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1 使用済み自動車(ASR)由来の再生樹脂の自動車部品への利用を目指す。現在品質面で優位である解体工程か らの樹脂回収スキームを基準とし、ASR由来の再生樹脂回収スキームの最適化を行い、品質を満足し、かつ経済的に優 位なシステムを提案する。具体的には以下の項目の検証を行うASRからの樹脂選別方法:低コストで回収率の高い樹脂選別技術の組み合わせを明らかにする。 ② ASR由来プラスチックと手解体プラスチックの比較: 自動車解体施設から発生する手解体プラスチックを基準として、 ASR由来プラスチックの品質とコストを検証する。 残渣の油化検証:選別施設から発生する残渣の有効利用のため、熱分解油化の調達コスト及び品質を検証する。 事業名称:ASR回収樹脂からのリサイクルプロセス最適化 実施者:日産自動車(株)材料技術部 実施委託先:ヴェオリア・ジェネリック(株) ◇事業の背景 ◇事業の目的 ASR組成データ(参考値) 出典:平成 25 年度自動車リサイクル連携高度化等支援事業 「光学選別機を利用したASR由来のプラの材料リサイクル及び油化事業ASRの引き取り重量と1台あたりのASR重量 出典:H29年度自動車リサイクル法の施行状況調査、経済産業省,環境省 ASRの再資源化状況 出典:H26年度自動車リサイクル法の施行状況調査 経済産業省,環境省 ASR発生量は年間52万トンであり、その約30%はプラスチックである。しかし現在その多くは熱回収用途での利用であり、マ テリアルリサイクルされているプラスチックはASR中わずか0.5%に過ぎない。自動車における3Rの推進・質の向上のために、これ らASR中のプラスチックの有効なマテリアルリサイクルが望まれており、質、コスト面からこれらを可能にする技術の構築が今後の 課題である。

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Page 1: ASR 実施者:日産自動車(株)材料技術部 実施委託先:ヴェオ … · asr組成データ(参考値) 出典:平成25 年度自動車リサイクル連携高度化等支援事業

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使用済み自動車(ASR)由来の再生樹脂の自動車部品への利用を目指す。現在品質面で優位である解体工程からの樹脂回収スキームを基準とし、ASR由来の再生樹脂回収スキームの最適化を行い、品質を満足し、かつ経済的に優位なシステムを提案する。具体的には以下の項目の検証を行う。

① ASRからの樹脂選別方法:低コストで回収率の高い樹脂選別技術の組み合わせを明らかにする。② ASR由来プラスチックと手解体プラスチックの比較:自動車解体施設から発生する手解体プラスチックを基準として、 ASR由来プラスチックの品質とコストを検証する。

③ 残渣の油化検証:選別施設から発生する残渣の有効利用のため、熱分解油化の調達コスト及び品質を検証する。

事業名称:ASR回収樹脂からのリサイクルプロセス最適化実施者:日産自動車(株)材料技術部 実施委託先:ヴェオリア・ジェネリック(株)

◇事業の背景

◇事業の目的

ASR組成データ(参考値)出典:平成 25 年度自動車リサイクル連携高度化等支援事業

「光学選別機を利用したASR由来のプラの材料リサイクル及び油化事業」ASRの引き取り重量と1台あたりのASR重量出典:H29年度自動車リサイクル法の施行状況調査、経済産業省,環境省

ASRの再資源化状況出典:H26年度自動車リサイクル法の施行状況調査経済産業省,環境省

ASR発生量は年間52万トンであり、その約30%はプラスチックである。しかし現在その多くは熱回収用途での利用であり、マテリアルリサイクルされているプラスチックはASR中わずか0.5%に過ぎない。自動車における3Rの推進・質の向上のために、これらASR中のプラスチックの有効なマテリアルリサイクルが望まれており、質、コスト面からこれらを可能にする技術の構築が今後の課題である。

Page 2: ASR 実施者:日産自動車(株)材料技術部 実施委託先:ヴェオ … · asr組成データ(参考値) 出典:平成25 年度自動車リサイクル連携高度化等支援事業

<① ASRからの樹脂選別方法>比較対象:手解体由来プラスチックの評価

二次選別施設1.二次選別工程・ 異物選別、成分選別の実施・ 異物量/組成分析

2. 工程毎のコスト評価

[二次選別実施:協和産業・マテック・進栄化成・Veolia Polymer]

<③ 残渣の油化検証>

油化施設1・ 選別残渣と油化品質・収量2.経済性の検証[油化実施: 環境エネルギー]

◇実施の概要と実施体制

一次選別施設1.一次選別施設選定2.ミックスプラスチックの組成分析

[マテリアル施設(一次選別施設):マキウラ鋼業・九州メタル・エコネコル]

自動車解体施設1.バンパー、内装材の回収状況調査2. 異物量/組成分析3.回収量とコスト評価

[調査実施 : 日産クリエイティブサービス、Veolia]

コンパウンド施設1.各選別品の押出し性能の評価2.押出・造粒3.物性評価、手解体由来プラスチックとの比較 [押出/造粒、物性評価: Veolia]

残渣

*全体総括: Veolia

<② ASR由来プラスチックと手解体プラスチックの比較>

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◇一次選別施設の概要と選別結果

A:手選別(異物除去)⇒ PP以外を手選別で除去しているが、 残存したPE/異物も含まれる

B:手選別(PP回収) ⇒ PPを手選別で回収しているため、PP比率が高い

C:機械選別 ⇒ 金属回収設備のため選別精度は高くない。 異物・異樹脂ともに残留量多い。

C:機械選別(燃料代替回収)方式

軽量異物(ウレタン・繊維等)

ASR

金属

重量異物(土砂・硝子)

比重<1.0

比重<1.0

比重>1.0

金属・異物

洗浄粉砕/比重選別ASR

手選別除去

A:手選別(異物除去)方式

◆マテリアル施設別ミックスプラスチック回収方法(一次選別)の概要

◆一次選別品質結果

粒度選別

風選/比重選別

異物・金属

ASR手選別

手選別

風選/磁選・ECS

<100mm 50~100mm

比重<1.0

異物・金属

B:手選別(PP回収)方式 ミックスプラスチック手選別(PP回収)比重<1.0, >1.0

粒度分布 ⇒ 風力選別 ⇒ 粉砕⇒ 比重選別 ⇒ 磁力/ECS

ミックスプラスチック

ミックスプラスチック

ミックスプラスチック

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異物選別技術

風力選別 比重選別 静電分離 オートフィルタ(AF)

Liquid Sort(低比重液による比重選別) 静電分離 ブラックアイ(中赤外線による光学選別)

異樹脂別技術

◇ 二次選別概要

ふぃる

フィルター

●基本原理 押出機内に設置した、スクリーン表面で濾した残渣をスクレーパーでプロセスから排出し、スクリーンの交換頻度を減らし連続運転

選別対象:熱可塑性樹脂(PP含む)除去対象:金属、非溶融樹脂(架橋ゴム含む)、高融点樹脂

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×

×

×

◇二次選別方法選定の考え方

異物・異樹脂ともに残留量多いPP比率52.9%

一次選別のみで高いPP比率に選別可能PP比率98.2%

①異物・異樹脂を除去は必須。⇒従来の異物除去全てを実施⇒押出時のフィルタリングで品質確保

A:手選別(異物除去)比重<1.0*

B:手選別(PP回収)

C:機械選別

異物・異樹脂ともに残留PP比率79.2%

①異物は比較的少ない。(3.6%)⇒従来の異物除去全てを実施⇒押出時のフィルタリングで品質確保

②異樹脂は、PEである。(約20%)⇒剛性、耐熱性のため、PE除去が必要

A2 オートフィルタ―による押出時の異物除去

A3 摩擦・風力・静電分離による異物・PE除去

A4 ブラックアイによるPE除去

A5 LiquisortによるPE除去

一次選別結果

一次選別結果

一次選別結果

二次選別への期待

二次選別への期待

二次選別への期待

①異物がほぼない。(<0.4%)⇒異物選別不要、または押出時フィルタリングで品質確保

②異樹脂は少量のPEである。(<3%)⇒残りPEを除去した時の更なる物性向上

検証工程

B1 二次選別なし

B2 オートフィルタ―による押出時の異物除去

B4 ブラックアイによるPE除去

B5 LiquisortによるPE除去

検証工程

C2 オートフィルタ―による押出時の異物除去

C3 摩擦・風力・静電分離を用いた異物・異樹脂除去

検証工程

*手選別(異物除去)比重>1.0については、BlackEye、静電分離による選別を行ったが、異物多く造粒できず、評価に至らなかった。

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【一次選別品の回収率・PP濃度】手選別(異物除去)と手選別(PP回収)との回収量の差については手法の差ではなく、各施設の回収対象(重質、軽質ダストの一方または両方)が異なるためである。PP含有量については、PPを選択的に回収している手選別(PP回収)の方法が高く95%を越えた。一方、機械選別では比重>1.0の材料を多く含み、回収率は高いが、その分PP濃度は50%程度と低い。

【二次選別品の回収率・PP濃度】手選別(異物除去)品は、回収率・PP濃度いずれもBブラックアイが効果高い。手選別(PP回収)では、PP濃度の向上がわずかで、成分選別は不要と判断した。Liquisortは、PP(talcを含まない)を分離回収する方法で歩留まりは半分以下である(ただし、分離した両成分が利用可能)また、機械選別品はPP濃度が低いので、静電による選別では回収率が著しく低下した。一方、オートフィルタは押出造粒(スクリーン80mesh)でも、歩留まりを下げることなく、有望な異物選別方法である。

◇ 選択した工程の回収率、PP濃度*ASRを100%とした場合の回収率

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◇ 二次選別後の造粒・物性調査結果

機械物性から、三種類のコンパウンド自動車部品に適した素材を確認した。

*機械選別(燃料代替)由来のC1, C2について、高衝撃用途で検討を行ったが、物性不足の結果となった。

用途 適用材料

①高剛性用途・・・曲弾性率>1,200)MPa かつ 密度>0.94の物性を持つ材料が適する。

手選別(異物除去)からブラックアイ等でPEを除いた材料(A3、A4)、また、手選別(PP回収)が成分選別せずに(B2)使用可能。手解体品では、内装材が使用可能(X印)

②高衝撃用途・・・Izod>25の材料が適する。

手選別(異物除去)、同(PP回収)ともに、PEが含まれても機械物性を損ねることはなく、成分選別せず(A2、B2)に使用可能。手解体品ではバン

パー材が使用可能(+印)

③低剛性低衝撃用途(低密度)・・・比重0.93以下の材料が適する。

手選別(異物除去)、同(PP回収)ともに、軽比重液(Liquisort)による比重選別で回収した比重<0.93の材料(A5、B5)が使用可能。

* 番号・・・フローNO.○・・・手選別(異物回収) ×・・・手解体内装材△・・・手選別(PP回収) +・・・手解体バンパー□・・・機械選別

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◇二次選別の総合評価結果

フローNo. 二次選別内容 wtppm 円/kg

A2オートフィルタ―による押出時の

異物除去1.1% (79.2%) 17 55 高衝撃 ○

A3摩擦・風力・静電分離を用い

た異物・異樹脂除去0.7% 82.4% 25 83 高剛性

A4 ブラックアイによるPE除去 0.8% 93.7% 18 63 高剛性 ○

A5 LiquisortによるPE除去 0.4% 95.7% 12 63 低密度 ○

B2オートフィルタ―による押出

時の異物除去4.0% (98.2%) 16 80

高剛性

高衝撃○

B4 ブラックアイによるPE除去 3.3% 99.4% 29 89高剛性

高衝撃

B5 LiquisortによるPE除去 1.3% 98.8% 12 81 低密度 ○

C2オートフィルタ―による押出時の

異物除去6.7% (52.9%) 290 96 -

C3摩擦・風力・静電分離を用い

た異物・異樹脂除去1.2% 95.0% 440 36 -

*ASR規準(マテリアル施設で処理したASRを100%とした)**回収率、PP濃度、コスト等から用途ごとに最適工程を選んだ

最適工程

**

物性(可

能用途)

コスト

機械選別

(燃料代替)

回収率* 全臭素

濃度

手選別

(異物除去)比重<1.0

手選別

(PP回収)

1.1%

4.0%

7%

PP濃度一次選別 二次選別

(回収率、全臭素濃度、コスト)

<高剛性低衝撃用途>手選別(異物除去)は、PEが剛性に悪影響するのでPEを除去する工程が必要で、ブラックアイで選別する。

<高衝撃用途>手選別(異物除去)に含まれるPEが悪影響しないので、手選別(PP回収)とともに、二次選別不要。

<低剛性低衝撃(低密度)用途>手選別(異物除去、PP回収)に含まれるPE、PPtalcが悪影響するので、低比重選別を行い除去する。

最適工程

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◇ ASR由来、手解体由来の材料スペックの比較

高衝撃用途

歩留まり 2.0kg/台 7.3kg/台

臭素濃度 17ppm 9ppm

歩留まり 2.3kg/台

臭素濃度 1.1ppm

材料原価(円/kg)

高剛性用途

歩留まり 1.5kg/台 7.3kg/台

臭素濃度 18ppm 16ppm

歩留まり 2.1kg/台

臭素濃度 1.1ppm

材料原価(円/kg)

1次選別:手選別(異物除去)2次選別:成分選別(ブラックアイ) 手解体内装材

一次選別

二次選別

33

25解体回収

輸送

5一次選別

二次選別

505

1次選別:手選別(PP回収)2次選別:異物選別(オートフィルタ)

輸送

25

63

8086

輸送

5

30

23 粉砕

10

比重選別

18

異物除去

1次選別:手選別(PP回収)2次選別:異物除去(オートフィルタ)

1次選別:手選別(異物除去)2次選別:異物選別(オートフィルタ)

材料原価(円/kg)

手解体バンパー

材料原価(円/kg)

一次選別

二次選別

25

25 輸送

5一次選別

二次選別

505輸送

25

55

80 輸送5

71

107

異物除去

粉砕

10

解体回収

1

比重選別

20

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◇ ASR由来、手解体由来の材料スペックの比較

材料原価(円/kg)

低密度用途 (talcを含まないPP)

1次選別:手選別(異物除去)2次選別:成分選別(Liquisort)

一次選別

二次選別

33

25 輸送

歩留まり 0.9kg/台 2.4kg/台

臭素濃度 12ppm 12ppm

一次選別

二次選別

505

1次選別:手選別(PP回収)2次選別:成分選別(Liquisort)

輸送

26

63

81

手解体バンパー/内装材は、PPtalc(比重>0.94)を含むので、Liquisortなど低比重液による比重選別が必要があるが、今回は検討の対象外とした。

品質: ASR≦手解体 処方を工夫すればコンパウンドグレード製作可能コスト: ASR<手解体 手解体プラスチックも、洗浄・比重選別工程が必要で、コストアップする。

ASR由来の方が、コンパウンド原料として安価回収率: ASR>手解体 一台あたり回収率は、手選別(PP回収)4%で、手解体バンパー/内装材

合計2.3%より高い。

ASR由来、手解体由来の材料の比較結果

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◇ 油化検証◆ 油化システム概要・試験結果

油化パイロット装置 フロー概略図

プラスチック残渣からガソリン相当、灯油相当の2種類の油を精製することが可能。投入量に対する油化収率(2種類合計収率)はプラスチック中の異物・異樹脂含有率に応じて変動。

『低』

『中』

『高』

◆ 油化の経済性評価 残渣中の異樹脂・異物割合:「低」(1%以下)、「中」(3~7%)・ 残渣の有価引き取りでも採算にあう・ 有価買取での損益分岐点(7-13円/kg 油化施設渡し)

残渣中の異樹脂・異物割合:「高」(>20%)・ 逆有償取引での損益分岐点(処理費収入 約4円/kg 油化施設渡し)

今回の最適二次選別では、発生するプラスチック残渣は上記の「高」である(低、中はマテリアル利用可能の為)。また、一次選別工程も含めて考えたとき、「高」に相当の比重選別で沈んだ残渣が量多い。通常、残渣はセメント施設で産廃処理されるが、セメント処理費用>油化費用 となる費用構造であれば、事業として成立する可能性がある。

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①ASR由来ミックスプラスチックの品質ばらつき本検証でASR由来ミックスプラスチックは1ロットで評価を実施した。今後、材料リサイクルを商業的に行うためには、今回の最適工程が普遍的に機能するか確認する必要があり、時間軸(または原料ロット間)、施設間の品質バラつきの有無、および選別結果に与える影響を検証する必要がある。

②比重>1,0の樹脂の歩留まり向上手選別(異物除去)比重>1.0の材料は、PPtalcを50%ほど含んでいるが、継続的に押出造粒ができず評価を断念した。全体の回収率を上げ、回収コストを下げるために、PPtalcを回収する手法検討が、課題のひとつである。

③ 臭素ASR由来の粗原料の全臭素の分析結果では、手選別材料からも10-30ppmの間で検出された。その由来物質を明らかにするとともに、選別工程で臭素を検出して除外するプロセスについて検討が必要であり、今後の課題である。

◇ 検証結果まとめ

①ASRからの樹脂選別方法本検証では、一次選別は手選別によるもののみ自動車向け材料に適用可能と判断異物選別はオートフィルタが有効で、これと組み合わせることを前提に高剛性用途 ⇒ PEを多く含む手選別(異物除去)では、ブラックアイによるPE除去が有効高衝撃用途 ⇒ 二次選別(成分選別)は不要低剛性低衝撃用途 ⇒ Liquisort等、低比重液による比重選別による選別が有効

②ASR由来プラスチックと手解体プラスチックの比較品質においては、手解体由来粗原料が優れているが、ASR由来粗原料に比較するとコスト高い。結果として、ASRミックスプラスチックを経由して一次選別・二次選別を経て回収する方法が、コストおよび廃自動車からの回収率に優れる結果となった。

③残渣の油化検証最適二次選別フローでは、油化しやすい残渣は少なく、一次選別工程も含めて比重選別で沈んだ残渣処理が重要。処理費4円/kg(逆有償)で採算がとれる。⇒現状残渣が15円/kg以上にて産廃処理されていることを考えれば、処理費単価4~15円/kgの設定であれば競争力があると考えられる。

◇ 今後の課題