多摩内科による川崎市立多摩病院の新たな教育・診療体制の...

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トピックス 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 44, pp. 157–164, 2016 1 聖マリアンナ医科大学 内科学 2 川崎市立多摩病院 総合診療内科 3 聖マリアンナ医科大学 呼吸器内科 4 聖マリアンナ医科大学 神経内科 5 聖マリアンナ医科大学 内分泌・代謝内科 6 聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科 多摩内科による川崎市立多摩病院の新たな教育・診療体制の構築について つち とも 1, 2 西 にし さこ ひさし 1, 2 くに しま ひろ ゆき 1, 2 じゅん 1, 3 ほり うち まさ ひろ 1, 4 こん どう あき ひこ 1, 5 おく あき 1, 6 すず みち ひろ 1, 6 まつ たか ひで 1, 2 (受付:平成 28 9 19 ) 川崎市立多摩病院 (指定管理者 学校法人聖マリアンナ医科大学) (以下当院) 市中の急性 期病院としての医療を提供するとともに医師の臨床研修病院としても大きな役割を担ってい 今回当院における更なる臨床研修体制の充実を目的として呼吸器内科消化器・肝臓 内科神経内科腎臓・高血圧内科総合診療内科代謝・内分泌内科が一体となり診療を行 う多摩内科と総称した体制を確立した入院診療では 45 名の医師がローテーションをしつ 5 チームを編成しcommon disease を中心として併せて 7080 床の病棟運営を行い外来 診療では内科専攻医を対象に総合診療内科の外来研修を行っている内科専攻医は6 ヶ月の 研修期間中に内科専門医取得に関わる 67%の症例を経験できることが確認された今後地域 医療の推進および臨床研修のために多摩内科の更なる充実が必要と考えられる索引用語 川崎市立多摩病院多摩内科内科専攻医common disease 当院は2006 年に開院した川崎市北部地域に位置 指定管理者制度により学校法人聖マリアンナ医 科大学が管理運営する ICU10 床を含む 376 床を有 する病院である21 万人が居住する多摩区における 唯一の急性期医療を担う市立病院として 24 時間 365 日の救急対応を基本方針とした病院運営を行うとと もにプライマリ・ケアを中心とした臨床研修病院 でもある従来から聖マリアンナ医科大学は人材の 育成高度な医療の提供および川崎北部地域のお ける中核医療機関として大きな役割を担っており近年では国民から求められる医療のあり方や超高 齢社会の到来に伴う疾病構造の変化により教育・診 療体制の見直しが求められていることから更なる プライマリ・ケア領域の充実を図る必要があった当院の内科は総合診療内科消化器・肝臓内科吸器内科代謝・内分泌内科腎臓・高血圧内科神経内科循環器内科の 7 科より構成されており142 床の内科病棟を担当している2015 年度より 総合診療内科 10 呼吸器内科 2 神経内科 3 消化器・肝臓内科腎臓・高血圧内科代謝・ 内分泌内科よりそれぞれ 1 名が一つのグループとな 7080 床の病棟運営を構成するいわゆる多摩内 科を編成した上記専門科が加わり本格的に運営が 始まったことで病棟・外来運営のみならず内科 専攻医教育に関しても成果をあげているためここに 55 157

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  • トピックス 聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 44, pp. 157–164, 2016

    1 聖マリアンナ医科大学 内科学2 川崎市立多摩病院 総合診療内科3 聖マリアンナ医科大学 呼吸器内科4 聖マリアンナ医科大学 神経内科5 聖マリアンナ医科大学 内分泌・代謝内科6 聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科

    多摩内科による川崎市立多摩病院の新たな教育・診療体制の構築について

    土つち

    田だ

    知とも

    也や

    1, 2 西にし

    迫さこ

    尚ひさし

    1, 2 國くに

    島しま

    広ひろ

    之ゆき

    1, 2

    佐さ

    治じ

    淳じゅん

    子こ

    1, 3 堀ほり

    内うち

    正まさ

    浩ひろ

    1, 4 近こん

    藤どう

    朗あき

    彦ひこ

    1, 5

    奥おく

    瀬せ

    千ち

    晃あき

    1, 6 鈴すず

    木き

    通みち

    博ひろ

    1, 6 松まつ

    田だ

    隆たか

    秀ひで

    1, 2

    (受付:平成 28 年 9 月 19 日)

    抄 録川崎市立多摩病院 (指定管理者 学校法人聖マリアンナ医科大学) (以下当院) は,市中の急性

    期病院としての医療を提供するとともに,医師の臨床研修病院としても大きな役割を担っている。今回,当院における更なる臨床研修体制の充実を目的として,呼吸器内科,消化器・肝臓内科,神経内科,腎臓・高血圧内科,総合診療内科,代謝・内分泌内科が一体となり診療を行う多摩内科と総称した体制を確立した。入院診療では 4〜5 名の医師がローテーションをしつつ 5 チームを編成し,common disease を中心として併せて 70〜80 床の病棟運営を行い,外来診療では内科専攻医を対象に総合診療内科の外来研修を行っている。内科専攻医は,6 ヶ月の研修期間中に内科専門医取得に関わる 67%の症例を経験できることが確認された。今後,地域医療の推進および臨床研修のために,多摩内科の更なる充実が必要と考えられる。

    索引用語川崎市立多摩病院,多摩内科,内科専攻医,common disease

    緒 言

    当院は,2006 年に開院した川崎市北部地域に位置し,指定管理者制度により学校法人聖マリアンナ医科大学が管理運営する ICU10 床を含む 376 床を有する病院である。21 万人が居住する多摩区における唯一の急性期医療を担う市立病院として 24 時間 365日の救急対応を基本方針とした病院運営を行うとともに,プライマリ・ケアを中心とした臨床研修病院でもある。従来から聖マリアンナ医科大学は人材の育成,高度な医療の提供および,川崎北部地域のお

    ける中核医療機関として大きな役割を担っており,近年では国民から求められる医療のあり方や,超高齢社会の到来に伴う疾病構造の変化により教育・診療体制の見直しが求められていることから,更なるプライマリ・ケア領域の充実を図る必要があった。当院の内科は総合診療内科,消化器・肝臓内科,呼吸器内科,代謝・内分泌内科,腎臓・高血圧内科,神経内科,循環器内科の 7 科より構成されており,計 142 床の内科病棟を担当している。2015 年度より総合診療内科 10 名,呼吸器内科 2 名,神経内科 3名,消化器・肝臓内科,腎臓・高血圧内科,代謝・内分泌内科よりそれぞれ 1 名が一つのグループとなり 70〜80 床の病棟運営を構成するいわゆる多摩内科を編成した。上記専門科が加わり本格的に運営が始まったことで,病棟・外来運営のみならず,内科専攻医教育に関しても成果をあげているためここに

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  • 図 1 多摩内科チーム表 例 2015 年 4 月〜 ( ) は医師年数

    図 2 多摩病院の内科の体制

    報告する。

    目 的

    当院の新たな多摩内科における診療実績を明らかにし,臨床研修プログラムとしての有用性につき検討することを目的とする。

    方 法

    以下に多摩内科の構成及び研修内容を述べる。

    1) 病棟部門のチーム構成多摩内科は病棟部門として 5 つのチームで構成さ

    れる (図 1)。総合診療内科,腎臓・高血圧内科,呼吸器内科,神経内科の教員がチームリーダーを担い,そのもとに若手医師や各科をローテーション中の初期臨床研修医を含め 1 チームは 4–5 名の医師編成である。医学生は総合診療内科の BSL が 4–5 名,神経内科の BSL が 1 名配属される。各専門科の責任者はスーパーバイザーとして各チームを指導・統括す

    る。具体的には総合診療内科が主体となるチームは2 あり,呼吸器内科が主体となるチームは 1,神経内科が主体となるチームは 1,腎臓・高血圧内科が主体となるチームは 1 でスタートした (図 2)。上記のほか,消化器・肝臓内科,腎臓・高血圧内科,循環器内科の医師はそれぞれの専門医療を担うため主に専門疾患のみを扱う独立したチームも併せて有することしている。

    2) ローテーション上記チームリーダーとなる医師は 1 年を通じて固

    定され,総合診療内科の若手医師はそれぞれのチームを 2 か月ごとにローテーションし,専門科領域の診療をおこなった。臓器別専門科からの若手医師は総合診療内科を主体となるチームへ配属させた。2015 年度は消化器・肝臓内科および代謝・内分泌内科の医師がローテーションを行った。

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  • 3) 外来研修多摩内科では内科の外来研修として,総合診療内

    科の専攻医のみならず,臓器別専門科の医師に週 1回の総合診療内科外来を総合診療内科スタッフの指導のもと実施している。2015 年度は,ローテーション中の消化器・肝臓内科および代謝・内分泌内科医師が研修を行った。

    4) カンファレンス毎朝 8 時より前日からの夜間入院症例に関しての

    カンファレンスを,各診療科責任者であるスーパーバイザーを含めた多摩内科全員でおこなっている。各科専門医とともに疑問点をディスカッションし,治療方針を立てたうえで,それぞれのチームに割り振りを行っている。加えて,月曜日の 7 時半からは,多摩内科の医師がそれぞれの専門領域のレクチャーを互いにするだけではなく,循環器内科,アレルギー・膠原病内科,泌尿器科など,多摩内科以外の各専門診療科へレクチャーを依頼し,教育体制の充実を図っている。

    結 果

    以下に 2015 年度の多摩内科診療実績を述べる

    1:2015 年度多摩内科の入院患者多摩内科では 2015 年度で 1,763 名の入院診療を

    行った。患者割合として,DPC 病名上位疾患を表 1に示す。呼吸器感染症が 319 名(18.1%)と最も多く,次いで糖尿病 98 名(5.6%),肺癌 75 名(4.3%),尿路感染症 71 名(4%),脳梗塞 70 名(4%),不随意運動 67名(3.8%),間質性肺炎 41 名(2.3%),気管支喘息 31名(1.8%),心不全 30 名(1.7%),COPD 28 名(1.6%),ウイルス性腸炎 28 名(1.6%)がそれに続いた。

    2:専攻医を想定した若手医師の研修実績O 医師 (消化器・肝臓内科のローテーション医師)

    は 2015 年 4 月〜2015 年 9 月までの半年間,多摩内科の病棟を研修し,病棟医として 205 名を担当した(図 3)。内訳は肺炎や尿路感染をはじめとした感染症領域の疾患のみならず,シャント狭窄,糖尿病教育入院,イレウス,電解質異常などさまざまな領域の疾患を担当医として経験した。また同時期に,週 1回の総合診療内科での外来研修をおこない,167 名の外来患者を担当した (図 4)。こちらも上気道炎や

    急性腸炎といった急性期疾患のみならず,高血圧,脂質異常症などの慢性疾患,またその他の多くの疾患群を経験した。

    考察および結語

    医師の育成,特に初期臨床研修においては,バランスの取れた総合的視点をもった指導医の監督下で,研修医が患者を主体的に診療するプロセスを繰り返すことが最も有効とされる1)。1980 年代から大学病院や臨床研修指定病院などの中核病院で総合診療部門が相次いで設立された。総合診療部 (科) に求められる卒前教育としては,外来や訪問診療,地域医療の現場教育,臨床推論,ケースカンファレンス,PBL・TBL,医療面接などが挙げられ,卒後教育としてはカリキュラムの立案,研修環境のチェック,評価,指導医教育,研修医の身体精神面での健康管理といわれている1)。また,2018 年度より開始される新専門医制度の基本領域である内科専門医や総合診療専門医取得のために経験すべき疾患は多岐にわたり,新専門医制度では総合診療専門医だけでなく内科専攻医も common disease をはじめとした疾患の外来研修が必須となっているなど,患者・住民の視点からも総合的な医療を求められている。以上により内科専門医や総合診療専門医を目指す専攻医へcommon disease を始めとする幅広い疾患の診療経験を積むことができる教育環境を提供することが,医育機関として重要となる。

    佐々木らの調査では 2014 年現在,全国の大学病院には 52 施設の総合診療部 (科) があり,実際に病床をもつのは約半数の 27 施設であり,10–20 床の病床数が 20 施設と最も多く,40〜50 床の病床数は 2施設である2)。卒後研修者には十分な症例数を経験する必要があり,多くの研修者を対象とする場合,病床数を含めた診療規模の確保が必要不可欠である。一般病院における総合診療内科では呼吸器感染症を始めとする common disease を中心に診療を行っており3),4),大学病院でも本来は大学総合診療部 (科) がその役割を担う必要がある。しかしながら,大学病院の多くが特定機能病院として一般の病院などから紹介された高度先端医療行為を必要とする患者を対象とし,また実際には臓器が細分化された大学病院における総合診療内科の入院症例は不明熱や喘息,電解質異常,めまい,原発不明癌などが主を占めており,糖尿病教育入院や臓器特異的な悪性腫瘍,脳

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  • 表 1 多摩内科 DPC集計における上位 20 疾患 2015 年 4 月〜2016 年 3 月

    梗塞など,臓器が特定できるような common diseaseは各臓器別専門科が診療を行うことが多いのが現状である5),6)。

    多摩内科の病棟患者は多摩内科発足前には主に総合診療内科が担当していた肺炎や誤嚥性肺炎など感

    染症が上位を占め,そこに代謝・内分泌内科が主に担当する糖尿病教育入院,呼吸器内科で担当する肺癌,慢性閉塞性肺疾患,神経内科で担当する脳梗塞,不随意運動 (ジストニア),髄膜炎が続いており,70〜80 名の病床規模は我が国でも最大規模であるととも

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  • 図 3 総数 = 205 名

    図 4 総数 = 167 名

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  • に,豊富な指導医数を含めて大学病院との連携体制もあり理想的な研修環境である。現状では,総胆管結石や肝臓癌,急性心筋梗塞や狭心症,透析が必要な腎不全など専門医が担当する疾患はそれぞれ消化器・肝臓内科,循環器内科,腎臓・高血圧内科の専門チームが担当しているため多摩内科には含まれていないものの,今後更なる連携・研修体制の強化が求められる。

    2015 年度の総合診療内科の外来は初診 6,578 名,再診 11,434 名,合計 18,012 名であり,初診再診比率は 36,5 %であった。大学の総診では診療所と比較して身体表現性障害や気分変調症などが多く,一般的な疾病の診療としては課題があり7),8),また実際には地域診療所においては慢性疾患の通院患者が主体となり初診患者は少ないことも踏まえて,当院の総合診療内科は外来診療の研修としても活用が期待されている。

    内科専門医取得には 56 疾患以上の経験と 160 症例以上 (外来 1 割以上) を登録。29 の要約は査読を受け,受理するまで改訂を重ねる必要があり,目標は 70 疾患,200 症例以上の経験である。具体的には内科学会が提出している内科専門医制度の研修手帳より A:主担当医として自ら経験した,B:間接的に経験している,C:セミナーなどで学習したに疾患を分けている。A の疾患は全部で 215 症例である。0 医師の外来では上気道炎,胃腸炎など急性期疾患のみならず,高血圧,脂質異常症,逆流性食道炎,頭痛などの慢性疾患も幅広く経験した。また,少数ではあるが,線維筋痛症や外側大腿皮神経痛といった珍しい疾患や急性心筋梗塞,急性膵炎といった重症疾患も初期対応を学ぶことができた。その他にも不明熱や胸部不快感,四肢しびれなど総合診療内科特有の患者の診察も行った。0 医師の病棟患者は肺炎,腎盂腎炎などの感染症に加え,シャント狭窄,腎不全,糖尿病が上位に挙がった。これは前半に腎臓・高血圧内科の医師と,後半に代謝・内分泌内科医師と同じチームになり症例を共有できたからである。0 医師が経験した病棟,外来経験と合わせると A 疾患の中で 143 症例,67%を経験したことになる。

    内科医は現状での多摩内科の構成に加えて,多様な診療科との相互理解および連携が求められ9–11),今後も指導および協力体制の整備が必要である。また,当院での基礎的な研修後は,その後の進路も大学院

    を含めた研究生活,一般病院,診療所など幅広い活躍に繋がることが示唆されており12),聖マリアンナ医科大学の更なる人材育成に資すると考えられ,これらの知見と経験は,多摩内科における研修が今後の聖マリアンナ医科大学における卒後臨床研修のモデルのひとつとなることが期待される。

    結 語

    今後,新専門医制度が開始となった際,多くの専攻医が多摩内科をローテーションすることが予測される。新しい試みであり,病院執行部および各診療科の十分な理解と,診療科医師同士のコミュニケーションがさらに重要となる。大学病院所属の各科専門医と,総合診療内科医が同じチームとなり協力しながら勤務する体制は全国をみても当院のみである。多摩内科としての教育環境が確立し継続することで,大変魅力的な教育機関となり,他研修病院からの専攻医獲得への波及効果も期待できる。その際にも十分で安全な教育環境が整えられるよう,多摩内科としての研修プログラムの振り返りを行いながら指導体制をさらに構築することが重要である。

    参考文献

    1) 郡 義明.総合診療の現状と展望 IV 教育における役割 2. 卒後教育.日本内科学会雑誌 2003;92: 34–39.

    2) 佐々木陽典,瓜田純久,佐藤高広,前田正,石井孝政,渡辺利泰,宮崎泰斗,原規子,本田善子,島田長人,中嶋均.大学病院総合診療科の診療実態.日本病院総合診療医学会雑誌 2015;9: 1–8.

    3) 中村剛史,袴田康弘,土井朝子,立松充好,小島紘一,山本和利.市中急性期病院における総合診療科入院患者の検討,静岡県立総合病院医学雑誌 2005; 19: 3–9.

    4) 岡本 朋,久保田尚子,西澤明弘.総合診療科入院患者の特徴 臨床研修の到達目標についての検討,プライマリ・ケア 2009; 32: 40–43.

    5) 大嶋弘子,内藤俊夫,久木野 純子,福田友紀子,坂本直治,三橋和則,武田直人,奥村 徹,礒沼 弘,渡邉一功,林田康男.総合診療科における不明熱患者 215 症例の解析,順天堂医学2005; 51: 167–173.

    6) 鳥飼圭人,石井修,稲村祥代,清水裕子,根本

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  • 隆章,武岡裕文,秋山佳子,土田浩生,成田信義,松田隆秀.聖マリアンナ医科大学病院における総合診療内科入院症例の特徴.日本プライマリ・ケア連合学会誌 2010; 33: 110–114.

    7) 石塚晃介,森本美登里,渡辺雄幸,丹羽義和,奈良典子,長谷川修.大学病院総合診療科と地域診療所における受診理由の比較と検討,日本病院総合診療医学会雑誌 2014; 6: 40–44.

    8) 原田芳巳,平山陽示,和久田佳奈,大滝純司.全国の大学医学部・医科大学付属病院 (本院) での初期研修医の総合診療の外来研修に関する調査 現状と今後の課題,医学教育 2015; 46:425–428.

    9) 井上 和彦,塚本 真知,山下 直人,楠 裕明,本

    多 啓介,大学病院総合診療科の役割 walk-in患者における緊急入院症例の検討より.川崎医学会誌 2012; 38: 173–179.

    10) 辻本 俊弥,川島 佳代子,橋本 聖子,今井 貴夫.救急総合診療部受診例と耳鼻咽喉科受診例のめまい患者の比較検討.耳鼻咽喉科臨床 2011;104: 477–483.

    11) 山内理海,古川正愛,宮本真樹,竹内啓祐,総合診療医と救急患者との関わり.広島県立病院医誌 2008; 40: 17–20.

    12) 久田 友治,総合診療方式による臨床研修修了者の動向調査 沖縄県立中部病院における 40 年間の経験.日本医師会雑誌 2010; 139: 1900–1903

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  • 1 Department of Internal Medicine, St.Marianna University School of Medicine2 Division of General Practice, Department of Internal Medicine, Kawasaki Municipal Tama Hospital3 Division of Respiratory Medicine, Department of Internal Medicine, Kawasaki Municipal Tama Hospital4 Division of Neurology, Department of Internal Medicine, Kawasaki Municipal Tama Hospital5 Division of Endocrinology and Metabolism, Department of Internal Medicine, Kawasaki Municipal Tama Hospital6 Division of Gastroenterology, Department of Internal Medicine, Kawasaki Municipal Tama Hospital

    Abstract

    Construction of a New Education and Medical Care System for Kawasaki

    Municipal Tama Hospital

    Tomoya Tsuchida1,2, Hisashi Nishisako1,2, Hiroyuki Kunishima1,2, Junko Saji1, 3, Masahiro Horiuchi1, 4, Akihiko Kondou1, 5,

    Chiaki Okuse1, 6, Michihiro Suzuki1,6, and Takahide Matsuda1, 2

    Kawasaki Municipal Tama Hospital not only provides treatment as an acute-care hospital, it also fulfills animportant role as a clinical training hospital. With the aim of further bolstering the clinical training system, thishospital has established the “Tama Internal Medicine” system, which brings together under a single system thepractices of respiratory medicine, gastroenterology and hepatology, neurology, nephrology and hypertension,comprehensive-care internal medicine, and metabolism and endocrinology. For hospitalized care, each of fiveteams is comprised of four or five doctors working in rotation, with ward management consisting of 70 to 80beds in total and common diseases as the chief focus. For outpatient services, outpatient training for internalmedicine specialists will be performed in comprehensive-care internal medicine. It has been confirmed that dur‐ing a six-month internship, senior residents in internal medicine will be able to experience 67% of the casesnecessary to obtain certification as Fellow of the Japanese Society of Internal Medicine. Even more upgradesare intended in the future for Tama Internal Medicine, including the promotion of local medical care and furtherreinforcement of clinical training.

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