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1 海外拠点における 安全保障輸出管理マニュアル (2017年8月) 名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 / 国際教育交流本部

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海外拠点における

安全保障輸出管理マニュアル

(2017年8月)

名古屋大学

学術研究・産学官連携推進本部 / 国際教育交流本部

Page 2: 海外拠点における 安全保障輸出管理マニュアル€¦ · 安全保障輸出管理の基礎知識 安全保障輸出管理の基礎的な内容、用語です。 なお

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<目次>

1. はじめに ............................................................................................................................................................ 3

2. 基本的な考え方 ............................................................................................................................................. 4

3. 安全保障輸出管理の基礎......................................................................................................................... 5

4. 海外拠点の設置に係る輸出管理の必要な場合(取引形態) ...................................................... 6

5. 貨物の輸出時の手続き(取引形態:A) ................................................................................................ 7

5.1. 日本から機材等を持ち出す又は海外へ発送する場合 ............................... 7

5.2. 海外拠点から日本に機材等を発送する場合 ............................................. 7

5.3. 海外拠点で機材等を調達する場合 ........................................................... 7

6. 技術の提供[技術の海外への移転]時の手続き(取引形態:B)................................................ 8

6.1. 海外拠点への赴任に際し、日本から技術を持出す場合 ............................. 8

6.2. 現地での授業、技術指導 ......................................................................... 8

6.3. 日本の教職員に依頼し、技術データをメールで送信してもらう場合 ............. 9

6.4. 本学の教員がインターネットを利用して特別授業や研究指導を行う場合 .... 9

6.5. 海外拠点の教員又は学生が、インターネットを利用して、本学のコンピュータ

を使用する場合 ................................................................................................ 9

6.6. 輸出管理の対象とならない技術及び許可を要しない技術について........... 10

7. 入学手続き及び国内での短期受入れ時の手続き(取引形態:C) ......................................... 11

7.1. 海外キャンパスへの入学 ....................................................................... 11

7.2. 海外キャンパスの学生及び教職員の本学構内への受入れ ..................... 11

【参考資料 1】 安全保障輸出管理の概要 ................................................................................................ 12

【参考資料 2】 貨物の輸出と技術の提供(輸出管理が必要な場合の例) ................................... 13

【参考資料 3】 居住者と非居住者 ................................................................................................................ 14

【参考資料 4】 本学の輸出管理手続き ...................................................................................................... 15

【参考資料 5】 仲介貿易取引規制について ............................................................................................. 16

【参考資料 6】 受入れ手続きの手順 ........................................................................................................... 17

【参考資料 7】 受入れでの輸出管理に関する 2 項目の自己チェック ............................................ 18

【参考資料 8】 [Step2]における「電子申請要否の事前チェックシート」 ....................................... 19

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1. はじめに

本マニュアルは、本学の海外拠点に勤務する教職員、及び本邦に勤務し海外拠点と関わりをもつ

教職員に対して、海外拠点に係る輸出管理を行なうために必要な知識及び手続き等に関する要

点を記載したものです。ただし、安全保障輸出管理は多岐にわたり、そのすべて網羅することは

困難且つ複雑化するため、本マニュアルに記載されていない詳細な内容については以下の関連

サイト(ホームページ)や輸出管理ハンドブック等をご参照ください。

また、不明点や個別の問題等が発生した場合は、以下の学内相談窓口(※)へご相談ください。

<輸出管理に関する情報サイト、学内相談窓口>

◎経済産業省安全保障貿易管理ホームページ

・輸出管理全般事項(日本の安全保障貿易管理制度など)

URL:http://www.meti.go.jp/policy/anpo/index.html

◎名古屋大学の安全保障輸出管理ホームページ

・名古屋大学の輸出管理手続き情報、電子申請システムへのログインなど

URL:http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/researcher/security/

※本資料、輸出管理についてのご相談は、上記ホームページの学内相談窓口へご連絡ください

○名古屋大学における輸出管理について:『安全保障貿易に係る輸出管理ハンドブック』。

URL:http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/researcher/security/docs/handbook-04kai.pdf

注)学外や海外からの各ホームページへのアクセスは制限があります。

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2. 基本的な考え方

海外拠点に対する本学(国内)で行う輸出管理は、『名古屋大学安全保障輸出管理規程』に

よる。

本学の海外拠点における輸出管理は、『名古屋大学安全保障輸出管理規程』に準拠して管

理するとともに、海外拠点の設置国の関連法令に従って、管理する。(※1)

(※1)

このマニュアルは、日本の安全保障輸出管理に関する法制度(外為法及び関連法令)における規

制、注意事項等を記載しています。拠点設置国における各国の法制度については、国ごとに異な

りますので、現地で調査し、管理するようにしてください。

<用語について>

本資料で使用する用語の意味は、以下とします。

<海外拠点又は現地>本学の管理対象となる海外の研究拠点(海外拠点)、海外キャンパス等

<拠点の教職員>海外拠点に赴任する教職員、非居住者をいう。出張等で短期的に滞在するも

のは除く。

<本学又は学内>名古屋大学(国内)をいう。

<本学の教職員>名古屋大学(国内)に在籍する教職員をいう。原則、雇用契約が結ばれている

ため居住者である。

<輸出管理>特に解説がない限り安全保障輸出管理をいう。

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3. 安全保障輸出管理の基礎知識

安全保障輸出管理の基礎的な内容、用語です。なお、安全保障輸出管理の概要は、【参考資料 1】

及び経済産業省のホームページ、本学の輸出管理ホームページや輸出管理ハンドブックなどを

参照ください。(各URLは3頁に記載)

<目的>国際平和の維持と安全の確保のために国際的な枠組みの中で行うものです。

<安全保障輸出管理>武器や兵器に転用されるおそれのある取引をチェックし、取引に際し経済

産業大臣の許可が必要となる制度です。

<法律と罰則>我が国では、外為法(外国為替及び外国貿易法)によって、輸出規制が行われて

います。違反すると、個人には懲役と罰金、法人(大学)には、行政制裁と罰金が科せられます。

<規制の対象>「貨物の輸出」と「技術の提供」に対して、規制がかかります。規制を受けた「貨

物」や「技術」は、経済産業大臣の許可を受けなければ、輸出又は提供ができません。

<規制の方法>「リスト規制」と「キャッチオール規制」の2種類の方法で規制が行われています。

<リスト規制>武器や兵器の開発等に用いられるおそれの高い汎用品について、輸出令(輸出

貿易管理令)の別表第一の1から15項で規制され、すべての国・地域向けが対象となります。

<キャッチオール規制>リスト規制品に該当するもの以外(木材・食料品などを除く)のものが対

象で、その用途や需要者に兵器の開発に関する懸念がある場合に規制されます。

<該非判定>輸出しようとする物(もの)又は提供しようとする技術がリスト規制(1~15項)に該

当するか否かを確認することで、その結果を文書にまとめたものを「該非判定書」といいます。

<居住者と非居住者>技術の提供に際して、輸出管理の対象あるいは規制対象となるかの要件

のひとつになるものです。技術の提供では、最終的に非居住者(平たくいうと外国に居住するもの)

に技術が渡る(海外に技術移転する)場合は、輸出管理の対象となり、規制を受けます。

<外国ユーザーリスト>キャッチオール規制の実効性を向上させるため、輸出者に対し、大量破

壊兵器等の開発等の懸念が払拭されない外国所在団体の情報を参照用として経産省が提供す

るもので、輸出先や受入者が本リストに掲載されている場合には、慎重な確認が求められます。

<大量破壊兵器(=核兵器等)>核兵器、化学・生物兵器及びこれらの運搬手段としてのロケット

や無人航空機をいいます。これら以外の兵器は、「通常兵器」と呼びます。

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4. 海外拠点の設置に係る輸出管理の必要な場合(取引形態)

海外拠点を設置した場合の想定される輸出管理に関係する取引の形態を図1に示します。

ここで、外為法で規制を受ける取引は、①貨物の輸出、②技術の提供が対象となります。その他

これらに関連する入学手続きや日本への短期留学等での受入れ手続き、共同研究等の契約締

結などは、①②の規制を受ける取引の発生を前提に事前に行う取引となるため、前者①②を基

本取引、後者を関連取引と呼ぶことにします。

図 1 では、A、B(実線表示)は基本取引、C、D(破線表示)は関連取引となります。

なお、関連取引は、その時点で外為法の適用は受けないものの、契約後に許可取得ができず契

約不履行のとなるリスクを回避するために、必要に応じ事前管理するものです。

記号 取引形態 外為法の適用 学内手続き 事例

A 貨物の輸出となるケース ○:対象 ○:必要 注 2)

B 技術の提供となるケース ○:対象 ○:必要 注 2)

C 受入れのケース × 注 1) ○:必要 注 2)

D その他のケース × △:内容による 注)個別にご相談

注 1)Bとの関連で受入れ判断時に許可要否等を学内手続きで確認する必要がある。必要に応じ

経済産業省に相談する。

注 2)安全保障輸出管理上、規制を受けるケースの事例については、【参考資料 2】を参照。

図 1 取引の形態と輸出管理の必要となる場合

<国内> <海外拠点>

<第三国>

名古屋大学(NU)

NU海外拠点

(○○キャンパス)

(A1)機材・研究試料等の発送(A2)試料・機器等の携帯持出し

(C1)入学申請/手続き

(C1)‘入学申請/手続き (D1)入学

(B1)授業(B2)研究指導

(C2)来日手続き※一時的な訪問等

(B4)短期研修

(B3)インターネットを利用した授業等

学生

学内のコンピュータ

技術情報

(B5)海外からのコンピュータの利用(プログラム使用やマニュアル閲覧)

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5. 貨物の輸出時の手続き(取引形態:A)

貨物とは、全ての“物(もの)”をいい、研究機材、試料、サンプル、備品などです。貨物は、通関検

査(税関のチェック)を受け、輸出入に際して申告が必要です。

日本から貨物を持ち出す行為を輸出といい、外為法の適用を受けます。したがって、誤って不正

輸出しないように、本学では、輸出する前に輸出管理手続きを行ないます。

貨物の輸出に際しては、本学の輸出管理規程にしたがって、手続きを行ないます。基本的な手続

きの流れは以下となります。

5.1. 日本から機材等を持ち出す又は海外へ発送する場合

輸出管理手続きは学内に在籍する教職員が行います。海外拠点の教員からの依頼で、貨物を発

送する場合は、依頼を受けた教職員が手続きをします。

依頼を受けて輸出する教職員は、税関等の問い合わせに対応ができるものとしてください。なお、

輸出許可が必要な場合は、輸出管理部門の支援を受けて、必要な許可を取得します。

なお、海外出張で自己使用するもので、一時的に日本から持ち出しする一部の貨物(パソコン、携

帯電話、その附属品など)は、電子申請手続きを省略することができますが、海外拠点での勤務

に際し、現地で長期間使用するパソコンは、省略できません。【参考資料 8】

5.2. 海外拠点から日本に機材等を発送する場合

現地の輸出関連法令を確認して、必要な輸出手続きをします。日本への返送は、日本では輸入と

なりますので、輸出管理手続きは不要です。

なお、許可を取得して輸出し、積戻し報告の許可条件が付されている機器等の場合は、経済産業

省に報告が必要となるため、輸入通関資料などを入手する必要があります。

5.3. 海外拠点で機材等を調達する場合

拠点国内で調達する場合は、輸出等の行為は発生しないため輸出管理に係る取引は不要です。

なお、日本(学内)から第三国(ホワイト国以外)の企業に発注し、海外拠点に納入させる等する場

合、「仲介貿易取引規制」の対象となる場合があります。【参考資料 5】

(例) 分析装置をインドの企業に発注し、モンゴルの海外拠点に直接納入させる。

<解説>日本からの輸出行為はありませんが、本学とインドの企業との発注契約(日本からの指

示)のもとで、外国間で物品の輸出入が行われるため、外為法の適用を受ける場合があります。

手続きの要否確認

電子申請要否確認

該非判定 電子申請規制品は

許可取得輸出

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6. 技術の提供[海外への技術移転]時の手続き(取引形態:B)

輸出管理の規制対象となる技術は、規制対象となる貨物(輸出令別表第一の1~16 項)に関連す

る「設計」「製造」及び「使用」と技術です。

技術は、発表、投稿原稿、研究記録、設計図、使用マニュアル、実験データ、技術仕様書など技

術データとして文書やUSBメモリ等の媒体や装置内のメモリ等に格納して提供されるほか、研究

指導、授業、コンサルティング、口頭での説明、技術交換など、技術支援として提供する場合も規

制の対象となります。【参考資料 1】

技術の提供での手続きの流れは以下のとおりで、基本的に貨物と同様の手順となります。

6.1. 海外拠点への赴任に際し、日本から技術を持出す場合

持出す技術(研究資料、授業用教材、ソフトウェアなど)を列挙し、輸出管理の対象となる技術を

抽出し、各技術について上記した手順で手続きを行います。

(解説)

・海外で勤務する教職員は、海外拠点に所属するために出国した時点で、非居住者となります。

輸出管理では、たとえ居住者(出国前の属性)として技術を持ち出し自己使用する場合でも、非居

住者に向けた技術となるため、規制の対象となります。したがって、もし規制技術(例えば毒性の

ある細菌の培養技術など)を持ち出す場合は、輸出管理手続きを行い、場合によっては持ち出す

前に経済産業大臣の許可(役務取引許可)を取得する必要があります。

・授業用教材は、海外の学生に向けた技術提供がされるため、規制の対象となります。したがって、

教材の内容(公知性や該非等)とともに、受講者(学生や研究生等)の確認も必要となります。

・なお、受講者の確認は、入学手続き時に行うことが有効なため、本学の手続きとしては「取引形

態:C」における受入チェックにより行うことになります。

6.2. 現地での授業、技術指導

前 6.1 項の日本から持出し時に確認(手続き)済みの技術は、現地での手続きは不要です。

なお、研究活動を現地で行うに際し、日本からあらたに技術を持ち出す場合は、その技術につい

て、6.1 項での手続きをする必要があります。

なお、海外拠点で新たに作成した技術の提供については、日本からの技術の持出しにはあたらな

いため、本学の手続きは不要です。

手続きの要否確認

電子申請要否確認

該非判定 電子申請規制技術は

許可取得技術の持出し

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6.3. 日本の教職員に依頼し、技術データをメールで送信してもらう場合

技術を発送する教員が、6.1 項と同様の手順で、送信する技術についての輸出管理手続きをおこ

ないます。もし、規制技術の場合は、送信前に許可(役務取引許可)を取得する必要があります。

6.4. 本学の教員がインターネットを利用して特別授業や研究指導を行う場合

海外拠点の学生はもちろん、海外拠点に勤務する教職員は非居住者となります。また、インター

ネットを利用して行う、遠隔授業やテレビ会議室システムを利用する研究指導は技術の提供行為

となります。したがって、いずれの場合も、6.1 項と同様の手順で、特別授業などを送信する前に送

信する技術についての輸出管理手続きをおこないます。もし、規制技術の場合は、送信前に許可

(役務取引許可)を取得する必要があります。

6.5. 海外拠点の教員又は学生が、インターネットを利用して、本学のコンピュータを使用する場

コンピュータ上にある本学のプログラム(解析プログラムなど)を使用する場合は、たとえダンロー

ドしなくともプログラムを提供(技術の提供)したこととなります。また、利用するプログラム以外の

アプリケーションプログラムを利用者が自由にアクセスできる状態にある場合、そのプログラムも

技術提供されたと見なされます。

図 6.1 海外から学内のコンピュータの利用

利用できる状態に置く(IDやパスワードの付与など)前に、6.1 項と同様の手順で、送信する前に

送信する技術についての輸出管理手続きを行ないます。もし、規制技術の場合は、送信前に許可

(役務取引許可)を取得する必要があります。

したがって、規制技術が許可なく提供されないよう、コンピュータの管理者若しくはアプリケーショ

ンプログラムの作成及び管理する教員は、情報セキュリティの面からも、パスワード設定するなど

して、適正に管理することが求められます。

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6.6. 輸出管理の対象とならない技術及び許可を要しない技術について

特定の貨物の設計・製造・使用にあたらない技術は、輸出管理の対象外

文系の論文や経理や人事管理データ、ゲームソフトなど、そもそも特定の貨物を対象としない技

術は、輸出管理の規制対象とはなりません。これらの技術は、輸出管理の対象として列挙する必

要はありません。

なお、文系の研究活動であっても、測定器やカメラのマニュアルなどは、貨物(測定器、カメラ)を

使用するための技術のため、輸出管理の対象となります。

公知の技術等は許可を要さない

該当の技術であっても、「公知の技術及び公知とするための技術」は、許可が不要となります。

(以下の貿易外省令第 9 条[第 2 項]の許可を要しない役務取引等に関する規定参照)

したがって、輸出管理手続きを簡便にするためには、提供する技術について、リストアップした段

階で、『公知の技術等』にあたるかを判断することが有効です。

すなわち、授業等で行うテキストが、公知の技術のみで作成されていれば、該当技術が含まれて

いても許可不要となるため、本学では該非判定及び電子申請手続きが不要です。

★<貿易外省令第 9 条(許可を要しない役務取引等)抜粋>

[第 2 項]

九 公知の技術を提供する取引又は技術を公知とするために当該技術を提供する取引(特定

の者に提供することを目的として公知とする取引を除く)であって、以下のいずれかに該当するも

イ 新聞、書籍、雑誌、カタログ、電気通信ネットワーク上のファイル等により、既に不特定多数の

者に対して公開されている技術を提供する取引

ロ 学会誌、公開特許情報、公開シンポジウムの議事録等不特定多数の者が入手可能な技術を

提供する取引

ハ 工場の見学コース、講演会、展示会等において不特定多数の者が入手又は聴講可能な技

術を提供する取引

ニ ソースコードが公開されているプログラムを提供する取引

ホ 学会発表用の原稿又は展示会等での配布資料の送付、雑誌への投稿等、当該技術を不特

定多数の者が入手又は閲覧可能とすることを目的とする取引

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7. 入学手続き及び国内での短期受入れ時の手続き(取引形態:C)

海外キャンパスへの入学時及び、海外キャンパスから国内(名古屋大学構内)に留学生等を短期

受入れる際には、輸出管理の受入れ手続きを行います。

輸出管理の受入れ手続きは、受入後のリスクを回避するために行うもので、許可取得の要否や

許可取得が可能か等の確認のほか、受入れ者が外国の軍など機微な組織と関わりがないかな

どをチェックします。場合によっては、経済産業省と相談しながら慎重に判断します。

受入れ手続きは、本学への留学生等の受入れと同様に、受入れ部門において「輸出管理の自己

チェック」を行ない、機微な場合のみ「電子申請」をします。基本的な手順は以下となります。

注) リスク評価(最終判断)・・・電子申請では審査部門では法定管理に関するチェック(リスト規

制及びキャッチオール規制に該当しないか)が基本となるため、電子申請で承認された(法的には

問題ないと判断された)場合でも、受入部門は、審査部門の助言、管理面のリスクや対外的な影

響などを考慮し、最終判断することが求められます。

7.1. 海外キャンパスへの入学

海外キャンパスでは、現地及び日本からの情報インフラを利用した授業、研究指導、研究活動な

どを通じ、輸出管理の対象となる技術の提供が行われる可能性があります。したがって、海外キ

ャンパスへの入学手続き(受入れ手続き)は、学内(国内)に受入れるもの同じと考え、受入れ手

続き(※)を行います。

輸出管理手続きが必要な対象者は、基本的には、[参考資料 3]で定義される「非居住者」となり

ます。なお、邦人(日本人)であっても、外国の研究機関に勤務するものは対象者となります。

注 1)(※)受入れの手順の詳細については、【参考資料 6~7】を参照

7.2. 海外キャンパスの学生及び教職員の本学構内への受入れ

海外キャンパスに入学済みの学生や研究員等、及び現地で採用した外国籍の教職員等を、日本

(名古屋大学構内)に受け入れる場合は、受入れ部門で輸出管理の受入れ手続きを行ってくださ

い。受入れ手続きは、本学の留学生等(留学生、外国人研究者や海外からの訪問者)の受入れ

手続きによります。

注 1)(※)受入れの手順の詳細については、【参考資料 6~7】を参照

手続きの要否確認

留学生の輸出管理確認リスト

電子申請要否確認

電子申請

(該非確認)

リスク評価

(最終判断)受入れ

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【参考資料 1】 安全保障輸出管理の概要

(引用元:経済産業省安全保障貿易管理ホームページ説明会資料より)

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【参考資料 2】 貨物の輸出と技術の提供(輸出管理が必要な場合の例)

次のような場合には、外為法の適用を受け、輸出管理が必要になります。

【A】貨物を輸出する時

(A1)研究用機材、備品、試料等を海外出張時に携帯持出し(ハンドキャリー)する。

(A2)研究用機材、備品、試料等を宅配業者を使い外国に別送する。

(A3)海外の大学や研究機関とMTAを締結し、試料や遺伝子、細菌株等を提供する。

(A4)領海外で気象観測や海洋調査を行うため計測機材など調査船に積み込む。

(A5)外国の研究者から送られてきたサンプルを分析後に返送する。

【B】技術を提供する時

(B1)外国で、未公開の技術を一般公開されない学会やイベントで発表する。

(B2)外国で、海外の共同研究先の相手と技術打合せをする。

(B3)国内で、居住者でない留学生や外国人研究者に研究指導する。

(B4)海外の大学や研究機関等から一時的に来日する相手と技術打合せをする。

(B5)海外からの訪問者に、一般公開していない研究設備を見せる。

(B6)海外の研究者、知人等にメールや電話等で未公開の技術情報を交換する。

(B7)アジアサテライトキャンパスで想定される事例

日本でのスクーリング修了後、自己の拠点に帰るとき。

電磁的機器(スカイプ・メール・他、インターネット回線を利用した通信機器)を利用し、公知の技

術に該当しない技術の提供を行う。

文系研究科所属者でも、研究関連機材を輸出する場合は、安全保障輸出管理手続きの対象

になる。(10 ページ参照)

次のような場合は、受入れや契約後に、技術の提供や貨物の輸出が行われるため、事前に輸出

管理に関するリスクを把握するために輸出管理手続きが必要となります。

【C】留学生や外国人研究者を受入れる時

(C1)留学生、外国人研究者、研修生等を受入れる。(雇用する場合を含む)

(C2)初めて取引する相手と共同研究契約等を締結する。(懸念がある場合など)

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【参考資料 3】 居住者と非居住者

(参考)

「居住者」と「非居住者」については、外為法第6条第1項第五号(居住者)及び外為法第6条第1

項第六号(非居住者)に定義されています。「居住者」と「非居住者」が明確でない場合は、上記の

財務省通達による解釈及び運用により判断します。

外為法第6条第1項第五号

「居住者」とは、本邦内に住所又は居所を有する自然人又は本邦内に主たる事務所を有する法

人をいう。非居住者の本邦内の支店、出張所その他の事務所は、法律上代理権があると否とに

かかわらず、その主たる事務所が外国にある場合においても居住者と見なす。

外為法第6条第1項第六号

「非居住者」とは、居住者以外の自然人又は本邦内に主たる事務所を有する法人をいう。

◎海外拠点(海外キャンパス)及び海外拠点に籍をおく本学の教職員は「非居住者」となります。

「安全保障貿易に係る機微技術管理ガイダンス (大学・研究機関用) 第三版」 より抜

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【参考資料 4】 本学の輸出管理手続き

海外に貨物(機材等)を輸出する場合や、技術を提供する場合、また留学生や外国人研究者を受

入れる場合は、原則、輸出管理の学内手続きが必要となります。

輸出管理手続きの基本的な流れはつぎのとおりです。

<手順 1>輸出管理必要な場合かを確認する

<手順 2>電子申請が省略できる場合か確認する

<手順 3>電子申請のための資料(該非判定書等)を準備する

<手順 4>電子申請する

<手順 5>許可を取得する・・・※規制貨物、技術の場合のみ

<手順 6>輸出又は技術提供する(又は受入れを決定する)

<手順 7>文書を保存する

詳しくは、以下を参照し、自主管理又は電子申請を行ってください。

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【参考資料 5】 仲介貿易取引規制について

下のパターンのように、それぞれの国との買い契約、売り契約がある場合にであり、単に仲介す

る(売買契約はAB間で行われる)場合は、対象とはなりません。

下のパターンでの貨物の発注と移動が行われる場合は、輸出管理手続きを行って、許可要否等

の確認を行ってください。

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【参考資料 6】 受入れ手続きの手順

留学生等を受入れる場合は、つぎの手順で手続きをしてください。(下図参照)

1.[Step1]輸出管理の必要(輸管チェックが必要)な対象者であるか確認します。基本的には、

【参考資料 3】に定義される、「非居住者」に分類されるもの及び「外国籍の者」が対象です。

2.[Step2]部局内で「輸管チェック」を行います。「輸管チェック」では受入れ対象者が、

①「外国ユーザーリスト」掲載の企業・組織に所属したか?

②「疑義のある事項」に該当するか?

を確認し、①②のいずれも該当しない場合は、“受入可”と判断され、手続きは完了となります。

3.[Step3]上記[Step2]での①②のひとつでも該当する場合は、「電子申請要否の事前チェック

シート」を利用し、電子申請が省略できる場合かを確認します。その結果、電子申請は不要と判断

された場合は、“受入可”と判断され、手続きは完了となります。

4.[Step3]で電子申請が必要と判断された場合は、輸出管理ホームページから、受入れに関す

る電子申請手続きを行い、輸出管理統括責任者の受入れ可否の最終判断を得ます。

文中の各チェックリスト及びチェックシートに関しては、以下を参照してください。

[Step1]における「輸管チェック」→(以下 URL)

http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/researcher/security/foreign_students/checklist/index.html

①外国ユーザーリストについて→上記 URL から経産省ホームページにリンク接続して見ます。

②疑義ある事項→上記 URL 内に掲載されています。詳細は、【参考資料 7】にも記載

[Step2]における「電子申請要否の事前チェックシート」→(URL)

http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/researcher/security/docs/jizenchecksheet2.pdf

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【参考資料 7】 受入れでの輸出管理に関する 2 項目の自己チェック

<チェックリストは、名古屋大学輸出管理ホームページに掲載しています>

<外国ユーザーリスト:経産省HP> http://www.meti.go.jp/policy/anpo/law05.html#user-list

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【参考資料 8】 [Step2]における「電子申請要否の事前チェックシート」

URL:http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/researcher/security/docs/jizenchecksheet2.pdf

安全保障輸出管理のご連絡・ご相談は以下の窓口へご連絡ください。

○研究協力部 安全保障輸出管理担当

電話番号 052-747-6443 e-mail アドレス [email protected]

○学術研究・産学官連携推進本部 安全保障輸出管理担当

電話番号 052-747-6702 e-mail アドレス [email protected]

シート A 電子申請要否の事前確認チェックシート (全体)

シート B 遺伝子・生物等の自己チェック        (専用)

チェック日:     年   月   日

件名

仕向地(国又は地域名)

提供技術、又は貨物名

.

Yes     Yes No

  Yesの場合、技術もチェック

 No No

Yes 人文系の、資料、データです。

NoNo

 No

 Yes Yes YesYes

No

NoYes

  No

YesYes

No

Yes

No

  Yes

  No

電子申請は不要ですが、自己管理頂き、外為法に十分注意して行動してください。不安や不明点あれば曖昧なまま行動ぜずにご相談ください。

電子申請不要の場合でも、確認記録を残しておきたい場合は、申請頂いても結構です(輸管事務局に記録が残ります)。

電子申請要否の事前確認チェックシート A

・このシートは、安全保障輸出管理に関する電子申請の要否を確認するものです。

海 外 や 外 国 人 と の コ ン タ ク ト が 発 生

貨物の輸出が発生 技術の提供が発生

技術も同時に送付、又は持出す

自己使用の市販のPC、又は携帯

電話で、日本に持ち帰ること前提

遺伝子・生物等の

送付、又は持出

直近の法令改正後

に電子申請した

ホワイト国への

輸出か?

持ち出す技術情報は自己使用

が目的で、提供しない

提供する技術情報は、

貨物の設計・製造・

使用に関するものか?

未公開のデータを

提供・掲示するか?

論文や雑誌への

投稿か?

相手は不特定

多数か?

事前チェックリストの作成

(技術を記載)

「留学生受入れの確認リスト」を

チェックする

事前チェックリストの作成

(受入を記載)

チェックの結果、

電子申請が必要である

留学生等の受入が発生

事前チェックリストの作成

(貨物を記載)

電子申請

不要

電子申請

不要

遺伝子・生物等の自己

チェックシート

「自己保管および部局へ

提出」

シートBの

記載必要です。

装置、機器、試料、PC、材料等の部品の

海外への送付や出張での持出である。

出張での技術情報の持出しや、メール等で提供する。

講演会や・学会発表などで技術を提供する。

留学生等を受け入れる、受け入れた。

訪問者、見学者を受け入れる。

電子申請

不要

参加者に制限のある学会や

シンポジューム等は、「No」に

なります。

インターネット上で

公開される学会や

展示会での配布

です。

該当項目

があるか?

電子申請不要但し、「留学生受入れの確認リスト」

を部局及び輸出管理事務局へ提出

電子申請不要但し、輸出管理事務局へ

相談ください。