第22 回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌 · 第22回 与謝野晶子短歌文学賞...

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第 22 回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌 22

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

第22回

与謝野晶子短歌文学賞

青春の短歌

入賞作品

文部科学大臣賞

オレンジのほこりが踊る化学室

二人の酸素がなくなっていく

千葉県立鎌ヶ谷高等学校

大芝

嶺花

〔選評〕

午後の化学室。オレンジ色の光の中に、ほこりが舞っている。「二人の酸素が

なくなっていく」のは、二人だけの濃くて清らかな世界があるから。息苦しい

ようでもあり、充足しているようでもある。十代の切実な場面だ。

青春の短歌賞

高校生の部

朝焼を抱いていました君のことずっと嫌いでいられるように

沖縄県立浦添高等学校 浜﨑

結花

〔選評〕

「ずっと嫌いでいられるように」とは、好きになってしまう前の、ギリギリ

の抵抗。「朝焼けを抱いて」という叙情が美しい。「君」へ傾く気持ちを素直に

認められない自分を意識しながら、「ずっと」と強がっている。

青春の短歌賞

中学生の部

先生が

来る前急いで

黒板を

消した後の

新鮮な跡

早稲田大学高等学院中学部

内田

善也

〔選評〕

黒板の落書きたちを、先生に見られないように急いで消す。空気中にはまだ

チョークの粉が漂っているだろう。「消し跡」にも、消されたばかり、というイ

キのよさがあるのだという発見、「後」「跡」の重なりも面白い。

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

大阪府知事賞

セミの声誰もが気付くその声に気付かずにいたあの頃の俺

大阪桐蔭中学校

内藤

京都府知事賞

証明を一つ書き上げ食卓へ海老は二匹だ年越しのそば

大阪府・高槻中学校

山本

大智

山梨県教育長賞

今日こそは手伝うと言いはりきって切ったかまぼこ太さバラバラ

東京都・学習院女子中等科

福永

陽菜

E

H賞

この気持ち蛍たちには教えとく父に呼ばれて縁側から去る

東京都・学習院女子高等科

水本

有香子

堺歌人クラブ賞

あの時を忘れないとみんな言う癒えたカサブタ無理やりはがす

岩手県立盛岡第二高等学校 賀東

萌々香

与謝野晶子倶楽部賞

先輩の手渡しのグミやわらかく車窓の景色がゆれる夕暮

東京都・学習院女子中等科

高橋

日本ユネスコ協会連盟賞

購買のみっつ入りのあんドーナツ食べてみたいなあいつと一緒に

香川県立善通寺第一高等学校

中林

真宏

与謝野町長賞

手をのばすつぶつぶ甘いのなくなった僕はすっと膝を抱える

愛知県安城市立東山中学校

前野

涼輝

奥出雲町長賞

消しゴムの角使っても許すから好きと言ったら好きと返して

長尾谷高等学校(京都校)

梅田

桃代

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

奥出雲町商工会長賞

洗濯物家に取り入れはえが飛ぶそいつを母はそうじ機で吸う

愛知県刈谷市立刈谷東中学校

大森

健志

三国路 与謝野晶子紀行文学館賞

道端の団栗見ぬふりしてすぎる大人になるとは制服の苦しさ

埼玉県立桶川高等学校

中村

悠花

山梨県立文学館長賞

登り坂まぶしさ背負う君の影光かきわけ自転車をこぐ

群馬県立中央中等教育学校

須田

耀介

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

入選

高等学校の部

冬の空夢をかなえた友の顔少しうれしく多くうらやむ

長野県白馬高等学校

永田

裕汰

今、母がその木の下で笑ってた「いい天気だね」と聞こえた気がした

奈良県立奈良情報商業高等学校

上西

美歌

恋心すいすい流れる川のよう川にある石私みたい

群馬県立中央中等教育学校

大石

人のこと嫌いでいいよその代わりいつか誰かのことをゆるして

大阪市立南高等学校

土井

さよ子

窓開けて迷い込みたる秋風とサビしか知らぬ鼻唄歌う

佐賀県・早稲田大学系属早稲田佐賀高等学校

川添

走らねばならぬ気にする秋日和白線の上意気込んで立つ

佐賀県・早稲田大学系属早稲田佐賀高等学校

裕之

身長が伸びなくなったこの冬は咲いたばかりのつばきの匂い

東京都・学習院女子高等科 高橋

優花

良き人の声は例えば贅沢にバター使ったオムレツのよう

東京都・学習院女子高等科

小熊

理子

通知表帰ってきたよと言い出せず次のみかんの皮をむきだす

東京都・学習院女子高等科

茂出木

待ち合わせ寒空の下走り出すマフラー口までひっぱってから

東京都・学習院女子高等科

桑原

夏子

木々たちに後ろを見せてと言ったのに私を入れて景色だと言う

東京都・学習院女子高等科

清水

裕子

口癖が「普通が一番」父に問ふどこからどこまで「普通」の範囲?

徳島県立富岡東高等学校

河原

未歩

かんちがい心と体をすれちがい泣くのはいつも体のほうで

徳島県立富岡東高等学校

米山

三拓郎

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

図書館の自転車置き場で君を抱く木枯らしの吹く制服の午後

群馬県立高崎商業高等学校

石岡

利基

戦争はいつまでたっても終わらないどれだけ雨を降らすのだろうか

大阪府立金岡高等学校

亀山

玖佑

母の日に初めてあげたプレゼントまだ使われない肩たたき券

京都府・大谷高等学校

河辺

若奈

入院の祖母のお見舞い行くたびに隣の老婆は目を潤ませる

京都府・大谷高等学校

木下

大晟

五線譜の

上に並んだ六連譜

音で表す

私の青春

大阪府立泉北高等学校

前田

佳那

目の前はあまりに混雑してるから

青空見上げてたしかめたくなる

東京都・晃華学園高等学校

咲乃

パレットを置きざりにして乾かして色あせることの切なさを知る

東京都・晃華学園高等学校 櫻澤

有紀

よく見ると葉っぱが一枚ついているひとりぼっちのみかん箱の底

福井県立藤島高等学校

宮前 武史

美術室私が描いている君は

いったいどこへ向かうのだろう

福井県立藤島高等学校

杉田

知聖

旋盤で初めて削る鉄の棒1ミリの誤差手に汗をかく

新潟県立海洋高等学校

丸山

拓巳

グラウンド降り注ぐ日が強すぎて見えづらくなる貴方の背中

岐阜市立岐阜商業高等学校

谷口

優眞

私にもただそれだけを追いかける強い心があればいいのに

大阪府立住吉高等学校

山崎

琴未

鉛筆でいろいろ書いてたあの日々をシャーペンもってふと思い出す

広島県立海田高等学校

成松

美佳

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

さよならの日のおはようは毎日の

さよならよりもやけに寂しく

東京都立府中高等学校

渡瀬

遥子

この時期の我が家はけんかが絶えなくて己はただの器にすぎない

福岡県立明善高等学校

森田

雄大

しわしわなおばあちゃんの手折り紙を持てばなんでも作ってしまう

東京都・星美学園高等学校

井上

珠生

道端に小さく咲いてる雑草も切なく感じるテストの帰り

東京都・星美学園高等学校

粕渕

梨央

坂道を複雑なまま歩いてく後ろの声を遠ざけながら

東京都・星美学園高等学校

豊田

彩葉

怒らない君の代わりに怒ったら目尻が少し下がってくれた

鹿児島県・鹿児島第一高等学校

加倉

沙也花

あの花の名さえ知らない僕だけどひらひらと行く約束の種

兵庫県立大学附属高等学校 平野

奈美

何度でもどこでも強く空を見るそれが僕だよジャスミンの花

京都府立南丹高等学校

板垣

茉里奈

軒の下響く雨音聞きながらぽつりぽつりと憂い事たち

大阪府立三国丘高等学校

山上

彩花

すれ違う

人が口ずさんでた歌

気づかぬうちに

持って帰ってる

大阪府立三国丘高等学校

山田

めぐみ

寒空の下で体を集めると心も次第に集まってくる

大阪府立三国丘高等学校

清水

優希

なぜだろう夕暮時の電線で全ての鳥が同じ方向く

大阪府立三国丘高等学校

楓歌

すてきだなすてきだけれど言えません毛先に小枝ついていること

鹿児島県立野田女子高等学校

火之浦

実子

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

好きだよと文字ではたくさん言うけれどいつも言葉で言ってほしくて

鹿児島県立野田女子高等学校

山下

はるな

いつかきっと月から迎えが来るのだといまでも思う喧嘩した日は

長野県上田高等学校

渡辺

理香

月見草花に差したる我が心夕べに咲きて

朝あした

に陰る

東京都・星野高等学校

耀太

もう誰の目も見たくない下を向く私と目が合う机の落書き

石川県立金沢錦丘高等学校

二枝

紗莉惟

ツイッターもラインもやってなくたってちゃんと私は存在してる

石川県立金沢錦丘高等学校

白藤

こなつ

震災がつくった時間に弄ぶ人生ゲームに「震災」はなく

岩手県立盛岡第二高等学校

佐々木

萩芳

雪積もる板門店に兵士あり遠くで祈る雪解けの春

群馬県・共愛学園高等学校 李

ハンビッ

乳飲み子が目を細めずに我を見る口角上げず我も凝視す

群馬県・共愛学園高等学校

齋藤 愛理

合唱の本番控え会館へポニーテールを高めにゆらす

大阪信愛女学院高等学校

松尾

早紀

デッサンの空に流星描かれゐてどんな夜空に塗られるだらう

北海道旭川東高等学校

木村

杏香

あの日々を漂白しようとしたけれど落ちないと知るでもそれでいい

神奈川県・湘南白百合学園高等学校

小谷

美乃里

携帯に浮かび上がった約束は日曜までのわたしを生かす

岩手県立盛岡第四高等学校

土谷

映里

これという意味なんてないことだけど今から君の手を握ります

千葉県・渋谷教育学園幕張高等学校

阿部

圭吾

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

貸出のカードに残る知らぬ名の先輩のあとに我も記せば

青森県立八戸北高等学校

竹田

有理沙

ぼくだって朝の光を吸いこんで清くいろづくなどしてみたい

東京都・聖心女子学院高等科

徳永

彩乃

譲れない想いを少し譲った日世界は少し良くなったんだ

埼玉県・筑波大学附属坂戸高等学校

元木

悪口で汚れないようスカートの丈を短くしなきゃいけない

福島県・私立会津若松ザベリオ学園高等学校

平山

永理佳

「とりあえず来い」とも「なんかあった?」ともいえない今日もそこは空席

北海道釧路湖陵高等学校

鈴木

晴菜

樹形図を書いて求めるあなたとの仲の深め方は何通り

神奈川県・鎌倉女子大学高等部

北川

真衣

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

入選

中学生の部

部屋の中星空見上げふと思ういつまであるのかこの風景は

富山市立杉原中学校

山崎

朱莉

七輪のさんまのけむり目にしみてなみだを流す夕ぐれの空

大阪市立文の里中学校

河合

弘隼

教室に

やわらかな日 ひ

がさしこめば

日なたに人が

あつまっていく

愛知県刈谷市立刈谷東中学校

安達

万莉

飴玉を一つ貰って除夜の鐘撞く順番を待つ列にいる

愛知県刈谷市立刈谷東中学校

磯村

実穂

夏服に移行期間は白優勢オセロの駒が黒から白へ

愛知県刈谷市立刈谷東中学校

佐々木

雅子

階段を降りるといつもきみがいるわたしの足音大きいのかな

愛知県刈谷市立刈谷東中学校 川口

つづみ

ぼくは今大量の鍵に埋もれてるどれが夢の扉の鍵か

宮城県名取市立第二中学校

長島 直哉

大晦日家族一緒に家じゅうを去年のあくまを吹き飛ばした

米国・ワシントン日本語学校

ユバンクス

はな

なにがいいココアえらぶとおこられた選択肢にはあるはずなのに

大阪府東大阪市立盾津中学校

若林

幹冶

七月の十二分へと熱くなるコンクールとの戦いに向け

大阪府東大阪市立盾津中学校

澤邊

来夏

二〇一五の飛行機雲と

二〇一六の飛行機雲と重ね合う旅

東京都・学習院女子中等科

丹那

除夜の鐘闇夜の下に響く音街にあふれる猿のイラスト

東京都・学習院女子中等科

村上

理穂

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

落ちてゆくふわりと踊る雪のわたふと見上げればもう一 ひ

ふわり

東京都・学習院女子中等科

俣野

桜子

受け継ぎしわが家の雑煮祖母の味宗派分かれたいとこと私

東京都・学習院女子中等科

三田村

紗江

冬の日の暖かい部屋冷える外境界線は一枚の窓

東京都・学習院女子中等科

中田

乃愛

「父さん」も「パパ」もしっくりこなくって

父上様とよんだりしてみる

東京都・学習院女子中等科

内田

美鈴

幾度も姉と歩いたこの道を妹と行く日が訪れる

東京都・学習院女子中等科

土方

眞佑子

窓の外灰色の空広がってみかんが一つ明るく見えて

東京都・学習院女子中等科

浜野

真衣

夜桜に心うばわれ写真撮る画像暗くて判別できず

東京都・駒場東邦中学校 成田

大起

黒板の円周率の向こう側怖くないのは君がいるから

神奈川県・鎌倉女学院中学校

下垣内 優衣

冷たい卵かけご飯に悲しさを覚える私は温室育ち

宮城県・宮城学院中学校

熊谷

友紀子

金刀比羅

の七百八十五段まで石段駆け抜け見下ろす景色

京都学園中学校

山下

隆貴

山の中お墓だけあり静かでもはしゃいでしまう私といとこ

京都学園中学校

村田

可帆

ほおを染め、額をくっつけ、耳すます

下の句でとる

かるたの練習

京都学園中学校

平石

寿里

うでどけい海に沈めてさよならと今日からぼくは月をおいかけ

ケイ・インターナショナルスクール東京

欧陽

ひとみ

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

初詣出法多山にて参拝を神様の願いは何なのだろう

愛知県安城市立東山中学校

杉山

愛弥

白い湯にただよう自分の足見つめ果てない気がした道よみがえる

愛知県安城市立東山中学校

村瀨

青春はたった一度とみないうが大人にならねばそうは思わない

東京都江東区立第二亀戸中学校

安江

秋来たりもみじ散りゆく青空にかすかな不安おぼえる季節

京都府・立命館宇治中学校

荒川

ゆう

先輩とよんでいたのももう終わり

よばれる側になる私達

京都府・立命館宇治中学校

赤井

真奈

とちおとめほんのりすっぱい味わいが僕の味覚をくるわせている

京都府・立命館宇治中学校

矢代

康貴

青空に白く輝く飛行機ぐも体育の時間始まります

東京都・星美学園中学校 井戸向

梨菜

もし君と離れることを選んだら君の涙を見ることになる

東京都・星美学園中学校

櫛毛 香澄

桜咲きちょうも出てきてにぎやかに花見する人またにぎやかに

東京都・星美学園中学校

小渕

聖名

3箱分のみかんの入ったダンボール次々つぶれる冬休みかな

東京都・星美学園中学校

水谷

理沙代

図書館で勉強してて少したって隣を見たら妹がいた

東京都・星美学園中学校

青木

信恵

真夜中にウトウトしながらテレビみるあと三秒で新しい年

東京都・星美学園中学校

中根

海愛

雪だるま小さいほうがお父さん一番初めにつくられたから

東京都・星美学園中学校

田邉

華野

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

銀杏の木

上見上げれば「冬」感じ

木の下歩くと

「秋」を感じる

東京都・星美学園中学校

福田

真湖

最近は兄が私に優しくて良いことなのにふるえ止まらず

東京都・星美学園中学校

鈴木

藍里

友達の自慢話を聞くときは

少し笑って顔をそむける

大阪府・初芝富田林中学校

岡本

優暢

青春の短歌を作る練習で一文字だけがつき出てしまった

大阪府・初芝富田林中学校

亀田

尚樹

肝試し

明りを持った友達に

逃げられ知った

人の怖さを

大阪府・初芝富田林中学校

小川

祐樹

弟がご飯を食べる前に言ういつもと同じいただきますと

大阪府・初芝富田林中学校

西浦

弘起

Re:

がついたメールのみしか送れないR

e:

と心の式反比例

山梨県北杜市立甲陵中学校 雨宮

優花

元旦に5

2

円の期待したあなたの住所知らないけれど

山梨県北杜市立甲陵中学校

中嶋 菜月

冬の日のテニスコートを見て思うこれならサーブだれもとれない

山梨県北杜市立甲陵中学校

飯塚

寛文

恋をしたあなたはいつも壁にいる

たまに風で揺れている日々

大阪市立大正中央中学校

宮城

桃子

冬の朝曇りガラスを丸く拭きおとぎ話の入り口とする

静岡市立清水第八中学校

松永

愛未

夕映えを同じ場所から見てるのに同じ色ではないみたいです

静岡市立清水第八中学校

長澤

菜奈

家族団欒聞こえなかった除夜の鐘聞こえないだろう来年も

大阪府・高槻中学校

伊原

昂紀

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第 22回 与謝野晶子短歌文学賞 青春の短歌

タンポポが一面に広がる野原の中

そこで寝転ぶ

僕と私

大阪府・高槻中学校

大輔

電話中君との会話はずんでる心の中は混乱している

大阪府・高槻中学校

松本

樹潤

冬の夜 よ

は寒さに震え縮こまり猫が湯たんぽ猫の湯たんぽ

大阪府・高槻中学校

前林

尚太朗

寒空の青い雲がきらきらと明るく僕らを照らしていくよ

大阪府・高槻中学校

藤田

健生

テスト後の最初の日は自転車をゆっくりこいでただいまと言う

名古屋女子大学中学校

加藤

愛理

大みそか

父と娘で踊るのは

本能寺の変

本能寺の変

名古屋女子大学中学校

加藤

有加里

中秋の名月の裏目を凝らす月面都市も見える気がして

東京学芸大学附属小金井中学校 桐生

莉緒

除夜の鐘聞こえてきたから数えたら数え忘れのある百五回

埼玉県小川町立欅台中学校

櫻井 晴斗

奈良の鹿なぜおそわないせんべい屋僕が鹿ならきっとおそうな

東京都・早稲田大学高等学院中学部

船越

悠太

シャーペンのバネがなくなり一大事他のシャーペン分解しないと

東京都・早稲田大学高等学院中学部

渡部

亮太

帰り道駅ののぼりの階段でみんなの足音合う恥ずかしさ

東京都・早稲田大学高等学院中学部

富沢

大輝

スヌーピーのスポーツブラを着けているあの娘の胸にも怪物はいる

神奈川県相模原市立相模丘中学校

帷子

結衣