第3回 里山の竹利用を考えるワークショップ ·...
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2.内容の要約
4.話題提供
3.実施内容
1.タイトル
里山の竹の活用例(砂丘再生のための竹垣,竹灯籠イベン
ト,竹チップ燃料,竹チップ発酵の熱利用システムや建材の
開発)と資源量の推定法,竹林の順応的管理について話題
提供された.総合討論では,チップを中心とした金沢方式に
よる竹林管理法開発の提案,ビジネスとしての展開などの
意見がでた.今後は研究会の発足など展開が必要である.
(1) 持続可能な保全活動のための竹の有効利用を考え,(2) 竹林保全に関わる団体が交流し,情報を共有し,(3) 新事例が刺激となり,各団体の活動が活発になることを目的と
し,事例報告と総合討論をおこなった.
近年内灘海岸では砂丘が消えつつある.クリーンビーチ内灘作戦は,平成20年より,里山の竹で竹垣をつくり,砂丘復元にトライしている.これまで3回の設置作業により,約300mの竹垣が完成し,砂がたまって砂丘ができ,きれいな風紋がもどりつつある.この活動により,山と海それぞれで活動するボランティアの間や,地元の高専や団体との交流が生まれ,新たな研究もスタートしている.
「放置竹林の整備(間伐・整理)」→「竹灯籠を作り,お祭りを開催」→「使った竹を竹の薪,竹チップに」→「燃料や肥料として利用」→「竹ストーブの開発・有機無農薬農業」といったシステムの中でエネルギー自給率100%の町をつくり,これを「ハッピーサンプル」として発信し金沢,そして世の中が変わっていくことを目標にしている.今回は「竹灯籠祭り」の様子,新たに開発した「竹チップストーブ」と竹薪について報告した.
7年ほどまえからすでに竹を使った堆肥づくり,その堆肥を使った米づくり,野菜づくりに取り組んできた.今回は新たに能登地域で展開している竹チップの活用事業として,竹チップの発酵熱を利用した温水化の試験,この熱利用システムを利用した水耕栽培の資源,竹チップのたい肥化の際に発生するカブトムシ幼虫の有効利用の可能性について報告した.
ヒラト工業では,伐採した竹をチップ化し,床材や壁材として再利用する,新たな商品を開発中である.同社は以前から廃棄瓦を再利用した舗装材などリサイクル商品の開発に取り組んできたが,これまで使ってきた瓦など「堅い物」でなく,「柔らかい」素材も使えると竹に着目した,竹の持つ抗菌作用や透水性は,セールスポイントとなる.本商品の開発が,放置竹林の整備の活性化につながることを期待する.
第3回里山の竹利用を考えるワークショップ
① 「里山の竹を海岸で活かす~竹垣による砂丘再生~」 西田恭子(クリーンビーチ内灘作戦)
② 「竹灯籠づくりと竹チップストーブについて」 山本久司(NPO法人39アース)
③ 「竹活用による産業の創出・竹チップを使った地域おこし」 合間修一(株式会社サクシード)
④ 「里山の竹を使った建築建材の開発」 平桜宙己(株式会社ヒラト工業)
6.今後の展望
・これまでのワークショップの内容をまとめ,竹の有効利用に関するレポート,手引きを作成する.
→金沢方式の開発と発信
・ワークショップ参加者を中心に,竹利用研究会を発足させる.もしくは発足に向けての準備委員
会を立ち上げる.
・今回参加していただいた「竹林景観ネットワーク」の全国規模の研究者ネットワークとの協力を検
討する.さしあたっては,竹林景観ネットワークの研究集会の金沢での開催を目指す.
・新たな実践例の調査,掘り起こし.
などが今後の展開として必要と考える.
保全活動の際にでた竹を効果的に利用するには,自分たちが活動している場所にどれくらい竹があるのか,そのうちどのくらいの量が利用できるのか,自分たちで把握しておく必要がある.本発表では,誰もが無料で利用できるグーグルの衛星画像を使い,比較的簡単に竹林のバイオマス量を推定する方法,竹林バイオマスを燃料として見たときのCO2削減効果を概算するためのモデルが提出された.
⑤ 「グーグル衛星画像を利用した竹林のバイオマス量の推計と CO2削減効果について」
吉村誠(キッズバイオマスクラブ)
竹に関する研究者やNPO団体,市民団体による「竹林景観ネットワーク」を立ち上げ,運営している.このネットワークを構築する上での経験,自身が研究者として関わってきた地域の取り組みから得た経験を元に,順応的管理を基本にした竹林保全・管理のあり方,そして産官学の連携のありかたについて報告した.
⑥ 「産官学の協働による順応的な竹林管理に向けて ~竹林景観ネットワークの活動について~」 鈴木重雄(立命館大学 文学部 実習助手)
5.総合討論・パネルディスカッション
話題提供終了後,発表者をパネリストに総合討論をおこなった.パネリストからは次のような意見が出た.・金沢は竹の有効利用,特に竹チップといった誰にでも出来る,すぐに実践できる形での利用がすすんでいる地域である.竹チップの利用を中心にした,金沢方式による竹林管理を開発し,発信してはどうか.そのためには竹林の管理から利用までトータルで管理できるコーディネーターが必要である.・里山でボランティアなどが伐採した竹を企業などが利用するには,廃棄物処理の問題が発生する.工夫してクリアする必要がある.・企業として採算がとれる事業に発展させるために,大学には科学的な分析による裏付けなどのサポートを期待している.・竹の活用を産業化し,過疎・高齢化の対策としたい.・放置されている竹に付加価値をつけ,採算のとれる活動をおこなっていきたい.具体的にどうすればよいかは,まだ模索中である.今回のようなワークショップ,ネットワークで今後も協力して考えていきたい.
第3回「里山の竹利用を考えるワークショップ」 現在の里山では,かつておこなわれていた適切な竹林管理の実施が困難にな
り,多くの竹林が放置され,各地で「竹林の拡大・侵入」や「自然災害の誘発」.「景観の崩壊」などが問題となっています.竹林保全活動をおこなう際,最も頭を悩ませるのは切った竹の処理方法ですが,各地で有効利用を目的とした事業が数多く展開しており,自然素材である「竹」は持続可能な木質資源として注目を集めています. 本ワークショップでは,(1) 持続可能な保全活動のための竹の有効利用を考
え,(2) 竹林保全に関わる団体が交流し,情報を共有すること,(3) 新事例が刺激となり,それぞれの活動が活発になることを目的とし,県内外の事例報告と意見交換会をおこないます.
◇話題提供 14:00~16:00
「里山の竹を海岸で活かす~竹垣による砂丘再生~」
西田恭子(クリーンビーチ内灘作戦)
「竹灯籠づくりと竹チップストーブについて」
山本久司(NPO法人39アース)
「竹活用による産業の創出・竹チップをつかった地域おこし」
合間修一(株式会社サクシード)
「里山の竹を使った建築建材の開発」
平桜宙己(株式会社ヒラト工業)
「グーグル衛星画像を利用した竹林のバイオマス量の推計とCO2削
減効果について」 吉村誠(キッズバイオマスクラブ)
「産官学の協働による順応的な竹林景観の創造に向けて~竹林景観
ネットワークの活動について~」鈴木重雄(立命館大学 実習助手)
◇休憩・情報交換16:00~16:30
◇ 総合討論・意見交換16:30~17:00
日時:2月14日(土)14:00~17:00
場所:金沢大学創立五十周年記念館「角間の里」2階ホール
◇お申し込み
お名前・連絡先を
金沢大学「角間の里山自然学校」事務局(担当:中村)
電話:076-264-6698,Fax:076-264-6699
までお知らせください.
主催:金沢大学「角間の里山自然学校」
共催:キッズバイオマスクラブ