第7章 多摩と島しょ地域の消防体制...100 第7章...
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第7章
市町村の消防事務は、消防組織法に基づいて、各市町村が自ら責任をもって行うことに
なっています。
しかしながら、多摩地域の急速な市街地化に伴い、行政需要が著しく増え、市町村が独
自に消防責任を果たすよりも一体的に処理することが消防行政上望ましいと考えられ、昭
和35年以降逐次、東京消防庁へ消防事務が委託されました。
また、平成20年 3 月31日、東京都において「東京都消防広域化推進計画」が策定され、未受託地域であった東久留米市及び稲城市の 2 市が広域化対象とされ、平成22年 4 月 1 日に東久留米市が東京消防庁へ消防事務を委託しました。
一方、島しょ地域の消防は、町村の責任において実施されていますが、東京消防庁では、
危険物行政やヘリコプターによる救急活動などの行政の補完を行っています。
第7章 多摩と島しょ地域の消防体制
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第7章
第7-1図 受託区域
多摩地域の消防は、かつては特別区と一体的に処理されていましたが、昭和23年「消防組
織法」の施行に伴い、自治体消防として分離独立し市町村がそれぞれ消防責任を負うことに
なりました。
一方、特別区は、その特殊性から23区が一つの市とみなされ、一体的に消防責任を有す
ることとなり、東京都においては特別区の消防及び多摩地域における市町村消防の二つの
体制から出発しました。
その後、特別区と多摩地域との間に行財政面において格差が生じてきたため、各市町村
から消防事務の統一的処理を望む声が強くなり、次のような理由から消防力の強化に関す
る陳情がなされました。
○ 東京都の消防は、昭和23年まで警視庁消防部により一括管理されていたこと。
○ 自治体ごとの単独消防組織では、消防力の有機的機能が発揮できないこと。
○ 消防本部未設置市町村との消防相互応援協定が困難なこと。
○ 多くの市町村には、国有、都有の消防対象物が多数存在するため、市町村のみに消
防責任を負わすことに不合理があること。
○ 各市町村とも財政負担の増大に伴い財政難であること。
○ 市町村間の人事交流が不可能なため、士気が停滞していること。
しかしながら、現行法は、市町村が消防責任を果たすことを規定しており、したがって
この枠内で消防事務の広域処理の方法を検討した結果「事務委託方式」が適当であるという
ことになり、昭和35年から消防事務(消防団事務及び消防水利事務を除く。)の受託がはじ
まりました。
7-1 多摩地域の消防事務受託
受託外市
(25市 3 町 1 村)
稲城市
特
別
区
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第7章
第7-1表 受託市町村消防力等の状況
受託年月日 受 託 市 町 村 受 託 時 の 消 防 力
署所 職員 ポンプ車 化学車 はしご車 救急車 救助車
昭和35年 4 月 1 日
立川市 昭島市
国立市 小平市
国分寺市 小金井市
三鷹市 田無市
武蔵野市 保谷市
調布市 府中市
日野市 町田市
八王子市 青梅市
16市 31 666 43 - - 7 -
昭和45年 4 月 1 日 東村山市 1市 1 65 3 - - 1 -
昭和48年 4 月 1 日 福生市
羽村町
瑞穂町
1市
2町3 99 4 1 - 1 -
昭和49年 4 月 1 日
狛江市 東大和市
武蔵村山市 清瀬市
秋川市 日の出町
五日市町 檜原村
奥多摩町
5市
3町
1村
10 413 14 2 2 6 -
昭和50年 8 月 1 日 多摩市 1市 1 100 3 1 1 2 -
平成 7 年 9 月 1 日 あきる野市 (秋川市と五日市町が合併)
1市 - - - - - - -
平成13年 1 月21日 西東京市 (保谷市と田無市合併)
1市 - - - - - - -
平成22年 4 月 1 日 東久留米市 1市 2 132 2 - 1 2 1
計 25市 3 町 1 村 48 1,475 69 4 4 19 1
増 強 数 32 2,980 63 8 19 49 6
航 空 隊 1 81 - - - - -
第八方面消防救助機動部隊 1 63 - 1 - - 1
消 防 署 所 の 増 強 等 30 2,836 63 7 19 49 5
現有数(平成24年 4 月 1 日現在) 80 4,455 132 12 23 68 7
注 羽村町は平成 3 年11月 1 日に市政施行。 救助車の現有数は救助車(Ⅱ型)のみ計上している。 (第八方面救助機動部隊は他に震災対策用として、救助車(Ⅲ型)を 1 台、救助車(Ⅳ型)を 2 台保有している。) 非常用ポンプ車、非常用救急車は含まない。
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第7章
1 消防の概要
島しょ地域は、大島町をはじめ 2 町 7 村からなっています。近年、これらの地域においても消防の常備化が促進され、現在、大島町、八丈町及び三宅村には消防本部が置か
れていますが、そのほかの所では未整備となっています。
東京消防庁では、島しょ地域の危険物の許認可事務等を処理するとともに消防職・団
員の教育訓練に対する支援及び協力を行っています。
2 救急活動
島しょ地域では、年間を通して救急事故が発生しています。島の医療施設で重症患者
等の受入れが困難で専門治療が必要な場合には、ヘリコプターにより高度医療設備が
整った医療機関に搬送する必要があります。
東京消防庁では、昭和57年 4 月 1 日「島しょにおける救急患者等の搬送業務の役割分担に関する協定」に基づき、島しょ地域(伊豆諸島)の救急業務を補完するため、島しょ
町村長の要請に基づく支庁からの通報等により、ヘリコプターによる救急患者の搬送を
実施しています。
また、平成13年度から、伊豆諸島における夜間の救急患者搬送を順次開始し、平成15
年度に伊豆諸島全域に対しての運航体制を構築し、平成23年 1 月には島しょ地域からの救急患者搬送件数が6,000件に達しました。
その他、昭和55年 4 月より「行政ヘリコプター運航要綱」に基づき、物資の緊急輸送なども行っています。
なお、平成19年度から島しょ地域のメディカルコントロール体制が整備され、高度な
救命処置をする救急体制の支援及び協力を行うとともに、平成19年12月 1 日より「東京型ドクターヘリ」として島しょ地区の救急体制を充実・強化し運用しています。
第7-2表 島しょ等における救急患者等の搬送状況(過去5か年の出場件数及び輸送人員の推移)
区 分 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年
件数 人員 件数 人員 件数 人員 件数 人員 件数 人員
総 数 360 292 304 224 425 320 449 329 484 336大 島 神 津 島 利 島 三 宅 島 式 根 島 新 島 御 蔵 島 八 丈 島 青 ヶ 島 そ の 他
97 30 7
37 6
22 3
28 3
127
91 27 7
36 6
20 3
24 3
75
64 23 2
30 2
30 1
18 4
130
61222
282
261
174
61
84384
346
326
423
176
82353
346
306
393
82
108438
423
266
293
181
104 43 7
38 3
25 6
28 3
72
78 37 2
54 16 34 7
33 2
221
78372
5316337
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7-2 島しょ地域の消防事情
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