第2節 ものづくり労働者の雇用・労働の現状 - meti...第 2節 第1章...

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2 1内外経済が変化する中での我が国製造業の動向 景気は、東日本大震災や海外景気の回復の弱まりなど により輸出が弱含んでいることが影響し、厳しい状況に あるものの、緩やかな持ち直しが続いている。 こうした状況の中、国内の雇用情勢は一部に持ち直し の動きもみられるものの、依然として厳しい状況にある。 本節においては、雇用情勢と就業者・雇用者の年齢構 成の変化や賃金、労働時間、労働災害の状況を概観する。 1. 雇用情勢 (1)労働市場の動向 完全失業率(季節調整値)は、2009年7月以降低下 第2節   ものづくり労働者の雇用・労働の現状 図121-2 全産業における新規求人数の推移(季節調整値) 40 60 80 100 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 万人図121-1 完全失業率及び有効求人倍率の推移(季節調整値) 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 (年) (倍) 効求人倍率左目盛り全失業率右目盛り(%) 傾向にあったが、2011年10月以降再び上昇し始めて いる。また、有効求人倍率(季節調整値)は、2009年 7月から9月には0.43倍と過去最低を記録した後、緩や かに上昇し、2012年3月には0.76倍となっているが、 雇用情勢は依然として厳しい状況にある(図121-1)。 全産業の新規求人数(季節調整値)は、2002年初め から2006年中頃にかけて増加傾向にあり、その後減少 に転じたが、2009年6月以降は再び増加傾向にある(図 121-2)。製造業の新規求人数は2009年6月以降増加傾 向にあったが、2011年10月以降低下した。しかし、 2012年1月には増加に転じている(図121-3)。 備考:総務省「労働力調査」では、2011年3月から8月まで岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果を用いている。 資料:総務省「労働力調査」、厚生労働省「職業安定業務統計」 備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。 資料:厚生労働省「職業安定業務統計」 27

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Page 1: 第2節 ものづくり労働者の雇用・労働の現状 - METI...第 2節 第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向 ものづくり労働者の雇用・労働の現状

第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

景気は、東日本大震災や海外景気の回復の弱まりなどにより輸出が弱含んでいることが影響し、厳しい状況にあるものの、緩やかな持ち直しが続いている。こうした状況の中、国内の雇用情勢は一部に持ち直し

の動きもみられるものの、依然として厳しい状況にある。本節においては、雇用情勢と就業者・雇用者の年齢構

成の変化や賃金、労働時間、労働災害の状況を概観する。

1. 雇用情勢(1)労働市場の動向完全失業率(季節調整値)は、2009年7月以降低下

第2節   ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図121-2 全産業における新規求人数の推移(季節調整値)

40

60

80

100

96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12(年)

(万人)

図121-1 完全失業率及び有効求人倍率の推移(季節調整値)

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

5.5

6.0

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 (年)

(倍)

有効求人倍率(左目盛り) 完全失業率(右目盛り)

(%)

傾向にあったが、2011年10月以降再び上昇し始めている。また、有効求人倍率(季節調整値)は、2009年7月から9月には0.43倍と過去最低を記録した後、緩やかに上昇し、2012年3月には0.76倍となっているが、雇用情勢は依然として厳しい状況にある(図121-1)。

全産業の新規求人数(季節調整値)は、2002年初めから2006年中頃にかけて増加傾向にあり、その後減少に転じたが、2009年6月以降は再び増加傾向にある(図121-2)。製造業の新規求人数は2009年6月以降増加傾向にあったが、2011年10月以降低下した。しかし、2012年1月には増加に転じている(図121-3)。

備考: 総務省「労働力調査」では、2011年3月から8月まで岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果を用いている。資料:総務省「労働力調査」、厚生労働省「職業安定業務統計」

備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。資料:厚生労働省「職業安定業務統計」

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Page 2: 第2節 ものづくり労働者の雇用・労働の現状 - METI...第 2節 第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向 ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図121-3 製造業における新規求人数の推移(2007年10月=100、原数値)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

07.10 08.1 08.4 08.7 08.10 09.1 09.4 09.7 09.10 10.1 10.4 10.7 10.10 11.1 11.4 11.7 11.10 12.1

全産業

製造業

電子部品・デバイス・電子回路製造業      金属製品製造業

電気機械器具製造業

輸送用機械器具製造業

(年・月)

図121-4 職業別有効求人倍率の推移

0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

職業計       

サービスの職業

専門的・技術的職業

運輸・通信の職業

販売の職業

農林漁業の職業

管理的職業

生産工程・労務の職業

事務的職業

(倍)

(年)

備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。資料:厚生労働省「職業安定業務統計」

備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。資料:厚生労働省「職業安定業務統計」

職業別に有効求人倍率を見ると、2009年に各職業とも急激に低下したが、その後は緩やかに上昇している(図121-4)。また、生産工程・労務の職業の有効求人倍率は、

2008年後半以降の低下が顕著であった職業を中心に、2009年6月以降緩やかに上昇している(図121-5)。

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Page 3: 第2節 ものづくり労働者の雇用・労働の現状 - METI...第 2節 第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向 ものづくり労働者の雇用・労働の現状

第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図121-6 雇用人員判断D.I.の推移

-40

-20

0

20

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

全産業 製造業

(%ポイント(「不足」-「過剰」))

(年)

(四半期)

↑不足超

 過剰超↓

(2)雇用調整の状況雇用過不足感の推移を見ると、全産業、製造業とも、

2008年後半から2009年前半にかけて急速に高まった過剰感が、その後低下傾向にあるが、製造業は、依然過剰感が高い(図121-6)。何らかの雇用調整を実施した事業所の割合は2009年

第2四半期には5割に迫り、特に製造業においては7割

に達した。その後減少したが、2011年に入り再び増加した後、減少している。また、雇用調整の内訳を見ると、「残業規制」、「配置転換」、「休日の振替、夏期休暇等の休日・休暇の増加」が多いが、再契約停止や解雇などのより厳しい雇用調整も一部で実施されている(図121-7)。

備考:2004年3月調査より調査対象企業の見直し等が行われたため、数値は接続しない。資料:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」

図121-5 生産工程・労務の職業の有効求人倍率の推移(原数値)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

08.9 09.1 09.5 09.9 10.1 10.5 10.9 11.1 11.5 11.9 12.1

職業計       

生産工程・労務の職業

金属加工の職業

輸送用機械組立・修理の職業

金属溶接・溶断の職業

電気機械器具組立・修理の職業

一般機械器具組立・修理の職業

(倍)

(年・月)

備考:新規学卒者を除きパートタイムを含む。資料:厚生労働省「職業安定業務統計」

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図121-7 雇用調整実施事業所割合の推移

(2011年10~12月期の製造業における雇用調整の方法(単位は%))

残業規制 配置転換 出 向

一時休業(一時帰 休)

実施していない

100 38 18 12 3 4 14 7 8 2 62

計雇用調整実施

雇 用 調 整 の 方 法(複数回答) 

0

10

20

30

40

50

60

70

80

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

製造業

調査産業計

(%)

(四半期)

(年)

休日の振替、夏期休暇等の休日・休暇の増加

中途採用の削減・停止

希望退職者の募集、解雇

臨時、パートタイム労働者の再契約停止・解雇

図121-8 雇用調整助成金等に係る休業等実施計画届け受理状況(速報値)

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

0

500,000

1,000,000

1,500,000

2,000,000

2,500,000

3,000,000

07年度 08.6 08.9 08.12 09.3 09.6 09.9 09.12 10.3 10.6 10.9 10.12 11.3 11.6 11.9 11.12 12.3

(事業所数)

(年・月)

(人)

対象者数(左目盛り) 事業所数(右目盛り)

雇用調整助成金等の対象者数は、2009年後半から減少傾向にあり、2011年3月、4月に急激に増加したものの、その後減少している(図121-8)。

2. 就業構造の推移(1)就業者数及び雇用者数の推移全産業の就業者数は、1997年後半以降2003年第4

四半期までは減少傾向、2004年第1四半期以降2007

備考:2008年12月分より中小企業緊急安定助成金(2008年12月1日創設)の休業等実施計画届けの受理件数を含む。資料:厚生労働省調べ

資料:厚生労働省「労働経済動向調査」

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第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図122-1 全産業の就業者・雇用者数の推移(季節調整値)

図122-2 製造業の就業者数・雇用者数等の推移(原数値)

4,600

4,700

4,800

4,900

5,000

5,100

5,200

5,300

5,400

5,500

5,600

6,000

6,100

6,200

6,300

6,400

6,500

6,600

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

就業者(左目盛り)雇用者(右目盛り)

(万人)

(年)

(万人)

(四半期)

-30.0

-25.0

-20.0

-15.0

-10.0

-5.0

0.0

5.0

900

950

1,000

1,050

1,100

1,150

1,200

1,250

1,300

1,350

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

(四半期)(年)

(%)(万人)

就業者(左目盛) 雇用者(左目盛) 就業者前年同期比(右目盛) 雇用者前年同期比(右目盛)

年第4四半期までは増加傾向であった。その後は再び減少傾向で推移している。2011年第1四半期、第2四半期は東日本大震災の影響によりさらに大幅に落ち込んだが、第3四半期以降増加している。また、雇用者数は、2003年第4四半期以降増加傾向で推移してきたが、2009年第1四半期に減少に転じ、その後増減を繰り返しつつ、横ばいで推移。2011年第1四半期、第2四半

期は東日本大震災の影響により、大幅に落ち込んだが、同年第3四半期以降増加している(図122-1)。長期的に減少傾向で推移してきた製造業の就業者数・雇用者数は、2005年第4四半期以降2007年第4四半期にかけて増加傾向で推移し、2008年第2四半期以降は減少傾向であったが、2011年第4四半期以降は増加している(図122-2)。

備考:1.Ⅰ~Ⅳは、第1から第4四半期を示す。   2.四半期の季節調整値は、総務省で公表している月次の季節調整値を厚生労働省で単純平均して算出したものである。   3�.2011年第1四半期から第3四半期までは、補完推計値を用いている。資料:総務省「労働力調査」

備考:1.Ⅰ~Ⅳは、第1から第4四半期を示す。   2�.「労働力調査」の産業区分は2003年から、2002年改定の産業分類で表章しており、それ以前の産業分類で、表章している2002年以前の数値とは、

数値が接続しない点、留意が必要。   3�.2011年第1四半期から第3四半期までは、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果を用いている。資料:総務省「労働力調査」

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図122-3 製造業職業別就業者構成比(2011年)

図122-4 製造業における女性の就業者及び女性比率の推移

専門的・技術的職業従事者 76万人, 7.6%

管理的職業従事者 31万人, 3.1%

事務従事者 171万人, 17.2%

販売従事者 62万人, 6.2%

生産工程従事者 597万人, 59.9%

その他の 職業従事者 59万人, 5.9%

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

0

100

200

300

400

500

600

700

53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

(%) (万人)

製造業 女性就業者数(製造業) 全就業者に占める女性比率(右目盛り) 製造業に占める女性比率(右目盛り)

(2)製造業における就業者数の内訳我が国の製造業に従事する就業者数は997万人であ

り、就業者全体5,977万人の16.7%を占める(2011年労働力調査注1)。製造業における職業別の就業者数を見ると、専門的・

技術的職業従事者76万人(構成比7.6%)、管理的職業従事者31万人(同3.1%)、事務従事者171万人(同17.2%)、販売従事者62万人(同6.2%)、生産工程従事者597万人(同59.9%)、その他の職業従事者59万人(同5.9%)となっている(図122-3)。

(3)ものづくりに関する女性の就業状況製造業に従事している女性の就業者数は295万人であり、製造業就業者全体に占める女性比率は29.6%となっている。この比率は、就業者全体に占める女性比率(42.2%)に比べて製造業は12.6ポイント低い。また、就業者全体に占める女性比率が1990年以降緩やかに上昇する一方、製造業就業者全体に占める女性比率は、低下傾向にある(図122-4)。なお、製造業就業者数に占める女性比率を主要国と比較すると、韓国、デンマークを除き日本の方が比率が高

備考: 2011年平均は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果である。資料:総務省「労働力調査」

備考:1 .「労働力調査」の産業区分は2003年から、2002年改定の産業分類で表章しており、それ以前の産業分類で、表章している2002年以前の数値とは、数値が接続しない点、留意が必要。

   2 .2011年平均は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果を用いている。また、2010年と2011年の比率を比較するため、2010年の値も、同3県を除く全国の結果を用いている。

資料:総務省「労働力調査」

注1 2011年8月分まで岩手県、宮城県及び福島県を除く調査結果となっていたが、9月分から一部調査区を除く全国の調査結果となっている。

32

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第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

表122-5 各国製造業就業者数及び女性比率(2008年)

図122-6 非正規雇用者数の推移(全産業)

(単位:千人)

全産業 製造業

総数 男 女 女性比率 総数 男 女 女性比率

日本 63,850 37,290 26,560 41.6% 11,740 8,120 3,620 30.8%

韓国 23,577 13,703 9,874 41.9% 3,963 2,692 1,271 32.1%

スウェーデン 4,593 2,422 2,171 47.3% 621 476 145 23.3%

フランス 25,913 13,670 12,243 47.2% 3,645 2,598 1,047 28.7%

英国 29,475 15,904 13,571 46.0% 3,547 2,638 909 25.6%

イタリア 23,405 14,064 9,341 39.9% 4,805 3,443 1,362 28.3%

デンマーク 2,827 1,497 1,330 47.0% 426 289 137 32.2%

ドイツ 38,734 21,188 17,546 45.3% 8,516 6,137 2,379 27.9%

米国 145,362 77,486 67,876 46.7% 15,904 11,249 4,655 29.3%

カナダ 17,126 9,021 8,105 47.3% 2,041 1,444 597 29.3%

オーストラリア 10,741 5,879 4,862 45.3% 1,102 807 295 26.8%

719 769 718 748 763 780 792 822 821 814 814 835

359 382

336 342 333 340 333 342 331 339 334 346 33

45 43 50 85 106 128 133 140 108 92 92 161

163 355 365 383 407 424 435 468 460 444 460

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 パート アルバイト 労働者派遣事業所の派遣社員 契約社員・嘱託・その他

(万人)

(年)

12731360

1451 1504 15641633 1677 1732 1760 1721 1685 1733

く、国際的に見て低いとはいえない(表122-5)。

(4)就業形態の多様化の進展全産業における非正規労働者のうち、派遣労働者は

2002年以降2008年までは増加していたが、2009年以降減少している(図122-6)。

備考:産業分類は国際標準産業分類による。出典:ILO LABORSTA

備考:1. 2000、2001年は2月。2002年以降は年平均。   2.2002年以降は、それ以前の労働力調査特別調査と調査方法、調査月が異なることなどから、時系列比較には注意を要する。   3 .2011年平均は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果を用いている。また、2010年と2011年の比率を比較するため、2010年の値も、同

3県を除く全国の結果を用いている。資料:総務省「労働力調査特別調査」(2000、2001年)、「労働力調査詳細集計」(2002年~)

33

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図122-7 産業別外国人労働者の割合

図122-8 製造業における国籍別外国人労働者の割合

製造業、265,330人、38.7%

※サービス業(他に分類されないもの)、 89,446人、13.0%

宿泊業、飲食サービス業、74,845人、10.9%

卸売業、小売業、69,396人、10.1%

教育、学習支援業、47,375人、6.9%

情報通信業、26,780人、3.9%

その他、113,074人、16.5%

中国(香港等を含む)、41.2%

25.0%

フィリピン、12.6%

ペルー、5.0%

その他、16.3%

ブラジル、

3. 就業者の年齢構成(1)製造業における新規学卒入職者などの状況製造業における新規学卒入職者数は、1990年代初頭以降下降傾向にある。また、最近の入職者数は、同時期に比べて、半数以下の水準に留まっている。特に、2010年は大幅に低下している(図123-1)。

製造業における2010年の新規学卒入職者数は、前年度に比べ、大卒、高卒とも減少し、1990年以降では最低の入職者数となった。規模別に見ると、大卒は1,000人以上の規模の企業、高卒は300人以上999人及び1,000以上の規模の企業において、大きく低下した(図123-2)。製造業における新規学卒者が卒業後3年以内に離職す

備考:※「サービス業(他に分類されないもの)」には、建設設計業、デザイン業、法律事務所、労働者派遣業、ビルメンテナンス業等が含まれる。資料:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(2011年10月末現在)」

資料:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況(2011年10月末現在)」

(5)ものづくりにおける外国人労働者外国人労働者数を地域ごとに見ると、東京都、愛知県、

神奈川県、静岡県、大阪府の上位5都府県で、全体の53.7%を占めている。産業別では、製造業に就く者が最も多く、265,330

人と全体の38.7%を占めている(図122-7)。製造業に就く外国人労働者を国籍別に見ると、中国(香

港等を含む。)が最も多く全体の41.2%を占め、次いで、ブラジル、フィリピンの順となっている(図122-8)。

34

Page 9: 第2節 ものづくり労働者の雇用・労働の現状 - METI...第 2節 第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向 ものづくり労働者の雇用・労働の現状

第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図123-2 製造業における学歴別の新規学卒入職者数の推移

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (年)

(千人)

0

50

100

150

200

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10

5~29人

30~99人

100~299人

300~999人

1,000人以上

全体

(年)

(千人) [大卒] [高卒]

図123-1 製造業における新規学卒入職者数の推移

26.8 24.3 31.1 21.6 19.5 25.6 15.8 18.4 19.9 17.3 25.7 24.3 19.9 16.8 21.9 22.7 21.2 19.1 14.8 13.6 14.7 10.8 8.2 10.6 10.2 5.0

34.5 39.8 44.5 55.3 47.3 39.7

33.7 32.0 35.7 45.0 53.2 49.7 43.8 38.1 37.4 33.7 37.2 31.8 24.4 28.6 30.3 24.7 31.1 23.2 23.0 19.9

71.7 79.8 77.3 67.6

64.2 58.1 64.0 68.1 53.1

58.4 55.4 52.9

49.7 42.9 49.4 44.7 44.4

34.1 29.3 38.4

46.4 39.3 32.1 35.7 38.5

25.7

66.1 64.5 54.2 60.6

64.6 60.8 79.0

87.1

62.3 47.0 48.2

44.6 42.5

41.4 34.3 25.1 31.8 28.8

24.2 28.1

36.2 36.0 41.0 31.7 28.0

21.1

133.2 127.2 90.5 89.3 118.1 140.2

143.6 134.5

136.3 102.3 72.5

57.8 62.8

69.3 54.0

43.1 44.4

48.5

41.4 41.5

52.8 52.6 47.4 58.5 63.3

37.0

332.6 335.7

297.7 294.5 313.9

324.9 336.2 340.3

307.5

270.1 255.2

229.4 218.8

208.6 197.1

169.5 179.1

162.3

134.2 150.3

180.5 163.3 159.8 159.6 163.0

108.7

0

50

100

150

200

250

300

350

400

85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 (年)

(千人)

1,000人以上 300-999人 100-299人 30-99人 5-29人

資料:厚生労働省「雇用動向調査」より作成。

資料:厚生労働省「雇用動向調査」

35

Page 10: 第2節 ものづくり労働者の雇用・労働の現状 - METI...第 2節 第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向 ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図123-4 製造業における若年就業者(34歳以下)の推移

図123-3 2008年新規学卒就職者の3年後までの離職率(規模別)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

0

100

200

300

400

500

600

89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10* 11* (年)

(%)(万人)

就業者数(34歳以下)

34歳以下の比率(製造業)

34歳以下の比率(全産業)

30.0

16.7

3.5 1.7

4.8 2.9

9.4

6.1 3.9

1.9

7.5

3.8

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

規模計 5~29人 30~99人 100~499人 500~999人 1000人以上

37.6

27.3

5.5 2.6

9.4 7.4

13.2 11.5

3.5 2.4 5.0

3.2

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

規模計 5~29人 30~99人 100~499人 500~999人 1000人以上

(%) (%)

大学(短大を除く)卒業者 高校卒業者

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

調査産業計

製造業

資料:厚生労働省調べ

備考:1 .「労働力調査」の産業区分は2003年から、2002年改定の産業分類で表章しており、それ以前の産業分類で、表章している2002年以前の数値とは、数値が接続しない点、留意が必要。

   2 .2011年平均は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果を用いている。また、2010年と2011年の比率を比較するため、2010年の値も、同3県を除く全国の結果を用いている。

資料:総務省「労働力調査」

(2)製造業における年齢構成の動向製造業就業者における年齢構成を見ると、若年者(34

歳以下)の割合は、2002年以降減少し、2011年において26.5%となっている(図123-4)。また、55歳以

上の割合は2002年以降増加傾向にあったが、2007年以降横ばいになっており、2011年において25.2%となっている(図123-5)。

る割合は、調査産業計に比べると低いが、大学卒業者、高校卒業者とも100人以上499人以下の規模で離職率

が最も高い(図123-3)。

36

Page 11: 第2節 ものづくり労働者の雇用・労働の現状 - METI...第 2節 第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向 ものづくり労働者の雇用・労働の現状

第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

4. 賃金・労働時間の動向製造業における労働者(一般労働者)の賃金のうち、「き

まって支給する現金給与額」は、2001年以前は産業計

の平均を下回っていたが、2002年以降は、2005年、2009年及び2011年を除き上回っている。また、「所定内給与額」については、製造業は産業計の平均より低い状況が続いている(図124-1)。

図123-5 年齢階層別就業者の割合(製造業)

2.8 2.9 2.6 2.6 2.4 1.9 1.7 1.7 1.7 1.6 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.1 1.1 1.2 1.3 1.2 1.0 1.0 0.9

10.0 10.0 10.1 10.3 10.4 10.2 9.9 9.5 9.1 8.6 8.0 7.6 7.2 6.7 6.5 6.2 6.0 6.1 6.4 6.5 6.0 5.9 5.9

9.3 9.5 9.9 10.0 10.1 10.2 10.6 11.4 11.2 11.3 11.8 12.1 12.1 11.5 10.8 10.5 10.3 9.9 9.5 9.9 9.5 9.2 8.9

9.0 8.4 8.3 8.5 8.9 9.2 9.3 9.4 9.9 10.5 10.9 10.9 11.5 12.0 12.2 12.4 12.4 12.2 11.9 11.3 11.2 10.9 10.7

12.6 11.7 10.6 10.0 9.5 9.4 9.3 9.1 9.3 9.6 9.8 10.4 10.4 10.8 11.6 11.7 11.9 12.5 12.6 12.8 13.4 13.5 13.5

14.5 15.0 15.5 12.8 11.8 11.1 10.5 10.0 10.1 9.8 9.7 10.1 10.5 10.7 10.8 11.0 11.5 11.8 12.2 12.6 13.3

14.7 14.2 13.3 13.1 13.4 14.0 14.7 15.5 14.9 13.9 12.7 12.0 11.4 10.8 10.4 10.3 10.4 10.3 10.2 10.5 10.8 11.7 11.7

12.0 12.1 12.3 12.7 12.7 13.3 13.2 12.4 12.4 13.2 13.4 14.0 15.1 14.6 13.6 12.6 11.7 11.4 10.5 9.9 10.2 9.8 9.8

12.1 12.8 13.7 14.5 14.8 15.2 15.5 15.9 16.8 17.0 17.3 17.3 16.8 17.5 18.3 19.4 19.9 19.7 19.9 19.6 19.2 19.2 19.0

3.0 3.2 3.5 3.7 3.9 3.9 4.0 4.0 4.2 4.3 4.5 4.5 4.5 4.7 4.9 5.1 5.4 5.7 6.1 6.5 6.4 6.4 6.2

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10* 11*

65歳以上

55~64歳

50~54歳

45~49歳

40~44歳

35~39歳

30~34歳

25~29歳

20~24歳

15~19歳

(年)

14.7 13.8

備考:1 .「労働力調査」の産業区分は2003年から、2002年改定の産業分類で表章しており、それ以前の産業分類で、表章している2002年以前の数値とは、数値が接続しない点、留意が必要。

   2 .2011年平均は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果を用いている。また、2010年と2011年の比率を比較するため、2010年の値も、同3県を除く全国の結果を用いている。

資料:総務省「労働力調査」

37

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図124-1 業種別の賃金比較

250.0

275.0

300.0

325.0

350.0

375.0

400.0

425.0

95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 (年)

(千円)

産業計 建設業 製造業[~03] 製造業[04~]運輸業 卸売・小売業 金融、保険業 飲食店・宿泊業 医療、福祉 教育学習支援業 サービス業(他に分類されないもの)[04~08] 運輸業、郵便業(民営+公営) 卸売業、小売業 宿泊業、飲食サービス業 生活関連サービス業、娯楽業 教育、学習支援業 サービス業(他に分類されないもの)[09~]

〔きまって支給する現金給与額の推移〕

230.0

250.0

270.0

290.0

310.0

330.0

350.0

370.0

390.0

95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

産業計 建設業 製造業[~03] 製造業[04~]運輸業 卸売・小売業 金融、保険業 飲食店・宿泊業 医療、福祉 教育学習支援業 サービス業(他に分類されないもの)[04~08] 運輸業、郵便業(民営+公営) 卸売業、小売業 宿泊業、飲食サービス業 生活関連サービス業、娯楽業 教育、学習支援業 サービス業(他に分類されないもの)[09~]

〔所定内給与額の推移〕

(年)

(千円)

備考:1 .きまって支給する現金給与額とは、労働契約等であらかじめ定められている支給条件により6月分として支給された現金給与額をいい、所得税等を控除する前の額をいう。

   2 .所定内給与額とはきまって支給する現金給与額のうち、超過労働給与額を差し引いた額をいう。   3 .「賃金構造基本統計調査」は2004年及び2009年において、それぞれ集計に用いた産業分類が変更されているので、一部の産業ではそれ以前の数値

と接続しない点、留意が必要。資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成。

38

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第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

次に、「生産労働者」と「管理・事務・技術労働者」の賃金を比較すると、「きまって支給する現金給与額」、「所定内給与額」のいずれも、「生産労働者」の方が低く、

「生産労働者」は「管理・事務・技術労働者」の約7割の水準となっている(図124-2)。

1時間当たりの所定内給与額について、短時間労働者注2と一般労働者とを比較すると、産業計、製造業とも大きな差が見られる。また、産業計、製造業ともに一般労働者は一定年齢まで年齢とともに賃金が高まるのに対して、短時間労働者は、男女とも年齢の上昇に伴う賃金の

高まりは、あまり認められない。なお、製造業短時間労働者の1時間当たりの所定内給

与額は、産業計短時間労働者と比べた場合、男性についてはほぼ差がないが、女性については19歳以下を除き、おおむね1割程度低い水準にある(図124-3)。

図124-2 製造業における管理・事務・技術労働者と生産労働者の賃金比較

[きまって支給する現金給与額]   [所定内給与額]  

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 280 300 320 340 360 380 400

70

71

72

73

74

75

76

77

78

79

80

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10

(年)

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

220

240

260

280

300

320

340

360

68

69

70

71

72

73

74

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10

管理・事務・ 技術労働者 (右目盛り)

生産労働者 (右目盛り)

賃金比較(左目盛り) 管理・事務・ 技術労働者 (右目盛り)

生産労働者 (右目盛り)

賃金比較(左目盛り)

(年)

(%) (千円) (千円)

(%)

備考:1.賃金比率は管理・事務・技術労働者の賃金額を100としたときの生産労働者の賃金額の割合である。   2.労働者(生産労働者及び管理・事務・技術労働者)とは、一般労働者を指す。資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成。

注2 同一事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い又は1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ない労働者をいう。

39

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製造業の事業所規模5人以上の事業所における労働者(一般労働者)1人当たりの総実労働時間は、2011年は月平均で167.5時間であり、前年に比べ0.6時間減少した。その内訳は、所定内労働時間は月平均152.2時間で前年に比べ0.7時間減少、所定外労働時間は月平均15.3時間で前年に比べ0.1時間増加している。なお、製造業の総実労働時間は、1995年以降では、2009年を除き調査産業計を上回っている(図124-4)。

また、製造業の所定外労働時間(一般労働者及びパートタイム労働者の計)は、2009年3月から2010年4月までは上昇を続け、2010年5月から同年10月は減少傾向にあり、同年11月以降2011年2月までは再び上昇した。2011年3月、4月は東日本大震災による生産活動の低下に見舞われ、急激に減少したが、5月以降は上昇傾向にある(図124-5)。

図124-3 年齢階級別1時間当たりの所定内給与額

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2,200

2,400

2,600

〜19歳

20〜24歳

25〜29歳

30〜34歳

35〜39歳

40〜44歳

45〜49歳

50〜54歳

55〜59歳

60〜64歳

65〜69歳

70歳〜

(円) 【男性・年齢別】

産業計一般労働者・男性 製造業一般労働者・男性 産業計短時間労働者・男性 製造業短時間労働者・男性

800 900 1,000 1,100 1,200 1,300 1,400 1,500 1,600

(円) 【女性・年齢別】

産業計一般労働者・女性 製造業一般労働者・女性 産業計短時間労働者・女性 製造業短時間労働者・女性

〜19歳

20〜24歳

25〜29歳

30〜34歳

35〜39歳

40〜44歳

45〜49歳

50〜54歳

55〜59歳

60〜64歳

65〜69歳

70歳〜

資料:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2011年)」より作成。

40

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第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図124-4 労働時間の推移

図124-5 総実労働時間・所定外労働時間の推移(2010年=100、季節調整値)

145

150

155

160

165

170

175

93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

調査産業計 総実労働時間 製造業 総実労働時間 調査産業計 所定内労働時間 製造業 所定内労働時間

(時間)

(年)

製造業 所定外労働時間

調査産業計 所定外労働時間

50

60

70

80

90

100

110

120

130

07 08 09 10 11 12 (年)

調査産業計 総実労働時間

調査産業計 所定外労働時間

製造業 総実労働時間

製造業 所定外労働時間

備考:1.事業所規模5人以上。   2.労働時間は、一般労働者の労働時間を指す。   3.労働時間は、月間労働時間の年平均を示している。   4 .事業所規模30人以上の調査事業所の抽出替えを1993、1996、1999、2002、2004、2007、2009、2012年の各1月に行っているが、実数につ

いてはギャップ修正を行っていないので時系列の比較については注意を要する。資料:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

備考1:事業所規模5人以上。一般労働者とパートタイム労働者の計。  2:2012年2月分は速報値。資料:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

41

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図125-1 死亡災害発生状況

2,550 2,489

2,354 2,245 2,301

2,414

2,363 2,078

1,844

1,992

1,889 1,790

1,658 1,628

1,620 1,514

1,472 1,357

1,268 1,075 1,195

2,268

447 448 392 414 409 417 405 351 305 344 323 326 275 293 293 256 268 264 260 186 211

506

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

15.0

16.0

17.0

18.0

19.0

20.0

21.0

22.0

23.0

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

(人)(%)

(年)

全産業死亡者数(右目盛り) 製造業死亡者数(右目盛り) 全産業死亡者に占める製造業死亡者の割合(左目盛り)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

2008 年

2009 年

2010 年

2011 年

(人)

はさまれ、

巻き込まれ

墜落・転落

崩壊・倒壊

交通事故(道路)

飛来・落下

激突され

高温・低温物

との接触

転倒

感電

有害物との

接触

おぼれ

爆発

切れ・こすれ

火災

激突

踏抜き

交通事故(その他)

その他

分類不能

図125-2 製造業における事故の型別死亡災害発生状況

5. 労働災害などの発生状況(1)死亡・死傷災害発生状況2010年の全産業における労働災害による死亡者数

は、2012年3月現在の速報値で2,268人と前年に比べて1,073人増加し、製造業においては、295人増加し、506人である(図125-1)。事故の型別による死亡災害

発生状況は、昨年、一昨年と同様、「はさまれ、巻き込まれ」、「墜落・転落」が多い(図125-2)。また、2010年の労働災害死傷者数(死亡及び休業4

日以上)は、2012年3月現在の速報値で、全産業では前年に比べ4,287人増加し97,706人、製造業では977人増加し、21,116人である(図125-3)。

備考:2011年は2012年3月現在速報値。資料:厚生労働省調べ

備考:2011年は2012年3月現在速報値。資料:厚生労働省調べ

42

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第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図125-4 労働災害率

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

0.0 0.1 0.2

度数率

強度率

調査産業計(総合工事業を除く)

鉱業、採石業、砂利採取業

製造業

電気・ガス・熱供給・水道業

情報通信業(通信業、新聞業及び出版業に限る)

運輸業、郵便業

卸売、小売業

サービス業(他に分類されないもの)(一部の業種に限る)

(2)労働災害率の状況2010年の労働災害発生状況を度数率注3及び強度率注4

から見ると、製造業は、度数率0.98、強度率0.09であり、調査産業計(総合工事業を除く)の度数率1.61、強度率0.09と比べて、低い(図125-4)。また、2009年の死傷者1人平均労働損失日数は、全

産業においては55.5日と前年より1.4日減少したが、製造業においては91.4日と前年より12.4日増加した(図125-5)。一方、2010年の製造業における休業4日以上の業務

上疾病者数は1,745人であり、前年に比べ260人増加している(図125-6)。

図125-3 死傷災害発生状況

210,108

200,633 189,589

181,900 176,047

167,316 162,862

156,726 148,248

137,316 133,948

133,598 125,918 125,750

122,804 120,354

121,378 121,356

119,291

105,718 93,419

97,706

62,404

59,068 53,653

49,896 47,587

45,645 43,293

47,054 42,269

38,840 37,753

36,165 32,921

32,518 31,275

30,054 29,732

29,458 28,259

23,046 20,139

21,116 0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11

(人)(%)

(年)

全産業死傷者数(右目盛り) 製造業死傷者数(右目盛り) 全産業に占める製造業の割合(左目盛り)

備考:1.休業4日以上の死傷災害を集計。   2.2011年は2012年3月現在速報値。資料:厚生労働省調べ

備考:点線は調査産業計 (総合工事業を除く。)を示す。資料:厚生労働省「労働災害動向調査」

注3 100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者数で、労働災害発生の頻度を表す。注4 1,000延べ労働時間当たりの労働損失日数で、労働災害の重さの程度を表す。

43

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図125-5 死傷者1人平均労働損失日数の推移

図125-6 業務上疾病発生状況

0

20

40

60

80

100

120

140

98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10

調査産業計(総合工事業を除く) 製造業

(日)

(年)

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

( 人)

(年)

製造業 鉱業 建設業 運輸交通業 貨物取扱業

別表 身体障害等級別労働損失日数表身体障害等級(級)労働損失日数(日)

1~3

7,500

4

5,500

5

4,000

6

3,000

7

2,200

8

1,500

9

1,000

10

600

11

400

12

200

13

100

14

50

備考:労働損失日数は次の基準により算出する。   死亡 ・・・・・・・・・・・・・・・7,500日   永久全労働不能 ・・・・・別表の身体障害等級1~3級の日数(7,500日)   永久一部労働不能 ・・・別表の身体障害等級4~14級の日数(級に応じて50~5,500日)   一時労働不能 ・・・・・・・所定休日も含めた暦日数の延休業日数に300/365を乗じた日数

資料:厚生労働省「労働災害動向調査」

備考:休業4日以上のものである。資料:厚生労働省「業務上疾病発生状況等調査」

44

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第2節

第1章 内外経済が変化する中での我が国製造業の動向

ものづくり労働者の雇用・労働の現状

図125-7 東日本大震災の復旧・復興に関連する死傷者数

図125-8 東日本大震災の復旧・復興に係る事故の型別死傷者数

34

382

10 19 33 2

23 0 1 2

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

製造業 建設業 陸上貨物 運送事業

商業 その他

(人)

死傷者数

死亡者数

10 2 1 5 0 3 7 0 6

205

29 21

55

18 29 51

28 42

4.9

6.9

4.8

9.1

0.0

10.3

13.7

0.0

14.3

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

0

50

100

150

200

250

(%)(人)

製造業 全産業 全産業に占める製造業の割合

墜落、転落

転倒

激突

飛来、落下

崩壊、倒壊

激突され

はさまれ、

巻き込まれ

切れ、こすれ

その他

備考1:死亡者数は、死傷者数の内数。備考2:2011年3月11日~12月31日までに発生したものである。備考3:休業4日以上の死傷災害を集計。資料出所:死亡災害報告及び労働者死傷病報告

備考1:休業4日以上の死傷災害を集計。備考2:2011年3月11日~12月31日までに発生したものを集計。資料出所:死亡災害報告及び労働者死傷病報告

(3)東日本大震災の復旧作業に関連する災害発生状況2011年3月11日に発生した東日本大震災の復旧・復

興作業に関連する死傷者数(休業4日以上)は478人で、うち死亡者数は28人である。このうち、製造業は死傷

者数34人、うち死亡者数2人である(図125-7)。一方、製造業における死傷者数を事故の型別に見ると、

「墜落・転落」が最も多く、全体の約3分の1を占めている(図125-8)。

45