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Page 1: 目 次 · Web view① バブル経済崩壊後の低金利状態が現在に至るまで長く続いたため、扶養年金基金の運用実績が低迷し、運用利率が予定運用利率を大幅に下回り、基金運用収入が激減している。

東 京 都 心 身 障 害 者 扶 養 年 金 制 度 の 社 会 的 役

割 の

変 化 を ふ ま え た 今 後 の 在 り 方 に つ い て

( 答   申 )

平 成 1 8 年 10 月 27 日

東 京 都 心 身 障 害 者 扶 養 年 金 審 議 会

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目   次

は じ め に  ………………………………………………………………………………… 1

第1 東京都心身障害者扶養年金制度の 概要 ……………………………………… 3 1 扶養年金制度の 目的 …………………………………………………………… 3 2 扶養年金制度の 主な 内容 ……………………………………………………… 3 3 扶養年金制度の 発足と そ の 後の 経過 ………………………………………… 4 4 心身障害者扶養保険制度の 概要 ……………………………………………… 6

第2 扶養年金制度の 現状と 問題点 …………………………………………………10 1 加入者の 状況 ……………………………………………………………………10 2 受給者の 状況 ………………………………………………………………… 12 3 扶養年金財政の 状況 ………………………………………………………… 12

第3 障害者の 生活実態 …………………………………………………………… 15

 1 平成17 年度扶養年金受給権者生活状況報告書 ………………………… 15 2 平成15 年度東京都社会福祉基礎調査 …………………………………… 15

第4 障害者施策の 充実 …………………………………………………………… 18

1 公的年金制度等の 充実 ……………………………………………………… 18

2 障害者施策の 充実 …………………………………………………………… 19

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第5 扶養年金制度の 社会的役割の 変化を ふ ま え た 今後の 在り 方 …………… 23 1 扶養年金基金の 取崩し が 止ま ら な い 要因 ………………………………… 23 2 制度維持の た め の 掛金引上げ  …………………………………………

…… 24 3 制度を 運営し て き た 東京都の 責任 ………………………………………… 25

第6 扶養年金制度の 廃止に 当た っ て  …………………………………………… 28 1 代替制度 ……………………………………………………………………… 28 2 扶養年金制度加入者へ の 対応 ……………………………………………… 29 3 終わ り に  ……………………………………………………………………… 39

付属資料 ……………………………………………………………………………… 41

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は じ め に

 東京都心身障害者扶養年金審議会(以下「本審議会」と い う 。)は 、平成18 年5 月12 日、東京都知事か ら 「東京都心身障害者扶養年金制度の 社会的役割の 変化を ふ ま え た 今後の 在り 方に つ い て 」と 題する 諮問を 受け た 。

こ の 諮問の 趣旨は 、「東京都心身障害者扶養年金制度(以下「扶養年金制度」と い う 。)は 昭和44 年の 制度発足以来既に 37 年が 経過して い る 。こ の 間、社会経済状況が 大き く 変化す る と と もに 、障害者施策も 質・量と も に 充実が 図ら れ て き た 。特に 、平成18 年4 月1 日か ら 障害者自立支援法が 施行さ れ 、障害が あ って も 地域で 自立し た 生活を 可能に す る た め の サ ービス 体系が 格段に 強化さ れ た 。こ う し た 中で 、扶養年金制度は バ ブ ル 経済崩壊後の 金利低下と い う 状況も あ り 、財政運営上の 問題が 顕在化し 、平成10 年度に 掛金の 引上げ に よ り 年金基盤の 建直し を 図っ た に も か か わ ら ず 、そ の 後も 引き 続く 低金利と 掛金納付者の 減少等に よ り 、こ の ま ま 放置す れ ば 、5年後の 平成23 年度に は 基金が 枯渇す る 状況に 立ち 至っ て い る 。こ う し た 状況を ふ ま え 、今後の 扶養年金制度の 在り 方に つ い て 検討し て ほ し い 。」と い うも の で あ る 。

本審議会は 、平成18 年5 月か ら 検討に 入り 、扶養年金制度の 財政問題を 中心と す る 現状分析や 他の 障害者施策の 整備状況及び 障害者の 生活実態を 踏ま え て 、今後の 制度の 在り 方に つ い て 検討し 、4回の 審議を 経て 「中間の ま と め 」を 公表し た 。その 結果、寄せ ら れ た パ ブ リ ッ ク コ メ ン ト は 624件に お よ び 、そ の ほ と ん ど が 加入者か ら で あ っ た 。本審議会と し て は 扶養年金制度に 対す る 加入者の 切実な 要望、様々な 意見を 重く 受け と め 、さ ら に 審議を 行い 、最終答申を と り ま と め た 。

扶養年金制度は 、保護者亡き 後の 障害者の 生活の 安定と 福祉の 向上を 図る 目的で 創設さ れ た も の で あ り 、障害者の 生活の 安定を 支え る 役割を 果た し て き た が 、保険制度と し て は行き 詰ま っ て い る こ と が 明ら か で あ る 。 本審議会で は 、扶養年金制度を ど の よ う に 建て 直す か とい う 問題意識か ら 審議を 始め 、扶養年金制度の 将来的な 見通しを 含め た 抜本的な 議論を 行っ て き た が 、現行の 扶養年金制度は 財政的に 行き 詰ま っ て お り 、こ れ を 維持す る た め

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に は 、掛金を 大幅に 値上げ す る か 、又は 継続的な 多額の 公費投入に よ り 実質的に 公費で 給付を 行う ほ か は な い 。

し か し 、加入者の 負担能力を 超え る 大幅な 掛金の 値上げ は実質不可能で あ り 、ま た 、本制度は 任意加入で あ り 、年金給付に 要す る 費用を 加入者の 掛金で 賄う こ と を 原則と す るこ と か ら 、継続的な 多額の 公費投入を 前提と し た 制度の 維持も 不可能で あ る 。

し た が っ て 、現行制度を 維持す る こ と は 、も は や 困難で あ ろ う と の 結論に 達し 、都に 扶養年金制度の 廃止を 提言す る も の で あ る 。 た だ し 、扶養年金制度が 破綻に 至っ た こ と に つ い て 、制度を 運営す る 都の 責任は 非常に 重い も の で あ り 、都は制度廃止に 伴う 制度加入者へ の 対応に 十分に 意を 尽く す 必要があ る 。

制度発足後37 年経過し 、障害基礎年金や 各種手当の 創設及び 給付水準の 向上、障害者施策の 充実な ど に よ り 、経済面で 障害者の 生活を 支え る と い う 制度の 役割に つ い て も 、そ の 当時とは 状況が 変わ っ て き て い る と は い え 、保護者亡き 後の 不安の 軽減と 障害者の 福祉の 向上を 図る と い う 制度の 目的は 、依然と し て 重要な 課題で あ る 。本審議会と し て は 、障害者が 保護者亡き 後も 地域の 中で 自立し て 尊厳を も っ て 生活で き る よ う 、都が 総合的施策展開に 積極的に 取り 組ん で いく こ と を 強く 要望す る も の で あ る 。

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第1 東京都心身障害者扶養年金制度の 概要 1 扶養年金制度の 目的   扶養年金制度は 、心身に 障害の あ る 者の 保護者が 死亡し 、又

は 身体及び 精神の 機能を 著し く 喪失し た 状態と な っ た後、障害者に 年金を 支給す る こ と に よ っ て 、障害者の 生活の 安定と 福祉の 向上を 図る と と も に 、残さ れ た 障害者の 将来に 対し 保護者の 抱く 不安の 軽減を 図る こ と を 目的と し て 昭和44 年4月に 創設さ れ た 。

2 扶養年金制度の 主な 内容  (1) 扶養年金制度の 仕組み    扶養年金制度は 、加入者が 東京都(以下「都」と い う 。)に 掛

金を 払い 込み 、都は こ の 掛金を 収納し 、東京都心身障害者扶養年金特別会計(以下「扶養年金会計」と い う 。)に お い て 年金給付等を 行う と と も に 、年金給付等に 支出し た 残額を東京都心身障害者扶養年金基金(以下「扶養年金基金」と い う 。)に積み 立て 、こ の 基金を 運用す る こ と に よ っ て 、将来の 年金給付に 備え る と い う 仕組み を と っ て いる 。

  (2) 加入資格(障害者の 保護者)   ア  東京都の 区域内に 住所を 有す る こ と   イ  65 歳未満で あ る こ と   ウ  東京都規則で 定め る 疾病の 状態に な い こ と  (3) 障害の 範囲(障害者)   ア  知的障害者 精神発育の 遅滞の 程度が 軽度以上の も の   イ  身体障害者 身体障害者手帳の 等級が お お む ね 4級以上

の も の (体幹機能障害等は 5級以上で も 可)   ウ  精神障害者 一定程度以上の 症状を 有す る も の (扶養年金

条例別表第一参照)

   エ  そ の 他(脳性麻痺、自閉症又は 進行性筋萎縮症を 有す るも の )

  (4) 年金等の 給付   ア  年金の 給付     加入者が 死亡又は 身体及び 精神の 機能を 著し く 喪失し

た 状態と な っ た と き 毎月3万円(特約付加入者は 1万円加算)を 給付す る 。

   イ  一時金の 給付    ( )弔 慰 金ア

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年金受給開始前に 障害者が 死亡し た と き に は 、加入者に 加入期間に 応じ た 額を 給付す る 。

       5 年未満       3万円(特約付加入者は 1万円加算)      5年以上20 年未満  6 万円(特約付加入者は 2 万円加算)      20 年以上      12 万円(特約付加入者は 4 万円加算)    ( )葬 祭 料イ

年金受給中に 障害者が 死亡し た と き に は 、年金受取人に 3万円(特約付加入者は 1万円加算)を 給付す る 。

    ( )脱退一時金等ウ加入者が 脱退の 申出を し た と き は 、加入者に 脱退一時金と し て 加入期間に 応じ た 額を 支給す る (特約付加入者が 特約を 取り 消す 場合に は 、取消一時金と し て 特約付加期間に 応じ た 額を 支給す る 。)。

     ・脱退一時金  5年以上10 年未満  3万円             10 年以上          6万円     ・取消一時金  5年以上10 年未満  1万円

             10 年以上          2万円  (5) 掛  金

     (6) 掛金の 減額    下記に 該当す る 場合は 、掛金を 2分の 1に 減額し て いる 。   ア  加入者が 生活保護を 受け て い る 場合   イ  加入者が 区市町村民税を 課せ ら れ て い な い 場合又

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【都制度の掛金月額表】

区  分基 本 分

特 約 分従前分 改正分

35歳未満 4,800円 4,800円 1,600円35~40歳未満 6,000 6,000 2,00040~45歳未満 7,200 7,200 2,40045~50歳未満

11,5008,600 2,900

50~55歳未満 10,500 3,50055~60歳未満 65歳以上

を含む12,800 4,300

60~65歳未満 15,600 5,200

(注) ・掛金は加入時の年齢で固定され、20 年間払い込む。      ・従前分は昭和 62 年 6 月以前の加入者に適用される掛金である。      ・改正分は昭和 62 年 7 月以降の加入者に適用される掛金である。

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は 免除さ れ て い る 場合   ウ  夫婦が と も に 障害者で 相互に 加入し て い る と

き 、い ず れ か 一方   エ  そ の 他罹災の た め 支払い が 困難な と き

3 扶養年金制度の 発足と そ の 後の 経過  (1) 扶養年金制度の 発足    扶養年金制度は 、昭和44 年4月に 創設さ れ た 。当時、こ の

よ う な 制度は 、神戸市、岡山市、大阪市、名古屋市等の 数市で 実施さ れ て い た ほ か 、多数の 自治体で も 実施が 予定され て い た 。

    一方、国に お い て も 制度化に 向け て 検討が 行わ れて い た が 、都制度の 発足か ら 10 か 月後の 昭和45 年2 月に 心身障害者扶養保険制度(以下「全国制度」と い う 。)と して 創設さ れ 、そ れ ま で 各自治体が 独自に 実施し て いた 制度が 、全国的な 規模で 統一さ れ る こ と と な った 。

    し か し 、こ の と き 都は 、全国制度に 比べ て 都制度の 内容が 、   ① 加入者の 年齢制限が 緩や か で あ る こ と (初年度加入者

の 年齢制限な し ・次年度以降特認制度※ あ り )     ※ 特 認 制 度 … 加 入 者 年 齢 が 45歳 以 上 で あ っ て も 、 「 障 害 者 と な っ て 1 年 以

内 の 者 を 保 護 す る 者 」 及 び 「 都 内 に 転 入 後 1 年 以 内 の 者 」 で あ れ

ば 、 特 別 に 加 入 を 認 め て い た 制 度

   ② 対象と す る 障害者の 障害範囲が 広い こ と   等か ら 、全国制度に は 移行せ ず 、都独自の 施策と し て 本

制度を 推進す る こ と と し た 。  (2) そ の 後の 経過    都は 全国制度に 移行せ ず 、独自の 制度を 推進す る こ と

と し た も の の 、全国制度の 改正動向や 制度を 取り 巻く諸状況の 変化か ら 、こ れ ま で 4回に わ た り 制度の 改正を 行っ て い る 。

   ア  昭和45 年度改正都制度は 、全国制度の 発足か ら 7か 月後の 昭和45 年9 月

に 、掛金等を 全国制度並と す る た め 、次の よ う な 改正を 行っ た 。 

    ① 掛金を 全国制度と 同等に す る た め 、引き 下げ た 。    ② 掛金の 払込期間を 全国制度と 同等に す る た め 、25 年

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か ら 20 年に 短縮し た 。   イ  昭和53 年度改正

加入者や 関係者等か ら の 年金給付額の 増額や 加入資格年齢の 引上げ 等の 要望に 対応し て 、昭和53 年10 月に 次のよ う な 改正を 行っ た 。

    ① 年金給付額を 2万円か ら 3万円に 増額し た 。    ② 給付額の 引上げ に 伴い 掛金を 引き 上げ た 。   ウ  昭和62 年度改正

加入者資格年齢の 引上げ 等が 検討さ れ 、昭和62 年7月に 次の よ う な 改正を 行っ た 。

    ① 加入資格年齢を 45 歳未満か ら 65 歳未満に 引き 上げ た 。(特認制度の 撤廃)

    ② そ れ に 伴い 健康告知制度を 導入し た 。    ③ 特約方式を 採用し て 、給付額を 1万円増額で き る よう に し た 。     こ れ ら は 、昭和54 年10 月の 全国制度の 改正に お い

て 、①加入資格年齢を 45 歳未満か ら 65 歳未満に 引き 上げた こ と 、②2口加入方式を 導入し 、年金給付が 最高4 万円(2口)と な っ た こ と に 対応し た も の で あ る 。

   エ  平成10 年度改正扶養年金財政を 建て 直し 、制度の 安定的運営を 図る た め

平成10 年10 月に 次の よ う な 改正を 行っ た 。    ① 加入者が 適正な 掛金を 負担す る よ う 、掛金及び 特約掛

金の 改正を 行っ た 。ま た 、掛金の 減免制度を 改正し 、減額の み の 取扱い と し た 。

    ② 弔慰金に つ い て 、一律給付か ら 、加入期間に 応じ た額を 支給す る よ う 充実を 図っ た 。

    ③ 脱退す る 加入者又は 特約部分を 取り 消す 特約付加入者に対し 、加入期間に 応じ た 一時金を 支給す る よ う 、脱退一時金及び 取消一時金を 創設し た 。

④ 年金の 支給制限、支給停止、支払い の 差止め 及び 返還の 規定を 設け た 。

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【扶養年金制度の改正経過】

昭和 44.4.1(創設時)

昭和 45.9.1 昭和 53.10.1 昭和 62.7.1 平成 10.10.1(現行)

加 入 資 格 45歳未満(創設初年度のみ年齢制限なし) 65歳未満・特約制度導入

区    分 基本分 基本分 基本分 基本分 特約分 基本分 特約分

   ~34歳 1,000円 1,000円 1,700円 1,700円  700円 4,800円 1,600円35歳~39歳

1,500円 1,300円 2,500円 2,500円1,000円 6,000円 2,000円

40歳~44歳 1,200円 7,200円 2,400円45歳~49歳

2,000円 1,500円 3,000円

3,200円 1,600円 8,600円 2,900円50歳~54歳 4,000円 2,000円 10,500円 3,500円55歳~59歳 5,400円 2,700円 12,800円 4,300円60歳~64歳 7,200円 3,600円 15,600円 5,200円払込期間 25年 20年 20年 20年 20年

年金給付額(月額)

20,000円 20,000円 30,000円 30,000円 10,000円 30,000円 10,000円

改 正 内 容  ① 掛金引下げ② 納付期間の短縮

 掛金引上げ① 加入資格年齢引上げ② 特約制度の新設③健康告知制度導入

① 掛金引上げ② 支給制限、支給停止の規定

③ 加入期間に応じた弔慰金支給

④脱退一時金等の創設 等

改 正 理 由   全国制度に合わせるため

給付額を増額するため

全国制度に対応するため年金財政を建て直し、安定的運営を図るため

全 国 制 度の 改 正

 

昭和 45 年 2 月 1 日全国制度発足

① 掛金 1,000~1,500円

② 給付額20,000円

 

昭和 54 年 10 月 1 日改正 ①加入資格緩和(65歳未満) ②2口加入制度  (最高給付 40,000円)

平成 8 年 1 月 1 日改正 ①掛金引上げ ②脱退一時金の創設

    

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4 心身障害者扶養保険制度の 概要  全国制度は 、昭和45 年2月1日に 創設さ れ た が 、そ の 後3回

の 制度改正を 行い 、現行制度は 以下の よ う な 内容と な って い る 。

 (1) 全国制度の 仕組み   全国制度は 、加入者が 地方公共団体に 払い 込ん だ 掛金を 、独立

行政法人福祉医療機構が 保険料と し て 生命保険会社に 納め 、加入者が 死亡ま た は 重度傷害と な っ た 時に 生命保険会社か ら 独立行政法人福祉医療機構が 一時金と し て 保険金を 受け 取り 、その 保険金を 原資と し て 信託銀行に お い て 運用し な がら 、地方公共団体を 通じ て 障害者に 年金を 支払う と い う 仕組み を と っ て い る 。そ し て 、保険金支払い の た めの 保険財政と 年金支払い の た め の 年金財政に 分か れ てい る 。

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【全国制度の仕組み】⑧弔慰金・脱退一時金

※ 特別調整費・・・ 7 12 31 (1,200 )平成8年から平成 年 月 日以前の既加入者及び年金受給者の年金に必要な費用のうち、過去の保険料納付不足分 億円 を国及び地方公共団体が2分の1ずつ20年92 46 46間負担し、保険財政及び年金財政に繰り入れることとなった。年間所要額 億円のうち、国が 億円、地方公共団体が 億円を負担。

年金管理者

   障 害 者

加入者(保護者)

加入期間に応じて○弔慰金 2・5・10万円○脱退一時金 3・5・10万円

地方公共団体(道府県・指定都市)【実施主体】

独立行政法人福祉医療機構

1口 月額 2万円

心身障害者扶養共済制度条例準則 同 施行規則準則

事務費補助(1/2)特別調整費(1/2)

独立行政法人福祉医療機構法 同 施行令(認可)業務方法書(認可)扶養保険約款(認可)生命保険契約(認可)指定金銭信託契約

⑥年金給付保険金

⑤ 信 託 金 特例保険金

④ 保 険 金 (年金原資) 特例給付金(弔慰金) 〃 (脱退一時金)

③ 保 険 料 特例保険料

② 保 険 料 特別調整費

①掛金

共済契約(条例)

扶養保険契約

約款

心身障害者扶養者生命保険契約

指定金銭信託契約(単独運用)

生命保険会社

信託銀行◎資金の運用

年金給付保険金弔慰金給付保険金脱退一時金給付保険金

制度の助長 指導・監督

(養育) 事務費補助

⑧年金

必要に応じて

(参考:独立行政法人福祉医療機構「平成 17 年度心身障害者扶養保険事務担当者地区別打合せ会資料」)

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  (2) 根  拠    全国制度に お い て は 、実施主体で あ る 地方自治体(道府

県・政令指定都市)が 心身障害者扶養共済制度条例を 制定す る こと が 要件と な っ て い る 。条例を 定め る こ と によ っ て 、独立行政法人福祉医療機構と の 保険契約が 可能と なる た め で あ る 。

(3) 加入資格(障害者の 保護者)   ア  県(道府県・指定都市)の 区域内に 住所を 有す る こ と   イ  65 歳未満で あ る こ と   ウ  特別の 疾病又は 障害を 有せ ず 、扶養保険契約の 対象と

な る こ と が で き る こ と  (4) 障害者の 範囲(障害者)   ア  知的障害者   イ  身体障害者 身体障害者手帳の 1 級か ら 3 級ま で に 該当す る 者   ウ  精神又は 身体に 永続的な 障害の あ る 者で 、そ の 障害

の 程度が 上記ア 又は イ に 掲げ る 者と 同程度と 認めら れ る 者(精神障害者、自閉症、脳性麻痺、進行性筋萎縮症、血友病そ の 他の 特定疾患等)

  (5) 年金等の 給付   ア  年金の 給付     加入者が 死亡又は 条例で 定め る 重度障害と な っ た と

き 、一口当た り 毎月2 万円(2口加入者は 4万円)を 給付する 。

   イ  一時金の 給付    ( )弔 慰 金ア

年金受給開始前に 障害者が 死亡し た と き に 、加入者に加入期間に 応じ て 支給す る 。

      1 年以上5 年未満(加入1 口に つ き ) 2 万円      5年以上20 年未満          5 万円

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【全国制度の掛金月額表】

区  分昭和 61.3.31 以前 2口目及び昭和加 入 の 1口目 61.4.1 以降加入

35歳未満 3,500円 3,500円35~40歳未満 4,500 4,50040~45歳未満 6,000 6,00045~50歳未満

7,4007,400

50~55歳未満 8,90055~60歳未満 10,80060~65歳未満 13,300

(注)保険区分については、統合され、昭和 61.3.31 以前加入の1口目とそれ以外の1口目・2口目となった。

      20 年以上             10 万円    ( )脱退一時金イ

加入期間が 5 年以上の 加入者で 、加入者が 生存中に こ の制度を 脱退し た 場合に 、加入者に 加入期間に 応じ て 支給す る 。

      5年以上10 年未満(加入1口に つ き )3万円      10 年以上20 年未満         5万円

      20 年以上             10 万円  (6) 掛  金

(7) 掛金の 減額等    全国制度に お い て は 、独自の 判断で 掛金の 減額等を 実施

し て い る 地方自治体が あ る 。

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〔参 考〕     【都制度と全国制度の相違点】

項   目 都  制  度 全 国 制 度

障害範囲身体障害者は障害程度4級以上のものまで対象

身体障害者は障害程度3級以上が対象

加入区分 基本、特約 1口ごと2口まで

掛金(月額)基本分 4,800円~15,600円 1口につき

特約分 1,600円~5,200円 3,500~13,300円

給付額(月額)基本分 30,000円 1口 20,000円特約分 10,000円 2口 40,000円

給付事由

弔 慰 金

加入期間に応じて 加入期間に応じて、1口につき

基本分 30,000円~120,000円 20,000円~100,000円特約分 10,000円~ 40,000円  

葬 祭 料 30,000円 (特約 10,000円) な し

脱 退 等一 時 金

加入期間に応じて 加入期間に応じて、1口につき

基本分 30,000円、60,000円 30,000円~100,000円特約分 10,000円、20,000円  

掛金払込期間 20 年間 20 年かつ 65歳に達するまで

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第2 扶養年金制度の 現状と 問題点 1 加入者の 状況

扶養年金制度の 加入者は 、以下の よ う に 分け ら れ る 。

扶養年金制度の 加入者は 平成17 年3月末現在29,793 人に 達して い る 。平成10 年度以降、新規加入者は 減少し 、こ こ 数年は 毎年200人前後で 推移し て い る 。

   掛金納付者は 8,942人で 、そ の う ち 掛金減額者は 1,485人と16.6 %で あ る 。掛金納付者の 年齢分布を み る と 、50 歳以上の 者が 7,326人と 全体の 約82 %を 占め て い る 。

   掛金納付者の 年金加入期間別で み る と 、15 ~19 年と 納付完了が 近づ い て い る 者が 3,675人と 41 %を 占め 、こ れら の 者が 納付完了者と な る こ と に よ り 、今後も 掛金納付者の 減少は 避け ら れ な い 状況で あ る 。

   ま た 1回目の 改正(昭和45 年)に よ り 掛金の 払込期間を25 年か ら 20 年に 短縮し た た め 、制度発足か ら 20 年を経過し た 平成元年度か ら 納付完了者が 発生し て い る 。そ

13

【扶養年金制度加入者の推移(全体)】

05000

10000150002000025000300003500040000

44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 元 3 5 7 9 11 13 15 (年度)

(人)

納付完了者

掛金納付者

受 給 者

掛金免除者

掛金減額者

29,793

9,946

8,942

10,905

昭和 平成

①まだ年金を受給していない者(未受給者)

②既に年金の給付を受けている者(受給者)

掛金納付期間中の者(掛金納付者)

掛金納付期間が終了した者( 納 付 完 了

者)

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の 数は 、平成17 年3 月末現在、10,905 人に 達し て い る 。納付完了者の 増加に よ り 、掛金納付者が 激減し 、掛金収入等の 減少の 要因と な っ て い る 。

   納付完了者の 年齢分布を み る と 、65 歳以上が 7,942人と72.8% を 占め て お り 、近々に 受給者へ と 変わ っ て くる こ と が 予想さ れ 、今後も 受給者の 増加が 見込ま れ る 。

加入者の 障害別分布を み る と 、知的障害が 58 %、身体障害が 29% 、精神障害が 7% と 、知的障害の 比率が 高い 。

    ( 平 成 16 年 度 末 )

制度発足直後の 昭和45 年度に は 、愛の 手帳所持者の 52.1% 、身体障害者手帳所持者の 5.7 %が 制度に 加入し て い た 。しか し 、平成16 年度に お い て は 、愛の 手帳所持者の31.2% 、身体障害者手帳所持者の 2.2 %、精神障害者保健福祉手帳の6.0 %と な っ て お り 、手帳所持者に 対す る 割合は 減少し て き て い る 。全障害手帳所持者に 対す る 割合は 制度発足当時11.1 %で あ っ た が 、現在は 5.7% と 減少し て いる 。

14

【扶養年金制度加入者の障害別分布】

その他6%

知的障害58%身体障害

29%

精神障害7%

全 体29,793人

その他6%

精神障害5%

知的障害61%

身体障害28%

未 受 給 者(納付完了者を含む)

19,847人

 

その他6%精神障害

11%

知的障害52%身体障害

31%

受 給 者 別9,946人

【扶養年金制度加入者の推移(障害別)】

31.2

11.1 9.0 7.15.7

38.538.5

52.1

2.74.35.72.2

15.9

6.00

10

20

30

40

50

60

45昭和 60昭和 11平成 16平成 (年度)

(%) 全 体知的障害者身体障害者精神障害者

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2 受給者の 状況   年金受給者数は 年々増加し て お り 、平成17 年3 月末現在の 受給

者数は 9,946人で あ る 。受給者数は 、平成15 年度よ り 掛金納付者を 上回っ て お り 、加入者に 対す る 年金受給者数の 比率は33.4 %に 達し て い る 。

   昭和62 年7 月か ら 開始し た 特約制度加入者へ の 支払も 721件に 達し て い る 。

   受給者の 年齢別分布を み る と 、65 歳以上の 受給者が 2,198人と 全体の 22% を 占め る 。ま た 、50 代の 受給者が 3,273人と 32. 3%を 占め て お り 、受給者の 平均寿命が 76.7 歳とな っ て い る こ と か ら 、受給者の 年金受給期間は 今後も延び る こ と が 予想で き る 。

   年金受給者の 掛金払込額を み る と 、平成10 年度改正以前に あっ た 掛金減免制度に よ り 、全く 掛金を 払わ な い で 年金を 受給し て い る 者が 15.6% お り 、1年分の 年金受給額36万円を 下回る 30 万円未満の 掛金納付で 年金を 受給し て い る者を 併せ る と 全体の 55.5% を 占め て い る 。

15

【年金受給者の掛金払込額別分布】

 

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

0円 10万円未満

20万円未満

30万円未満

40万円未満

50万円未満

60万円未満

70万円未満

80万円未満

90万円未満

100万円未満

100万円以上

1,586 1,774 1,268 1,007 1,028 1,310 1,693 199 86 54 43 971,586 3,360 4,628 5,635 6,663 7,973 9,666 9,865 9,951 10,005 10,048 10,14515.6 17.5 12.5 9.9 10.1 12.9 16.7 2.0 0.9 0.5 0.4 1.0 15.6 33.1 45.6 55.5 65.6 78.5 95.2 97.2 98.1 98.6 99.0 100

(人)

人数(人)

累計(人)割合(%)累計(%)

(注)受給者数には受給差止者 199名を含む。

(平成 16 年度末)

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3 扶養年金財政の 状況 (1) 歳入及び 歳出

扶養年金会計の 昭和44 年度か ら 平成16 年度ま で の 歳入・歳出別の 状況は 以下の と お り で あ る 。

   ア  歳  入     昭和44 年度か ら 平成16 年度ま で の 扶養年金会計の 歳入

の 累計額は 、838億円で あ る 。こ の う ち 掛金収入は199億円で 23.7 %で あ る 。公費の 繰入れ は 、掛金の 減免相当分を 都が 負担す る 減免費53 億円(6.3 %)、加入者掛金と保 険数理上 の 適正掛 金 の 差を 埋め る 軽減費 251 億円(30.0 %)、基金補填費159億円(19.0 %)で 、合計463億円であ り 、こ れ は 歳入累計額の 55.3 %を 占め て い る 。

     ま た 、財産収入(基金利子収入)は 176億円で 21.0 %で ある 。     制度運営の 基本で あ る 掛金収入相当分(掛金収入+減額費繰入

金)は 、252億円で 30.0 %を 占め て い る に 過ぎ ない 。

   イ  歳  出     歳出の 累計額は 、838億円で あ り 、77.2 %の 647億円が

給付金と し て 支給さ れ 、22.8 %の 191億円が 扶養年金基金と し て 積み 立て ら れ て い る 。

     年金支払額は 平成16 年度で 37.6 億円に の ぼ っ て いる 。

16

【扶養年金会計収支累計】                                   (平成 16 年度末)  【歳入】

     838億円

都費

  

億円

掛金収入199億円

(23.7%)

都費計 463億円(55.3%)

財産収入176億円

(21.0%)

減免費53億円

(6.3%)

軽減費251億円

(30.0%)

基金補填159億円

(19.0%)

  【歳出】838億円

事務費

  

億円

給付金647億円

(77.2%)

基金積立金191億円

(22.8%)

(注1)上記は、昭和 44 年度から平成 16 年度までの収支累計である。(注2)減 免 費……都が負担した掛金免除者や掛金減額者に対する減免相当額(注3)軽 減 費……都が負担した実際の掛金と適正掛金との差額(注4)基金補填……扶養年金制度を安定的に運営するために、都が負担して扶養年金基金に積み増した額

21

21

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  (2) 財政収支平成5 年度か ら 扶養年金基金の 取崩し が 始ま っ て い

る 。平成10 年度制度改正で 掛金の 増額改定を 行っ た が 、基金の 取崩し は 止ま ら ず 、平成17 年3 月末の 基金残高は 、191億円と な っ て い る 。平成16 年度に 都が 実施し た財政調査に よ れ ば 、現行制度の も と で こ の ま ま 運営し た 場合、平成23 年度に 扶養年金基金は 枯渇す る 。

運用利率を 0.5 %と 想定す る と 、平成23 年度に は 33 億円、24 年度以降、毎年40 億円以上の 公費投入が 必要と 見込まれ る 。

  (3) 公費繰入金    東京都が 負担し て い る 経費と し て 、掛金減免費・掛金軽減

費・事務費・基金補填が あ り 、一般会計か ら 扶養年金会計へ 繰

17

【扶養年金給付財源の将来推移】

(注)扶養年金基金の運用予定利率を 0.5%とし、基金補填を行わなかった場合(平成16年度までは実績値)

5

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り 入れ て い る 。    ア  掛金減免費(平成16 年度末累計 53 億円)     掛金減免費と は 、本人掛金額の 減免相当分を 公費で 負担し 、

年金会計に 繰り 入れ て い る も の で あ る 。     減額対象者は 激減し て い る と は い え 、毎年0.9 億円前

後の 公費負担と な っ て い る 。   イ  掛金軽減費(平成16 年度末累計 251億円)     掛金軽減費と は 、加入者掛金と 保険数理上の 適正掛金と の 差

額を 公費負担し 、年金会計に 繰り 入れ て い る も の であ る 。

     平成10 年度の 掛金改正に よ り 、そ れ 以降、掛金軽減費は発生し な い こ と と な っ た 。

   ウ  事務費(平成16 年度末累計 21 億円)     事務費に つ い て は 、全額公費で 負担し て い る 。   エ  基金補填(平成16 年度末累計 159億円)     低額の 掛金設定に よ っ て 生じ た 基金積立不足額(欠損額)

に 対し て 、都が 一般会計か ら 繰り 入れ る 財政措置であ る 。

     平成16 年度末ま で に 159億円を 繰り 入れ て い る 。第3 障害者の 生活実態 1 平成17 年度扶養年金受給権者生活状況報告書   年金受給者の 生活実態は 、平成17 年度扶養年金受給権者生活状況報告書

よ り 、垣間見る こ と が で き る 。   受給者の 居住状況で は 、障害種別に よ り 相違が 見ら れ る 。

知的障害者に お い て は 、在宅が 44.8 %で 、施設入所が41.2% で あ る が 、身体障害者で は 、在宅が 79.6% 、施設入所が 13.3% と 、両障害で は 在宅、施設入所で 9 割近く と な って い る 。精神障害者は 、入院46.0% が 最も 多く 、次い で 在宅が 36.2% と な っ て い る 。

   収入で 一番多い も の を 尋ね た と こ ろ 、障害種別共通で 、障害基礎年金と な っ て い る 。

   ま た 、受給者の 扶養年金の 使用目的を み る と 、す べ ての 障害で 生活費と 医療費が 約5 割を 占め て い る 。

   以上の こ と か ら 、扶養年金受給者の 生活に お い て 、扶養年金は 補完的な 収入と し て 重要な 役割を 果た し て い るも の と 言え る 。

18

【扶養年金の使途(各障害種別)】

知的障害者31.9

11.714.9 14.3 16.0

8.13.0

05

101520253035

生活費

支援費

自己負担

医療費

施設

実費

負担

小遣

預貯

その

(%)

身体障害者40.8

9.5 6.32.7

13.28.8

18.6

05

1015202530354045

生活費

支援費

自己負担

医療費

施設

実費

負担

小遣

預貯

その

(%)

 

精神障害者33.0

7.0

26.3

17.0

4.8 3.38.6

05

101520253035

生活費

支援費

自己負担

医療費

施設

実費

負担

小遣

預貯

その

(%)

(「平成17年度東京都心身障害者扶養年金受給権者生活状況報告書」より)

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2 平成15 年度東京都社会福祉基礎調査   地域で 暮ら す 障害者の 方の 福祉サ ービ ス に 対す る 要望が 、平成15 年度東京都社会福祉基礎調査「障害者の 生活実態調査」から う か が え る 。

      そ れ に よ る と 、 知 的 障 害 者 は 、一位が 「所得保障」27.1% 、次い で 「周囲の 人の 理解」21.5% 、「グ ル ープホ ーム 」20.4% 、「仕事場所の 確保」18.2% 、「雇用施策」18.2%と な っ て い る 。

身 体 障 害 者 は 、 一 位 が 「 施 設 等 の バ リ ア フ リー」34.7% 、次い で 「住宅の 整備」26.4% 、「医療や リ ハビ リ テ ーシ ョ ン 」23.4% 、「所得保障」22.5% 、「ホ ーム ヘ ル プ サ ービ ス 」22.2% と な っ て い る 。精神障 害 者 は 、一位が 「ホ ーム ヘ ル プ サ ー ビ

ス 」25.3% 、次い で 「相談と サ ービ ス 」23.1% 、「情報提供の 充実」20.4% 、「就労支援サ ービ ス 」18.1% 、「通所サ ービ ス 」17.4% と な っ て い る 。

   こ れ ら よ り 、ど の 障害種別で も 地域で 自立し て 生活す る た め に 必要な サ ービ ス を 望ん で い る こ とが わ か る 。

19

【地域で生活する上で必要な福祉サービス等(各障害種別)】 

〔知的障害者〕

17.3 18.2

9.45.7

10.3

20.4

11.4 12.7

18.2

6.1 7.2

27.1

16.2

21.5

2.8

19.3

05

1015202530

障害

者が

暮ら

しや

すい

住宅

の整

授産

施設

など

の仕

事の場所

確保

ホームヘ

ルプ

サー

ビス

の充

デイ

サー

ビス

の充

ショ

ート

ステイ

サー

ビス

の充

グル

ープホ

ーム

生活寮

)の

充実

医療

やリハ

ビリ

ーショ

ンの

充実

総合

的な

相談

事業

の充

雇用

施策

の充

駅や道路

など

の分

かり

やす

表示

や案

情報提供

の充

所得

保障

相談相手

の確

保や

人間関係

につ

いて

のアド

バイ

周囲

の人

の理解

その

無回

(%) 647調査対象者数= 人(3つ以内の複数回答)

〔身体障害者〕

11.75.1

16.4

7.2

22.5

10.910.6

34.7

6.711.0

23.4

5.26.4

22.2

2.7

26.4

05

10152025303540

障害

者が暮

らし

やす

い住宅

の整

授産

施設

など

の就労

の場

の確

ホームヘ

ルプ

ービ

スの

充実

デイ

サー

ビス

の充

ショ

ート

ステイ

サー

ビス

の充

医療

やリハ

ビリ

ーショ

ンの

充実

総合

的な

相談

事業

の充

雇用

施策

の充

駅や道路

おけ

る段差

など

のバ

リアフ

リー

生活全般

にお

ける

視覚

・聴覚情報提供面

での

バリアフ

リー

生活全般

にか

かわ

る情報提供

の充

所得

保障

相談相手

の確

保や

間関係

につ

いて

のアド

バイ

周囲

の人

の理解

その

無回

(%)

2,757調査対象者数= 人(3つ以内の複数回答)

(「障害者の生活実態(平成 15 年度東京都社会福祉基礎調査報告書)」より)

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〔精神障害者〕

2.8

23.4

4.34.75.9

15.9

3.06.2

14.2

20.418.1

23.1

8.3

17.4

25.3

0

5

10

15

20

25

30

ホームヘ

ルプ

サー

ビス

通所

サー

ビス

(作業所

授産

施設

など

ショ

ート

ステイ

サー

ビス

相談

サー

ビス

生活

支援

センタ

ーな

ど)

就労

支援

サー

ビス

(社

会適

応訓練

事業

など

情報提供

の充

訪問看

地域

福祉権

利擁

護事業

成年

後見

制度

デイケア

苦情処理

(オ

ンブズマ

ン)

自助グ

ループ

活動

その

特に

ない

無回

答(%) 529調査対象者数= 人

(3つ以内の複数回答)

(「障害者の生活実態(平成 15 年度東京都社会福祉基礎調査報告書)」より)

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第4 障害者施策の 充実 1 公的年金制度等の 充実   扶養年金制度は 、障害者に 対す る 公的所得保障制度が 十分に 整備

さ れ て お ら ず 、ま た 、給付水準が 低か っ た 時代にお い て 、任意加入の 私的保険の 仕組み を 基本と し 、低所得者に 対し て は 掛金の 減免制度を 導入す る な ど 福祉的措置を伴っ た 制度と し て 発足し た 。そ の 際、知的障害者の 親の会の 促進運動が 大き な 役割を 果た し た 。

   当時、心身障害者に 対し 金銭給付を 行う 福祉施策は 、特別児童扶養手当(国制度:月額1,900円)及び 国民年金障害福祉年金(国制度:月額2,700円)の み で あ っ た 。こ の よ う な 状況の 中で 、保護者の 強い 要請に 応え て 、保護者亡き 後の 障害者の 生活の安定を 図る こ と を 目的と し て 、扶養年金制度は 創設さ れた 。月額2 万円の 給付を 保証す る 扶養年金制度は 、当時の 生活扶助費の 月額が 14,245 円(20 ~40 歳単身男子、障害1,2級)で あっ た こ と と 比べ て も 、経済面で 障害者の 生活を 支える と い う 点で は 画期的な 制度で あ り 、重要な 役割を 担っ て い た 。

そ の 後、国に お け る 障害者の 所得保障制度と し て 、昭和61 年4 月に は 障害基礎年金が 創設さ れ 、障害者に 対す る所得保障の 枠組み が 年金制度内に つ く ら れ る と と もに 、在宅の 重度障害児に 対す る 福祉措置の 一環と し て 障害児福祉手当(国)が 、ま た 、障害者の 所得保障の 一環と し て障害者の 自立生活の 基盤を 確立す る た め に 特別障害者手当(国)が そ れ ぞ れ 創設さ れ 、給付水準も 向上し て いっ た 。こ れ ら に 伴い 、扶養年金制度の 経済面で 障害者の生活を 支え る と い う 役割は 、創設当時に 比べ れ ば 相対的に 変わ っ て き て い る と 言う こ と が で き る 。

22

【年金・手当等給付額の推移】

0

20000

40000

60000

80000

100000

120000

44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 元 3 5 7 9 11 13 15 17(年)

(円) 1,2生活扶助(単身男子障害 級)(国)(障害基礎(福祉)年金1級 国)

(重度心身障害者手当 都)扶養年金

(心身障害者福祉手当 都)( )特別障害者手当 福祉手当

20,80015,500

30,000

60,000

82,758

110,550

扶養年金 S44.4実施

20,000

14,2452,700 5,000

心障福祉手当

重度手当

10,000

障害基礎年金

64,875

福祉手当

特別障害者手当 26,520

4,000

昭和 平成

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2 障害者施策の 充実    障害者施策に お い て 、家族に よ る 扶養又は 施設保護中心で

あ っ た 制度発足当時と 比べ 、障害者の 自立支援の た め の 在宅サ ービ ス の 充実が 図ら れ て き た 。

昭和49 年度に は 、現在の 全身性障害者介護人派遣事業で あ る 重度脳性麻痺者等介護人派遣事業(都単独事業)が 開始さ れ 、昭和53 年度に は 知的障害者生活寮(都単独事業、現在の グ ル ープ ホ ーム )が 、全国に 先駆け て 事業開始さ れ た 。昭和56 年の 国際障害者年、そ れ に 引き 続く 「国連障害者の 10 年」が あ り 、この 間に 入所施設や ホ ーム ヘ ル プ サ ービ ス な ど 障害者施策の 基盤と な る サ ービ ス の 充実が 図ら れ て き た 。例え ば 、昭和44 年度に は 心身障害者(児)の ホ ーム ヘ ル

パ ーの 派遣回数は 延べ 約3 万5,000回で あ っ た が 、平成14年度で は 169万6,000 回で あ っ た 。ま た 、精神障害者グル -プ ホ ーム の 定員は 平成4年度で は 16 人で あ っ たが 、平成17 年度で は 565人に 伸び て い る 。

そ の 後も 、障害者施策は 、障害者が 住み 慣れ た 地域で 主体的に 生活で き る 社会の 実現を 目指し 、地域で の 自立や 社会参加を 支え る 身近な 相談・支援機関で あ る 障害者地域自立生活支援セ ン タ ーや 精神障害者地域生活支援セ ン タ ー、地域居住の 場で あ る グ ル ープ ホ ーム 、地域生活に 欠く こ と の でき な い 日中活動の 場で あ る 通所施設な ど の 整備の ほか 、障害者の 一般就労機会の 拡大に 向け て 、就労面と 生活面の一体的支援を 提供す る 区市町村障害者就労支援事業の 拡充が 図られ て き た 。

   平成15 年4 月に ス タ ート し た 支援費制度は 、障害者の 「自己選択と 自己決定」と い う 理念の も と 、障害者自ら が サ ービ ス を 選択し 、事業者と 対等な 立場で 契約を 結び サ ービス を 利用す る 制度で あ り 、身体・知的障害者の 在宅サ ービ

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ス の 利用者数、利用時間数は 大幅に 拡大し た 。 こ う し た 障害者施策の 充実は 、東京都の 予算か ら も うか が う こ と が で き る 。一般会計予算で は 昭和44 年度の 約7,560億円に 比べ 、平成17 年度は 5兆8,540億円と な って お り 、約7.7 倍の 伸び と な っ て い る 。一方、障害者福祉予算で は 昭和44 年度の 約59 億円に 比べ 、平成17 年度は 約1,463億円で 約24.8 倍の 伸び と な っ て い る 。す な わち 、一般会計予算に 占め る 障害者福祉予算の シ ェ ア は 3倍以上に な っ て い る 。

ま た 、平成18 年4 月か ら 施行さ れ た 障害者自立支援法にお い て は 、支援費制度の 理念を 継承し つ つ 、精神障害を 含め 、障害の 種別に か か わ ら ず サ ービ ス を 利用す る仕組み を 一元化す る と と も に 、サ ービ ス に 係る 財源は 国と 地方自治体が 義務的に 負担す る こ と と し 、必要なサ ービ ス を 計画的に 充実さ せ る こ と と し た 。

こ の こ と に よ り 、支援費制度の 課題が 解消さ れ 、障害者の 自立を 支え 、地域で 安心し て 暮ら せ る 社会の 実現を目指す こ と と な っ た 。

24

【東京都一般会計予算の推移】

755,930

5,854,000

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

7,000,000

8,000,000

44 46 48 50 52 54 56 58 60 62 元 3 5 7 9 11 13 15 17( )年度

(百万円)

【東京都障害者福祉予算の推移】

5,889

146,269

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

44 48 52 56 60 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17(年度)

(百万円)

(注1)平成9年7月 16 日付の組織改正により、「心身障害者医療費助成」、「看護科差額助成」及び「千葉福祉園」は障害福祉部の所管となった。

(注2)「心身障害者医療助成」は、平成 13 年度から保険部の所管となり、14 年度からは予算上も保険費に整理された。

(注3)平成 16 年8月1日健康局との統合により、17 年度からは予算上も精神保健及び重症心身障害児関係を計上している(心身障害者福祉費は障害者施策推進費に、保険費は保健政策費に科目名変更)。

(注4)上記の予算額は旧福祉局の障害者福祉予算に、旧健康局等が所管していた障害者福祉予算(ただし、人件費等管理費を除く。)を計上した額である。

昭和 44 年度の約 7.7倍

昭和 44 年度の約 24.8倍

平成昭和

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【障害者施策の充実状況】(1) 地域生活支援

S H 事 業 名 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

(心身障害者 児)ホームヘルプサービス事業精神障害者ホームヘルプサービス事業重度脳性麻痺者介護事業在宅身体障害者ショートステイ事業在宅重症心身障害児(者)短期入所事業精神障害者短期入所事業

(心身障害者 児)緊急保護事業知的障害者デイサービス事業身体障害者デイサービス事業地域デイグループ事業(通所訓練)

(知的障害者更生施設 通所)(心身障害者 児)訓練事業

障害者地域自立生活支援センター事業精神障害者地域生活支援センター運営費補助知的障害児等相談支援事業障害者ケアマネジメント体制支援事業発達障害者支援センター運営事業障害者地域生活推進特別モデル事業知的障害者相談員身体障害者相談員東京都障害者相談事業知的障害者青年期相談事業在宅重症心身障害児(者)訪問事業障害児(者)地域療育等支援事業心身障害者(児)医療費助成措置患者医療費助成等精神障害者通院医療費助成(低所得者対策)精神障害者保健福祉手帳身体障害者(児)補装具の交付及び修理重度心身障害者(児)日常生活用具給付等事業重度身体障害者等緊急通報システム事業

医療等

その他

ホー

ヘルプ

ショー

ステイ

日中活動

の場

相談等支援

(2)居住の場の整備S H

事 業 名 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18

知的障害者グループホーム

重度知的障害者グループホーム

重度身体障害者グループホーム事業

精神障害者グループホーム

身体障害者福祉ホーム

肢体不自由者自立ホーム

精神障害者福祉ホーム

精神障害者生活訓練施設

知的障害者通勤寮

身体障害者自立支援事業

重度身体障害者(児)住宅設備改善費給付事業

昭和 平成

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(3)就労支援S H

事 業 名 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18知的障害者福祉工場の運営

身体障害者福祉工場の運営

心身障害者福祉作業所

身体障害者通所授産施設

知的障害者授産施設

精神障害者通所授産施設

精神障害者小規模通所授産施設

心身障害者授産事業(通所訓練)

小規模通所授産施設事業

企業内通所授産事業

精神障害者共同作業所通所訓練事業

精神障害者社会適応訓練事業

区市町村障害者就労支援事業

施設外授産の活用による就職促進事業

就労支援プログラム作成事業

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第5 扶養年金制度の 社会的役割の 変化を ふ ま え た 今後の 在り 方

障害者福祉を め ぐ る 諸施策の 充実な ど 環境の 変化も あ り 、扶養年金制度へ の 加入率が 大幅に 減少し て い る 。知的障害者と 身体障害者に お け る 手帳所持者に 占め る 加入者の 割合は 、制度発足ま も な く の 昭和45 年度に は 11.1% で あ っ た が 、平成16 年度に は 5.7% と ほ ぼ 半減し て い る 。制度発足後、37 年を 経過し 、本制度の 社会的役割や 障害者の 経済面に 占め る 比重も変化し て き て い る と 言う こ と が で き る 。一方、本制度の 運営面で は 、財政的に 多額の 公費が 投入さ れ て

き た 。制度発足当時か ら 掛金の 減免費相当分と 事務費に つ い て公費で 負担す る と と も に 、基金補填と し て 、16 年度末まで に 159億円を 繰り 入れ て い る 。し か し 、平成5年度から 扶養年金基金の 取崩し が 始ま っ て お り 、今後も 扶養年金制度を 維持す る た め に は 、平成23 年度に 扶養年金基金が 枯渇した の ち 、毎年40 億円以上(以後、漸増)の 公費投入が 必要な 状況とな る 。将来に わ た っ て こ の よ う な 多大な 公費を 投入し 、実質的に 公費に よ る 給付を 継続す る こ と は 、扶養年金制度が 任意加入で あ る 以上、妥当性が あ る と は 言え な い 。

 1 扶養年金基金の 取崩し が 止ま ら な い 要因平成10 年改正以降も 扶養年金基金の 取崩し が 止ま ら な い

要因と し て 、次の よ う な 構造的要因が あ る 。① バ ブ ル 経済崩壊後の 低金利状態が 現在に 至る ま で 長

く 続い た た め 、扶養年金基金の 運用実績が 低迷し 、運用利率が 予定運用利率を 大幅に 下回り 、基金運用収入が 激減し てい る 。

27

【扶養年金基金運用利率の推移】

8.69

0.090123456789

10

45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16(年度)

(%)

昭和 平成

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  ② 新規加入者数の 減少、納付完了者の 増加に よ り 、掛金納付者が減少し 、掛金収入が 減少し て い る 。

  ③ 受給者の 増加に よ り 、年々、給付額が 増加し て い る 。

 2 制度維持の た め の 掛金引上げ  扶養年金制度は 、こ れ ら の 要因に よ り 財政が 著し く 悪

化し て お り 、発足時に 想定し た 相互扶助に よ る 保険制度と し て は 成り 立た な く な っ て い る 。仮に 給付水準を 下げ ず に 制度を 維持す る と し た 場合

の 適正掛金は 、ど の 年齢区分に お い て も 、現行掛金に 比べ 2万4千円程度上が る こ と と な る 。加入者の 負担能力を超え る 大幅な 値上げ が 必要と な り 、現行の 考え 方で 制度を 維持す る こ と は 実質的に は 不可能と 言わ ざ る を 得な い 。

28

【新規加入者・脱退者の推移】

21877

2048

1109

0

500

1000

1500

2000

2500

45 47 49 51 53 55 57 59 61 63 2 4 6 8 10 12 14 16

(年度)

(人)

新規加入者

脱退者

平成昭和

  ※脱退…申出脱退+資格喪失

【扶養年金の適正掛金】           

35歳未満 4,800 4,800 29,800 29,800 1,600 10,00035 40歳~ 歳未満 6,000 6,000 30,800 30,800 2,000 10,30040 45歳~ 歳未満 7,200 7,200 31,900 31,900 2,400 10,70045 50歳~ 歳未満 8,600 33,100 2,900 11,10050 55歳~ 歳未満 10,500 34,700 3,500 11,60055 60歳~ 歳未満 12,800 36,500 4,300 12,20060 65歳~ 歳未満 15,600 39,600 5,200 13,200

(「平成16年度東京都扶養年金制度財政調査報告」より)

特 約 掛 金

現行掛金(円) 適正掛金(円)現行掛金(円)

適正掛金(円)62 6 30昭 和 年 月 日

以前に 加 入 し た者62 7 1昭 和 年 月 日

以降に加 入 した者62 6 30昭 和 年 月 日

以前に 加 入 し た者62 7 1昭 和 年 月 日

以降に加 入 した 者

11,500 35,700

加入時年齢

基 本 掛 金

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な お 、平成18 年7月14 日に 、日本銀行の 金融政策決定会合でゼ ロ 金利政策の 解除が 決定さ れ 、金利が 上向く 兆し が ある と 思わ れ る が 、か つ て の 高度成長期の よ う な 高金利を 予想す る こ と は 現実的で は な い の で 、平成16年度財政調査の 試算を 援用し て い る 。

 3 制度を 運営し て き た 東京都の 責任都は 、保険制度の 運営者と し て 、5年ご と に 財政調査を

実施し て き た 。し か し 、財政調査結果に 基づ き 適正掛金等を 検討す べ き 審議会の 設置は 3度で あ り 、過去に 制度改正が 行わ れ た の は 4回で あ る (昭和45 年度改正は 当時全国制度と 年金給付額が 同額で あ っ た た め 、掛金を 全国制度と 同額に 引き 下げ た 改正で あ っ た の で 、審議会は 設置さ れ な か っ た 。)。 特に 、扶養年金基金の 運用利率が 低下し 始め た 平成元年度以降も 制度予定利率と の 乖離が 進ん だ が 、都は 制度の 見直しを 行わ ず 、よ う や く 平成10 年10 月に 制度存続を 図るた め に 大幅な 掛金の 引上げ を 柱と す る 改正を 行った 。し か し 、そ の 後も 制度予定利率と 基金運用利率の 乖離は 進み 、将来の 年金財政に 破綻の 兆し が 見ら れ た にも か か わ ら ず 適切な 対応を と ら な い ま ま 今日に 至っ て し ま っ た 。

29

【扶養年金掛金と財政調査適正掛金との比較(基本分)】【扶養年金掛金】

制度上の利率35歳未満 1,000 1,000 1,700 1,700 1,700 4,800 4,800

35 40歳~ 歳未満 6,000 6,00040 45歳~ 歳未満 7,200 7,20045 50歳~ 歳未満 3,200 8,60050 55歳~ 歳未満 4,000 10,50055 60歳~ 歳未満 5,400 12,80060 65歳~ 歳未満 7,200 15,60065 70歳~ 歳未満 - -70 75歳~ 歳未満 - -

75歳以上 - -

【適正掛金】

予定利率(財政報告書上)

35歳未満 1,000 2,100 2,700 2,100 2,900 2,900 3,400 3,400 4,800 4,800 24,000 24,000 29,800 29,80035 40歳~ 歳未満 24,800 24,800 30,800 30,80040 45歳~ 歳未満 25,700 25,700 31,900 31,90045 50歳~ 歳未満 5,900 6,800 8,600 26,700 33,10050 55歳~ 歳未満 7,400 8,400 10,500 27,700 34,70055 60歳~ 歳未満 3,200 9,100 10,700 12,800 29,300 36,50060 65歳~ 歳未満 5,500 11,800 13,400 15,600 31,500 39,60065 70歳~ 歳未満 8,000 - - - - -70 75歳~ 歳未満 9,000 - - - - -

75歳以上 10,000 - - - - -

0.5% 0.5%4.5% 4.5% 0.5% 0.5%

7% 4.5% 4.5%

7% 7% 7% 6% 6% 5.5% 5.5%

6.5% 6.5% 7% 7% 区 分 昭和44年

4月創設昭和45年9月改正

昭和53年10月改正

1,500 3,000

平成10年10月改正S62.6以前に加入

11,500

昭和62年7月改正S62.6以前に加入 S62.7以後に加入

3,000

平成5年度財政調査 平成8年度財政調査 区 分43 9昭和 年 月

審議会答申50昭和 年度

財政調査昭和55年度

財政調査

2,000

平成13年度財政調査 平成16年度財政調査

S62.6以前に加入 S62.7以後に加入 S62.6以前に加入 S62.7以後に加入 S62.6以前に加入 S62.7以後に加入

昭和60年度財政調査 S62.7以後に加入 S62.6以前に加入 S62.7以後に加入S62.6以前に加入

35,7008,200 9,200 11,500 28,700

6.5% 7.0%

16,500 11,200 8,600

1,500 3,600 4,100 3,300

2,000

1,500 1,300 2,500 2,500

6,600 6,600

2,500

平成元年度財政調査

S62.7以後に加入

4,300 4,300 5,000 5,000

  

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 ま た 、現在の 都制度と 全国制度を 、モ デ ル ケ ース にお け る 給付総額と 掛金総額を 対比す る と 、掛金総額に 対す る 給付総額の 割合は 、ど の 掛金区分を み て も 、都の方が 有利で あ る こ と が わ か る 。こ の こ と は 都制度が 全国制度と 比べ 手厚い 制度で あ っ た こ と 、当初掛金を 低く 設定し た こ と が 制度に 対す る 重い 負担にな っ て し ま っ た こ と を 示し て い る 。

   い ず れ に し て も 、結果的に 制度の 破綻に 至っ た 都の 責任は 重い と 言わ ざ る を 得な い 。

30

【掛金総額 給付総額対比表(都制度・全国制度)】・掛金区分 設定

年齢掛金月額

払込期間

(A) 掛金総額

(B) 想定給付総額

給付金(年額)

平均給付期間(年)

(B) - (A) (A)に対する(B)の倍率

35歳未満 30 4,800 20 1,152,000 9,000,000 360,000 25 7,848,000 7.8倍

35 40~ 歳未満 35 6,000 20 1,440,000 9,000,000 360,000 25 7,560,000 6.3倍

40 45~ 歳未満 40 7,200 20 1,728,000 8,640,000 360,000 24 6,912,000 5.0倍

45 50~ 歳未満 45 8,600 20 2,064,000 8,640,000 360,000 24 6,576,000 4.2倍

50 55~ 歳未満 50 10,500 20 2,520,000 8,640,000 360,000 24 6,120,000 3.4倍

55 60~ 歳未満 55 12,800 20 3,072,000 8,640,000 360,000 24 5,568,000 2.8倍

60 65~ 歳未満 60 15,600 20 3,744,000 8,280,000 360,000 23 4,536,000 2.2倍

掛金区分 設定年齢

掛金月額

払込期間

(A) 掛金総額

(B) 想定給付総額

給付金(年額)

平均給付期間(年)

(B) - (A) (A)に対する(B)の倍率

35歳未満 30 3,500 35 1,470,000 6,000,000 240,000 25 4,530,000 4.1倍

35 40~ 歳未満 35 4,500 30 1,620,000 6,000,000 240,000 25 4,380,000 3.7倍

40 45~ 歳未満 40 6,000 25 1,800,000 5,760,000 240,000 24 3,960,000 3.2倍

45 50~ 歳未満 45 7,400 20 1,776,000 5,760,000 240,000 24 3,984,000 3.2倍

50 55~ 歳未満 50 8,900 20 2,136,000 5,760,000 240,000 24 3,624,000 2.7倍

55 60~ 歳未満 55 10,800 20 2,592,000 5,760,000 240,000 24 3,168,000 2.2倍

60 65~ 歳未満 60 13,300 20 3,192,000 5,520,000 240,000 23 2,328,000 1.7倍

【都制度(基本分のみ加入)】

【全国制度(1口加入)】

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 こ う し た 現状を 踏ま え 、審議会と し て は 、「扶養年金制度の 現状を 詳細に 検討し た 結果、現行の 扶養年金制度は財政的に 行き 詰ま っ て お り 、こ れ を 維持す る た め には 、掛金を 大幅に 値上げ す る か 、又は 継続的な 多額の 公費投入に よ り 実質的に 公費で 給付を 行う ほ か は な い 。し かし 、加入者の 負担能力を 超え る 大幅な 掛金の 値上げ は 、実質不可能で あ る 。ま た 、扶養年金制度は 任意加入で あ り 、年金給付に要す る 費用は 加入者の 掛金で 賄う こ と を 原則と す る 制度で あ る か ら 、継続的な 多額の 公費投入を 前提と し た 制度の維持は 不可能で あ る 。

制度発足後37 年経過し 、そ の 間障害基礎年金や 各種手当の 創設や 給付水準の 向上が 図ら れ 、さ ら に は 障害者施策が 質・量と もに 充実さ れ て き た こ と な ど に よ り 、経済面で 障害者の 生活を 支え る と い う 扶養年金制度の 役割も そ の 当時とは 変わ っ て き て い る 。障害者が 地域で 自立し 、尊厳を もっ て 生活が で き る よ う 、地域で の 生活基盤整備の さ らな る 充実を 図っ て い く こ と が 求め ら れ て お り 、都と し て は 、そ う し た 施策に も 力を 注い で い か なけ れ ば な ら な い 。

こ の よ う な 現状を 踏ま え る と 、現行制度を 維持す るこ と は 、も は や 困難で あ り 、制度廃止を 提言せ ざ る を得な い 。 し か し 、制度が 破綻に 至っ た こ と に つ い て 、制度を運営す る 都の 責任は 非常に 重い も の で あ り 、都は 、制度廃止に 伴う 制度加入者へ の 対応に 十分に 意を 尽く す べ き であ る 。そ の 際、制度加入者へ の 対応に 多額の 公費を 投入せ ざる を 得な い こ と に つ い て 一般都民に 説明し 理解を 得る必要が あ る 。条例に よ っ て 都民に 対し 給付を 約束し た 責任の 重さ と 、制度廃止に 伴い 多額の 都税を 使わ ざ る を 得ない 責任を 考慮し 、的確に 対応す べ き で あ る 。

ま た 、受給者に と っ て 扶養年金は 、親亡き 後の 補完的な 収入と し て 大き な 役割を 果た し て い る こ と と 、依然とし て 扶養年金制度へ の 加入希望は あ る と い う 事実を 受け 止め 、都制度の 廃止に 当た っ て は 、全国制度へ の 参加に つ いて 国と 調整す る と と も に 、民間制度の 活用を 検討す る など 、親亡き 後に 年金的給付が 行え る 仕組み を 利用し た い と

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い う 保護者の 希望に 応え る こ と を 要望す る 。」と い う 結論に 至っ た 。

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第6 扶養年金制度の 廃止に 当た っ て 扶養年金制度は 、知的障害者の 親の 会か ら 「互助・自助の 精神に 基づ く 制度に よ り 自分達の 力で 子供に 年金を 残し て い きた い 」と い う 要望に 基づ き 、障害者の 保護者の 相互扶助を 基本と し た 制度と し て 発足し 、37 年間続い て お り 、す でに 多く の 年金受給者が 生じ て い る 制度で あ る 。制度が 立ち ゆ か な く な る か ら と い っ て 、こ の 点に 配慮なく 、制度を 廃止す る こ と は 許さ れ る も の で は な い 。ま た 、今後、扶養年金制度へ の 加入を 希望す る 者の た め に 、代替制度に つ い て 配慮す べ き で あ る 。

以上の こ と を 踏ま え 、審議会は 以下の こ と を 要望す る 。 

1 代替制度 現在、全国制度に 参加し て い な い の は 、都だ け であ る 。今後は 、都単独で 制度を 維持す る よ り は 、スケ ール メ リ ッ ト を 活か す こ と で 安定的な 制度運営が 可能で あ り 、制度間や 地域間で の 給付格差や 掛金の 不均衡を 解消す る こ と に も な る 全国制度へ 参加す べ きで あ る 。

現在の 全国制度は 、平成8年の 改正の 際、掛金引上げ を 行うと と も に 、過去の 債務1,200億円に つ い て 、国と 道府県・政令指定都市で 20 年間財政支援を 行う こ と に よ っ て財政を 健全化す る こ と と な っ て い た 。し か しな が ら 、そ の 後の 金利状況の 変化、平均寿命の 伸長等によ り 、財政支援の 終わ る 平成28 年度以降に は 欠損金が 生じ る こ と が 予測さ れ て い る 。そ の た め 、国にお い て は 、関係省庁、関係団体等と の 調整を 行い な がら 、制度の 在り 方に つ い て 検討会を 立ち 上げ 、審議の上、見直す 予定と 聞い て い る 。具体的に は 、検討結果を 踏ま え 、国に お い て 見直し 案を 提示し 、道府県・指定都市の 条例改正を 経た 上で 、平成19 年度中の 制度の 見直し を 目指し て い る と 聞い て い る の で 、こ の 見直し 後の 全国制度へ 都も 参加す べ き で あ る 。

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【全国制度の財務状況将来予測】

  

保険収支予測

02,0004,0006,0008,000

10,00012,00014,00016,00018,000

17 181920 212223 242526 2728 293031 323334 353637 383940 41(年度)

(百万円) 欠損金収支差額運用収入公費負担保険料

(独立行政法人福祉医療機構「平成 17 年度心身障害者扶養保険事務担当者地区別打合せ会資料」を参考に都が作成)

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2 扶養年金制度加入者へ の 対応制度の 廃止に 当た っ て は 、扶養年金制度の 仕組み を 理論

的に 整理し た 上で 、①受給者、②未受給者と い う 立場の 違い を 考慮し 、そ れ ぞ れ の バ ラ ン ス を 考え るべ き で あ る 。

ま た 、こ れ ら を 考え る 上で 、過去に お い て 年金制度を 廃止し た 事例も 参考と な る で あ ろ う 。

 (1) 農業者年金

    農業者年金は 昭和46 年に 創設さ れ た が 、平成14 年1月より 新制度に 改正さ れ た 。

    従前は 、年金給付等に 必要な 費用を そ の 時々の 現役世代(=加入者)の 保険料で 賄う 賦課方式を と っ て い た 。し かし 、加入者に 対す る 受給者数の 割合が 高ま り 、賦課方式の

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【全国制度の財務状況将来予測】

  

年金収支予測

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41(年度)

(百万円) 欠損金収支差額運用収入公費負担保険料

(独立行政法人福祉医療機構「平成 17 年度心身障害者扶養保険事務担当者地区別打合せ会資料」を参考に都が作成)

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下で は 受給者を 支え る 加入者の 負担が 著し く 大き くな る こ と が 見通さ れ た の で 、平成14 年1月に 将来の 年金給付に 必要な 原資を あ ら か じ め 自ら 積み 立てて い く 積立方式に 財政方式を 変更し 、新た な 年金制度を 構築し た 。

    こ の 制度改正に 伴い 、従前の 加入者は 全員、平成14 年1月1日に 被保険者の 資格を 喪失し た 。

    そ の 際、講じ ら れ た 措置は 下記の と お り 。① 受給者に つ い て は 平均9.8% 年金額を 引き 下げ る 。

② 加入者及び 待期者に つ い て は 、い か な る 世代にお い て も 掛け 損防止が 図ら れ る よ う 措置さ れそ の 上で 、旧制度に 関す る 給付の 財源を 全額国庫で 負担す る 。

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【農業者年金制度の見直し】

  ○ 見直し理由

  加入者に対する受給者の割合が高まり、今後、受給者を支える加入者の負担が著しく大きくなることが見通されたため。

     ○ 加   入  任意加入(旧制度加入者は平成 14 年1月1日に資格喪失。新制度へは新たな加入が必要)

  ○ 財 政 方 式  積立方式(年金給付に必要な原資をあらかじめ積み立てていく方式)

  ○ 保 険 料     ① 月額 20,000円~67,000円(1,000円単位で増額可)

②青色申告者、認定農業者等一定の要件を満たせば、保険料の一部を国庫助成 

   

  ○ 受 給 者  旧制度の給付を平均 9.8%切り下げ     ○ 加入者・待期者

 ・ 平成 14 年 1 月 1 日から 65歳になる月の前月までをカラ期間として加算し 20 年の加入期間を満たす者は将来の年金受給か、特例脱退一時金として納付済保険料の8割返還を選択することが可能

  ・ 納付済期間が 3 年以上 20 年未満の者は脱退一時金(納付済保険料の3割程度)若しくは死亡一時金の支給(時効あり)

   ○ そ の 他     旧制度に関する給付財源は国庫負担

   

        ○ 制度の体系  国民年金に上乗せする二階部分の公的年金制度の体系に位置づけ(強制加入)     ○ 財政方式  賦課方式(必要な費用をその時々の現役世代の保険料で賄う方式)     ○ 保 険 料  定額 月額 20,440円〔13 年度〕(35歳未満加入者は割引)     ○ 給   付  経営移譲年金または農業者老齢年金     ○ 受給開始年齢  経営移譲年金 ……65歳までに経営移譲した後支給開始

農業者老齢年金……65歳から(経営移譲しなかった場合) 

見直しに必要な調整(農業者老齢年金)

旧制度の概要

見 直 し 内 容

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 こ の こ と に よ っ て 、加入者及び 待期者は 、平成14 年1月1日以降65 歳に な る 月の 前月ま で を カ ラ 期間とみ な し 受給要件を 満た し た こ と と す る こ とで 将来の 年金を 受け 取る か 、こ れ ま で 納付し た 保険料総額の 8割を 特例脱退一時金と し て 受け 取る か を 選択す る こ と と な っ た 。農業者年金は 公的年金制度の 体系に 位置づ け ら れ た 制度

で あ っ た こ と か ら 、見直し に 当た っ て 受給者にも 負担を 課し た こ と 、ま た 、加入者や 待期者に 対して 将来の 年金受給と 特例脱退一時金を 選択で き る よ う にし 、ど の 世代に お い て も 掛け 損に な ら な い よう に 配慮し た こ と が 特徴と 言え る 。

扶養年金制度は 公的年金制度と は 制度を 異に す る た め 、農業者年金と 同一に は 論じ ら れ な い が 、農業者年金の 見直し も 考慮し な が ら 、制度廃止に 当た っ て の 対応を考え る べ き で あ ろ う 。

(2) 保険理論か ら み た 扶養年金制度 扶養年金制度は 、年金と い う 言葉を 使っ て い る が 、本質は 障害者の 保護者が 自分の 亡き 後、子で あ る 障害者に 対し て 給付金を 支給す る 生命保険で あ る 。一般の 生命保険と は 、死亡給付金と し て 一時金を 支払う 代わ りに 、そ れ を 年金形式で 給付す る 仕組み を と っ てい る 点で 異な っ て い る 。

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第一ステージ  生命保険

第二ステージ  年金支払

扶養年金制度

加 入 者

加入者死亡による保険金

満期払戻金がないので、ある意味掛け捨て保険(納付完了者・掛金納付者の未受給者はここの位置)

(受給者はここの位置)

掛金支払い

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こ の こ と は 、全国制度の 仕組み を み る と 明らか で あ る 。全国制度で は 、①生命保険部分、②年金支払部分の 2つ か ら 成り 立っ て い る 。つ ま り 、掛金は 保険料と し て 生命保険会社に 納め ら れ 、加入者で あ る 保護者が 死亡す る と 生命保険会社か ら 保険金が 支払わ れる (生命保険部分)。そ し て 、支払わ れ た 保険金を 原資と し て 信託会社で 運用し 、そ こ か ら 年金を 給付して い る の で あ る (年金支払部分)。 都の 場合は 、運営主体で あ る 都が 単独で 運営し て いる た め 、全国制度の 生命保険会社と 信託銀行の 役割を 東京都が 担っ て い る と 言え る 。 扶養年金の 制度は 生命保険と し て み れ ば 、満期払戻金が な い た め 、あ る 意味で 掛け 捨て 保険と い うこ と が で き る 。し か し 、都制度で は 、掛金の 払込期間を 20 年間に 限定し て い る た め 、20 年間掛金を 払っ た 時点で 、保険料を 払わ ず に 保険に 入っ て い る立場と な る 点で 掛け 捨て 保険と は 異な っ て い る 。 し た が っ て 、都制度に お い て 、受給者は 保護者が亡く な っ た こ と に よ る 保険金を 給付さ れ た 立場に あ り 、未受給者で あ る 納付完了者・掛金納付者は 、未だ保険金が 発生し て い な い が 、前者は 保険料を 払い 終え て 保険に 入っ て い る 立場、後者は 保険料を 払い 、か つ 保険に 入っ て い る 立場に あ る 。

 こ れ ら を 踏ま え 、扶養年金制度の 加入者に つ い て 、以下の よ う な 観点に 立っ た 考え 方に 立つ べ き で ある 。

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(3) 受給者へ の 対応受給者は 保護者が 亡く な り 、既に 保険金が 給付さ れ

た 立場に あ る と 理解す べ き で 、保険金を 年金形式で受領し て い る 者で あ る 。こ の よ う な 立場を 考慮す れ ば 、給付額を 減額し た り 、支払期間を 限定す るこ と に つ い て は 、慎重に 対応し な け れ ば なら な い 。

ま た 、制度を 運営す る 都の 責任や 、扶養年金が 既に 受給者の 生活資金の 一部に な っ て い る 現状か ら 、受給者に 対し て は 、引き 続き 、現在と 同様の 給付を 行う こと が 妥当で あ る 。

(4) 未受給者へ の 対応未受給者は 、保護者が 存命で 、未だ 保険金給付事由が 発生し

て い な い 状況に あ る 点で 、既に 保険金を 給付さ れた 受給者と は 別段に 考え る べ き で あ る 。未受給者に は 、掛金拠出義務を 完了し た 納付完了者と 現在掛

金納付中の 掛金納付者が い る が 、両者は 保険金給付事由が 発生し て い な い 点で 、そ の 立場は 同等で あ り 同一の 基準で 考え る 必要が あ る 。た だ し 、納付完了者は新た に 保険料を 支払う こ と な く 保険に 入っ て いる 立場で あ る の に 対し 、掛金納付者は 現に 保険料を 支払っ て 保険に 入っ て い る 立場と い う 点で 異な る(た だ し 、掛金納付者も あ と 何年か 保険料を 払え ば 、納付完了者と 同じ 立場に な る こ と を 考慮す べ き であ る 。)。未受給者は 、保険に 入っ て い る こ と で 保護者が 亡

く な れ ば 保険金を 受給す る こ と が 期待で き る 立場に あ る こ と を 考慮し 、一定の 配慮を 行う こ とが 必要で あ る 。制度廃止に 伴っ て 、こ の よ う な 未受給者の 期待が 失わ れ る こ と に 対し 、ど の よ うに 配慮す べ き か に つ い て は 様々な 考え 方が あり 得る が 、本審議会と し て は 以下の よ う に 考える 。

す な わ ち 、都制度は あ る 意味、全国制度を 代替す る役割を 担っ て い た と 考え ら れ る こ と か ら 、納付完了者に つ い て は 、新た な 負担を す る こ と なく 、全国制度と 同程度の 水準が 確保で き る よ う に す

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べ き で あ る 。具体的に は 、全国制度の 給付額と 同じ 月額2万円を 、現在の 平均的な 年金の 受給期間を 受給し た と仮定し た 場合の 総額(清算基準額)を 算出し 、清算基準額を 現在の 価値に 換算し た 金額を 清算金と し て 支払う べ きで あ る 。

ま た 、掛金納付者に つ い て は 、納付完了者に お ける 清算基準額を 掛金の 払込期間に 比例さ せ た 金額(「納付完了者の 清算基準額」× 「掛金払込月数/20 年」)を 清算額と し 、現在の 価値に 換算し た 金額を 清算金と し て 支払う べき で あ る 。

(5) 特約付加入者へ の 対応特約制度は 、昭和62 年7月に 創設さ れ た た め 、現時点

で は 納付完了者は 存在し な い 。既に 保護者が 亡く なっ た 障害者の み が 受給者と な っ て い る 。

特約分に つ い て も 、基本分と 同様に 考え る べ きで あ り 、受給者に つ い て は 現在と 同様の 給付を 行

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ケース1 掛金完了者の場合(48歳時加入、男性、現在 68歳)

  2万円×12 月 × 24 年 = 576 万 ・・・・・・・・・・清算基準額

(現在価値に換算)⇒約 454万円 支払額・・・・・・・・・・・・・→ 支払いに当たっては、厚生労働省発表の男性の平均余命が 68歳で 16 年なので、想定される年金の受取時期より 16 年早く支給されるとすると、576万円を、例えば年利 1.5%で 16 年間分、割り戻すこととする。

 576万―576万×0.02×10 年 = 約 454万 お支払いする額・・・・・( 納 付 し た 掛 金 の約3

ケース2 掛金 15 年納付の場合(48歳時加入、男性、現在 63歳)

   576 万 × 15 年/20 年 = 432 万 ・・・・・・・・・・清算額(現在価値に換算)⇒約 321万円 支払額・・・・・・・・・・・・・

→ 支払いに当たっては、厚生労働省発表の男性の平均余命が 63歳で 20 年なので、想定される年金の受取時期より 20 年早く支給されるとすると、432万円を、例えば年利 1.5%で 20 年間分、割り戻すこととする。

完了者に対する金額 掛金年数/20 年

年間受給額 平均受給年数

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い 、未受給者に つ い て は 、保険に 入っ て い る 立場を 考慮し 、平均的受給期間の 受給総額(清算基準額)を 算出し 、そ れ ぞ れ 掛金払込期間に 比例し た 金額(清算額)を 現在の 価値に 換算し た 金額を 支払う べ き で あ る 。具体的に は 、特約の 年金月額は 1万円で 、基本月額の 3分

の 1で あ る こ と か ら 、清算基準額等は 下記の と おり と な る 。

  (6) 支払方法清算金の 受取人と し て は 、障害者の 保護者(掛金納付者及

び 掛金完了者)又は 障害者が 考え ら れ る 。支払方法は 、原則と し て 受取人が 選択で き る よ う 配慮す べ き であ る 。

障害者の 保護者に 支払う 場合は 、民間制度の 利用に 際して 、一時払い 保険料に 充当す る こ と が で き る ので 、一括払い と す べ き で あ る 。

障害者に 支払う 場合は 、パ ブ リ ッ ク コ メ ン トで 、高齢の 保護者を 中心に 障害者に 年金的に 支払っ て 欲し い と の 意見が 多数あ っ た こ と を 踏ま え 、原則と し て こ れ ま で の 掛金の 納付年数に よ る 分割払い (最長20 年)と す べ き で あ る 。そ の 際、分割によ り 支払い を 留保す る 清算金に つ い て は 、分割期間の 運用利息を 付し て 支払総額を 確定し 、分割期間に 応じて 均等分割し た 額を 毎年度支払う も の と す る の が妥当で あ る 。た だ し 、障害者に 支払う 場合で あ っ

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ケース3 掛金 15 年納付の場合(48歳時加入、男性、現在 63歳)

    576 万 × 1/3 = 192 万 ・・・・・・・・・・・清算基準額    192 万 × 15 年/20 年 = 144 万 ・・・・・・・・清算額(現在価値に換算)⇒約 107万円 支払額・・・・・・・・・・・・・

→ 支払いに当たっては、厚生労働省発表の男性の平均余命が 63歳で 20 年なので、想定される年金の受取時期より 20 年早く支給されるとすると、144万円を、例えば年利 1.5%で 20 年間分、割り戻すこととする。

完了者に対する金額 特約/基本

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て も 、障害者が 希望す る な ら ば 、一括払い で き るよ う 配慮す る 必要が あ る 。

ま た 、清算金は 年金と は 異な る の で 、分割払い を選択し た 場合に 、全額の 支払い を 終え な い う ち に受領者が 亡く な っ た と し て も 、清算金の 残額は 受取人の 相続人に 対し て 支払う の が 妥当で あ る 。

  (7) 税法上の 扱い扶養年金に 関す る 税法上の 優遇措置は 所得税法第9条第1項第3号ハ に 、そ の 要件は 同法施行令第20 条2項に お い て 規定さ れ て い る 。

今回の 都の 扶養年金制度が 立ち ゆ か な く な っ た こと に 伴う 措置に つ い て 、税務当局の 説明で は 、「扶養年金制度は 、非課税規定で あ る 所得税法第9条第1項第3号ハ の 規定が 適用と な り 非課税と な っ て い る 。し か し 、扶養年金制度が 廃止と な る と 、扶養年金制度の 要件を 規定する 所得税法施行令第20 条第2項の 要件を 満た さ な く な るの で 、非課税の 取扱い を 継続す る こ と は 困難で ある 」と の こ と で あ る 。

制度廃止に 当た っ て は 、上記対応を 基本と し つ つ 、個別

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       【扶養年金制度を廃止した場合の支払方法】

所 得 税 控 除 根 拠

保 護 者(加入者) 一 括 払 い

一時的に多額の資金が支払われることによって、民間制度の利用が容易となるため。

一 時 所 得 特別控除のみ(50万円)

受 給 者

(給付金)

障 害 者

月額3万円現行どおりの年金給付を継続するため。

雑 所 得 な し

※ ⇒【一時所得】 × 1/ 2 (〔総収入金額〕-〔収入を得るために支出した金額〕-〔50万円〕) を総所得金額へ算入 ⇒【雑 所 得】 (〔総収入金額〕-〔必要経費〕) を総所得金額へ算入

パブリックコメント等で加入者から多くの要望があったため。

(総 論)○年金受給者と未受給者への支払 いが同一でなければ、所得税法 で規定する共済制度に当たらな いので、非課税の規定に該当し ない。

(受給者の取扱い)○障害者にとって年金が給付され ている状況にかわりがなくても 制度が変更となったので、所得 税法の非課税の規定に該当しな い。

(掛金の取扱い)○掛金は、全額所得控除されてい るので、都からの支払金におい て、収入を得るために支出した 金額又は必要経費としては認め られない。

未 受 給 者

納付完了者&

掛金納付者

(清算金) 障 害 者

分 割 払 い

20( 年を限度) 雑 所 得 な し

一般的な税法上の取扱い 理 由 区 分 支 払 先 支 払 方 法

年金受給者 10,364人うち、障害者以外の

5,141受取人 人

この資料は都の責任において作成しました

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の 対応が 必要な 点に つ い て 以下に 記述す る 。

(8) 現加入者の 中で 、全国制度の 加入要件に 該当し な い 者への 対応

 現在、都制度に 加入し て い る 者の う ち 、65 歳以上の 者と 身体障害程度4級の 者は 、全国制度の 加入要件に 該当し ない 。こ の 点に つ い て は 、現在、国が 検討し て い る新全国制度で も 同様で あ る 。 都が 参加を 予定す る 新全国制度に お い て は 、加入者はす べ て 新規加入と な る 。全国制度は 全国の 加入者を 平等に 扱う こ と か ら 、過去の 制度を 引き 継い で 加入する こ と は 不可能で あ り 、ま た 、一部の 自治体に つい て の み 例外措置を 設け る こ と は で き な い と言わ れ て い る 。 し た が っ て 、新全国制度へ 加入で き な い 者へ の 対応と し て は 、民間制度の 活用を 検討す る 必要が あ る 。保護者亡き 後、障害者へ 年金を 支給で き る 民間制度と し ては 、生命保険会社が 扱う 遺族年金特約付生命保険と 信託銀行が 扱う 特定贈与信託と い っ た 商品が あ る 。

特に 、遺族年金特約付生命保険に 関し て は 、個々の 状況に 応じ た 保険設計が 可能で あ る の で 、ま と ま っ た 資金で の 保険料の 払込み や 、受給額の 増額な ど 様々な 対応が可能で あ る 。全国制度へ 加入で き な い 65 歳以上の 者に と っ て は 、

85 歳ま で 被保険者と す る こ と が で き る 遺族年金特約付生命保険が あ る 。現在の 都制度で は 加入年齢は 65 歳まで で 、掛金の 払込期間が 20 年で あ る こ と か ら 、85歳ま で 加入で き れ ば 、こ れ ら 者の ほ ぼ す べ てが 利用で き る こ と と な る 。

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【障害者に対して年金的給付ができる民間商品(例)】18 10(平成 年 月現在)

運 営 者 A生命保険会社 B生命保険会社 運 営 者 信託銀行等(受託者)

基 本 商 品生命保険(死亡保障のある主契約に割増年金支払特約を付加

[ ] する 例 割増年金支払特約付終身保険)

生命保険(終身保険/年金支払特約) 制 度 名 特定贈与信託

保険の概要受取人が障害者の場合、主契約の死亡保険金を、年金額が割増された保証期間付終身年金として受け取れる

特約を付加することによって、生命保険金を遺族が年金形式で受け取れる商品 制 度 概 要

親族等が、特別障害者の生活の安定に資するために、金銭等を信託し、受託者である信託銀行等が信託された財産を管理運用し、障害者に金銭を交付する制度

契 約 者 特段の条件はない 制限なし(契約者が被保険者である場合は、被保険者の記載による) 委 託 者 特別障害者の親族や篤志家

被 保 険 者主契約による

5(主契約が終身保険の場合は原則7歳まで、主契約65が定期保険の場合は原則 歳まで)

・契約時点で85歳以下であること・終身払込の場合を除き、払込終了時点で  85歳以下であること

年金受取人 被保険者と同居または生計を一にする二親等内の親族・配偶者である障害者

契約者が保険金受取人として指定した者 受 益 者 19 2 )特別障害者(相続税法第 条の4第 項

掛金(保険料)主契約の保険種類、被保険者の年齢・性別、保険料払込期間などに応じて決定される(割増年金特約に関する保険料は不要)

年齢・性別・保険料払込期間に応じて設定

保険料払込期間 主契約の保険種類・契約年齢に応じて設定する 契約年齢に応じて設定

給 付 額特約付加時における会社所定の基礎率により計算した年金額と、年金開始時における会社所定の利率等により計算した年金額のうち、いずれか大きい金額

死亡保険金額は保証。ただし、運用実績により増額の可能性がある 交 付 額 契約時に受託者(信託銀行等)と委託者(親族等)の

協議により決定

給 付 期 間 年金受取人の生存期間中 終身または確定を選択 交 付 期間 契約時に受託者(信託銀行等)と委託者(親族等)の協議により決定

受 給 要 件 被保険者が死亡したとき 被保険者の死亡、または高度障害の状態になったとき 交 付 時期 契約時に受託者(信託銀行等)と委託者(親族等)の協議により決定

特約が付加できる 障 害 者 の範 囲

①身体障害者(障害程度等級表1~3級)② 18知的障害者(おおむね 歳までに障害があら  われ、日常生活に支障が生じ特別の援助が必  要であると会社が認めた者)③精神障害者等(精神または身体に永続的な障  ① ②害を有する者で、障害の程度が 又は と同  等の障害と会社が認めた者)

障害者の範囲

19 2相続税法第 条の4第 項の特別障害者①身体障害者手帳1・2級② 10 2知的障害者(所得税法施行令第 条第 項第  1 )号にいう重度の知的障害者③ 精神障害者保健福祉手帳 等

税制上の措置 通常の生命保険料控除 通常の生命保険料控除 税制上の措置 6,000万円を限度に贈与税が非課税

・元本補填、利益補足なし

備 考 備 考 ・信託報酬(手数料等)は受託者により異なる

1, 000・受託者によって最低受託金額(例 万

  円)を定めている場合がある

・その他受託者により所定の届出がある

信 託 財産金銭、有価証券、金銭債権および一定の要件を満たす不動産

21 2(相続税法第 条の4第 項)

180不慮の事故により事故日から 日以内に所定の身体障害状態になったときは以後の保険料支払は不要

・不慮の事故により、被保険者が所定の身体障  害状態になった場合は、以後の保険料の払込  は免除される(一部主契約を除く)・ 5 10 15 20年金の保証期間は 年・ 年・ 年・ 年から  選択する

【全国制度に加入できない 65歳以上の方のための民間商品(例)】18 10(平成 年 月現在)

項 目

基 本 保 険 商 品

保 険 の 概 要

契 約 者

被 保 険 者

保 険 受 取 人

保 険 料 (掛 金 )

払 込 期 間

受 給 額

年 金 支 給 期 間

受 給 要 件

税 制 上 の 措 置

平 成 16 年 度 都支払備考(試算を含む) 前納分 月払分 財政調査適正掛金 想定額

男 370万 200万 3,577,388 22,846 393万円女 370万 200万 3,202,242 16,682 (15年納付)

男 310万 260万 2,690,481 21,135 276万円女 350万 220万 2,724,278 13,083 (10年納付)

男※ 150.1万 420万 1,391,747 25,153 141.6万円女 200万 370万 1,411,248 16,331 (5年納付)

80 20% 75 10% 70 5%注)都支払想定額は、課税想定額を差し引いた額である。税率は 歳で 、 歳で 、 歳で とした。

年齢制限等なし(契約者が被保険者である場合は、被保険者の記載による)

特約を付加することによって、生命保険金を遺族が年金形式で受け取れる商品

① ②終身保険 年金支払特約を申込時に付加できるもの

内 容

契約年齢に応じて設定

年齢・性別・保険料払込期間に応じて設定

契約者が保険金受取人として指定した者

① ②契約時点で85歳以下であること 終身払込の場合を除き、払込満了時点で85歳以下であること

通常の生命保険料控除

被保険者の死亡、または高度障害の状態になったとき

終身給付(保証期間あり)または確定給付を選択

普通死亡保険金額を保証、運用実績に応じた増額の可能性あり

【生命保険料試算】

・被保険者の健康状態に多少の問題があった場合でも特別条件を付加して契約可能なことがある。 ・一定の条件を満たせば、特別条件が緩和される場合がある。

180不慮の事故により事故日から 日以内に所定の身体障害状態になったときは以後の保険料支払は不要

月払保険料加入年齢 性別

570(条件 :保険金額 万円、前納保険と月額終身払込み保険の組み合わせ)

26,400

給付月額2万円に換算

した場合

保険金額 前納保険料

80歳

75歳

70歳

70 260※ 歳男性では  万円の5年払込保  険を3年前納した  ところで、払済み  手続で保険金額を  150. 1万円とし、  保険金額を減額し  た。

Page 44: 目 次 · Web view① バブル経済崩壊後の低金利状態が現在に至るまで長く続いたため、扶養年金基金の運用実績が低迷し、運用利率が予定運用利率を大幅に下回り、基金運用収入が激減している。

 さ ら に 、こ の 保険商品で は 、都が 支払う 額を 一時払い 保険に 活用し 月払い の 保険と 組み 合わ せ る と 、月払い の 保険料を 低く 抑え る こ と も 可能で あ る 。現在検討が 行わ れ て い る 新全国制度に お い て も 、掛金の 引き 上げ が 検討さ れ て い る が 、想定さ れ る 掛金は 、こ の 保険商品の 月払い 保険料と ほ ぼ 同程度で あ り 、将来の 年金給付総額も 同程度の も の が 確保で き る 。

ま た 、特定贈与信託に つ い て は 、受益者と な る 障害者の 障害程度に 関し て 相続税法で 規定さ れ て お り (特別障害者、い わ ゆ る 重度障害者)、信託金と し て あ る 程度まと ま っ た 額の 資金が 一時的に 必要と な る こ と か

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Page 45: 目 次 · Web view① バブル経済崩壊後の低金利状態が現在に至るまで長く続いたため、扶養年金基金の運用実績が低迷し、運用利率が予定運用利率を大幅に下回り、基金運用収入が激減している。

ら 、利用者は か な り 限定さ れ る と 思わ れ る が 、選択肢の 一つ に は な り 得る 。

こ う し た 遺族年金特約付生命保険や 特定贈与信託制度を 活用す れ ば 、全国制度へ 加入で き な い 者に 限ら ず 、幅広く 保護者の 「保護者亡き 後、障害者へ 年金的に 受給し た い 」と い う 要望に 応え る こ と が 可能で あ る 。

都は 、全国制度へ 加入で き な い 者を は じ め と する 利用希望者に 対し て 、扶養年金制度の 代替制度と し て 、こ れ ら の 民間制度を 紹介す る 機会を 設け な け れ ばな ら な い 。

  (9) 生活保護受給者へ の 対応 生活保護受給者に つ い て は 、保護者に 一括払い す る 清算金は 収入認定の 対象と な る 。 扶養年金制度の 趣旨を 踏ま え 、当面は 預託す る な ど 、生活保護の 受給に 影響を 及ぼ さ な い 方法を 検討す べ きで あ る 。

  (10) 扶養年金制度廃止後の 姿及び ス ケ ジ ュ ール 本審議会は 、扶養年金制度が 廃止と な っ た 後も 、保護者亡き 後の 障害者の 生活不安の 軽減に 向け 、障害者に 年金的にお 金を 残し た い と い う 希望に こ た え 、都が 、全国制度へ の 参加や 民間制度の 活用に よ り 、扶養年金制度発足の目的を 果た し て い く こ と を 要望す る 。

    今後の ス ケ ジ ュ ール に 関し て は 、本審議会と して は 、都制度の 廃止と 新全国制度の 発足が 同時期と な るこ と が 望ま し い と 考え る 。し か し 、早期の 結論

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【扶養年金制度廃止後の姿】

 → 現行どおりの給付

完了者 → 全国制度並金額を支払 

納付者 → 完了者金額×納付月数/20 年を支払       

( 年 金 的 給 付 ・ 掛増し)

民間商品未受給者

全国制度

新規加入

新規加入者

受給者

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を 望む 制度加入者の パ ブ リ ッ ク コ メ ン ト を 尊重し 、新全国制度発足前に 、都制度を 廃止す る 場合に は 、新全国制度発足ま で の 間、未受給者が 不利益を 蒙る こ と の ない よ う 、必要な 経過措置を 設け る べ き で あ ろ う 。

【今後の 扶養年金制度】

    本審議会と し て は 、最終的に 扶養年金制度廃止と い う 結論に 至っ た の で あ る が 、制度廃止後の 対応に つ い ては 、扶養年金制度の 利用者、扶養年金制度を 利用し て い な い障害者、一般都民、そ れ ぞ れ の 立場に つ い て 様々な 視点か ら 審議し 、バ ラ ン ス を 考慮し た う え で 、すべ て の 人々に と っ て 許容し 得る 限界点の 対応策を 示し た も の と 認識し て い る 。

3 終わ り に 都は 、制度運営が 立ち ゆ か な く な り 、扶養年金制度を 廃止せ ざ る を 得な い と い う 事実を 厳粛に 受け 止め 、本審議会答申を 実現す べ く 、制度廃止後の 対応に 誠心誠意取り 組

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都制度保険期間 全国制度保険期間

最終答申

保険期間(経過措置)終

了議会で条例審議

全国制度加入開始

清算金支払

受給者へは年金給付を継続

※ 経過措置期間中は、都制度の保険期間とみなす ただし、清算金を支払うと、都の保険期間は消滅※ 保険期間中に加入者が亡くなれば、受給者として扱う※ 新全国制度の加入開始により、未受給者の保険期間消滅※ 経過措置である保険期間内に、受給要件を満たした場合は、その間の掛

金は収納する

都制度廃止

経過措置(都制度経過期

間)

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む べ き で あ る 。 扶養年金制度は 廃止せ ざ る を 得な い と し て も 、保護者亡き 後の 不安の 軽減と 障害者の 福祉の 向上を 図る と い う制度の 目的自体は 、依然と し て 重要な 課題で あ る 。 新全国制度の 発足が 条件と は な る が 、都が 全国の 道府県及び 政令市と 協力し て 、「互助・自助の 精神に 基づ く 制度によ り 自分達の 力で 子供に 年金を 残し て ゆ き た い 」とい う 障害者の 保護者の 希望に こ た え て い く こ と を要望す る 。 一方で 、障害者が 保護者亡き 後も 地域の 中で 自立し て 、尊厳を も っ て 生活で き る よ う 、都が 総合的施策展開に 積極的に 取り 組む こ と の 必要を 特に 付言し て お き た い 。具体的に は 、グ ル ープ ホ ーム 等地域居住の 場、日中活動の 場な ど の 生活基盤や 、ホ ーム ヘ ル プ サ ービ ス ・訪問看護、地域居住サ ポ ート な ど の 支援シ ス テ ム の 充実を 支援し て い く こ と が 急務で あ る 。そ し て 、扶養年金制度の 廃止に 伴う 公費投入が 、予算措置に 影響を 及ぼ す こ とに よ っ て 、こ う し た 取組に 遅れ が 生じ る こ とが あ っ て は な ら な い と い う こ と を 強調し てお き た い 。 本審議会は 、社会連帯の 理念に 基づ き 、障害者が 地域の 中で自立し て 生活で き る よ う 、社会全体で 支援し て い くこ と 、保護者が 、自身亡き 後を 心配し な い で す む よう な 社会の 実現に 尽力さ れ る こ と を 期待す る 。

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