第 5555章: 章::リゾートリゾートとしてのニセコ地域の …...29 ¼½...

15
28 5 章:リゾート リゾート リゾート リゾートとしての としての としての としてのニセコ ニセコ ニセコ ニセコ地域 地域 地域 地域の将来展望 将来展望 将来展望 将来展望 Zermatt (Whistler) 1 a) 38 4 (Car Free) 5,600 170 116 6,800 1,500 6,500 1 2003 2003 JTIC.SWISS

Upload: others

Post on 31-Jan-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 28

    第第第第 5555 章章章章::::リゾートリゾートリゾートリゾートとしてのとしてのとしてのとしてのニセコニセコニセコニセコ地域地域地域地域のののの将来展望将来展望将来展望将来展望

    1111 外国外国外国外国のののの山岳山岳山岳山岳リゾートリゾートリゾートリゾート・・・・モデルモデルモデルモデル ここでは、ニセコの将来を展望するに当たり、山岳リゾートとしての成功した海外での事例を2つ取り上げ、その経緯や成功要因などを分析した。1つ目の事例は、住民主体の地域経営の概念の浸透と、徹底した「質の追求」により来訪者の通年化・リピーター化にも成功したスイスのツェルマット(Zermatt)、もう一つは、サスティナブル・ツーリズム推進の現実的な手法としての成長管理の成功例として名高い、カナダのウィスラー(Whistler)である。以下、それぞれの事例について開発の経緯や特徴などをまとめる。 (1)「地域経営」「質の追求」を基本理念としたスイスのツェルマットの事例1 a) ツェルマットの観光政策 ツェルマットはスイス南西部に位置し、秀峰マッターホルンを含めた 38 峰の 4千メートル級の名山の囲まれた山岳リゾートである。恵まれた自然環境に囲まれたこの山岳リゾートはまた、一般車両(ガソリンによる車両)を域内に入れない「カーフリー(Car Free)リゾート」としても知られている。人口約 5,600人の小さなこの村では、現在、年間約 170万泊の滞在者を受け入れている。宿泊施設はホテルが

    116件(6,800ベット)、別荘タイプのホリデーアパートが 1,500件(6,500ベット)在る。 図表5-1:ツェルマットと近郊概要図

    1 ツェルマットの事例については、小林英俊(2003)「スイスアルプス・カーフリーリゾートにみる観光地の自律性に関する研究-ヒアリング調査・報告編‐」 『自主研究レポート 2003』 財団法人日本交通公社、および、JTIC.SWISS代表、ツェルマット観光局の山田桂一郎氏へのインタビューを主資料源とした。

  • 29

    図表5-2:ツェルマットの宿泊者数(滞在泊数)推移(1982-2002) (出典:ツェルマット観光局)

    0500'0001'000'0001'500'000

    2'000'000

    82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01

    Total overnights

    ツェルマットにおけるカーフリーリゾートの方針は、1961年に村民による「域内車両禁止」の決定から生まれたものだが、その特徴として「車締め出し」という考え方ではなく、本格的な車社会を経験する前(1960 年まで)に、「車は必要ない」という基本的な考え方を村民の意思で決定したことがあると、小林(2003)は説明している。 車両禁止に伴い、域内は登山列車やロープウェイ、ゴンドラなどの多種にわたる交通網が整備されており、来訪者の利便性は十二分に確保されている。また、ツェルマットにはホテルやホリデーアパートなど 100 軒以上の宿泊施設が存在するが、その殆どが市街地を中心に南北約 1キロ、東西約 500メートルの範囲に集中していることも、カーフリーコミュニティとしての形成を容易にさせたと思われる。 カーフリーという地域の方針に象徴されるように、ツェルマットの観光政策の基本には「自然環境への配慮」「地域環境への配慮」「来訪者への配慮」への重視がある。この基本概念のもと、ツェルマット観光局は観光政策の4つの柱として、 ① 訪れたお客様が快適(気持ちよく)に感じること ② 私たちが快適(気持ちよく)に感じること ③ 周囲の人たちが快適(気持ちよく)に感じること ④ 環境に配慮すること を挙げ、同地域の観光政策として主要な観光施設やパンフレットにこのポリシーを明記している。 冬のツェルマット中心街

  • 30

    b)ツェルマットの観光を支える地域コミュニティー 1961年のカーフリー政策の決定は、村内のコミュニティー代表による協議の結果である。ただし、車を入れない当時の状況の維持を方針と打ち出したのは、必ずしも村民の一致した意見ではなかったという。やがて交通網の発達に伴い、その歴史の中で車の乗り入れについての議論が繰り返され、都度、乗り入れに賛成の意見もあったという。だが、1986年には再度州道の乗り入れの是非が問われたが、この時の村民投票では 9 割以上が「ツェルマットには車はいらない」という意思を示し、現在に至っているという。このことがしかし、ツェルマットの地域性と個性を明確にし、他者との差別化を図れる結果につながったと考えられる。 こうした、観光政策を含めた地域政策、あるいは、地域運営についての意思決定権を持っているのは、同村に 400年以上前から存在する「ブルガーゲマインデ」と呼ばれる地域共同体である。彼らはツェルマット生まれの地元民であり、この地域共同体が同地域の観光資産(ホテルやレストランを含む)所有および経営権を握っており、公共性を持つ一方で、地域の雇用と収益性を追求する地域経営の中核として機能している。 スイスでは法律により外国人の土地購入を禁じているために、外国資本の参入の心配もなく、ツェルマット周辺のアルプス草原は村とブルガーゲマインデが所有し、地域の経済運営に直接参加している。従って、同村の観光開発に関する主導権はブルガーゲマインデが握っており、彼らが主体的に観光政策の立案と推進にも関わっている。加えて、観光振興に関しては、独立組織としてツェルマット観光局が組織化されており、地域滞在のために必要な情報提供や手配業務を行い、観光産業による地域経済効果を他に流失させることなく運営管理に成功している。 一方、ツェルマットが通年型の国際リゾート地として不動の地位を確立した背景には、ヨーロッパにおける高級通年リゾート 12地域から成る「Best of the Alps(ベスト・オブ・ディ・アルプス)、以下、BOTA」という広域連合体での戦略的なマーケティングによるところも大きい。BOTA は、スイス、オーストリア、フランス、ドイツ、イタリアの5カ国 12 箇所の高級リゾート地(他にシャモニーやサンモリッツも含む)について、それぞれの地域性を生かし差別化をはかりながら観光促進を図っていくことを目的とした広域観光促進組織である。BOTA、および、ツェルマット観光局がミッションとして掲げている「地域経営」の考え方とそれに基づくツェルマットのマーケティング戦略などについて、同局の日本向けのインフォメーション、マーケティング、セールス担当であり、国土交通大臣任命の観光カリスマの 1人である、山田桂一郎氏2に聞いた。

    2 山田桂一郎氏は現在、JTIC SWISS代表、ツェルマット観光局のインフォメーション、マーケティング、セールス担当のほかに、環境省環境カウンセラー(事業者部門)や特定非営利活動法人日本エコツーリズム協会理事など環境保全推進や CS(顧客満足)推進など多岐にわたる分野で活躍している。また、BOTAのサービスクオリティーの考え方を日本の山岳リゾートに応用した、Mt.6(ベスト・オブ・ザ・クラシックマウンテン・リゾート)推進の中核的役割を果たしながら、「世界のトップレベルの観光ノウハウを各地に広める」観光カリスマとして国土交通省から任命されている。

  • 31

    c)地域住民による「地域経営感覚」の共有と徹底した顧客満足(CS)の追求 ツェルマットの観光政策の基本には、ブルガーゲマインデを中心とした地域住民自らが、同地域をどのように運営し魅力的なリゾート地としていくための方策を工夫する「地域経営感覚」を共有し実現していこうという姿勢がある。このことが、地域の行政のトップからフロントラインのスタッフまでのあらゆるレベルの市民が共有しそれを実現しようという意思を持つことによって、初めて地域の個性が生まれるといえよう。BOTAに属する 12ヶ所のリゾート地にはそれぞれの「地域経営」についての理念があり、それを実現することで明確な差別化を行っているということもできる。 「個性的で魅力的なリゾート地形成」にはまず、国際観光客はもとより、スイス国民やヨーロッパの人々が好んで来訪するリゾートであることが重要である。現在、ツェルマットへの来訪者内訳は、国内シェアが 4割弱あり、ヨーロッパ域内からの来訪も同程度(4 割)となっている。ツェルマットの「地域特性」は、カーフリー政策に見られるように、ブルガーゲマインデを中心とした地域住民の意思決定により確立され運営されていることに起因する。 図表5-3:ツェルマットへの来訪者国(地域)別内訳(出典:ツェルマット観光局) ツェルマット ツェルマット ツェルマット ツェルマット 国別国別国別国別ホテルホテルホテルホテル・・・・シャレーシャレーシャレーシャレー宿泊数宿泊数宿泊数宿泊数2000 - 20012000 - 20012000 - 20012000 - 2001ヨ ー ロ ッパ ヨ ー ロ ッパ ヨ ー ロ ッパ ヨ ー ロ ッパ 4444ドイツ 376745 泊フ ラ ンス 565イ タ リア 337オ ー ス トリア 英 国 154446ベ ネ ル クス 63ス カ ン ジ ナビア ス ペ イン 203そ の 他 3016����計計計計              ����770799770799770799770799 ����オー スオー スオー スオー ス0.3 %0.3 %0.3 %0.3 %計 計 計 計 5435 5435 5435 5435 ア ジ ア ア ジ ア ア ジ ア ア ジ ア 9999....日 本 144897そ の 他 1596計 計 計 計 160864 160864 160864 160864 ア フア フア フア フ0.2 %0.2 %0.2 %0.2 %計 計 計 計 2786 2786 2786 2786

    ス イ スス イ スス イ スス イ ス    38383838����671125671125671125671125 ア メ リカ ア メ リカ ア メ リカ ア メ リカ 7777kア メ リカ 1129カ ナ ダ 698南 米 4079計 計 計 計 123981 123981 123981 123981

    �ヨ ーア メア フ�ア �オ ー ス�ス こうした地域特性に加えて、ツェルマットの観光政策に関する地域全体のミッシ ョンは、「リピーター化」と「通年化」の実現である。いかに楽しく滞在し、質の高 いホスピタリティーの提供により「もう一度来たい」、あるいは、「違う季節のツェ ルマットに来てみたい」と再訪意欲を喚起するにはどうしたら良いか。その実現の ための工夫が、同地域の観光産業従事者の共通の課題となっている。それには、地 域を知り、同地域で楽しく滞在するためのあらゆる情報と質の高いサービスを提供 することが不可欠である。例えばツェルマットのインストラクター(助教師)資格 は地域限定のものであるが、そのミッションは「スキーの技術指導」ではなく、「地 域情報」と「質の高いサービスの提供」にある。従って、インストラクター資格取 得には、地域学とホスピタリティーについての講習の受講が必須となっている。つ まり、ツェルマットがいかに多彩な魅力と豊富な体験メニューを揃えたリゾートで あるかについての情報発信と、来訪者を心からもてなし「あなたにまた会いたい」 と思ってもらえるかが肝心なのである。ツェルマットでは、冬には「この夏また会 いましょうキャンペーン」を行い、冬季来訪者を案内する際に、同じ場所における

  • 32

    夏の魅力(景観やアクティビティー)を PRするキャンペーンなども行っている。 下図に見られるように、ツェルマットでの宿泊者数は、閑散期の 5月を境にほぼ対 称で増減が見られ、夏季と冬季での入り込みの差は極めて少ないことを示しており、 「通年化」に成功していると解釈することができよう。 図表5-4:月別のツェルマット宿泊客数推移(1997-2002年)(出典:ツェルマット観光局)

    ZERMATT ホ テ ルホ テ ルホ テ ルホ テ ル 宿 泊 客宿 泊 客宿 泊 客宿 泊 客 1997-2002

    0

    20000

    40000

    60000

    80000

    100000

    120000

    140000

    160000

    180000

    200000

    NOV. DEC. JAN. FEB MAR APR. MAY JUN. JUL. AUG. SEPT. OCT.

    MONTH

    PE

    RS

    ON

    S

    1997/98

    1998/99

    1999/00

    2000/01

    2001/02

    ホスピタリティー(もてなしのこころ)の質の管理については、顧客満足度は事前期待に対する事後評価で決定されることを重視し、顧客のニーズや期待を的確に把握し、それにどれだけ応えるか、ということを、観光産業従事者が常に考えることが重要である。リゾート地という性格上、1-2 週間滞在する顧客をいかに楽しくもてなし、また来て貰うかを、地域がこぞって工夫をこらす。ツェルマットでは、例えばアウトドア系のガイド収入は国内の平均収入よりも 1-2 割高く、これはサービス・接客業としての質の高さを示していると捕らえることもできよう。また、チップだけでも平均で年に 70 万円程度の収入があり、チップ制度は顧客満足度を図る明確な指標であり、従業員のモチベーションを上げるのに大きなインセンティブとなっているともいえよう。加えて、スイスには世界に名を馳せるような質の高いホスピタリティー人材教育機関があり、そうした環境も、サービスの質向上に大きく寄与しているといえそうである。 夏にはハイキング他の多彩なアクティビティメニューがある。 冬には馬ゾリを楽しむこともできる。

  • 33

    (2)州主導の成長管理政策の成功例、ウィスラーの事例 a) リゾートタウン、ウィスラーの概要 カナダの西の玄関口バンクーバーの北東およそ 120キロ(車で約 3時間)に位置するウィスラーは、ブリティッシュコロンビア州に属し、標高 2,284m のブラッコムマウンテンと標高 2,182m のウィスラーマウンテンを臨み、ウィスラーマウンテンの麓に広がるウィスラービレッジは、標高が 670m、周辺に 5 つの湖を介した豊かな自然環境に恵まれたリゾート地である。域内には、ウィスラービレッジ、ビレッジノース、アッパービレッジの3つの中心エリアがあるが、いずれも 10-15分で行き来することができる。これらのビレッジはバリアフリータウンとして設計されており、各ビレッジ内は車の通行が禁止されており、どんな年代でも安心して滞在できることが特徴の一つとなっている。 スキー場総面積は 2,862ha, リフト 32基(1-4人、内高速リフト 13)、高速ゴンドラ 3箇所、面積とリフトキャパシティーで北米を代表するゲレンデで突出している。複数のスキー雑誌で北米スキーリゾートとして複数で No.1としての評価を受けており、来訪者総数 253 万人(2002 年)を誇る北米屈指のスキーリゾートである。ウィスラーには約 1万人が居住し、その 99%が観光産業に従事しており、冬場にはさらに 5000人程度の季節就労があるという。観光による経済効果は 20億ドルに上るという。 図表5-5:ウィスラーの位置とウィスラースキーリゾート概観

    b)ウィスラーリゾート開発の経緯 20世紀初頭に初期の開拓者によって開発が始まったこの地域に、初めて宿泊施設が建設されたのは 1914 年のことで、周囲の湖や小川が優良な釣り場として人気が高く、1960年代にスキーリゾートとしての開発が始められるまでは、ウィスラーは夏のリゾート地としてその名を馳せていた。1960年代初期、バンクーバーの実業家一団が、ウィスラーを介するガリバルディ州立公園一帯を、今後の冬季オリンピックの開催地を目指したスキーリゾートとして開発する計画を立て、ウィスラーマウンテン北部にリフトを設置、操業を始め、スキーリゾートとしての開発が開始された。リフトのほかにも、ゴンドラや Tバーなども完備され、スキーコースやロッジ

  • 34

    も同時に開発され、1966年にはウィスラーマウンテンは、スキーリゾートとして一般に公開され急速に人気を博していった。 ウィスラーのリゾートビレッジと冬のスキーコース

    その後、州内のほかのコミュニティーよりはるかに目覚しい発展を遂げたウィスラーではしかし、急増する観光客と開発による悪影響も深刻な問題となり、地元地域では観光開発の規制と地方債の無制限の発行の2つの権限取得を含めたリゾート地としての地域の自治運営を求める動きが高まった。これを受け、州政府は 1975年に「ウィスラーリゾート自治体法」という特別法を発令し、「ウィスラーを Resort Municipality of Whistler =ウィスラーリゾート自治体」として、行政体としての地位を認め、リゾート開発に関する自治運営権を与えた。 自治体としての認定を受け、ウィスラーでは、リゾート地としての開発・運営・管理に関する将来像を描いた包括的開発計画(Comprehensive Development Plan=CDP)とその実行計画としてのコミュニティー計画(Official Community Plan=OCP)を策定した。つまり、包括的開発計画(以下、CDP)はリゾート地としてのウィスラーの「あるべき姿、目指す姿」、あるいは、政策を示すものであり、コミュニティー計画(OCP)はそれを実現するための実行計画の詳細を示したものである。ここでは、ウィスラーが目指すべき将来像として、以下の 7項目を挙げている。 ① リゾートとコミュニティーの環境、経済、社会へのニーズに関するバランスを保持し、地域住民の生活居住環境と来訪者の滞在体験の質を確保する。 ② 自然・社会環境について高い質を維持する。 ③ コミュニティ改善がリゾートとしての魅力向上に重要であることを認識する。 ④ リゾートとの共存を重視し、訪問者増加による地域経済の多様化の拡大を図る。 ⑤ リゾートとコミュニティーのほかのゴールに適合する開発計画と成長管理の手法の採用。 ⑥ 長期的な開発計画の立案。 ⑦ ウィスラー周辺地域の将来計画に積極的に関与すること。

  • 35

    こうした将来像を実現すべく立案されたコミュニティー計画(以下、OCP)は、土地利用や開発、環境保全などについて法的枠組みを示したものである。OCPは「居住施設と商業施設」「住宅」「商業開発」「文化遺産」「ビジネス、サービスと軽産業開発」「公共の安全」「自然環境」「OCPおよびゾーニングについての改正案の提出」など分野ごとに開発計画を示し、それぞれの分野における開発の目的とその方針についての詳細を定めている。 そして、計画推進の手段として成長管理政策を取ったことが、ウィスラーのリゾート開発を大きく特色づけている。 c) ウィスラーの成功を支えた成長管理政策 成長管理(growth management)の基本概念は、開発を前提としながら自然環境や社会環境を損なうことなく管理しつつ成長を遂げることにある。この考え方は、開発と環境保全の両立が議論された 1960年代から 70年代にかけて、サスティナブル(sustainable、持続可能な)都市計画の一手法として北米の都市計画などで採用されてきた手法である。この考え方は、リゾートを含む観光開発を考える際にも適用され、観光開発の対象となる地域における住民の生活環境や他産業の発展などを十分考慮したうえで、当該のコミュニティーのあるべき姿との関連を重視しつつ観光開発を進めていくことを基本としている。ヨーロッパやアジアなどの古い歴史を持つ主要都市の開発とは異なり、比較的短い歴史の中で急速に発展した北米の主要都市の発展のあり方についての議論から生まれた都市開発・計画についての考え方であり、主にアメリカやカナダなど、北米の都市政策の一手法として脚光を浴びた。 成長管理の手法は、現在ではスマート・グロース(smart growth)と呼ばれる手法に発展し、米国ではワシントン州、オレゴン州、ハワイ州などの州レベルの自治体の都市再生計画でも採用されている。アメリカ都市計画協会(APA)は、スマート・グロースは、土地利用、交通、地域経営、財政効率、環境保護、土地資源保全、社会的平等、地域社会再生などの幅広い分野の関連性を重視することから、経済成長、社会的公平、環境保全のバランスを確保しながらサスティナブル都市の実現を目指すのに最適な手法であるとしている。3 ウィスラーリゾートにおける開発計画の基本となった CDP、および、その実現計画としての OCP は、まさに成長管理、あるいは、スマート・グロースの考え方に基づき立案・推進されたもので、自治体レベルでの取り組みが、「コミュニティー」と「リゾート」の両立、環境保全への配慮、バリアフリーなどに見られる社会的公平を果たした秀逸なリゾートの実現を可能としたと言えそうである。 (3)海外事例に見る「成功」要因のまとめ 以上、海外における山岳リゾートについて 2つの成功事例について経緯や現況をまとめが、共通する「成功要因」は次のようにまとめられる。 ①地域主導、あるいは、地域参画によるリゾート開発が推進されている。 3 伊藤滋ほか(2004)『欧米のまちづくり・都市計画制度―サスティナブル・シティへの途』ぎょうせい

  • 36

    ②リゾート地としての明確な将来像とその実現のための政策や戦略があり、それらが 地域開発計画の主軸として位置付けられている。 ③「通年化」「リピーター化」が重要課題として認識されており、その実現に向けたマ ーケティングや広報活動が行われている。 ④当該地域のみならず、リゾート開発や広報に関して近隣地域との連携がある。(例え ば,BOTAの一員としてのツェルマット、ブリティッシュコロンビア州の一デスティ ネーションとしてのウィスラー&ブラッコムマウンテンなど) ⑤「地域住民(コミュニティー)の生活アメニティー」や「来訪者に対してのホスピ タリティー」などについての質の確保や改善について、地域ぐるみの取り組みがある。 2222 ニセコニセコニセコニセコ地域地域地域地域のののの SWOTSWOTSWOTSWOT分析分析分析分析 多くのオーストラリア人スキー客が、9・11事件を契機にスキー場の選択を欧州・米州から日本(ニセコ地域)に振替えたことでもわかるように、日本国内の観光地も常に国内外のマーケット環境の影響を受けることになる。マーケティング計画を立てる前提として、自己の持つ経営資源の強みと弱みを性格に評価するとともに、今後のマーケット環境が自己に与える影響についても評価が必要である。 ここでニセコ地域の SWOT分析を試みるが、SWOTの意味は次のとおりである。

    S:strength:自己の持つ経営資源の強み W:weakness:自己の持つ経営資源の弱み O:opportunity:将来の機会(好機) T:threat:将来の脅威

  • 37

    図表5-6:ニセコ地域の SWOT分析 対 象 項 目 備 考 A:雪・温泉・気候・景観・動植物など(特に降雪の質・量は特上) B:歴史や文化もある(Museum Road) ①観光資源が豊富 C:体験メニューも豊富 ②高品質な食材 D:米:ジャガイモ・アスパラガス ③宿泊施設の豊富さ E:多彩なホテル・ペンション群

    SSSS

    StrengthStrengthStrengthStrength

    ((((強強強強みみみみ)))) ④住民意識の高さ F:しりべしリバーネット、○○共和国、など ①資源の活用度・町づくり A:資源を生かしきっていない、観光地としての町づくりはどうか? ②広域連携 B:観光協会の統一性・ホームページの充実度・などに難がある ③知名度 C:名称の統一性が図られていない ④外国人対応力 D:言語対応・資料のマルチ言語化・案内標識 ⑤観光統計の収集 E:正確な統計が収集されているか? ⑥アクセス(交通) F:(空港からは 2時間強だが)札幌からの陸路に難

    WWWW

    WeaknessWeaknessWeaknessWeakness

    ((((弱弱弱弱みみみみ)))) ⑦特産品 G:名物はあるか?(食品・土産・弁当) ①3連休の増加 A:有給休暇の消化率 UPが期待される ②シニアマーケット B:日本のリッチ階層の大量出現 ③東アジア市場 C:台湾・韓国・中国・オセアニア・他アジア ④自然・健康回帰 D:Walking/SlowFood/Natureなどへの関心 UP ⑤移住者・Longstay E:田舎暮らしへの人気高まる

    OOOO

    OpportunityOpportunityOpportunityOpportunity

    ((((機会機会機会機会)))) ⑥ガイドの資質向上 F:アウトドアガイド資格・通訳案内士の普及でレベル向上も ①競争相手の多元化 A:観光地競争の激化と消費支出の多様化 ②安全管理 B:山・川での事故防止(特に修学旅行) ③国内スキー人口 C:スキー人気の長期低迷傾向 TTTT ThreatThreatThreatThreat ((((脅威脅威脅威脅威)))) ④景気回復 D:不況の長期化(道外では回復傾向だが)

    3333 外国人観光誘致外国人観光誘致外国人観光誘致外国人観光誘致のののの成功要因成功要因成功要因成功要因とととと課題課題課題課題 (1)成功の要因 ニセコ地域におけるオーストラリア人スキー客の急増は、全国に知られるところであり、2005 年 10 月には小泉首相が「外国人誘致の成功例」として称えたほどであるが、本報告書 3章3項で述べたように、オーストラリアからの来訪者は地域的には倶知安町ひらふ地区で、また、季節的には冬のスキーシーズンのみに集中化している(夏:冬=1:9)という特徴がある。地域全体で見ると、韓国、香港、台湾などのアジアからの来

  • 38

    訪客のシェアが高く、VJCのキャンペーン効果、および、倶知安・ニセコ・蘭越の 3町による「東アジア観光客誘致協議会」などによる観光プロモーション効果とみることもできそうである。 そのことを確認した上で、しかし、本報告書の焦点であるオーストラリアからの来訪者の急増につながった「成功要因」について以下、まとめてみたい。 筆頭に挙げられるのは、ニセコ地域の自然資源の優良さであろう。同地域在住でアウトドアビジネスを営むオーストラリア実業家たちやオーストラリア人スキー客が声を揃えて言う「世界で最高のパウダースノー」、また、彼らが好んでアウトドアビジネスを始めるに至った、ラフティングや各種のアウトドア・アクティビティーのフィールドとなっているのは同地域の自然資源であり、その質の高さが海外からの来訪者誘致の最大の要因であったことは明白である。北海道の自然資源の優良さについては、国内評価も高いが、外国人から高い評価を得たことにより、「日本一」ではなく「世界一」の評価を受け、その価値を更に高めた結果になったと解釈できよう。 次に挙げられるのは、そうした優良な自然資源を楽しむための諸アクティビティーが、オーストラリアから同地域に移住し、アウトドアビジネスを始めた実業家たちによって考案・紹介されたことである。彼らが始めたビジネスは、アウトドア・アクティビティーに関してはまだ未成熟な日本の旅行商品・サービスに新たな分野を開拓し、優良な自然資源をどのように楽しむか、どのように観光資源として活用することができるかについてのアイディアを具体的に示し、同地域の自然資源に「付加価値」を与える結果となった。特に北海道におけるラフティングやカヌーなどの親水スポーツに関する各種アクティビティーは、ニセコ地域のオーストラリア実業家らがパイオニア的な役割を果たしたことは明白である。親水スポーツは夏のアクティビティーであり、冬のオーストラリアスキー客誘致とは無縁との解釈もできようが、複数のオーストラリア実業家たちが、「優良な自然資源に恵まれたニセコ地域」の一環として「世界最高のパウダースノー」という評価を現地から口コミで発信したことは、オーストラリアマーケットの誘客に大きな役割を果たしたといえよう。 また、オーストラリアスキー客の滞在日数は平均で 10.7 泊と、他の海外マーケット(例:台湾、香港、韓国からの旅行者平均 1.0 泊)や国内マーケットの平均滞在(1 泊から 3泊)に比べて非常に長い。これは、オーストラリア客が滞在型スティを導入したと解釈することもでき、「リゾート化」を図ろうとする同地域にとっては望ましい滞在スタイルが導入されたと解釈できよう。 このように、「優良な自然資源」の魅力が「リゾート型滞在」の可能性を持ったオーストラリアマーケットに「口コミ」で宣伝されたことは、ニセコにおける外客誘致の促進に大きな役割を果たしたといえる。同時に、昨今のインターネット技術の急速な改善により、リアルタイムでより具体的なイメージを含めた情報発信が行われていることも宣伝効果を高めたと分析できそうである。 そして何より、オーストラリアからニセコエリアへのスキー客や不動産投資の誘致を可能にした背景には、オーストラリア経済の安定的な発展と好景気がある。オーストラリアでは、世界最大といわれる石炭供給量を含む豊富な天然資源や農作物の輸出を中心として、過去 13 年も好景気が続いていると言われている。このことが個人消費の拡大

  • 39

    や海外投資につながっており、先進国で唯一安定的な好景気継続を遂げているとみられている。 これらをまとめると、 ①ニセコの自然資源の優良さ ②ニセコ地域に 1980-90年代よりビジネスを始めたオーストラリア人実業家達を 中心とした口コミによる情報発信 ③オーストラリア人によるアウトドア・アクティビティーや滞在型ステイの導入 と普及 ④オーストラリアの好景気 などが、ニセコ地域における外客(主にオーストラリア観光客)誘致の成功要因として挙げられそうである。 (2)課題 ニセコ地域を訪れるオーストラリアスキー客は今後も増加が見込まれる。スキーシーズンに合わせた 11-3月まで、オーストラリアのケアンズと千歳空港に定期便を就航させるオーストラリア航空では、2005-6 年にかけての冬季も予約堅調で、搭乗率も平均80-85%程度を見込んでいるという。また、本報告書第4章で述べたように、しばらくは増加が見込まれるオーストラリア人の宿泊施設として、倶知安町ひらふ地域では、コンドミニアムタイプの宿泊施設が増設されているほか、同地域周辺におけるオーストラリア人向けの不動産売買ビジネスも堅調である。加えて、花園エリアを買収した日本ハーモニーリゾート社も、大規模開発の第一段階として、2007年秋に 2000人収容可能な宿泊施設の開業を予定している。こうした状況の中、しかし、更なる外客誘致にはいくつかの課題も挙げられる。 第1に挙げられるのは、行政、住民、旅行関連産業を含めた地域のハード・ソフト両面での受け入れ態勢(インフラ)整備である。前項の「海外の山岳リゾートの例」の成功要因のまとめに記したとおり、リゾート地形成、あるいは、経営には地域主導、あるいは、地域の積極的な関与が不可欠であり、ツェルマットの「地域経営」の考え方や、ウィスラーの「包括的開発計画」の推進や「スマート・グロース」の手法に見られるように、コミュニティーとしての地域経営や開発計画についての明確な将来像やその実現のための開発計画が不可欠だ。ニセコ地域のリゾート開発の現状を見ると、「ブーム」はマーケット側、あるいは、ディマンド側(オーストラリア側)の好景気やニセコ資源に対する評価の高さなどに起因するところが大きく、受け入れ地域となるニセコ地域におけるリゾート開発に関する将来像や開発計画については未確立であると言わざるを得ない。今後、ニセコ地域が「リゾート地」として健全な発展を遂げるには、「コミュニティ」かつ「リゾート地」としてのニセコ地域の将来像をどのように描き、その実現のためにどのような指針をたてて推進していくかについて議論・実践していくことが必要となってくるだろう。そのほか、「ハード、ソフト両面での受け入れ態勢」は、具体的に以下のことを含む。 まず、ハード面については、宿泊施設に関してはコンドミニアム増設や日本ハーモニーリゾートの大規模開発計画など、近い将来収容力が大幅に増大されることが予定され

  • 40

    ているが、レストランやバーを中心とした飲食施設や、滞在型ステイに伴い必要となってくるスーパーマーケットなどの商業施設の不足は、今回のヒアリングでも指摘された点である。加えて、現在は現金引き出しが、地元のコンビニエンスストアに設置されている ATM 一基と郵便局においてのみに限られており、改善が求められている。また、複数のゲレンデを山のふもとでつなぐバスルートなどの増設も今後の課題として挙げられている。 ソフト面は、滞在型来訪者、とりわけ、外国人来訪者が快適に滞在できるのに必要なサービスの質の確保と改善が必要であろう。これには語学対応や滞在に必要な現地情報の量、質、情報提供の方法なども含まれる。例えば、倶知安商工会議所では、急増した外国人来訪者への対応の一環として、町民向けの英語講座などの開設を実施しているが、町民の意識改革もさることながら、季節労働者の割合が高いリゾート地の宿泊施設、スキー場関連施設、交通機関などにおける人材の語学対応力や接遇の改善も必要となってくるであろう。それに観光客だけでなく、外国人居住者も増えており、倶知町内だけでも外国人登録を行っている外国人は 123人(今年 8月)で過去 1年間に倍増したという。そうすると生活者としての居住者や長期滞在客が増えてくれば、子供向けの施設も含めてハード面・ソフト面・意識面において様々な対応が求められてこよう。また、現地情報は主にインターネットを通じて発信されている現況の中で、現地に来てからの「現地事情」に関する総合案内や、近隣地域の観光情報などを入手できる施設・サービスの充実も今後の課題といえるだろう。 加えて、これだけ宿泊施設増設や不動産投資が話題に上る中、それらの投資の地域経済への効果測定については、殆ど資料が入手できなかった現実があり、「地域への経済効果」についての調査なども今後必要となってくるであろう。ヒアリング調査によれば、コンドミニアム増設や不動産売買について、地元企業の起用を積極的に考えたものの、経営状態の不安定さや、建築物仕様に関する考え方の違いなどから、現地企業への委託を断念せざるを得なかったという経緯も明らかになった。北海道観光審議会の会長を務める小磯修二釧路大学教授は、地域自立産業としての観光を考える議論の中で、ニセコ地域にオーストラリアからの観光客、および、投資の増大について触れた中で、「・・・それらの消費、投資が地域内でしっかり循環していく仕組みと戦略を地元で考えなければ、地域への経済効果は期待はずれに終わってしまう4」と指摘している。 こうした、ハード、ソフト両面での受け入れ態勢の整備を図った上で、次に課題となるのは、「地域特性の明確化」にあるといえそうだ。ツェルマットが BOTA の一員となり、ヨーロッパ諸国の名だたるリゾート地と協調しながら独自の地位を築けたのは、同地域に明確な「地域ブランド」があり、カーフリーリゾート政策や、独自のマーケティング政策に見られるような、「地域の指針」「地域の特色」を鮮明にしている点にあるといえよう。「世界一のパウダースノー」と評されたニセコ地域が、自然資源の優位性を十二分に活用しながら「ニセコ・ブランド」と呼べるような地域特性を築いていくことは、リゾート地としての同地域の今後の発展には不可欠であり、課題であるといえるのではないか。そのためには、現況ではばらばらに動いている印象が強い5町が連携を図りな 4 小磯修二、(2005年 10月 30日 朝刊 13面)「地域自立産業としての観光」 北海道新聞より

  • 41

    がら「ニセコ地域」としての地域特性を形成していくことが重要であろう。 更に、車で 2 時間程度の距離にある札幌や、「支笏・洞爺国立公園」内の近隣の観光デスティネーションとの広域連携・プロモーションも、「リゾート地ニセコ」の地位確立には不可欠である。「リゾート地」としてのニセコ滞在中に、来訪者が他の観光地への訪問を希望する可能性は高く、2007 年秋から開業を予定し、「ニセコをアジアのウィスラーにしたい」と抱負を語る日本リゾートハーモニー社々長のコリン・ハックワース氏も「2週間前後の滞在中を充実させるためのオプショナルツアーに関する情報や近隣地域の観光情報収集が是非とも必要である」と述べている。5 広域連携・プロモーションは、ニセコの近隣地域についての情報提供や滞在中の小旅行活動の活性化につながると同時に、オーストラリア以外の海外マーケットへの広報にも十分活用でき、アジアを中心とした他の外客マーケット誘致にも効果が期待される。 加えて、今後の課題として挙げられるのは、外国人来訪者の「通年化」である。前述のように、ニセコにおける「外客誘致の成功」は、「冬季のオーストラリアスキー客の急増」という、限定された時期の限定されたマーケットからの来訪者を指して、「ニセコにおける外客誘致の成功」として捉えられている嫌いがある。特定期間に特定のマーケットからの来訪が急増したことにより、受け入れ地域では冬期間における宿泊施設の確保が差し迫った課題となっており、それに対応すべく宿泊施設の増設も開始されているが、オーストラリアからの来訪者の季節別割合は、上期 8%に対して下期 92%と極端な偏りがある。下期に当たる冬期間の需要急増に対応できるような宿泊収容力を拡大するとしかし、夏季には同じマーケットから冬季の 10%程度しか需要が見込めないことになる。 ニセコ地域のオーストラリア実業家らは、同地域における夏のアウトドア・アクティビティについては、オーストラリア人客を誘致するだけの競争力は無いと判断している。本国オーストラリアで十分に多彩なアウトドア・アクティビティを堪能できることが主な理由である。一方、韓国、台湾、香港など、外客マーケットのシェアとして高いアジアのマーケットについては、ニセコの魅力を「雄大な自然資源」「ヨーロッパ的な雰囲気」としていることから、アジアマーケットからの来訪者に人気が高いゴルフやその他のアウトドア・アクティビティを含め、冬以外の季節にニセコ地域を来訪するようなプログラムを提案するなどにより、同地域のおける外客の「通年化」を図ることは急務である。また、ツェルマットの事例に見られたように、冬の来訪者に夏のツェルマットの魅力を宣伝することなどによる「リピーター化」を図っていくことも「通年化」に多いに寄与していくであろう。 以上、「外客誘致を図りうるリゾート地としてのニセコ」の課題をまとめると以下の通りである。 ① ハード、ソフト両面での受け入れ態勢の整備(含む、地域への経済効果の測定) ② 地域特性の明確化と広域連携・プロモーションの推進 ③ 外国人来訪者の「通年化」「リピーター化」 5 コリン・ハックワース氏との懇談(2004年 12月 14日)による。

  • 42

    <参考文献・資料> 伊藤滋ほか(2004)『欧米のまちづくり・都市計画制度―サスティナブル・シティへの途』 ぎょうせい 小林英俊(2003)「スイスアルプス・カーフリーリゾートにみる観光地の自律性に関す る研究-ヒアリング調査・報告編‐」『自主研究レポート 2003』 財団法人日本交通公 社 武雄昭英 (2004)『リゾート計画における成長管理の研究―カナダの山岳リゾート、ウィスラーを事例としてー』立教大学修士論文 山村順次 (1990)「カナダ・ウィスラーの山岳リゾートとメキシコ・カンクンの海岸リゾートの開発」(『日本観光学会報告』21 1990:119-130) 日本ハーモニーリゾート社長、コリン・ハックワース氏との懇談(2004年 12月 14日) ツェルマット観光局 山田桂一郎氏へのインタビュー(2005年 10月 14日) <URL/ホームページ> ツェルマット観光局 http://www.myswiss.jp/area/09/zermatt/ ウィスラー観光局 http://www.tourismwhistler.jp/