無線機は測定して初めて使える - rf-world8 no.13 1.1 無線機を測るために...

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8 No.13 1.1 無線機を測るために そろえたい測定器 無線機を評価するためには測定器が必要です.電波 法による規制について解説する前に, 電波法の基本規制項目を確認するために必要 な測定器 通信システムとしての動作を確認するために 必要な測定器 あれば便利な測定器 を紹介します. ちなみに「測定器」とは測定を行うための器具・装 置などを指しますが,しばしば「計測器」とも呼ばれ ます.JIS Z 8103 (計測用語)によれば図 1.1 のような 関係にあり,計測器の方が広い範囲を指します. 測定システムの実例 まずは測定システムの実例をご覧いただき,本特集 で説明する無線機測定のようすをイメージしてくださ い. 第1章 そろえたい測定器,無線装置, 目的と基準,アナログ無線機とディジタル無線機 無線機は測定して初めて使える 藤田 昇 Noboru Fujita 特集 〈 写真 1.1 〉通話用ディジタル無線機 (タクシー無線用,450 MHz 帯,出力 5 W) の測定風景 周波数カウンタ MF1603A (アンリツ) RF パワー・メータ 437B (アジレント) スペクトラム・ アナライザ 8563E ( アジレント ) ディジタル移動 無線テスタ MS8604A (アンリツ) 供試機 ディジタル / アナログ・ デュアル・モード・タクシー無線機 JHM-438H(日本無線) 方向性結合器 MP520D (アンリツ) ダミー・ロード (アジレント) 3信号パッド MP659A (アンリツ) 信号発生器 E4432B (アジレント) 信号発生器 ESG-D3000A (アジレント) 直流電源 6632B (アジレント) 送信部テスト用測定器群 受信部テスト用測定器群 見本 PDF

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  • 8 No.13

    1.1 無線機を測るためにそろえたい測定器

     無線機を評価するためには測定器が必要です.電波法による規制について解説する前に,

    ● 電波法の基本規制項目を確認するために必要な測定器

    ● 通信システムとしての動作を確認するために必要な測定器

    ●あれば便利な測定器

    を紹介します. ちなみに「測定器」とは測定を行うための器具・装置などを指しますが,しばしば「計測器」とも呼ばれます.JIS Z 8103(計測用語)によれば図1.1のような関係にあり,計測器の方が広い範囲を指します.

    ■ 測定システムの実例

     まずは測定システムの実例をご覧いただき,本特集で説明する無線機測定のようすをイメージしてください.

    第1章 そろえたい測定器,無線装置,目的と基準,アナログ無線機とディジタル無線機

    無線機は測定して初めて使える藤田 昇Noboru Fujita

    特集

    〈写真1.1〉通話用ディジタル無線機(タクシー無線用,450 MHz帯,出力5W)の測定風景

    周波数カウンタMF1603A(アンリツ)

    RFパワー・メータ437B(アジレント)

    スペクトラム・アナライザ8563E(アジレント)

    ディジタル移動無線テスタMS8604A(アンリツ)

    供試機 ディジタル /アナログ・デュアル・モード・タクシー無線機JHM-438H(日本無線)

    方向性結合器MP520D

    (アンリツ)

    ダミー・ロード(アジレント)

    3信号パッドMP659A

    (アンリツ)

    信号発生器E4432B

    (アジレント)

    信号発生器ESG-D3000A(アジレント)

    直流電源6632B

    (アジレント)

    送信部テスト用測定器群 受信部テスト用測定器群

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  • 9No.13

    特集 はじめての無線機測定

    ● ディジタル・タクシー無線機 写真1.1は450 MHz帯,出力5Wの通話用ディジタル無線機(タクシー無線用)の測定風景です.この無線機はチャネル・セパレーション6.25 kHzでπ/4シフトQPSK変調(9.6 kbps)を採用しています. 左側は送信部テスト用,右側は受信部テスト用と測定機ラックが分かれており,この写真は送信部の測定中です.スペアナや送信機テスタの画面に波形が表示されていますが,記憶画面を表示させています. ケーブルにピンク色の付せんが付いていますが,これは個々の測定用ケーブルに高周波の損失を記入したものです.けっして差し押さえの札ではありません(Hi). 写真1.2は,写真1.1ではわかりにくい方向性結合器(通称「方結」)とパワー・センサ部分のクローズア

    ップです.空中線電力はアッテネータ付きパワー・センサで測定しています.アッテネータの前に方結(方向性結合器)を入れて空中線電力の一部を取り出し,①ディジタル移動無線送信機テスタ,②スペクトラム・アナライザ,③周波数カウンタへの入力としています.この例では,それぞれの測定器への入力信号は,ケーブルを手で付け替えて切り替えるので,同時測定はできません.

    〈図1.1〉JIS Z 8103(計測用語)による「測定器」の位置づけ

    〈写真1.2〉方向性結合器とパワー・センサ部分のクローズアップ

    方向性結合器MP520D(アンリツ)

    結合ポートの50Ω終端器DML-510(フジソク)

    パワー・センサ付属のアッテネータ(アジレント)

    パワー・センサ8482B

    (アジレント)

    標準器など測定器 計器

    計測器

    RFパワー・メータE4416A(アジレント)

    WLANテスト・セットMT8860C(アンリツ)

    スペクトラム・アナライザR3365A(アドバンテスト)

    パワー・センサ8481A(アジレント)

    供試機 無線LANブリッジJRL-710(日本無線)

    パソコン画面トルク・レンチ

    〈写真1.3〉専用測定システムを使って2.4 GHz帯無線LANを測定しているようす

    見本PDF