第三回新産業分科会...

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芝浦工業大学 学長補佐 大学院工学マネジメント研究科 教授 日本学術会議 情報学委員会 ソフトウエア工学分科会 委員長 情報サービス産業協会 副会長、技術委員会委員長 國井秀子 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション 2014.1.17. 1

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Page 1: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

芝浦工業大学 学長補佐 大学院工学マネジメント研究科 教授

日本学術会議 情報学委員会 ソフトウエア工学分科会 委員長

情報サービス産業協会 副会長、技術委員会委員長

國井秀子

第三回新産業分科会

新産業振興のためのイノベーション 2014.1.17.

1

CS981074
テキストボックス
資料1
Page 2: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

アウトライン

• ソフトウエア視点からの国内産業の課題 • イノベーションエコシステムの構築 • 日本学術会議ソフトウエア工学分科会の提案 • 情報サービス産業協会の提案

2 Hideko Kunii

Page 3: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

新産業振興に向けて

• 新産業はイノベーションから シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と解釈され、狭い)

• ソフトウエアはイノベーションの鍵の技術 • 日本の産業は製造業をはじめソフトウエアを十分活用し切れていない

• 日本の情報サービス産業は十分な国際競争力がない

• R&D、人材の育成が共にグローバルな変化にスピーディに対応できていない

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国際競争力(IMD) 2013年日本 60ヶ国中24位

Hideko Kunii

Page 4: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

ソフトウエア視点からの国内産業の課題

• 近年の社会・経済の急速な変化ICTの進化、グローバル化等によるパラダイムシフト – ハード中心の成功体験による日本の対応遅れ – 「モノづくり」回帰がソフトウエアを重視していない? – 製造業におけるIT投資の少なさ(日本は米国の約1/4)

• ソフトウエア人材育成・活用の遅れ – 大学における構造的問題 – 若手の意思決定への参加遅れ (年功序列により若手ソフトウエア技術者の権限が少ない)

• 情報サービス産業、ソフトウエア産業の構造上の問題 – 多重下請け構造によりイノベーションが起きにくい体質 – 極端に少ないR&D投資 – ユーザー企業のIT体制の弱さ

• 設備が中心の投資ではソフトウエアの強化は図れない

4 Hideko Kunii

Page 5: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

パルミサーノ・リポート(2004年) イノベーションエコシステムの必要性

• 技術革新の普及のスピードアップ • イノベーションは より技術的に複雑、境界領域の拡がり • イノベーションは技術の交差点から • 科学者、技術者、生産者、ユーザーの連携がキー • 現場の社員や消費者の創造性を要求

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死の谷を越える 取り組み

EU: FP7, HORIZON ドイツ: Industrie 4.0 (Securing the future of German manufacturing industry)

Hideko Kunii

Page 6: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

– 同時並行プロセスの コンカレント・モデルへ – ユーザーなど ステークホルダーとのコラボレーション

イノベーション: 新たな研究開発プロセスの構築

急速な変化への対応 オープン化、グローバル化 プラットフォーム化、国際標準化

産学官連携の重要性

従来:リニアモデル

今後:コンカレントモデル

リーンスタートアップ 全体最適化

死の谷

6 Hideko Kunii

Page 7: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

ソフトウエアの視点から

イノベーションの阻害要因

• 「モノづくり」に向けての管理主義的傾向

-失敗を恐れる減点主義

• 人材の多様性のなさ

– 女性、外国人社員の低い比率

フォルクスワーゲンの挑戦

7

高品質とイノベーションは別物 プラットフォーム化の理解度 アジャイル開発の遅れ アーキテクトの不足

同質文化による集団知の限界

新産業開拓には イノベーションが必要

Hideko Kunii

Page 8: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

イノベータに活躍の場が本当にあるか?

• 情報処理振興機構(IPA)の未踏プロジェクト – 創造性豊かなスーパークリエータを育成

• しかし、日本企業にはイノベーション文化がない – かなりがGoogleなどに行ってしまう – 日本企業に勤めても、2-3年で辞めてしまう

• なにが問題か? – 過剰な管理主義 – 柔軟性のない社会制度

Googleの30%ルール

「スーパーエクリエータが日本企業で活躍できていない」

8 Hideko Kunii

Page 9: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

イノベーションエコシステムの構築

• 企業内でのR&D、人材育成では非効率 – 同質文化による集団知の限界 – 最新技術、幅広い技術の活用・統合は企業内だけでは困難

• オープンイノベーション – 幅広い最新技術の取り込み – システム統合力が必要 – グローバル視点

大学・研究機関等との有機的連携が重要 9

自社

他企業 大学

エコシステム

Hideko Kunii

Page 10: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

日本学術会議 情報学委員会 ソフトウエア工学分科会の提案(案)

• 実践的ソフトウエア工学研究センター – NII、産総研等を核に産学官連携 – 先導的応用の実践的研究プロジェクト – 大学病院タイプのインターンシップ – 起業家育成リアルプロジェクト

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フラウンホーファ・モデルの実現

オープンデータ等の活用

Hideko Kunii

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新産業推進のために 多様な人材を

• 新たなニーズ – 今困っている人は? 働く女性

• 新たな発想による起業の支援 – 女性の発想は無視されがち

• 女性の育成と支援 – 特に、理系女性 – 社会人教育

女性の起業家 育成・支援

起業推進

11 Hideko Kunii

Page 12: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

情報サービス産業協会JISAの提案

• ワークスタイルの変革 • 人材の多様性の確保

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イノベーションに向けて • テレワークの推進 • 女性のエンパワーメント

親子で一緒に利用できる 共用サテライトオフィスの産業化

• 「ユビキタスワークスタイル成熟度モデルの開発」の開発・普及

• JISAのテレワーク推進目標:政府目標の2倍

Hideko Kunii

Page 13: 第三回新産業分科会 新産業振興のためのイノベーション新産業振興に向けて • 新産業はイノベーションから. シュンペターのイノベーション(日本はイノベーションを技術革新と

提案:「親子で一緒に利用できる共 用サテライトオフィス」の産業化を実現 するビジョンと実証実験 ~子育てとキャリアの両立を目指す 女性(イクメンを含む)を支援

「ITを活用して情報サービス産業のワークスタイルを場所と 時間に縛られない形態に変革し、企業競争力強化と就労者 のクオリティ オブ ライフ(QOL)向上を同時に実現する。」

情報サービス業界のテレワーカーの割合を2020年までに20%を目指す (注)情報サービス業界のテレワーカーの定義: ふだん収入を伴う仕事を行っている人の中で、仕事でICTを利用している人、かつ、自分の所属する企業 及び 顧客常駐先以外で、ICTを利用できる環境において仕事を行う時間が1週間あたり8時間以上である人。

JISA ワークスタイル変革とIT プロジェクト ビジョン策定(2013年4月 委員会報告)

世界最先端のIT国家創造宣言(2013年6月 閣議決定)

「雇用形態の多様化とワーク・ライフ・バランスの実現」 就業継続が困難となる子育て期の女性や育児に参加する男性、介護を行っている 労働者などを対象に、週一回以上、終日在宅で就業する雇用型在宅型テレワークに

おける、労働者にやさしいテレワーク推奨モデルを産業界と連携して支援

JISA テレワーク推進目標 (2013年11月 第253回理事会決議)

JISA テレワーク推進目標の達成向けた取組

社会的課題

【働く育児女性の視点】 待機児童の解消に向けた施策推進は評価。 しかし、育児との両立はなお困難 (保育所の送り迎え・子供の急病・学校行事)

【企業の視点】 育児への専念はキャリアの中断が生じ、女 性の活用・登用の視点で評価できない。

育児と勤務の無理のない両立支援 (職業生活と家庭生活との両立支援)

企業内託児所は 子連れ通勤となり 実行困難。 サテライトオフィスを 企業が自力で子育て 社員の数だけ開設 するのも困難。

社会的課題解決の処方箋

【国・自治体の視点】 社会保障への負担が増大するなかで、財政 支援にも限度あり。応能負担の徹底が必要。

「ユビキタス ワークスタイル 成熟度モデル」 の開発・普及

「親子で一緒に利用できる共用サテライトオフィス」の産業化 情報サービス産業協会JISAの提案

処方箋に関する 実行上の課題

共用サテライトオフィス : 複数の企業が共同で利用するオフィス 13 Hideko Kunii

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変革に向けて

• イノベーションのエコシステム構築 • 下請け文化からの脱却支援 • 実践的人材育成への投資

– シリコンバレー等への留学生増強 – フラウンホーファ・モデルの実現

• ワークスタイルの変革による人材多様性の確保

14 Hideko Kunii

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参考資料

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集団の知的生産性向上には “Evidence for a Collective Intelligence Factor in the Performance of Human Groups”, Anita Williams Woolley, et al. Science 330, 686(2010)

• キーファクター –女性比率 –発言の平等性

• 社会的感度が重要

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参考資料 1

Hideko Kunii