第3章 大田区の公共施設...墨田区 573,000 247,606...

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- 17 - 第3章 大田区の公共施設 1.対象施設 本書では、道路、公園等のインフラ施設を除く主な 573 の公共施設を対象としていま す。これらの施設について、平成 26 年 10 月 1 日時点における維持管理や運営状況につ いて調査しました。なお、対象施設の中には、区有財産のほかに、民間からの賃貸建物 や借地等を活用している施設も含まれます。 表3-1 公共施設の施設分類および分類別施設数 施設 分類 番号 施設分類 カテゴリ 番号 カテゴリ 施設数 1 図書館等 17 2 展示等施設 9 3 運動等施設 7 4 大規模ホール等施設 6 5 集会等施設 35 6 区民利用その他施設 8 7 障がい者福祉施設 20 8 障害福祉事業を実施する事業者への貸付施設 6 9 老人いこいの家 21 10 特別養護老人ホーム等 7 11 高齢者在宅サービスセンター等 14 12 高齢福祉事業を実施する事業者への貸付施設 2 13 児童館等 75 14 保育園 50 15 子ども家庭支援センター及び母子生活支援施設 6 16 児童福祉事業を実施する事業者への貸付施設 15 5 産業支援施設 17 産業支援施設 9 6 住宅施設 18 住宅施設 53 19 小学校・特別支援学校 60 20 中学校 28 21 学校教育関連施設 5 22 庁舎施設 25 23 清掃事務所等 5 24 職員寮 4 25 諸事業を実施する事業者への貸付施設 12 26 小規模執務拠点・倉庫 9 27 防災倉庫等 30 28 自転車駐車場・駐車場 20 29 公園管理事務所等 11 30 処理施設 4 573 9 その他の施設 2 障がい者福祉施設 3 7 学校等施設 8 庁舎等施設 1 区民利用施設 高齢者福祉施設 4 児童福祉施設

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Page 1: 第3章 大田区の公共施設...墨田区 573,000 247,606 2.31平成26年7月公共施設マネジメント実行計画 文京区 440,361 206,626 2.13全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

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第3章 大田区の公共施設

1.対象施設

本書では、道路、公園等のインフラ施設を除く主な 573 の公共施設を対象としていま

す。これらの施設について、平成 26 年 10 月 1 日時点における維持管理や運営状況につ

いて調査しました。なお、対象施設の中には、区有財産のほかに、民間からの賃貸建物

や借地等を活用している施設も含まれます。

表3-1 公共施設の施設分類および分類別施設数

施設

分類番号

施設分類カテゴリ

番号カテゴリ 施設数

1 図書館等 17

2 展示等施設 9

3 運動等施設 7

4 大規模ホール等施設 6

5 集会等施設 35

6 区民利用その他施設 8

7 障がい者福祉施設 20

8 障害福祉事業を実施する事業者への貸付施設 6

9 老人いこいの家 21

10 特別養護老人ホーム等 7

11 高齢者在宅サービスセンター等 14

12 高齢福祉事業を実施する事業者への貸付施設 2

13 児童館等 75

14 保育園 50

15 子ども家庭支援センター及び母子生活支援施設 6

16 児童福祉事業を実施する事業者への貸付施設 15

5 産業支援施設 17 産業支援施設 9

6 住宅施設 18 住宅施設 53

19 小学校・特別支援学校 60

20 中学校 28

21 学校教育関連施設 5

22 庁舎施設 25

23 清掃事務所等 5

24 職員寮 4

25 諸事業を実施する事業者への貸付施設 12

26 小規模執務拠点・倉庫 9

27 防災倉庫等 30

28 自転車駐車場・駐車場 20

29 公園管理事務所等 11

30 処理施設 4

合   計 573

9 その他の施設

2 障がい者福祉施設

3

7 学校等施設

8 庁舎等施設

1 区民利用施設

高齢者福祉施設

4 児童福祉施設

Page 2: 第3章 大田区の公共施設...墨田区 573,000 247,606 2.31平成26年7月公共施設マネジメント実行計画 文京区 440,361 206,626 2.13全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

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2.保有数量の状況

(1)公共施設の保有数量

本書で対象とする公共施設の数は 573 施設、延床面積の合計は約 124 万㎡(平成 26 年

10 月現在)となっています。面積を東京ドームの広さ※1に例えると、約 27個分に相当し、

区民一人あたりに換算すると 1.76 ㎡となります。

表3-2 公共施設の保有数量

図3-1 東京 23区における各区の区民一人当たりの延床面積

※1 東京ドームの延床面積は 46,755 ㎡(東京ドームシティ公表数値)

大分類

区民利用施設 82 14.3% 191,166 15.4%

障がい者福祉施設 26 4.5% 29,173 2.3%

高齢者福祉施設 44 7.7% 56,175 4.5%

児童福祉施設 146 25.5% 86,427 7.0%

産業支援施設 9 1.6% 29,948 2.4%

住宅施設 53 9.3% 109,192 8.8%

学校等施設 93 16.2% 596,515 47.9%

庁舎等施設 34 5.9% 93,055 7.5%

その他の施設 86 15.0% 52,731 4.2%

合計 573 100.0% 1,244,382 100.0%

施設数(箇所) 延床面積(㎡)

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表3-3 東京 23区の公共施設の延床面積・人口・一人当たり延床面積

区 延床面積 人口 1人当たり 出典

千代田区 352,000 47,115 7.47 平成26年3月公有財産白書

中央区 499,834 122,762 4.07 平成17年11月財政白書(施設編)

港区 645,064 205,131 3.14 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

台東区 442,544 175,928 2.52 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

墨田区 573,000 247,606 2.31 平成26年7月公共施設マネジメント実行計画

文京区 440,361 206,626 2.13 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

品川区 765,655 365,302 2.10 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

北区 690,000 335,544 2.06 北区公共施設白書(平成23年6月)

荒川区 417,904 203,296 2.06 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

渋谷区 414,962 204,492 2.03 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

目黒区 542,000 268,330 2.02 目黒区施設白書(平成25年3月)

新宿区 604,111 326,309 1.85 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

江東区 814,382 460,819 1.77 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

大田区 1,244,382 706,025 1.76 大田区公共施設白書(平成27年3月)

足立区 1,170,000 683,426 1.71 施設白書(平成19年)

葛飾区 757,565 442,586 1.71 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

練馬区 1,182,129 716,124 1.65 練馬区施設白書(平成25年2月)

板橋区 851,000 535,824 1.59 平成25年6月公共施設等の整備に関するマスタープラン

中野区 497,000 314,750 1.58 中野区施設白書(平成26年9月)

江戸川区 1,046,442 678,967 1.54 全国自治体公共施設延床面積データ東洋大学PPP研究センター(2012年1月)

豊島区 420,000 284,678 1.48 平成25年度豊島区施設白書

杉並区 800,000 549,569 1.46 施設白書(平成19年3月)

世田谷区 1,207,979 877,138 1.38 世田谷区公共施設白書2013

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(2)施設分類別割合

①施設分類別の施設割合

施設分類別に施設数、延床面積を見ると、施設数では児童福祉施設が最も多く約 26%

を占めています。

延床面積では、学校等施設が約 48%を占め、次いで区民利用施設が約 15%を占めてい

ます。

図3-2 施設分類別の施設数量割合

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②カテゴリ別の施設数量

施設分類別をさらに細かい分類であるカテゴリ別に見ると、施設数では、児童館等が

最も多く、75施設となっています。次いで小学校、住宅施設、保育園の順となっており、

これらの施設は 50 施設以上となっています。

延床面積では、小学校が最も多くの面積を占めており、次いで中学校、住宅施設、庁

舎施設となっています。

図3-3 カテゴリ別の施設数

図3-4 カテゴリ別の延床面積

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3.ストックの状況

(1)建築年別状況

建築年別の状況を見ると、昭和 31 年から 50 年にかけて施設整備が大きく進み、その

中でも主に学校等施設が整備されています。さらに昭和 51 年から 60 年にかけて住宅施

設や児童福祉施設、高齢者福祉施設等が整備されてきました。その後、バブル経済の崩

壊とともに一時整備が減少していますが、平成3年から12年にかけて再び区民利用施設、

庁舎等施設等が整備されてきました。

整備した施設について、区は公共施設整備計画に定める公共建築物整備の技術的指針

に基づき、建築物の改築、改修を実施しています。旧耐震の建築物の耐用年数は、今後

の維持保全及び改修が継続して行われることを前提に、原則として 60 年を目安とします

が、耐震補強計画、老朽化の状況、大規模改修による施設の改良の困難さの状況等で、

解体若しくは改築又は改修の判断をしています。

また、新耐震の建築物の耐用年数は、今後の維持保全及び改修が継続して行われるこ

とを前提に、原則として 60 年以上を目安としています。なお、文化財的に価値がある建

築物や、大規模改修等による施設の改良が困難な建築物は、耐用年数によることなく、

個別に改築又は改修の判断をしています。

図3-5 建築年別施設分類別延床面積の推移

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4.管理運営の状況

管理運営状況を見ると、区の直営施設が約 53%となっており、一部業務委託を行って

いるものも含めると全体で約 70%が直営となっています。公の施設について、民間事業

者が有するノウハウを活用し、施設の設置目的を効果的に達成するために設けられた指

定管理者制度による管理施設は全体の約 23%となっています。その他、民営施設や建物、

土地を NPO 団体等に無償貸付している施設は9%となっています。

図3-6 公共施設の管理運営形態

指定管理者制度は庁舎、学校施設を除いたほとんどの公共施設で導入しており、特に

住宅施設、区民利用施設が多くなっています。

図3-7 指定管理者制度導入施設

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大分類 収入(百万円) 構成比

区民利用施設 883 19%

障がい者福祉施設 345 8%

高齢者福祉施設 15 0%

児童福祉施設 1,452 32%

産業支援施設 305 7%

住宅施設 771 17%

学校等施設 3 0%

庁舎等施設 188 4%

その他の施設 634 14%

合計 4,596 100%

5.コストの状況

(1)施設分類別の収入

施設の収入は、3か年平均で年間約 45億 9,613 万円となっています。大分類別に見る

と児童福祉施設が年間約 14.5 億の収入があり、全体の約 32%を占めています。次いで区

民利用施設で年間約 8.8 億円、全体の約 19%となっています。

図3-8 施設種類別の収入

表3-4 施設種類別の収入

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大分類 支出(百万円) 構成比

区民利用施設 4,928 27%

障がい者福祉施設 1,281 7%

高齢者福祉施設 496 3%

児童福祉施設 3,876 22%

産業支援施設 170 1%

住宅施設 943 5%

学校等施設 4,437 25%

庁舎等施設 1,494 8%

その他の施設 417 2%

合計 18,042 100%

(2)施設分類別の支出

施設の支出は、3か年平均で年間約 180 億 4,269 万円となっています。大分類別に見

ると区民利用施設が年間約 49.2 億円の支出があり、全体の約 27%を占めています。次い

で学校等施設で年間約 44.3 億円、全体の約 25%となっています。

図3-9 施設種類別の支出

表3-5 施設種類別の支出

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6.まとめ

1 保有数量の状況

本書で対象とする公共施設の数は 573 施設、延床面積の合計は約 124 万㎡(平成 26 年 10 月現在)で、

区民一人あたりに換算すると 1.76 ㎡となっています。

施設数を大分類別に見ると、児童福祉施設が も多く全体の約 26%を占めており、その他、学校等施

設、区民利用施設が全体の 15%前後を占めています。カテゴリ別に見ると、児童館等が も多く 75 施設

で全体の約 15%、次いで小学校・特別支援学校が 60 施設で全体の約 10%となっています。

延床面積を大分類別で見ると学校等施設が も多く全体の 48%を占めています。次いで区民利用施設

が全体の 15%となっています。さらにカテゴリ別に見ると、小学校・特別支援学校が も多く 37.2 万㎡(全

体の約 30%)、次いで中学校が 22.0 万㎡(全体の約 18%)となっています。

2 ストックの状況

高度経済成長時代の昭和 31 年から 60 年にかけて施設整備が大きく進み、特に延床面積の大きい学校

等施設は昭和 31 年から 50 年にかけて整備されています。

建築年別で見ると、直近では平成3年から 12 年に建設された施設が多くなっています。

今後は、老朽化対策だけではなく、新たな社会的需要に対しても計画的に対策を実施していくことが望ま

れます。

3 管理運営状況

本書で対象とする公共施設 573 施設のうち、133 施設、全体の約 23%が指定管理者制度を導入していま

す。これらの施設は、住宅施設や区民利用施設、障がい者福祉施設など、様々な施設において導入され

ています。

全体の約 53%が区の直営施設となっていることから、サービスの質の向上や施設設置目的の効果的な

達成に向け、指定管理者制度等のさらなる導入検討を行うことも必要です。

4 コストの状況

施設の維持管理・運営のために必要となる支出は、年間約 180 億 4,269 万円となっており、それに対し収

入は約 45 億 9,613 万円であり、約4倍になっています。

支出の割合の高い児童福祉施設や区民利用施設は新たな社会的需要を踏まえ、計画的に対策を実施

していくことが望まれます。

学校施設については、今後の老朽化を見据えた大規模修繕や建替え等の費用が増大することが想定さ

れるため、維持管理・運営方針においても計画的かつ効率的なコスト管理が課題となります。

今後は、これまで以上に施設の老朽化等に伴う費用が増大していくことが見込まれ、大田区の財政運営

に大きな影響を及ぼすことになります。このため、特に維持管理・運営コストの高い施設について、光熱

水費などのコスト分析とともに、その縮減に努めていくことが課題となります。