研究開発テーマ ¡ 「マルチタレット型複合加工機...
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「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)/革新的設計生産技術」
研究開発テーマ名
「マルチタレット型複合加工機(ターニング・ミーリング)による複雑形状の簡易・確実・高精度な知的加工システムの研究開発」
<提案者>
共同提案 青山英樹,柿沼康弘 (慶應義塾大学)
鈴木教和 (名古屋大学)
吉岡勇人 (東京工業大学)
沢田 学 (中村留精密工業(株))
再 委 託 圓谷寛夫 ((株)ニコン)
橘 純司 ((株)ピーマック・ジャパン)
平成26年11月25日 クラスタワークショップ 1
部品の軽量化・部品点数削減部品形状の複雑化
複雑部品形状の高能率・高精度加工への要求工作機械の多軸化・複雑化
多軸工作機械による複雑形状の複数個所同時加工(複合加工機の導入)
問題点(ユーザ視点の技術)(a) 切削工具の干渉(衝突)を回避した最適な加工工程の決定が難しい.
(b) 機械構造の複雑化のため加工現象を考慮した最適加工が難しい.
研究開発の目的・内容(1/2)
主軸A 主軸B
タレットA(工具A)
タレットB(工具B)
タレットC(工具C)
3タレット(3切削工具)と2主軸をもつ複合加工機
複数個所同時加工できる複合加工機は実用化されているが,ユーザニーズに対して十分に普及していない.
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研究開発の目的・内容(2/2) 目的
ユーザ視点の技術に基づき, “誰もが簡易に複雑形状を高精度・高能率に加工できるマルチタレット(複数同時切削)型複合加工機を実現する知的システム”の要素技術の開発完了
要素技術を統合し,知的なマルチタレット(複数同時切削)型複合加工機を開発するための検証試験の実施完了
研究開発の内容(開発項目)
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(a) 要素技術:干渉を回
避した最適加工工程・NCプログラムの生成技術の開発
(b) 要素技術:高精度・
高速・最適加工を実現する知能化技術の開発
(c) 統合:要素技術の統
合による検証試験の実施
研究開発の内容(開発項目)詳細(1/4)
開発内容 加工除去形状をマシニングフィーチャ(加工要素形状)へ分解し,全加
工工程(加工法,加工順)候補を抽出する技術の開発
簡易測定/自動測定により,切削工具,工具ホルダ,被削材の形状を自動でモデル化(CADデータ化)する技術の開発
• カメラ型非接触3次元形状測定機の開発
• 離散点群データを用いたCADモデル構築技術の開発
切削工具が干渉(衝突)しない加工工程候補を抽出し,熟練者ルールと評価関数より最適な加工工程(最適加工順)を決定し,NCプログラムを生成する技術の開発
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(a) 干渉を回避した最適加工工程・NCプログラムの生成技術の開発(1/2)
小型3Dカメラ
多軸加工機内マシニングフィーチャへの分解例
研究開発の内容(開発項目)詳細(2/4)
革新性・新規性
マルチタレット(複数工具での同時加工)に対応した加工工程は世界初
工作機械,被削材,工具の表面性状に対応できる工作機械刃物台に設置可能な非接触測定機は世界初
競争優位性 未熟練者が複合加工機のための最適工程NCプログラムの生成を可能とし,複合加工機の飛躍的な普及を実現し,日本の工作機械の世界における技術的優位性を一層向上
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(a) 干渉を回避した最適加工工程・NCプログラムの生成技術の開発(2/2)
マルチタレット複合加工機の干渉回避の必要性
干渉の可能性
干渉しない最適工程(最適加工順)での加工を実現!
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研究開発の内容(開発項目)詳細(3/4)(b) 高精度・高速加工を実現する知能化技術の開発(1/2)
切削力推定技術の開発全軸のサーボ情報から加工負荷を高精度に推定する技術の開発(目標値:1N分解能,帯域5kHz)
最適機構構造の設計開発高速・高精度を実現でき,かつ加工力推定精度を高める送り機構の開発
安定プロセス制御プロセスモデルに基づき推定加工力を逆解析して,最適加工状態を維持する技術の開発
加工状態を自己判断する「知能化超多軸加工機」
研究開発の内容(開発項目)詳細(4/4)
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(b) 高精度・高速加工を実現する知能化技術の開発(2/2)
革新性・新規性 センサを付加することなく加工状態を同定し最適制御する世界初の知能化技術
コストアップがなく,故障に対してロバストで信頼性の高い実用的技術
競争優位性 優れた費用対効果
センサ数が増えるほど処理時間が必要で制御性能は低下するが,提案技術は付加的センサが不要であり,多軸化しても制御性能低下を極限まで抑えられる点で高い実用優位性
中間目標 要素技術の開発完了
(a)干渉を回避した最適加工工程・NCプログラムの生成技術の開発
①アルゴリズム開発,②アルゴリズム実装,③カメラ型測定機の小型化設計
④小型カメラ型測定機のプレ-プロトタイプ開発
(b)高精度・高速加工を実現する知能化技術の開発
①構造設計確立,②切削力推定技術開発,③プロセス理論モデル開発
世界的なレベル
マルチタレット対応の自動干渉回避技術は世界初
工作機械内の環境測定可能な小型非接触測定機は世界初
複合加工機用ユーザフレンドリ技術は世界初
目標設定理由
最終年度では要素技術を統合し検証実験を完了するために,中間評価時点で,要素技術を開発し,その機能・性能の確認が必須
中間評価時以降4年に要素技術を統合し,申請者による統合機の検証評価により,統合技術の改良を実施するため
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最終目標
航空機産業
医療産業
エネルギー産業
適用される産業分野のイメージ
要素技術の開発完了
干渉を回避した最適加工工程・NCプログラムの生成技術の開発
高精度・高速加工を実現する知能化技術の開発
要素技術を統合し,マルチタレット型複合加工機(ターニング・ミーリング)による
複雑形状の簡易・確実・高精度な知的加工システムの検証実験の完了
イノベーションスタイルを実践するための具体的構想の完成
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自動車産業
イノベーションスタイル
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① 提案者の工夫(参加者の多様性) 特徴あるシーズ研究成果の実績がある3大学4研究者が参画 各分野をリードする3企業(中村留精密工業(株),(株)ニコン, (株)ピーマック・ジャパン)が参画
② ユーザ評価の工夫(製造分野,地域性) 製造分野: ユーザ評価先は,日本に強みのある分野(自動車,航空,光学,医療,金型)の製品を扱う企業で構成
地域性: 迅速な開発のため,研究開発拠点とユーザ評価拠点は横浜・川崎エリア
③ 新たなユーザ候補の開拓 慶大にて,随時,開発技術を公開し,新たな評価者に入って頂く.
慶應義塾大学
日立製作所
ニコン
湘南デザイン 長津製作所
研究拠点
ユーザ評価先企業計画:• (株)ニコン (光学,医療)• (株)日立製作所 (自動車,航空)• (株)長津製作所 (金型)• 湘南デザイン(株) (自動車) 横浜・川崎エリア
出口戦略(1/2)
実用化・事業化 中村留精密工業(株)
• 自社の製品に搭載し販売 スループット2倍以上を実現する自動車部品加工の次世代標準機として展開,術中インプラント加工機として医療分野へ展開
(株)ニコン• 販売先の拡大
複合加工機に限定せず,加工現場・測定現場における3次元物体のモデル化ニーズに対してカメラ型非接触測定機を製造販売
(株)ピーマック・ジャパン• 販売先の拡大
知的オープンNC対応コントローラシステムとして,工作機械メーカに広く販売
実用化に至るストーリー
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出口戦略(2/2)
成果普及活動 慶應義塾大学・名古屋大学・東京工業大学
• ネットワークを利用した横展開: 研究成果を学会,研究会,日本工作機械工業会,地域の連携システムを通じて広く公表する.
• ユーザ視点技術開発強化: 日本工作機械工業会を通じたユーザアンケートに基づき,開発技術の性能・機能を評価をする項目や要求される数値を決定し,これに基づき,平成30年度にプレプロトタイプの評価改良を行い,ユーザ視点の実用化・製品化につながるコア技術を開発する.
• 連携システム: 3大学は複合加工機の主たるメーカーであるオークマ(株),DMG森
精機(株),ヤマザキマザック(株)と密な連携にあり,個別技術指導を行う.
実用化に至るストーリー
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研究開発体制
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慶應義塾大学研究開発項目:(a) 最適加工工程・NCプログラ
ムの生成技術の開発:アルゴリズム開発,システム実装
(b) 知能化技術の開発:切削力推定技術開発
名古屋大学研究開発項目:(b) 知能化技術の開発:プロセス
理論モデル,逆解析技術の開発
東京工業大学研究開発項目:(b) 知能化技術の開発:最適
構造設計の確立
中村留精密工業(株)研究開発項目:(a) 最適加工工程・NCプログラ
ムの生成技術の開発:システム実装
(b) 知能化技術の開発:システム実装,加工機改良
(株)ニコン研究開発項目:(b) 最適加工工程・NCプログラ
ムの生成技術の開発:カメラ型小型測定機の開発
(株)ピーマック・ジャパン研究開発項目:(b) 知能化技術の開発:
DirectPWM制御用コントローラ開発
再委託
研究開発責任者慶應義塾大学 理工学部教授 青山英樹
指示・協議
委託
NEDO
(株)ニコン,(株)日立製作所,(株)長津製作所,湘南デザイン(株)
ユーザ評価とフィードバック
各担当技術の検証試験・改良
スケジュール
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H26(2014) H27(2015) H28(2016) H29(2017) H30(2018)
(a) 干渉を回避した最適加工工程・NCプログラムの生成技術の開発
(b) 高精度・高速加工を実現する知能化技術の開発
•最適プロセスプラン構築技術とNCプログラム生成技術の開発•カメラ型非接触測定機の開発•モデル化(CADデータ構築)技術)の開発
•高精度加工力推定技術の開発•高速・高精度のための適応制御
検証試験と改善・改良
要素技術の統合
研究のまとめ要素技術を統
合したプレ-プロトタイプ
複合加工技術の重要性
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従来の生産システム
単純な3軸加工機(旋盤,MC)を使用
大量の工作機械によるトランスファーラインが必要
設備投資コストが高く,効率が低い 生産システムの制約が厳しい
提案する複合加工技術
多軸複合加工機を使用 複数の工程を大幅に集約 設備コストが低く,効率が極めて高い 変種・変量生産へフレキシブルな対応 しかし,使いこなせない...
複合加工技術による“次世代生産
システム”
誰もが複合加工技術を使いこなせる“自動化技術”と“知能化技術”を開発
まとめ
本研究開発で得られる知的加工システムは 現状において,機械が本来もつ機能を発揮させることが困難なマルチタレット型複合加工機により,
誰もが!
簡易に!
高速・高精度・高能率で!
複雑形状の加工を! 実現する.
結果として,
日本の製造業のパフォーマンスが向上!
日本の工作機械の性能が向上!
新産業が創成!
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