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CaTCalc SE Chemical and Thermodynamic Equilibrium Calculator Standard Edition User's Manual Ver. 1.2 Copyright © 2008-2018 AIST, RICT Inc.

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CaTCalc SE

Chemical and Thermodynamic

Equilibrium Calculator

Standard Edition

User's Manual

Ver. 1.2

Copyright © 2008-2018 AIST, RICT Inc.

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著作権

CaTCalc、及び、関連するソフトウェア製品や著作物は(国研)産業技術総合研究所がその排他的著作権を有する所有物であり、全世界においてその権利を有するものです。また、(国研)産業技術総合研究所はCaTCalc、及び、関連する製品や著作物に対して、その改善改良や、それらを提供する排他的権利を有しています。(株)計算熱力学研究所は(国研)産業技術総合研究所からのライセンスを得て、それらの改善改良と提供を行っています。 本ソフトウェアや著作物等は著作権法により保護されており、違法な複製を無許可に行うことは禁じられています。このような著作権により保護された製品の無許可複製は国際著作権法の侵害となりますので、無許可複製を行う、あるいは行うことを許可する個人、または組織は法的な告訴の対象となり得ます。

免責事項と利用規約

本ソフトウェア、関連するソフトウェア製品やデータベース並びに操作説明等のドキュメント(以下、「本ソフトウェア等」といいます。)のインストール、使用、複製(以下、総称して「利用」といいます。)は、以下の条件に同意した個人又はグループ(以下、「利用者」といいます。)にのみ許諾されるものとします。尚、以下において、「AIST」と「RICT」は(国研)産業技術総合研究所と(株)計算熱力学研究所を意味するものとします。 1. AISTおよびRICTは、明示的であるか暗示的であるかにかかわらず、本ソフトウェア等のいかなる目的

に対する適合性についても表明及び保証を行いません。またAISTおよびRICTは、本ソフトウェア等の品質、性能、欠陥の不存在、コンピューターウイルスの不存在、第三者の権利に対する侵害の不存在、サポートサービス提供、及びその内容等一切について保証を行いません。

2. AISTおよびRICTは、本ソフトウェア等の利用、利用不能、サポートサービスの提供、サポートサービスの不提供により利用者に生じる一切の損害(逸失利益、並びに、事業の中断、事業情報の喪失、人身障害、プライバシーの侵害による損害を含みますが、これらに限られません。)に関して一切の責任を負いません。たとえ、AISTあるいはRICTがこのような損害発生の可能性について事前に知り得ていた場合でも同様です。

3. 利用者が本ソフトウェア等の利用により、AISTあるいはRICTに対し損害(逸失利益、事業の中断、事業情報の喪失、人身障害、プライバシーの侵害による損害を含みますが、これらに限られません。)を与えた場合には、利用者は一切の損害をAISTあるいはRICTに対して賠償するものとします。

4. 利用者は、利用者自身の使用するコンピュータ1台にのみ本ソフトウェアをインストールすることができます。利用者は本ソフトウェアをバックアップまたは保存の目的において複製することができます。利用者は複製物を第三者へ配布することはできません。

5. 利用者は、本ソフトウェア等を利用して得られた副産物の公表又は公開に際しAISTが所有者である本ソフトウェア等を利用して得られたものであることを明記しなければなりません(参照文献は本マニュアルの最後に記載)。

6. 利用者はかかる利用権を第三者に対して譲渡又は再利用許諾することはできません。

7. AISTおよびRICTは、利用者に不正又は不当な行為を認めた場合、利用者の本ソフトウェア等の利用を制限、又は拒絶することがあります。

8. 本利用許諾条件は日本法に準拠するものとします。 2

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目次

I. 概要 II. インストール法 III. 基礎事項 IV. 表示画面とメニュー V. 各種計算法 VI. エラー対処法 VII.熱力学データ、及び、データベースについて VIII.参考文献

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Ⅰ.概要

本ソフトウェアは化学熱力学における平衡問題をGibbs Energy最小化法により解くものです。同様

なソフトは既に数多く開発されてきましたが、一般に利用するに当たって気をつけるべき点が多すぎ、よほど

使いこなさなければ間違いを犯しやすいという大きな問題を有しています。本ソフトはこの点の改善を主な

目的とし、特に様々な研究で利用される software toolとして必要な、”信頼性と品質、および使い勝

手”を重視して開発されたもので、次のような特徴を有するものです。

1. 金属系は勿論、セラミックスや金属間化合物などの系も自動で正しく計算できる。

2. 情報落ちなどの数値計算における問題を詳細に検討した信頼性の高いアルゴリズム。金属系は勿

論、微量成分が問題となるガスを含む系、セラミックス系、水溶液系(開発中)などにも強く、一般

的な系の計算が可能。

3. SGTE形式に準拠した非理想溶液、各種溶液モデルへの対応。相分離や大域的最小化問題につ

いても高い信頼性を確保。

4. 統一的な操作性。

5. 状態図、各種の特性図、液相面図、多元系のUnivariant-line投影図などの作成機能、

Target計算機能、凝固シミュレーションなどの各種計算機能を装備。

6. 水溶液モデル(希薄水溶液)のサポート。

Demo 版の制限事項 取り扱える元素数は3元素までに制限されています。

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Ⅱ.インストール法

【インストール手順】 1. 専用のインストーラーを利用します。

2. ユーザフォルダのドキュメントフォルダの中にCaTCalcSEフォルダが作成されます。その中に、以下のよう

な熱力学データや計算結果を保存するフォルダなどが作成されます。

Data: 熱力学データファイルを格納するフォルダ。但し、他の任意のフォルダのデータも利用可能。

Material: Materialファイルを格納(次期版で正式対応予定) Results: 計算結果を格納する標準フォルダ。但し、課題毎に専用フォルダの作成を推奨します。

3. ショートカットがデスクトップやスタートメニューに登録されます。

4. Software Activation:同梱のLicense.datがプログラムと同じフォルダに必要です。また、ドングルの装着が必要です。

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【必要要件】 1. OSとしてWindows7以降(Windows10を推奨)。64bit版。

2. ディスプレイ解像度は1280*728以上。

*Windowsの拡大表示機能では問題が出る場合があります。その場合は拡大表示OFFでご利用ください。

3. 必要なHD容量:100MByte程度以上。

4. メモリ:512MByte以上で多いほど良い。

5. Excel®、LibreOffice-Calcなどの表計算ソフト。

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Ⅲ.基礎事項

本ソフトウェアは、主に二つの画面より構成されています。その簡単な説明、計算条件の設定や状態図計算について説明しますが、その前に、まず、ソフトの外観やFontなどの設定を行うことをお勧めします。起動後、主画面の[File]-[Preference]で設定画面が開きますので、特にAppearanceをお好みに合わせて選んで下さい。

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本ソフトの利用に当たっては、マニュアルの参照は基本的に不要となるようにデザインしています。なお、操作が不明なときは「右ボタンで出現するポップアップメニュー」をお試しください。多くの機能を設定しています。 また、操作法についてはサンプルのProject計算を参考にしてください。計算結果をダブルクリックしてロードしますと、計算条件も再設定されます。

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メイン画面の説明:

① メニューバー

② Projectフォルダのリスト

③ アプリケーションメニュー

④ Projectパネル:3種類のタブが状況に応じて表示されます。

⑤ Viewerパネル:3種類のタブが状況に応じて表示されます。

⑥ Noteパネル:計算の備考的情報の表示やメモ

Ⅳ-1. メイン画面

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Ⅳ.表示の説明

① ➁

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File

New Folder:計算結果を保存するフォルダ(Projectフォルダ)を新規作成

Open a Folder:既存のフォルダをオープン

Recent Folders:最近使われたフォルダのリスト Save:計算結果は自動保存だが、その後のラベルの追加などの編集結果を明示的に保存。ただ、編集結果も通常は自動保存される。

Export Plot:図のJPEGなどへの出力

Export Table:結果の表の他形式への出力

Print:印刷 Preference:各種設定(Option) Exit:終了

①メニューバーの説明

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Edit(*注:Editメニューは図表示の場合とリスト表示の場合で変わります)

Copy to Clipboard :クリップボードにコピー。図表示では図が、リスト表示ではリストがコピーされる。

Swap&Copy to Clipboard : リスト表示の場合に、行列を縦横交換してコピーされる。

①メニューバーの説明

Calculation Thermodynamic Data and Reaction :アプリケーションバーのDATAボタンと同じ。

Equilibrium Calculation and Mapping :アプリケーションバーのCalculationボタンと同じ。

ReLoad Data and ReCalculate :同一条件で再計算する。

Macro :マクロメニュー(開発中の暫定版です)

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Databases Register Datafile:データベースファイルを登録。

Datafile List:登録情報の更新などのサブメニューがある。以下参照。

CDB Information:データベースの情報表示

Import TDB Files: TDB形式のファイルの取り込み。

①メニューバーの説明

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Databases Datafile List-

・Refresh Information:登録したデータベースファイルの情報を更新する。

・Edit List:データベースリストを直接編集。

・Rebuild new list:データ登録リストの再生成。

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① System:元素とデータベースファイルを指定し、熱力学データを読み込む ② Data:相や構成成分の情報表示。必要があれば、それぞれの選択解除を行う。 ③ Calculation:各種計算の選択、条件指定、実行を行う ④ Exit:終了

Ⅳ-2. アプリケーションメニューの説明

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メイン画面

システム画面:ここで対象とする元素、及び用いるデータベースファイルを選択する。

*メイン画面のアプリケーションメニューとシステム画面のタブメニューは 同じものです。

①システム画面

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①システム画面

① 周期律表 対象とする元素をここでマウスにより選択する。 ② データファイルエリア 周期律表で選択した元素を含む熱力学データファイルとその情報が表示される。 ③ Clear Selection 選択した元素をすべて解除する。 ④ Load 選択した熱力学データファイルを読み込む。

③ ④

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Condition: Copy:計算条件がクリップボードに保存されますので、Excelなどに貼り付けて保存します。

Paste:クリップボード内の計算条件をペーストして設定します。

Resume:前回の計算条件を設定します。(データベースを変更して再計算するとき利用)

Reset:初期設定にリセット

File: Close:System 画面を終了します。

①システム画面(メニューバーの説明)

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Setting:

Units:各種単位の変更が行えます。

*が付いていないものはCalculation画面の各エディットボックスのラベルをダブルクリックすることで直接に変更設定できます。

■単位設定

①システム画面(メニューバーの説明)

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Utility:

List Species:[Data]画面で選択されている各相を構成する成分の情報を計算表示します。

T-Range Check:現在の計算条件に対し、データベースの各データの保証温度内のデータのみを選択します。(どのデータが問題になり得るかの確認にのみ利用して下さい。)

①システム画面(メニューバーの説明)

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① Phases エリア(相): 相を表示します。ただし、純物質の固相と液相はPureSol と PureLiq としてまとめて表示します。 ② Species エリア(化学種): 各相を構成する化学種を表示します。ただし、純物質は相を表示します。 ③ Reaction Calculation:各データを用いた基礎的な化学反応計算が出来ます。より正確には、本来の平衡計算を行います。

② [Data]画面

② ①

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*設定の詳細はP54参照

② [Data]画面

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① Set Elements:Feed (Reactant:反応物)として元素を設定するボタンです。金属系の通常の状態図作成には便利です。 ② Add Feed:一般の反応計算や、セラミックスや金属系の断面状態図計算などを行う場合に用います。 ③ Set Default Values: 各種計算の典型的な条件設定を自動で設定します。 Feedと計算種類の設定後に用います。 ④ Calculate:計算実行をスタートするボタンです。

③ [Calculation]画面

① ② ③

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① 条件を指定する相成分を設定し、「Unit」を選択し、「value」を入力します。 ② 計算の種類を選択します。 ③ 各成分の量や温度、気圧などの計算条件を入力します。

③ [Calculation]画面

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■計算条件の保存/再設定

Dataボタンを押下して、表示された画面のメニューより エクセルにコピペ可能。計算条件の保存、再設定が可能です。

③ [Calculation]画面

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① Project / Axis / Scale

• Projectパネルに表示される各計算結果に対しては、マウス右ボタンを押して表示されるポップアップメニューの操作が可能です。

• [Load Data]で結果のデータを読み込むと、自動で右パネルに図が表示されます。その場合、同時に、Listのタブも出来ることに注意して下さい。また、左のProjectパネルにAxisタブとScaleタブが出現します。

• 一点計算などの図表示が不可能な場合は、右パネルはList表示になります。その場合、左パネルのAxisタブやScaleタブは表示されません。

• 計算結果の再ロードはProjectのリストのダブルクリックでも行えます。なお、現在のところ、Projectリストの再配列は出来ません。

• ProjectフォルダリストはメニューのRecent Foldersのリストに対応しています。リストからの削除は、Projectフォルダリストの右ボタンポップアップメニューを使ってください。

◆ Project:計算結果はプロジェクトとして自動で保存されます

Ⅳ-3. Projectと計算結果の表示

マウスの右ボタンメニュー

ProjectフォルダリストメニューのRecent Folders

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① Project / Axis / Scale

◆ Axis:軸

[Calculation]で設定した条件値が表示されます。

2元系状態図の場合の例

3元系等温断面図の場合の例

Tie Line:状態図のタイライン表示 Extremes:温度の極大点・極小点の表示(計算可能な場合のみ) Gibbs Triangle:ギブストライアングル(三元系で出現)

軸に設定する量の選択

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Error Points:このチェックボックスは、計算中にエラーが起きた場合に表示 されます。これをチェックすると、エラーが起きた点を表示し ます。エラーが起きても自動で再計算を試みますので、ほとん どの場合、無視しても問題ありませんが、念のため表示してみ ることをお勧めします。例えば、相境界が明らかに計算できて いない場合はManual scanを試みてください。

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① Project / Axis / Scale

◆ Axis:軸

TieLineとExtremesの表示図

Extremes表示の赤点は温度極大点、青点は極小点を意味します。 *各点の詳細な情報は、Shiftキーを押しながらマウスを点の近傍に持って行くとStatus表示バーに表示されます。

Status表示バー

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① Project / Axis / Scale

Detailボタンを押すと詳細設定メニューが表示されます。

Detail 詳細設定

◆ Scale:図の表示スケールの設定

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◆ Summary:計算に用いたデータベースや計算条件をまとめて表示します。

② Summary / Plot / List エリア

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② Summary / Plot / List エリア

図上の右クリックでポップアップが表示されます。詳細な編集が可能です。 相のラベル作成:Ctrl+マウスの左ボタンクリック グラフの拡大:左クリックしたまま左上から右下へドラッグ グラフの移動:Ctrl+右ボタンクリック+ドラッグ 元のグラフへ戻す:左クリックしたまま右下から左上へドラッグ

◆ Plotパネル:結果の図表示

(右クリックで表示されます)

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例えば共晶点の温度のラベル付けは次の操作で行います。 1.シフトキーを押してマウスを共晶点近傍に持って行き、共晶点の情報をステータスバーに表示させる。 2.そのままの状態でマウス右ボタンを押して、上の左図のメニューの[Add T-Label]を選択。なお、Labelの位置は軸に対応しており、図の拡大縮小や移動などに自動で追従します。そのためLabelは作図領域内にしか設置できません。 3.枠外には[Add Text]を使います。

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② Summary / Plot / List エリア

◆ Listパネル:結果の数値表示

基本的に全ての計算結果の数値が表示されます。 上図は状態図計算の場合のList表示ですが、EditメニューのSelect Listで相境界のデータなどの表示させる量を選択できます。 *Editメニューのコピーでクリップボードにコピーされますので、他のグラフ作成ソフトを用いて作図することも可能です。

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Ⅴ.各種計算

V-1. 一点平衡計算と連続計算

V-2. 状態図計算

V-3. 液相面図(Liquidus Projection)

V-4. 凝固シミュレーション(Solidification Simulation)

V-5. 断熱計算

V-6. Individual Phase Energy

V-7. 水溶液系の計算

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計算の一般的手順は以下の通りです。 1) 系を構成する元素の指定と用いる熱力学データベースの選択 2) Phase、Species の入力 3) 計算条件の設定 4) 計算実行 5) 結果のグラフ表示、リスト表示 一点平衡計算と連続計算を例に、以下に詳述します。

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Ⅴ-1. 一点平衡計算と連続計算

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1. ボタンを押下する。

・元素を選択する画面が表示されます。

2. 元素を直接クリックする。

・もしくは元素欄に直接記入してエンターを押します。(区切りはスペース) ・データファイルエリアにその元素を含む 熱力学データファイルとその情報が表示 されます。(登録されたデータファイルが表示されます。初期設定では、CaTCalcフォルダ/Dataフォルダに格納されているファイルが自動登録されます。別の場所にあるファイルや、新たに追加したファイルは手動で登録して下さい。)

ショートカットキーをダブルクリックすることで、 CaTCalcが起動します。

次ページへ

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①平衡計算の手順

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3. 必要なデータファイルを選択する。 ・DB Name横のチェックボックスを チェックすると「+」が表示され、選択されます。 ・ガスが必要な場合は 「IdealGas.EDB」を同様に選択 してください。

4. [Load]ボタンをクリックする。 ・選択したデータファイルのデータを 読込みます。

・メイン画面の“Summary”タブに選択

したDBの情報が表示されます。

[Data]ボタン画面

次ページへ

・ここで[Data]ボタンをクリックすると データファイルで定義されている相と成分の情報が“Phaseリスト”と“Speciesリスト”に表示されます。 *Pure Phase(化学量論組成の純物質相)については、Phaseリストには固相と液相をグループとして表示し、個別の相はSpeciesリストに表示します。 *通常、液相は混合しますので、Pure Phaseの液相はデフォルトで非選択に設定されます。

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①平衡計算の手順

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次ページへ

①平衡計算の手順

5. [Calculation]ボタンを押す。 ・Calculation画面が表示されます。

6. [Set Elements]ボタンをクリックする。 ・各元素が自動入力されます。

7. “Equilibrium Calc”を選択する。 *通常はこの段階で[Set Default Values]ボタンを押せば典型的な計算条件が設定されますので、その修正による条件設定が便利です。

8. [Value]値を入力する。 ・一般にValue値には数値、もしくはパラメータ、あるいはそれらの線形関数(1+2xなど)、または[b]という特別なパラメータを入力することができます。ここでは左図のように設定します。 *パラメータとしてx, y, z, w, aの5つが利用可能です(大文字も可)。bはbalanceの意味で、Feedの総量が1となるように自動で計算される従属性のパラメータです(%で計算したい場合は”b100”をお使い下さい)。 *これらのパラメータのどれかを入力すると、対応する編集ボックスが”パラメータエリア”に出現しますので、それらの値(数値)を入力してください。 ・ [Unit]列はマウスクリックで出現するドロップダウンリストから選択して下さい。なお、活量指定もこの中にあります。

9. “Temperature”と“Pressure”の値を設定する。

10. [Calculate] ボタンで実行する。

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・計算結果は左記の通りです。

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・メニューの[Option]に表示オプションがあります。

相の量 activity

相名

各元素の化学ポテンシャル

系全体のGibbsエネルギーなど。但し、体積や密度については、固相や液相の体積データがデータベースに含まれていない場合は気相の分のみを表示します。

各元素の含有割合

計算条件

①平衡計算の手順

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1. 計算モードを設定する。

・“Equilibrium Calc” にチェックが入っていることを確認する(平衡計算)。 ・“Transition Calc” にチェックが入っていることを確認する(連続計算で、転移点も求めます)。

2. [Value]値を入力する。 ・ [Unit]の単位はリストより個別に切り替え可能です。また、Def. Unitのラベルをダブルクリックすると一度に切り替えできます。

3. “X”, “Y”の値を入力する。

4. “Temperature”の値を設定する。 ・初期値(start)、終了値(end)、間隔値(step)の順に入力します。区切りは「スペース」か「コンマ」です。 ・単位をダブルクリックすることで単位の切り替えが可能です。但し、一般的ではない単位はメニューで設定可能です。

5. “Pressure”を入力する。 ・ 単位をダブルクリックすることで単位の切り替えが可能です。但し、Log(P)などはメニューでのみ設定できます。

6. [Calculate] ボタンで実行する。

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次ページへ

➁温度を変えて連続計算する

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・連続平衡計算の結果が表示されます。

*結果表示の詳細・編集はP26をご参照ください。

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➁温度を変えて連続計算する

<Fix Volume(Gas)>

体積一定の平衡計算を行うものです。 Pressure欄がVolumeに変化します。 現在のところ、ガスの体積のみを考慮していることに注意してください。

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Ⅳ-1-2 一点平衡計算と連続計算(拡張機能)

1)Phase名をダブルクリックする。 ・<Property Calculation>画面が表示 されます。

*Property Calculation 画面では、固溶

体等に対してモル Gibbs Energyの計算や

与えた化学ポテンシャルの元での最小化な

ど、いわゆるpost-calculation が出来ます。

なお、この最小化では、相分離の検出を指

定しなければ設定したSite Fractionが初期

値となり、相分離検出指定では自動で幾つ

かの初期値を試します。

*一括して複数の相のGibbs Energyを計

算する場合は、一般のCalculation画面の

Individual phase energy計算機能を用い

ます。

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[Data] 画面

③拡張機能

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2)Species名をダブルクリックする。 ・成分の<Proprties>計算画面が表示されます。

3)条件を設定して“Calculation” ボタンをクリックする。 ・各Species の個別のG, H などの計算を行うことができます。 *複数の成分に対して、一括して計算したい場合は、メニューの[Utility]-[List Species]が便利です。 ・計算結果の表示

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③拡張機能

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1. [Data]ボタンをクリックする。 ・Data画面が表示されます。 例えば、<Phases>リストの“Gas”を選択し、<Species>リストから“Fe”のチェック(+)を外すと、Gasの中にFeを含まないで計算する、という意味になります。

2. 設定後、[Calculation]ボタンをクリックする。 *“Calculation” 設定画面に進みます。

計算に含める相や成分の選択

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➃計算条件の注意事項

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V-2. Phase Diagram

*二元系も三元系も計算手順は同じです。三元系の計算例を以下に詳述します。

1. ボタンを押下する。

・<元素選択>画面が表示されます。

2. 元素を直接クリックする。

・データファイルエリアにその元素を含む 熱力学データファイルとその情報が表示 されます。

ショートカットキーをダブルクリックすることで、 CaTCalcが起動します。

次ページへ

①相図計算の手順

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①相図計算の手順

3. 必要なデータファイルを選択する。 ・DB Name横のチェックボックスを チェックすると「+」が表示されるこ とで選択したことを確認します。

4. [Load]ボタンをクリックする。 ・メイン画面の“Summary”タブに選択

したDBの情報が表示されます。 ・ここで[Data]ボタンをクリックすると 選択したDBの詳細情報が表示されます。

[Data]ボタン画面

次ページへ

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④ ③

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①相図計算の手順

次ページへ 42

5. [Calculation]ボタンをクリックする。 ・Calculation画面が表示されます。 *[Set Default Values]を用いて条件設定を行う方法を示します。[Set Elements] / [Add Feed]を使用する場合はP.44,45に記載しています。

*計算の種類としてPhase Diagramが設定されていることを確認 6. [Set Default Values]ボタンをクリックする。 ・典型的な値が Feed/Activity Condition に設定されます。三元系では等温断面図計算となります。

7. [Calculate] ボタンを押下する。 ・状態図計算が始まります。

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①相図計算の手順

・結果が自動表示されます。 次ページより ◆ 計算条件を変更する ◆ 結果を編集する ◆ [Data]画面について

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➁計算条件を変更する(Feedの設定)

◆Feedの設定には3つの方法があります。 1.[Set Elements]ボタンを使う方法 2.[Add Feed]ボタンを使う方法 3.Data画面で指定する方法

1.[Set Elements]を使う方法

① [Set Elements]ボタンをクリックする。 ・[Feed / Activity Conditions]に標準状態の元素が設定されます。

② Value値は手動で入力する。この場合も、b,x,yを用いることが出来ます。

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2.[Add Feed]を使えば、任意の組成のものをFeedとすることが出来ます。

① [Add Feed]ボタンをクリックする。 ・[Feed / Activity Conditions]に一行追加されます。Phaseを”---”のままにするとSpeciesに任意の組成を手入力で設定することが出来ます。 ② [Phase]をクリックすると、リストが出ますのでその中から選択することも出来ます。 *(注)混合組成物の「Materials」は開発中です(次期版で対応予定)。

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➁計算条件を変更する(Feedの設定)

3.[Data]画面でFeedを選択する。

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① Data画面でFeedとしたいSpeciesが含まれるPhaseを選択し、次にSpeciesのリストからそのSpeciesを選び、マウス右ボタンクリックで現れるポップアップメニューでFeed Speciesに設定します。Feedに設定できるのはSpeciesと純物質Phaseのみです。 ②設定したFeedはCalculate画面のFeed/Activity欄に設定されますが、Data画面でも確認できるように左図のようにリスト表示されます(このリストからの削除は出来ませんので、Calculation画面で行います)。 ③Calculate画面に移るとFeedが設定されています。この方法は反応前後のエンタルピー変化などが必要な計算では最も便利です。 お勧めの方法 ・一般の反応計算:[Data]画面利用 ・金属系状態図:[Set Element] ・セラミックス系状態図:[Data]画面利用、もしくは[Add Feed]で手入力 もちろん、組み合わせも可能です。

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Feed設定の削除

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➁計算条件を変更する(Feedの設定)

①リストの削除対象の行で、Ctrlキー+マウス左クリックで削除されます。あるいは左図のように右ボタンのポップアップメニューでも行えます(クリックする位置によってはポップアップが出ないことがあります。その場合は他の位置をお試しください)。

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③図を編集する

Tie Lineを表示したい場合 左ペインより[Axis]タブを選択します。 “Tie Line”にチェックを入れると図のよ うに緑色で表示されます。 X,Yの元素を変更したい場合 “X-Axis”や“Y-Axis”の値を変更し、 [Apply]ボタンをクリックして変更します。

相領域にラベル(相名)をつける場合 相名を付けたい領域の上にマウスを置き、[Ctrl]+マウス左ボタンをクリックします。すると、その領域の相名が表示されます。

Tie-Line ・・ 共存する2相の組成を示す点を結んだ共結線。 47

・計算結果の図で形が正三角形からずれている場合は、CaTCalcの全体の枠を調整してください。なおPlot領域とメモ領域の境界も移動できます。

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相領域のラベル(相名)を削除する場合 全削除:グラフ上で右クリックすると ポップアップメニューが表示 されます。”Label-Clear Labels” にて全削除します。 *グラフ上で右クリックした際にポップ アップされる ”Edit Chart”にてさらに 細かくグラフの編集が可能です。 選択削除:削除したい相ラベルの上で右 クリックするとポップアップ メニューが出ますので”Delete” を選択します。

全削除

選択削除

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③図を編集する

*各ラインの詳細編集はラインの極近傍でダブルクリックをすることで現れる編集ボックスをお使い下さい。また、各ラベルも近傍でダブルクリックすることで編集ボックスが開きます。

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➃拡張機能(Data画面)

Phase: 相のリスト Species: 選択されている相を構成する化学種リスト Reaction Calculation: 化学反応計算を行うパネル

System画面で選択したデータの詳細がそれぞれ表示されます。

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➃拡張機能(Data画面)

[Reaction Calculation]の目的 反応物と生成物を指定した個別の基本的な化学反応計算を行うものです(全体的な反応を調べる場合は、平衡計算を使います)。

反応物と生成物は、[Reaction Calculation]ボタンを押した後で、Speciesリストの右ボタンポップアップメニューで設定します。 [Balance Reaction]を押すと反応式をバランスさせることが出来ます。 温度、圧力を設定して反応計算を開始します。 結果は連続計算では図で表示されます。また、結果のリストはListタブで表示されます。なお、反応計算の結果はProjectに保存はされないことに注意して下さい。必要であればメニューの[Edit]で、コピーして保存して下さい。

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⑤ポテンシャル図

二元系、三元系の状態図計算と同様の操作で、ポテンシャル図も作図できます。

1. System画面でFe, Cr, O を選択する。 ・ここではFeCrO_Demo.cdbと IdealGas.adbを選択する。

2. [Load]ボタンをクリックする。 ・熱力学データべースを読み込みます。 ・Caluculation画面で計算条件を設定します。

3 . [Default Setting for Mapping]をクリックする。 ・デフォルト値を以下の通りに変更します。 “Phase”のO(Gas)をマウスクリックにてプルダウンリストより”Gas”を選択します。同様に”Species”も”O2”を選択しなおします。 最後に”Unit”を”log10(P)”(分圧指定)に変更します。 ・CrとFeのValueをそれぞれ0.1とbに、O2の分圧をxに設定します。 ・温度とx値を図のように指定します。

4 . [Calculate]をクリックする。

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・計算結果が表示されます。 設定内容によって計算時間に差異があります。そのまましばらくお待ちください。 *Cntlキー+左クリックで相名を表示しています。

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⑤ポテンシャル図

*注 この場合、「b=1-y」です。つまり、活量指定計算で結果として定まるO2分は総量:bに含まれません。

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Ⅳ-3 液相面図計算

①液相面図計算

V-3. 液相面図

液相面図は、液相面の交線である Univariant Line と等温線(温度等高線)により 表示します。そこでまず、Univariant Line を計算します。なお、 Univariant Line の計算は通常3成分系で表示は2Dですが、一般の多成分系では1D~6DまでのUnivariant Line計算が可能です。温度は自動で計算されますが、設定は任意の一定値とします。

*注 液相線温度は上限4000Kに設定しています。

1. FeCrC_Demo.cdbを用いてFe-Cr-C系のデータを読み込む。 2. 計算の種類で”Liquidus Projection”を選び[Set Default Values]をクリックする。

3. [Calculate]ボタンをクリックする。 ・計算が開始されます。 ・液相面図が表示されます。必要に応じてラベル付けを行います。 *液相面図における相ラベルは、初晶(温度低下に伴い、液相から最初に晶出する固相)の相名です。

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①液相面図計算

Marker

温度の極値点

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3. [Axis]タブ の “Marker” にチェックを入れる。 ・markerは計算点です。Axis軸上の計算を確認することが出来ます。

*注 液相線温度計算は上限4000Kに設定しています。

4. [Axis]タブの”Extremes” をチェックする。 *Extremes は Univeriant Line 上などでの温度の極大点(赤)および極小点(青)を表示するものです。 ・Shiftキーを押しながらマウスのカーソルをこれらの極値点に合わせると、下欄のStatus barに情報が簡易表示されます。

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①液相面図計算

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等温線

5. 等温線はメニューバーの[Edit]-[Isotherms of the Liquids Projection] を選択するか、あるいは、Plot画面のポップアップメニューで[Isothermal Curve]を選択。 ・<Isothermal Curve> 確認画面が表示されます。Liquidus Projection の計算で得られた情報をもとに、最適な設定値を自動計算し、表示します。必要に応じて設定を変更してください(Start値、End値、Step値)。

6. [OK] ボタンをクリックする。 ・等温線図が計算表示されます。 *[Axis]タブに“Isothermal” チェックボックスが表示されます。ここで等温線の表示のOn/Off が可能です。 *ポップアップメニューの[Edit Chart]ではより詳細な設定が可能です。 *液相線検出の上限温度は内部で4000Kに設定していますので、それ以上の等温線は計算されません。

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液相面図の作図アルゴリズムは、上記の2Dの場合を例に取ると、まず(X,Y)=(0,0), (0,1), (1,0)の3端点の各組織において凝固点を検出し、次にそれらの凝固点を初期値として3つの二成分系の液相線を定めます。それによって、三成分系の液相線の初期値を求め、最後にそれらを初期値として三成分系の液相をTrace するというものです。よって、液相線の検出ミスはまず無いと思われます。 しかし2D以外では簡略化しています。つまりパラメータ(X,Y,Z,W,A)の順に従い、まず全てZeroの1点組成(Balance指定の元素)で凝固点を検出、次にXについて液相線を定め、次にXについて液相線を定め、次に(X,Y)について2Dの液相線を定め、次に(X,Y,Z)について・・というようにしていきます。 従って、NDの液相線ではパラメータを入れ替えた計算も行う必要があります。なおNDでExtremeは液相線上のみです。 特に何も指定しない場合は母相(Parent Phase)として液相が自動設定されますが、Phase List でのTarget指定により液相以外の相を母相に選択することもできます(Ⅶ参照)。

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①液相面図計算

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V-4. 凝固シミュレーション

凝固シミュレーションでは、計算条件を全て一点の固定値に設定します。

1. FeCrC_Demo.CDBからFe-Cr-C系のデータを読み込み、計算種類はSolidification Simulationを選択し、[Set Default Values]を押して左図のように設定を修正する。

2. [Calculate]ボタンをクリックする。

3. “Cooling Simulation” 画面が表示される。 ・ここでは“Cの逆拡散”にチェックを入れず、そのまま[OK]ボタンをクリックします。 *Cの逆拡散を考慮したシミュレーションはパラ平衡と呼ばれるものです。 ・計算後、自動でグラフが表示されます。凝固シミュレーションの詳細や結果の意味については、書籍や文献等を参照して下さい。

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V-5. 断熱計算

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1. System画面でSi,Cを指定し、IdealGas.adb、PureLiq.adb、PureSol.adb を選択する。

2. [Load]ボタンをクリックする。 ・選択したDBを読み込みます。

3. [Calculate]ボタンをクリックする。

4. [Set Elements]ボタンをクリックする。 ・Valueのデフォルト値をそれぞれ「1」に設定します。 ・”Equilibrium Calc”をチェックします。 ・”Extra Conditions” と“H-S Target”にチェックを入れ、”Fix Feed Condition” の温度を1400℃にします。これはこの温度程度で反応が急速に始まるからです。 “Temperature”の編集ボックスの色が黄色に変わりますが、これは温度をターゲット変数として計算することを示しています。その値は計算で決まりますので、設定値は無視されます。

5. [Calculate]で計算を実行する。 ・計算結果が表示されます。 *断熱燃焼温度は2800℃近くになり、固相のSiCが生じることがわかります。 これはSiとCの反応熱のため温度が上昇したということを意味します。

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V-6. Individual Phase Energy

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個別の相のエネルギー計算は、各相のGibbsエネルギーの振る舞いを一度に比較する場合に便利です。また、内部自由度がある相で、その内部自由度については最適化したGibbsエネルギーを計算したい場合に用います。

1. Data画面で対象とする相を選択する。

2. Calculation画面で計算条件を設定する。 ・”Individual Phase Energy” を選択 ・[Set Default Values]ボタンをクリック

3. [Calculate]ボタンをクリックする。 ・ 計算結果が表示されます。

*化学量論組成の純物質相などで、指定した計算条件では計算不可能な場合も含まれている場合はエラーメッセージが出ます。これらは無視して下さい。

② ③

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V-7. 水溶液系の計算

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水溶液系も他の物質と組み合わせて計算することが可能です。CaO-CO2の水溶液系の状態図計算例を示します。

1. System画面で[Include Aqueous Phase]をチェックし、左図のように元素を指定の後、DiluteAq.adb、IdealGas.adb、およびPureSol.adbを選択しデータを読み込む。なお、DiluteAqは希薄水溶液のデータベースです。

2. Calculation画面で計算条件を設定する。 ・”Phase Diagram” を選択 ・[Set Default Values]ボタンをクリック ・二行目、三行目を左図のように修正する。

3. [Calculate]ボタンをクリックする。 ・ 計算結果が表示されます。

①状態図計算

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②プールベ図計算

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プールベ図(電位-pH図)計算ではchargeが必要になりますので元素としてEも選択します。以下ではFeのプールベ図の例を示します。

1. System画面で[Include Aqueous Phase]をチェックし、左図のように元素を指定の後、DiluteAq.adb、IdealGas.adb、およびPureSol.adbを選択しデータを読み込む。

2. Calculation画面で計算条件を設定する。 ・”Phase Diagram” を選択 ・[Set Default Values]ボタンをクリック。*Eが含まれている場合はDefaultではpHとEhが同時に設定されます。必要が無い場合は削除してください。 ・左図のようにパラメータ値を修正する

3. [Calculate]ボタンをクリックする。 ・ 計算結果が表示されます。 (*重要)Eの利用について 前ページのような通常の中性条件での計算でも、Eを陽に含んで計算することが可能です。多成分系ではその方が計算が安定する場合があります。

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VI.エラー対処法

VI-1. 一般的エラー

計算エラーが起きた場合、ガス相が含まれていない場合はガス相を追加してみて下さい。(通常は自動で追加しますが、例えば相名のラベル付け計算では追加しません。)なお、金属系の計算でもガス相を加えた方が良い場合があります。その他、データベースに問題ないか確認してください。多成分系では主要な成分のみの系で再計算を試すなどの方法があります。

VI-2. 状態図計算

相境界が途切れる場合は右ボタンメニューの[Manual scan]を試してください。但し、液相面図には未対応です。

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VII-1. 相モデル CaTCalcでは、以下の各種モデルがサポートされています。 ・気体 Ideal gas ・液相 Ionic two-sublattice liquid model Associate solution model Modified QuasiChemical Model ・固相(結晶相) Compound energy formalism (Sublattice model) ・磁性 Inden model for magnetic contribution ・規則・不規則変態 Split-sublattice model for order-disorder transition ・圧力依存性 Grover EOS ・水溶液系 HKF Aqueous phase models Extended UNIQUAC model 今後、非理想ガスモデルなどを開発する予定です。

VII-2. データベース形式について 標準テキスト形式としてADB形式とCDB形式があります。どちらもGibbsエネ

ルギーの多項式で表すものですが、前者はTAB区切りのCSV形式で、ガス成分や化学量論組成の純物質に用いています。後者は固溶体や液相など非理想溶液を表現するもので、SGTEのTDB形式とほぼ同様な表記を用いるものです。詳しくはお問い合わせください。

VII-3. 専用データベースについて 以下のCaTCalc専用データベースを用意しています。

1. RICT-Pure:純物質(固相、液相)とガス相の化学種 2. RICT-Fe:鉄基合金用データベース 3. RICT-Sol:汎用金属系データベース 4. RICT-Ceram:セラミックス系データベース(開発中) 5. その他、Mg基、Zn基、Cermetなど各種 これらは暗号化されて提供されます。詳細はお問い合わせください。

ⅤII.データベース

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1. “Development of New Equilibrium Calculation Software: CaTCalc”, K. Shobu and T. Tabaru, Mater. Trans., Vol. 46, No. 6, p. 1175 (2005).

2. “CaTCalc : New thermodynamic equilibrium calculation software”, Kazuhisa Shobu, CALPHAD, 33 (2009), pp 279-287.

ⅤIII.参考文献