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独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 各科別 後期研修プログラム 2004 8 20 日 版)

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独立行政法人 国立病院機構東京医療センター 各科別 後期研修プログラム

(2004 年 8 月 20 日 版)

総合診療科 後期研修プログラム Ⅰ 一般目標 初期臨床研修で修得した臨床技能を基礎に、総合診療が志向する包括的・継

続的・全人的医療の実践に必要な臨床能力(知識、技能、態度、情報収集力、

総合的判断力)を修得する。 Ⅱ 行動目標 総合病院である当院の施設特性を活かし、入院診療では「成人を対象に統合

型診療を展開する総合内科」の臨床を中心に研修するが、「多様な健康問題への

対処と慢性疾患の管理に必要な基本的能力」の修得を目指し、外来診療の修練

も同時に行う。また、実地臨床現場で教育を行う(Clinician- educator)ための

基礎的事項についても研修医、学生指導の実践を通じ学習する。

総合診療科レジデント研修課程は全3年間のコースであり、各学年で到達すべ

き目標は以下のとおりである。 Ⅱ-1 行動目標:第一年次 ① 総合医が担う医療は、個々の臨床能力、地域の特性・医療資源、診療の場

によって異なることを理解する。 ② 臨床疫学に基づいた診断推論ができる。 ③ 生物医学的問題のみならず心理・社会・倫理・経済など横断的に臨床問題を

抽出することができる。 ④ 指導のもと、内科系 common problems*1の初診外来診療ができる。 ⑤ 指導のもと、内科系 common diseases*2 の再診・継続外来での管理ができ

る(診療ガイドラインを含む)。 ⑥ 指導のもと、入院管理が必要な内科系 common problems・common diseases

*3 の診療ができる(診療ガイドラインを含む)。 ⑦ 指導のもと、内科系二次救急診療において common problems*4 の対応がで

きる。 ⑧ 内科系以外の一次レベルの診療能力、特に非侵襲的な他科領域に特有の診察

を駆使して適切な診療科に相談、診療依頼ができる。 ⑨ 指導のもと、多臓器に臨床問題がある患者について、チーム医療を行い、適

切に専門医や他の医療職に相談、診療依頼ができる。 ⑩ 臨床上の疑問点の解決に必要な情報収集ができる。 ⑪ 指導のもと、患者の解釈モデル、意向と最良のエビデンスの双方を重視して

診療を行うことができる。 ⑫ 指導のもと、患者やその家族に適切な説明をし、良好なコミュニケーション

を行うことができる。

⑬ 病棟ローテート研修医に対し上記 common diseases の診療方針(診療ガイ

ドラインを含む)。を説明し、臨床教育を行うことができる ⑭ 病棟ローテート研修医に対し病歴聴取、身体所見、診療録記載について臨床

教育ができる。 ⑮ 保険診療についてレセプト点検を含め、指導のもと実施できる。 Ⅱ-2行動目標:第二年次 ① 指導のもと、個々の臨床能力、地域の特性・医療資源、診療の場によって異

なった総合医としての診療を行うことができる。 ② 生物医学的問題のみならず心理・社会・倫理・経済など横断的に臨床問題を

抽出し、指導のもと問題解決することができる。 ③ 内科系 common problems*1の初診外来診療ができる。 ④ 内科系 common diseases*2 の再診・継続外来での管理ができる(診療ガイ

ドラインを含む)。 ⑤ 入院管理が必要な侵襲的な検査・処置を必要としない内科系 common

problems・common diseases*3 の診療ができる(診療ガイドラインを含む)。 ⑥ 内科系・二次救急での common problems*4 の対応ができる。 ⑦ 多臓器に臨床問題がある患者について、チーム医療を行い、適切に専門医や

他の医療職に相談、診療依頼ができる。 ⑧ 患者の解釈モデル、意向と最良のエビデンスの双方を重視して診療を行うこ

とができる。 ⑨ 患者やその家族に適切な説明をし、良好なコミュニケーションを行うことが

できる。 ⑩ 腹部エコー研修を行い、指導のもと検査科においてスクリーニング腹部エコ

ーを実施することができる。 ⑪ 診療上の疑問を展開し、臨床研究を企画・実施、学会発表を行なう。 ⑫ 外来研修の研修医に対して precepting を行う事ができる。 ⑬ 医療連携(病診・診診連携:在宅・福祉を含む)を指導のもと実施する事が

できる。 ⑭ 在宅診療・検診・健康教室・学校医・産業医などの地域立脚型の診療につい

て理解できる。 ⑮ 患者教育の観点から禁煙指導、食事指導などの基本的な予防的・行動医学的

アプローチが実施できる ⑯ 保険診療についてレセプト点検を含め実施できる。 Ⅱ-3行動目標:第三年次 ① 個々の臨床能力、地域の特性・医療資源、診療の場によって異なる総合医と

しての診療を行うことができる。

② 生物医学的問題のみならず心理・社会・倫理・経済など横断的に臨床問題を

抽出し、問題解決することができる。 ③ 内科系 common problems*1の初診外来診療を行い、後進の指導ができる。 ④ 内科系 common diseases*2 の再診・継続外来での管理をし、後進の指導が

できる(診療ガイドラインを含む)。 ⑤ 入院管理が必要な侵襲的な検査・処置を必要としない内科系 common

problems・common diseases*3 の診療を行い、後進の指導ができる(診療

ガイドラインを含む)。 ⑥ 内科系・二次救急での common problems*4 の対応を行い、後進の指導がで

きる。 ⑦ 多臓器に臨床問題がある患者について、チーム医療を行い、適切に専門医や

他の医療職に相談、診療依頼を行い、後進の指導ができる。 ⑧ 患者の解釈モデルや意向と最良のエビデンスの双方を重視して診療を行い、

後進の指導ができる。 ⑨ 総合診療科宛の診療依頼、相談を受けることができる。 ⑩ 勉強会*5を運営し臨床上の疑問点の解決法を研修医に指導できる。 ⑪ 心理・社会・倫理・経済など横断的な臨床問題に対する対応法について研修

医に指導できる。 ⑫ レジデント、研修医への患者配分などのチーフレジデント業務を担当できる。 ⑬ 臨床疫学・臨床研究手法の基礎を修得する ⑭ 総合医として、生涯学習の重要性を理解し、自己学習(life-long learner)が

実践できる。 Ⅲ 方略 ① 指導医と同じ診療チームに所属し、入院患者診療を行う。 ② 時期によっては自らのもとに研修医、さらに医学生を配属する。 ③ 担当入院患者については新入院カンファレンスにおいて全症例プレゼンテ

ーションを行い、他のレジデントと討議し、スタッフに指導を受ける。 ④ 入院患者レビューにおいて報告症例、問題提起症例についてプレゼンテーシ

ョンを行い、他のレジデントと討議し、スタッフに指導を受ける。 ⑤ 初診外来、再診・継続外来における外来診療を行なう。 ⑥ 二次救急の日直業務をスタッフと共に行う ⑦ 当直業務として一次・二次救急を行う ⑧ 週に1~2単位の皮膚科・耳鼻科・眼科・泌尿器科・整形外科・などの専門

外来における研修を行い、中耳炎、前立腺肥大、結膜炎、腰痛などの診療を

経験し、他科に特有の診察方法について専門医の指導を受ける。 ⑨ 外来カンファレンスにおいて、外来診療患者のプレゼンテーションを行なう。

初診症例については全症例プレゼンテーションを行い、他のレジデントと

討議し、担当スタッフに指導を受ける。再診・継続外来では、一年目レジ

デントは全症例を、二年目以降は問題症例のみについてプレゼンテーショ

ンを行い、他のレジデントと討議し、担当スタッフに指導を受ける。 ⑩ 研修医に勉強会の指導を行う ⑪ 教育カンファレンスにおいて、医師の教育的役割や自己学習について他のレ

ジデントと討議し、スタッフに指導を受ける。 ⑫ 外来および病棟におけるレセプト業務を行う ⑬ 臨床疫学室主催の臨床研究ワーキングコースに参加する Ⅳ 評価 日々の診療、カンファレンス、研修記録などをもとに指導医による形成的評価

と自己評価を行う。 附 * 1 内科系 common problems(初診外来) 心窩部痛 咳嗽・喀痰 健診異常 頭痛・頭重感 腹痛 発熱 咽頭痛 胸痛 嘔気 倦怠感 便秘・下痢 胸部不快・息切れ 微熱 めまい 動悸 背部痛・腰痛 リンパ節腫脹 *2 内科系 common diseases(再診・継続外来) 高血圧 糖尿病 高脂血症・高尿酸血症 気管支喘息 慢性肝炎 喘息

脳血管障害後 消化性潰瘍 甲状腺疾患 心身症 * 3 入院管理が必要な侵襲的な検査・処置を必要としない内科系 common

problems・common diseases 発熱 体重減少・食欲不振 原発不明癌 市中感染症(肺炎・腎盂腎炎・細菌性腸炎) 喘息 脳血管障害 糖尿病 癌終末期 消化性潰瘍 * 4 内科系・二次救急での common problems 腹痛 発熱 呼吸困難 頭痛 胸痛 意識障害 嘔気・嘔吐 めまい * 5勉強会 総合診療科における勉強会のテーマは、各カンファレンス、診療現場より抽出

した臨床問題について、チーフレジデントによって編成された勉強会担当チー

ムが解決にあたる。発表はパワーポイントによるプレゼンテーションを原則と

し、問題の定式化、情報収集、批判的吟味、患者への適応というステップにの

っとって発表する。問題解決にあたり、指定されたデータベース(①コクラン

ライブラリ、②up to date、③pub med、④best evidence、⑤ハリソン CD-ROM版)からの検索が必須であり、必要に応じ他のデータベースも用いる。

神経内科 後期臨床研修プログラム Ⅰ 一般目標 1. 臨床神経全領域に対応できる神経内科専門医を育成する。そのため神経

疾患ないし神経症状を持つ患者の診断・治療、さらに療養環境整備に必要な

知識と技能を身につけることを目指す。具体的到達目標は、日本神経学会卒

後教育検討小委員会作成の“神経内科卒後研修到達目標”(臨床神経学

38:593-619,1998)に準拠する。 2. 初期研修で目標とした臨床医としての基本的な行動能力を踏まえて、専

門医として自立するための思考・判断能力を養う。すなわち、問題点を分析・

検討し結論を導き出す科学的思考、また倫理的・社会的問題を多方面から検

討し適切に解決する能力、等の獲得に留意して指導を行う。 3. 後期研修医自身の自主性を重視し、将来進むべき領域についての意思決

定を支援する。そのため特に重点的に研修を行いたい項目について期間など

選択の幅を広げ、他施設との連携も含め配慮する。また、関連学会主催の会

議や研修会等への参加を積極的にバックアップする。 Ⅱ 行動目標 1.“神経内科卒後研修到達目標”(以下に抜粋)の充分な達成を目指す。 1)臨床神経 ① 神経学的診察・局所診断・病因診断・検査治療プラン・脳死 ・神経学的診察が正確に行え、正常・異常の判断ができる ・神経解剖・生理の知識が概略頭に入っている ・神経学的診察に基づき局所診断ができる ・病歴・診察所見に基づき病因の推定ができる ・鑑別診断・鑑別診断のための検査プランがたてられる ・推定した病因に基づき治療プランがたてられる ・脳死の判定ができる

② 鑑別診断 次の各症候の特徴・内容・病態生理をよく理解し、原因となる疾患の

鑑別診断を挙げ、鑑別診断のための適切な検査計画・治療計画を立案で

きる。 意識障害、頭蓋内圧亢進、髄膜刺激症候、けいれん・てんかん、知

能障害・痴呆、 記憶障害・健忘、失神、めまい、頭痛・頭重感、不眠・不安、視力・視

野障害、複視・眼瞼下垂、瞳孔異常、耳鳴り・難聴、言語・構語障害、

嚥下障害、歩行障害、筋萎縮、筋力低下、運動麻痺、易疲労性、不

随意運動、筋攣縮(スパスム)、運動失調、手足のしびれ、神経痛・

疼痛、感覚障害、膀胱直腸障害、発汗障害

③ 神経疾患 次の各疾患の内容/特徴をよく理解し、確定診断のための検査計画、治療

計画、経過観察のための検査計画を立案できる。 脳・脊髄血管障害、神経系感染症、非感染性炎症性疾患、脱髄性疾

患、変性疾患、先天性疾患、代謝性疾患、内科疾患に伴う神経系障

害(ビタミン欠乏症を含む)、中毒・薬物による神経系障害、脳・脊

髄腫瘍、脳・脊髄外傷、脊椎・脊髄疾患、末梢神経疾患、筋肉疾患、

自律神経系疾患、発作性疾患(てんかん、ナルコレプシーなど)、頭

痛 ④ 神経救急

次の神経救急疾患の内容・特徴、診断のポイントをよく理解し、それぞ

れの病態に対して迅速に適切な処置・検査・治療ができる。 意識障害、頭蓋内圧亢進、けいれん、特にてんかん重積状態、頭痛、

脳炎・髄膜炎、脳・脊髄血管障害、急性視力低下、運動麻痺、急性

横断性脊髄障害、多発性硬化症の急性増悪、重症筋無力症のクリー

ゼ、Guillain-Barre 症候群、周期性四肢麻痺の発作、急性横紋筋融

解 ⑤ 関連領域

次の疾患に関する知識を有し、それぞれの関連専門家へのコンサルテー

ションが適切にでき、各専門家の指示に従って適切な検査・治療が行え

る。 脳・脊髄腫瘍、脳・脊髄外傷、小児神経疾患、精神科疾患

⑥ コンサルテーション 臨床各科からの診療依頼に対し適切な指示がだせる。

次の2)~8)に関してはそれぞれさらに詳細な項目と研修目標が定められ

ている。 2)治療

① 基本的治療法 A:内科医としての一般知識 ② 基本的治療法 B: 一般的救急処置、リハビリテーションの内容の理解と処方、末期医療、 患者・家族への対応(インフォームド・コンセント、遅延時効のあ

る同意、QOL,プライバシーの保護) ③ 専門的治療法(専門的救急医療) ④ 神経疾患治療薬・治療法

3)臨床神経生理 筋電図、脳波、誘発電位、磁気刺激検査、眼振図 4)神経放射線 X 線単純撮影、X 線 CT スキャン、血管造影、脊髄造影、脳層造影、

MRI と MRS、放射線治療 5)検査室検査

髄液検査、神経免疫、自律神経機能検査 6)神経遺伝学 7)神経病理 8)関連臨床各科 脳神経外科、小児神経、精神科、リハビリテーション(選択) 9)医療福祉 以下の診断書が正しく書け、その特色について説明できる必要がある。

特定疾患の診断、身体障害者診断、在宅医療、介護保険

Ⅲ 方略 1.研修期間 独立行政法人国立病院機構東京医療センター各科における後期臨床研修期

間の原則は3年間である。一方、後述の日本神経学会専門医試験の受験資格

を得るには卒後最低6年間の臨床研修を終了していることが必要である。神

経内科では、基本的な後期臨床研修期間を3年とし、この間に専門性の高い

分野における他施設での研修、関連領域にかかわる院内他科のローテーショ

ンを含む。初期研修2年の後に後期研修を開始した場合、可能な限りさらに 1年延長し、4 年目の処遇については流動的に勘案する。

2.研修プログラム 年次毎の主な流れは表の如くである。 研修項目 研修場所・内容 研 修 期

間 1~2年目 臨床神経 東京医療センター神経内科にてレジデント 12 ヶ月 脳波・筋電

図 東京医療センター臨床検査科生理検査室にて指導医

の下で検査 3 ヶ月

神経放射

線 東京医療センター放射線科にて指導医の下で研修 3 ヶ月

神経病理 主に他施設において神経病理医の下で研修 2 ヶ月 筋疾患 主に他施設において指導医の下で臨床および筋病理

を研修 2 ヶ月

小児神経 主に他施設において指導医の下で研修 2 ヶ月 3 年目 臨床神経 東京医療センター神経内科にてチーフレジデント 6 ヶ月 <選択> 下記のうちから1ないし2項目を選択 脳神経外

科 東京医療センター脳神経外科において指導医の下で

研修 特に、脳血管造影検査、脳神経外科疾患の救急処置、

低体温療法、手術適応、術後管理、など

3 ヶ月

精神医学 東京医療センター精神科において指導医の下で研修 特に、精神科的インタビューの方法、簡単な精神療

法、精神科的薬物療法、関連疾患(痴呆、ヒステリー

など)の診療

3 ヶ月

その他 本人の希望による研修 3 ヶ月 (4 年目) 臨床神経

お よ び 研

究活動

東京医療センター神経内科にて研修医指導および臨

床研究。希望により関連施設にて臨床神経、基礎研究。 12 ヶ月

3. 研修の方法 1)臨床神経 ① 入院患者の担当医

指導医の監督下に受持ち患者の診断・治療、退院後の治療計画にあたる。

その中で、保険診療、社会福祉、地域における施設連携、等についても

理解する。 ② 総合回診・カンファレンス

・ 神経内科入院患者の回診等を利用しより多くの疾患を経験する。現

在週 1 回の新入院回診、週2回の総合回診(カルテ回診および問題症

例のベットサイド回診)を通じて、全員で診療に関する協議を行って

いる。 ・ 症例検討会および勉強会を通じて、疾患の理解を深める。現在次の

ような会を行っている。 研修医主体の勉強会(週1回) 指導医のミニレクチャー 脳神経外科と合同のカンファレンス(週1回) リハビリテーション科および MSW との合同カンファレンス (月 1 回) 脳神経外科・神経放射線専門医との合同カンファレンス (月1回)

・ 院内の合同カンファレンスとして、CPC、内科合同カンファレン

ス、救命センターカンファレンス、等に出席する。 ③ 外来診療およびコンサルテーション

常に指導医の助言を受けられる体制で、神経内科外来において週1

回以上の診療を行う。また各科からのコンサルテーションに応じる。 ④ 救急・当直診療

脳神経系当直を脳神経外科と協力して担当し、神経救急を実践する。

呼吸管理に関しては必要に応じ麻酔科医の指導を受ける。 ⑤ 学会・講習会への出席

日本神経学会を始めとする学術研究会、関連学会主催の講習会・教

育講演会への積極的な出席を奨励している。 ⑥ 症例報告

報告価値のある症例について自ら考察を行い、指導医の指導を受け

つつ、関連学会での発表、論文投稿を行う。 2)神経経生理および神経放射線 ベッドを離れ、検査もしくは読影に専念することが望ましいと考えられ

るが、レジデントの人数により、病棟業務と平行して行うこともあり得る。 3) 施設内他科の研修 神経内科を離れ、当該科医長ならびに指導医の指示に従う。 4) 他施設での研修

処遇については、施設長間の申し合わせに従う。 5) 研究活動 共同研究への参加とともに、個人のテーマを持ち指導者の助言を得なが

ら結果をまとめることを推奨している。 ① 臨床研究センター(感覚器センター)での活動

現在、平衡機能に関連して、耳鼻科との共同研究を行っている。その

他、疫学研究等、独自の研究テーマによる活動が可能である。 ② 多施設設共同研究への参加 ③ 基礎研究

動物実験を含む基礎研究を希望する場合には、関連大学を始めとする

他施設との共同研究をサポートする。 Ⅳ 評価 1. 知識・技能に関する評価

年次毎に研修到達目標に則り、各項目について自己評価、指導医評価を

3段階で行い、次の年次の研修計画に反映させる。 A 到達目標に充分到達している B 到達目標に概略到達しているがまだ充分ではない C 到達目標にほど遠い

2. 臨床医としての適正に関する評価 初期研修以上に、自らが最終的な責任を持って行動できることが求めら

れることを踏まえて、臨床医として必要な事項について、自己評価、第三

者評価を行う。 3. 日本神経学会専門医資格の取得 専門医試験の受験は希望によるが、将来のキャリアを考え、取得が推奨

される。 なお受験資格を得るには、次の条件を満たすことが必要である。

① 卒後 6 年以上の臨床研修を終了していること ② 日本神経学会の定める教育施設で 3 年の研修を終了するか、教育関

連施設で4年の研修を終了していること。

(東京医療センターは現在教育施設に認定されている) ③ 日本神経学会会員歴が3年以上あること ④ 日本内科学会の認定医を取得していること

(初期研修2年の後、神経内科研修を開始した場合、神経内科研修

最初の 1 年は、内科研修の 3 年目に算定されると同時に、神経内科

研修の 1 年目に算定される)

呼吸器科・呼吸器外科・アレルギー科 後期臨床研修プログラム Ⅰ 一般目標 呼吸器科、呼吸器外科、アレルギー科合同の初期臨床研修で修得した臨床技

能を基礎に、包括的・継続的・全人的医療の実践に必要な臨床能力(知識、技

能、態度、情報収集力、総合的判断力)を修得する。 初期臨床研修において学んだ基礎的な事項に加え、入院患者および外来患者の

診療を通じて、呼吸器科、アレルギー科専門医として必要な専門的知識および専門

的診療技術を修得するとともに、呼吸器病学会、アレルギー学会、結核病学会、内科

学会などの学会活動を通じて臨床研究についての知識を深める。 Ⅱ 行動目標 呼吸器疾患のプライマリーケアに必要な基礎的知識と手技を習得することを

目的とする。このため下記の項目を理解することあるいは適切に行えることを

目標に研修を行う。さらに後期研修ではさらにその発展的な手技を習得するこ

とを目的とする。 1. 基本的診断技術の習得

(ア) 呼吸器疾患、アレルギー疾患に特徴的な症状を理解し、患者の訴えを適

切に解釈する。さらに嗜好歴、環境環境、職業歴など聴取する。 (イ) 呼吸器疾患診断において重要な既往歴、家族歴を理解し患者または家族

より聴取する。過去の既往歴の対しての治療歴、またその効果について 総合的に判断する。

(ウ) 全身観察(バイタルサインと精神状態の把握、表在リンパ節の触診、浮

腫など)を行い、身体所見を的確に記載する。さらに異常所見に対して

次なる検査方法を、的確に順序正しく計画立てる。 (エ) 胸部の診察(視診、触診、聴診、打診)を行い、的確に所見を記載する。

さらに異常所見に対して次なる検査方法を、的確に順序正しく計画立て

る。 (オ) 胸部 X 線写真、胸部 CT の正常像を理解した上で異常を指摘する。異常

像の成り立つ機序、原因となる疾患を理解する。さらに異常所見に対し

て次なる検査方法を、的確に順序正しく計画立てる。 (カ) 呼吸器疾患に関する核医学検査の適応を理解し結果を解釈する。 (キ) 肺機能検査法を理解し結果を解釈する。 (ク) 呼吸器疾患の診断に必要な検体(動脈血、痰、胃液など)の的確な採取

法を理解した上で自ら検体を採取する。 (ケ) 動脈血ガス分析を自ら行いその結果を解釈する。 (コ) 喀痰の細菌学的検査結果を理解し、治療方針を立てる。 (サ) 喀痰細胞診の結果を理解する。

(シ) 症例検討会で受け持ち症例を適切に提示する。今後の検査手段、診断 治療計画を適切に提示する。さらに診断困難、治療難渋する症例では、

文献的考察(EBM など)を踏まえて主治医としての方針を提示し上級医

の判断を仰ぐ。 (ス) 病理解剖に立会い病態、生前診断、治療に関する情報を病理医に的確に

伝える。さらに呼吸器科カンファレンスにて CPC を定期的に開き、生前

診断の的確性、治療の効果につき検討し、稀有な症例には呼吸器科学会、

アレルギー学会、内科学会に症例報告も行う。

2. 専門的診断・治療手技の習得

(ア) 酸素吸入療法の適応、方法を理解し、適切に実施する。 (イ) 気管内挿管、気管切開が行われている患者の呼吸管理を行う。 (ウ) 人工呼吸器による呼吸管理(NIPPV を含む)を行う。 (エ) 在宅酸素療法の導入を行う。在宅 NIPPV の導入を行う (オ) 胸腔穿刺を施行し、検体を的確な検査に提出し、結果を解釈する。

細胞数の測定。グラム染色の実施、細胞診の顕微鏡診断を病理の医師の

下に行う。 吸引細胞診(頚部リンパ節等)、針生検(胸膜等)を行い結果を理解す

る。グラム染色の実施、細胞診の顕微鏡診断を病理の医師の下に行う。 (カ) 気管・気管支の構造を理解し、指導者の直接指導の下で術者として気管

支鏡検査を行い、気管・気管支を観察する。肺生検、気管支肺胞洗浄検

査を行い、細胞数の測定。グラム染色の実施、細胞診の顕微鏡診断を病

理の医師の下に行う。 (キ) 気胸、胸水貯留疾患患者に対して胸腔ドレーンの挿入を行い、適切なド

レーン管理を行う。 (ク) 指導者の指導の下でミニトラック挿入を行う。またその管理ができる。 (ケ) 呼吸器疾患で用いられる薬剤の作用機序と使用法を理解する。

薬剤の副作用、他の薬剤との相互作用についても理解できる。 (コ) 吸入療法の意義と方法を理解し適切に実施する。 (サ) 呼吸器外科手術に助手として参加し呼吸器外科の標準術式を理解する。 (シ) 呼吸器外科手術の周術期管理ができる。

① 周術期の補正輸液と維持療法を行うことができる。 ② 輸血量を決定し、成分輸血を指示できる。 ③ 出血傾向に対処できる。 ④ 血栓症の治療について述べることができる。 ⑤ 経腸栄養の投与と管理ができる。 ⑥ 抗菌性抗生物質の適正な使用ができる。 ⑦ 抗菌性抗生物質の副作用・合併症に対処できる。

3. 各種呼吸器疾患の理解、診断・治療法の習得

(ア) 呼吸不全(急性呼吸不全、慢性呼吸不全)

① 急性呼吸不全にたいする、酸素吸入、人工呼吸管理を行う。 ② Ⅰ型、Ⅱ型慢性呼吸不全例に対応した酸素吸入を行う。 ③ 慢性呼吸不全の急性増悪例の呼吸管理を行う。

(イ) 呼吸器感染症 ① 成人市中肺炎に対するガイドラインを理解し患者の治療を行う。 ② 成人院内肺炎に対するガイドラインを理解し患者の治療を行う。 ③ 肺結核症の診断と結核病棟を持たない病院での患者対応を習得する。 ④ 呼吸器真菌症の診断法と治療法を習得する。 ⑤ 特殊な感染症の診断法と治療法を理解する。 ⑥ 感染対策について理解し実行する。

(ウ) 閉塞性・拘束性肺疾患(肺気腫、気管支喘息、気管支拡張症、間質性肺

炎) ① 慢性閉塞性肺疾患のガイドラインを理解し肺気腫患者に対応が出来

る。重症呼吸不全症例に適切な呼吸管理ができる。在宅酸素療法、

NIPPV 管理ができる。 ② 気管支喘息の病態生理を理解し、アレルゲン検索、ピークフロー測

定の意義を理解する。また気管支喘息ガイドラインを理解し患者の

治療を行う。 気管支喘息重責発作症例に人工呼吸管理が施行でき、人工呼吸管理

下の合併症し際して的確に対応できるようにする。 ③ )間質性肺炎(肺線維症)は種々の疾患の集合体であることを理解し

特発性、膠原病、薬剤性、サルコイドーシス、粟粒結核などの鑑別し治療を

行う。重症呼吸不全症例に適切な呼吸管理ができる。在宅酸素療法、

NIPPV 管理ができる。 (エ) 肺癌

① 肺癌取り扱い規約を理解し自らステージングを行う。 ② 病期に応じた治療法の選択を理解する。 ③ 化学療法、放射線療法、手術を行う患者管理を行う。 ④ 肺癌手術に助手として参加する。 ⑤ 末期患者に対して疼痛対策、緩和ケアーが十分できる。

(オ) 転移性肺腫瘍 ① 転移性肺腫瘍の手術適応を理解する。 ② 転移性肺腫瘍の手術に助手として参加する。 ③ 末期患者に対して疼痛対策、緩和ケアーが十分できる。

(カ) 自然気胸 ① 的確に診断し、治療方法の選択法を理解する。 ② 胸腔ドレーンを挿入し、そのドレーン管理を的確に行う。 ③ 胸腔鏡下手術に助手として参加する。

(キ) 胸膜炎 ① 胸膜炎の原因の的確な検索を行う。

② 胸腔ドレナージ、胸腔内洗浄、胸膜癒着術、を行う。 ③ 原因疾患の治療を行う。 ④ 癌性胸膜炎の末期患者に対して疼痛対策、緩和ケアーが十分できる。

(ク) 気道内出血(血痰、喀血) ① 原因疾患診断に必要な検査を行う。 ② 診断に基づいた適切な治療、処置を行う。 ③ 緊急内視鏡が上級医師の下でできる。適切な治療、処置を行う。

(ケ) 胸部外傷 ① 損傷部位、程度、合併損傷の診断に必要な検査を的確に行う。 ② 治療を的確に行う。

(コ) 縦隔腫瘍 ① 各種縦隔腫瘍の鑑別診断法を理解し的確な検査を行う。 ② 各種縦隔腫瘍の治療法(手術、化学療法、放射線療法、集学的治療)

の適応を理解する。 ③ 各種縦隔腫瘍の治療を行う。 ④ 縦隔腫瘍の手術に助手として参加する。

(サ) その他稀な呼吸器疾患 ① 診断、治療法の検索を自ら行う。

(シ)心肺蘇生法―ALS(気管内挿管、直流除細動を含む) ① 動脈穿刺 ② 中心静脈カテーテルおよび Swan-Ganz カテーテルの挿入とそれ

による循環管理 ③ レスピレータによる呼吸管理 ④ 熱傷初期輸液療法 ⑤ 気管切開、輪状甲状軟骨切開 ⑥ 心嚢穿刺および開窓術 ⑦ 胸腔ドレナージ ⑧ ショックの診断と原因別治療。 輸液、輸血、成分輸血、薬物療法

を含む ⑨ DIC、SIRS、CARS、MOF の診断と治療抗癌剤と放射線療法の合

併症に対処することができる。 4.呼吸器学 アレルギー学の進歩に合わせた生涯学習を行う方略の基本を習

得し実行できる。 ①カンファレンス、その他の学術集会に出席し、積極的に討論に参加

することができる。 ②専門の学術出版物や研究発表に接し、批判的吟味をすることができ

る。 ③学術集会や学術出版物に症例報告や臨床研究の結果を発表すること

ができる。 ④学術研究の目的で、または奨励の直面している問題解決のため、資

料の収集や文献検索を独力で行うことができる。 ⑤臨床研究

呼吸器病学会、日本アレルギー学会、日本内科学会、日本結核病学会、

胸部外科学会をはじめとする各種学会、関連領域研究会、院内の研究

会、症例検討会での発表を通じて、臨床研究の手法について修得す

る。

消化器科 後期臨床研修プログラム Ⅰ 一般目標 消化器科内科領域の患者の多彩なニーズに対応できる幅広い良識を持ち、専

門的知識、手技を備えた消化器臨床医を育成することが卒後後期臨床研修の最

も重要な目的である。卒後最初の2年間で行う初期臨床研修においては臨床医

として必要な基本的態度、基礎的知識および診療技術の習得に主眼を置いて研

修が行われるが、卒後3,4,5年次では上下部消化管疾患、肝疾患、膵胆道

系疾患を中心に、その基礎的知識、診察診断、治療法の基本を身につけるとと

もに、各疾患の病態生理の理解と応用に重点を置く。また 3 年間を通して学会

発表や症例報告を行い、後期研修終了後は消化器病学会専門医、消化器内視鏡

学会専門医、肝臓病学会専門医資格を取得することを目標とする。 1 年目 主として入院患者の診療を通して、消化器疾患全般の病態生理とその治療を理

解する。消化器病学における必須の検査、治療として、内視鏡検査、腹部超音

波検査、肝生検、消化管の造影検査などを学ぶ。内視鏡検査は、上部内視鏡を

初年度 300 症例を目標とし、その後大腸内視鏡検査を開始する。またこの時期

に緊急内視鏡などの救急医療にも参加し、消化器領域における救急疾患にも対

応する能力を養う。 2 年目 外来診療が週1日加わり、症状、所見から診断治療を行う能力を養うとともに、

消化器疾患の長期的な管理を学習する。検査・治療手技としては、上部下部内

視鏡の基本的な技術はマスターして、消化管の粘膜切除術や食道静脈瘤治療な

どのより侵襲的な手技の習得を行う。 3 年目 引き続き消化器疾患に関する診断治療の習熟度を高め、同時にジュニアレジデ

ントや研修医の指導も行う。検査・治療手技としては、より熟練度を要する膵

胆道内視鏡や乳頭切開術、エコーガイドのエタノール注入療法などを指導医の

もと自ら実施する。 Ⅱ 行動目標 消化器科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。 個人個人の後期臨床研修の計画には、初期臨床研修の研修記録を参考にする。

1)臨床医として必要な基本的事項 臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。 ①医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、基本的な診療に必要な・知識・

技能・判断力・態度

②緊急を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力 ③患者や家族の有する問題を身体的、心理的、及び社会的側面から全人的に理

解し、適切に対処できる能力 ④患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力 ⑤常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度 ⑥チーム医療の原則を理解し、パラメディカルスタッフや他科医師など、他の

医療メンバーと強調できること ⑦適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること ⑧診療録やその他の医療記録を適切に作成できること ⑨医療に関する法令を遵守すること ⑩自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる態

度 ⑪自己教育の継続 2)消化器内科領域で必要な基礎的知識および診療技術の修得

消化器科卒後期臨床研修の期間中に修得することが望ましい研修領域、研修

内容、疾患を以下に挙げた。疾患に関しては各分野の代表的疾患について症

例を通じて理解を深めることが重要である。 ① 病歴聴取、病状説明

主訴、現病歴、既往歴、家族歴などを聴取し記載する。がん告知、イン

フォームドコンセントに配慮した対応が出来る ② 診察

バイタルサインを把握する 黄疸、貧血の有無を診察する 肝性昏睡の症状である意識レベル、羽ばたき振戦の有無 表在リンパ節触知の有無 腹部所見(腹水、肝脾腫大、腹水、圧痛、腹膜刺激症状、腸音など)を

正確にとれるようにする。 手掌紅斑、くも状血管腫、腹壁静脈瘤、下腿浮腫の有無

直腸診をおこなう

③ 手技 採血(動静脈)、末梢静脈確保 胃管の挿入 イレウス管の挿入 S-B チューブ挿入 胃洗浄 輸血、輸液 腹水穿刺

肝生検 腹部エコー

④ 薬物療法 合併症、副作用、薬剤相互作用を考慮し適切な投与薬、投与量を決めら

れる ―インターフェロン、HP除菌療法、抗がん剤

⑤ 画像診断

指導医のもとで各種の画像診断検査のオーダー、読影を行い検査結果を

正しく理解する。

-胸腹部単純写真、CT、MRI、MRCP、ERCP、注腸、胃透視、小腸造影、RI

検査、血管造影

⑥ 臨床検査

消化器内科学に最低必要な臨床検査の実施、オーダー、結果の評価が出

来るようにする。

―末梢血、生化学検査、凝固系検査、便潜血検査、肝炎ウイルス検査、

消化管ホルモン、腫瘍マーカー、細菌検査、穿刺液検査、病理検査

⑦ 内視鏡検査

上部下部内視鏡検査の適応、禁忌を理解の上、指導医のもと行う。

―上下部内視鏡検査、逆行性胆膵管造影、超音波内視鏡検査 ⑧ 救急医学

日常の診療、時間外診療を通じて、消化器系救急患者への対応法を 修得する。 ―消化管出血、急性腹症、嘔吐、下痢、肝性脳症、重症膵炎、劇症肝炎

⑨ 治療 消化器内科学において特異な治療、処置を指導医とともに行う。 ―内視鏡的止血術、消化管のポリープや早期癌に対する内視鏡的ポリー

プ切除術・粘膜切除術、食道・胃静脈瘤に対する内視鏡治療(硬化療法、

結紮術)、内視鏡的乳頭切開術・バルーン拡張術、経乳頭的胆管結石治療、

内視鏡的胆道ドレナージ・ステント挿入、内視鏡的胃瘻造設、肝癌に対

する肝動脈塞栓術、肝癌の局所治療(エタノール注入、ラジオ波)、急性

肝不全に対する血漿交換療法 ⑩ 経験することが望ましい各分野別の代表的疾患

消化管―食道炎、食道潰瘍、バレット潰瘍、食道癌、良性食道腫瘍、食

道静脈瘤、急性胃炎、慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃癌、胃肉腫、良性

胃腫瘍、マロリーワイツ症候群、腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、大

腸ポリープ、大腸癌、小腸腫瘍、イレウス、過敏性大腸炎、虚血性腸炎、

憩室炎、憩室出血、消化管ポリポーシス 肝胆道膵―急性肝炎、亜急性肝炎、慢性肝炎、劇症肝炎、自己免疫性肝

炎、PBC,肝硬変、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害、脂肪肝、肝膿瘍、

肝のう胞、肝癌、良性肝腫瘍、特発性門脈圧亢進症、胆石症、胆嚢胆管

炎、胆道腫瘍、PSS、総胆管結石症、急性膵炎、慢性膵炎、膵のう胞、

膵癌 腹腔疾患―急性腹膜炎、癌性腹膜炎

3)剖検

剖検を重視し、死亡例については可能な限り病理解剖を実施する。

4)保険診療に関する知識の修得 日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容

について理解する。 5)リスクマネージメント 日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める。 6)臨床研究 日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓病学会をはじめとする

各種学会、関連領域研究会、院内の研究会、症例検討会での発表を通じて、臨

床研究の手法について修得する。 消化器科後期臨床研修期間中の 3 年間に、3 回以上の学会発表と 1 編以上の論

文執筆を行うことを原則とする。 7)認定医(専門医)資格の取得 後期臨床研修中に日本内科学会認定資格を取得し、研修終了後は、受験資格

が整った段階で、後期臨床研修中の臨床経験をもとに、日本消化器病学会専門

医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓病学会専門医の資格取得の申請を

行う。 Ⅲ方略 1)研修期間 研修期間は 3 年間を原則とするが、1 年ないしは 2 年間の研修も可能。 2)研修方法 入院患者の担当医として、また 2 年目以後は週 1 回の外来診療を通じて、指

導医の助言を得ながら診療にあたる。適切な指導を受けるためには以下にあげ

た項目が最低限実施されなくてはならない。 ① 指導医による入院患者の回診 ② 指導医による診療録やその他の医療記録のチェック ③ 院内のカンファレンスや抄読会への出席

④ 死亡症例病理解剖の記録係 死亡例については可能な限り病理解剖を実施し、病理学的診断が行えるよう

にすることが望ましい。 ⑤ 関連学会、研究会への参加、発表 3)週間予定 月 17:00 ~18:00 内科外科症例カンファレンス 18:00 ~19:00 内視鏡フィルムカンファレンス 火 17:00 ~ 消化管造影の読影 水 8:15 ~9:00 抄読会・クルズス 14:00 ~15:00 副院長(医長)回診 木 17:30 ~ 新入院カンファレンス Ⅳ評価 ① 初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。 ② 研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 ③ 後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2

年次以降の研修計画を修正する。

循環器科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標

循環器科で診療する疾患は、急性期に致死的になる疾患も多い。これらの急

性期疾患の診断、治療、管理に関しての専門的知識を得、技術を習得する。一

方、慢性期に至っては良好な長期予後を期待する二次予防のための一般療法、

薬物療法を習熟することが目的である。退院後の外来でも経過観察し、長期に

わたる管理を行う。また、循環器疾患の診断と治療方針の決定に必要な非侵襲

的検査に携わる。これらの判断にあたりエビデンスの意識、およびガイドライ

ンの遵守を念頭に置く。

更に日本循環器学会認定専門医を取得すべく、日常臨床を題材に学会発表し、

論文にまとめることにより、病態の把握、治療方針の決定においての論理的思

考を深める。 Ⅱ 行動目標

循環器科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。

1) 臨床医として必要な基本的事項

(1)全ての臨床医に求められる基本的な臨床能力(態度・知識・判断力・技

能)を身につける。

(2)緊急を要する疾病(急性心不全、急性心筋梗塞症、急性大動脈解離、急

性肺塞栓、心タンポナーデ、感染性心内膜炎、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈)

や外傷、頻度の高い症状・病態に対する初期診療能力を身につける。

(3)患者の有する問題を身体的、精神心理的、および社会的側面から全人的

に理解し、適切に対処できる能力を身につける。

(4)患者および家族との望ましい人間関係を確立しようと努める態度を身に

つける。

(5)慢性疾患患者や高齢患者の診断、治療、予防、在宅医療(在宅酸素療法)

やリハビリテーション(急性心筋梗塞症後)・社会復帰につき、総合的な管理計

画に参画できる。

(6)末期患者(慢性心不全)を全人的に理解し、身体症状への対応だけでな

く心理社会的側面、死生観・宗教観などの側面へも対処できる。

(7)チーム医療の原則を理解し、他の医療メンバーと協調できる。

(8)適切な時期に、他科への診療依頼、患者紹介ができる。

(9)診療録やその他の医療記録(心電図には日付、患者名をその場で記載す

るなど)を適切に作成できる。

(10)医療に関する法令を遵守できる。

(11)保険診療の枠組みと内容を理解できる。

(12)自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をは

かる態度を身につける。

(13)生涯にわたる自己学習の習慣を身につける。

(14)医師としての責務を果たせるよう自己の健康管理に努める習慣を身に

つける。

2)専門的知識、専門的診療技術の習得

(1)急性期一般事項

当院では、第三次救急対象疾患が搬送され、循環器で診療する致死的急性期

疾患に遭遇することが多い。急性心筋梗塞症、急性大動脈解離、急性肺塞栓症

を始めとして、心不全、不整脈(徐脈性、頻脈性)患者の迅速な診断、治療、

管理を行う。病歴聴取、理学的所見、心電図、胸部 X線、心エコー図、胸部 CT

による急性期診断技術、これら検査の優先順位と総合判断能力を身につける。

(2)慢性期一般事項

急性期を脱した慢性期、慢性疾患患者に対しては2次予防と増悪予防を目的と

した治療を研修し、患者指導、外来での経過観察を行う。

以下に代表的疾患別に習得すべき研修内容を挙げる

A.虚血性心疾患

急性期では心臓カテーテル検査(心カテ)室での緊急 PCI に参加して使用薬

物、圧心電図モニター波形による管理、電気的除細動、IABP や PCPS 挿入などの

助手としての業務。術後には CCU における管理、PCI 術後管理(強心薬、抗不整

脈薬、抗凝固療法などの薬物使用法、スワンガンツカテーテルによる血行動態

の管理、人工呼吸器による呼吸管理、IABP、PCPS の管理)。動脈、静脈穿刺、気

管内挿管等の手技。

慢性期患者は非侵襲的検査(負荷心電図、心エコー、負荷心筋シンチグラム)

の適応判断と実施、心臓カテーテル検査の適応の検討と施行。2次予防として

高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、肥満などの冠血管危険因子の是正を

非薬物療法、薬物療法。また、外来通院中の患者が急性増悪した際の入院の適

応、タイミングについての判断。

B.大動脈解離

迅速な診断と治療の判断が平行して求められる。緊急 CT、心エコーの読影能

力、内科的治療と外科的治療の適応の判断。本疾患の病状は刻々と変化しうる

ため、初期判断の変更を余儀なくされることも多く、継続した管理技術を研修

する。

C.急性肺血栓塞栓症

心エコー(下肢静脈エコーも含む)、緊急CT、肺血流シンチグラムの施行と

読影による早期診断能力。補助循環装置、下大静脈フィルターの適応判断、抗

凝固療法の実践。また発症予防法の理解、外科系術後患者に多いために他科と

の連携能力が求められる。

D.心不全

重症急性期には救命のための挿管、人工呼吸管理の適応判断と実施。詳細な病

歴聴取、理学的所見、ほぼすべての循環器検査が適応となりうる。その適切な

選択を経て心不全の原因精査、病態の理解、慢性期予後をも念頭に長期にわた

る治療計画を立てる。

E.不整脈

様々な循環器疾患の直接的、間接的原因となる。急性期治療では電気的除細

動の実践、抗不整脈薬使用の判断。慢性期には突然死のリスクを有する不整脈

に特に留意し、その予防としては植え込み型除細動器、ペースメーカー、抗不

整脈薬、基礎心疾患の治療などの多岐にわたって理解を深め、適応を判断する。

3)各種検査への参加

A.非観血的検査

心エコー図、負荷心電図(トレッドミル検査)、心筋シンチグラムに関しては、

中心となって検査を施行し、手技と診断技術を学ぶ。心エコー図については、

米国心臓病学会の運用能力に対する基準を満たすべく研修する。これらの検査

の患者に与える侵襲は低く、症例をこなすことにより、技術に修練することが

可能である。また、心エコー検討会で常にフィードバックを行う。

B.観血的検査

緊急でない、診断目的の心臓カテーテル検査には術者となる。日本インター

ベンション学会指導医により、適応、手技、検査後の管理、合併症に対する対

応につき研修する。

4)患者との信頼関係

循環器科では急性期に致死的となり、慢性期にも何らかの突然死のリスクを

有する疾患と接する機会が多い。患者が急変している現場であっても医師とし

て冷静に判断し、家族を安心させるべく技量を身につける。急性期患者の多く

は、普段日常生活で支障なく行動し、病識を欠くことが多い。2次予防(再発

予防)の必要性を患者、その家族に時間をかけて説明することも患者との長い

付き合いをする上では重要なことである。

5)危機管理

循環器科で診療する疾患は、慢性期に移行しても急性増悪し易い。また、低侵襲

ではあるが、観血的な検査、治療を日常頻繁に行う診療科である。急激に致死的に

なりうる疾患であるということを患者、患者家族に話し理解させ、書面に残すこと

を習慣づける。万が一医療過誤が生じた際には、迅速に対応できる能力を身につけ

る。

6)医療従事者との連携

病院の様々な医療従事者と協力してこそ最良の医療を患者に供給できる。

上級医師、研修医とは常に患者病態、治療につき議論を持ち、良好な関係を持

つ。看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、その他の人々との関係を密

とし、良好な連携を保つ。

7)保険医療

保険医療制度を理解し、日常臨床に還元する。PCI、心筋シンチグラムは等高

額な検査、治療については、必要最低限で最大の効果を得るよう努力する。

8)学会活動

日常行っている臨床業務を第三者の評価に委ねることは重要であり、学会発

表し、論文にすることを課する。医学の科学としての一面を研修するためでも

あり、事実として残すためでもある。

日本循環器学会認定専門医の指導のもと、循環器専門医を取得すべく、受け

持った症例の病歴総括は迅速に記載し、臨床的に意義のある症例は積極的に学

会発表し論文にまとめる。余裕があれば臨床研究に携わることも可能である。

当科では、臨床研究に必要な統計学の基礎についてのカリキュラムが用意され

ている。希望があれば、応用編として、多変量解析など統計ソフトウエアーを

用いて解析する研修も可能である。

9)初期研修医指導

患者担当は指導医たる主治医、初期研修医とチームを編成する。日常の初期研

修医指導の他、指導医のもとにクルズスの司会を担当して後進の指導法をも学

ぶ。

Ⅲ方略

1)研修期間

研修期間は1年から 3年間を選択できる。より長期間が望ましい。

2)研修方法

入院患者の主治医として、また週に少なくとも 1 回以上の一般外来診療を通

じて、指導医の助言を得ながら診療にあたる。適切な指導を受けるために以下

にあげた項目を実施している。

(1)指導医による入院患者の回診、及び総合的症例カンファレンスを少なく

とも週に2回以上、心カテカンファレンスを週2回、心エコーカンファ

レンスは毎日。

(2)初期研修医を対象としたクルズスにも初めは参加が望ましい。

(3)指導医による診療録やその他の医療記録のチェック

(4)死亡症例に関する症例検討

死亡例については可能な限り病理解剖を実施し、病理学的診断が行えるよう

にすることが望ましい。

Ⅳ評価

(1)研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。

(2)後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえ

て 2年次以降の研修計画を修正する。

腎臓内科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標 患者の多様なニーズに対応できる幅広い知識と技術を持った良識ある臨床

医を育成することを目的とする。そのために臨床医として必要な基本的態度、

基礎的知識および診療技術の修得を行う。 後期臨床研修においては、初期臨床研修において学んだ基礎的な事項に加

え、入院患者および外来患者の診療を通じて、専門医として必要な専門的知

識および専門的診療技術を修得するとともに、学会活動を通じて臨床研究に

ついての知識を深める。 Ⅱ 行動目標

後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。 1)臨床医として必要な基本的事項を身につける。 ①医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、診療に必要な知識・技能・

判断力・態度 ②緊急を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力 ③患者や家族の有する問題を身体的、心理的及び社会的側面から全人的に理

解し、適切に対処できる ④患者及び家族とのコミュニケーションを十分に適切に行うことができる ⑤チーム医療の原則を理解し、パラメディカルスタッフや他科医師など、他

の医療メンバーと協調できる ⑥適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができる ⑦診療録やその他の医療記録を適切に作成できる ⑧医療に関する法令を遵守し、福祉制度を理解する ⑨地域医療連携について理解する ⑩自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる

態度 ⑪自己研鑽の継続

2)専門的知識および専門的診療技術の修得 後期臨床研修の期間中に経験することが望ましい研修領域、疾患を以下に

あげる。 ①画像診断

各種画像診断検査の実施方法および読影 →単純 X 線写真、IVP、CT、MRI、RI 検査(in vivo)、心エコー、腹部エ

コー

放射線診断部専門医の指導を受けることが望ましい ②臨床検査学

最低限必要な臨床検査学の知識の修得 →一般尿検査の実施と判断、血液・生化学検査の理解、血液ガスデータの

解釈、腎機能検査の実施と理解、尿生化学検査の理解、心電図の判読、 ③救急医療

内科医として日当直などの時間外診療を通じた、一般的な内科疾患(含、

腎疾患)救急患者への対応法の修得 →発熱、意識障害、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛、呼吸困難、胸痛、血尿、無

尿、喘息、心肺停止などに対する処置 ④腎生検

腎生検の適応決定、実施、病理組織診断 病理診断専門医の指導を受けることが望ましい ⑤血液浄化療法の適応決定と実施

慢性腎不全・急性腎不全・多臓器不全・劇症肝炎・重症自己免疫疾患など に対して各種血液浄化療法を行う →血液透析法、血液濾過法、血液濾過透析法、血漿交換法、二重濾過血漿

交換法、免疫吸着法、エンドトキシン吸着など ⑥体液バランス 水・電解質・酸塩基平衡の調節機構の理解、異常病態の理解と管理 ⑦主要徴候の病態と管理 高血圧、浮腫、血尿、蛋白尿、乏尿・無尿、慢性腎不全、急性腎不全 ⑧各分野別の代表的疾患 糸球体疾患:慢性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎、

ネフローゼ症候群 尿細管疾患:急性尿細管壊死 間質性疾患:急性間質性腎炎、慢性間質性腎炎 内分泌・代謝性疾患:糖尿病、痛風、アミロイドーシス 自己免疫疾患:全身性エリテマトーデス、強皮症、血管炎症候群

先天性腎疾患:多発性嚢胞腎、アルポート症候群 感染症:腎盂腎炎、下部尿路感染症 ⑨食事療法・日常生活管理について 3)保険診療に関する知識の修得 日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の仕組みと内容

を理解する。 4)リスクマネージメント 日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める。 5)臨床研究 各種学会、関連領域研究会、院内の研究会、症例検討会での発表を通じて、 臨床研究の手法について修得する。

後期臨床研修期間中の 3年間に2回以上の学会発表を行うことを原則とする。 6)認定医(専門医)資格の取得 後期臨床研修終了後は、受験資格が整った段階で、初期臨床研修および後期

臨床研修中の臨床経験をもとに、学会認定医(専門医)の申請を行う。 Ⅲ方略 1)研修期間 研修期間は 3 年間を原則とする。 2)研修方法 入院患者の主治医として、また週に少なくとも 1 回以上の一般外来診療を通

じて、指導医の助言を得ながら診療にあたる。また、他科からのコンサルテー

ション業務にも指導医とともに当る。 各種血液浄化療法(含、緊急血液浄化療法)に対処する。 適切な指導を受けるためには以下にあげた項目が最低限実施されなくてはな

らない。 ①指導医による入院患者の回診及び外来症例のカンファレンス 少なくとも週に 1 回以上 ②指導医による診療録やその他の医療記録のチェック ③死亡症例に関する症例検討 死亡例については可能な限り病理解剖を実施し、病理学的診断が行えるよう

にすることが望ましい。 Ⅳ評価 ④ 初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。 ⑤ 研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 ⑥ 後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2

年次以降の研修計画を修正する。

膠原病内科 後期研修カリキユラム

Ⅰ 一般目標 初期臨床研修で修得した臨床技能を基礎として、入院患者および外来患者に

おける膠原病・リウマチ性疾患に必要な臨床能力を3年間で修得すること。

Ⅱ 行動目標 1. 研修の対象とする疾患 1)全身性エリテマトーデス、 2)強皮症、 3)皮膚筋炎・多発性筋炎、

4)多発性動脈炎(血管炎症候群)、 5)関節リウマチ、 6)リウマチ熱、 7)シェーグレン症候群、 8)燐脂質抗体症候群、 9)成人スティル病、 10)ベーチェット病、 11)リウマチ性多発筋痛症、12)回帰性リウマチ、 13)分類不能膠原病(Unclassified connective tissue disease (UCTD)、 14)痛風、

15)偽痛風、16)RS3PE 症候群、17)変形性関節症、18)感染性関節炎、19)線維筋痛症、など。

2. 病棟業務の目標 1) 上級医(西海医長または秋谷医師)の指導のもとに、入院患者およびその

家族に対する入院時および退院時の説明、診断、検査、治療、を担当する。

状況により研修医とともに担当医となり、その指導も行えるようにする。

時に見学の学生の指導も担当する。なお、この過程で、リハビリテーショ

ン科との連携、慢性疾患患者の後方病院への紹介(ソーシャル・ワーカー

との連携)、リスク・マネージメントおよび医療事故への対応、保険診療上

のレセプトの点検、などを修得できるようにする。 2) 週一回の病棟カンファレンスで入院患者の説明を本人が入院サマリーを作

成して行う。また研修医が代行する場合はその指導を行えるようにする。 3) 週一回の抄読会において、論文の検索方法、選択の仕方、記載内容の批判

的な読み方ができるようにする。 3. 外来業務 週 1 度外来診療を担当し、本人が担当した入院患者の外来での継続診療を指導

医の助言を得ながら担当する。 4. 研究発表 本人が担当した入院または外来患者の中から、報告に値すると認めた症例を、

上級医の指導のもとに、日本内科学会関東地方会、日本リウマチ学会関東地方

会などで口頭発表する。その後は指導医の助言のもとに可能な限り論文作成を

行い雑誌に投稿する。 5. アルバイト 本人が希望する場合には、週半日の院外診療活動(アルバイト)が許可される。 6. 認定医(専門医)資格の取得

後期研修終了後は、受験資格がととのった段階で、日本リウマチ学会認定医(専

門医)の申請が出来るようにする。 7. その他 上記以外の内容については、膠原病内科医長と協議の上研修を行う。 Ⅲ 方略 1. 研修期間 研修期間は 3 年間を原則とする。 2. 研修方法 入院患者の主治医として、また週 1 回の外来診療を通じて、指導医の助言を

得ながら診療にあたる。 Ⅳ 評価 日常の入院および外来診療、カンファレンス、研修記録などをもとに指導医

による形成的評価と自己評価を行う。

血液内科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標 患者の多彩な身体症状、精神的動揺、社会的背景に対応できる幅広い良識を

持った臨床医を育成することが卒後臨床研修の最も重要な目的である。そのた

めに臨床医として必要な基本的態度、基礎的知識および診療技術の修得を行う。 血液内科後期臨床研修においては、内科初期臨床研修において学んだ基礎的

な事項に加え、入院患者および外来患者の診療を通じて、血液内科専門医とし

て必要な専門的知識および専門的診療技術を修得するとともに、日本内科学会、

日本血液学会、日本臨床血液学会、日本造血幹細胞移植学会などの学会活動を

通じて臨床研究についての知識を深める。 Ⅱ 行動目標 血液内科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。 個人個人の後期臨床研修の計画には、初期臨床研修の研修記録を参考にする。

1)臨床医として必要な基本的事項 臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。 ①医師としての基本的な診療技術・知識・判断力・態度 ②緊急を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力 ③患者や家族の有する問題を身体的、心理的、及び社会的側面から理解し、

柔軟に対処できる能力 ④患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力 ⑤常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度 ⑥チーム医療の原則を理解し、看護師、検査技師、理学療法士、ケースワー

カーなど、医師以外の職員と強調できること ⑦適切な時期に、他科専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができるこ

と ⑧診療録やその他の医療記録を適切に作成できること ⑨医療に関する法令を遵守すること ⑩自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、自己教育を継続して診療

の質の向上をはかる態度 2)専門的知識および専門的診療技術の修得 血液内科後期臨床研修の期間中に経験することが望ましい研修領域、疾患を

以下にあげた。疾患に関しては各分野の代表的疾患について症例を通じて理解

を深める。本来初期臨床研究の 2 年間で修得するべき項目については、修得が

不完全な場合にこれを補完するものとする。 ①臨床検査学 骨髄穿刺・生検の適応の理解と安全かつ確実な施行 末梢血液塗抹標本の作成と鏡検 骨髄穿刺塗抹標本の作成と鏡検 特殊染色・組織化学反応の理解と結果の評価(ペルオキシダーゼ反応、

エステラーゼ反応、酸性フォスファターゼ反応、アルカリフォスファタ

ーゼ反応、PAS反応、鉄染色) 生検リンパ節捺印標本の細胞診検査(ギムザ染色、パパニコロー染色) 生検リンパ節病理組織診断と免疫組織化学の理解 モノクローナル抗体を用いた造血器腫瘍細胞の表面マーカー解析とそ

の評価 造血細胞の染色体検査の意義、染色体異常所見の評価 FISH(fluorescent in situ hybridization)検査の意義と所見の評価 免疫グロブリン遺伝子・T細胞受容体遺伝子再構成によるリンパ系悪性

腫瘍の診断と分類 疾患特異的遺伝子異常を利用した造血器腫瘍細胞の分子生物学的解析

と治療後微少残存病変の評価 異性間 FISH または遺伝子多型を利用した同種造血幹細胞移植後の分子

生物学的キメリズム解析 ②検査・治療手技 中心静脈路確保(鎖骨下静脈、内頸静脈、大腿静脈穿刺) 骨髄穿刺・生検 胸腔穿刺・腹腔穿刺 腰椎穿刺と抗癌剤の髄腔内投与 ③各種画像診断検査の実施、読影 単純 X 線写真 胸部、腹部、全身骨など 消化管X線検査 上部消化管造影、注腸造影 断層撮影 CT スキャン、MRI RI 検査 全身ガリウムシンチグラム、骨シンチグラム 超音波検査 心エコー、腹部エコー ④救急医療 日当直などの時間外診療を通じた、一般的な血液疾患救急患者への対応

法の修得、特に発熱、意識障害、出血傾向、呼吸困難、血圧低下、けい

れん、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛、不整脈、心肺停止などに対する緊急対

応と診断、処置

血液内科に特異的な以下の病態への正確かつ迅速な対応 1、 腫瘍崩壊症候群 2、 播種性血管内凝固症 3、 高カルシウム血症 4、 急性腎不全 5、 抗腫瘍剤投与後の麻痺性イレウス 6、 出血性膀胱炎 7、 造血幹細胞移植後VOD 8、 造血幹細胞移植後TMA 9、 顆粒球減少患者の敗血症とエンドトキシンショック 10、薬剤投与後、輸血後のアナフィラキシー反応

⑤輸血学 輸血の適応と合併症の正しい理解 輸血の効果、必要性、合併症の患者への説明と同意書の準備 速やか、かつ正確なオーダーと輸血の実行 血液製剤すなわち赤血球(濃厚赤血球MAP、洗浄赤血球、白血球除去

赤血球)、血小板、新鮮凍結血漿、凝固因子製剤、アンチトロンビン III 製剤、ガンマグロブリン製剤、アルブミン製剤の適応と使用法の理解 ⑥悪性腫瘍に対する化学療法の理念と実際 造血器悪性腫瘍に対する total cell kill の概念の理解 血液内科における代表的化学療法レジメンの実施 各抗癌剤の特徴と適応疾患・病態・副作用の知識と使用経験 新しい分子標的療法に用いられる薬剤(レチノイン酸、イマチニブ、リ

ツキシマブなど)の知識と使用経験 ⑦造血幹細胞移植と細胞療法 末梢血幹細胞採取の手法とタイミング 自己末梢血幹細胞移植の適応と実際 同種骨髄・末梢血幹細胞移植の適応と実際 移植前全身検査の理解と施行 HLA検査と同種移植後キメリズム解析 急性GVHDの予防と診断・治療 慢性GVHDと移植後感染症の予防・治療 臍帯血幹細胞移植の実際 移植関連合併症の診断と治療(VOD,TMA,生着症候群など) ドナーリンパ球輸注の適応と実際 骨髄非破壊的移植と抗腫瘍免疫効果

⑧感染症学と抗生物質の使用法 培養検査と細菌の抗生物質感受性の評価、抗生物質の正しい選択 臓器障害患者での投与量の調節のしかた 薬剤の血中濃度のモニタリング 免疫不全患者での感染予防と治療(弱毒菌感染症、真菌感染症、サイト

メガロウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、アデノウイルス、ニューモ

シスチス・カリニ、非定型抗酸菌) 肝炎ウイルス陽性血液疾患患者の化学療法・免疫抑制療法・造血幹細胞

移植 免疫不全患者のEBウイルス感染とリンパ系腫瘍の発生 ⑨経験すべき血液内科の代表的疾患・病態 貧血性疾患 鉄欠乏性貧血、症候性貧血、サラセミア、巨赤

芽球性貧血、溶血性貧血(先天性球状赤血球症、

薬剤性溶血性貧血、自己免疫性溶血性貧血、発

作性夜間血色素尿症、血管障害性溶血性貧血) 造血不全性疾患 再生不良性貧血、赤芽球癆、骨髄異形成症候群、

無顆粒球症 白血病 急性骨髄性白血病(含急性前骨髄球性白血病)、

急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性

リンパ性白血病 慢性骨髄増殖性疾患 真性多血症、本態性血小板血症、骨髄線維症 悪性リンパ腫 ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(濾胞性リン

パ腫、マージナルゾーンリンパ腫、マントル細

胞リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、バー

キットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、末梢

性T細胞性リンパ腫、成人T細胞白血病・リン

パ腫、その他の特殊病型リンパ腫、節外性リン

パ腫、ヘアリーセル白血病) 異常蛋白血症 多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症、

アミロイドーシス 出血性疾患 特発性血小板減少性紫斑病、アレルギー性紫斑

病、血友病、フォンウィルブランド病、その他

の凝固因子異常症、血栓性血小板減少性紫斑 病・溶血性尿毒症症候群、播種性血管内凝固症 その他 伝染性単核球症、後天性免疫不全症候群、血球

貪食症候群、移植片対宿主反応(GVHD) 3)保険診療に関する知識の修得 日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容

について理解する。 4)リスクマネージメント 日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める。 5)臨床研究 日本内科学会、血液・臨床血液学会、造血幹細胞移植学会をはじめとする各

種学会、関連領域研究会、院内の研究会、症例検討会での発表を通じて、臨床

研究の手法について修得する。 血液内科後期臨床研修期間中の 3 年間に、3 回以上の学会発表と 1 編以上の論

文執筆を行うことを原則とする。 6)認定医(専門医)資格の取得 後期臨床研修中に受験資格が整った段階で、日本内科学会認定医認定試験を

受け、認定医の申請を行うことが望ましい。 後期臨床研修終了後は、受験資格が整った段階で、初期臨床研修および後期

臨床研修中の臨床経験をもとに、日本血液学会認定専門医の申請を行う。 Ⅲ方略 1 研修期間 研修期間は 3 年間を原則とする。 2 研修方法 入院患者の受持医として、また週に少なくとも 1 回以上の一般外来診療、他

科からの診療依頼入院患者の診療を通じて、主治医の助言を得ながら 診 療 に

あたる。適切な指導を受けるためには以下にあげた項目が最低限実施されなく

てはならない。 ①主治医による入院患者の回診及びカンファレンス(原則として毎日) ②主治医とともに患者およびその家族への病状説明に参加し、診療録に記載 ③主治医、指導医による診療録やその他の医療記録のチェック ④死亡症例に関する症例検討

死亡例については可能な限り病理解剖を実施し、病理学的診断が行えるよ

うにすることが望ましい。 Ⅳ評価 ①初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。 ②研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 ③後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2年次以降の研修計画を修正する。

精神科 後期臨床研修プログラム Ⅰ 一般目標 総合的な診療能力を身につけ、様々な精神疾患・状態像を診断することがで

き、治療計画を立案し実行に移すことができる。精神保健福祉法指定医および

精神科認定医(現在、具体的内容が検討中)の資格を取得できるだけの能力を養う。

(注:指定医については当院の研修だけでは取得することはできない) Ⅱ 行動目標 以下の内容は、卒後臨床研修プログラムの内容と共通する部分があるが、後

期研修においては、獲得すべき知識や技術の内容は専門的であり高い水準を要

求される。入院患者の主治医となり、外来においては初診・再診をそれぞれ一コ

マずつ担当するので、以下の項目を独力でできることが求められる。 (1)適切な面接と問診技術を習得する

・ 診断作業にかかわる問診および治療的な面接技法 ・ 精神疾患の評価のための知識(精神症状・状態像など) ・ 診療の能率化にも配慮できる

(2)幅広い精神疾患・状態像の診断・治療についての専門的知識を習得する。 ・ 以下の疾患、愁訴、状態像について知識を習得 うつ、不眠、せん妄、不安(パニック障害含む)、適応障害、身体表現性障

害、幻覚妄想(統合失調症含む)、自殺企図・希死念慮、痴呆、アルコール

/物質依存、症候性精神障害、薬剤の副作用としての精神症状 ・ICD-10、DSM-Ⅳの操作的診断基準を適切に利用でき、これらの診断基準

の長所と短所を理解できること

(3)適切な治療計画を立てられること ・自らが診断し主治医となった症例について、適切な診療計画を立てること ・診断的プラン、治療的プラン、教育的プランに分けて立案することができ

る ・SOAP 形式に準拠したカルテ記載する ・適切な述語を使用できる

(4)精神症状への薬物療法を習得する。

・ 向精神薬療法に関する十分な知識の獲得と実践 ・ 向精神薬の副作用について熟知すること

(5)修正型無痙攣性電気けいれん療法を施行できること (6)精神症状への心理社会的介入方法を習得する

・ 患者、家族へ適切な指導ができる

(7)コンサルテーション・リエゾン精神医学の実際を経験する ・ 多岐にわたるリエゾン症例を経験する ・ 主治医(身体科)に情報を提供することができる ・ 看護に対し適切なアドバイスや指導をすることができる

(8)院内他職種との連携のための技術を身につける。 ・ 看護士との合同ミーティングに参加し、主治医として意見を述べること

ができる ・ 薬剤師、ケースワーカーなどを含む病棟カンファレンスに参加して意見

を述べることができる

(10)臨床検査(心理テスト、脳波など)を理解する ・ 心理テストの結果を理解することができ、臨床的に活かすことができる ・ 脳波所見を読むことができる

(11)研修医に適切な指導ができる ・上級医の指導の下で研修医に対して適切な指導や助言ができる Ⅲ 方略 (1)研修期間 3 年間 (2)研修方法 ・ 精神科外来での初診、再診をそれぞれ担当する ・ 精神科病棟で主治医として患者を担当する ・ 身体科リエゾンで症例を担当する ・ 看護士のスタッフミーティングに参加する ・ 精神科カンファレンス、症例検討会に参加する ・ 勉強会の当番を担当する ・ 医長・上級医とのディスカッションの機会を頻回に設ける ・ 学会発表、症例報告などの論文執筆を行う ・ 計画的な講義は予定していないが、勉強会などの場面で講義をおりまぜる Ⅳ 評価 ・ 医長、スタッフ医師による評価 ・ とくにテストによる評価は行わない

小児科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標 患者の多彩なニーズに対応できる幅広い良識を持った臨床医を育成すること

が卒後臨床研修の最も重要な目的である。そのために臨床医として必要な基本

的態度、基礎的知識および診療技術の修得を行う。 小児科後期臨床研修においては、初期臨床研修において学んだ基礎的な事項

に加え、入院患者および外来患者の診療を通じて、小児科専門医として必要な

専門的知識および専門的診療技術を修得するとともに、日本小児科学会などの

学会活動を通じて臨床研究についての知識を深め、そうした中で将来自身がす

すむべき専門分野についての意思決定を行う。 Ⅱ 行動目標 小児科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。 個人個人の後期臨床研修の計画には、初期臨床研修の研修記録を参考にする。

1)臨床医として必要な基本的事項 臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。 ①医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、基本的な診療に必要な・知識・

技能・判断力・態度 ②緊急を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力 ③患者や家族の有する問題を身体的、心理的、及び社会的側面から全人的に理

解し、適切に対処できる能力 ④患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力 ⑤常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度 ⑥チーム医療の原則を理解し、パラメディカルスタッフや他科医師など、他の

医療メンバーと強調できること ⑦適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること ⑧診療録やその他の医療記録を適切に作成できること ⑨医療に関する法令を遵守すること ⑩自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる態

度 ⑪自己教育の継続

2)専門的知識および専門的診療技術の修得 小児科後期臨床研修の期間中に経験することが望ましい研修領域、疾患を以

下にあげた。疾患に関しては各分野の代表的疾患について症例を通じて理解を

深める。本来初期臨床研究の 2 年間で修得するべき項目については、修得が不

完全な場合にこれを補完するものとする。 ①画像診断 各種画像診断検査の実施方法、読影 →単純 X 線写真、IVP、VCG、上部消化管造影、注腸造影、CT、MRI、RI

検査、心エコー、腹部エコー 放射線診断部、小児循環器の専門医の指導を受けることが望ましい ②臨床検査学 小児科医として最低限必要な臨床検査学の知識の修得 →尿沈渣の判読、髄液細胞数のカウント、穿刺液の塗抹鏡検、グラム染色、 心電図の判読、脳波の判読 ③救急医療 日当直などの時間外診療を通じた、一般的な小児救急患者への対応法の修得 →発熱、けいれん、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛、呼吸困難、心肺停止などに

対する処置 ④小児保健 乳幼児健診、予防接種外来を通じた、乳幼児健診及び予防接種に関する知識、

技術の修得 ⑤周産期医療 新生児の入院診察、退院診察、産科との連携 各種新生児疾患の診断法、管理法の修得 →呼吸管理、輸液管理、光線療法、交換輸血などの手技 ⑥各分野別の代表的疾患(例) 新生児 →新生児仮死、胎便吸引症候群、特発性呼吸窮迫症候群、高ビリルビン血

症、新生児感染症、新生児小児外科的疾患(食道閉鎖、小腸閉鎖など)、

先天性心疾患 遺伝・染色体 →21 トリソミー、18 トリソミー、ターナー症候群 内分泌・代謝疾患 →IDDM、NIDDM、甲状腺疾患、成長ホルモン分泌不全性低身長 アレルギー性疾患・免疫性疾患・膠原病 →アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、免疫不全、川崎病 感染症 →各種呼吸器感染症、中耳炎、腸管感染症、尿路感染症、中枢神経感染症、

敗血症、皮膚軟部組織感染症、小児発疹性感染症(麻疹、風疹、水痘、

突発性発疹症、伝染性紅斑、溶連菌感染症)、ムンプス

呼吸器疾患 →気道異物、気管支拡張症、気管支喘息 消化器疾患 →腸重積、肥厚性幽門狭窄症、肝胆道疾患、虫垂炎 循環器疾患 →各種先天性心疾患、川崎病、不整脈 血液疾患、悪性腫瘍 →各種貧血、凝固線溶系の異常をきたす各種疾患・病態、特発性血小板減

少性紫斑病、血管性紫斑病、白血病、神経芽細胞腫、ウィルムス腫 泌尿器・生殖器疾患 →各種腎炎、ネフローゼ症候群、尿流障害(膀胱尿管逆流、腎盂尿管移行

部狭窄)、水腎症、停留精巣、陰嚢水腫 神経筋疾患 →各種てんかん、水頭症、フロッピーインファント 精神運動発達障害・行動異常・心身症

→低酸素性脳症、不登校、神経性食思不振症 (リハビリテーション、カウンセリングに関する知識、技術の修得) 3)保険診療に関する知識の修得 日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容

について理解する。 4)リスクマネージメント 日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める。 5)臨床研究 日本小児科学会をはじめとする各種学会、関連領域研究会、院内の研究会、

症例検討会での発表を通じて、臨床研究の手法について修得する。 小児科後期臨床研修期間中の 3 年間に、3 回以上の学会発表と 1 編以上の論文

執筆を行うことを原則とする。 6)認定医(専門医)資格の取得 後期臨床研修終了後は、受験資格が整った段階で、初期臨床研修および後期

臨床研修中の臨床経験をもとに、日本小児科学会認定医(専門医)の申請を行

う。

Ⅲ方略 1 研修期間 研修期間は 3 年間を原則とする。 2 研修方法 入院患者の主治医として、また週に少なくとも 1 回以上の一般外来診療を通

じて、指導医の助言を得ながら診療にあたる。適切な指導を受けるためには以

下にあげた項目が最低限実施されなくてはならない。 ①指導医による入院患者の回診及び外来症例のカンファレンス 少なくとも週に 1 回以上 毎日実施されることが望ましい ②指導医による診療録やその他の医療記録のチェック ③死亡症例に関する症例検討 死亡例については可能な限り病理解剖を実施し、病理学的診断が行えるよう

にすることが望ましい。 Ⅳ評価 ① 期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。 ② 研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 ③ 後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2

年次以降の研修計画を修正する。

外科 後期臨床研修カリキュラム 当外科は、独立型の研修施設として、初期臨床研修期間を終えた後期臨床研

修医(通称レジデント)を原則 3 年間受け入れることとする。また同時に、大

学機関で研修を行っているレジデントも受け入れる(当施設での研修期間は短

くなるが)ことから、各施設共通のカリキュラムであることが必要で、日本外

科学会が提唱する専門医養成のカリキュラムを、当外科の後期臨床研修カリキ

ュラムの基本に置くこととした。 1、 基本的事項 1) 修練内容 (1)臨床に携わる外科医の養成を目的とする。 (2)外科専門医の資格が修得できる内容とする。 (3)初期臨床研修カリキュラムでの救急医学より、さらに外科的内容に重

点をおいた救命・救急医学を必修とする。 (4)経験必須症例および経験技術などの到達目標を明確にする。

2) 修練期間 外科専門医受験資格としては、修練カリキュラムにおける到達目標の

達成度が重視され、一定以上の修練期間が必要であり(認定修練施設に

おいて)、一定以上の修練期間としては、初期臨床研修期間を含んで 4 年

以上とされている。 当施設における後期臨床研修期間は 3 年であるが、到達目標に達成し

ていれば、2 年終了後専門医の受験は可能である。 当施設は、日本外科学会の認める認定修練施設であり、また日本救急

医学会の認定施設でもあることから、当施設のみで到達目標に達成すれ

ば受験資格を得ることができる。 2、 カリキュラム内容(外科専門医資格修得のために定められた内容に準じ

る) 1) 一般目標

(1)専門医として、適切な外科の臨床的判断能力と問題解決能力を修得

する。 (2)手術を適切に実施できる能力を修得する。 (3)医の倫理に配慮し、外科診療を行う上での適切な態度と習慣を身に

付ける。 (4)外科学の進歩に合わせた生涯学習を行うための方略の基本を修得

する。 (5)外科総合カリキュラムとして学習する。

(6)外科の基本的問題解決に必要な基礎的知識、技能および態度を修得

する。 * 基礎的知識とは、外科に必要な局所解剖、病理・腫瘍学、病態生理、

輸液・輸血、血液凝固と線溶現象、栄養・代謝学、感染症、免疫学、

創傷治癒、周術期管理、麻酔学、集中治療、救急医学(外傷・熱傷)

などすべてを包括する。 (7)実地臨床症例を教師とし、体験から自己学習を促進する。

2) 到達目標(Ⅰ~Ⅴ) Ⅰ、外科診療に必要な下記の基礎的知識を習熟し、臨床応用できる。 (1)局所解剖

手術をはじめとする外科診療上で必要な局所解剖について述べる

ことができる。 (2)病理学

外科病理学に基礎を理解している。 (3)腫瘍学

① 発癌、転移形成および TNM 分類について述べることができる。 ② 手術、化学療法および放射線療法の適応を述べることができる。 ③ 抗癌剤と放射線療法の合併症について理解している。

(4)病態生理 ① 周術期管理などに必要な病態生理を理解している。 ② 手術侵襲の大きさと手術のリスクを判断することができる。

(5)輸液・輸血 周術期・外傷患者に対する輸液・輸血について述べることができる。

(6)血液凝固と線溶現象 ① 出血傾向を鑑別できる。 ② 血栓症の予防、診断および治療の方法について述べることができる。

(7)栄養・代謝学 ① 病態や疾患に応じて必要熱量を計算し、適切な経腸、経静脈栄養剤

の投与、管理について述べることができる。 ② 外傷、手術などの侵襲に対する生体反応と代謝の変化を理解できる。

(8)感染症 ① 臓器や疾病特有の細菌の知識を持ち、抗生物質を適切に選択するこ

とができる。 ② 術後発熱の鑑別ができる。 ③ 抗生物質の副作用、合併症を理解できる。 ④ 破傷風トキソイドと破傷風免疫ヒトグロブリンの適応を述べるこ

とができる。 (9)免疫学

① アナフィラキシーショックを理解できる。 ② GVHD の予防、診断および治療方法について述べることができる。

③ 組織適合と拒絶反応について述べることができる。 (10)創傷治癒 創傷治癒の基本を述べることができる。 (11)周術期の管理 病態別の検査計画、治療計画を立てることができる。 (12)麻酔学 ① 局所・浸潤麻酔の原理と局所麻酔薬の極量を述べることができる。 ② 脊椎麻酔の原理を述べることができる。

③ 気管内挿管による全身麻酔の原理を述べることができる。 ④ 硬膜外麻酔による全身麻酔の原理を述べることができる。

(13)集中治療 ① 集中治療について述べることができる。 ② レスピレータの基本的な管理について述べることができる。 ③ DIC と MOF を理解できる。 (14)救急医学 ① 蘇生術について述べることができる。 ② ショックを理解できる。 ③ 重症外傷を理解できる。

⑤ 重症熱傷を理解できる。 Ⅱ、外科診療に必要な検査・処置・麻酔手技に習熟し、それらの臨床応

用ができる。 (1)下記の検査手技ができる。

① 超音波診断:自身で実施し、病態を診断できる。 ② エックス線単純、CT、MRI:適応を決定し、読影することができ

る。 ③ 上・下部消化管造影、血管造影など:適応を決定し、読影すること

ができる。 ④ 内視鏡検査:上・下部消化管内視鏡検査、気管支ファイバースコピ

ー、食道ファイバースコピー、術中胆道鏡検査、ERCP などの必

要性を判断することができる。 ⑤ 心臓カテーテルおよびシネアンギオグラフィー:必要性を判断する

ことができる。 ⑥ 食道内圧検査、食道 pH モニター検査、直腸内圧検査、デフェコグ

ラムなどの消化管機能検査:適応を決定し、結果を解釈できる。 (2)周術期管理ができる。

⑧ 周術期の補正輸液と維持療法を行うことができる。 ⑨ 輸血量を決定し、成分輸血を指示できる。 ⑩ 出血傾向に対処できる。 ⑪ 血栓症の治療について述べることができる。 ⑫ 経腸栄養の投与と管理ができる。

⑬ 抗菌性抗生物質の適正な使用ができる。 ⑭ 抗菌性抗生物質の副作用・合併症に対処できる。 ⑮ デブリードマン、切開およびドレナージを適切にできる。

(3)次の麻酔手技を安全に行うことができる。 ① 局所・浸潤麻酔 ② 脊椎麻酔 ③ 気管内挿管による全身麻酔

(4)外傷の診断・治療ができる。 ① すべての専門領域の外傷の初期治療ができる。 ② 多発外傷における治療の優先度を判断し、トリアージを行うことが

できる。 ③ 緊急手術の適応を判断し、それに対処することができる。

(5)以下の手技を含む外科的クリテイカル・ケアができる。 ⑩ 心肺蘇生法―ALS(気管内挿管、直流除細動を含む) ⑪ 動脈穿刺 ⑫ 中心静脈カテーテルおよび Swan-Ganz カテーテルの挿入とそれ

による循環管理 ⑬ レスピレータによる呼吸管理 ⑭ 熱傷初期輸液療法 ⑮ 気管切開、輪状甲状軟骨切開 ⑯ 心嚢穿刺および開窓術 ⑰ 胸腔ドレナージ ⑱ ショックの診断と原因別治療。 輸液、輸血、成分輸血、薬物療法

を含む ⑲ DIC、SIRS、CARS、MOF の診断と治療 ⑳ 抗癌剤と放射線療法の合併症に対処することができる。

(6)外科系サブスペシャリテイ(消化器外科、呼吸器外科、心臓・血管

外科、小児外科など)の分野の初期治療ができ、かつ、専門医への

転送の必要性を判断することができる。 Ⅲ、一定レベルの手術を適切に実施できる能力を修得し、その臨床応用

ができる。 (1)一般外科に包含される下記領域の手術を実施することができる。括

弧内の数字は術者または助手として経験する各領域の最低症例数

を示す。 ① 消化管および腹部内臓の手術(80 例) ② 乳腺および皮膚、軟部組織(15 例) ③ 呼吸器(15 例) ④ 心臓・大血管(10 例) ⑤ 抹消血管(15 例)ただし頭蓋内血管を除く ⑥ 頭頸部、内分泌外科(15 例)皮膚、顔面、唾液腺、甲状腺、上皮

小体など ⑦ 小児外科(15 例) ⑧ 内視鏡下手術(腹腔鏡・胸腔鏡を含む)(20 例)上記のうち、各分

野における各種手術 ⑨ 各臓器の外傷(多発外傷を含む)(10 例) * 1:術者となるときは指導医のもとに執刀する。 * 2:1)研修期間中に術者または助手として 350 例以上を経験す

る。 2)前記の領域別分野の最低症例数を術者または助手と

して経験する。 3)前記の領域別分野にかかわらず、術者としての経験が

120 例以上であること。ただし、4 年次以降に、研修医

師の執刀に際し、指導のために助手( teaching assistant)をしたときは、術者の症例とみなすことが

できる。 4)上記の具体的疾患名・手術手技名については後頁に添

付した「参考 手術手技一覧」に定める。 (2)局所麻酔、腰椎麻酔、硬膜外麻酔、気管内挿管による全身麻酔の

基礎知識を習得し、かつこれらの麻酔をかけることができる。 Ⅳ、外科診療を行う上で、医の倫理に基づいた適切な態度と習慣を身に

つける。 (1)指導医とともに on the job training に参加することにより、協

調による外科グループ診療を行うことができる。 (2)コメデイカルスタッフと協調・協力してチーム医療を実践する

ことができる。 (3)外科診療における適切なインフォームド・コンセントを得るこ

とができる。 (4)ターミナル・ケアを適切に行うことができる。 (5)研修医や学生などに外科診療の指導をすることができる。 (6)確実な知識と不確実なものを明確に識別し、知識が不確実なと

きや判断に迷うときには、文献や指導医の助言などの教育資源を

活用することができる。 Ⅴ、外科学の進歩に合わせた生涯学習を行う方略の基本を習得し実行で

きる。 (1)カンファレンス、その他の学術集会に出席し、積極的に討論に

参加することができる。 (2)専門の学術出版物や研究発表に接し、批判的吟味をすることが

できる。 (3)学術集会や学術出版物に症例報告や臨床研究の結果を発表する

ことができる。

(4)学術研究の目的で、または奨励の直面している問題解決のため、

資料の収集や文献検索を独力で行うことができる。 付記 上記のカリキュラムで、外科の専門医を養成する為に必要とする項目はほと

んど網羅されていると考えるが、当施設において時代に則した上記以外に必要

な項目があれば、その時々にこのカリキュラムに加えて充実したものとなるよ

う変更していくこととする。

整形外科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標

前期研修 2年を終了した整形外科後期研修医の研修は以下の 3点を満たすこ

とを目標とする。

(1)患者の多彩なニーズに対応できる幅広い良識を持ち、通常の臨床現場で

遭遇することの多い疾患について手術を含む診療を行える知識、技術を

備えること。後進の医師(前期研修医など)の教育に参加できること。

(2)整形外科専門医として必要な専門的知識および専門的診療技術を修得す

ることに努め、日本整形外科学会専門医資格の取得(6 年以上の研修が条

件である)を最低目標とすること。

(3)日常臨床の中で問題を発見し、日本整形外科学会をはじめとする学会で

学術成果を発表すること。自らの将来の専門分野を選択できること。

Ⅱ 行動目標

整形外科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。

内容の詳細については日本整形外科学会の定める整形外科卒後研修ガイドラ

インに準ずるものとする。

1)医師として必要な一般的事項

臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。

1.全ての臨床医に必要な基本的な診療に必要な知識・技能・態度を身につけ

る。

2.骨・運動器疾患の患者の身体症状・心理的状況・ニーズについて理解する。

3.緊急を要する病態に対する対応の仕方を理解する。

4.慢性期の疾患、高齢者の疾患の治療(リハビリテーションを含む)について

理解する。

5.患者、家族との良好な人間関係を確立し、適切な説明を行い、理解を得よ

うとする態度を身につける。

6.患者の人間的・心理的側面にも配慮し、総合的に問題解決を図る能力を身

につける。

7.他の医療メンバーと協調し協力する習慣を身につける。

8.適切な診療記録を作成することが出来る。診断書などの医療文書を正しく

記載できる。

9.クリティカルパスの使用、評価、改訂を他の医療メンバーと協力して行え

る。

10. 医療保険、介護保険、社会福祉施設、医事紛争など医の社会的側面につい

て理解する。健康保険制度と保険診療の実際についてレセプト点検などを

通じて理解し、適切な保険診療が出来る。

11. 日常診療の中で生じる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに

対するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言

を通じて理解し、必要な行動が取れる。

12. 適切なコンサルテーション、転院などの方策が取れる。

13. 臨床を通じて思考力、判断力および創造力を培い、自己評価をし、第三者

の評価を受け入れフィードバックする態度を身につける。

2)整形外科医として必要な事項

(1)運動器の基礎知識

1.骨・軟骨・関節

① 解剖学・組織学

② 生化学・代謝

③ 発生・発育・変性・リモデリング

④ 修復(骨折の治癒、軟骨の修復)

2.神経・筋・腱・脈管

⑤ 解剖学・組織学

⑥ 筋の生理学

⑦ 神経の変性と再生

⑧ 中枢神経系の機能

⑨ 腱の損傷・再生

⑩ 脈管系の機能

(2)関連領域の基礎知識

1.病理学

2.微生物学

3.免疫学

4.遺伝学

5.運動学

6.バイオメカニクス・材料力学

7.放射線医学

8.バイオマテリアル

(3)整形外科的検査法

1.Ⅹ線検査

造影、CTなどを含む

2.MRI

3.超音波検査

4.電気生理学的検査

5.核医学

6.病理組織学的検査

7.関節鏡

8.骨密度測定

(4)整形外科診断学

1.骨・関節の診察

2.神経・筋の診察

3.日整会各種機能評価判定基準

(5)整形外科的治療学総論

1.保存的治療

① 薬物療法

② 固定法(包帯法、副子、ギプス、テーピングなど)

③ 各種注射法

④ 牽引療法

⑤ 装具療法

⑥ 理学療法・作業療法

2.手術的治療

⑦ 麻酔・全身管理

⑧ 術前準備

⑨ 骨手術(骨移植術を含む)

⑩ 関節手術(鏡視下手術を含む)

⑪ 筋・腱・靱帯手術

⑫ 脊椎・脊髄手術

⑬ 神経手術

⑭ 血管手術

⑮ 形成外科的手術

⑯ 四肢切断術

⑰ 四肢長調整手術

⑱ 組織移植と保存法

⑲ 術前・術後管理

(6)整形外科的外傷学

1.外傷総論

① 救急外傷

② 骨・関節の外傷

③ 神経・筋・腱・靱帯の外傷

④ 血管の外傷

⑤ 手の外傷

⑥ スポーツ外傷・障害

2.外傷各論

⑦ 脊椎・胸郭

a)脊椎・脊髄損傷

b)肋骨・胸骨骨折

⑧ 上肢帯・上肢

a)肩甲骨骨折

b)鎖骨骨折

c)肩鎖・胸鎖関節部骨折・脱臼

d)肩関節脱臼・脱臼骨折

e)肩腱板損傷

f)上腕骨頚部骨折

g)上腕骨骨幹部骨折

h)肘周辺骨折・脱臼

i)前腕骨骨折

j)手部の骨折・脱臼

k)手指の腱・神経・靱帯損傷

⑨ 下肢帯・下肢

a)骨盤骨折

b)股関節周辺骨折・脱臼

c)大腿骨頚部・転子部骨折

d)大腿骨骨幹部骨折

e)膝周辺骨折・脱臼、膝蓋骨脱臼

f)膝関節の靱帯損傷、半月損傷

g)下腿骨骨折

h)足関節部の脱臼・骨折

i)足部の脱臼・骨折

j)足関節・足部の靱帯損傷

(7)整形外科的疾患の診断と治療

1.退行性骨・関節疾患

① 変形性関節症

② 変形性脊椎症

③ 脊柱靱帯骨化症

④ 骨粗鬆症

2.神経・筋疾患

①末梢神経麻痺

②絞扼性神経障害

③運動ニューロン疾患

④脳性麻痺

⑤ 筋疾患

3.骨壊死・骨端骨化障害

① 骨端症

② 無腐性骨壊死

③ 離断性骨軟骨炎

4.関節リウマチとその周辺疾患

① 関節リウマチ

② リウマチ近縁疾患

③ 結晶性関節炎

5.骨系統疾患・骨代謝疾患

① 先天性骨系統疾患

② 代謝異常または内分泌異常による骨疾患

6.先天異常

7.骨・軟部腫瘍とその類似疾患

① 骨腫瘍

② 軟部腫瘍

③ 腫瘍類似疾患

④ 滑膜性骨軟骨腫症など

⑤ 転移性骨腫瘍

8.感染症(化膿性、結核性など)

① 骨・関節

② 軟部組織

9.部位別疾患

① 頚部疾患

a)筋性斜頚

b)胸郭出口症候群

②脊柱・脊髄

a)脊柱変形

b)脊髄腫瘍

c)脊髄症

d)脊椎症

e)リウマチ性脊椎炎またはリウマチ頚椎

f)椎間板ヘルニア

g)脊椎分離・すべり症

③上肢帯・上肢

a)反復性肩関節脱臼

b)動揺肩

c)肩腱板損傷

d)外反肘・内反肘

④手

a)先天異常

b)拘縮

c) 麻痺手

d) リウマチ手

e) 後天性変形

⑤下肢帯・下肢

a)先天性股関節脱臼

b)大腿骨頭すべり症

c)膝蓋骨脱臼

d)内反膝・外反膝

e)リウマチ膝

f)先天性内反足

g)外反母趾

h)リウマチ足

(8)整形外科リハビリテーション

1.障害の診断(測定、評価)

2.治療目標の設定

3.治療手段

① 理学療法

② 運動療法

③ 作業療法

④ 義肢・装具・自助具

⑤ 医療ソーシャルワーク

4.障害認定

5.各論

① 対麻痺、四肢麻痺

② 脳性麻痺

③ 関節リウマチ

④ 神経・筋疾患

⑤ 術後療法

⑥ 切断者リハビリテーション

3)臨床研究

(1)日常臨床において常に根拠に基づいた診療を行う態度を持ち、そのため

に指導医の助言を求めるのみでなく、積極的に文献検索を含めた知識の取

得に努める。

(2)日本整形外科学会の正会員となり、専門医取得を最低目標として基礎的

事項を含めた学習を行う

(3)1年1回以上の学会発表と3年間に1篇以上の論文投稿を行う。

Ⅲ方略

(1)研修期間

原則として3年間

(2)研修方法

1.外来診療

1週に1度以上の外来診療を行う。指導医が適切な助言を行う。

2.入院診療

入院患者の主治医または担当医となり、指導医の助言のもとに診療を行う。

3.症例ごとの指導

入院および外来患者の症例カンファレンス、回診、指導医による診療録その

他のチェックを行う。

4.手術と検査

手術および検査の術者および助手となり、指導医の指導の下に手技の習得に

努める。

5.抄読会

定期的に抄読会を行い、広い知識の習得に努める。

6.学会活動

指導医の指導の下に学会発表、論文執筆を行う。学会発表のテーマは最初は

指導医が与えるが、以後は自身でテーマを発見することが望ましい。

7.後進の医師、他職種の指導

自身が習得した知識・技術・考え方を伝えることで自身の知識の整理、確認

を行う機会を作る。

8.3年間修了時までに術者として行えるべき手術の例

頚椎前方固定術、脊椎後方除圧術、腰椎部のインストゥルメンテーション、

腰椎椎間板ヘルニア摘出術、骨折観血手術(各部位)、骨折非観血手術(各部

位)、膝関節鏡視下手術、人工骨頭置換術(肩、股関節)、人工股関節置換術、

人工膝関節置換術

Ⅳ評価

1年に1回以上、日本整形外科学会発行の研修手帳の内容に準じて自己評価

と指導医による評価を行う。

リハビリテーション科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標

リハビリテーション科(以下、リハ科)後期臨床研修においては、初期臨床

研修において学んだ基礎的な事項に加え、入院患者および外来患者の診療を通

じて、リハ科専門医として必要な専門的知識および専門的技術を習得するとと

もに日本リハビリテーション医学会などの学会活動を通じて臨床研究について

の知識を深め、さらに自分が将来進むべき専門分野についての意志決定を行う.

Ⅱ 行動目標

リハ科の後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下の通りである.

個人個人の後期臨床研修の計画には、初期臨床研修の研修記録を参考にする.

1)臨床医としての必要な基本的事項を身につける

①医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、基本的な診療に必要な知識・

技能・判断力・態度

②緊急処置を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力

③患者や家族が有する問題を身体的、心理的、および社会的側面から全人的に

理解し、適切に対処できる能力

④患者および家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力

⑤常に患者および家族の立場を考え、不快感を与えない態度

⑥チーム医療の原則を理解し、他の医療メンバーと協調できること

⑦適切な時期に専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること

⑧診療記録やその他の医療記録を適切に作成できること

⑨医療に関する法令を遵守すること

⑩自己評価を行い、第3者による評価を受け入れ、診療の質の向上を図る態度

⑪自己教育の継続

2)専門的知識および専門的診療技術の習得

リハ科後期臨床研修の期間中に経験・習得することが望ましい研究領域、疾

患を以下にあげた.

①診察

1年目:JCSおよびGCSによる意識障害評価.指鼻試験および踵膝試験.

表在感覚・深部感覚・2点識別覚.深部腱反射.VASによる疼痛評価.

四肢および体幹のROMとMMT.脳神経機能評価

2年目:Brunnstrom Stageによる麻痺評価.Ashworth Scaleによる痙縮評価

②画像診断

1年目:頭部および脊椎単純CT・MRI・MRAでの解剖学的オリエンテー

ションと撮影条件の把握

2年目:関節の単純X線の指示.頭部単純CT・MRIでの脳血管障害・頭部

外傷・水頭症の診断.

頭部MRAでの基本的異常の診断.

脊椎MRIでのヘルニア・狭窄症の診断

3年目:胸腹部・脊椎・四肢単純X線での基本的診断.頭部CT・MRIでの

脳血管障害の時期診断.

脳血流シンチ・骨シンチでの基本的診断

③電気生理学的診断

2年目:EMGで四肢の主な神経および顔面神経の導出・測定

3年目:下肢のEMGでH波の導出.疲労検査.中様筋・骨間筋の導出.

針筋電図での安静時異常の診断.

EEGおよび誘発電位およびP300の所見の解釈

④心肺機能評価

1年目:一般肺機能検査での基本的異常の評価

2年目:Borg scaleでの自覚的運動強度の評価

3年目:運動負荷試験の適応決定.ATの測定

⑤歩行・ADL

1年目:Barthel indexによるADL評価

2年目:FIMによるADL評価.IADLによる評価

3年目:異常歩行の診断・原因の推定

⑥言語障害

2年目:構音障害と失語症の鑑別.構音障害の分類

3年目:SLTAに基づいた評価.失語症の古典分類.失語症と痴呆の鑑別

⑦痴呆・高次脳機能障害

2年目:痴呆・健忘の診断(DSMⅣ).長谷川式スケールの実施.

WAIS-RおよびWMS-Rの解釈.

失行・失認・注意障害の診断.高次視知覚検査の実行.PASAT・TMT・

WCSTの実施

3年目:標準高次動作機能検査の実施と解釈

⑧嚥下障害

2年目:反復唾液嚥下テストの実施.嚥下造影.間接的と直接的嚥下訓練.経

管栄養管理

3年目:誤嚥造影の読影.輪状咽頭筋拡張法

⑨排尿障害

1年目:球海綿体反射.残尿測定

2年目:薬物療法.自己導尿の指導.膀胱ろうの管理

3年目:泌尿器科的IP・CG・UGの解釈

⑩成長・発達

1年目:4・7・12・18のkey monthの評価

2年目:STNR.ATNR.一連の立ち直り反応・パラシュート反応・

Landau反射・平衡反応の理解

津守式乳幼児精神発達質問紙・遠城寺式乳幼児分析的発達検査法の評価

3年目:デンバー式発達スクリーニング検査

⑪障害者心理

3年目:障害受容過程に沿った患者心理状態の把握・接遇・チーム指示

⑫理学療法

2年目:関節ROM訓練・四頭筋強化訓練・腰痛体操の指導.排痰・喀痰吸引

処置.

各種物理療法の指示.頸椎や腰椎の牽引

3年目:心疾患の運動療法の指示.肺炎・頸損の呼吸理学療法の処方.FES

の実施

⑬作業療法

2年目:肘・手指関節のROM訓練.上腕二頭筋強化訓練.着替え・食事など

ADLの指導

3年目:半側空間無視に対する指導.家屋改造の指導

⑭言語療法

2年目:Schuellの治療原則(失語症).構音障害に対する指導

⑮神経ブロック・疼痛管理

2年目:モーターポイントブロック.閉鎖神経ブロック.腱鞘内・顆部への注射

3年目:ボツリヌス毒素によるブロック.肩峰下滑液包・膝への注射.腰痛に

対する注射

⑯リハビリ機器

2年目:自助具・歩行器の処方

3年目:四肢・体幹装具の処方・判定.下肢義足の処方・判定.車椅子の処方・

判定

⑰合併症管理

3年目:褥創の予防・治療.RSDの診断

⑱薬物療法

2年目:痙攣発作.局所の疼痛

3年目:痙縮に筋弛緩剤.症候性てんかん.異所性骨化.うつ状態.せん妄.

痴呆.RSD

3)保険診療に関する知識の修得

日常診療の中でレセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容に

ついて理解する.

4)リスクマネージメント

日常診療の中で起きる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める.

5)臨床研究

日本リハビリテーション医学会をはじめとする各種学会、関連領域研究会、

院内の研究会、症例検討会などを通じて、臨床研究の手法について修得する.

6)認定医資格の取得

後期臨床研修終了後は、日本リハビリテーション医学会認定臨床医の受験準

備をする.

Ⅲ 方略

1 研修期間

研修期間は3年を原則とする

2 研修方法

指導医とともに外来および入院患者の診療に当たるが、患者の主治医は

あくまでもリハビリ依頼元の診療科の医師であり、リハ科は側面援助とい

う形をとる.しかしリハ科として独自に次のことを行う.

①指導医による入院患者の回診

②問題症例などのカンファレンス

③指導医による診療録などのチェック

④関連科のカンファレンスに出席して意見を述べる

Ⅳ 評価

1年ごとに上記ⅡおよびⅢの項目1つ1つについて指導医が4段階評価

(ABCD)する.

3年終了までにすべての項目がAあるいはBにならなくてはならない.

心臓血管外科 後期臨床プログラム

Ⅰ 一般目標

心臓血管外科レジデントは心臓血管外科専門医認定医制度における心臓血管

外科専門医取得を目指し、自立した心臓血管外科医となる実力を養うことが目

標となる。

Ⅱ 行動目標

まず研修医終了後今一度初心に戻り、患者を全人的に理解し、良好な人間関

係を確立するため、主治医として患者や家族のニーズを身体、心理、社会面か

ら把握し、病状説明、インフォームドコンセントを通して医師としての責任感

を高める。医師としての守秘義務の遵守のみでなく、日常的なプライバシーへ

の配慮も学ぶ。生命倫理に関し日頃より指導医と話し合い、終末期の立会いに

際し、患者、家族の死生観、宗教観などに配慮する。

また近年大変重要視されている医療安全対策の報告はレジデントよりセーフ

ティマネージャーへと上申して書類を作成する。院内感染・事故等の反復する

おそれのある事項については、各部署単位で、検討会を行い対策を相談するの

で、それに参加することが望ましい。

さらに心臓血管外科レジデントは患者の主治医として、医長およびスタッフ

医師の指導のもと保険診療の基本を学ぶ。受持ち患者のレセプトを毎月確認し

無駄のない医療を心がけるとともに、特に高額医療については症状詳記を提出

し診療内容と経費の相関について理解を深めるよう努める。

Ⅲ 方略

研修 1年目(Junior Resident)においては、心臓・大血管の発生と解剖、生

理機能を理解した上で、各疾患の病態生理を理解し、術前・術後管理を行える

べく研修する。各種テキストをもとにスタッフの講義により、心臓血管系の各

疾患の病態生理を理解し、それらに対する内科治療と外科治療につき理解する。

その際、使用される薬物の薬理効果を理解し、その副作用に注意しながら実際

の投与方法を学ぶ。病棟においては、大動脈疾患、虚血性心疾患、弁膜症、外

科的治療の対象になる不整脈疾患などの担当医となり、症状、理学的所見、心

電図、X線検査、超音波検査、CT、MRI、心臓カテーテル検査(心臓血管

造影を含む)、核医学検査などの結果をもとに手術適応を学び、最適な手術法

を決定する能力を養う。開心術では、主に第 2 助手として手術に入り、手術全

体の流れを学び、各疾患における手術法を学ぶ。同時に、人工心肺装置のメカ

ニズムを理解し、専任の体外循環技術認定士とともに実際の使用法を習得する。

開胸閉胸手技、大腿動・静脈のカニュレーション、冠動脈バイパス術における

大伏在静脈の採取、ペースメーカー植え込み術などの基本的な手技を習得する。

術後管理では、心電図、動脈圧、中心静脈圧、肺動脈圧、心拍出量などのモニ

ターの持つ意味を理解し、適切な術後管理が行えるべく指導医のもとに研修す

る。

研修2年目は、研修 1 年目の知識・技術習得の上に2年目の研修を行う。各

疾患における病態生理の更なる理解を深め、急性心筋梗塞、不安定狭心症、急

性大動脈解離、不整脈疾患などの救急患者の来院に際しプライマリーケアが行

える実力を養う。すなわち、心電図変化、心エコー検査の実施と診断、CT読

影などを自ら行い、体外式ペーシング、Swan-Ganz カテーテルの挿入などを行う。

また体外循環の確立をめざし、低体温循環停止、脳分離体外循環等の理論を理

解した上で、カニュレーションを含めた基本手技を実施する。手術では、冠動

脈バイパス術、人工弁置換術、弁形成術などの定型的手術の第 1 助手を行い、

ペースメーカー植え込み術などの基本的な手術では指導医のもとに術者として

経験する。冠動脈バイパス術に使用する胃大網動脈、橈骨動脈グラフトの採取

を担当する。術後管理は、各疾患に特異的な病態生理を理解し、術後急性期の

変化にも適切に対応できる能力を得る

研修3年目は、腹部大動脈瘤手術、単純な開心術などを指導医のもとに術者

として経験する。より難度の高い手術では、指導医の第 1 助手を務め多数の手

術を経験する。手術(弓部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、大動脈解離、重複動脈

瘤など)における到達法や補助手段の決定、リスク評価などに自分の意見を述

べし、治療方針決定の一翼を担う。術前、術中、術後管理を中心的立場で行う。

小手術の術前説明、安定した状態の患者および家族に対する病状説明を行い、

自立した外科医になるべく Informed consent の取り方を含めた修練を積む。こ

の年は、修練カリキュラムの最後の年になり、将来心臓血管外科医として働く

上での実践とも言うべき研修となる。研修医が行う術前検査、投薬、術後管理

を統括的に把握し、指導医の確認のもとに研修医の指導をする。また 3 年間の

研修期間中に興味あるいは疑問を持ったことを、学会発表、論文にまとめ将来

の自分の研究テーマの方向づけを決める。

Ⅳ 評価 心臓血管外科専門医認定医制度における心臓血管外科専門医取得のための単

位を達成していれば可とする。

脳神経外科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標 脳神経系に関する臨床及び基礎の幅広い知識と技術の習得を図り、良識ある優

れた脳神経外科診療の専門医を育成することを目標とする。 Ⅱ 行動目標 個々の初期臨床研修の成果を参考に、後期臨床研修を計画する。 (1)臨床医としての基礎的知識の習得をさらに深める。 ① 医師としての職業倫理を理解する。 ② チーム医療の中での協調性を身につける。 ③ 患者・家族との対話を通じてコミュニケーション能力を培う ④ 診療録等の記載が適切に行えるようにする。 などである。 (2)専門的知識および技術を習得する ① 脳神経系臨床解剖の理解 脳神経診断・治療の基礎となる脳神経系臨床解剖の理解・習得に努力する。

② 神経放射線画像診断能力の習得 神経放射線専門医の加わった神経画像カンファレンスを通じて、脳神経系画

像診断技術を習得する。CT、MRI、脳血管撮影、SPECT などの基礎を学び、

診断能力を身につける。とくに、脳血管撮影手技の具体的技術を習得し、単独

で行えるように努力する。 ③ 臨牀検査学に関する知識の習得 一般的臨床検査学の知識はもちろんのこと、脳波、誘発脳波などの神経電気

生理学的検査の理解および判読、腰椎穿刺の技術の習得および髄液検査結果の

理解などである。 ④ 多岐にわたる神経疾患を理解するため、神経内科的疾患の診断・治療を習

得する。 研修期間中脳神経外科・神経内科合同カンファレンスに参加することによっ

て神経内科的疾患の診断・治療をも習得する。脳神経外科研修1年目ないし 2年目内の一定期間、神経内科をローテーションして神経内科専門医の指導のも

とに研修することがある。 ⑤ 救急医療への参加 脳神経外科医にとって最も重要な救急診療の実際を学ぶ。救急専門医の指導

のもと、三次救急診療とくに外傷救急診療の知識および技術を身につけるため

に、脳神経外科研修 1 年目の一定期間救命センターをローテーションすること

がある。さらに、脳神経系当直に参加し、指導医のもとに頭部外傷、脳卒中疾

患の一次、二次救急診療を習得する。

⑥ リハビリテーションの理解・医療社会福祉の認識 研修期間中脳神経外科・リハビリテーション科・医療社会福祉士との合同カ

ンファレンスに参加し、リハビリテーション医学の重要性を認識しその知識を

深めるとともに脳神経外科と医療社会福祉制度とのかかわりを理解する。 ⑦ 脳神経外科手術手技の習得 研修期間 3 年目終了までに指導医のもと脳腫瘍やくも膜下出血などの開頭手

術における開頭・閉頭が行えるようにする。また穿頭術(慢性硬膜下血腫)や

髄液短絡術(脳室・腹腔短絡術、腰椎・腹腔短絡術)を術者として行えるよう

になることを目標とする。頭部外傷患者(急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫)

の緊急手術を指導医のもと術者として行えるようになることを目標とする。脳

血管撮影を年間最低 50 件以上行うことを目標とし、脳血管内手術にも参加し脳

血管内治療の基本を学ぶ。 ⑧ 臨床研究 日本脳神経外科学会および関連学会における発表を通じて、臨床研究の方法

を習得する。3 年間の脳神経外科研修期間中、3 回以上の学会発表と 1 編以上の

論文執筆を行うことを原則とする。 ⑨ 専門医資格の取得 専門医取得の基本的資格は一定期間以上、日本脳神経外科学会会員であるこ

ととされるため、取得希望の場合可及的速やかに学会入会の手続きをとること

を勧める。 受験資格が整った場合に初期・後期臨床研修期間中の経験をもとに日本脳神

経外科学会専門医の申請を行う。 Ⅲ 方略 1 研修期間 研修期間は 3 年間とする。 2 研修方法 ① 入院患者の担当医となり指導医の助言のもとに診療にあたる。 ② 脳神経外科カンファレンス、神経内科合同カンファレンス、リハビリテーシ

ョン科合同カンファレンス、神経放射線カンファレンスに参加する。 ③ 診療録等の医療記録の指導医によるチェックを受ける。 ④ 脳神経系当直に参加し、指導医のもとに診療を行う。 Ⅳ 評価 ① 後期研修記録を作成する。 ② 自己評価を行うとともに指導医評価を受ける。 ③ 後期研修 1 年毎ごとの研修評価をもとに研修計画を修正する。

産婦人科 後期臨床研修プログラム Ⅰ 一般目標 産婦人科の卒後臨床研修は、プライマリケアに必要な特有の疾患、ホル

モン変化、妊娠分娩に関する基本的知識及び診療技術の修得を行うが、特

に後期臨床研修においては初期臨床研修において学んだ基本的な事項に加

え、産婦人科専門医として必要なより専門的知識及び専門的診療技術を修

得することを目的とする。 また産科婦人科学会の専門医認定の取得を目標とし、将来自身の進むべ

き専門分野についての意志決定を行う。 Ⅱ 行動目標 (1) 臨床医として必要な基本的事項 ① 全身の系統的な診察を行い、主要な所見を正しく把握する。 ② 適切に検査を選択・指示し、結果を解釈する。 ③ 基本的治療法の適応を決定し、実施する。 ④ バイタルサインを正しく把握し、生命維持に必要な処置を的確に行う。 ⑤ 健康保険制度を理解し、その範囲内で適切な医療を実施する。 ⑥ 麻薬の取り扱いを理解し、対応する。 ⑦ 医療事故について理解している。 ⑧ チーム医療における他の医師及び医療メンバーと協調的に活動する。 ⑨ 診療録等の医療記録、処方箋、指示書、診断書、検案書、証明書、紹介

状と その返事などを適切に作成し、管理する。 ⑩ 自己及び第三者による評価と改善ができる。

(2) 専門的知識及び専門的診療技術の修得 産婦人科後期臨床研修の期間中に経験することが望ましい研修領域、

疾患及び 診察技術を以下にあげる。 ① 検査の実施方法及び結果の解釈

・ ホルモン測定 ・ 超音波検査 (経腹・経膣) ・ 感染症 ・ 細胞診 ・ コルポスコピー ・ 子宮鏡 ・ 腹腔鏡

・ 骨盤計測 ・ 骨盤 CT・MRI ・ 分娩監視装置 ・ 腫瘍マーカー

② 救急医療 一般的な産婦人科救急患者への対応

・ 急性腹症 ・ 出血 ・ 児心音低下などに対する処置

③ 産科的疾患 異常妊娠分娩

・ 流産の診断と処置 ・ 早産の管理 ・ 子宮外妊娠の対応及び手術執刀 ・ 帝王切開術の適応判断及び手術執刀 特に前置胎盤・常位胎盤早期剥離・子宮破裂等の緊急手術及びその全

身管理 ・ 産科出血に対する救急処置・止血法 ・ 合併症妊娠管理

④ 婦人科的疾患

A 良性疾患 (子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、子宮腺筋症、附属器炎、子宮内膜

炎、STD, 骨盤腹膜炎、バルトリン腺嚢腫等) ・ 基本的知識を持ち、診察、検査、結果から診断を確立し、治療方針を

立てる事ができる。 ・ 患者・家族に治療法について結果・副作用・手技を説明できる。 ・ 手術療法・薬物療法の適応と限界を知り、適切な治療を実施できる。 ・ 適切な手術・執刀ができる。

(腹式子宮全摘、附属器切開術、腫瘍摘出術等) B 悪性腫瘍 (子宮頸部異形成、子宮頸癌、子宮内膜増殖症、子宮体癌、子宮肉腫、

卵巣癌、外陰癌、膣癌、絨毛性腫瘍等) ⅰ) 基本知識

・ 基本的知識を有し、具体的に説明できる。 特に、病理、症状、早期診断、進行期分類、予後因子、治療方針決定

と治療法、治療後の管理、再発診断、癌疼痛治療を含めたターミナル

ケアを理解し、実施できる。 ・ 診療、検査結果から診断を確定し、説明できる。 ・ 適正な治療方針を立てることができる。 ・ 各治療法の適応、結果、リスク、副作用などを説明できる。 ・ 悪性腫瘍の告知による患者への影響を推測し、個別的な対応と援助が

できる。 ⅱ) 手術療法

・ 術前・術中・術後の管理ができ、リスクに対して適切な処置ができる。 ・ 手術の必要性、術式、麻酔法の選択、手術期のリスクについて、患者・

家族に、インフォームド・コンセントに留意し、説明できる。 ・ 手術に関連した局所解剖を理解し、説明できる。 ・ 以下の手術の助手を務めることができる。 広汎性子宮全摘出術、準広汎性子宮全摘出術、卵巣癌根治術、リンパ

節郭清術、セカンドルックの手術、膀胱・尿管・腸に関する手術 ⅲ) 放射線療法

・ 婦人科腫瘍の定型的放射線治療について説明できる。 ・ 外科的治療、放射線治療、化学療法の相互関係、集学的治療について 説明できる。 ・ 放射線治療の適応を適正に決定できる。 ・ 患者・家族に放射線療法の効果、副作用、放射線障害について説明で

きる。 ・ 放射線治療中・治療後の患者管理ができる。 ・ 放射線防御の基本的知識を有する。

ⅳ) 化学療法 ・ 産婦人科で用いられる主な化学療法剤を作用機序、作用する細胞周期、

作用様式により分類し説明できる。 ・ 疾患別の適応、化学療法剤の選択、投与量、投与経路について説明で

きる。 ・ 疾患と performance status に応じた化学療法を計画し、実施できる。 ・ 治療効果判定法と奏功度について説明できる。 ・ 副作用の種類、発現時期の相違を説明できる。 ・ 副作用の軽減法を知り、適切に対応できる。

(3) 臨床研究 日本産科婦人科学会をはじめとする各種学会、研究会、症例検討会での

発表、出席を通じて、臨床研究の手法について修得する。 産婦人科後期臨床研修期間中の3年間に3回以上の学会発表と1編以上

の論文執筆を行う。

(4) 専門医資格の取得 後期臨床研修終了後は受験資格が整った段階で初期臨床研修及び後期臨

床研修中の臨床経験をもとに 日本産科婦人科学会認定医の申請を行う。 Ⅲ 方略

1 研修期間 研修期間は3年間を原則とする。 希望があれば、国立成育医療センターでの短期研修も可能。

2 研修方法 入院患者の主治医として、また週に少なくとも 1 回以上の一般外来診療

を通じて指導医の助言を得ながら診療にあたる。適切な指導を受けるため

には以下にあげた項目が最低限実施されなくてはならない。 ① 指導医による入院患者の回診及び外来症例のカンファレンス

少なくとも週 1 回以上毎日実施されることが望ましい。 ② 指導医により診療録やその他の医療記録のチェック ③ 手術療法、化学療法、放射線療法に関し、指導医のもと知識、技術を修

得する。 Ⅳ 評価

① 初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録す

る。 ② 研修記録をもとに自己評価及び指導医評価の形で形成的評価を行う。 ③ 後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえ

て 2 年次以降の研修計画を修正する。

麻酔科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標

周術期(術前、術中、術後)の麻酔管理を通じて、呼吸・循環・代謝で代表さ

れる生理機能を理解し、薬理学的な知識に基づいた診断・治療法および麻酔関

連領域の幅広い知識・理論・技術を修得する。

Ⅱ 行動目標

1.術前管理

・術前患者の診察が行え、麻酔方法や麻酔合併症に関する一般的な説明ができ

る。

・適切な術前検査の指示ができ、かつ、その結果や検査データの解釈ができる。

・術前合併症や術前内服薬の影響を理解した上で適切な術前指示を出すことが

できる。

・麻酔管理上の問題点を把握し、適切な麻酔計画を立てることができる。

2.術中管理

・血管確保・気道確保・気管挿管の適応、方法、合併症およびその対処法を理

解し、実施できる。

・バイタルサインの把握、検査値(動脈血ガス分析、血算・生化学・凝固・線溶

検査)の解釈ができる。

・静脈・吸入・局所麻酔薬、筋弛緩薬の薬理を理解し、実際の患者管理に使用

することができる。

・周術期に使用される心血管作動薬、抗不整脈薬、副腎皮質ステロイドなどの

薬理学的知識を習得し患者管理に役立てることができる。

・輸液・輸血の適応、方法、種類、副作用およびその対処法を理解し、照合確

認も含め安全に実施できる。

・脊椎穿刺(脊髄くも膜下麻酔)の適応、方法、合併症およびその対処法を理

解し、実施できる。

・硬膜外麻酔の適応、方法、合併症およびその対処法を理解し、実施できる。

・中心静脈穿刺、動脈カニュレーション、肺動脈カテーテル挿入などの侵襲的

手技の適応、方法、合併症およびその対処法を理解した上で実施できる。

・観血動脈圧、心拍出量、中心静脈圧、肺動脈楔入圧など測定結果の解釈と患

者管理への応用ができる。

・術前サマリーを含め、麻酔記録を正確に記載することができる。

3.術後管理

・術後回診を通じて、自分の関与した麻酔管理についてセルフ・アセスメント

することができる。

・主たる術後合併症について理解し、適切な処置を行うことができる。

・術後疼痛管理の方法、種類、副作用およびその対処法を習得し、実施できる。

・観血動脈圧、心拍出量、中心静脈圧、肺動脈楔入圧などの術後管理への応用

ができる。

4.その他

・人工呼吸器の使用方法を習得し、感染対策、肺理学療法まで考慮した包括的

な人工呼吸管理ができる。

・癌性疼痛の病態生理を理解し、かつ、患者とその家族に全人的に接遇でき、

緩和医療に参加できる。

Ⅲ 方略

1.研修期間

研修期間は 2年以上で麻酔科標榜医取得までが望ましい。

2.研修方法

・研修達成度に応じた難易度の手術患者を受け持ち、指導医と共に周術期管理

を担当する。

術前カンファレンスを行い、適切な麻酔計画を立てる。

指導医と共に麻酔管理(全身麻酔・硬膜外麻酔・脊椎麻酔)を行う。

麻酔管理に必要な薬理・生理については適宜講義・抄読会を行う。

・指導医による麻酔記録、術後管理記録のチェック

・問題症例は症例検討会で討議する。

Ⅳ 評価

・自己評価と指導医の評価を行う。評価は A、B、Cの 3段階とする。

・後期臨床研修 1年次が終了した時点で研修内容を評価し、2年次以降の研修計

画を修正する。

救命救急センター 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標

救急医療は医の原点であり、かつ、すべての国民が生命保持の最終的な拠り所とし

ている根元的な医療である。そのために臨床医として必要な基本的態度、基礎的知

識および診療技術の修得を行う。初期臨床研修において学んだ基礎的な事項に加え、

入院患者および外来患者の診療を通じて、救急科専門医として必要な専門的知識お

よび専門的診療技術を修得するとともに、日本救急医学会などの学会活動を通じて

臨床研究についての知識を深め、そうした中で将来自身がすすむべき専門分野につ

いての意思決定を行う。そのために下記の一般目標をあげる。

1.生命や機能的予後に係わる、緊急を要する病態や疾病、外傷に対する適切な診

断・治療能力を身につける。

2.救急医療システムを理解し、病院前、一次、二次、三次の各救急医療を適切に行

える能力を身に付ける。

3.災害医療のシステムを理解し、その準備、訓練を実施し、実際の災害医療を行え

る能力を身に付ける。

Ⅱ 行動目標

救命救急センター後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。

1)臨床医として必要な基本的事項

臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。

①医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、基本的な診療に必要な・知識・技能・

判断力・態度

②緊急を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力

③患者や家族の有する問題を身体的、心理的、及び社会的側面から全人的に理解し、

適切に対処できる能力

④患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力

⑤常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度

⑥チーム医療の原則を理解し、パラメディカルスタッフや他科医師など、他の医療メン

バーと協調し、かつリーダーシップをとることができること

⑦適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること

⑧診療録やその他の医療記録を適切に作成できること

⑨医療に関する法令を遵守すること

⑩自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる態度

⑪自己教育の継続

2)専門的知識および専門的診療技術の修得

救命救急センター後期臨床研修の期間中に経験することが望ましい研修領域、疾

患を以下にあげた。疾患に関しては各分野の代表的疾患について症例を通じて理解

を深める。本来初期臨床研究の 2 年間で修得するべき項目については、修得が不完

全な場合にこれを補完するものとする。

救急診療の基本的事項

(1)重症度と緊急度が判断でき、適切に初期診療ができる。

(2)患者の社会的背景に応じて適切な医療・対応ができる

(3)二次救命処置(ACLS)、一次救命処置(BLS)を指導できる。

(4)頻度の高い救急疾患・外傷の診断・治療・指導ができる。

(5)専門医への適切なコンサルテーションができる。

(6)多数傷病者に対して適切にトリアージ、初期診療が行える

(7)大災害時の救急医療体制を理解し、災害医療チームを指揮できる。

救急診療に必要な知識

(1)緊急画像診断

(2)緊急心電図の解読

(3)緊急検査の適応と評価

(4)緊急薬剤の使用法

(5)輸血の適応と実施方法

(6)ショックの診断と治療

(7)発熱(高体温)の診断と治療

(8)意識障害の診断と治療

(9)頭痛の診断と治療

(10)眩暈の診断と治療

(11)痙攣の診断と治療

(12)失神の診断と治療

(13)呼吸困難の診断と治療

(14)胸痛の診断と治療

(15)不整脈の診断と治療

(16)腹痛の診断と治療

(17)吐・下血の診断と治療

(18)侵襲と生体反応

(19)急性臓器不全の診断と治療

(20)急性感染症の診断と治療

(21)破傷風、ガス壊疽の診断と治療

(22)体液・電解質異常の診断と治療

(23)酸塩基平衡異常の診断と治療

(24)凝固・線溶異常の診断と治療

(25)環境に起因する急性病態(熱中症、低体温症、減圧症等)の診断

(26)脳死の診断・臓器提供のサポート

(27)救急医療における精神科的問題

(28)集団災害医療

(29)救急医療体制

(30)病院前救護におけるメディカルコントロール

(31)救急医療に必要な法律と倫理

救急診療に必要な手技

(1)心肺蘇生法を実施できる。

(2)気管挿管を実施できる。

(3)除細動を実施できる。

(4)胸腔ドレーン挿入を実施できる。

(5)創傷処置を実施できる。

(6)骨折整復・牽引・固定を実施できる。

(7)中心静脈カテーテル挿入、ブラッドアクセス挿入を実施できる。

(8)動脈穿刺と血液ガス分析、観血的動脈圧モニターを実施できる。

(9)穿刺法(腰椎、胸腔、腹腔)を実施できる。

(10) 機械的換気による呼吸管理を実施、管理できる。

(11) 超音波検査(FAST)ができる。

(12) 気管支鏡検査を実施できる。

(13) 開胸式心マッサージを実施できる。

(14) 気管切開を実施できる。

(15) 心嚢穿刺・心嚢開窓術を実施できる。

(16) 肺動脈カテーテル挿入、評価を実施できる。

(17) 外傷・熱傷の処置を実施できる。

(18) 診断的腹腔洗滌法を実施できる。

(19) ゼングスターケンチューブ挿入、管理ができる。

(20) 血液浄化法の適応を判断し実施できる。

(21) 頭蓋内圧(ICP)モニターの評価・管理ができる。

(22) 出血等に対する IVR の適応を判断し実施できる。

(23) 院外救急現場での蘇生・外傷処置を実施できる。

4.救急診療で経験する傷病

I .疾病

(1)神経系疾患

脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血・髄膜炎・脳炎

(2)循環器系疾患

急性心筋梗塞・心不全・心筋炎・

(3)呼吸器系疾患

重症肺炎・ARDS・重症気管支喘息重責発作

(4)消化器系疾患

胃・十二指腸潰瘍・食道静脈瘤破裂・急性重症膵炎・劇症肝炎

(5)代謝・内分泌系疾患

糖尿病性ケトアシドーシス・甲状腺クリーゼ・アルコール性ケトアシドーシス

(6)泌尿・生殖器系疾患

急性腎不全

(7)血液系疾患

DIC

(8)免疫系疾患

AIDS

(9)筋・運動器系疾患

壊死性筋膜炎

(10)重症・特殊感染症

破傷風・ガス壊疽・A 群溶連菌感染症・集団食中毒

(11)その他の内因性救急病態

横紋筋融解症

II .外因性救急

(1)外傷

①頭部・顔面外傷

②脊椎・脊髄外傷

③胸部外傷

④腹部外傷

⑤骨盤・四肢外傷

⑥多発外傷

(2)熱傷・気道熱傷

(3)急性中毒

(4)異物・溺水・動物咬傷・縊首

(5)熱中症・低体温症・減圧症

(6)Child Abuse

(7)NBC 災害

(8)その他の外因性救急病態

III .院外CPA

3)保険診療に関する知識の修得

日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容につい

て理解する。

4)リスクマネージメント

日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対するリ

スクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じて知識を深め

る。

5)臨床研究

日本救急医学会をはじめとする各種学会、関連領域研究会、院内の研究会、症例

検討会での発表を通じて、臨床研究の手法について修得する。

救命救急センター後期臨床研修期間中の 3 年間に、3 回以上の学会発表と 1 編以

上の論文執筆を行うことを原則とする。

*1 日本医学会総会及び救急医学に関連する日本医学会分科会(地方会は除く)

日本医学会総会、日本内科学会、日本小児科学会、日本循環器学会、日本外科学

会、日本整形外科学会、日本麻酔科学会、日本胸部外科学会、日本脳神経外科学

会、日本形成外科学会、日本小児外科学会、日本消化器外科学会、日本職業・災害

医学会、日本心臓血管外科学会、日本集中治療医学会、日本脳卒中学会

*2 その他の救急医学に関連する学会・研究会(地方会は除く)

日本中毒学会、日本熱傷学会、日本腹部救急医学会、日本臨床外科学会、日本脳

死脳蘇生学会、日本外傷学会、日本救命医療学会、日本集団災害医学会、日本小

児救急医学会、日本神経救急学会、日本脳神経外科救急学会

6)認定医(専門医)資格の取得

後期臨床研修中に日本救急医学会認定の ICLS(ACLS 基礎)コースのインストラクタ

ー資格を取得する。

後期臨床研修中に日本救急医学会認定の JPTEC(病院前外傷トレーニング)コース

のインストラクター資格を取得する。

後期臨床研修中に日本救急医学会認定の JATEC(外傷標準トレーニング)コースの

プロバイダー資格を取得する。

後期臨床研修終了後は、受験資格が整った段階で、初期臨床研修および後期臨床

研修中の臨床経験をもとに、日本救急医学会救急科専門医の申請を行う。

Ⅲ 方略

1 研修期間

研修期間は 3 年間を原則とする。

2 研修方法

入院患者の主治医・もしくは準主治医として、指導医の助言を得ながら診療にあたる。

適切な指導を受けるためには以下にあげた項目が最低限実施されなくてはならない。

①指導医による入院患者の回診及び症例のカンファレンス

②指導医による診療録やその他の医療記録のチェック

③死亡症例に関する症例検討

④二次救急診療を指導医の助言を得ながら診療にあたる

⑤三次救急診療のチームリーダーを指導医の助言を得ながら務める

⑥院内の ACLS コース、BLS コース、JPTEC コース、外傷ミニコースのインスト

ラクターを務める

⑦院外の ACLS コース、BLS コース、JATEC コース、JPTEC コース、各種災害

セミナーに参加する

⑧研修医・看護師・各種コメディカルを対象としたミニレクチャーを開催し講師

を務める

⑨脳神経外科・循環器科・麻酔科など院内他科のローテート研修を行う

⑩聖路加国際病院、国立国際医療センター、国立成育医療センターなど他院

救急診療部門へのローテート研修を行う(計画中)。

Ⅳ 評価

初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。

研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。

後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2 年次以

降の研修計画を修正する。

放射線科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標

放射線科専門医の業務内容は非常に幅広い上、専門性も格別高い。後期臨床

研修では、まず、放射線科医として必要な基本的態度、基礎的知識および診療

技術の修得を行う。次に将来の専門分野を明確にする。

後期臨床研修においては、画像診断専門医(核医学を含む)として必要な専

門的知識および専門的診療技術を習得するとともに、入院患者および外来患者

の診療を通じて、放射線腫瘍医として必要な基本的知識および基本的診療技術

を修得し、困難な症例や状況に対する問題解決能力を身につける。また日本医

学放射線学会、日本放射線腫瘍学会などの学会活動を通じて臨床研究について

の知識を深め、2年間ですすむべき専門分野(診断・治療・核医学)についての

意思決定を行う。

Ⅱ 行動目標

放射線科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。

1)臨床医として必要な基本的事項

臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。

①医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、基本的な診療に必要な・知識・

技能・判断力・態度

②緊急を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力

③患者や家族の有する問題を身体的、心理的、及び社会的側面から全人的に理

解し、適切に対処できる能力

④患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力

⑤常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度

⑥チーム医療の原則を理解し、コメディカルスタッフや他科の医師などの他の

療メンバーと協調できること

⑦適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること

⑧診療録やその他の医療記録を適切に作成できること

⑨医療に関する法令を遵守すること

⑩自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる

態度

⑪自己教育の継続

2)専門的知識および専門的診療技術の修得

放射線科後期臨床研修の期間中に経験することが望ましい研修領域を以下に

あげた。

①画像診断

各種画像診断検査の実施方法、読影

一般 X線撮影・造影検査

CT

MRI

超音波検査

腹部血管造影検査

Interventional Radiology

部位別の画像検査、診断

脳神経と頭頸部

心臓・大血管

胸部

乳房

肝胆膵

消化管

泌尿器・男性生殖器

女性生殖器

骨軟部

小児

②核医学

核医学基礎

核医学に用いる医薬品と検査法

核医学検査の特徴

各種の核医学検査の実際

ポジトロン CT

RI 内用療法

③放射線治療

腫瘍疫学と統計学

放射線物理学

放射線生物学

品質管理

外部照射の線量計算

三次元外照射計画

IMRT

定位放射線治療と radiosurgery

小線源治療(高線量率と低線量率密封小線源治療)

化学療法

緩和医療

④放射線管理・防護

3)保険診療に関する知識の修得

日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容

について理解する。

4)リスクマネージメント

日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める。

5)臨床研究

各地域の日本放射線科学会関東地方会、関連領域研究会、院内の研究会、症

例検討会での発表を通じて、臨床研究の手法について修得する。

放射線科後期臨床研修期間中の 3年間に、2回以上の学会発表と 1編以上の論

文執筆を行うことを原則とする。

6)専門医資格の取得

2 年の研修後に受験資格が整った段階で、日本医学放射線学会の 1次専門医試

験(放射線学全般)を受験する。さらに 2年間の研修を積み、2次試験を受験す

る資格を得る。最終的に専門医の資格ないし認定医の資格を獲得する。

Ⅲ 方略

1)研修期間

当院の研修期間は 3年間を原則とする。他施設を含め、4年間の研修を計画す

る。他施設として、慶應義塾大学病院放射線科、埼玉医科大学放射線腫瘍科、

国立成育医療センター、国立がんセンター、日の出が丘病院ホスピス、藤元病

院などと交流している。

2)研修方法

入院患者の主治医として、また週に少なくとも 1 回以上の一般外来診療を通

じて、指導医の助言を得ながら診療にあたる。

①指導医による入院患者の回診及び外来症例のカンファレンス:週に 1回以上

②指導医による診療録やその他の医療記録のチェック

③死亡症例に関する症例検討: 死亡例については可能な限り病理解剖を実施

することが望ましい

④画像診断:指導医による画像診断教育、読影カンファレンス、他科との合同

カンファレンス(消化器、救命センター、呼吸器)

Ⅳ 評価

①初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。

②研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。

③後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2

年次の研修計画を修正する。

④責任者はこの研修プログラムを定期的に評価し、必要に応じて適宜改善を行

う。

皮膚科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ一般目標

後期研修は患者ニーズに対応できる専門知識を持った臨床医育成が目的であ

る。そのために必要な基本的態度、基礎的知識および診療技術の修得を行う。

皮膚科の後期臨床研修は、初期臨床研修で学んだ基礎的な事項に加え、入院

患者および外来患者の診療を通じて、皮膚科医に必要な専門的知識・診療技術

を修得するとともに、困難な症例や状況に対する問題解決能力を身につける。

学会活動などから臨床研究についての知識を深め、自身がすすむ分野決定を

行う。

Ⅱ行動目標

皮膚科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりである。

具体的な研修方法については、状況に応じて可能な方法で実施する。

また、個人個人の後期臨床研修の計画には、初期臨床研修の研修記録を参考

にする。

1)臨床医として必要な基本的事項

臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。

①医師としての職基本的な診療に必要な・知識・技能・判断力・態度

②緊急を要する疾患・病態に対応できる臨床的能力

③患者や家族の有する問題に適切に対処できる能力

④患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力

⑤患者及び家族に不快感を与えない態度

⑥チーム医療の原則を理解し、コメディカルスタッフなどと協力できること

⑦適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること

⑧診療録やその他の医療記録を適切に作成できること

⑨医療に関する法令を遵守すること

2)臨床医として必要な基本的事項を修得するための診療面での原則

入院患者の主治医として、また週に少なくとも 2 回以上の一般外来診療を

通じて、指導医の助言を得ながら,診療にあたる。

3)専門的知識および専門的診療技術の修得

皮膚科後期臨床研修の期間中に経験すべき研修領域、疾患を以下にあげた。

疾患に関しては各分野の代表的疾患について症例を通じて理解を深める。

本来初期臨床研究の2年間で修得するべき項目を必要なら補完するものとする。

①臨床診断

各種発疹の記載方法と鑑別診断とに関して知識技術を修得

②病理組織・鏡検・培養などの諸検査

診断確定のための検査方法,特に生検組織の病理診断に関する知識を修得

③高齢者の皮膚疾患に関する理解

超高齢化社会に向かいつつある現代皮膚科診療に必要な老化に伴う諸変化を

理解

④各分野別の代表的疾患(例)

湿疹皮膚炎群

接触皮膚炎・アトピー性皮膚炎・脂漏性湿疹など

蕁麻疹・紅斑症群

蕁麻疹・多形紅斑など

薬物反応など

固定疹・スチーブンス・ジョンソン症候群など

感染症

膿痂疹など細菌感染症

ヘルペスなどウイルス感染症

白癬など真菌感染症

疥癬など虫による皮膚疾患

梅毒などの STD

皮膚科専門医だけが専ら診療する疾患

天疱瘡などの水疱症

乾癬などの炎症性角化症

腫瘍性疾患

良性の脂漏性角化症など

悪性腫瘍:基底細胞がんなど

付属器疾患・色素異常など

にきび・円形脱毛症・しろなまずなど

⑤皮膚疾患の治療に関する知識・技術

外用療法・光線療法・冷凍治療・そして植皮を含む一般的皮膚外科の手技な

4)保険診療に関する知識の修得

日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度について理解す

る。

5)リスクマネージメント

日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

する

リスクマネージメントに関して、院内委員会活動や指導医などを通じて知識を

深める。

6)臨床研究

各地方会、関連領域研究会、院内の研究会、症例検討会での発表を通じて、

臨床研究の手法について修得する。可能な限り,皮膚科後期臨床研修期間中に、

学会発表と論文執筆とを行う。

Ⅲ方略

研修期間は原則として 3年間とする。

Ⅳ研修内容の評価

①初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。

②後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、次の研修計画を修

正する。

③後期臨床研修終了時に、初期および後期臨床研修の総括記録を提出する。

④この研修プログラムを定期的に評価し、必要に応じて適宜改善を行う。

眼科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標 幅広い良識を持った眼科臨床医を育成する。そのために必要な医学的な知識、

診療技術の修得を行う。 後期臨床研修においては、初期臨床研修を基礎に、入院患者および外来患者

の診療活動を通じて、眼科専門医として必要な知識、診断・治療技術を修得す

るとともに、学会への参加を通じて臨床研究についての知識を深める。 Ⅱ 行動目標 1)一般目標 ①一般初期救急医療に関する技能の修得 ②眼科臨床に必要な基礎的知識の習得 ③眼科診断、ことに検査に関する技能の修得 ④眼科治療に関する技能の修得 ⑤症例検討会、眼病理検討会、および抄読会等の出席、学術論文の作成。 ⑥眼科保険診療に関する理解 2)眼科研修カリキュラム ①医の倫理、チーム医療、患者およびその家族との人間関係、社会との関連性。 ②医療に関する法律。 ③自己学習と自己評価。 ④臨床医に求められる基本的な診療に必要な知識、技能、態度の修得。 ⑤一般の初期救急医療に関する技術の習得。 ⑥眼科臨床に必要な基礎的知識に含まれる項目。 1) 解剖、組織、発生 2) 生理 3) 眼光学 4) 病理 5) 免疫 6) 遺伝 7) 生化学 8) 薬理 9) 微生物 10)衛生、公衆衛生 11)医療統計

12)失明予防、等 ⑦眼科診断技術および検査のカリキュラムに含まれる項目。 1) 視力 2) 視野 3) 眼底 4) 眼位 5) 眼球運動 6) 両眼視機能 7) 瞳孔 8) 色覚 9) 光覚 10)屈折、調節 11)隅角 12)眼圧 13)細隙灯顕微鏡検査 14)涙液検査 15)蛍光眼底造影(フルオレセイン、インドシアニングリーン) 16)電気生理学的検査 17)画像診断(超音波、X 線、CT scan、MRI、等) 18)細菌、塗抹標本検査、等 ⑧眼科治療技術に関するカリキュラムに含まれる項目。 1) 基礎的治療手技

(ア) 点眼 (イ) 結膜下注射 (ウ) 球後注射 (エ) ブジー (オ) 涙嚢洗浄、等

2) 眼鏡およびコンタクトレンズ 3) 伝染性疾患の治療および予防 4) 眼外傷の救急処置 5) 急性眼疾患の救急処置 6) 眼科手術、手術患者の術前および術後処置、等

※関与する眼科手術100例以上(外眼手術、内眼手術、およびレーザ

ー手術が、それぞれ執刀者として20例以上を含む) 7) 症例検討会、眼病理検討会、抄読会、各種学会等への出席。学術論文の

作成 ※ 眼科、視覚に関する論文を単独または筆頭著者として1篇以上およ

び学会(集談会等を含む)報告を演者として2報以上発表 8) 保険診療に関する知識の習得

日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと

内容について理解する。 9) リスクマネージメント

日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染など

に対するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の

助言を通じて知識を深める。 10)認定医(眼科専門医)の資格の取得

東京医療センター眼科後期臨床研修は、日本眼科学会専門医制度委員会の定める研

修規定に準拠し、その研修期間(原則3年間)を眼科専門医研修期間としての内容

を満たすものとする。東京医療センターは、眼科専門医研修施設基準を満たすため

に必要な諸手続きを履行する。 研修終了後、受験資格が整った段階で、日本眼科学会専門医制度委員

会の実施する試験を受け、眼科専門医の資格の取得をめざす。 Ⅲ方略 1 研修期間 研修期間は 3 年間を原則とする。1年度、2年度を原則的に一般研修とし、

3年度またはその一部の期間を専門研修(角膜移植、屈折矯正手術、網膜硝子

体手術、緑内障のいずれか)にあてる。 2 研修方法 1)外来診療

週に少なくとも 1 回以上の一般外来診療(初診外来、再診外来)を、指導

医の助言を得ながら診療にあたる。 2)入院診療 入院患者を適切な指導医と共に担当し、一般診療、術前術後管理にあたる。 ※ 症例検討会:週1回(月曜日 朝) ※ 入院患者回診:毎日1回(指導医と共に)

3)手術診療 (1) 眼科観血手術

入院手術、外来手術症例を担当し、適切な手術助手技術を習得

すると共に、指導医の管理下における執刀経験を通じて、独立した

術者となるための基礎知識・技術を身に付ける。 ① 白内障手術(超音波水晶体乳化術、眼内レンズ挿入術、

水晶体嚢外摘出術) 助手研修および術者研修(独立術者までの研修)。

② 網膜剥離手術、硝子体手術 助手研修および術者研修(部分的)。

③ 緑内障手術 助手研修および術者研修(部分的)。

④ 角膜移植術、特殊前眼部手術(羊膜移植術等) 原則助手研修。

⑤ 外眼筋手術 症例に応じて、助手研修および術者研修。

⑥ その他の外眼部手術 症例に応じて、助手研修および術者研修。

⑦ 屈折矯正手術 原則助手研修。

(2) レーザー治療 以下のレーザー手術機器、治療法に関しての知識を習得し、可能

な限り独立術者として必要な技術の習得を目指す。 ・ レーザー光凝固(アルゴン・クリプトン・ダイオード他)

① 周辺虹彩切開術、(線維柱帯形成術) ② 網膜裂孔に対する光凝固術 ③ 汎網膜光凝固術 ④ 黄斑変性症、網膜静脈閉塞症などに対する局所光凝固

・経瞳孔温熱療法、光線力学療法についても学ぶ。 ・ Nd-YAG レーザー

① 後発白内障に対するレーザー後嚢切開術 ② 周辺虹彩切開術

・ エキシマレーザー ① 治療的角膜切除術 ② 屈折矯正角膜切除術(LASIK など)

4)抄読会 眼科指導医と共に、最新の主要な眼科、視覚領域の英文雑誌から毎月

1篇以上の論文を抄読し、内容および関連事項に関してディスカッショ

ンを行う。Evidence-based medicine の観点からも考察する。 5)各種学会、研修会、集談会、症例検討会への参加と学術論文の作成 ・眼科臨床研修上有用と考えられる研修会には積極的に参加する。

・各種学会、研修会、集談会、症例検討会において、指導医の下に担当症例に関す

る臨床報告や臨床研究に関する報告を行い、さらに学術論文を作成する。 Ⅳ評価 ⑦ 眼科研修記録(入院担当症例、手術担当症例)を記録する。 ⑧ 研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 ⑨ 後期臨床研修 1 年次終了時点毎に研修内容を評価し、次年以降の研修計画を

修正する。

耳鼻咽喉科・気管食道科 後期臨床研修プログラム Ⅰ 一般目標 耳鼻咽喉科学では、聴覚、平衡覚、味覚、嗅覚などの感覚器官と発声、嚥下、

構音、顔面表情などの運動器官、すなわち日常生活の QOL に深く関与する分野

を取り扱う。従ってそれらを理解し専門医として成功するためには、初期研修

で積み上げた知識を元に、さらに一歩踏み込んだ患者へのアプローチが必要で

ある。耳鼻咽喉科感覚器・運動器に対して当院で行っている様々な診断・治療

を習得し、さらに患者への心理的アプローチ、神経学的アプローチの重要性を

認識して、現在の社会生活のニーズにあった高次元の治療効果を目指すことを

目標とする。 Ⅱ 行動目標 耳鼻咽喉科後期研修での研修内容は以下の通りである。 1)臨床医として必要な基本的事項と専門的事項 耳鼻咽喉科の臨床医として必要な以下の基本的事項を身につける。 ① 医師としての職業的倫理的原則をよく理解し、基本的な診療に必要な・知

識・技能・判断力・態度 ② 耳鼻咽喉科で緊急を要する疾患・病態、特に気道の障害や急性聴覚・平衡障

害に対応できる臨床的能力 ③ 耳鼻咽喉科感覚器障害患者や悪性腫瘍患者とその家族の有する問題を身体

的、心理的、及び社会的側面から全人的に理解し、適切に対処できる能力 ④ 患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力 ⑤ 常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度 ⑥ チーム医療の原則を理解し、言語聴覚士などパラメディカルスタッフや他科

医師など、他の医療メンバーと強調できること ⑦ 適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること ⑧ 診療録やその他の医療記録を適切に作成できること ⑨ 医療に関する法令を遵守すること ⑩ 自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる態

度 ⑪ 自己教育の継続 2)保険診療に関する知識の修得 日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容

について理解する。

3)リスクマネージメント 日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める。 4)臨床研究 日本耳鼻咽喉科学会をはじめとする各種学会、関連領域研究会、院内の研究

会、症例検討会での発表を通じて、臨床研究の手法について修得する。臨床研

究センターの研究部員となり、室長・流動研究員とともにカンファレンスを行

い、主に聴覚・平衡、腫瘍に関する基礎研究についてその手技手法や発表方法

を学ぶ。 5)認定医(専門医)資格の取得 後期臨床研修開始とともに日本耳鼻咽喉科学会会員となり専門医取得の手続

きを行う。後期研修開始後 5 年経過した時点で専門医試験の受験資格が得られ

る。 Ⅲ 方略 研修期間は3年間を原則とする 研修方法の概要 研修初期は上級医とマンツーマンで外来と病棟診療にあたる。初期研修で

得た知識と技術をもとにして、耳鼻咽喉科疾患の特殊性をふまえつつ耳鼻咽喉

科医としての研修を行う。外来は原則として初診と再診を1コマづつ担当する

が最初の3ないし6ヶ月は上級医と複数で担当する。 1 年目:耳鼻咽喉科の基礎知識と基本的外来処置と診療、気管切開、扁桃摘出 術などの手術研修 2 年目:聴覚・平衡障害、音声・言語障害、悪性疾患など様々な疾患の診断と 治療を研修。鼻内視鏡手術、頸部手術、唾液腺手術などさらに高度な

手術を研修 3 年目:急性高度難聴、進行癌など難治疾患の治療にも主治医として診断・治

療にあたる。頸部郭清術、鼓室形成術なども術者として研修する。興

味のある分野を選んで臨床研究センターで基礎実験を行うことも可能

である。 カンファレンスなど ① 医局員全員により入院患者のカンファレンスと回診を週に一回行い、受け持

ち患者に関してプレゼンテーションを行う。(木曜日 朝7時30分—)

② 臨床カンファレンス:興味ある症例や臨床研究に関して医局員全員で交代

に発表する。(火曜日 午後6時—) ② 研究センター カンファレンス:基礎研究の進行状況について研究員から発

表がある。関連した報告の抄読会を行う。 Ⅳ 評価 ⑩ 初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。さ

らに日本耳鼻咽喉科学会専門医申請のために研修記録も記録しておく。 ⑪ 研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 ⑫ 後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2

年次以降の研修計画を修正する。

形成外科 後期臨床研修プログラム Ⅰ一般目標 臨床医として医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な

診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診

療能力を身につけることを目指す。さらに、形成外科医として専門的手技や知

識、チーム医療の実際を習得すると共に、学会活動などを通じて臨床研究につ

いての知識を高める。 Ⅱ行動目標 ① 臨床医として求められる次のような基本姿勢・態度を身に付ける。 1)基本的な診療能力(知識、技能、態度、判断能力)を身につける。 2)緊急を要する疾病に対する初期診療能力を身につける。適切なタイミング

で、コンサルテーション、患者紹介ができる。 3)患者や家族の有する問題を全人的に理解し、患者・家族と良好な人間関係を

確立できる。 4)チーム医療の構成員としての役割を理解し、パラメディカルや他科医師な

ど他のメンバーと協調して症例呈示や意見交換を行うことができる。 5)患者の問題を把握し、問題対応型の思考を行い、生涯にわたる自己学習の

習慣を身に付ける。 6)患者及び医療従事者にとって安全な医療を遂行し、安全管理の方策を身に

付け、危機管理に参画することができる。 7)保険診療や医療に関する法令を遵守できる。 ②形成外科専門医として形成外科の基本手技や概念を修得し、診療・治療に積

極的に参加する。具体的な内容を以下に挙げた。 ・形成外科における診察法、記載法、診断法

・手術前後の管理、創処置、ギプスやスプリントによる固定法 ・形成外科的な救急処置 ・手術助手、外来助手 ・形成外科における縫合法(皮膚採取部位などの縫合) ・簡単な手術手技の会得(分層、全層皮膚の採取を含む) ・後半は皮膚腫瘍切除術、軟部組織損傷、顔面骨骨折などの術者 Ⅲ方略 1 研修期間 研修期間は 3 年間を原則とする。 2 研修方法 入院患者の主治医として、また週に 3 回の一般外来診療を通じて、指導医の

助言を得ながら診療にあたる。入院、外来手術へ参加する。適切な指導を受け

るためには以下にあげた項目が最低限実施されなくてはならない。 ①指導医による入院患者の回診及び手術症例のカンファレンス 少なくとも週に 1 回以上 毎日実施されることが望ましい ②指導医による診療録やその他手術記録などの医療記録のチェック Ⅳ評価 ①初期臨床研修中につけた研修記録を後期臨床研修中も継続して記録する。 ②研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2年次以降の研修計画を修正する。

歯科口腔外科 後期臨床研修プログラム

Ⅰ 一般目標 患者の多彩なニーズに対応できる幅広い良識を持った臨床歯科医を育成する

ことが卒後臨床研修の最も重要な目的である。そのために臨床歯科医として必

要な基本的態度、基礎的知識および診療技術の修得を行う。 当院は歯科の二次医療機関としての役割が大きく、口腔外科的疾患の外来、

入院 治療が多いことが特徴である。従って、全身管理を学び関連医科との連携

および地域医療機関との連携を学ぶことによって、来るべき高齢化社会におけ

る有病者歯科、在宅歯科医療に対応できる歯科医を育成することを特徴とする。 歯科口腔外科の後期臨床研修においては、初期臨床研修において学んだ基礎

的な事項を基に、外来患者および入院患者の診療を行い、歯科における総合診

療と口腔外科専門医として必要な専門的知識および専門的診療技術を修得する

とともに、日本口腔外科学会などの学会活動を通じて臨床研究についての知識

を深め、そうした中で将来自身がすすむべき分野についての意思決定を行う。 Ⅱ 行動目標 歯科口腔外科後期臨床研修で必要と考えられる研修内容は以下のとおりであ

る。 個人個人の後期臨床研修の計画には、初期臨床研修の研修記録を参考にする。

1)臨床歯科医として必要な基本的事項 臨床歯科医として必要な以下の基本的事項を身につける。 ① 歯科医師としての社会的な役割を認識し、職業的倫理的原則をよく理解し、

基本的な診療に必要な・知識・技能・判断力・態度 ②病院歯科の社会的な役割を認識し、病診連携の大事さを学習する。 ③歯科治療時の全身的偶発症を含め緊急を要する病態に対応できる臨床的能力 ④患者や家族の有する問題を身体的、心理的、及び社会的側面から全人的に理

解、適切に対処し、治療計画を立案出来る能力 ⑤患者及び家族とのコミュニケーションを十分に行うことができる能力 ⑥常に患者及び家族の立場を考え、患者及び家族に不快感を与えない態度 ⑦チーム医療の原則を理解し、パラメディカルスタッフや他科医師など、他の

医療メンバーと強調できること ⑧適切な時期に、専門医への診療依頼、他施設への患者紹介ができること ⑨診療録やその他の医療記録を適切に作成し、自ら行った処置の経過を評価し、

診断と治療を常にフィードバックできること

⑩医療に関する法令を遵守すること ⑪自己評価を行い、第三者による評価を受け入れ、診療の質の向上をはかる態

⑫自己教育の継続 2)専門的知識および専門的診療技術の修得 歯科口腔外科後期臨床研修の期間中に経験することが望ましい研修領域、疾

患を以下にあげた。疾患に関しては各分野の代表的疾患について症例を通じて

理解を深める。本来初期臨床研究の 2 年間で修得するべき項目については、修

得が不完全な場合にこれを補完するものとする。 ① 外来診療 外来での臨床研修の重点項目としては、研修期間中全身疾患をもつ有病者

の歯科一般診療及び、口腔外科的疾患の診断と治療を指導医のもとで担当

し診療を行う。 1) 歯科保存系および補綴系の手技の習熟

前期臨床研修において習得した手技のさらなる向上 高齢者および全身疾患を有した患者の治療技術の習得 合併症を有する口腔疾患の治療計画の立案

2) 口腔外科系の研修 a.口腔疾患の診断および治療技術の向上

外傷 歯牙外傷、顎骨骨折、口腔軟組織の裂傷

歯性感染症 歯性膿瘍、蜂窩織炎 口腔領域の嚢胞 歯根嚢胞、含歯性嚢胞等の顎骨ないに発生する嚢胞 粘液嚢胞等の軟組織に発生する嚢胞 口腔粘膜疾患 アフタ、白板症、扁平苔癬等の口腔粘膜疾患の診断 口腔領域の腫瘍 良性および悪性腫瘍における診査および検査の習得

顎関節症 診断および治療

b.外来手術における手技のさらなる習熟 抜歯 前歯、臼歯および埋伏智歯 歯性感染による膿瘍の切開・消炎手術

歯牙外傷の処置 口腔内良性病変の摘出手術

② 入院診療 入院患者の全身管理を行う上で、初期臨床研修で必要な知識のさらなる習

熟。 1) 嚢胞性疾患の診断および治療 2) 口腔領域の外傷および顎骨骨折の診断および治療

3) 歯性感染症患者の診断および治療 4) 口腔領域における良性腫瘍の診断および治療 5) 口腔領域における悪性腫瘍の診断および治療(治療計画の立案) 6) 合併症を有する患者および高齢者の入院下における歯科治療 7)

③画像診断 各種画像診断検査の実施方法、読影 →パノラマX線写真、歯科標準型X線写真、単純 X 線写真、CT、MRI、RI

検査、 放射線診断部の専門医の指導を受けることが望ましい ④臨床検査学 歯科治療上、考慮すべき全身疾患の評価。 ⑤救急医療 病院歯科における歯科診療と救急処置 以上の項目をふまえ、患者のニーズを身体的、心理的、社会的側面から理解

し、インフォームドコンセントに基づいた同意を得ることが出来るように一口

腔単位で治療計画を立案し、全人的な治療を行うことを目標とする。 3)保険診療に関する知識の修得 日常診療の中で、レセプト点検などを通じて、医療保険制度の枠組みと内容

について理解する。 4)リスクマネージメント 日常診療の中でおきる可能性のある医療ミス・医療事故・院内感染などに対

するリスクマネージメントに関して、院内の委員会活動や指導医の助言を通じ

て知識を深める。 5)臨床研究 日本口腔外科学会をはじめとする各種学会、関連領域研究会、症例検討会で

の発表を通じて、臨床研究の手法について修得する。 歯科口腔外科後期臨床研修期間中の 3 年間に、6回以上の学会発表と 1 編以

上の論文執筆を行うことを原則とする。 6)認定医(専門医)資格の取得 当院歯科口腔外科は、日本口腔外科学会指定の研修指定機関ではないため、

当院のみでの研修では申請ができないが、書類審査の上、当院での研修期間を

4分の3に換算して研修期間に通算することができる。また、論文執筆等によ

り日本口腔外科学会専門医試験にむけて受験申請の準備を始めることができる。

Ⅲ方略 1 研修期間 研修期間は 3 年間を原則とする。 2 研修方法 外来診療は、週に少なくとも2~3回以上の外来診療を通じて、指導医の助

言を得ながら診療にあたる。外来診療は、口腔疾患に対する診療を歯科および

口腔外科の立場から外来担当医として行う。入院診療は入院患者の担当医とし

ての診療を行う。また適切な指導を受けるためには以下にあげた項目が最低限

実施されなくてはならない。 ①指導医による入院患者の回診及び外来症例のカンファレンス 少なくとも週に 1 回以上 指導医との症例検討は毎日実施されることが望ましい ②指導医による診療録やその他の医療記録のチェック ③手術症例に関する症例検討 手術症例に対する術前検討は、指導医とともに行う。手術術式の検討、術前

術後の管理、病理組織学的診断が行えるようにする。 Ⅳ評価 ⑬ 研修記録を後期臨床研修中も記録する。 ⑭ 研修記録等をもとに自己評価および指導医評価の形で形成的評価を行う。 ⑮ 後期臨床研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し、これを踏まえて 2

年次以降の研修計画を修正する。

研究検査科 人体病理学研修プログラム

Ⅰ 一般目標

人体病理学を専門とし,多様な臨床からのニーズに対応できることを目的と

する.具体的には,初期臨床研修で学んだ基礎的な事項を活用しつつ,研修を

通して日本病理学会認定病理専門医試験に合格できる専門知識,技能を修得す

ることを目的とする.初期臨床研修終了を前提とすると,日本病理学会認定病

理専門医試験の受験資格には4年間の人体病理学の実践経験が必要である.し

たがって,本研修プログラム終了後に,さらに1年の実践を積む必要がある.

そのために研修可能な施設を推薦,紹介する.3年間の本研修プログラム終了

の時点で病理専門医試験に十分合格できる実践力を養う.

Ⅱ 行動目標

1.病理解剖

(1) 3年間において,著しく偏らない症例についてみずからの執刀によ

る病理解剖を行い,病理解剖学的診断を付すことを50例以上につい

て経験する.

(2) 2年の経験ののち,死体解剖保存法による死体解剖資格を取得する.

2.外科病理および生検病理

(1) 3年間において,著しく偏らない症例についてみずから切り出し,

みずから診断をつける業務を5,000例以上経験する.また,20

0例以上の迅速診断を経験する.

3.細胞診

(1) 細胞検査士を指導し,的確な診断をするのに十分な細胞診に関する

知識と経験を積む.

(2) 3年間で2,000件以上の細胞診を経験する.

(3) 臨床細胞学会認定の細胞診専門医・指導医試験に合格できる実践力

を身につける(受験資格については別途細則に従うことになる).

4.人体病理学に関する原著論文または学会報告を筆頭著者として3編以

上を発表する.

5.臨床各科とのカンファレンス,CPCにおいて,病理学的所見ならび

にそれにもとづく病理学的解釈を適切に説明することができる.また,

初期研修医に対し,病理学的事項に関して適切な指導ができる.

6.十分な倫理的配慮をもって病理検査全般を遂行できる.また,感染症

対策,廃棄物処理,安全管理などにおいて適切に対処する知識と技能

を身につける.

7.以下に挙げる病理学に関する基礎的技術を習得する.

(1) 一般的特殊染色

(2) 免疫組織化学

(3) in situ hybridization (4) 電子顕微鏡

Ⅲ 方略

1.本研修出願時において,厚生労働大臣の指定を受けた臨床研修病院に

おける臨床研修(医師法第 16 条の 2 第 1 項に規定)を終了しているこ

と,または終了見込みであることが必要である.

2.研修期間は3年間を原則とする.

3.募集人員は原則として1学年1名である.

4.剖検症例についてはみずから執刀を行い,肉眼所見に関して病理専門

医の検閲を受ける.みずから切り出し,剖検診断をつけ,病理専門医

の検閲を受ける.病理スタッフは3名でいずれも病理専門医である.

当検査室における年間の剖検件数は90ないし120である.

5.外科材料に関しては,指導者の指導のもとにみずから切り出しを行う.

6.外科材料,生検材料について組織診断の原案を作成し,病理専門医の

指導,検閲を受ける.迅速診断に際しては,切り出しを担当し,組織

診断につけ病理専門医の検閲を受ける.組織診断件数は7,500程

度,迅速診断件数は年間250程度である.

7.細胞診に関しては細胞検査士と討論を行い,最終診断にあたっては病

理専門医または細胞診専門医・指導医の検閲を受ける.病理配属の臨床

検査技師は7名で,そのうちの6名が細胞検査士である.細胞診専門

医・指導医は2名である.細胞診件数は年間10,000程度である.

8.研修開始時に慶應義塾大学医学部病理学教室に入局することができる(無

給,非常勤).

9.研修開始後ただちに日本病理学会および日本臨床細胞学会に入会する.

Ⅳ 評価 後期研修 1 年次が終了した時点で研修内容を評価し,これを踏まえて 2 年次

以降の研修計画を修正する.