税務署だより 消費税法改正のお知らせ...

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消費税法改正のお知らせ 平成 27 年4月 税務署 国内事業者 国外事業者 役務の提供 〈納税義務者〉 税務署 国内事業者 国外事業者 消費者 役務の提供 〈納税義務者〉 税務署 申告納税 平成 27 年4月に消費税法の一部が改正されました。主な改正内容は次のとおりです。 「電気通信利用役務の提供」と内外判定基準の見直し 課税方式の見直し(「リバースチャージ方式」の導入) 電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気 通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基 準が、役務の提供を行う者の事務所等の所在地から「役務の提供を受ける者の住所地等」に見直されました。 電気通信利用役務の提供について、当該役務の提供を行う者及び当該役務の提供を受ける者に応じた改正前及 び改正後の課税関係は、次のとおりとなります。 「電気通信利用役務の提供」について、課税方式が以下のとおり見直されます。 取引 改正前 改正後 国内取引:課 税 国外取引:不課税 国外取引:不課税 国内取引:課 税 国内取引:課 税 国外取引:不課税 国外取引:不課税 国内取引:課 税 国内取引:課 税 国内取引:課 税 ※改正前の取引①及び③は、輸出証明書の保存などの所 定の要件を満たすことで輸出免税の対象となります。 上記⑤のとおり、国内事業者が国内の事業者や消費者に対して行う電気通信利用役務の提供については、課税 関係に変更はありません。 ※「電気通信利用役務の提供」を国外に住所地等がある者へ提供している場合、改正後は国外取引として不課税となります。 リバースチャージ方式は、経過措置により当分の間は、当該課税期間について一般課税により申告する場合で、課税売 上割合が 95%未満である場合にのみ適用されます当該課税期間について、課税売上割合が95%以上の事業者や簡易課税制度が適用される事業者は、「事業者向け電気通 信利用役務の提供」を受けた場合でも、経過措置により当分の間は、その仕入れがなかったものとみなされますので、当 該仕入れについては、消費税の申告の際に考慮する必要はありません。 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し ※「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者は、当該役務の提供について役務の提供を受けた国内事業者が納税義務者となる 旨を、あらかじめ表示しなければならないこととされています。 事業者向け電気通信利用役務の提供に係る課税方式 (リバースチャージ方式) 左記以外の電気通信利用役務の提供 (国外事業者申告納税方式) 国外事業者が行う「事業者向け電気通信利用役務の 提供」について、当該役務の提供を受けた国内事業者 に申告納税義務を課す方式(対象取引例:広告の配信) 国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のう ち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外のも のについて、国外事業者に申告納税義務を課す方式(対 象取引例:電子書籍・音楽の配信) ※「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、役務の性質又は当該 役務の提供に係る取引条件などから、当該役務の提供を受ける者が 通常事業者に限られるもの 国内事業者が申告・納税 を行います。 当該役務の提供に係る課 税仕入れは、仕入税額控除 の計算の基礎となります。 国外事業者が日本の税務 署に申告・納税を行います。 当該国外事業者も事業者 免税点制度の適用対象とな ります。 国内事業者 国外事業者 消費者 消費者 No. 80 10 税務署だより

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Page 1: 税務署だより 消費税法改正のお知らせ 平成27年4月国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し ... これに伴い、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、法人税の納税義務のある法

消費税法改正のお知らせ 平成 27 年4月税務署

国内事業者 国外事業者

役務の提供

〈納税義務者〉

税務署

申告納税

国内事業者 国外事業者消費者

役務の提供

〈納税義務者〉

税務署

申告納税

平成 27 年4月に消費税法の一部が改正されました。主な改正内容は次のとおりです。

「電気通信利用役務の提供」と内外判定基準の見直し

課税方式の見直し(「リバースチャージ方式」の導入)

電子書籍・音楽・広告の配信などの電気通信回線(インターネット等)を介して行われる役務の提供を「電気通信利用役務の提供」と位置付け、その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するか否かの判定基準が、役務の提供を行う者の事務所等の所在地から「役務の提供を受ける者の住所地等」に見直されました。電気通信利用役務の提供について、当該役務の提供を行う者及び当該役務の提供を受ける者に応じた改正前及び改正後の課税関係は、次のとおりとなります。

「電気通信利用役務の提供」について、課税方式が以下のとおり見直されます。

取引 改正前 改正後① 国内取引:課 税 国外取引:不課税② 国外取引:不課税 国内取引:課 税③ 国内取引:課 税 国外取引:不課税④ 国外取引:不課税 国内取引:課 税⑤ 国内取引:課 税 国内取引:課 税※改正前の取引①及び③は、輸出証明書の保存などの所定の要件を満たすことで輸出免税の対象となります。

上記⑤のとおり、国内事業者が国内の事業者や消費者に対して行う電気通信利用役務の提供については、課税関係に変更はありません。※「電気通信利用役務の提供」を国外に住所地等がある者へ提供している場合、改正後は国外取引として不課税となります。

ポイント

リバースチャージ方式は、経過措置により当分の間は、当該課税期間について一般課税により申告する場合で、課税売上割合が 95%未満である場合にのみ適用されます。

当該課税期間について、課税売上割合が 95%以上の事業者や簡易課税制度が適用される事業者は、「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合でも、経過措置により当分の間は、その仕入れがなかったものとみなされますので、当該仕入れについては、消費税の申告の際に考慮する必要はありません。

ポイント

国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し

※「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者は、当該役務の提供について役務の提供を受けた国内事業者が納税義務者となる旨を、あらかじめ表示しなければならないこととされています。

事業者向け電気通信利用役務の提供に係る課税方式(リバースチャージ方式)

左記以外の電気通信利用役務の提供(国外事業者申告納税方式)

国外事業者が行う「事業者向け電気通信利用役務の提供」について、当該役務の提供を受けた国内事業者に申告納税義務を課す方式(対象取引例:広告の配信)

国外事業者が行う「電気通信利用役務の提供」のうち、「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外のものについて、国外事業者に申告納税義務を課す方式(対象取引例:電子書籍・音楽の配信)※「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、役務の性質又は当該

役務の提供に係る取引条件などから、当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの

 国内事業者が申告・納税を行います。 当該役務の提供に係る課税仕入れは、仕入税額控除の計算の基礎となります。

 国外事業者が日本の税務署に申告・納税を行います。 当該国外事業者も事業者免税点制度の適用対象となります。

国内事業者 国外事業者

消費者 消費者

②③ ④国

 内

国 外

国 内

国 内

国 外

国 外

No.8010

税務署だより

Page 2: 税務署だより 消費税法改正のお知らせ 平成27年4月国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し ... これに伴い、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、法人税の納税義務のある法

地方法人税が創設されました

課税標準法人税額 = 別表一 ( 一 )「4」 欄 + 別表一 ( 一 )「5」 欄 + 別表一 ( 一 )「7」 欄           + 別表一 ( 一 )「9」 欄 + 別表一 ( 一 )「10 の外書 」 欄

(算式)

平成 26 年3月 31 日に公布された「地方法人税法(平成 26 年法律第 11 号)」により地方法人税が創設されました。

これに伴い、平成 26 年 10 月1日以後に開始する事業年度から、法人税の納税義務のある法人は、地方法人税の納税義務者となり、地方法人税確定申告書の提出が必要となります。

なお、地方法人税確定申告書と法人税確定申告書を一つの様式としています(裏面参照)ので、この様式を使用することにより、法人税確定申告書と地方法人税確定申告書の提出を同時に行うことができます。

地方法人税の概要(1)課税事業年度

地方法人税の課税の対象となる事業年度(以下「課税事業年度」といいます。)は、法人の各事業年度とされています。

(2)課税標準

地方法人税の課税標準は、各課税事業年度の課税標準法人税額とされており、法人税申告書別表一 (一 )を使用する法人の場合、次の算式により計算した金額となります。

(3)税額の計算

地方法人税の額は、課税標準法人税額に 4.4%の税率を乗じた金額となります。なお、法人税について外国税額控除の適用を受ける場合で、控除対象外国法人税の額が法人税の控除限

度額を超えるときは、地方法人税についても外国税額控除の適用を受けることができます。(4)確定申告

地方法人税確定申告書は、各課税事業年度終了の日の翌日から 2月以内に納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。なお、課税標準法人税額がない場合であっても地方法人税確定申告書を提出する必要がありますので、

この場合には、「基準法人税額 」、「 地方法人税額 」及び 「所得地方法人税額 」の各欄に「0」と記載して提出してください。

(注 1)法人税の納税義務のない法人(例えば、公益法人等及び人格のない社団等で収益事業を行っていないものや国内源泉所得を有しない外国法人)や清算所得に対する法人税を課される平成 22 年 9月 30 日以前に解散した内国法人である普通法人又は協同組合等については、地方法人税確定申告書を提出する必要はありません。

(注 2)法人税確定申告書の提出期限が延長されている場合には、地方法人税確定申告書の提出期限は、その延長された提出期限となります。

(5)中間申告

平成 27年 10月 1 日以後に開始する課税事業年度において、法人税の中間申告書を提出すべき法人は、地方法人税についても中間申告書を提出することになります。

平成 26 年9月

国  税  庁

No.80 11

税務署だより

Page 3: 税務署だより 消費税法改正のお知らせ 平成27年4月国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し ... これに伴い、平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、法人税の納税義務のある法

地方法人税申告書の様式◎法人税申告書別表一 (一 ) から別表一の二 (三 ) までの各様式(以下「別表一 (一 ) 等」といいます。)の下部が地方法人税申告書となっています。  なお、別表一 (一 ) 等には、それぞれ次葉が設けられていますので、「法人税額」、「地方法人税額」及び「課税留保金額に係る地方法人税額」に記載する金額の計算や所定の項目の記載に当たっては、次葉を使用してください(別表一 (一 ) 等及び次葉の様式は国税庁ホームページ(www.nta.go.jp)に掲載しています。)。◎以下は、書面で提出していただく場合の別表一 (一 ) です。

(注)平成 26 年9月 30 日以前に開始した事業年度については、地方法人税確定申告書の提出は不要ですので、法人税の申告の際は「平成 26 年4月1日以後終了事業年度分」の別表一 (一 ) 等をご使用ください。

◎このリーフレットに関するご質問、ご不明な点がございましたら、最寄りの税務署にお問い合わせください。

平二十六・十・一以後開始事業年度等分(注)

法人税額の計算

地方法人税額の計算

No.8012

税務署だより