破壊力学とは ´壊強度学0... · 2018-09-29 · スケジュール 2 破壊強度学...
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破壊強度学
破壊力学とは
破壊強度学 Introduction1
スケジュール
破壊強度学 Introduction2
前半(担当:梅野) 基礎
9月28日 線形破壊力学 イントロ、弾性体構成式10月5日 〃 応力関数10月12日 〃 応力関数、き裂
〃 K例題、き裂進展のエネルギー問題10月19日 非線形(弾塑性)破壊力学 J積分10月26日 休講11月2日 粘弾性体の破壊力学11月9日 破壊のモデリング
内容は予定(変更可能性あり)レポート2~3回 (評価は出席点とレポート)
補助サイト(講義資料等)www.cmsm.iis.u-tokyo.ac.jp/lecture.html
スケジュール
破壊強度学 Introduction3
後半(担当:吉川先生)
11月30日 休講12月7日 疲労強度12月14日 環境下の破壊強度12月21日 高温下の破壊強度12月25日(火) 破壊の確率論的取扱1月11日 確率有限要素法1月25日 非破壊検査
• 元々11/9と11/30の間にギャップあり。11/30
がいきなり休講なので注意。• 12/25は火曜日なので注意。• 1/11と1/25の間もギャップあり。
参考図書
破壊強度学 Introduction4
• 「機械工学基礎課程破壊力学」 中井善一・久保司郎朝倉書店(2014)
• 「基礎強度学」 星出敏彦内田老鶴圃(1998)
簡潔によくまとめられた本。初学者に最適。
• 「破壊力学入門」 村上裕則・大南正瑛オーム社(1979)
特に線形破壊力学について詳述されている(式の導出など)。
• 「破壊力学基礎と応用」T. L. Anderson (和書) 森北出版(2011)
ボリュームがすごい。辞書的か。
• “Fracture Mechanics with an introduction to micromechanics” Gross/Seelig,
Springer (2006)
Suitable for beginners. Theory and equations are elaborated.
破壊力学の歴史的背景
破壊強度学 Introduction5
19c以前・・・構造材料は木材、煉瓦、モルタル圧縮力を受けるような設計(アーチ型の橋など)
産業革命により鉄鋼材料が出現引張応力を受ける構造物の製造が可能に(設計上の制約が少なくなった)
その代わり、それまでにない破壊事故が発生破壊力学の誕生につながる
ボストン糖蜜タンク破壊事故 (1919)
破壊強度学 Introduction6
ボストン港湾部で糖蜜を詰めた巨大な貯槽が破裂、糖蜜の波が街路を襲う。21人死亡、150人負傷。
詳細な原因は不明。過充填?発酵ガス?気温上昇?
破壊強度学 Introduction7
リバティー船 (WWII)
溶接部分が温度の低下により脆くなったことが原因(低温脆性)
第2次大戦中に大量に建造された
溶接工法を採用したが,次々に沈没事故発生
係留中に突如轟音とともに真二つになった事例
ジェット旅客機コメット号連続墜落事故 (1954)
破壊強度学 Introduction8
世界初のジェット旅客機コメット号(与圧客室を持つ)が空中分解(1954/1/10)。就航後わずか3600
飛行時間(設計寿命の1/10)。
入念な点検・補強作業が行われたが、再就航後に再び墜落事故(4/8)。
原因は繰返し荷重による疲労き裂進展。設計段階で考慮されていたが、適切な評価法でなかった。
破壊強度学 Introduction9
日航ジャンボ墜落事故(1985)
機体後部圧力隔壁の修理ミスにより,リベット部が破壊したことが原因と言われている
破壊強度学 Introduction10
ICE脱線事故 1998年ドイツ, エシェデ村
車輪割損により脱線,陸橋に衝突し大破,死者101名
ゴムクッション外部の鋼製車輪が繰返し負荷を受けて破損したことが原因.(定期メンテナンスで歪みの見落とし)
疲労き裂
破壊力学とは
破壊強度学 Introduction11
材料の破壊・・・き裂(crack)やその他の欠陥の発生・成長・合体などによって生じる(ことが多い)。
破壊力学は本来、破壊現象の力学的側面を扱う学問分野の総称実際には、クラック状欠陥を内部に含む材料・部材の挙動を連続体力学によって扱う研究が主流。
(最近はそうでもない・・・原子モデル解析の適用など。)
破壊力学(Fracture Mechanics)は、き裂を含む材料が荷重(+
熱応力なども)を受ける場合にき裂がどう振舞うかを議論する力学。「き裂の力学」ともいえる。
線形破壊力学(Linear Fracture Mechanics; LFM)は、線形弾性論に基づいて、クラックor鋭い切欠きを持つ部材・構造物の強度や変形を取り扱うもの。
線形弾性破壊力学(LEFM)と呼ばれることも
材料力学と線形破壊力学
破壊強度学 Introduction12
材料力学
外力によって構造物中に生じる応力やひずみを求めたうえ、その応力やひずみの下で材料が破損・破壊しないかどうかを検討する。応力s、ひずみe :力学的環境を表すパラメータ- 降伏応力 sys
- 引張強さ sB
線形破壊力学
き裂をもつ構造物の破壊や変形を扱う。
小規模降伏条件、かつき裂先端近傍の材料挙動のみにより支配応力拡大係数K、エネルギー解放率G (G=K2/E)
- 破壊靭性値 Kc
syssB
(延性材料)
(脆性材料)
材料強度学・破壊力学のパイオニア達
破壊強度学 Introduction13
ダ・ヴィンチ (15c中期~16c初頭)・・・ 鉄線の強度に関する研究を行っている。
強度が鉄線の長さに反比例することを見出している。欠陥が強度を支配する、という知見
Griffith (1920)
楕円孔の応力解析(Inglis, 1913)をき裂の不安定伝播に適用。ガラスに対して、破壊応力と欠陥寸法の関係を解明した。
𝐺 > 2𝛾き裂進展条件の理論
き裂進展による弾性エネルギー解放量が、破面形成エネルギー(上下面あるので2倍)を超えた時にき裂が進展する。
金属への適用は失敗。Griffithの研究は当時あまり注目されず。
Irwin (1948, 1958)、Orowan (1950) らにより、Griffith理論の修正がなされ鉄鋼へ適用される。
(破面形成+塑性変形エネルギー):破壊のクライテリオン
𝐺𝑐
※“G”はGriffithより。Irwinは「破壊力学の父」とされる。