atm網 における通信/放...
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ATM網における通信/放送メディア統合のためのマルチキャス トルーティング制御方式
Muticast Rouing Schemeお I Integratお n of Coml■ untathn/BrOadcast Medla
戸出英樹 酒井 康晴 山本 幹 岡田博美
Hideki Todc Yastlllaru Sakai 卜Iiki Yal■ lamoto Hiromi OLda
大阪大学工学部Faculty of Engineering,Osaka University
スisittcι W‐ investigate the PrOblem Of multicがt eonllectiolls fo■ multipoint sclviccs in ATM
netwolks ln ordel to allply vP bl tlle lllllltipoint cOnnectioils“ equately,we P■。POSe a new VP―
levei network alchitectulo, atld ilithermo■ e t、vo multicast louting algolithins on coildition tllat
certain ■odes in the net、 volk have the cOpy functiOn Of cells and the Others dO :1● t Computer
simulttion lesults shO、 v that prOPosed alg。 lithms can ind multicNt paths、 vhicll a■ e eFective oll
the use of netwolk■ esou■ ces and can declease tlle average numbel of copied cells at a cOPy nOde
1 まえがき
B―ISDN(BIoadband aspects of liltegrated Sel
vtes Digital NetwOlk)実 現に向けての最も有力な
伝送方式として,音声等の低速 トラビックから動画
像等の高速 トラヒックに到る多種多様な伝送メディア
を統一的な処理で一つの通信網に収容可能である非
同期転送方式 (ATM Asynalonous nanst.Mode)が研究されている ATMで はセルと呼ばれる固定
長パケット単位で情報の蓄積転送を行うため, これ
までの電話網等による 1対 1の通信形態に力1え て中
継交換機上で情報の複製を行うことにより網資源の
有効不1用 を図りつつ 1対多型の通信サービスを収容
することができる TV会議やビデオサービス等に
代表されるように将来ユーザが実現を期待する1対
多型の放送サービスとしては広帯域を必要とする画
像 トラヒックが主になることから,放送型 トラビッ
ク収容時には網資源の有効利用を図る技術が重要に
なる しかしながら、 このような 1対多通信 (マ ル
チキャス ト通信)を 型 M網で実現するためには,情
報複製機能を有する交換機アーキテクチャの構築や
放送型 トラビックを対象とした呼受付制御方式の確
立 並びに最適な放送型経路を選択し,多地点間に
VC(Vitual cⅢ cu■ )を設定する経路選択法の確立等
様々な問題を解決 しなければならない
現在,WTM網 における経路選り,法 としては呼が
発生する前に予め 1対 1の ノー ド間で論理的なパス
(VP(VirtuJ Path)を 設定しておき あるノー ドにお
いて呼が発生 した場合には VPに基づいて送信ノー
ドか ら受信ノー ドにIlる VCを 設定する方法が考え
られている ll]こ の手法はクロスコネク トでの交換
処理を容易にすると共に,呼設定時の経路選択や回
線故障時のセルフヒーリングに要するll御負荷を軽
減させ,かつ VCを VPに集約させることにより統
計的多重効果を見込むことができるという長所も有
している しか し,今 までに提案されている VPの
l●用法は基本的に 1つの送信ノー ドから 1つの受信
ノー ドに到る 1対 1通信を対象としたものであり,1対多通信の放送型 トラヒックをどのようにして VP
環境に収容するのかという問題については十分な検
討がされていなかった 放送型 トラヒックを VP環鏡
に収容する上で考慮 しなければならない極めて重要
な問題はlFレ ベルで送信ノー ドから複数の受信ノー
ドに到る木状の放送型経路を求めた場合,算 出され
た放送型経路に沿ってどのように VCを設定 し,VPに収容するのか,ま た交換機において情報を複製す
る場合にどのような機構がその交換機に必要とされ ,
情報の複製に関する手順をとのように行わせるのか
ということである 従来のマルチキャス ト通信に関す
る問題を扱った交換レベルでのIIF究 は交換機に情報
複製機能を付加することでマルチキャス ト通信への
実IF.可能性を述べただけのものが多く 実際にATM網でマルチキャス ト通信を行う場合に必要とされる
放送型 トラヒックの VP環境への収容という観点か
ら問題を扱ったものは少なかった
本研究では以上の背景からATM網へのマルチキャ
ス ト通信実IF.法 について検討を行い,VP環境へ放送
型 トラヒックを収容する手法を提案する また,放送型 トラヒック収容に関して制作Iの容易さや網資源
のrl効 利用化等を考慮し,情報複製機能を有する交
換機 (コ ピーノー ド)を 限定した経路選択法を提案す
ると共に,そ の際に必要とされる放送型経路選択ア
ルゴリズムとして 2つの近似アルゴリズムを提案す
る 提案する近似アルゴリズムは Pnmのアルゴリ
ズム 121に基づいたものであり,網資源の有効利用化
を図りつつ,コ ピーノー ドに加わる鶯1御負荷を地理
的に分散させることができるという特徴をもつ
2 ATM網 への放送型 トラヒック
収容
21 マルチキャスト通信の実現法
1つの送信端末から複数の受信端末に情報を伝送
する 1対多通信 (マルチキャス ト通信)を実現する方
法としては以下の 2つが考えられる
1 放送型 トラビックを扱う端末に情報複製機能を
付加する 1平設定時には送信端末において各受
ln端米数分の情報を複製し,各送受信端末間で
VCを 設定することにより1対 1通信を行う
2加入者線側の交換機,ま た綱内の複数の交換
機に情報分配機H情 報複製機能)を付加する
ll設定時には情報複製機能を有する複数の交
換機を中継機とし情報の複製転送を行うよう
な放送型 トラヒックのみを対象とした通信形態
で情報を伝送する
方式 (1)は実現が容易であり,かつ従来の 1対 1
通信を対象とした制御方式の適用が可能であるとい
う長所を有しているが 受信端末数が多くなると同
じ情報が同一経路を流れる可能性が非常に高くなり,
細内幅峻を引き起こす可能性がある また I「帷 lH
に収容する放送型 トラヒックを考えた場合 動画像
などの広帯域 トラヒックが主になると考えられるこ
とから方式 (1)の 適用は網資源の有効利用の面か ら
「]題 となる
方式 (2)は網資源の有効不1用 を図ることが可能で
あり,今後のユーザ数増加に伴う収容 トラヒックの
増 lll予 測1と 対象となる放送型 トラヒックが広帯域を
要することを考慮した場合優れた方式であるといえ
る 以下では綱資源の観点からは最も有力である方
式 (2)をマルチキャス ト通信に適用 した場合に対 し
放送型 トラヒック収容時に発生する問題について検
.Iを 行う
22 VP環 境へ の適 用
放送型 トラヒックを VP環境へ収容する方法とし
て,ll下 の 2つか考えられる
(a)木状 VPを構成し 同じ送受信局の組み合わせ
をもつ放送型 トラヒック集合を同一の木状 VPに収容する
(b)経路設定時に 1対 1の VPを 複数組み合わせ
て木状の VPを構成し 放送型 トラヒックを収
容する
方式 (a)は 放送型 トラヒックを扱う送受信局数の組
み合わせがあるi■ 度限定される場合には有効である
放送サービスが主要なサービス形態となるATM網では送受信局集合の組み合わせは膨大なものになる
またVPI番号に関しては使用可能な番号が有限であ
ることから,lQみ合わせごとに個81の VPI番号を必
要とする方式 (a)の適用は困難である 一方 (b)の方式を理 M網へ適用する場合には 1対 1の VPを利用した木状経路の構成法が問題となるが,Vl'I番
号の有効オ1用 や VP単位による経路選択法の適用か
可能なためArM綱への政送型 トラヒック収容に関
しては方式 (b)が有効であると思われる
実際の網においては,方式 (b)の みを適用するタ
イプに加えて基幹網に対 しては方式 (a),地域綱に
関しては方式 (b)を適用する混合タイプ等も考えら
れる
方式 (b)では複数の VPを 接続することで木状の
経路を構成する必要があるが,そ のような木状経路
を構成するためには木状経路の分岐点において VPI
番号の書換えやその分岐点で複製を行うコピー数を
VCレ ベルで収得しなければならない しかし,VPレベルでの交換機はセルが有するヘッグ情報の中か
らVPI(Vlltual Path lden■ le■)だけを読み取り,高
l■ 交換することを基本原理としているため,VCレベルでの操作を VPレ ベルの交換処理に付加するよ
うな VCと VPの 階層化に反することはできない
このような問題に対する一つの解決策としては図 2
に示すように木状経路の分岐点に位置する交換機に
おいて一旦コピーセル (情報複製を行うセル)を VCレベルの交換まで落とし,そ こで情報の複製JIびに
VPIの 書き換えを行った後,再び VPレベルの交換
までコピーされたセルを上げるという手法が考えら
れる このような VP→ VC→ VP交換を行うこと
により放送型 トラヒックのVP環境への収容は可能
となる 技術的にもこの手法は VCレベルの交換機
に関して力1入者線へ向かうセルだけでなくVP網ヘ
向かうセルについても情報複製機能を付加し,VPIの書き換え操作をそれらのセルに対して行うだけで
実現できる (図 2)ただ.こ のような機能を全ての
交換機に対 して付加した場合では経路設定に要する
制御負荷が極めて大きくなる 網資源の有効Tl月 を
図るという点では全交換機に情報複製機能を41加す
るという仮定は有益であるが,その反面放送型 トラ
ビックを対象とした経路選択を行う場合,金 ノー ド
を対象として計算を行わなければならす.呼設定に
要する時間が極めて長くなる等の問題が生じる ま
た,実際に網沢1で実装される様々な種類の交換機アー
キテクチャを考えた場合,全交換機に情報複製機能
を付加するという操作よりも共有メモリ型等の情報
複製に適 した交換機に対してのみ情報複製機能を付
加する.ま たは17路選択時にそれらの交換機で優先
的にコピーを行うように経路選択を実行する形態の
方が放送型 トラヒックの通信品質の保証や制 tl負荷
の軽減化という点で有効であると思われる
そこで木研究では情報複製を行う交換機 (コ ピー
ノー ド)を 限定し,それらのコピーノー ド間をVPでl.ん だ ATM網 形態を構成し,放送性を有するトラ
ビックに関してはこの VP論理網上で経路設定を行
う方式を提案する これにより,放送型サービスに
対して経路選択を行う際,物理的な細ではなく特定
のコピーノー ドF.5を VPで結んだ論理 llmを対象とす
るため言1算量が軽減され,さ らに,放送型 トラヒッ
クを特定の VPに収容することになるため,大幅な
統計多重効果が期待される また,情報複._機首ヒを
有する交換機 (コ ピーノー ド)を 限定することはマシ
ンコス トの低減化や VPl.Tr号 の節約という点でも有
効な方策である
3 ATM網 における放送型経路選
択法
31 放送型経路選択法
ここでは網内でコピーノー ドが限定された場合の
放送型経路選択法を提案する 前章で述べたように
本手法では経路選択を行う際の前提条件としてコピー
ノー ド間に網の管理 レベルにおける VPに よる論理
的な完全網が設定されているものと仮定する また,
各コピーノードは経路選択時の特l llを 簡単化するた
め個々の管皓エリアを有 しており, コピーノー ドか
らエリア内のノー ドに到るような VPを 設定, もし
くはメモリ上に記憶しておくものとする (図 3)
本稿で提案する放送型経路選択法は以下の 3つの
フェーズから構成される
・ 経路探索フェーズ
コピーノー ド間,並びにコピーノー ド間から
各受信ノー ドまでに設定された複数の VPを
用い,呼設定の可否を考慮しつつ送信ノードか
ら各受信ノー ド集合に到る放送型経路を算出
する
・ VC設定フェーズ
経路探索フェーズで算出された放送型経路を対
象として VPの帯域予約とVCの 設定を行う
・ VC解放フェーズ
VC設定フェーズによって帯域予約された VPを解放すると共に設定された VCを 解除する
経路選択フェーズにより放送型 トラヒックの呼か
網似1に 受け付けられるとVC設定フェーズが実行さ
れ,放送型 トラヒックの呼解放と共にVC解放フェー
ズが実行される 木手法はノー ド間に設定されたVPを接続経路の候補として継路選択を行う適応型経路
選択法であり,コ ピーノードもしくは中央制御局に
よるソースルーティングを基本としているが,経路
選択時に対象としているコピーノー ドを限定 してい
るため全ノー ドに]ピー機能を付加1し た経路選択法
より網の規模が大きくなった場合でも経路選択に要
する制御負荷を抑えることが可能である
32 経路算 出時の問題 点
経路選択時にコピー操作を行うノードがある範囲
に限定された場合,特定のコピーノー ドに広帯域の
放送型 トラビックが集中してしまうという11題が生
じる 放送型 トラビックが同一の交換機に集中する
とその交換機はコピー数分の トラヒックを同時に収
容することから特定の放送型 トラヒックが交換機を
独占||に 使用する状況が起こり得る その場合,それ以後に経路選択を行う一般 トラヒックはその交換
機を迂回する経路を選択せぎるを得なくなり,遅延
品質が劣イヒしてしまう また,映像サービス等に関
しては一度設定された放送型経路に新たに別な力1人
者が追加されることが考えられる このような場合,
元の経路にはコピーノー ドを多く含む方が追加加入
が行い易い 以上より放送型経路を選択する際には
できるだけ特定の交換機の トラヒック集中を回避さ
せ経路内に複数のコピーノー ドを含むような放送型
lI路 を選択するアルゴリズムが必要となる
33 放送 型経路選択 アル ゴ リズム
これまでに提案されてきた放送型経路選択アル
ゴリズムとしては MST(Minimum Spaning Tlee)
法 同, KMB(Kou Malおwsky Belman)法 lll, RS
(R..yward Smith)法 l.rn],RST(Revelse SPannig Tlee)
法 lF]等が挙げられるが, これらのアルゴリズムは
いずれもグラフ理論におけるSteinel■ ee問 題に基
づく近似アルゴリズムであった Steiner n ee問 題
とは全ノー ドにコビー機能が付加されているという
条件の下て各ノー ド間に存在するリンクに重み係数
(コ ス ト)を ラベル付け, コス トの合計値が最小にな
るように送受信ノー ド間を接続する目的関数最小化
問題である しかしなから,Staner Ъee問題では
全ノー ドがコピー機能を有することを前捉条件とし
ているため, コピーノー ド数が制限された状況 (例 :
図 4)に おいて 実現可市ヒ解が存在するにも関わらず
(図 4(a))コ ピー機能を有さない局にコピーを実行さ
せる実現不可能解 (図 4(b))を 求める可能性がある
これは従来の多くの近似アルゴリズムがF.5題の簡単
イヒを図るために対象とする送信ノー ドと受信ノード
集合のみに注 目して処理を行っていたか らである
コピーノー ドを限定 した環境の下での放送型Tu路 薙
択アルゴリズムとしてはRMV(ReaChabに Mul● cast
V・ ltlees)法lb〕 が提案されているか RMV法 では]
ス トの最小化のみを目的としており 各コピーノー
ドにおけるコピー負荷の集中問題を考慮に入れてい
なかった そこで本稿ではコス トの最小を図り,かつコピー操作に関する負荷を地理的に分散させる放
送 l■経路選択アルゴリズムとして CNR(COpy Node
R est五 c● On)法 と改良型 CNR法を提案する
331 CNR(COPy No de Restiicti011)法
CNR法は従来の Pnmの アルゴリズム岡 に基づ
いたアルゴリズムであり, コピーノー ドが限定され
た環境の下で]ピー操作に関する負荷を地理的に分
散させるという特徴をもつ 以下に記述するアルゴ
リズムは本研究で提案した放送・I経路選択法の経路
探索フェーズで実行するアルゴリズムであり 本ア
ルゴリズムで用いるVPは 網の管理 レベルで算出さ
れているものとする また,以下のアルゴリズム内で
用いているVPコス トとはVPト レース方式等によ
り算出されるその VPの負荷状況や伝搬遅延によっ
て重み付けされる値とする コス ト値は小さな値を
とるほとパスの低負荷状況,並びに遅延時 F・5の短さ
を表すと仮定する
【lr Pア ルゴリズム】
(1)送 信ノー ドSがコピーノー ドでない場合 送信
ノードから最小コス トで接続可能なコピーノー
ド'に
到るVPを選択し,それを初期木 Tと
する 送信ノー ドSが コ ピーノー ドメである
場合には送信ノー ド自身を初期木 rと する
。Tが構成された場合 手1贋 (2)ヘ
・ rの構成が不可能な場合, 呼損とする
(2)受 l・ ノード集合 D,並びにコピーノー ド集合 0の 2つの要素を接続する論理10な グラフ (Vl'
から構成される網)Cを構築する 但し,グラ
フCを挫成するノー ド間のリンク]ス トは 2
ノードを結お(VPの コス トとし コピーノード
ではない 2つの受 l.‐ ノー ド間にはリンクは存
在しないものとする グラフ0は コピーノー
ド集合のみを見ると完全網をなす 手順 (3)ヘ
(3)グラフCに関して Tに含まれるコピーノー ドか
らrに含まれていないグラフC上のノー ドに
到る接続可能最小コス トパス鳥,iれ を求め 2・ に
接続する
o受信ノー ド集合が全て rに収容された場
合,手順 (4)ヘ
・『
にパス P .を接続した場合,島1れ に関
連するVPの コス トを更新 し手順 (3)ヘ戻る
orに接続可能なパスが存在しない場合,呼
損とする
(4)『に含まれる'′
以外のコピーノー ドで葉となっ
ているものについて分岐点からそのコピーノー
ドに到るパスを Tか ら削除する 終了
なお,上記のアルゴリズムではTの構成やrに 関
するパスの接続が不可能な場合は呼損としていたが,
VP容量を可変としたり,VPを再濯成する手法も考
えられる
図5に CNR法の適用Inlを 示す 図中 (a)は網の形
状と経路選択を行う送信ノー ドと受信ノー ド集合を
示している リンクに付加された数字はそのリンク
のコス ト(VPコ ス ト)を表す値である (b)は手順
(1)に よる出力結果を表しており (c)は手順 (2)よ っ
て作成される受信ノード集合D={α l,ag,4)と コ
ピーノード集合σ={α ,0,ε〕から成る論理的な網Cを表している ノード間を連結するリンクはノード
間に張られた最小コス トツヾスを, リンクに付加され
た数字は最小コス トパスのコス トを表 している (d)
は手順 (3)の 操作によって得られた出力結果であり
手順 (1)か ら(4)ま での操作によって最終的に (e)が
得られる
332 改良型 CNR法
CNR法では経路を作成する際,受信ノードだけで
なく全てのコピーノー ドも強制的に放送型経路内に
取り入れようとする性質をもつため,結果として得
られる経路全体のコス トは図 6の ように最適経路の
コス ト値よりも大きくなる場合がある
改良型 CNR法 は CNR法で算出された経路から
余分なコピーノー ドを取り除くことによってコス ト
の最小化を図るアルゴリズムである 改良型 CNR
法は CNR法より網資源の有効不1用 を図ることがで
きる反面,計算量が多くなる
アルゴリズムの詳細を以 ドに示す
【改良型 CN■アルゴリズム】
l CNR法 の手順 (1)か ら(4)を行 う
2Tに 関して実際にコピー操作を行 っている (分岐
数が 3以上の)コ ピーノー ド集合と受信ノー ド
集合のみを対象として CNR法 の手順 (1)か ら
(4)ま での処理を再実行する (実行例 1図 7)
4 性能評価
41 性能評価尺度
アルゴリズムの性能評価尺度としては,平均]ピー
ノー ド数と算出された放送型経路の平均コス ト(平
均木コス ト)を用いる 平均コピーノー ド数は作成
された放送型経路が含む実際に情報複製を行ったコ
ピーノー ドの平L● 数として定義される
平均コピーノー ド数は,コ ピー操作に関する負荷状
況を表す.I価尺度であり 1か ら(受信ノー ド数 -1)
までの値をとる 平均コピーノー ド数が 1に 近い値
をとる程,そ のアルゴリズムは]ピー操作に関する
負荷を 1つのノー ドに集中させ,(受信ノード数 -1)
に近い値をとる程コピー操作に関する負荷を地理的
に分散させる
また,本稿で提案した放送型経路選択アルゴリズ
ム (CNR法 .改良型 CNR法 )の 性能と比較するた
めに以下の 2つのアルゴリズムを.T価対象として考
える
1 従来の放送型近似アルゴリズム (RMV法 161)
【基本原理】
コピーノー ド集合の中から最適と思われるノー
ドを一つ選択し,そのノー ドを起点として受信
ノー ドに到るパスを逐次接続 していくことで
木状経路を構成する
2 1対 1通信に基づく経路選択アルゴリズム
(PTP(POint tO POint)法 )
【基本原理】
送信ノードに最も近いコピーノー ドで受信ノー
ド数分のコピーを行い そのノードから各受信
ノー ドに到るl対 1の経路選択を行う
42 網モデル
シミュレーションを行う網モデルとしては文献 ‖
の方法によって作成したノー ド数 20, リンク数 46.
ノー ド当たりの平均接続 リンク数 46の ランダムグ
ラフを採用した (図 8)計算機シミュレーションで
はアルゴリズムの基本特性をみるため,網内に配置
されるコピーノー ドや経路選択時の送l.ノ ー ド.受
信ノー ド集合はランダムグラフの任意のノー ドから
選択した また,簡単化のためノード間に設定され
るVPは 2ノ ー ド間を結ぶ最小コス トのパスとし,
各 リンクの使用状況を表すコス トはそのリンクの ltJ
理的な長さ (固定長)と した
43 シミ ュレー シ ョン結 果
図 9は コピーノー ド数 rlが rl=loの場合に
おける各アルゴリズム (CNR法 改良型 CNR法 ,
RMV法,PTP法 )の平均木コス トー受信ノー ド数
特性を示したグラフである グラフよりONR法 ,改
良型 CNR法,RMV法 の各アルゴリズムは従来の 1
対 1の経路選択に基づくPTP法よりも全体的に平
均木コス トが小さいことがわかる 従って綱資源の
有効不1用イとを図る面でl■送型経路選択アルゴリズム
の存在は重要であるといえる 1改 良型 CNR法の
平均木 ]ス ト特性は CNR法 よりも小さいが,その
差はあまり見受けられない この理由の一つとして
は CNR法で得 られた解が最適解に非常に近 く,改
良型 CNR法を適用 した場合でもコス トの低減イヒ効
果が表れないためであり,こ れはRMV法を含めた
3つの特性間に差が見られないことからもわかる
図 10は コピーノー ド数 101が ICI=10の 場合
における各アルゴリズム(CNR法 改良型 CNR法,
RMV法,PTP法)の平均コピーノード数―受イ言ノー
ド数特性を示したグラフである グラフ中の点線で
示されている特性曲線は平均]ピーノー ド数のみを
考えた場合の理想曲線であり,経路選択時に各コピー
ノー ドで作成するコピー数が全てにおいて 1で ある
場合を意味する グラフより本稿で提案したアルゴ
リズム CNR法 ,改良型 CNR法 は従来の RMV法よりも理想値に近いことがわかる また PTP法で
は経略選択時に 1つ のコピーノー ドにおいて全ての
コピー操作を行わせるため平均木コピーノー ド数は
常に 1であり,制御の負荷を集中させていることが
わかる CNR法 と改良型 CNR法を比較 した場合 ,
改良型 CNR法の平均コピーノー ド数は CNR法よ
りも小さくなっている これは改良型 Cヽ R法が平
●●木コス トの最小化を行う替わりにコピーノー ドに
関する負荷を集中させているためてあリ コス ト最
小イヒとコピー負荷分散の間で トレー ドオフの関係が
成り立つためである
以上のシミュレーション結果より本稿で提案した
2つのアルゴリズムは従来のアルゴリズムと同様に
網資源の有効利1用 を図りつつ,かつ従来のアルゴリ
ズムよりもコピー操作に関する負・jを地理的に分散
させることができる特徴をもつことが示された
5 むすび
本稿ではATM綱 へ放送型 トラヒックを収容する
場合に有効である網構成法として,情報複製機能を
有する交換機 (コ ピーノード)を網内の複数箇所に配
置させ,コ ピーノード間で論理的な網を形成するこ
とにより経路選択時の制御を容易にする手法を提案
した 本手法ではコピーノー ド間に設定された VPへ複数の放送型 トラヒックを収容するため統計的多
重効果を見込むことができ,かつ放送型 トラヒック
収容時に必要なマシンコス トを低減化することがで
きる
提案した網環境における放送型経路選択法として
は3つのフェーズ (経路探索フェーズ,VC設定フェー
ズ,VC解放フェース)か ら構成される放送型経路で
択法を提案し 経路探索フェーズで必要な経路選択
アルゴリズムとしては 2つのアルゴリズム(CNR法改良型 CNR法 )を 提案した 計算機シミュレーショ
ンでは提案アルゴリズムの基本特性を示すことでそ
の有効性を示した 本アルゴリズムは交換点でのコ
ピー機育しに関する制御負荷を地理的に分散させると
いう特徴を有している
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図 3:同報 放送サー L7ス に適したVP綱構成例
(■)'aCtied Solulon o)Non Prac」 cal sOlunOn
O sOuce eDestha10n OCopソ Node
図4:コ ピーノー ド限定環境における経路選択例
C)
dl d2 d3
● source
● Destlnalon
O CoPI Nodc
(a)Ne“。rk Topology
Scheme(2)_(a)
vP rVPレvel
図2:コ ピーノー ドの構成Ol CNR法の適用例
destinatlon
5dcsdnation
sourcc sOurcc
図 6iCNR網 の最悪ケース例
“∽090p●
0“ヽ業V咤く
220
0Xl
180
1611
120
llXl
80
60
40
Nctwo磁
20
図7:改良型CNR法の適用例
2 3 4 5 6 , 8 9 101112 13141516 1718 19
Nulnbcr oFdcstlnatlons
図9:平均木コスト‐受信ノード数特性
4 5 6 7 8 9 1011 1213 1415 16 17 1819Numbcr of dcstinations
O:平均コピーノード数―受信ノード数特性
齢ご 0
∽o嗅こ
、R8
「o「路えごoHお日ヨ●g”gO′く
2 3
"ofcopy nodes‐10
P rP
C餞 ∞,t:00
di
02
Cu酬 104)
″of∞py nodes_lo
図8:網モデル
図 1