疑義照会簡素化...
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疑義照会簡素化プロトコル説明会
滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部 炭 昌樹
2017年7月6日19:00~ 滋賀医科大学臨床講義室1
調剤上の形式的な照会を簡素化して、患者待ち時間の短縮、保険薬局薬剤師・処方医の業務負担を軽減する。
疑義照会簡素化プロトコルとは?
薬物療法の安全性の向上、患者指導、残薬対策等の充実を図る。
目的
疑義照会簡素化プロトコルとは?
薬剤師は,処方せん中に疑わしい点があるときは,その処方せんを交付した医師,歯科医師又は獣医師に問い合わせて,その疑わしい点を確かめた後でなければ,これによって調剤してはならない。
薬剤師法 第24条
薬剤師法 第23条2項薬剤師は、処方せんに記載された医薬品につき、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師の同意を得た場合を除くほか、これを変更してはならない。
疑義照会簡素化プロトコルとは?
厚生労働省医政局長通知(医政発0430第1号)以下に掲げる業務については、現行制度の下において薬剤師が実施することができることから、薬剤師を積極的に活用することが望まれる。① 薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変
更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコルに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。
疑義照会簡素化プロトコルとは?
原則 変更時処方医に疑義照会→同意が得られれば処方を変更
処方箋どおりに調剤
プロトコル・ 特定の変更については事前に合意
・ 事後の報告(情報共有)は必須
疑義照会簡素化プロトコルの運用
お願い!
処方変更し調剤した場合は、変更後の処方箋、および修正内容を記載した施設間情報連絡書をFAXにて薬剤部に送信してください。
厳守して下さい
〈処方変更・調剤後の連絡〉
疑義照会簡素化プロトコルの運用
【保険薬局側】
2 プロトコルに合致していれば、疑義照会せずに変更
3 当院薬剤部に処方箋および施設間情報連絡書をFAXする
1 院外処方せん応需
疑義照会簡素化プロトコルの運用
【病院薬剤部側】
2 変更点を明記した処方箋をスキャンしてカルテに掲載
1 保険薬局からのFAXを受け、薬剤部にてカルテ内の処方を修正
3 掲示板に修正内容を記録(次回受診日まで表示)
疑義照会簡素化プロトコルの運用
施設間情報連絡書
患者ID
情報提供施設(その他特記事項まで必要な情報を記載) 情報提供依頼施設(依頼項目のチェックまで記載)
①
②
□なし □あり
副作用歴・アレルギー歴 被疑薬剤名、経過、転帰等
□なし □あり
□不明(疑い)
服薬状況等 本人以外の内服管理者の有無、飲み忘れの有無と頻度等の内容 など
その他特記事項 患者への服薬指導上で注意すべき事項 など
依頼項目
□ 処方薬 □ OTC・サプリメント等の使用□ 調剤上の留意点 □ 副作用歴・アレルギー歴□ 服薬状況等 □ その他( )
※全ての項目を記入する必要はありません 依頼項目以外でも必要と判断した情報は記入して下さい※お薬手帳や薬歴等をFAXしていただいても結構です
OTC・サプリメント等の使用
調剤上の留意点 粉砕・一包化[別包の有無]、経管投与の有無 など
□ 添付資料あり[ □ お薬手帳 □ 薬剤情報提供文書 □ 薬歴 □ その他( )]
処方薬 処方施設/診療科、医薬品名、用法用量、自己調節の有無、服用日(週1回○曜日服用) など
電話番号
FAX番号
メールアドレス メールアドレス
FAX番号
施設名施設名
担当者 担当者
電話番号
施設間情報連絡書いつもお世話になっております。このたび下記患者様の医薬品に関する情報の連携を深めるため、
□ ①情報提供をお願いします(依頼項目にチェック)。 □ ②情報提供をさせていただきます。
ふりがな□ 男□ 女
生年月日 歳 患者氏名
疑義照会簡素化プロトコルの運用
(処方変更に係る原則)
先発医薬品において「変更不可」の欄にチェックがあり、かつ保険医署名欄に処方医の署名又は記名・押印がある場合は、処方薬を後発医薬品に変更できない。
「変更不可」の記載がある場合は、その指示に従う。
処方の変更は、各医薬品の適応及び用法用量を遵守した変更とすること。また安定性や溶解性、体内動態等を考慮し、患者の利便性が向上する場合に限る。
患者に十分な説明(服用方法、価格、安定性等)を行い、同意を得た上で変更する。
本プロトコルの具体例①~⑯
①成分名が同一の銘柄変更
ボナロン錠35mg→ フォサマック錠35mg
アレンドロン酸錠35mg「○○」
*先発品同士でも可(ただし患者への説明と同意が必要)
銘柄変更
②剤形の変更(安定性、利便性の向上のための変更に限る)
ビオフェルミンR散 → ビオフェルミンR錠アムロジピン錠5㎎ → アムロジピンOD錠5㎎アレロックOD錠5㎎ → アレロック錠5㎎(粉砕)ムコダイン錠500㎎1錠 → ムコダインDS50%1g
*用法用量が変わらない場合のみ可。*安定性、溶解性、体内動態、服用状況等を考慮して
行ってください。*軟膏→クリーム剤、クリーム剤→軟膏の変更は不可。
剤形変更
③別規格製剤がある場合の処方規格の変更(安定性、利便性の向上のための変更に限る)
5㎎錠 1回2錠 → 10㎎錠 1回1錠10㎎錠 1回0.5錠 → 5㎎錠 1回1錠
規格変更
半割、粉砕など④服薬状況等の理由により処方薬剤を半割、
粉砕、混合すること、あるいはその逆(規格追加も含む)。ただし、抗がん薬を除く。
(粉砕)ワーファリン錠1㎎ 2.5錠
ワーファリン錠1㎎ 2錠ワーファリン錠0.5㎎ 1錠
*安定性のデータに留意してください。*必ず患者に説明(服用方法、患者負担額)後、
同意を得て変更してください。
⑤「患者希望」あるいは「アドヒアランス不良で一包化による向上が見込まれる」の理由により、治療上必要性があると判断されるものに対し一包化調剤を行うこと(抗がん薬及びコメントに「一包化不可」とある場合は除く)。
*上記以外の理由は、合意範囲外とする。*必ず患者に説明(服用方法、患者負担額)後、同意を
得て調剤してください。*安定性のデータに留意してください。
一包化
⑥湿布薬や軟膏での規格変更に関すること(合計処方量が変わらない場合)。
マイザー軟膏0.05%(5g) 2本
マイザー軟膏0.05%(10g) 1本
外用剤の規格変更
⑦薬歴上、継続処方されている処方薬に残薬があるため、投与日数を調整(短縮)して調剤すること(外用剤の数量の変更も含む)、及びDo処方が行われたために処方日数が必要日数に満たないと判断される場合の投与日数の適正化。
プラビックス錠75㎎ 30日分 → 27日分(3日分残薬があるため)ルリコンクリーム1% 3本 → 2本(1本残薬があるため)
日数調整
*必ず施設間情報連絡書を用いて残薬が生じた理由に関する当院への情報提供をお願いします。施設間情報連絡書がない場合には、次回の診療時に患者に不利益が生じることもあり得るので厳守してください。
*処方箋における「保険薬局が残薬確認した場合の対応」において、「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」の項目にチェックがある場合は、処方医に疑義照会した上で変更してください。
*前回処方から継続されている薬剤に限る(頓服処方は除く)。
日数調整
⑧服薬歴がある配合剤が、単剤の組み合わせ(同一成分および同一含量)に変更されたと判断でき、患者が希望した時に元の配合剤へ変更すること。
(薬歴上) ミカムロ配合錠AP 1錠(今回処方) ミカルディス錠40㎎ 1錠
アムロジピンOD錠5㎎ 1錠→ ミカムロ配合錠AP 1錠 に変更可能
*薬歴等に基づき、滋賀医大病院への入院による変更が明らかな場合に限る。
配合剤へ戻す
⑨薬歴等で乳酸菌製剤が継続使用されていることが確認できる場合において、抗菌薬が併用されていない場合のビオフェルミンRからビオフェルミンへの変更、またはその逆。
*併用期間のみビオフェルミンRへ変更する場合には、ビオフェルミンとの 合計日数は元のビオフェルミンの処方日数を超えないこと。
乳酸菌製剤の変更
⑩薬歴等で処方されるべきでない診療科からの処方であることが明確な場合における、重複処方の削除。
*処方期間が重なり、処方期間中に元の処方診療科を受診することが確認された場合に限る。
(薬歴上) A科処方 アリセプトD錠5㎎B科処方 バイアスピリン錠100㎎
(今回処方) A科処方 アリセプトD錠5㎎B科処方 バイアスピリン錠100㎎
アリセプトD錠5㎎→ B科のアリセプトD錠5㎎を削除
重複処方
⑪患者の希望があった場合の消炎鎮痛外用貼付剤における、パップ剤→テープ剤、テープ剤→パップ剤への変更。
*成分が同じものに限る。枚数に関しても原則同じとする。
貼付剤の剤形
⑫DPP-4阻害薬の週1回製剤、あるいはビスホスホネート製剤の週1回、月1回製剤が、連日投与の他の処方箋と同一日数で処方されている場合の処方日数の適正化。
*処方間違いが明確な場合に限る。
処方日数の適正化
(他の処方薬が14日分処方のとき)ザファテック錠100mg(週1回製剤)1錠分1朝食後 14日分
→ 2日分ボナロン錠35mg (週1回製剤)1錠分1起床時 14日分
→ 2日分
⑬外用剤の用法(適用回数、適用部位、適用タイミング等)が口頭で指示されている場合、用法を追記する。
*処方箋上、用法指示が空白で、薬歴上あるいは患者面談上用法が明確な場合。
用法記載の補完
(口頭で腰痛時に腰に貼付するよう指示があったと患者から聴取した場合)モーラステープL 3袋 1日1回 → 1日1回 腰
⑭内用薬の用法が頓服あるいは回数指定で処方箋に記載があり、具体的な用法が口頭等で指示されている場合の用法の追記。外用剤の用法(適用回数、適用部位、適用タイミング等)が口頭で指示されている場合、用法を追記する。
*処方箋上、用法指示が空白で、薬歴上あるいは患者面談上用法が明確な場合。
用法記載の補完
ラシックス錠40㎎ 1錠 1日1回→ 1日1回 体重が50kgを超えた時
⑮「1日おきに服用」と指示された処方薬が、連日投与の他の処方薬と同一の日数で処方されている場合の処方日数の適正化。
*処方間違いが明確な場合。
処方日数の適正化
(他の処方薬が30日処方のとき)バクタ配合錠 1錠 分1朝食後 1日おき 30日分
→ 15日分
⑯医師の了解のもとで処方されている漢方薬の食後投与。
*患者面談上、食後投与が妥当と判断された場合に限る。
漢方薬の用法
本プロトコルの導入によって
より一層、薬剤師的・薬学的な薬物療法への関わりや連携に注力できるよう願っています!
*検査値チェック
*吸入連携
*CKDシール、他
最後に、過誤の報告について
調剤等に関する過誤を確認された場合は、薬剤師会のみでなく病院側へもご報告をお願いします。