らは農業に対する楽しさや興味をもってくれた。農家の人々も親切で、 自分達と活発に交流することが出来た。 地域の現状を知り、 活性化を住民と共に進める。 その目的によって得たものだけでなく、 これらの 「交流」 を通して得たものもこれからに生かしたい。

 旅行が好きな私は、 お世話になっている先生から 「山形のワークショップに参加してみないか」 というお話をいただいた時、 手放しで喜びました。 ところがどっこい、 このワークショップは楽しいだけでなく、 旅行では得られないような多くの事を学ぶことができました。 農作業を通して農家の方の苦労を知ったり、様々な県から集まった個性豊かな学生たちとアイデアを出しあったりと、 4日間があっという間でとても充実していました。 プレゼンのまとめ作業が信じられないほど終わらず、 皆で徹夜してまとめあげた事も良い思い出です。 最終日には、 4日間頑張った自分たちへのご褒美に、 地元で美味しいと評判のかき氷を皆で食べに行きました。 金山町の自然や町並みを見て、 人々の温かさに触れ、 ずっと金山町にいたくなってしまいました。 大学も学部も学年も異なる学生が集まると、自分には無い面白い考えを持つ人にたくさん出会うことができ、 良い刺激を受けました。このワークショップの魅力の一つだと思います。 この原稿には書ききれないほど中身のある 4日間を過ごす事ができました。 ありがとうございました。

 私は今回の金山町でのフィールドワークに参加することができて本当に良かったと思っています。 一日、 一日が新しいことの発見で4日間があっというまでした。 いろいろな大学から集まってきた仲間ともすぐに打ち解け、 一緒に汗を流して活動した事や最終日のプレゼンテーションに向け意見をぶつけ合ったりという信頼しあえる仲間に出会えた事に感謝しています。 初めて訪れた金山町は街並みがとても美しく、 町の方々がみんなで良くしていこうと活動していることに感銘を受けました。 また金山町の方々は自然を大切にしているな思いました。 自然をただ利用するだけではなく、 必要とする量だけ使いあとは大事にメンテナンスをするなどといったように自然と人間を平行に捉え共に暮らしている姿が魅力的でした。 今回の活動にご尽力いただいたみなさま、 本当にありがとうございました。 この素晴らしい経験をとおして金山町が大好きになりました。

東京家政学院大学 現代生活学部 健康栄養学科

青森中央短期大学 

幼児教育学科

山形大学 

工学部 機械システム工学科

 私が金山町に来て最初に思ったことは、空気が綺麗で木がたくさんあることです。2班の1員として主に林業のことについて様々なことを経験しました。山を登り自然と一体化し、実際に木質チップを作る過程を経験し、木工クラフト体験をし、「木」や「自然のもの」にたくさん触れ合った4日間でした。また、金山町の活性化について林業という視点で考え、これまでにないほど頭をひねらせ、仲間達と最高の話し合いや発表をすることができてとても満足しています。そして、新たな視点から物事を捉えたときの視野の広がりを発見した喜びも感じることができました。 この4日間で金山町に住みたい、また来たいと思えたのは、この町の魅力を引き出せた証拠なのだと思います。普段当たり前に目にする木材や自然の大切さを改めて感じ取りました。今回出会った金山町の方々や仲間達、先生方、本当にありがとうございました。

有屋ファーム 代表 沼澤 良一

山形大学講師 時任 隼平

「19 歳のフィールドワーク」―自然の恵みを体感し 人のこころの本質へ― 札幌大学女子短期大学部キャリアデザイン学科              1 年 川口 ゆり

「フィールドワークもがみ」

     -二つの【交 流】-

山形大学 工学部 1年 林 一平

1年 村井 ひかる 1年 矢田 芳梨

1年 尾田 裕太朗

日本女子大学家政学部 住居学科          3年 山 侑子

金山町森林組合 狩谷 健一

『やっぱいいどごだにゃあ、金山町。』

学生達のフィールドワークについて

― 「豊かさ」 って、 何だと思いますか。「自分たちの暮らしぶりを人々に体験してもらう」というコンセプトの 「暮らし考房」 を、 私の班は訪れました。 そこを営むメープルサップ (採取家の栗田和則さんは、 私たちに豊かさの定義を問いました。 豊かさ (幸せ) の定義は人それぞれ違います。 そこを突き詰めてゆきたいと、その時強く感じました。 フィールドワークは、 大学生が自然という大きなフィールドに飛び出して、 新しいなにかに気付くものです。 このような経験を重ねることによって、 人は豊かな心を築いてゆけるのだと思います。 気付くことで、 築いてゆく。 どんどん便利になっている私たちの暮らし。お金や物、愛する家族や友人、恋人がいる。そして、 「居場所」 が、 ある。 私たちは、 どんな豊かさを通して、 この人生を素敵なフィールドにするのでしょうか。 私は、 暮らしている北海道という場所で様々な体験をし、「19 歳のフィールドワーク」を、実行していこうと心に決めました。まちでも、 人でも、 魅力というのは引き出してゆくものです。 人と自然に心を揺さぶられた4日間。 全ての出会いに、 ありがとう。

FD ネットワーク “つばさ” プロジェクト 連携主体的学習プログラム

第1回 「大地連携ワークショップ」 山形県最上郡金山町 金山町中央公民館 平成25年8月6日 (火)

か ね や ま ま ち

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   れこれ 10 年ほど前のことだが、アメリカの伝統的なリベラルアーツ・カレッジであるセントジョンズ・カレッジを訪問した。見学した授業の 1つが、グレート・ブックスによるセミナー(古典から現代までの代表的な書物をテキストとし、それについて議論をする授業)であった。そこで何よりも驚いたのは、学生間の活発な議論である。しかし、よく見ていると学生が次々と意見を述べるのは、教員の適切な質問とコメントがあってのことのように思えた。この点について、教員たちが口々に語ったことをまとめれば、おおよそ次のようになる。「リベラルアーツ・カレッジでは、より多くの科目を担当できる教員が優れた教員と見做されます。教員は自分の専門にこだわらず、何でも教えることができねばなりません。学生が幅広く学び、自由に考えることができるようになるためには、何よりも教員が幅広い知識をもち、学生の考えを引き出し、学生間の議論のなかでそれを高めさせる技量が必要なのです。」その時は、幅広い知識を教授するだけでなく、学生の思考力を高めることまでが、教員の教授能力として求められていることに驚いたものだ。 アメリカのリベラルアーツ・カレッジは、未だ植民地カレッジさながらのイン・ロコ・パレンティスの精神に満ち、したがって「教育」を「知識の伝達」に限定せず、学生を一人前の大人に育てる「社会化」の役割に重きをおいている。知識の注入だけではなく、思考力を引き出すというミッションにこそ、大人にするという意味合いが含まれているように思う。それができるのは、専門以外の領域についても深い学識をもち、教え育てる経験を蓄積した教員なのだという。FD という言葉こそなかったが、リベラルアーツ・カレッジでの教育に、いかにFDが重要かを知る機会となった。 日本の大学において(日本だけの話ではないが…)、このようなことができる大学教員を見出すのは難しい。 なぜなら、大学教員はある分野の専門家として養成され、学生の教育という場面においても、その分野の知識を教授することでよしとされており、FD に関する議論もその範囲を大きく超えることはない。また、日本では、リベラルアーツ教育は教養教育と訳されているものの、そこに上述したような学生を大人にする「社会化」の役割が求められることもなかった。それは何よりも、第二次世界大戦後に導入された教養教育(一般教育)は、専門教育の前段階の低度の教育と認識され、各学問の入門編を実施する以上の役割が課されることがなかったからである。そうした経緯があるために、FD が盛んに実施されるようになっても、実はもともとの教養教育は FDとの親和性が強いものであることなど意識されることはないのだろう。 しかしながら考えてみれば、知識の伝達のスキルをもって FD とはできなくなっているような状況が生まれているのではないだろうか。それは、大学を「学校」という学生、自らを「生徒」と称する学生が多くなっていることに象徴される。今どきの大学生にとって、大学進学は高校教育の延長であり、そこにおけるイニシエーションは希薄になっている。それが、大学進学率の上昇にともない必然的に生じる学力低下や、少子化のなかで大学進学における「受験」や「競争」の側面が大きく削がれてきたことと併行しているために、問題は大きくなっている。          

 初中等教育における学校段階間には教育内容の連続性があるが、大学での教育内容は高校のそれとは連続していない。加えて、子どもから大人にジャンプするのが大学という場であった。こうしたことに対して自覚的でないからこそ、学校に通う生徒であり続けていることについて、違和感がないのだろう。高校教育との接続に関しては、補習教育が導入されて 10 年余となり、近年では、大学においてスムースな学習の開始を支援するための初年次教育も定着してきた。 ノートの取り方、文章の書き方、プレゼンテーションの方法、図書館の利用法…と初年次教育の具体的な内容を見たとき、確かに大学での学習の準備に不可欠の事項なのであるが、他方で、これらを通して、学生は、大学教育が高校の延長にはないことについて、どの程度自覚的になっているのだろうかと思うこともしばしばあり、それはそれを担当する教員についてもしかりである。 大学受験までの学習は必ず正解があり、そこに最短距離で近づくことでよかった。しかし、大学での学習には正解が決まっていない場合が多い。むしろ、自分で考えて自分なりの解を導くことが求められる。ただ、いきなり「自分で考えよ」と言われても、すべての学生ができるものではなく、それがよりよくできるようになるために、読み、議論し、論理立てて考える訓練の繰り返しが必要である。それを行うのが教養教育であり、そうした訓練を通じて、大人になっていくのであろう。幅広く学ぶということは、多様な知識を覚えることに目的があるのではなく、「自由に」考えることができるようになることに意義があると、アメリカでは言う。そして、この「自由に」とは、偏頗なものにとらわれ視野狭窄に陥らないという意味においての「自由」である。リベラル・アーツの「リベラル」には、このような意味が込められている。 ところが、教養教育という日本語には「リベラル」の意味は継承されてはいない。高度な知識や品性を意味する「教養」に、「リベラル」のニュアンスを読み取ることは難しい。学生を大人にする、自分で考えられるようにすることを、FD の課題とすることに大きな異論はなかろう。 問題は、どのようにしたらそれが可能になるかである。セントジョンズ・カレッジでみた、グレート・ブックスのセミナーで、教員がどのように学生の議論を引出していたのか、学生の意見にどのようにコメントしていたのか、今ではおぼろげな記憶しかない。鮮烈な印象の割には、個々のシーンを覚えていないものだ。もう一度、じっくり観察してみたいと思うとともに、そんな FD 研修があったら私も受けてみたい。しかし、専門分野以外の領域に知悉するという高い壁は、乗り越えられそうもない。 せめて自分の専門領域のなかでという小さな希望を、“つばさ”プロジェクトに託したい。 

早稲田大学 教育・総合科学学術院  教 授   吉 田 文

“つばさ”プロジェクト外部評価委員

 8月6日(火)から3泊4日当町で行われたワークショップ「きらり金山再発見!」。始まる前はどうなることかと眠れぬ日も続き、胃が痛い毎日を過ごしていました。教育委員会に配属になり 4年目を迎え、山形大学のフィールドワーク(以下 FW)に対してもどのように仕掛ければよいか、それなりに理解をしているつもりでしたが、今回のように4日間連続で対応するのは、他の仕事も含め初めてのことでした。いつものFW だと、半分仕事半分遊びのような感覚(で100%仕事です)で楽しく学生とお仕事をしているのですが、今回に関してはそうもいきません。 対応する学生の人数もいつもの倍以上だし、引率の先生たちもたくさんいるし…。緊張の毎日でした。 さて、4 日間の内容をざっと説明しますと、学生 22 名が3班に分かれてそれぞれのテーマ、「農業」「林業」「観光」に沿った内容の FWを行い、それらをまとめ、金山町の発展についてアイディアを発表するという内容です。 さっそく初日の午後から班ごとに分かれて FWを開始しました。雨が降ったりやんだりでしたが、大きな変更やトラブルもなく、初日と次の日の班ごとの FWは終わりました。3日目はみんなでそば打ち体験をした後、午後からは最終日に向けたプレゼン資料作成です。 ここから、学生達の目の色が変わります。何を、どう伝えるのか。経済を発展させればいいのか、それとも地元の人たちの地域への愛着を高めた方がいいのか、などなど。答えは出ません。 

 まとまりかけていた意見も、追加調査でさらにつっこんだ話をしてきたら、まったく違う考えになったりと、文字通り徹夜で討論を行いプレゼン資料を完成させました。 私も細かく指示はしなかったので、その分どうしたらいいかと大変悩んだことと思います。

 しかし、過去の経験上、学生たちはある程度の無理難題を与えても何とかしてくれる ! という自負があったので、あえて(?)そうさせていただきました。

 それに対して、学生たちは見事に答えてくれました。競争心を掻き立てるため、どの班が良かったか参加者の投票制にし順位をつけるようにしましたが、どの班もとても素晴らしい内容で感動的な発表だったと思います。発表会が終わった後は、参加していただいた町の指導者の一人が、とある班の分をとても気に入って持ち帰って自宅の工房に展示してくださいました。 後日中央公民館のロビーに皆さんの活動と発表作品を展示する予定でしたが、その班の人たちにとっても、とても熱心にご指導いただいた方でしたので、そちらに展示された方がいいだろうと思い、その班の作品はそのままその方に展示していただいてます。  見知らぬ他大学の学生達と過ごした 4 日間は、本人たちにとってとても有意義な 4 日間ではなかったかと思います。恋の一つでも生まれたのかなーなんて思ったりもしますが、余計なお世話ですね。ちなみに、9 月 9 日~ 11 日の予定で山大の学生サポーターだった「チーム道草」というサークルと 3 班(観光)が追加調査で金山町に来てくれます。FW が終わった後でもこのようなつながりができて大変うれしく思っております。学生の皆さんは、ここで体験したことや感じたことをぜひ周りの家族や友達にたくさん話し、金山町を宣伝していただければ幸いでございます。そして、機会があればもう一度金山町を訪ねてください。いつでもお待ちしておりますので。ありがとうございました。

金山町教育委員会教学課社会教育係  主 事 沼澤 尚史

   ばさ” プロジェクト” が来年度に実施する予定のアイヌ文化ワークショップを、8 月の 17 日から20 日まで、東京造形大学の大学院生 6 名とともに試験的に体験してきました。 今回のいきさつですが、そもそも本学大学院にプロジェクト型の科目があり、越村が呼びかけた、関東以外の「異文化」を現地で体験しようという授業も 4 月から始まっていました。そして 6 月、山形大学で開かれた “つばさ” 運営協議会で平取町役場の木下正人氏と出会い、来年度のアイヌ文化ワークショップに先駆けて、何かアイヌ文化体験をしてみませんかと声を掛けていただきました。そこで本学の院生たちに呼びかけたところ、美術の 4 名、デザイン 2 名が手を挙げ、テキスタル・デザインを専攻する院生の希望により、木の皮から糸を紡ぎアイヌの織物にするワークショップを中心に、スケジュールを組んでもらいました。以下に4日間のスケジュールを要約します。  一日目:午後、平取町役場で町の概要について説明を受ける。夕方、二風谷地域のアイヌ文化情報センター内で行われたアイヌ式の結婚式に参列。

式次第や所作について説明を受けながら(写真1)、参列者全員でにごり酒を交わしたりしました。 結婚式のあと、夜 1 時間ほどアイヌ・ユカラ ( 叙事詩)についてなど古老の語りを聞き、往時の生活や精神世界に思いを馳せました。  二日目:午前9時よりアイヌ文化博物館にて、生活用具や工芸品、アイヌの風習を描いた絵などにそって学芸員に案内していただく。そこから、雨中、「縁結びの石祭り」に参列。文化情報センターに戻り、午後の「舟おろしの儀式」に向けた祈祷、また古式舞踊を目の当たりにしました。昼食にシャケ汁をいただき、雨が止むのを待って「舟おろしの儀式」。夏の終わり、丸太をくり抜いた舟を沙流川に下ろす行事。その後、ようやく制作体験。二時間ほどかけて、木のコースターにアイヌ彫りを施す。 三日目:テキスタイルの院生が心待ちにしていたアットゥシ織の体験。 朝、二風谷を代表する匠、貝澤雪子さんの仕事場にお邪魔。まずはオヒョウの木の皮を茹でる。それを待つ間、既に用意された薄皮でミサンガ作り。昼食に雪子お母さんの料理。鹿汁や百合根の団子。茹で上がった皮から薄皮をはぐ。その後で機織りに挑戦(写真2)。織りなれた院生でも、織幅の広さと木の皮の糸の扱いにくさに四苦八苦。雪子さんの芸術を正に実感した様子でした。  四日目:同じ仕事場で、午前中、関根真紀さん(貝澤雪子さんのお嬢さん)によるアイヌ刺繍のワーク

ショップ。刺繍デザインの説明とともに、アイヌ語の入門講座も。あっという間に解散の時間(写真3)。  さて、ある院生は、「ワークショップでは、指導主さんたちがものを作りながら何を考えているのか、どのような生活をしているのかなど、いろいろなお話を聞けて楽しかったです。特に貝澤家のお二人には興味深いお話をたくさんしていただきました」と、ワークショップを通した人との触れ合いについて感謝を述べています。一方、来年に向けての課題をあえて探すとすれば、文化体験のスケジュールと趣旨とを大学や専門ごとに前もって詰めることを提言します。今回の制作体験も、美大生としては時間が短かったようです。次に、二風谷以外の地域の農場や牧場を観るなど、平取町や北海道全体の中で二風谷の位置を把握できる機会があったら、もっと良かったと思います。とはいえ、本学の院生たちにとって今回のアイヌの文化体験はとても刺激的で良い経験になったようです。平取町の皆さまイヤイライケレ、どうもありがとうございました。

“つ

(写真3 筆者前列右から2番目)

東京造形大学教授・FD 委員会委員長 越村 勲

北の大地が育てた「異文化・芸術」をワークショップで体感する!

(写真1)

(写真2)

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合宿セミナー

Ⅰ「大学へのニーズと課題」

Ⅱ「理想の大学をつくる」

Ⅲ「科目設計1:授業名と目標、内容の作成」

Ⅳ「科目設計2:シラバスの完成」

<第1チーム> <第2チーム>

第 13 回 山形大学「相互研鑽による大学 教育の飛躍をめざして」

平成25年8月26日(月)~ 28日(水)山形大学蔵王山寮

「第2チーム(8月

27-

28)では、

先ずプログラムⅠ「学生が求める授

業とは?」において講師の田実先生

からデータを基にした「学生が求め

る授業」と「教師が求める授業」の

違いなどについて興味深いお話を伺

いました。

 

この中で「授業」を「知的伝達行為」

と位置付け、この伝達を上手く機能

するために考慮しなければならない

要因として「題材や内容」「伝達技術」

の他、特に「受け手(学生)の内的

状態(ニーズ)」が挙げられていま

した。

 

講義後のディスカッションでは、

我がD班ではこの「知的伝達」とい

う視点から、伝達すべき内容が学生

にきちんと伝わっているかを評価す

ることが肝要であり、ミニッツペー

パー等を活用して学生の理解度に常

に着目することが効果的だと意見が

一致しました。また更に、単に教員

サイドの学生理解度の把握で完結す

るのではなく、ペーパーの内容から

フィードバックを行う等、こまめな

対応・早いレスポンスを心がけるこ

とで授業の双方向性を意識すると学

生の自主性が喚起されやすい、とい

う意見も出されました。

 

その後のプログラムⅡ「学生の

ニーズに応える授業力とは?」にお

いてはインタラクティブ(相互交流)

のある授業作りがテーマとなってお

り、私は「プログラムⅠでの知見を

基に模擬授業を行う」という役を仰

せつかったのですが、丁度D班でア

イディアをまとめたこともあり、何

とかなるだろうと考えていました。

 

しかし模擬授業は上手く進まず、

プログラムⅠで言われていた「受け

手の内的状態」の重要性を痛感する

こととなりました。やはり学生の心

が完全に離れている状態では、「題

材や内容」「伝達技術」などをいか

に工夫しても暖簾に腕押し言うほか

はなく、学生の積極的参加を促すこ

とが如何に重要か、身をもって知る

ことができました。

 

大汗をかくことになりましたが、

大変良い勉強をさせていただきまし

た。ありがとうございました。

山形大学 

      

橋爪 

孝夫

 

「故郷の山形での開催、効果的な授

業スキルの習得など、いくつもの魅

力があり、山形大学FD合宿セミナー

への参加を決意し、ワクワクした気

持ちで参加した。自己流の改善や工

夫だった私にとって、この研修は自

らの授業実践を振り返るよいチャン

スとなった。

 

一日目は、北星学園大学田実先生

より、学生の望む授業、学生のニー

ズに応える授業力を講義いただいた。

 

「大学生は、教職員の想像以上に、

教員の人柄には関心を寄せておらず、

充実した授業内容を望んでいる」と

いうデータが示された。また、小集

団討議を行いながら、先生方と授業

の工夫や改善点をシェアした。小テ

ストによる復習、相互採点法、机間

巡視、事例説明など、さまざまな工

夫が挙げられた。実際に、授業内容

を効果的に伝えるためには、教員は

教授スキルを獲得する必要がある。

 

記憶のメカニズムを考慮に入れ、

既知記憶と連結すること、先行オー

ガナイザーやタイムスケジュールの

使用、非言語コミュニケーションへ

の配慮も必要となってくる。よって、

授業内容を充実させると共に、それ

らを効果的に伝えるアプローチに考

慮する必要がある。

 

2日目は、東京工芸大学の大島先

生より、具体的な授業方法の工夫の

ポイントをお示しいただいた。集中

力の持続する授業の組み立て方、表

現技術、授業ツール、インタラクショ

ンなどを活用し、学生自身が授業中

によく考え、記憶し、応用力を促進

するために必要なスキルが明確に

なった。

 

学生からのフィードバックを得な

がら、授業内容の充実を図ること、

教員の熱意や前向きな姿勢がいかに

大切であるかを、日頃からそうした

心構えで授業をされている講師の先

生や山形大学FD研修にかかわる先

生方から学んだ。また、参加された

同志の先生方から、授業改善に共に

立ち向かう勇気やエネルギーをいた

だいた。皆様に、心から感謝申し上

げる。

 

会場を後にする頃には、蔵王の爽

やかな初秋の風が吹き、私の気持ち

をきりっと引き締めた。

 

光栄にも私が原稿の依頼を受ける

ことができたことの意味は、私がこ

の2日間を有意義に過ごしているよ

うに見えたからと受け取っておりま

す。実際に他の参加者に比べて有意

義とできたかはともかく、誰よりも

楽しんだ自信はあります。その一部

を以下に紹介させていただきます。

 

大学の役割から始まって、理想の

大学、カリキュラム、各個の授業、

シラバス、これらの議論を通じて、

まず、集まられた先生方の熱気に当

てられました。昇りきった日本社会

において現状維持の気質が満ち、以

後にはただ没落するのみかと憂えて

いましたが、自助努力を怠らない人

たちに久しぶりに出会うことがで

き、さらに、そのような人たちが集

まる場に同席できたことは何にも換

えられない喜びでした。おいしい夕

食と多めに用意されたお酒は議論の

幅をさらに広げてくれました。

 

大学、教育という共通の命題に取

り組んだ仲間どうしでの、他分野か

らの視点をおおいに含んだ談話は、

何のために、誰のために、何を研究

するのか、さらには、そもそも何故

『研究』なのか、を再考させてくる

無二の時間となりました。このよう

に、自分の存在意義と役割にまで思

慮できた私には、この合宿を誰より

も楽しんだ自信があるのです。本合

宿が開催されたことと、そして参加

できた幸運に感謝いたします。

 

今後これを有意義としていくため

に、自身の行動のみならず、学内で

の波及を計画しております。FD委

員会における本合宿の報告、他の教

員の学外FD活動の奨励と支援、学

内でのFDワークショップ開催。私

の大学でのFDはまだ発展途上にあ

りますので、ひとつひとつ取り組ん

で行きたいと考えています。さらに

遠い希望は、政治、行政、企業から

も参加者を募ってFDワークショッ

プを開催することです。

 

最後に、この合宿を主催ください

ました山形大学に、改めて感謝と尊

敬の念を示すとともに、今後もつば

さとして、東北ひいては日本のFD

を牽引くださいますことを祈念申し

上げます。

日本大学 

     

武樋 

孝幸

 

「日々の講義の中で、教えること

の難しさを感じ、悩み、試行錯誤の

繰り返し。今回、自らの講義改善の

参考になればと思い昨年に続いて参

加しました。講義で、「分かった」

ということは、今入った情報がもと

もと頭の中にある情報と繋がること

であるとおっしゃったことが印象的

でした。まさにその通りであると。

 

聴き手である学生がどのような知

識を持っているのか、またこれまで

にどんなことを学んだかを知るよう

努める、あるいは確認しながら進め

ることはとても重要なことである、

と改めて思い知らされました。

 

特に専門用語を使用するときに

は、注意を要するということ。つま

り、聴き手が知っているかどうか分

からないときには確認のためにも説

明すべきであるということです。そ

れは、話し手が伝えたいことを正し

く伝えるためには必要なことである

と再認識させられました。また発達

障害の理解と対応の難しさについて

も学びました。ただ、発達障害であ

るかどうかの判断は経験のない教員

にできることではなく、必然的に対

症療法的な対応をせざるを得ませ

ん。その数が多くなればなるほど、

益々個別の支援に時間がとられるこ

とから、本問題の難しさが一層浮き

彫りになったと感じました。

 

FD活動を通じての大学教育の改

善は、個の努力だけではだめで、個

の結集と協力があってこそうまくい

くものであるとのことでしたが、ま

さに我が意を得たり。

 

薬学部では、よりよい授業を目指

すことは当然のこととして、結果(国

試合格率)も求められますので、「分

かる」ことはもちろんのこと、「で

きる」ようにしなければなりません。

 

今回学んだことを自らの授業に積

極的活用し、身勝手な押し付けや、

思い込みの講義ではなく、学生の現

状とニーズを常に考え、よりよい講

義を目指したいと思います。うまく

いった手法については、他の教員に

も伝えていきたいと思っています。

 

大学全体の教育力がアップするこ

とを期待して。

京都薬科大学

       

細井 

信造

 

8月26日〜28日に、第13回FD合

宿セミナー「相互研鑽による大学教

育の飛躍をめざして」が山形大学蔵

王山寮で開催されました。今年も大

勢の方々に参加して頂き、26日〜27

日の第1チームは41名、27日〜28日

の第2チームは44名の参加者となり

ました。

 

第1チームは、小田隆治教授と杉

原真晃准教授のファシリテーション

の下、グループワーク中心のプログ

ラムが行われました。具体的には、「大

学へのニーズと課題」や「理想の大

学」、「具体的な授業案」と「シラバ

ス作成」を全てグループワークで行

い、全体発表を通して共有しました。

 

グループ内での結束が高まること

で、情報交換会も盛り上がり2日間

を通してFDに関連するトピックに

ついて深い理解が生まれました。

 

第2チームは,田実教授と大島武

教授の講義とグループワークを組み

合わせる形でプログラムが進められ

ました。田実教授には、「学生が求め

る授業」と「学生のニーズに応える

インタラクティブな授業を展開する

ための授業力」について講義して頂

きました。また、大島教授には「授

業力の向上に向けたスキル」、につい

てケーススタディーを中心に講義し

て頂きました。それぞれの講義内容

について多くの質問や意見が飛び交

い、まさしく学習者中心の合宿セミ

ナーとなりました。

 

昨今の高等教育において、FDと

いうキーワードは当たり前のように

使われるようになってきましたが、

FDについて教職員がじっくりと時

間をかけて議論する場は、まだまだ

充分に設けられているとは言えませ

ん。ましてや、異なる高等教育機関

に在籍する多数の教職員が共通の

テーマについて意見を交わし、情報

を共有し合う場は今後の高等教育改

善に向けて重要な役割を担っていま

す。私自身、今回FD合宿セミナー

に参加して、宿泊してじっくり語り

合うことの重要性を実感することが

できました。

 

ここでの出会いや議論の結果が、

今後のFD活動をより一層発展させ

るきっかけになれば幸いです。

山形大学

      

時任 

隼平

( 開校式の模様) (グループディスカッション) (グループディスカッションの結果を発表) (北星学園大学 田実教授による演習) (イメージ交換ゲーム) (東京工芸大学 大島教授による講義)

明海大学 

      

樋口 

倫子

Ⅰ「学生が求める授業とは?-大学教員の美しき誤解-」

Ⅱ「学生のニーズに応える授業力とは?-インタラクティブな授業-」

Ⅲ「授業力の向上-わかりやすい授業を実現するために-」

Ⅳ「研修のふりかえりとまとめ」      

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「来た時と帰る時では、ここまで表

情が違うのか…

」山寮から帰るバス

の車窓から、第2チームの写真撮影

の表情を見て、こんなことを思った。

 

教員となって、あっという間に5ヵ

月が過ぎた。3月に大学院を修了し、

座席から教壇へと転身し、右も左も

分からずシラバスを作成した。そし

て先日、初めての評価作業で激しい

後悔をすることとなった。学内では

入試委員とFD委員を兼務し、毎月

のオープンキャンパスと日々の講義

の準備に追われた。そんな中、大学

を代表してこのFD合宿セミナーへ

参加させて頂いたのである。

 

初回のプログラムをこなしながら、

真っ先に感じたのは「教員になる前

に参加したかった!」という気持ち

である。大学設置の段階で社会のニー

ズを吸い上げ、建学の精神にそれを

掲げ、教員一人ひとりを通じ科目に

反映させ、成績評価することで大学

そのものの評価をする、この一連の

フローがわかっただけでも、今の私

にとってはじゅうぶん過ぎる収穫と

いえよう。

 

は、学

300名ほどの小さな短期大学であ

る。教員数も限られており、新任教

員といえど初年度より「超即戦力」

としてカウントされる。これは、一

般企業の新入社員に比べ、成就感が

味わえる点で幸せなことなのかもし

れない。その上、私の所属するキャ

リア教養学科は新設で、カリキュラ

ム再編の真っ只中でもある。大きな

変化の過程に携わることができる、

これは、セミナーで知り得たことを

具現化するのに、最高の機会ともい

えよう。班を構成した5名の先輩方

にも恵まれた。専門の違う者同士で

の議論も、少しの想像力と広い教養

でカバーできることを学んだ。一緒

にご飯を食べ、互いの職域や研究分

野について語らうことで、プログラ

ムが回を増すごとにスムーズに遂行

できるようになった。更に、良い創

造は、絶対的な安心感と信頼のもと

で繰り広げられる熟議によって生産

されるということも、再確認させら

れた。

 

日々の学務や経営面などマクロな

仕事に忙殺される時期に、「構成員こ

そが大学の財産」という看板を掲げ

たこのセミナーは、非常に得るもの

が多かった。私だけ良い経験をさせ

て頂いて、大学に戻ってから意識に

ギャップが生じぬよう、次月の教員

会議では詳細に報告し共有をはかる

予定である。

 

最後に、主催の山形大学教育開発

連携支援センターの皆様に、深謝申

し上げたい。

桜の聖母短期大学 

       

千葉 

あや

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 私達は授業「三代目 自分を創る」の映画班として8月1日の合同成果発表コンテストに参加しました。3 チームのうちの最初の発表ということもあって何を参考にしたらいいのかも分からず、ただひたすらにこれまで自分達がこの授業でしてきたこと、大きな失敗をしてしまったが失敗をしたからこそ得られたことがあり成長することができたということを、そしてそのことによって本当に新しい自分を創れたということを話しました。皆、その場でこれまでしてきたことを振り返り話したので、上手く話せなかったり、言い足りないことがあったりしたと思いますが、今の自分達にできることを、そしてこの「三代目 自分を創る」の成果を発表することが出来てよかったと思います。これ以外にも私達は8月3日のオープンキャンパスにて発表するホラー映画の予告を作り発表しました。正直に言ってしまったら、前々から発表の準備が出来ず、他のチームと比べたら完成度が未熟だったかもしれません。しかし、中々出来ない経験をしてきました。この経験を精一杯活かして発表できました。コンテストの結果は1位になれませんでしたが、2位になることが出来ました。様々な人の前であらかじめ発表する場が持てて、オープンキャンパス本番への意識を持つことが出来ましたし、何よりも自己満足にならずにすみました。この「“つばさ”プロジェクト」に参加出来て、より自分自身を高めることができました。

山形大学(1 年) 我妻諒亮、安達美穂、氏家麻裕、遠藤歌織、河村俊一、佐々木友理、白鳥 幸、鈴木彩華、武石岳大、村上晶子、本木梨紗、山田遥香(文責:白鳥 幸)

 福島第一原発事故が発生してから、大衆の科学者に対する不信感は間違いなく増大した。 いや、それ以前から、科学者は難しい言葉を並べて、それがわからない方が悪いのだ、と自分たちから歩み寄ろうということをしなかった。私も以前はそう思っていた。しかし、高校時代の恩師が私を叱ってくれた。知識のない人にわざわざ難しい言葉を使って、科学嫌いを増やすのに何の意味があるのか、と。それから私は、科学の楽しさをわかりやすく伝えられるようになりたいと思うようになった。 そんな時にこの講義があることを知った。以前まではパソコンを使いこなすことやグ ループワークを取り入れること自体が新たな試みであり、授業の目的の一つであった。しかし最近ではこのような授業形態が定着し、経験を積んできた学生がこれを下地にさらに質の高い活動ができるようになった。このような理由から、サイエンスコミュニケーションは現代の学生や社会の教育ニーズに合った、教育的価値の高い講義であると感じている。この講義を履修したことで、私は非常に多くのものを得ることができた。 まずは、サイエンスのトピックをそれになじみがない人に伝える技術。語彙の選択、言い換え、視覚的アプローチはもちろんのこと、 厳密性を犠牲にする功罪についても深く考えることができた。次に情報リテラシー。 現代の大衆メディアは、統計を恣意的に利用する傾向にある。わざと誤解を招かせるようなグラフを見せて、自分たちの利益を得るのだ。自分たちがそれを見抜く力を養うとともに、受け手に誤解を招かせないような統計の扱い方も学んだ。そしてプレゼンテーション技術の向上。 オープンキャンパスでアニメーションを制限されたおかげで、インタビューを再現した掛け合いをするという新たな工夫ができた。 そして、リーダーとしての資質の向上。 リーダーシップとは、自分で何でもやろうとすることではなく、他人をうまく導くことな のだと気づくことができた。素晴らしい経験をすることができたので、こ のような講義がさらに増えることを望んでいる。

(文責:工学部機能高分子学科 1年 高木 直人) 

【月曜日チーム】 私たちはキャリアデザインという講義を通して初めて出会った人とグループを作り課題に取り組んだ。全く知らない人達が集まってひとつのことをやりとげることはとても大変だった。学部も受ける授業もバラバラで全員が集まることはとても難しく、唯一、全員が集まれたのはお昼休みの 20 分間だけだった。そのこともあり、準備不足で発表は失敗し、3 位という結果になってしまったが、私たちはこの授業を通して出会うことができ、作品を作り上げることができた。この機会を与えてもらったことをメンバー全員が感謝している。「一期一会」というように人との出会いを大切にすべきことを体験を通して学んだからだ。メンバーに出会い、自分とは違う考え方や発想に触れることができたり、コミュニケーションをとりながらみんなの意見をまとめたりと自分達自身の成長に繋げることができた。これからの大学生活では出会いを大切にし、様々な人と関わって行くことで自分がさらに成長できるよう努めたい。    

【火曜日チーム】  今回、私たちの班がキャリアデザインⅠのグル-プ課題で感じたことは「初めて出会った人と協力することの難しさ」だ。学部も異なれば、考え方も違う人達と課題に取り組むにあたって、初めは緊張したり遠慮がちだったりと上手くいかないことの連続だった。しかし何度も話し合いを重ねるにつれて、一人一人の得意分野を活かしつつ、足りない部分を補い合い、よりよいものにしていこうという意識が芽生えた。発表は準備不足や思わぬトラブルに見舞われ、満足のいくものではなかったが、緊張の中、班員全員が自分の役割を、責任をもって果たすことができた。今後は、「初対面の人とも話せるようになること」、「自分の長所を知り、伸ばすこと」、「積極的にコミュニケーションをとること」などを目標にしていきたい。様々なスキルについて考え取り組んだことを忘れずに、生活で使っていくことが、講義を終えてからも様々なことが得られるきっかけになると思う。                 

 今回それぞれの代表チームの発表は、テーマ・発表方法も異なり大変ユニークなコンテストになった。残念ながらコンテストの評価基準の一つにある学生たちの学生主体型講義を受講しての成長度合いを計ることはできなかった。しかし、その内の二つは最終の成果発表会がオープンキャンパス(OC)に行われるものなので、OCでの活動後に事前と事後での学生たちの成長がわかるような発表を聞く機会があればと思った。 OC での様子を報告すると、当日は 2 時間で各班とも 6 回学科紹介を繰り返した。複数聞いてくれた人もいたが約 120 名の参加者があり、全員一生懸命聞いてくれていたし、学生も一生懸命説明をしていた。その様子に保護者の方が学生たちをほめていただき、彼らがうれしそうにしているのが印象深かった。普通の講義やコンテストでは味わえない喜び(経験)にちがいない。来年もこの企画を行うつもりだが、どのように改善する余地があるか、考えているところだ。

 映画制作班の学生の一人が、シーンの撮影のさ中、ビデオカメラを落とした。カメラは壊れた。撮影データを含め、半年間の努力のすべてが失われたと学生たちは思った。半年間の授業も終盤に差し掛かり、これまで多くの時間を割いて作ってきたものが学生たちの手元から零れ落ちていった。その瞬間、壊れたものはカメラではなく、学生たちの意志であり、人間関係であったかもしれない。 8 月 1 日に開催された、合同成果発表コンテストにおいて、授業「三代目 自分を創る」を代表して発表を行った映画制作班メンバー 10 数名は、一人ひとり、カメラの故障、負担の偏り、体調不良による撮影中止等、トラブル続きの半年間の苦悩や葛藤体験について述べた。そしてその後、この経験が自分たちを大きく成長させてくれたこと、赤の他人が大切な仲間となったこと、仲間の支えがあって今日を迎えられたことについて言葉を添えた。学生たちは地に根を張った、社会人とも見間違えるような堂々とした出で立ちをしていた。最後に語った学生が、「ビデオカメラが壊れた時、みんなで話し合って、もう一度撮り直そうと決意しました。この授業で素晴らしいものを得ることができました」と透き通る声を発した。 目を見張る成長を遂げた学生たちは素晴らしかった。「壊れたビデオカメラ」を横に眺めながら、私は、「学生たちの苦悩と葛藤、そしてそこからの復興のドラマ自体が、学生たちの創り出したもっとも素敵な映画だったのかもしれない」と思うのである。

 本講義では、1つの課題(テーマ「モチベーションを上げる方法を考える」)について、くじ引きで決めた初めてのメンバー同士が 3 週間にわたって取り組む形式で、合同発表会に臨みました。メンバー同士で支え合うなかで、ひとつの物事をやり遂げることの達成感、関係構築の難しさや葛藤などを経験し、ひとまわり大きく成長できたのではないか考えております。 特に今回は、私の担当する月曜日と火曜日の講義受講者から選ばれたチームが一緒になって発表する混合チームで臨みました。短い準備期間の中、本当によくまとまって頑張ってくれました。最後は、プレゼンテーション機材のトラブルなどがあり、思うような発表ができず、残念な結果ではありましたが、最後までしっかりと準備し確認する大切さや、トラブルの際にフレキシブルに対応することがいかに難しいかなど、この失敗を通して学んだことが多いと思います。ぜひ今後に繋げていってほしいと願っています。

(グループ毎に全体発表)

(発表内容に対する闊達な質疑応答)

(まとめた内容に対する学生と教員のディスカッション)

北翔大学 

 人間福祉学部地域福祉学科社会福祉コース    

                    3 年 太田 圭介

札幌大学 外国語学部英語学科 2 年

学生 FD 委員会札大おこし隊!委員長 今野 真紀

北翔大学 

 人間福祉学部地域福祉学科社会福祉コース   

                    1 年 吉田 美久

山形大学 

  医学部 医学科 1年 東海林 弘太朗 

明海大学 

  外国語学部日本語学科 3 年 栗田 茉奈 

 今回の会議のカギは「テーマについてどのように考えるか」ではなく、「テーマすら疑うことができるか」ではなかったか。つまり、「企業から求められる社会人」=「魅力的な社会人」ということに疑問をもたなかったかということである。これは、「ポストイットのもつ功罪」を考えたかということにつながる。与えられたものを「何も考えずに使う」か「考えた上であえて使わない」か、ということである。 自分の班は、使わない方針にしたわけであるが、これはポストイットの正しい使い方というものに自信をもてなかったからである。少なくとも今回の場においては「ポストイットをいかにうまく使うか」ではなく「テーマを中心とした議論をする」ことが本質だったと理解している。 今回最も感じたのは、「原理すら疑う」ような姿勢をもった学生があまりにも少ないということである。逆説的ではあるが、そういう姿勢こそが企業から求められているのではないだろうか。

 今回、学生 FD 会議に参加出来たことは、私にとってとてもいい経験になりました。最初は「会議なんてめんどうだな。」と思い、参加する気はあまりありませんでした。しかし、このお話を頂いた先生に「経験だから。」と言われたこともあり、参加を決めました。グループに分かれてそのテーマについて話す、というのは、色々な授業でしてきましたが、他学部との交流はあっても他大学との交流は今まで体験したことがありませんでしたし、他の学生とうまく意見を交換出来るかも不安でした。しかし、この会議に参加した学生は「その問題について話し合いたい、皆と意見を交換したい。」という学生ばかりだったので、うまく意見を交換することが出来ました。様々な意見を耳にしたことで自分の視野の狭さに気付けたことや、自分にはない考えを聞くことが出来たので、今回参加出来て本当によかったです。 今までこのような会に参加したことがない人には、特に参加してもらいたい、と思います。

 今回のテーマは「企業が求める社会人になるために大学生活で学べること」であった。このテーマに対して教職員の方や学生から疑問や違和感などのマイナスな意見を多く頂いた。教員の中にはこのテーマ自体がおかしいので、討論をする意味がないという厳しい意見をおっしゃられる方もいた。 今回の会議の肝になるテーマに対して私は考えが足りなすぎたのかもしれないそれが一番の感想であった。学生生活で何を学べば良いのか、何を得ておけば良いのか、卒業や就職それらを前にして私が今までしてきたことは正しかったのか。それが知りたくてこのテーマを私は提案した。だが、一概に企業といっても学生にはそれぞれの夢や目標があり大学に来ている。それをひとくくりにしたテーマ設定というのは失敗だったのかもしれない。その場に来て話し合いを行う人のニーズや立場を考慮したテーマを考えることが必要だったのだ。今回それを学べたことが私にとっての一番の成長につながったように思えた。

 FDに入って二か月余りでの大きなイベントへの参加でした。初めてのイベントで戸惑うことが沢山ありました。話すことが苦手な私がアイスブレイクやグループディスカッションが出来るのか。不安を抱えたまま当日をむかえた。 グループディスカッションではテーマに沿って会話を進めていく難しさを感じた。なかでも、教職員を含めたディスカッションではテーマについての温度差をとても大きく感じ、「企業が求める社会人になるために大学生活で学べること」のテーマについて疑問を持つ教職員の方が多く存在していることを知り、戸惑いを隠せませんでした。 グループ発表では、模造紙を大々的に使う班もあれば、会場に問いかけを行い審議してもらう方法をとる班、自身の夢を語る班、など様々な発表があり、会場全体良い雰囲気でした。 情報交流会では、他大学の学生や教職員の方と触れ合うことが出来、とても良い経験が出来ました。

 私は FD ネットワークつばさが主催する学生 FD 会議に初めての参加でしたが、卒業後の将来のためになり、とても有意義な時間を過ごすことができました。さらにメンバーが少ない私達札大おこし隊!にとって価値観の異なったたくさんの人と話し合いができたことは良い刺激になり、情報交換でマンネリ化していた私達の活動の参考になりました。ディスカッションの中で思ったことを学生間でとことん話し合えるだけではなく教職員の方々とも話し合えてとても充実していたと思います。 社会人になるために大学生活で基礎的なことを身につけるのと同時に、自分らしさや自分だけの強みを見つけることも大切なことということを学びました。また、FD についても、その大学らしさやその大学の強みというものがあると思います。これからの FD 活動も色々な価値観や考えを学ぶことが多いかと思いますが、自分の大学らしさも忘れずに、強みはもっと良くして、改善点は改善して進めていきたいです。ありがとうございました。

平成 25 年8月 1日 ( 木 )、6月 8日に発表した課題構想に取り組んだ成果発表を行いました。このコンテストに向けた準備、発表、質疑応答を通して、学生が、自分たちの学習活動のプロセスと学習成果を振り返り、達成の喜びと自己肯定感の向上を味わうとともに、今後の学業や大学生活のさらなる充実に向けた目標設定を行うこと、を目指しています。審査には、外部から招聘した審査委員、学内教員があたった他、発表した学生相互での審査も行いました。優秀チームには副賞として「米沢牛」の他、釧路市阿寒行政センター様から寄贈いただきました「焼肉用エゾシカ肉」が贈られました。

「合同成果発表コンテスト」

【栗山先生コメント】

【杉原先生コメント】

テーマ:企業が求める社会人になるために大学生活で学べること

in 北翔大学 ・北翔大学短期大学部 (北海道江別市)

学生 FD会議 2013

【松坂先生コメント】

8月20日(火)「学生FD会議2013」                      が終わりました。 思えば、約一年前、山形大学小田先生から「来年は北翔大学でやりましょう!」というお話をいただき嬉しかった反面、できるのかな?と不安がありましたが、無事に終わることが出来ました。 この1年で、北翔大学の学生FDスタッフ「北翔アンビエント」の学生がものすごく成長したのが、嬉しかったです。学生は、問題を見つけ、解決をして、また問題を見つけて解決をするということが自然にできるようになっていました。教職員としては特に指導をしたというつもりはないのですが、目的を持って行動をすれば、自然に身につくものだなと思って関心しました。 今回のテーマも学生が様々なアイディアの中から山形大学の杉原先生とやりとりを行い、杉原先生からの質問や宿題をこなしていくことで決定したものです。アンケート結果を見るとテーマについては、少し難しいという結果が出ましたが、これも今後に生かしたいと思います。 準備の段階で印象に残っているのは、杉原先生とのテレビ会議です。夜 18 時過ぎころからはじめて1時間位、学生 FD会議についての話し合いをメンバーで出来たのは、とても良い経験でした。 本番は、私がバタバタしてしまい、学生の方が冷静だった気がします。アイスブレイクでの顔写真スライドショーの準備に時間がかかりなおかつ準備したもので、できなかったのが大変心残りです。参加者の皆様にもご迷惑をお掛けしました。学生 FD 会議後の情報交換会が終了後も会場の片付けなど積極的に手伝ってもらい、今回は、本当に学生に助けてもらいました。学生には、少し高い壁でも、チャンスを与えると自分たちで乗り越えられるんだなとつくづく思いました。これからもあまり手を出し過ぎず、見守って行きたいと思いました。

北翔大学 FD 支援委員会委員長 准教授 松澤 衛 

「キャリアデザインⅡ」「サイエンスコミュニケーションⅠ」「三代目 自分を創る」

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Page 6: “つばさ”プロジェクト連携校 東京家政学院大学からのお知らせ … · “つばさ”プロジェクト 運営協議会 委員長 小田 隆治 ↑ ↑ 平成25年9月30日発行

“つばさ”プロジェクトの取り組みについて

FD ネットワーク“つばさ”プロジェクトに期待する

東日本広域の大学間連携の取組に期待する

東日本広域の大学間連携の取り組みに期待すること 

山形県最上郡戸沢村

国際武道大学

石巻専修大学

東日本国際大学・いわき短期大学

F D ネ ッ ト ワ ー ク “ つ ば さ ” プロジェクト

連 携 校 ・ 連 携 機 関 か ら の メ ッ セ ー ジ

東日本広域の大学間連携の取組に期待する 石巻専修大学 学長 坂田 隆

 大学間連携といっても、各大学の抱える問題はその設置形態や社会的評価により大きく異なる。近年では志願者集めに苦慮する大

学とそうでない大学との違いは、教育・研究上の基盤に根本的な差異を生みつつある。よって、

大学間連携がまず必要とするのは、このような異なる基盤をもつ大学間の共通の課題発見であ

ろう。山形大学が牽引し本学も取り組んできた「FD ネットワーク“つばさ”」のような授業

評価と授業改善は共有できる課題である。さらに現在、同大学が進める「大地連携(大学と地

域の連携)」による学生主体型授業方法の試みにも、共有できる方法論や成果が存在する。大

きくとらえれば、各大学共通の課題は、大学生と教員に大学の授業改革、さらに地域の問題解

決における役割意識が乏しいことだと思われる。体験の機会が多くない日本の教育の中では、

学生が五感を働かせて問題の所在と自分の役割を明確に認識することが必要であり、今どの大

学でも求められる役割はその環境作りである。課題探求の試みが意識と教育の改革に結実する

ことを期待する。

東日本広域の大学間連携の取り組みに期待すること 戸沢村教育委員会 教育長  小野 和夫

 学生が教室を出て、学びの場を地域に求めるフィールドワークは、学生にとっても地域にとっても大きな効果があることを、この8

年間の「フィールドワーク-共生の森もがみ」の取り組みから実感しています。今年の前期は戸沢村で3つの講座が開催され、39名

もの多くの学生の訪問を受けました。学生たちは様々な体験活動を通して、この地域の課題は

何か、その解決策は何かについて真剣に考え、後日発表するのですが、その過程で教室とは違っ

た形で、仲間同士あるいは世代が違う人々とのコミュ二ケーションを楽しみ、地域の人々の思

いや願いに触れて自分を見つめ直す機会を得、解決策について思考実験を繰り返しているよう

に見えます。これらの具体的な体験が学生を人間として成長させるきっかけとなっているので

はないかと思いました。学習機会を提供する地域の人々にとっても、自分たちの文化を見直す

契機になり、何より元気で真剣な学生たちと触れ合うことが生き甲斐になっていることを感じ

ています。このような取り組みが、日本全国に広がっていくことを願っています。

FD ネットワーク“つばさ”プロジェクトに期待する

東日本国際大学・いわき短期大学 学長 田久 昌次郎

 本学は『勿来の関』で知られる福島県南部のいわき市にあり、ほどよく首都圏の影響を受けながら東北のあたたかい固有な文化と私

学独自の教育を育んで参りました。しかし、目まぐるしい変化のなかで、一教育機関のみで乗り切れる課題は限定的なものとなり、地

方都市に分散した高等教育機関の連携は大きな課題でもありました。

“つばさ”プロジェクトは、大学にとどまらず、自治体をも巻き込んだ連携活動であり、

そこから多くの成果が生み出されるものと確信しております。過日、北翔大学で行

われた「学生 FD 会議」に、本学から初めて学生が参加いたしました。そこから醸

成される学びと体験のプロセスは、学生の実践知や行動力に深化をもたらすことで

しょう。本学では、今後とも各種セミナー・ワークショップの積極的な参加を促し、

大学間交流はもとより、学生が地域との交流を通して多くの「学び」と「気づき」

そして「思いやり」の心を育てることを期待しています。さらに連携機関相互が切

磋琢磨し、地域や大学に新たなる刺激を与え続けることを望みます。

“つばさ”プロジェクトの取り組みについて 国際武道大学 学長 蒔田 実

 平成 24 年度よりスタートした「大学間連携共同推進事業」に連携大学として参加して約 1 年が経過しました。まずは、この 1 年

間を本プロジェクトの代表校として円滑に運営してくださっている山形大学の小田先生を始

め、関係されております教職員の皆様に厚く御礼を申し上げます。また、本プロジェクトの

連携取組(第一期)では、本学も微力ではありますが、プロジェクトの一員として、教職員

の能力向上を目的とした「FD・SD研修会」、学生の主体性を引き出すプログラム「大地連

携ワークショップ」・「学生FD会議」等、多くの事業に積極的に参加し、各種プロジェクト

を体験することができました。日常のキャンパスライフでは体験できない充実した“つばさ”

プロジェクトを経験し、本学独自のFD・SDスタイルを作り上げていきたいと考えており

ます。第二期、第三期事業へと発展していく本プロジェクトの取組が連携大学間のみに留ま

らず、地域社会にまで大きく影響を与えるようなプロジェクトとして成功することを期待す

ると共に本学としても全力で取り組んでまいります。

 このプロジェクトのメインは大学の枠をこえた学生たちが地域でフィールドワークを行い、学生自ら学ぶことと地域の

活性化を引き出すことにあります。8 月に金山町でのフィールドワークの発表会に出席しての感想です。

 発表日の前日はどの班もほぼ徹夜で資料作りに追われ、当日も発表ギリギリまでポスターを作成しているのを見て非常

に熱心に協力しながら活動しているのがよくわかりました。発表も分担をしていて紙を見ないで堂々と発表するのを見て

プレゼンに慣れている様子が見てとれました。発表の内容は時間が足りなかったせいもあると思いますが、大学生の視点

がもっとあってしかるべきかと思いましたが、短い時間を考えると難しいのかもしれません。

 学生さんたちの成長がこの取組の時間の中で達成されたのは、どう図るか課題があるように

思いました。

 町の活性化のための提案は非常に難しいものです。事前に自分たちの担当する分野や仲間が

わかっていると事前学習での下調べがもっと充実した提案を可能にするかもしれません。

 学生たちは地元の方々に大変感謝し金山で過ごした夏を忘れることはないと思います。学生

たちは毎年変わりますが、受け入れていただく町の人が毎年今年も学生さんをお世話してよ

かったと思っていただく関係を築いていくことが大切ですし、その中から学生による地域の活

性化が始まり、学生自身も成長するような仕組みをもっと考えていく必要があると感じました。

 まだ、始まったばかりです。一年後に向けて地元の方と話し合い、準備を始めることが大切

だと思いました。

大学と地域の連携山形大学 理学部 教授 栗山恭直

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