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Page 1: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」
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[主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析

[要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

の染色体断片を置換した系統群を作出し、一穂粒数などシンクサイズに関わ

る穂形態関連QTLを多数検出した。各QTLの効果は小さく、一穂粒数に対して

独立かつ相加的に作用することが明らかとなった。

[キ ー ワ ー ド]イネ、染色体断片置換系統群、シンクサイズ、穂形態、QTL、準同質遺伝子系

[担 当]農業生物資源研究所・QTLゲノム育種研究センター

[連 絡 先]029-838-7135 [分 類]知的貢献、技術開発

---------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

イネのシンクサイズ増加に重要な穂形態形質に関する遺伝学的研究はQTL解析手法の発

展に伴って数多く報告されている。しかしながら多収インド型品種と日本型品種の収量差

の要因とされる穂長や粒数の差を完全に説明できているとは言い難い。本研究では、日本

型品種「ササニシキ」の遺伝的背景にインド型品種「ハバタキ」の染色体断片を導入した

染色体断片置換系統群(CSSLs)を作出するとともに、それらを用いて穂形態関連QTLの網

羅的な検出を行った。さらに、検出されたQTLの集積によるシンクサイズ増大の可能性を

検討した。

[成果の内容・特徴]

1. 日本型品種「ササニシキ」を遺伝的背景として、多収性インド型品種「ハバタキ」の

染色体断片を置換することでゲノムのほぼ全領域をカバーした 39 系統からなる染色

体断片置換系統群(CSSLs)を作出した(図1)。 2. CSSLsを用いて 5 つの穂形態形質(一穂粒数、一次枝梗数、二次枝梗数、穂長および

一次枝梗長)について、ハバタキの対立遺伝子がシンクサイズを増加させるQTLを 21

箇所および減少させるQTLを 17 箇所検出した(図1)。それらのQTLは 2 ヵ年を通じ

てほぼ共通に検出され、第 11 染色体を除く全染色体に存在していた。 3. 第 1 染色体の二次枝梗数を増加させるQTL(qSBN1)と第 6 染色体の一次枝梗数を増

加させるQTL(qPBN6)について準同質遺伝子系統(QTL-NILs)およびそれらの集積系

統を作出した(図2A)。2 つのQTLは独立かつ相加的に働くことで一穂粒数を増加

させることが明らかとなった(図2B)。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. 作出したCSSLsは、出穂期や稈長の変異が小さい恒久的な実験系統群であり、収量性

ばかりでなく他の形質の遺伝研究にも利用できる。 2. 効果の大きなQTLは単独でもシンクサイズを増大させることができ、さらにはその集

積による相加効果も確認できたことから、検出されたQTLのピラミディングがシンク

サイズの改変に有効である。 3. CSSLsの種子は遺伝子型情報と合わせて農業生物資源研究所ゲノムリソースセンター

より入手できる(http://www.rgrc.dna.affrc.go.jp/jp/)。

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Page 6: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:遺伝子探索のためのイネ染色体断片置換系統群の作出と評価、イネの多収性関連形

質に関するDNAマーカー選抜技術の開発/イネシンクサイズに関与する遺伝子のマッピングとピラ

ミディング

予算区分:農水委託「DNAマーカー」、中期計画課題コード:A01、研究期間:2002~2006年度

農水委託「QTL」、中期計画課題コード:A01、研究期間:2005~2007年度

研究担当者:山本敏央、矢野昌裕、安藤露(農林水産先端研)、清水武彦(農林水産先端研)

発表論文等: Ando T, Yamamoto T, Shimizu T, Ma X.F, Shomura A, Takeuchi Y, Lin S.Y, Yano M (2008) Genetic dissection and pyramiding of quantitative traits for panicle architecture by using chromosomal segment substitution lines in rice. Theoretical and Applied Genetics 116(6):881-890.

A

図2 (A)ササニシキ遺伝背景にハバタキ由来の2種類の穂形態関連

QTLを導入した準同質遺伝子系統(QTL-NILs)およびその集積

系統のグラフ遺伝子型(上)および穂形態(下)

(B)QTL-NILsおよびその集積系統の二次枝梗数、一次枝梗数

および一穂籾数に対する効果

図1 ササニシキとハバタキの染色体断片置換系統群のグラフ遺伝子型および2年間で検出した

穂形態関連QTL 左下は2004年の結果、右上は2005年の結果を示す。SNは一穂粒数、PBNは

一次枝梗数、SBNは二次枝梗数、PLは穂長、PBLは一次枝梗長を表す。赤枠で囲った領域は

2箇年で共通に検出されたQTLを表す。

一次枝梗数 (PBN)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

NIL(SBN1+PBN6)

NIL(SBN1)

NIL(PBN6)

ササニシキ

二次枝梗数 (SBN)

5.0 7.0 9.0 11.0 13.0 15.0

NIL(SBN1+PBN6)

NIL(SBN1)

NIL(PBN6)

ササニシキ

0 50 100 150 200 250

NIL(SBN1+PBN6)

NIL(SBN1)

NIL(PBN6)

ササニシキ

一穂籾数 (SN)

aa

bb

a

ab

b

ab

cd

一次枝梗数 (PBN)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0

NIL(SBN1+PBN6)

NIL(SBN1)

NIL(PBN6)

ササニシキ

二次枝梗数 (SBN)

5.0 7.0 9.0 11.0 13.0 15.0

NIL(SBN1+PBN6)

NIL(SBN1)

NIL(PBN6)

ササニシキ

0 50 100 150 200 250

NIL(SBN1+PBN6)

NIL(SBN1)

NIL(PBN6)

ササニシキ

一穂籾数 (SN)

aa

bb

a

ab

b

ab

cd

B

CSSLs No.SL401 B B B B B B H

SL402 B B B B B B B B B B B B B B B

SL403 B B B B B B B B B B B B B B

SL404 B B B

SL405 B B B B

SL406 B B B B H

SL407 H B

SL408 B B B B B H H

SL409 B B B B B B B B

SL410 B B B B B B B

SL411 B B B B B B B

SL412 B B B B

SL413 B B B B B B B B B B B B B B

SL414 B B B B B B B B

SL415 B B B B B

SL416 B B B B B B H B

SL417 B B B B B B B B B

SL418 B B B B B B B B B

SL419 B B B B B B B B B

SL420 B B B B B B B B B B

SL421 B B B

SL422 B B B B B B B B B B B

SL423 B B B B B B B B

SL424 B B B B B

SL425 B B B B

SL426 B B B H

SL427 B B B B B B B

SL428 B B H B B B B H B B

SL429 B B B B B B B

SL430 B B B

SL431 H B B B B

SL432 B B B

SL433 B H B B B B

SL434 B B B B B B B

SL435 B B B B B B

SL436 B B

SL437 B B B

SL438 B B B B H H B B

SL439 B B B B B B B B

chr.9 chr.10 chr.11 chr.12chr.5 chr.6 chr.7 chr.8chr.1 chr.2 chr.3 chr.4

PBN

SN

PBN(*

PBL(*

PBL

SNSBNPL

SNSBN

PBN

SN

SNSBNPBL

SNPBNPL

PBLSN

SBNPBL

SNPBNPL

SBNPBL

SBN

PBNPL

SN

SBN

PBL

SBN

SBN SN

PBL PBN

2004

2005

SNPBN SBN

PBL

SBNSNPL

PBLPBL

SNSBN

SBN

SNPBNPL

PBL

SBNPBL

SBN

SNPL

PBL

PBN

PBL

SNPL

PBL

SBN

PBL

PBL

PBN

PBL

SNSBN

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Page 7: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]イネ種子を基盤とする経口コレラワクチンの開発

[要 約]コレラワクチンを種子に蓄積する遺伝子組換えイネを開発した。このイネ

の種子をマウスへ経口投与した結果、コレラ毒素に対する防御抗体が産

生され、下痢の症状が抑えられたことから、経口コレラワクチンとして

のイネ種子の有効性が明らかになった。

[キ ー ワ ー ド]遺伝子組換えイネ、種子、経口ワクチン、コレラ

[担 当]農業生物資源研究所・遺伝子組換え作物開発センター

[連 絡 先]029-838-8373 [分 類]技術開発

---------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

コレラ毒素は、下痢や嘔吐を引き起こす A サブユニットと、毒素の腸管粘膜への結合

を促進する B サブユニット (CTB) から形成される。このうち、単独で存在する状態で

は毒性を示さない CTB は、コレラ感染を予防するための有効かつ安全な経口ワクチンと

して注目され、CTB を経口投与するヒト臨床試験も実施されている。そこで本研究では、

農業生物資源研究所が保有するイネの遺伝子組換え技術を活用して、種子の中に CTB を

蓄積する遺伝子組換えイネを開発するとともに、東京大学医科学研究所との共同研究とし

て、イネ種子をマウスへ経口投与する試験を行い、経口コレラワクチンとしての CTB を

蓄積するイネ種子の有効性を評価した。

[成果の内容・特徴]

1. イネ種子貯蔵タンパク質であるグルテリンのプロモーターを利用して、イネ種子中に

CTB を蓄積させるためのプラスミドを作製し(図1)、遺伝子組換えイネを作出した。

2. CTBを蓄積するイネ種子の有効性を評価するため、マウスへの経口投与試験を実施し

た。その結果、CTBを蓄積するイネ種子の経口投与により、コレラ感染の防御に必須

である腸管粘膜表面への抗 CTB IgA 抗体の分泌が誘導された (図2)。

3. さらに、CTB を蓄積するイネ種子を経口投与したマウスでは、コレラ毒素による下痢

の症状が顕著に抑えられた (図3)。これらの結果から、経口コレラワクチンとして、

CTB を蓄積するイネ種子の有効性が明らかになった。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. 本研究により、低コストで負担の少ない、新しい経口ワクチンの生産・投与方法とし

てのイネ種子の利用可能性が示された。また、未だ不明な点の多い腸管免疫応答に関す

る基礎医学的研究にも、新規素材の提供を通しての貢献が期待できる。

2. 東南アジア、アフリカ、南米などの開発途上国において、安価で容易なコレラ感染予

防の実現に貢献でき、遺伝子組換え技術・遺伝子組換え農作物の開発にもつながるこ

とが期待される。

3. 今後の実用化へ向けては、イネの野外栽培試験に加えて、臨床試験が必要である。

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Page 8: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:健康機能性作物や有用物質高度生産技術の開発

予算区分:アグリバイオ、中期計画課題コード:C12、研究期間:2004~2007年度

研究担当者:高岩文雄、高木英典、楊麗軍

発表論文等:

Nochi T, Takagi H, Yuki Y, Yang L, Masumura T, Mejima M, Nakanishi U, Matsumura A, Uozumi A, Hiroi T, Morita S, Tanaka K, Takaiwa F, Kiyono H (2007) Rice-based mucosal vaccine as a global strategy for cold-chain- and needle-free vaccination. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 104(26):10986-10991.

Log 2

titer

1

2

3

4

5

18.75 37.5 75 150

CTB Dose (µg)

Log 2

titer

1

2

3

4

5

1

2

3

4

5

18.75 37.5 75 15018.75 37.5 75 150

CTB Dose (µg)

Diarrhea volume (µl

)

500

600

700

800

CTB Rice rCTB WT Rice PBS

Diarrhea volume (µl

)

500

600

700

800

500

600

700

800

CTB Rice rCTB WT Rice PBSCTB Rice rCTB WT Rice PBS

図2 CTBを蓄積するイネ種子の投与によ

る腸管粘膜表面への抗CTB IgA抗体

の分泌

■:CTB を蓄積するイネ種子 □:精製した CTB タンパク質 ★★:P < 0.01

図3 コレラ毒素による下痢の症状に対

するCTBを蓄積するイネ種子投与の効

CTB を蓄積するイネ種子(CTB rice)

の投与により、精製した CTB タンパ

ク質(rCTB)を投与した際と同じレベ

ルにまで下痢の症状が顕著に抑えら

れた。

WT Rice:野生型イネ種子、PBS:生理

食塩水、★:P < 0.05

グルテリン GluB-1シグナルペプチド

グルテリン GluB-1プロモーター

グルテリン GluB-1ターミネーター

コレラ毒素 B サブユニット (CTB) KDEL

グルテリン GluB-1シグナルペプチド

グルテリン GluB-1プロモーター

グルテリン GluB-1ターミネーター

コレラ毒素 B サブユニット (CTB) KDEL

図1 発現プラスミドの構造

発現するCTBタンパクは、イネ種子胚乳細胞内のタンパク質顆粒Iの表面及びタ

ンパク質顆粒IIの内部に蓄積される。KDELは小胞体保持配列。

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Page 9: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]イネの誘導抵抗性に関わる転写因子WRKY45の発見とその利用

[要 約]イネにおいて抵抗性誘導剤ベンゾチアジアゾールの作用に必須の役割を

担う転写因子WRKY45を見出し、この転写因子を過剰発現させたイネが、

いもち病および白葉枯病に極めて強い抵抗性を示すことを明らかにした。

[キ ー ワ ー ド]イネ、抵抗性誘導剤、転写因子、いもち病、白葉枯病

[担 当]農業生物資源研究所・植物科学研究領域・耐病性研究ユニット

[連 絡 先]029-838-8383 [分 類]技術開発・知的貢献

---------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

ベンゾチアジアゾール(BTH)などの抵抗性誘導剤は、植物の防御応答シグナル伝達経

路(サリチル酸経路)に作用し、病原体感染時における迅速な抵抗性発現への準備効果(プ

ライミング効果)により病害抵抗性を高めることが知られている。この過程において、多

数の防御遺伝子を統括的に制御し、プライミング効果のキーとなる転写因子の存在が想定

された(図1)。本研究では、BTHの作用の中核を担う転写因子を同定し、これを用いて

イネの耐病性を飛躍的に向上させ、無農薬栽培を実現する手法を開発することを目指した。

[成果の内容・特徴]

1. BTH処理により、イネにおいて発現誘導される転写因子WRKY45(ワーキー45)を見出した。

RNAi法によりWRKY45遺伝子を発現抑制したイネでは、BTHによるいもち病抵抗性誘導が損

なわれていることから、本転写因子がBTHの作用に必須であることが示された(図1)。

また、WRKY45は約300種の防御遺伝子を制御していることがわかった(図1)

2. 構成的プロモーター(トウモロコシ・ユビキチン・プロモーター)の制御下にWRKY45遺伝

子をイネで過剰発現させた結果(WRKY45-oxイネ)、いもち病(糸状菌病)に対して極め

て強い抵抗性が認められた(図2)。また、WRKY45-oxイネのいもち病抵抗性の強さは極

強品種の「戦捷」よりも強いことがわかった。

3. WRKY45-oxイネは、細菌病の白葉枯病にも極めて強い抵抗性を示した(図2)。このこと

から、BTHなどの抵抗性誘導剤と同様、WRKY45-oxイネは多種の病原体に対して抵抗性を有

すると考えられる(複合病害抵抗性)。

4. 防御応答に関わる転写因子の過剰発現は生育障害をともなう場合が多いが、WRKY45-oxイ

ネでは、プライミング効果により抵抗性反応が病原体感染後にのみ活性化するため、生育

障害が比較的少ない(図1、図3)。しかしながら、環境の影響により恒常的に抵抗性反

応が誘導され、生育障害が強くなる場合があることがわかった(図3)。

5. イネのサリチル酸経路は、WRKY45の経路とOsNPR1の経路に分岐していることがわかり

(図4)、WRKY45に対応する転写因子をもたないシロイヌナズナのサリチル酸経路と

は異なることが明らかになった。WRKY45経路とOsNPR1経路の機能分担により、より高

度な病害応答を可能にしていると推測される。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. 環境により影響を受ける生育遅延を最小化するため、プロモーターの選択による導入

WRKY45 の発現レベルの最適化を試みている。 2. WRKY45 導入による飼料用イネの複合病害抵抗性強化により、WRKY45 の実用利用を図る。 3. WRKY45 の機能はイネ科作物に共通している可能性が高く、コムギやトウモロコシへの

応用が期待できる。

- 8 -

Page 10: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:病害抵抗性に関与する転写因子の同定と作用機構の解明

予算区分:重要形質、中期計画課題コード:B13、研究期間:2003~2007年度

研究担当者:高辻博志、霜野真幸、菅野正治、中山明、姜昌杰、林長生、加来久敏

発表論文等:

1) Shimono M, Sugano S, Nakayama A, Jiang C-J, Ono K, Toki S, Takatsuji H (2007) Rice WRKY45 plays a crucial role in benzothiadiazole-inducible blast resistance. The Plant Cell 19(6):2064-2076.

2) 特許申請:国内出願 高辻博志、菅野正治、霜野真幸、姜昌杰、加来久敏「転写因子遺伝子の

導入による植物の病害抵抗性の改良」特願2007-517912(および同国際出願)

図1 BTHによるプライミングにおける転写

因子WRKY45の役割

図2 WRKY45-oxイネのいもち病および白葉枯

病抵抗性

いもち病抵抗性(A)および白葉枯病

抵抗性(B)。いもち病抵抗性は極強

の抵抗性品種‘戦捷’より強い(C)。

図3 WRKY45-ox イネの生育と遺伝子発現に及ぼ

す生育環境の影響

温室で育成したWRKY45-oxイネでは抵抗性

反応の指標となる PR1bおよび PR2 が発現

していないが、人工気象室で生育した

WRKY45-oxイネではPR1bおよびPR2が発現

しており、抵抗性反応の結果と推測される

初期生育の遅延が認められた。

図4 イネとシロイヌナズナの SA 経路の相違

シロイヌナズナでは、SA 下流の遺伝子の

99%以上が NPR1 に制御されているのに対

し、イネでは SAの下流で WRKY45 と OsNPR1

の経路に分岐している。

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[主要研究成果名]トマトモザイクウイルス (ToMV) のゲノム複製を阻害する遺伝子 [要 約]ToMV抵抗性遺伝子Tm-1 をもつトマトの細胞抽出液に、試験管内ToMV RN

A複製阻害活性を検出し、これを精製することによりTm-1 遺伝子産物を同

定した。さらにこのタンパク質が、ToMVのRNA複製を司るタンパク質に結

合して、その働きを阻害することを明らかにした。 [キ ー ワ ー ド]トマト、トマトモザイクウイルス、抵抗性遺伝子 [担 当]農業生物資源研究所・植物科学研究領域・植物・微生物間相互作用研究

ユニット [連 絡 先]029-838-7009 [分 類]知的貢献 --------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

ウイルスに対する抵抗性を付与する植物遺伝子は、作物をウイルスによる病害から守るため

に広く利用されている。これまでに多くの抵抗性遺伝子が同定されたが、そのほとんどは、感

染を感知してウイルスに対する防御反応を活性化するスイッチの役割を担うものであった。

ToMVに対する抵抗性遺伝子Tm-1 は、これらとは異なった機構でToMVの増殖を阻害している

ことが示唆されていたが、組み換え頻度が極端に低い染色体領域に座乗しているため、遺伝学

的な位置情報に基づいて同定することができず、その実体は謎に包まれたままであった。本研

究では、試験管内ToMV RNA翻訳・複製系を用いてTm-1 の作用機作の解明と遺伝子産物の同

定を試みた。

[成果の内容・特徴]

1. タバコの細胞抽出液を用いた試験管内ToMV RNA翻訳・複製系に、Tm-1 トマトの細胞抽

出液を添加すると、複製反応が阻害されることを見いだした。 2. Tm-1 トマトの細胞抽出液から、試験管内ToMV RNA複製を阻害する活性を担う因子を、

各種カラムクロマトグラフィー等による6段階の分画操作を経て精製し、分子量約8万の

タンパク質 (p80) を同定した(図1)。さらに、試験管内翻訳により合成したp80が、試

験管内ToMV RNA複製阻害活性をもつことを確認した(図2)。p80は、ToMVがコード

し、RNA複製を司るタンパク質(130-kDa, 180-kDa複製タンパク質)の合成あるいは

蓄積には影響を与えなかった。 3. p80をコードする遺伝子がTm-1 と遺伝学的に共分離すること、Tm-1 トマトにおいて

p80遺伝子をノックダウンするとToMVの増殖が許容されること、ToMV感受性トマト

でp80を発現させるとToMVに対して抵抗性となること(図3)から、Tm-1 がp80をコードすることが明らかとなった。

4. p80 (Tm-1) はToMVの130-kDaタンパク質に結合した(図4)。また、一旦ToMVの

RNA複製複合体が生体膜上に形成されてしまうと複製を阻害できなかった。従って

Tm-1は、複製タンパク質に結合して複製複合体の形成過程を阻害すると考えられた。

Tm-1 遺伝子のこれらの性質は、これまでに同定された植物ウイルス抵抗性遺伝子のいず

れとも異なるユニークなものである。 [成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. ある病原体が侵入しても、過敏感反応等の誘導抵抗性を介することなく感染を免れる生物

が、その病原体の特異的増殖阻害因子を予め備えている場合があることを示すことができ

た。このような事例がいかに遍く存在しているかを明らかにすることは今後の課題である。 2. 増殖阻害因子を備えている植物は「非宿主」と見なされる。したがって、非宿主を探索す

ることにより、新規抵抗性遺伝子を多数発見できる可能性がある。

- 10 -

Page 12: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:トバモウイルスと宿主の共存を支える分子基盤の解明 予算区分:交付金プロ「共生系」、中期計画課題コード:B41、研究期間:2005~2007年度 研究担当者:石橋和大、飯哲夫、石川雅之 発表論文等:

1) Ishibashi K, Masuda K, Naito S, Meshi T, Ishikawa M (2007) An inhibitor of viral RNA replication is encoded by a plant resistance gene. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 104(34):13833-13838.

2) 特許申請:国内出願 石川雅之、石橋和大.(2006)「トバモウイルス抵抗性遺伝子 Tm-1」特

願2006-094152 平成18年3月30日提出

図1 Tm-1の精製

Tm-1 トマト細胞抽出液を各種ク

ロマトグラフィーによって分画

し、最終精製標品である MonoQカラム溶出画分に含まれるタン

パク質をSDS-PAGEにて解析し

た。画分6,7にTm-1活性が検出

された。

図3 p80の発現によるToMV抵抗性の付与

ToMV感受性トマトでp80を発現さ

せ、ToMVを接種した(右)。左は非

形質転換コントロール植物で、同時に

ToMVを接種したものである。右側の

植物は、p80によってToMVの増殖が

抑制され、健全に生育した。

図4 p80とToMV複製タンパク質の結合 ToMV複製タンパク質と、FLAGタグ

を付したp80を試験管内翻訳により

合成し、混合後、FLAGによる精製

を行い、ウエスタン法により各タン

パク質を検出した。'wt', 'T1' につい

ては図2参照。

図2 試験管内合成したp80によるToMV RNA複製の阻害 'wt' はTm-1 感受性のToMV野生株、 'T1' はTm-1 非感受性ToMV変異株。

- 11 -

Page 13: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]

[要 約]除草剤(BS)の標的酵素をコードする遺伝子に対して、ジーンターゲッティン

グ手法を用いて BS 耐性形質を与える点変異を導入し、BS 耐性のイネを作出す

ることに成功した。また、BS 耐性型遺伝子(酵素)のみを持つイネは、BS に

対して高度な耐性を示すことが明らかとなった。

[キ ー ワ ー ド]ジーンターゲッティング、アセト乳酸合成酵素 (ALS)、イネ、ビスピリパッ

クナトリウム塩 (BS)

[担 当] 農業生物資源研究所・植物科学研究領域・遺伝子組換え技術研究ユニット

[連 絡 先]029-838-8450 [分 類]技術開発

-----------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

目的の遺伝子のみを正確かつ最小限改変できるジーンターゲッティングは、社会的受容性の

高い新規植物の創出につながる技術である。しかしながら、植物における成功例は少なく、ジ

ーンターゲッティングによる作物への有用形質の付与は前例がなかった。本研究では、ジーン

ターゲッティングにより、イネのアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子のごく一部を改変し、これ

までにない高度な除草剤耐性イネを作出した。

[成果の内容・特徴]

1. ジーンターゲッティングとは、染色体上のゲノム配列と相同性のある外来遺伝子を核内に

導入し、染色体上の遺伝子が外来遺伝子で置き換わった細胞を選抜する技術である。本研

究では、ジーンターゲッティングにより、除草剤 (ビスピリパックナトリウム塩, BS) 感

受性型のイネALS遺伝子をBS 耐性型ALS遺伝子で置換することに成功した。

2. ジーンターゲッティングが生じた場合のみ、BS耐性を付与するベクターを作製した。ジー

ンターゲッティングベクター上のALS遺伝子は、BS耐性を付与する二点変異(W548L, S627I)

を含んでいるが、開始コドンから約 150bp を欠損しているため、イネゲノム中へのランダ

ムな挿入ではBS 耐性を付与しない。イネゲノム中のALS遺伝子とベクター上のALS遺伝子

間で相同組換えが生じ、BS 耐性変異を含む機能的なALS遺伝子が構成された場合のみBS耐

性となる(図1)。

3. 約 1500 個のイネカルスにジーンターゲッティングベクターを形質転換した後、BS耐性細

胞の選抜を行い、最終的に66個体のジーンターゲッティングを生じた植物体を獲得した。

4. ジーンターゲッティング後代で得られたBS耐性型ALS遺伝子ホモ接合体は、従来の形質転

換法で作出したBS耐性型ALS遺伝子過剰発現イネと比較して著しいBS耐性を示した (図2、

3)。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. ジーンターゲッティング手法によるイネの遺伝子破壊は既に報告例があるが、計画通りに

点変異を導入した報告は初めてである。ジーンターゲッティングにより点変異を導入する

技術は、特定の遺伝子に狙いを定めた突然変異育種法として、今後活用されることが期待

される。

2. 除草剤耐性とは異なり、点変異の導入そのものが選抜形質とならない遺伝子にも適用可能

なジーンターゲッティング系の構築が今後の課題である。

- 12 -

計画的な点変異の導入による除草剤耐性イネの作出

Page 14: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

[その他]

研究課題名: 組換え体を用いた有用遺伝子の大規模機能解明と関連技術の開発

予算区分: 農水受託「大規模機能解明」、交付金、 中期計画課題コード:C11、研究期間: 2002

~2007 年度

研究担当者: 遠藤真咲、刑部敬史、土岐精一

発表論文等:

Endo M, Osakabe K, Ono K, Handa H, Shimizu T, Toki S (2007) Molecular breeding of a novel herbicide-tolerant rice by gene targeting. The Plant Journal 52(1):157-166.

図1 ジーンターゲッティングによるALS遺伝子の改変

イネゲノム中のALS遺伝子とベクター上のALS遺伝子間で相同組換えが生じた場合

のみ、機能的なBS耐性型ALS遺伝子ができる。

図2 ALS酵素活性の阻害率

ジーンターゲッティング法により作出したBS耐

性型ALSホモ接合体では、高濃度のBS添加時も

ALS酵素活性の阻害はほとんど生じない。

図3 BS剤散布試験

野生型(A, D)はBS 感受性であるが、

ジーンターゲッティング個体(B, C, E)

はBS耐性を獲得している。

A B C D E

- 13 -

Page 15: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]カイコゲノム統合地図 [要 約]1755個のBACマーカーをマップした高密度BACマーカー連鎖地図を作成し

た。BACクローン約8万個のフィンガープリントからBACコンティグを作成

し、BACマーカーを用いて連鎖地図に貼付け、染色体の76%をBACクローン

でカバーするカイコゲノム統合地図を作成した。 [キ ー ワ ー ド]カイコ、一塩基多型(SNP)連鎖地図、フィンガープリント、BACコンティ

グ [担 当]農業生物資源研究所・昆虫科学研究領域・昆虫ゲノム研究・情報解析ユ

ニット [連 絡 先]029-838-6120 [分 類]知的貢献

-------------------------------------------------------------------------------- [背景・ねらい]

カイコには、食性、斑紋、ウイルス抵抗性、休眠等の様々な突然変異形質を示す変異系統が

ある。それらの原因遺伝子を同定・単離することは、遺伝子機能と形質発現メカニズムの解明

につながり、それら遺伝子機能の応用を進める上で重要である。ポジショナルクローニングは、

遺伝子の同定・単離に有効な手法であるが、その効率化には、高密度に分子マーカーがマップ

された連鎖地図と物理地図を統合したゲノム統合地図が不可欠である。本研究では、BAC末端塩

基配列情報から一塩基多型(SNPs)を検出し、その連鎖地図を作成するとともに、BACクローンの

フィンガープリント解析からBACコンティグ(物理地図)を作成し、共通のBACマーカーにより

両者を統合した地図作製を目指している。

[成果の内容・特徴]

1. BAC末端塩基配列から一塩基多型(SNPs)を検出し、1755のBACマーカーを28本の染色体にマ

ップした高密度BACマーカー連鎖地図を作成した。この地図は平均マーカー間距離が270 k

bという高密度のものである。

2. BACクローン約8万個のフィンガープリントを行い、6221個のBACコンティグを作成した。

共通のBACマーカーによりBACコンティグを連鎖地図上に貼付け、染色体の76% (361.1 Mb)

をBACクローンでカバーすることができた(表1)。

3. ESTをプローブとするBACフィルターハイブリダイゼーションにより724個の遺伝子を統合

地図上にマップできた(表2)。

4. 制限酵素断片多型解析 (RFLP)により964個のESTを28本の染色体に帰属させた(表2)。

5. これらの情報を統合したゲノム統合地図を作成した。この統合地図は様々な形質突然変異

体のポジショナルクローニングに強力なツールとして利用されている。また全ゲノムショ

ットガンアセンブリの評価およびスキャホルドのマッピングの基盤となっている。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. カイコゲノム統合地図は有用形質原因遺伝子のポジショナルクローニングの効率を極め

て高め、有用遺伝子の簡便な単離を通じて機能解析研究への貢献が非常に大きくなった。

2. 今後は、ポジショナルクローニング、遺伝子単離をより一層加速させるために、全

染色体を最小の数のBACクローンで網羅するBACミニマムタイリングパスを作成し、

より強力なツール、リソースを構築する。これらの情報やツールを国内外の研究者

が利用できる共同利用施設ができれば、効率的に機能解析研究に寄与できることは

明らかである。

- 14 -

Page 16: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

表1 BACでカバーされた染色体のサイズ 表2 各染色体にマップ・帰属されたEST数 [その他]

研究課題名:ゲノム情報に基づく有用遺伝子単離の基盤構築

予算区分:昆虫ゲノム、 中期計画課題コード:A-(3)、 研究期間:2003~2007年度

研究担当者:山本公子、野畑順子、門野敬子、生川潤子、末次克行、三田和英 発表論文等:

1) Yamamoto K, Nohata J, Kadono-Okuda K, Narukawa J, Sasanuma M, Sasanuma S, Minami H, Shimomura M, Suetsugu Y, Banno Y, Osoegawa K, Jong P.J de, Goldsmith M.R, Mita K (2008) A BAC-based integrated linkage map of the silkworm, Bombyx mori. Genome Biology 9(1):R21.

2) Suetsugu Y, Minami H, Shimomura M, Sasanuma S, Narukawa J, Mita K, Yamamoto K (2007) End-sequencing and characterization of silkworm (Bombyx mori) bacterial artificial chromosome libraries. BMC Genomics 8:314.

- 15 -

Page 17: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]遺伝子組換えカイコを利用したネコインターフェロンの生産

[要 約]遺伝子組換えカイコを用いてタンパク質生産をより効率的にするため、

フィブロイン H 鎖遺伝子を利用した発現ベクターを作成し。ネコインタ

ーフェロンの生産を試みた。このベクターはフィブロイン H 鎖遺伝子の

N 末と C 末の配列の間に目的とするタンパク質をコードする塩基配列を

挿入するという特徴を持ち、目的遺伝子をカイコに導入しところ、大量

のタンパク質を生産できることが分かった。また、プロテアーゼの切断

部位を利用することにより、活性の高いネコインターフェロンを調製で

きることが示された。

[キ ー ワ ー ド]遺伝子組換えカイコ、有用物質生産、絹糸腺、ネコインターフェロン、

[担 当]農業生物資源研究所・遺伝子組換えカイコ研究センター 東レ・先端y

[連 絡 先]029-838-6091 [分 類]生物産業

-------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

遺伝子組換えカイコを用いたタンパク質生産系には、これまで酵母の GAL4/UAS 系やカ

イコの核多角体病ウイルスの IE1 とその標的配列 hr3 を利用したもの、フィブロイン L

鎖遺伝子を用いた方法等が開発されている。しかしながら、タンパク質の生産量が最も

多いフィブロイン H 鎖の遺伝子を利用して、活性のある組換えタンパク質を後部絹糸腺

において作る方法についてはまだ十分研究が進んでいない。本研究では、フィブロイン H

鎖遺伝子を利用したベクターを作成し、このベクターを用いて、ネコインターフェロン

の生産が可能かどうかを検討する。

[成果の内容・特徴]

1. ネコインターフェロンをコードする塩基配列をフィブロイン H 鎖遺伝子に挿入した

ベクターを構築した(図1)。

2. このベクターを利用してネコインターフェロン遺伝子を挿入した組換えカイコを作

出した。

3. 得られた遺伝子組換えカイコが作る繭を溶かし、SDS-PAGE 及びウェスタンブロッテ

ィングによって発現量を調べた結果、大量のタンパク質が発現していることが分か

った。

4. しかしながら、インターフェロンとしての生理活性は低かった(図2)。

5. そこで、ネコインターフェロンの前後にプロテアーゼによる切断される配列を挿入

し、この配列を持つ遺伝子組換えカイコを作出した。このカイコが作る繭から精製

したタンパク質をプロテアーゼで処理した結果、活性の高いネコインターフェロン

が得られた(図2)。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. カイコの後部絹糸腺でも大量の組換えタンパク質の生産が可能であることが分かっ

た。

2. 組換えカイコで生産されるネコインターフェロンがフィブロイン H 鎖との融合型に

なるため、精製後プロテアーゼ処理を行う必要がある。この方法が適用できるタン

パク質の種類は限られると考えられる。

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Page 18: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

図1 遺伝子組換えカイコでネコインターフェロンを作るために用いたベクタープラスミド構

a.プロテアーゼの切断部位を持たないベクター(StFeIFN)。b.プロテアーゼによる切

断部位のあるベクター(PreFeIFN)。FeIFN はネコインターフェロン遺伝子。矢印はト

ランスポゾンの逆位末端反復配列。

図2 繭から抽出したタンパク質の SDS-PAGE(a)とネコインターフェロンの活性(b)

StFeIFN と PreFeIFN は図1参照。

[その他]

研究課題名:「カイコによる組換えタンパク質の大量発現システムの構築」及び「組換え

カイコによるサイトカイン生産技術の開発」

予算区分:昆虫ゲノム、中期計画課題コード:C13、研究期間:2007~2011 年度

研究担当者:生物研;田村俊樹、米村真之、飯塚哲也、立松謙一郎、瀬筒秀樹、小林功、

東レ;栗原宏征、山田勝成

発表論文等:

Kurihara H, Sezutsu H, Tamura T, Yamada K (2007) Production of an active feline interferon in the cocoon of transgenic silkworms using the fibroin H-chain expression system. Biochemical and Biophysical Research Communications 355(4):976-980.

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Page 19: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]トレハローストランスポーター遺伝子の単離と機能解析

[要 約]トレハロースを細胞に大量に蓄積するネムリユスリカという昆虫にお

いて、トレハロースを特異的に細胞膜の内外に輸送する遺伝子の単離

に世界で初めて成功した。

[キ ー ワ ー ド]トレハロース、トランスポーター、膜タンパク質、乾燥耐性、糖代謝

[担 当]農業生物資源研究所・昆虫科学研究領域・乾燥耐性研究ユニット

[連 絡 先]029-838-6170 [分 類]知的貢献

--------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

トレハロースは、昆虫や植物、キノコ類、酵母、細菌などに存在する天然の非還元二

糖で、他の糖類と同様に、これらの生物のエネルギー源として利用されている。トレハ

ロースが細胞内へ入る際にトランスポーターと呼ばれる膜タンパク質が介在すること

考えられるが、これまで多細胞生物から単離されていなかった。

クリプトビオシスという特殊な生理現象を持つネムリユスリカ幼虫は、乾燥に伴って

多量のトレハロースを合成・蓄積して生体成分を保護していることがわかってきた。そ

こで、このネムリユスリカからトレハロースを特異的に輸送するトランスポーター遺伝

子の単離を試みた。

[成果の内容・特徴]

1. トレハロースを大量に蓄積する能力をもつ昆虫、ネムリユスリカから、糖の輸送に

関わる遺伝子(Tret1)を単離した(図1)。

2. Tret1 遺伝子は、ネムリユスリカ幼虫が、脱水されるとともに誘導され、トレハロ

ースを合成する器官である脂肪体に特異的に発現していた(図2)。

3. アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いた実験の結果、TRET1 タンパク質は、細

胞膜に局在し、トレハロースだけを細胞内外へ輸送していることが明らかとなった

(図3)。

4. TRET1 は高容量型のトランスポーターで、ネムリユスリカにおいては、このタンパ

ク質により大量のトレハロースの細胞内外への移動を可能にして脱水状態に耐え

ていることが予想された(図4A)。

5. エネルギーに依存しない TRET1 は促進拡散型のトランスポーターであり、細胞内の

エネルギーの消費なしにトレハロースを細胞の内外へ出入りさせる(図4B)。

6. TRET1 は哺乳動物細胞でもその活性を発揮し、それらの細胞のトレハロースの取り

込み能力を高めることが証明された(図5)。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. Tret1 遺伝子を導入して TRET1 タンパク質を発現させることにより、自由自在にト

レハロースを細胞内外に出し入れすることが可能になる。このことから、将来的に

は切り花の花持ちの延長、乾燥に強い作物の作出等の農業分野の他、細胞や組織の

常温乾燥保存法開発による医療等の産業分野の発展にも貢献することが期待され

る。

2. TRET1 タンパク質の高い基質特異性を利用して、新規のトレハロース類似化合物の

スクリーニングにも利用でき、トレハロースの基礎及び応用研究が加速度的に進む

ことが考えられる。

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Page 20: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:昆虫の乾燥耐性機構の解明と利用技術の開発

予算区分:生研基礎(ユスリカ)、中期課題コード:B22、研究期間:2006~2010 年度

研究担当者:黄川田隆洋、斉藤彩子、金森保志、中原雄一、岩田健一、田中大介、渡邊匡

彦、奥田隆

発表論文等:

1) Kikawada T, Saito A, Kanamori Y, Nakahara Y, Iwata K, Tanaka D, Watanabe M, Okuda T (2007) Trehalose transporter 1, a facilitated and high-capacity trehalose transporter, allows exogenous trehalose uptake into cells. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 104(28):11585-11590.

2) 国内特許出願「トレハローストランスポーター遺伝子及び該遺伝子を利用した細胞内

にトレハロースを導入する方法」(特願 2006-058787)

図1 TRET1 の構造

図3 TRET1 は細胞膜に局在し (A)、

トレハロースを膜内外に輸送

する (B)。

図4 TRET1 は Km 値の高い高容量型トラ

ンスポーターで (A)、膜電位や ATP

に依存しない促進拡散型トランス

ポーターである(B)。

図5 TRET1 は哺乳動物細胞でも、トレ

ハロース輸送活性を発揮する。

- 19 -

図2 Tret1 遺伝子は乾燥誘導性 (A)で、

脂肪体に発現する (B)。

Page 21: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]カイコの幼若ホルモン前期生合成酵素遺伝子群の同定と発現解析 [要 約]カイコゲノム情報を利用して幼若ホルモン(JH)生合成前期経路の遺伝子

を全て同定し、ファルネシルピロリン酸シンターゼが3種存在すること

を見出した。前期遺伝子の大多数がアラタ体で強く発現しており、また

アラタ体での発現レベルとJH合成活性の間に一定の相関が認められた。 [キ ー ワ ー ド]幼若ホルモン、アラタ体、酵素、カイコ、ゲノム、cDNA [担 当]農業生物資源研究所・昆虫科学研究領域・制御剤標的遺伝子研究ユニッ

ト [連 絡 先]029-838-6075 [分 類]知的貢献 ---------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

幼若ホルモン(JH)はアラタ体で合成される昆虫特異的ホルモンである。過去の生化学的

研究から、JH生合成経路は、コレステロール合成と共通の前期経路(メバロン酸経路)

とJH合成に特異的な後期経路から成るとされている。しかし、その分子的実体は未だに

不明な点が多い。そこで本研究ではカイコゲノム情報を利用してJH前期経路の酵素をコ

ードする遺伝子を網羅的に単離・同定しようとする。さらに、各遺伝子のアラタ体におけ

る発現変動と、JH合成活性レベルを比較し、それら遺伝子のJH生合成制御における役割

を明らかにしようとする。

[成果の内容・特徴]

1. カイコゲノム情報に基づき、アセチルCoAからファルネシルピロリン酸にいたるJH生合成前期経路(メバロン酸経路、図1)の酵素遺伝子を全て同定し、そのcDNAを

単離した。

2. 各酵素に対応する遺伝子は基本的に一種であったが、例外的にファルネシルピロリ

ン酸シンターゼ遺伝子(FPPS)は3種存在していた。ヒトやショウジョウバエでは

FPPSは1種しか存在せず、これはカイコゲノムに特徴的な現象である。

3. 前期酵素遺伝子の組織特異性を調べると、FPPS1とMevPK以外の酵素遺伝子はいず

れもアラタ体で著しく強い発現が認められた(図2)。このことはアラタ体がJH合成

に著しく特化した器官であることを示している。

4. FPPSのうち、FPPS2およびFPPS3はアラタ体でほぼ特異的に発現しており、特に

FPPS2は発現量が高く、JH合成に関わる主要なFPPSであると考えられる(図2)。

通常の昆虫のJHは1種(JH III)であるが、カイコなど鱗翅目昆虫では、複数種の

JH(JH I, JH II, JH IIIなど)を合成することが知られ、複数のFPPSを持つことと

の関連が注目される。

5. 前期酵素遺伝子のアラタ体における発育変動とJH合成活性レベルを比較したところ、5

齢幼虫初期のJH合成活性が低下する時期に、ほとんどの前期酵素遺伝子の発現レベルが低

下した(図3)。一方で、JH合成が完全に停止する5齢中期〜蛹中期にかけて、いずれの

前期酵素遺伝子も多少は発現していた(図3)。このことから、前期酵素遺伝子群の発現

レベルとJH合成活性レベルに一定の相関関係があるが、前期酵素遺伝子群の発現制御だけ

ではJH生合成制御を完全には説明できないことが明らかになった。

[成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1. 成制御には、JH酸メチル基転移酵素(JHAMT)遺伝子などJH生合成後期経路遺伝子

の発現制御がより重要な可能性がある。JH生合成後期経路の酵素遺伝子の一部は未

同定であり、今後明らかにする必要がある。

- 20 -

Page 22: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[具体的データ] [その他] 研究課題名:カイコゲノム情報に基づく幼若ホルモンネットワーク遺伝子の解明 予算区分:生研基礎、 中期計画課題コード:B21、 研究期間:2005~2006年度 研究担当者:篠田徹郎、三田和英、金城輝則、金児雄、糸山享、比留間潔 発表論文等: Kinjoh T, Kaneko Y, Itoyama K, Mita K, Hiruma K, Shinoda T (2007) Control of juvenile hormone biosynthesis in Bombyx mori: Cloning of the enzymes in the mevalonate pathway and assessment of their developmental expression in the corpora allata. Insect Biochemistry and Molecular Biology 37(8): 808-818.

図1 前期JH合成経路(メバロン酸経路)

図2 カイコ4齢2日幼虫の主要組織におけ る前期JH合成酵素遺伝子の発現量

図3 カイコの発育とアラタ体における各前期JH合成

酵素遺伝子の発現変動(A)およびJH合成活性

の変動(B).幼虫期は♂・♀区別せずに測定 した。

- 21 -

Page 23: Bí:w: :wBí · 2012-03-09 · [主要研究成果名]イネ染色体断片置換系統群の作出と穂形態形質の遺伝解析 [要 約]日本型品種「ササニシキ」の遺伝的背景に多収性インド型品種「ハバタキ」

[主要研究成果名]ブタの椎骨数を決める遺伝子の同定 [要 約]ブタの椎骨数に関与する量的形質遺伝子座(QTL)に位置する遺伝子が

核内受容体Germ Cell Nuclear Factor (NR6A1)であることを明らかにした。

NR6A1 にはQTLタイプに対応するアミノ酸置換があり、コリプレッサー

との結合能を変化させた。また体節形成期のマウス胚において、椎骨の

もととなる体節内でのNR6A1 の発現が認められた。 [キ ー ワ ー ド]ブタ、椎骨数、QTL、核内受容体、NR6A1、SNP [担 当] [連 絡 先]029-838-8627 [分 類]知的貢献 --------------------------------------------------------------------------------

[背景・ねらい]

一般的に哺乳類では頸椎は 7 個に保存され、また胸椎と腰椎を合わせた椎骨数も 19 個

となる傾向があり、その種内変動は小さい。しかし、ブタの祖先であるイノシシの椎骨数

は 19 個であるが、現在の肉用豚は品種改良の過程で椎骨数が増大しており、20 個から 23個とバラツキがある。椎骨数が増大すると体長が伸び、産肉性、繁殖性が良くなることか

ら、これを支配する遺伝子を単離し、その多型によってブタを選抜育種することが求めら

れている。これまでに 2 ヵ所の遺伝領域に椎骨数増大効果を有するQTLを検出しているが、

その内、第 1 染色体q腕末端領域のQTLにおいて責任遺伝子の同定を行った。 [成果の内容・特徴]

1. アジア系品種、西洋系品種およびミニブタを用いた複数のF2 家系の連鎖解析により、

椎骨数QTLが第 1 染色体および第 7 染色体に検出された。その効果はともにほぼ等し

く対立遺伝子あたり約 0.6 個の椎骨数を増大させた。これらを合わせると平均で約 2.4個の椎骨数が増大し、表型変動の約 75%が説明された。

2. 第 1 染色体のQTL領域において、椎骨数が増大したブタに特徴的な約 300kbの領域を、

マイクロサテライトマーカーを用いて検出した(図1)。この領域はイノシシやアジ

ア在来豚など椎骨数の増大が見られない品種では多様性が保たれていた。この領域に

は核内受容体Germ Cell Nuclear Factor (NR6A1)の遺伝子が位置することを明らかとし、

QTLタイプと一致するアミノ酸置換(Pro192Leu)を単離した(図2A)。 3. NR6A1 のアミノ酸置換は、活性の発現に必要な 2 種類のコリプレッサー(RAP80、

NCOR1)との結合領域に位置しており、また椎骨数増大型のアミノ酸置換(Leu:ロ

イシン)によってこの結合は強くなっていることが明らかとなった(図2B)。 4. 椎骨のもととなる体節が形成される時期でのNR6A1 の発現を、マウス胚(10.5 日)

を用いて解析した。その結果、NR6A1 は体節内部に発現していることが明らかとな

った(図3)。 [成果の活用上の留意点、波及効果、今後の展望等]

1.ブタ第 1 染色体上のQTLタイプは、NR6A1 のアミノ酸置換を引き起こすSNPによって、

または椎骨数増大型のQTLにおいて固定されたマイクロサテライトマーカーによっ

て判定することができる。特に西洋豚とアジア在来豚などを用いて造成される系統に

おいては、このDNA情報が選抜育種に大きな効果を発揮する。 2.核内受容体NR6A1 はリガンドが不明ないわゆるオーファン受容体でありその機能も

未知な部分が多い。NR6A1 が体節形成に関わるということは初の知見であり、NR6A1の機能解明への糸口となるとともに、体節形成に関わる研究においても新たな進展が

期待される。

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農業生物資源研究所・動物科学研究領域・家畜ゲノム研究ユニット

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[具体的データ]

図1 マイクロサテライト(MS)マーカーによるQTLのファインマッピング A:QTL領域のゲノム構造。B:BAC整列地図。C:BAC整列地図より開発したMSマーカ ーの連鎖地図。D:QTL領域の遺伝子とMSマーカー。C、Dにおいて三角形(白)は椎骨 数増大型QTLで固定されたMSマーカーを示す。

図2 椎骨数の多い、および少ない品種ブタの NR6A1 のアミノ酸置換(A)とコリプレッ サーとの結合能の変化(B) Two-hybrid解析における相対ルシフェラ

ーゼ活性を示した。

図3 マウス胚(10.5 日)における抗NR6A1 抗 体による免疫染色

Aのボックスの拡大写真がBおよびDである。C、EはそれぞれB、Dのネガティブコントロール。Fは切片の方向を示す。

[その他]

研究課題名:ブタ第1染色体の椎骨数QTLに位置するNR6A1 遺伝子の多型と機能の解析 予算区分:畜産ゲノム、中期計画課題コード:A04、研究期間:2001~2007 年度 研究担当者:美川智、林武司、上西博英、粟田崇 発表論文等:

1) Mikawa S, Morozumi T, Shimanuki S-I, Hayashi T, Uenishi H, Domukai M, Okumura N, Awata T (2007) Fine mapping of a swine quantitative trait locus for number of vertebrae and analysis of an orphan nuclear receptor, germ cell nuclear factor (NR6A1). Genome Research 17(5):586-593.

2) 特許出願「ブタの椎骨数増大能力を識別するDNAマーカー(特開 2006-101871)」美川智、上

西博英、林武司、粟田崇、両角岳哉、島貫伸一、堂向美千子、奥村直彦

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