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紫波町公民連携基本計画 -公共施設整備と町有地の有効活用- 平成21年 2月10日策定

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紫波町公民連携基本計画

-公共施設整備と町有地の有効活用-

平成21年 2月10日策定

紫 波 町

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『未来の紫波中央駅前におけるある一日』1

魅力的なブールバール2のある街の朝は、一番乗りの店主が店を開けた瞬間から賑わいを見せる。

足早に行き交う出勤途中の人々の中に、役場庁舎に向かう職員の姿がある。高齢者は早朝講座の

ために情報交流プラザに集まって来ている。統一されたデザインの 2 列の事業棟の間に位置する

ブールバールを紫波中央駅前大通りに向かって歩いて行くと、住宅地の住民が通勤電車に乗る前

に、駅前でカプチーノを買っている。通りの北側を見ると、高校生が始業に間に合うように学校

へ急いでいる。 日中の街では、人々が図書館や交流館、医療施設など様々なサービスを利用しているのが見受

けられる。紫波の農産品を揃えた地元の小売店やレストラン、カフェは、街の魅力を堪能する人々

で溢れている。事業棟に事務所を構える人の中には、打合わせ場所としてレストランやカフェを

選択する人もいる。ブールバールに彩りを添えるプランターの手入れをしているグループの1人

が、花屋の店員に話しかけている。昼休みになると、レストランやカフェはアーケードの下の歩

道やブールバールの遊歩道にテーブルと椅子を広げる。歩道に出されたメニューに書いてある「今

日のおすすめ」が、買い物客や用事を済ませた人々を食事へと誘う。情報交流プラザのロビーで

は、アート・スタジオが作品展を開催中である。ダンス・演劇関係者は町民劇場の開演に向け、ホ

ールで準備をしている。アーケード下の歩道を歩いているのは、事業棟の上階にあるエステサロ

ンやヨガ教室へ向かう人々などである。ブールバールの広場では、子供たちが大きな木の周りを

追いかけっこするのを見守りながら、親同士はおしゃべりをしている。お話の時間を目当てに、

広場を横切り図書館に向かう親子もいる。木陰には、新聞を読んでいる人や将棋に興じる人がい

る。すこやか号を待つ間、ベンチで世間話に夢中の人たちもいる。 平日の夕方、街の中心は演劇の幕間のような雰囲気に包まれる。店主が歩道に並べていた看板

や商品を店内に取り込み、店の前を掃除している。銀行で今日最後の用事を足し、紫波中央駅や

近隣の駐車場・駐輪場に向かう勤め帰りの人々がいる。図書館に本を返却する学生やビジネスマ

ン、講座を終えて出て来た人々などで、情報交流プラザ前に静かな混雑が見られる。塾を終えた

子供を迎えに事業棟へ行った後、並びにあるパン屋で焼きたてのパンを買い、広場で夕陽を眺め

ながら頬張る親子がいる。太陽の長い日差しが、緑のカーテンとして植えられた朝顔が覆うシビ

ックセンターの外観を照らしている。家路を急ぐ人々は、ブールバールに面した新鮮でこだわり

の品揃えが自慢の店で買った夕食の食材をエコバッグに詰め、自宅のある住宅地へ向かう。

1 序編は本計画の第 3 編で示す開発理念を日常の一場面として伝えるため、新しい街におけるある一日を思い描

いた。 2 ブールバールは、紫波中央駅前町有地の中を東西に通る緑の多い大通りのことで、遊歩道や広場としての機能

を持つ。

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日が沈み、気温が下がった頃、街は再び食事、文化活動、スポーツの場へと変貌する。歩道は、

街灯と街路樹を飾る電灯で綺麗に照らし出されている。人気の地産地消レストランからはがやが

やとした話し声が聞こえ、地酒にこだわったパブからはジャズがかすかに流れてくる。情報交流

プラザの前では、家族や友人同士の大小のグループが「あらえびすコンサート」のために並んで

いる。その脇を、サッカーボールを抱えたグループが、フットサルをしにサンビレッジ紫波の方

向へ歩いていくのが見える。段差がなく、広々として歩きやすいブールバールでは、家族やカッ

プルが夜の散歩をしながら、紫波が最も大事にする豊かな自然を満喫している。図書館やアイス

クリーム屋などいくつかの店舗は、そういった人々を歓迎し遅くまで営業している。

ある日の紫波中央駅前の風景(イメージ)

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目 次

第1編 計画の目的

1-1 はじめに 1

1-2 計画の位置付け 2

1-3 本計画における公民連携とは 2

1-4 計画地 3

第2編 町の概要

2-1 地勢、歴史、自然、コミュニティ 7

2-2 町の特徴 8

2-3 町の現状 11

2-4 公共施設の現状 25

2-5 現状まとめ 25

第3編 公民連携による開発理念

3-1 理念設定の背景 28

3-2 理念設定 28

3-3 開発の考え方 29

第4編 公民連携開発区域の整備方針

4-1 方向性 30

4-2 機能導入 30

4-3 道路と公共空間 30

4-4 駐車場 31

4-5 交通循環・公共交通施設 32

4-6 公共設備・インフラ 32

4-7 民間施設 32

4-8 建築に関する水準と指針 33

第5編 公共施設整備

5-1 方向性 34

5-2 公共施設 34

5-3 道路と公共空間 35

5-4 駐車場 38

5-5 交通循環 39

5-6 公共交通施設 39

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第6編 経済開発

6-1 経済開発の方向性 40

6-2 紫波中央駅前地区 40

6-3 日詰商店街地区・日詰西地区 44

第7編 公民連携手法の導入

7-1 公民連携手法の導入 45

7-2 国の交付金等の活用 46

7-3 今後の予定 47

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紫波町公民連携基本計画

-公共施設整備と町有地の有効活用-

平成 21 年 2 月 10 日策定

岩手県紫波町経営支援部企画課

〒028-3392 岩手県紫波郡紫波町日詰字西裏23-1 電話 019-672-2111 E-mail:[email protected]

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第 1編 計画の目的

第1編 計画の目的

1-1 はじめに

“町民の資産”である町有地を活用して、財政負担を最小限に抑えながら、

公共施設整備と民間施設等立地による経済開発の複合開発を行うことを

目的に基本計画を取りまとめました。

本事業の実施にあたっては、民間との連携により事業を進めます。

本町は、「環境と福祉のまち」を掲げ、循環型のまちづくりを推し進めてきました。

同時に、平成 16 年から「持続的に自立できる紫波町行財政計画」(以下「自立計画」としま

す。)を策定し、職員数の削減や民間活力による新たな行政手法の導入を続けてきました。しか

し、長引く経済の低迷や地方交付税の減少に伴う町の歳入減、公共施設の老朽化など多くの課

題を抱えています。特に、老朽化の著しい役場庁舎及び町民ニーズの高い図書館の整備が必要

となっています。

紫波中央駅前にある町有地は、平成 10 年 7 月に(財)岩手県住宅供給公社から役場庁舎を含

む公共施設の整備を目的として取得したものです。

この土地は、現在、多目的屋内スポーツ施設「サン・ビレッジ紫波」とパークアンドライド

駐車場1の整備を行っているほかは、未利用の土地となっています。町では、公民連携手法によ

り“町民の資産”である町有地を活用して、財政負担を最小限に抑え、必要な公共施設の整備

を行うことと民間による経済開発の複合開発を目的に基本計画を取りまとめました。

本計画は、公共施設整備とこの土地利用を含む経済開発を具体的に策定していく上での基本

的な考え方など、町が目指す方向性を示すものです。

本事業の実施にあたっては、民間事業者との連携により事業を進め、事業の提案にあたって

は、民間事業者の自由度を確保することを予定しています。このことから、基本計画では基本

的方針や主な条件を掲げ、町の案は例示として掲げるにとどめています。

計画の詳細については、今後、この基本計画に基づき、公共施設の内容や配置、事業手法等

について定める「事業計画(実施方針)」を策定し、これに基づいて民間事業者からの提案を受

けながら具体化する予定です。

町では、本計画の実施にあたり、今まで進めてきた循環型のまちづくり及び市民協働による

まちづくりを基本としながら、町と民間の連携による持続可能な成長を着実に進めていきたい

と考えています。

1 パークアンドライド 【park and ride】 出典: フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」を改編

自宅から自家用車で最寄りの駅又はバス停まで行き、車を駐車した後、バスや汽車等の公共交通機関を利用

して都心部の目的地に向かうシステム。また、都市部や観光地などの交通渋滞の緩和のため、自動車・原付・

軽車両を郊外の公共交通機関乗降所(鉄道駅やバス停など)に設けた駐車場に駐車し、そこから鉄道や路線

バスなどの公共交通機関に乗り換えて目的地に行く方法。P&R と略すこともある。

1

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第 1編 計画の目的

1-2 計画の位置付け

本計画は、公民連携手法による役場、図書館の建設と町有地を活用した経済

開発の方向性を示すものです。 本計画は、「紫波町総合計画」を上位計画とし、「紫波町都市計画マスタープラン」に基づき

ながら、「新庁舎建設基本構想」、「図書館基本構想・基本計画」を公民連携手法により実現しよ

うとするものです。さらには、未利用又は低利用の町有地を活用した経済開発を図ろうとする

ことは、「自立計画」に沿うものです。また、平成 19 年度に紫波町PPP推進協議会が行った

「紫波町型公民連携における町民・民間のニーズ把握と合意形成プログラム調査結果」を踏ま

え、公共施設建設の整備と民間の経済開発の方向性を示すものです。この計画のイメージを図

1-1に示します。

計画の実施にあたっては、町と事業に参加しようとする民間事業者が連携して行うこととし、

民間事業者は、町の開発理念を充分に理解した上で、自由な発想により事業を進めていかなけ

ればなりません。

なお、本計画は、より良い結果、成果を導くために、民間事業者の提案や資金、技術的理由

を考慮して、常に修正していくものです。

■図1-1 計画のイメージ

紫波町総合計画

紫波町都市計画マスタープラン

公 民 連 携 基 本 計 画

新庁舎建設基本構想

図書館基本構想図書館基本計画

民間施設等立地による経済開発

「町民・企業・行政」三位一体のまちづくり

未利用・低利用町有地の土地利用

1-3 本計画における公民連携とは

本計画における公民連携は、公共施設の整備にあたって、町と民間事業者、NPO、町民等

がそれぞれの役割を分担し、目的決定、施設整備・所有、事業運営、資金調達などを行うこと

と定義します。

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第 1編 計画の目的

1-4 計画地

(1)公民連携推進区域の位置設定

公民連携推進区域に役割を持たせ、開発区域の地域間ネットワークを図るこ

とで区域の魅力を向上させます。

本町は、公民連携によるまちづくり事業を進めようとしていますが、本計画では、町有地を

活用する公民連携(公共資産活用型)に取り組むため、本町の人口、経済活動、市民活動等が

集中する都市計画用途地域内に、図 1-2に示すとおり、公民連携推進区域を設定します。

この公民連携推進区域を日詰商店街地区、日詰西地区、紫波中央駅前地区の 3 地区に分け、

それぞれに役割を持たせて開発区域の地域間ネットワークの構築を図ることで、区域の魅力を

向上させ、中心市街地全体の地域価値を向上させます。

■図1-2 位置図

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第 1編 計画の目的

(2)公民連携開発区域の区域設定

日詰商店街地区、日詰西地区、紫波中央駅前地区の3地区とします。

公民連携開発区域は、開発及び関連事業を行う区域とします。

公民連携推進区域のうち、本計画で開発及び関連事業を行う区域を「公民連携開発区域」と

して設定します。この開発区域は、周辺地域からの交通と人の流れが交わる区域であり、図1

-3のように幹線道路で囲まれていることから、3 地区間の連続性と回遊性を確保することに

より一体的な開発が可能な区域となります。現在、幹線機能が未整備となっている箇所につい

ては、区域の開発に併せて整備を行います。

区域1:日詰商店街地区 日詰商店街地区は、藩政時代から商業地として、町の中心にな

ってきた地区です。旧法による中心市街地活性化基本計画におけ

る中心市街地の中核でもありました。都市機能の拡散による相対

的な求心力の低下や定住人口減少の打開が課題であり、「くらしの

みちゾーン整備事業」や「日詰地区まちづくり交付金事業」を進

めています。

区域2:日詰西地区 日詰西地区は、昭和 49 年から 63 年までの西裏地区土地区画整

理事業により住宅地が形成されました。現在は、都市計画街路沿

線に、事務所、商店、学習塾、ホテル、その他サービス業などの

民間施設が立地し、商業・業務エリアとなりつつあります。

区域3:紫波中央駅前地区 紫波中央駅前地区は、岩手県住宅供給公社と町により住宅開発、

公益施設の整備が行われた地区で、417 戸 1,378 人(平成 20 年 4

月 1 日現在)の人が暮らしています。紫波中央駅前地区は、町有

地である 10.7ha の中にパークアンドライド駐車場や多目的屋内

スポーツ施設が整備されています。

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第 1編 計画の目的

■図1-3 公民連携開発区域図

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第 1編 計画の目的

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(3)公民連携活用町有地の設定

公民連携活用町有地とは、公民連携手法による公共施設整備及び経済開発の

対象となり得る土地です。

公民連携開発区域の中にある町所有の土地のうち、図1-4のように公民連携活用町有地(以

下「開発町有地」とします。)を設定します。公有地活用2による公民連携手法を用いた公共施

設整備及び経済開発の対象となり得る土地です。

また、これらの開発町有地への交通アクセスを改善するために、関連事業を行います。

■図1-4 公民連携活用町有地

2 公有地活用 出典:公民連携白書 2007~2008(東洋大学大学院経済学研究科編著)

公共資産活用型は公民連携事業の1類型であり、国や自治体の保有する低・未利用地等を民間に提供し、民

間が施設建設や運営管理を行うことで有効活用を図るもの。公有地を無償又は廉価で貸与する「定期借地方

式」、土地信託による「信託方式」など行政が土地保有を継続するケースと、民間への土地譲渡・売却による

ケースがある。

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第 2編 町の概要

第2編 町の概要

2-1 地勢、歴史、自然、コミュニティ

(1)地勢

奥羽山脈と北上高地に囲まれた紫波町は、岩手県のほぼ中央に位置し、町域面積は 239.03km2

で、東西に 27.8km、南北に 12.9km の広がりをもち、県都盛岡市から南に 17.3km の距離に位置

しています。

町のほぼ中央を北上川が流れ、北上川河岸に平坦で肥沃な農地が広がっています。一方、町

の東部は北上高地、西部は奥羽山脈に続く丘陵地となっており、南北に開けた自然環境豊かな

地勢を形成しています。

(2)歴史

岩手県のほぼ中央に位置し、南北に開けた自然環境豊かな町です。

古くから物流の拠点として賑わい、周辺の農村と共に繁栄してきました。

紫波町は

紫波町の歴史は古く、縄文時代から奈良、平安時代までの多くの遺跡があり、この頃から多

くの人が住んでいたと考えられます。平安末期には平泉藤原氏の一族である樋爪氏、中世に至

っては陸奥守斯波氏が長く当地方を支配し、近世には盛岡藩領となりました。

また、慶長年間には、現在の日詰商店街が奥州街道の宿駅「郡山駅」として賑わい、以後、

宿場町・商人町・河岸場として繁栄し、幕末に至っています。

明治 22 年(1889 年)の町村制施行により町村の合併が行われ、日詰町、古館村、水分村、

志和村、赤石村、彦部村、佐比内村、赤沢村、長岡村の 1町 8村が成立しました。昭和 30 年(1955

年)には、これら 1町 8村が合併し、今日の紫波町が誕生しています。

(3)豊かな自然

豊かな自然や農村の雰囲気と都市の特徴が共存している町です。

紫波町は、豊かな自然や農村の雰囲気と都市の特徴が共存している町です。里山や散居をは

じめとする美しい農村風景が魅力であり、中央部は利便性の良さから、住宅地が形成されてい

ます。町民は、自然を身近に感じられることに愛着を持っています。町では、紫波特有の環境

を 100 年後の子供たちに残し伝えること(平成 12 年新世紀未来宣言)を第一としています。

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第 2編 町の概要

(4)コミュニティ

地域社会のつながりを大切にし、市民参加条例の下、各地域の意思決定を尊

重し支援しています。 紫波町は、昭和 30 年 4 月に1町 8村の特徴ある地域社会が集まった町です。地域社会におけ

るつながりを大切にし、地域的、社会的、経済的、文化的諸条件に配慮しながら、すべての人々

が共生し、快いと感じることができる生活環境の確保や、町の均衡ある発展を目指しています。

そして、市民参加を進める町として、平成 20 年 4 月「紫波町市民参加条例」を施行しました。

市民の自覚、参画、ボランティア行動による地域でのまちづくりを重視し、それぞれの地域に

おける意思決定を尊重し支援しています。

2-2 町の特徴

(1)都市と農村が調和するまち

①フルーツともち米の産地

紫波町の特徴は

果樹生産地であり、全国屈指のもち米の産地です。

町は、フルーツの里として県内でも有数の果樹生産地です。丘陵部ではりんごやぶどう、西

洋なしなどの果樹の生産が盛んに行われています。平成 18年の収穫量でみると、りんごは 5,010

tで県内 5位(平成 17 年 5,060t、県内 5位。以下同じ)、ぶどうは 1,940tで同 1位(1,990t、

1 位)、西洋なしは 401tで同 1位(409t、2 位)となっています。町ではワイナリーを建設し、

「自醸ワイン」として年間 4万 5千本を製造、出荷しています。

平地部では、全国屈指の出荷量を誇る「もち米」を生産しています。また、町内で販売され

ているもち加工品は、町内数ヵ所の加工施設組合で製造されています。

町民は、こうした身近な場所で収穫した新鮮な農産物を食べられることに幸せを感じていま

す。

②産直のまち

町内には9ヵ所の産直があり、都市と農村の交流拠点となっています。

フルーツ、もち米など、東北でも有数の農産物を数多く誇る紫波町には 9 ヵ所の産地直売

施設があります。国道 4 号や 396 号、456 号といった幹線道路沿いだけでなく、東根山の麓

などの山あいにも点在しており、都市と農村の交流拠点として、また地域の大きな収入源と

もなっています。各施設とも、町内で生産される米、果物、野菜をはじめ、花き類、山菜、

農産加工品なども豊富に扱っています。土日ともなると、近郊から多くの人が産直めぐりを

するために訪れます。

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第 2編 町の概要

③住みよいまち

通勤通学の便がよく、下水道など生活基盤等が充実した住みよい町です。 本町は、北の県都盛岡市と南の産業集積が進む花巻市・北上市との中間に位置しています。

公共交通機能にも恵まれ、通勤通学の便が良く、下水道をはじめとする生活関連のインフラ3

を早くから整備してきたことから、民間事業者による宅地開発が活発に行われてきました。

この開発は、30 年以上の長い歳月をかけて進められてきました。人口増加のピークは過ぎて

いますが、世帯数は毎年着実に増加しており、漸増傾向を長く維持しています。住みよいま

ちとしての人気は高く、町の中心部である日詰、古館、赤石地区に人口が集中しています。

④都市機能及び交通アクセスの良さ

交通網が充実し、都市機能へのアクセスに恵まれています。 本町は、日常的な都市の利便性を備えており、県都盛岡市に近接していることから、先端

医療や文化施設など高度な都市機能に容易にアクセスすることが可能です。

主な交通網は、東北縦貫自動車道、国道 4号や JR 東北本線を基軸としており、東北新幹線

の乗り継ぎも良く、いわて花巻空港へのアクセスにも恵まれています。さらに、深夜バスや

深夜乗合タクシーの終点であるなど、公共交通機能が充実しています。

⑤高速通信基盤

可住エリアのほぼ全域で高速通信が可能となっています。 町では、地域情報化施策に力を入れており、平成 19 年 3 月末のブロードバンド世帯普及率

は、98.9%、光ファイバー世帯普及率は 65.6%となり、可住エリアのほぼ全域で高速通信が

可能となっています。

(2)歴史・文化、環境のまち

①歴史のまち

古い歴史を持ち、町民はその歴史に誇りを持っています。 歴史的遺産としては、奥州平泉藤原氏の一族である樋爪氏の「比爪館跡」や陸奥守斯波氏

の居城「高水寺城跡」などがあり、この歴史に町民は誇りを持っています。 日詰商店街地区には、かつての北上川舟運の要衝として栄え、往時を現代に伝える商家で

旧造り酒屋の平井邸があり、商店街や町民がこの歴史的建物を活用したイベントを開催し、

賑わい創出を図っています。また、舟運のシンボル小繰舟も町民の手で復元するなど、町民

による積極的な活動が行われています。

3 インフラ:インフラストラクチャー 【infrastructure】出典: 大辞林及び大辞泉

生産や生活の基盤を形成する構造物。ダム・道路・通信施設などの産業基盤、及び学校・病院・公園などの

社会福祉・環境施設がこれに該当する。社会的経済基盤と社会的生産基盤とを形成するものの総称。

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第 2編 町の概要

②伝統産業-南部杜氏のまち-

南部杜氏発祥の地であり、町内4社の造り酒屋が酒造りを行っています。

越後、丹波と並び日本三大杜氏として名高い南部杜氏。江戸時代、近江商人村井権兵衛が、

大阪から杜氏を招き、紫波町西部の志和地区で酒造りを始めたことから南部杜氏発祥の地と

言われています。また、南部の奉公人として京都へ出向いた者が杜氏の見習としてその技術

を身につけ、やがて地元杜氏として外来杜氏に代わっていったとも言われています。平成

19-20 年の冬は、町から全国 82 の事業所へ 195 人が酒造工として出かけました。

清らかな水と良質な醸造米、そして岩手の寒さは酒造りに適した風土で、県内には造り酒

屋が 26 社、そのうち 4社が紫波町にあります。町の造り酒屋は伝統と技術を継承しつつ、現

代感覚もとり入れた奥の深い酒造りに挑戦しています。

③野村胡堂・あらえびす

町は、「銭形平次捕物控」の著者、野村胡堂(本名:野村長一)の生誕の地です。胡堂は、

日本ではじめてのクラッシック音楽評論家「あらえびす」(ペンネーム)としても知られ、そ

の功績を讃えて野村胡堂・あらえびす記念館が整備されています。胡堂の多彩な業績を紹介

する資料を展示しているほか、クラシックからジャズまで幅広いジャンルのコンサートを開

催するなど、様々な文化活動の場となっています。

④環境、エコのまち

銭形平次捕物控の著者、野村胡堂の生誕の地です。

循環型まちづくりを進め、環境保全活動に取り組んでいます。 平成 13 年 6 月に制定した「紫波町循環型まちづくり条例」に基づき、町民・事業者・行政

の協働による「循環型のまちづくり」を進めています。今の環境を保全し、創造し、100 年

後の子供たちに確実に引き継ぐために、資源を有効活用する資源の循環、安全で安心して暮

らせる環境の創造、環境学習による環境意識と行動の日常化、環境・循環を通じた町内外の

交流に、官民協力して取り組んでいます。

リサイクル率は、28.6%(平成 18 年度・県内 2位)となっており、町全体で取り組んでい

ます。特徴的な取り組みとして、子供会、老人クラブ、行政区等での集団資源回収や、年に

2回町内全域でクリーン紫波運動(一斉清掃)を実施しています。

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第 2編 町の概要

2-3 町の現状

本町の現状は次のとおりです。

(1)人口、世帯数

人口は横ばい、世帯数は微増となっています。 人口は、昭和 30 年から昭和 45 年まで減少傾向でしたが、その後増加に転じ、現在に至って

います。人口の 62.3%が町の中央部に集中しています。

1世帯当たりの人数は、昭和 60 年に 4.12 人でしたが、平成 17 年には 3.34 人に減少し、核

家族化が進んできています。

図 2-1、表 2-1に示すとおり、平成 17 年までは人口が増加してきましたが、表 2-2のとお

り、平成 18 年度には減少に転じています。平成 17 年の国勢調査では、本町を含む 5 市町村で

人口増加が見られましたが、平成 18 年には県内で人口が増加した市町村は、北上市、矢巾町、

金ヶ崎町の 3市町となりました。

世帯数は、昭和 30 年以降、着実に増加し、平成 18 年度には人口減少に転じたにも関わらず、

微増を続けています。表 2-2のとおり、人口減少となった 4市町村でも世帯数は増加していま

す。

■図2-1 人口・世帯数の推移

5,316 5,568 5,839 6,1366,583 6,999

7,5108,402

9,40610,077

10,577

5,067

33,038

27,787

26,720

26,459

27,449

29,32730,199

28,892

29,85631,311

33,692

33,693

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

昭和

30年 35年 40年 45年 50年 55年 60年

平成

2年 7年 12年 17年 18年

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

世帯数

人口

人世帯

出典:「国勢調査」「人口動態」(各年 10 月 1日現在)

11

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第 2編 町の概要

■表2-1 近隣市町村の人口・世帯増加率 (上段人口、下段世帯数)

盛岡市 花巻市 北上市 金ヶ崎町 滝沢村 矢巾町 紫波町

平成17年 300,746

121,876

105,028

33,451

94,321

33,623

16,396

5,240

53,560

19,096

27,085

8,380

33,692

10,077

平成12年 302,857

119,297

107,175

33,100

91,501

31,023

16,383

4,934

51,241

17,938

25,268

7,615

33,038

9,406

比 較 △2,111

2,579

△2,127

351

2,820

2,600

13

306

2,319

1,158

1,817

765

654

671

出典:「国勢調査」(各年 10 月 1日)

注)盛岡市には旧玉山村、花巻市には旧石鳥谷町、大迫町、東和町を含む。

■表2-2 平成17・18年近隣市町村の人口・世帯数 (上段人口、下段世帯数)

盛岡市 花巻市 北上市 金ヶ崎町 滝沢村 矢巾町 紫波町

平成18年 300,164

121,960

104,412

35,008

94,311

32,659

16,417

5,395

53,488

19,458

27,079

8,781

33,693

10,577

平成17年 300,920

120,806

105,548

34,745

93,335

32,231

16,338

5,242

53,646

19,283

26,959

8,574

33,822

10,464

比 較 △756

1,154

△1,136

263

976

428

79

153

△158

175

120

207

△129

113

出典:岩手県人口移動報告年報

注)表2-1と同じ。

(2)町中央部の人口変化

町の中央部にある3地区では人口が増加しています。

日詰地区、古館地区、赤石地区の 3地区において、平成 7年と平成 17 年の人口変化を見ると、

古館地区が 32.2%増加し、最も大きい増加率でした。次いで、赤石地区は 17.7%、日詰地区は

15.7%で、町の中央部ではどの地区でも人口が増加しています。

しかし、日詰商店街地区のうち郡山駅地区の人口変化を見ると、1.6%減少しています。

■図2-2 日詰、古舘、赤石の人口変化

人 口 世 帯

H17 721 人 276 世帯

H 7 733 人 239 世帯

増減率 △1.6% 15.5%

■表2-3 郡山駅地区人口変化

出典:「国勢調査」

注)郡山駅地区:日詰商店街地区の

中心となる地区

5,7415,682

6,757

4,909

6,437

8,512

17.7%

32.2%

15.7%

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

日詰 古舘 赤石

(人)

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

(%)

H7総数 H17総数 増減率(右軸)

出典:「国勢調査」(各年 10 月 1日現在)

12

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第 2編 町の概要

(3)年齢別人口

①年齢別人口構成

少子高齢化が進み、生産年齢人口(割合)は徐々に減少しています。

年齢別人口は、平成 12 年と平成 17 年を比較すると、総人口が 654 人増加し、生産年齢人

口は 99 人(0.5%)の微増となっています。しかし、年少人口が 330 人(6.2%)減少し、老

年人口が 807 人(12.3%)増加しており、少子高齢化の傾向にあります。また、人口総数に

占める生産年齢人口の割合は徐々に減少しています。

■表2-4 年齢別人口の推移 (単位:人)

S60 H2 H7 H12 H17 増減人数(率)

年少人口(0~14 歳) 6,050 5,762 5,483 5,357 5,027 △330(△6.2%)

生産年齢人口(15~64歳) 19,092 19,639 20,360 21,104 21,203 99 (0.5%)

老年人口(65 歳以上) 3,750 4,455 5,468 6,577 7,384 807(12.3%)

総 数 28,892 29,856 31,311 33,038 33,692 654 (2.0%)

出典:「国勢調査」(各年 10 月 1日)、外国人含む。増減人数(率)は、H17 と H12 を比較したもの。

■図2-3 年齢別人口の割合

19.3

17.5

16.2

15.0

66.1

65.8

65.0

63.9

63.0

13.0

14.9

17.5

19.9

22.0

20.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

60年

平成 2年

7年

12年

17年

0~14歳

15~64歳

65歳以上

■図2-4 平成 17 年人口ピラミッド

2,0001,5001,00050005001,0001,5002,000

00-04

05-09

10-14

15-19

20-24

25-29

30-34

35-39

40-44

45-49

50-54

55-59

60-64

65-69

70-74

75-79

80-84

85-89

90-94

95-99

100歳以上

男 女

出典:平成 17 年国勢調査

13

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②年齢別人口の変化

人口は、18 歳から 29 歳までは減少し、30 歳代前半から 40 歳代後半、14 歳

までは増加しています。

平成 15 年と平成 18 年を比較した年齢別人口(3 歳階層)のコーホート変化率4をみると、

18 歳から 29 歳までの人口が減少しています。高校卒業後の進学あるいは就職することによ

る転出が増えていると考えられます。

一方で、30 歳代前半から 40 歳代後半までと出生を除く 14 歳までが増加しており、家族で

の転入が要因と見られます。

■図2-5 H15-H18年齢別人口コーホート変化率(3歳階層)

1.04 1.021.00

0.98

0.17

1.03

0.990.96

0.87 0.89

1.01

0.99

1.08

1.001.00

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

3-5

9-1

1

15-1

7

21-2

3

27-2

9

33-3

5

39-4

1

45-4

7

51-5

3

57-5

9

63-6

5

69-7

1

75-7

7

81-8

3

87-8

9

93-9

5

99-10

1

年  齢

変化率

出典:住民基本台帳人口(各年 3月末日現在)による比較

4 コーホート変化率 参考:国土交通省二層の広域圏に資する総合的な交通体系に関する検討委員会」最終報告用

語解説を改編

地域の将来人口を予測する際に、特定の社会的集団(=コーホート:通常は年齢階層別)毎について、自然

増減要因(出生・死亡)と社会増減要因(転入・転出)を区別せず、過去における実績人口の動勢から求め

る変化率

14

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③高齢者世帯の状況

高齢者世帯の割合が年々増加し、13%を超えています。

独居高齢者世帯及び高齢者だけの世帯の状況は、世帯数が年々増加し、これらを合わせた

高齢者世帯の割合は 13%を超えています。

■図2-6 高齢者世帯の状況

535 551 582 614 643 690 732

497 551 584 625 643 671728

10.62% 11.12% 11.58% 12.07% 12.37%12.97% 13.76%

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

14.00

16.00

独居高齢者世帯数 高齢者だけの世帯数 高齢者世帯割合

%世帯

参考:平成 19 年度版高齢者支援白書(長寿健康課)データをグラフ化

■図2-7 高齢者世帯の地区別状況

179

94

156

2460

35 36 21 31

60

86

5127

3131

140

170

132

13.5%14.0%

18.1%

13.8%13.2%

14.5%13.6%

9.4%

14.6%

0

50

100

150

200

250

300

350

日詰 古館 赤石 水分 志和 彦部 佐比内 赤沢 長岡

世帯

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0%

独居高齢者世帯数 高齢者だけの世帯数 高齢者世帯割合

注)高齢者福祉施設入居者を除く。

参考:平成 19 年度版高齢者支援白書(長寿健康課)一部改編をグラフ化

15

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(4)住宅

町内の住宅数は、世帯増加に伴い増え続けています。

平成 15 年の町内住宅総数は 9,930 棟で、平成 10 年から平成 15 年の間に 810 戸 9.1%増加し

ています。この住宅数増加は、年齢別人口の変化で示したとおり、30 歳代前半から 40 歳代後

半までの子育て世帯数の増加によるものと考えられます。民間事業者への聞き取りにより、県

内主要都市が鉄道沿線に多いことから、県内転勤者が鉄道交通の便が良い本町に住宅を求めて

いることも要因の一つとなっていることがわかりました。

一方、空き家の数は、5年間で 220 戸増加し、住宅総数に対する割合は 1.7%増加しています。

■表2-5 住宅数と空き家率 (単位:戸、%)

10年 15年 増減比較 増加率

住宅総数 8,940 9,930 810 9.1

空き家数(二次的住宅、賃借用含む) 490 710 220 44.9

空き家率(空き家数/住宅数) 5.5 7.2 1.7 -

出典:各年住宅・土地統計調査報告第 1表

(5)地価

住宅地の地価は、旧花巻市より高く、北上市に近い価格となっています。

紫波町の地価をみると、住宅地は盛岡市の 51.8%、商業地では 32.3%と低いものの、住宅

地をみると旧花巻市より高く、北上市と同等の価格となっています。

■表2-6 紫波町と近隣市町村の住宅地、商業地の地価 (単位:円/㎡)

市町村名 年次 住宅地 商業地

H5年 31,800 80,300

H10年 34,700 65,000

H15年 37,500 63,000

H19年 34,400 53,000

H10-H19増減率 △0.9 △18.5

盛岡市 H19年 66,300 164,000

(旧)盛岡市  70,500 174,900

矢巾町 48,500 67,500

雫石町 20,200 35,100

滝沢村 41,400 -

花巻市 20,800 48,300

(旧)花巻市  28,400 75,200

(旧)石鳥谷町 19,600 32,800

(旧)大迫町  11,900 27,000

北上市 35,100 57,500

紫波町

出典:岩手県地価調査

16

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第 2編 町の概要

■表2-7 紫波町と近隣市町村の住宅地の地価 (単位:円/㎡)

市町村名 番号 住居表示 単価(円) 地積(㎡) 用途地域等 市町村名 番号 住居表示 単価(円) 地積(㎡) 用途地域等

紫波町 1 日詰西1丁目 34,300 273 1中専 北上市 1 上野町1丁目 40,800 171 1低専

2 日詰字朝日田 27,900 247 1中専 2 大堤南1丁目 33,000 240 2中専

3 高水寺字田中 41,100 174 1低専 3 中野町1丁目 41,900 202 1住居

4 日詰字西裏 53,000 156 近商 4 常盤台1丁目 44,300 282 1中専

盛岡市 1 みたけ4丁目 64,100 218 1住居 5 若宮町2丁目 56,500 326 2住居・準防

4 仙北2丁目 80,100 247 1中専・準防 雫石町 1 小日谷地 20,800 182 1住居

6 月が丘1丁目 72,700 239 1中専 5-1 上町東2番 35,100 203 商業

8 松園3丁目 41,000 306 1低専 滝沢村 1 滝沢字野沢 37,400 202 1低専

9 永井18地割 59,000 226 1低専 2 滝沢字穴口 51,700 168 1中専

10 緑が丘1丁目 80,000 219 1低専 3 鵜飼字向新田 48,900 218 1低専

22 三本柳2地割 59,500 160 1住居 4 滝沢字巣子 39,100 195 1住居

24 西見前14地割 58,500 204 1低専 5 滝沢字巣子 33,900 223 1中専

28 飯岡新田2地割 61,900 314 2中専・準防 矢巾町 1 西徳田第6地割 48,500 119 1低専

40 津志田15地割 65,500 261 2中専 3 南矢幅第6地割 46,700 252 1住居

花巻市 1 西大通り1丁目 49,500 226 1低専 7 南矢幅第11地割 52,200 176 1住居

4 二枚橋町1丁目 22,700 338 2中専 5-1 又兵エ新田第5地割 67,500 196 商業

7 本館1丁目 28,600 327 1低専

8 桜町1丁目 28,400 397 1低専

出典:平成 19 年度 岩手県地価調査

(6)通勤、通学及び昼間人口

①通勤、通学の割合

町から他市町村への通勤通学者のうち、盛岡市への割合は、57%となって

います。

紫波町は、盛岡市、矢巾町、花巻市、旧石鳥谷町(花巻市)との間で通勤、通学の流動が

多く見られます。流出が多いのは、居住地としての立地条件、交通事情の良さによるもので、

学校や雇用の場が多い盛岡市への通勤通学者の割合が多くなっています。

また、流入が少ないのは、町内に高等教育機関や雇用の場が少ないことが要因と考えられ

ます。

■表2-8 紫波町から他市町村への流出 (単位:人、%)

総数 滝沢村 盛岡市 矢巾町 旧石鳥谷町 花巻市 北上市

通勤 8,353 165 4,660 1,436 373 761 347

通学 1,280 101 781 171 24 105 54

計 9,553 266 5,441 1,607 397 866 401

割合 - 2.8 57.0 16.8 4.2 9.1 4.2

■表2-9 他市町村から紫波町への流入 (単位:人、%)

総数 滝沢村 盛岡市 矢巾町 旧石鳥谷町 花巻市 北上市

通勤 4,156 171 1,670 886 487 354 84

通学 335 1 153 130 19 13 8

計 4,892 172 1,823 1,016 506 367 92

割合 - 3.5 37.3 20.8 10.3 7.5 1.9

出典:平成 17 年国勢調査。(旧大迫町からの通勤が 175 人ある。)

17

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第 2編 町の概要

②昼間人口率

昼間人口の割合は、周辺地域で最も低い84.7%です。

紫波町の夜間人口に対する昼間人口の割合(平成 17 年国勢調査。以下「昼間人口率」とい

う。)は、84.7%となっています。この数値は、盛岡広域圏及び近隣の旧石鳥谷町、旧大迫町

と比べて、最も低い割合となっています。

■表2-10 昼間人口率(昼間人口/夜間人口) (単位:人、%)

盛岡市 旧玉山村 八幡平市 雫石町 葛巻町 岩手町 滝沢村 紫波町 矢巾町 旧石鳥谷町 旧大迫町

昼間人口 304,418 12,463 28,984 17,625 7,556 15,230 47,782 28,472 26,550 13,901 6,012

夜間人口 284,183 13,554 31,079 19,055 8,021 16,254 53,533 33,614 27,085 15,982 6,585

昼間人口率 107.1 92.0 93.3 92.5 94.2 93.7 89.3 84.7 98.0 87.0 91.3

出典:平成 17 年国勢調査

■図2-8 昼間人口率

107.1

92.0 93.3 92.594.2 93.7

89.3

84.7

98.0

87.0

91.3

70.0

80.0

90.0

100.0

110.0

盛岡市 旧玉山村 八幡平市 雫石町 葛巻町 岩手町 滝沢村 紫波町 矢巾町 旧石鳥谷町 旧大迫町

③JR紫波中央駅の乗降客数

JR紫波中央駅の乗降客は、平日 2,600 人であり、休日は半数となってい

ます。

JR紫波中央駅の乗降客数(平成 19 年 12 月調査)は、表 2-11 のとおり、平日で 2,602

人、休日はほぼ半分の 1,243 人となっています。平日、休日共に全体の半数が高校生となっ

ています。併せて、JR3駅の乗降客数(平成 20 年 5 月 28 日調査)を表 2-12 に示します。 ■表2-11 JR紫波中央駅乗降客調査 (単位:人)

上り 下り 合計

通学 一般 合計 通学 一般 合計 通学 一般 合計

男 241 326 567 273 342 615 514 668 1,182

女 355 332 687 373 360 733 728 692 1,420平日

計 596 658 1,254 646 702 1,348 1,242 1,360 2,602

男 132 146 278 127 134 261 259 280 539

女 170 162 332 167 205 372 337 367 704休日

計 302 308 610 294 339 633 596 647 1,243

注)平日は平成 19年 12 月 19 日(水)、休日は平成 19 年 12 月 23 日(日・祝)に町企画課調査 ■表2-12 JR3駅乗降客調査 (単位:人)

乗り 降り 計

日詰駅 499 471 970

紫波中央駅 1,381 1,340 2,721

古館駅 865 844 1,709

計 2,745 2,655 5,400

注)平成 20 年 5 月 28 日(水)町企画課調査

18

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第 2編 町の概要

(7)産業

①事業所

町内の事業所数は減少傾向にあり、その割合は盛岡広域圏で最も大きくな

っています。

平成 18 年における紫波町の事業所数は 1,231 事業所、従業者数は 10,700 人で、5 年前の

平成 13 年と比較して、それぞれ 6.4%、5.2%減少しています。 「産業別全事業所及び従業者数」の内訳は、表 2-14 のとおりです。

また、生産年齢人口千人あたりの事業所数は、盛岡広域圏で下位から 2番目となっており、

減少割合は、広域圏で最も大きくなっています。

■表2-13 事業所数、従業者数の推移 (単位:事業所、人、%)

H3 H8 H13 H18 増減率(H13-H18)

事業所数 1,215 1,300 1,315 1,231 △6.4

従業者数 9,495 11,070 11,283 10,700 △5.2 出典:各年事業所・企業統計調査報告書

■表2-14 産業別全事業所数及び従業者数 (単位:事業所、人)

総計 農林漁業 鉱業 建設業 製造業 電気・ガス・

熱供給・水道業

事業所数 1,231 21 1 132 88 2

従業者数 10,700 284 13 1,124 2,367 32

情報通信業 運輸業 卸売・小売業 金融・保険業 不動産業 飲食店、宿泊業

事業所数 6 40 337 9 60 109

従業者数 25 1,074 2,054 94 95 494

医療、福祉 教育、学習支援業 複合サービス事業サービス業(他に 分類されないもの)

公務(他に分類され ないもの)

事業所数 69 57 19 267 14

従業者数 924 495 307 1,016 302 出典:平成 18 年事業所・企業統計調査報告書

■図2-9 事業所数(生産年齢人口 1千人当たり)

61.8

80.3

68.2

40.8

86.8

69.4

66.0

82.779.6

73.5

58.2

79.5

67.0

38.8

88.7

72.8

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

紫波町

盛岡市

矢巾町

滝沢村

雫石町

葛巻町

八幡平市

岩手町

H13

H18

出典:事業所・企業統計調査(平成 13 年・平成 18 年) 岩手県人口移動報告年報(平成 13 年・平成 18 年)

19

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第 2編 町の概要

②農業

農業生産の減少を克服するため、新たな価値の創造が求められます。

紫波町の基幹産業は農業ですが、平成 17 年度の町内純生産に占める第一次産業の割合は、

6.5%と、決して高い数値ではありません。

町内の農業生産を平成 7年と平成 17 年で比較してみると、ほとんどの品目で生産量、産出

額が減少しています。

全国有数のもち米生産団地と県内有数のフルーツの里である強みを生かした、農畜産物の

新たな価値の創造が求められます。

■表2-15 農業生産の比較 (単位:ha、t、百万円)

平成 7年 平成 17 年 比 較 作付面

積等 生産量 産出額

作付面積等

生産量 産出額作付面積等

生産量 産出額

うるち 2,050 10,420 3,167 1,257 6,787 1,561 △793 △3,633 △1,606

もち 1,613 8,925 2,419 1,588 8,257 1,981 △25 △668 △438

小麦 127 307 44 745 1,210 150 618 903 106

豆類・雑穀 148 214 57 145 170 40 △3 △44 △17

きゅうり 52 2,840 566 45 2,110 330 △7 △730 △236

トマト 15 645 164 19 685 150 4 40 △14

ピーマン 14 435 122 10 250 60 △4 △185 △62

野菜計 401 8,354 1,682 280 5,305 950 △121 △3,049 △732

りんご 285 5,610 1,140 244 5,060 990 △41 △550 △150

ぶどう 208 2,850 780 146 1,990 470 △62 △860 △310

もも 23 465 64 18 170 20 △5 △295 △44

洋なし 32 504 79 29 409 61 △3 △95 △18

果実計 594 9,614 2,089 481 7,729 1,580 △113 △1,855 △509

花き 10 1,680 124 8 812 140 △2 △868 16

繁殖牛 1,731 1,296 445 1,045 836 331 △686 △460 △114

肥育牛 712 369 269 325 195 173 △387 △174 △96

豚 1,027 11,744 616 700 10,075 570 △327 △1,669 △46

菌茸類 - 196 142 - 96 82 - △100 △60

注)平成 7年産出額の調査時名称は粗生産額

出典:紫波農業振興地域整備計画書(紫波町 平成 20 年 3 月)から抜粋

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第 2編 町の概要

③小売業

平成 6 年以降、大規模小売店舗の立地が続いたことから、年間販売額と売場面積、従業員

数の増加が顕著に表れていました。しかし、平成 11 年以降、年間販売額と売場面積はほぼ横

ばいですが、商店数と従業員数が大幅に減少しています。

これは、近隣市町村に大規模小売店舗が立地し、地元購買率が低下していることも影響し

ていると思われます。

■図2-11 町の年間販売額、売場面積(小売業) ■図2-10 町の商店数、従業者数(小売業)

小売業は、商店数、従業員数共に減少しています。

296320326

365

368340

1,6431,6701,7551,832

1,5881,456

050

100150200250300350400450500

平成

6年

平成

9年

平成

11年

平成

14年

平成

16年

平成

19年

商店

02004006008001,0001,2001,4001,6001,8002,000

従業

者数

商店数 従業者数

26,498

25,978

26,440

26,979

24,578

22,608

39,126

37,273

39,33638,295

28,558

21,032

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

平成

6年

平成

9年

平成

11年

平成

14年

平成

16年

平成

19年

年間

販売

額(単

位:百

万円

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

売場

面積

(単

位:㎡

年間販売額 売場面積

出典:商業統計調査 出典:商業統計調査

④商圏構造と購買動向

地元購買率は 73.6%です。

盛岡市の商圏の中にありながら独自商圏も有しています。

平成 19 年度調査における紫波町の品目総合の地元購買率は 73.6%となっています。表に

はありませんが、盛岡市 96.9%と比べて低いものの、矢巾町 62.3%、滝沢村 30.7%と比べ

て高くなっています。一定の独自商圏を持っていると考えられます。

■表2-16 紫波町の地元購買率の状況 (単位:%)

買物品目 15 年 19 年 買物品目 15 年 19 年

紳士服 18.0 11.7 書籍雑誌・CD 78.3 59.8

婦人服 28.1 19.6 日用品・台所用品 88.8 85.8

普段着 57.6 43.6 家電製品 13.7 13.8

下着類 67.6 64.6 医薬品・化粧品 82.6 79.1

くつ・カバン 26.4 16.1 食料品 93.1 88.9

家具・インテリア 12.8 13.0

スポーツ用品・ 娯楽用品 73.0 70.8 品目総合 76.6 73.6

出典:平成 15 年度岩手県広域消費購買動向調査、平成 19 年度盛岡地区広域消費購買動向調査

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第 2編 町の概要

⑤大規模小売店舗

大規模小売店舗は、町内に7店舗あります。

町内には、地元の商業者が協同出店した盛岡南ショッピングセンター「ナックス」をはじ

め、大型ショッピングセンター3 店舗が立地し、ほかにも医薬品、衣料品の大型店が 4 店舗

立地しています。近隣市町村には、紫波町を商圏に含む大型商業施設が立地しています。

■表2-17 町内の大規模小売店舗5一覧(平成 20年 6月現在) (単位:㎡)

店舗名称 所在地

(大字)核テナント 開店日

店舗

面積

主要

販売品

スーパーセンター紫波 高水寺 ㈱ジョイス H6.11.17 4,059 各種商品

盛岡南ショッピングセンター 桜町一丁目 ㈱たもり H8.11.23 9,124 各種商品

紫波ツインプラザ 北日詰 ホーマック㈱ H10.7.23 6,748 各種商品

タケダスポーツ盛岡南店 高水寺 ㈱タケダスポーツ H10.11.7 4,000 スポーツ用品

ファッションセンターしまむら紫波店 桜町 ㈱しまむら H6.9.28 1,046 衣料品

スーパードラッグアサヒ紫波店 桜町 ㈱横浜ファーマシー H15.6.10 1,326 医薬品

薬王堂紫波店 桜町 ㈱薬王堂 H15.6.20 2,366 医薬品

合計 28,669

出典:県内大規模小売店舗一覧(岩手県商工労働観光部経営支援課)

■表2-18 小売業全体に占める大規模小売店舗の割合

事業所数(店)

従業者数(人)

年間商品 販売額

(万円)

その他 収入額

(万円)

売場面積(㎡)

H16 320 1,670 2,597,788 127,774 37,273

H19 296 1,643 2,649,792 159,380 39,126小売業計

増減 △24 △27 52,004 31,606 1,853

H16 40 521 942,340 - 22,542

H19 32 487 949,788 - 20,971大規模小売店舗内の事業所

増減 △8 △34 7,448 - △1,571

H16 12.5 31.2 36.3 - 60.5

H19 10.8 29.6 35.8 - 53.6割合 (%)

増減 △1.7 △1.6 △0.5 - △6.9

注 1)大規模小売店舗立地法に基づく、店舗面積が 1,000 ㎡以上の大規模小売店舗及び大規模 小売店舗内で小売業を営む事業所について再集計したもの。

注 2)増減は平成 16 年を基準に平成 19 年を比較したもの。 出典:商業統計調査

5 大規模小売店舗:

大規模小売店舗立地法で定める店舗面積(小売業を行うための店舗に供される床面積)が 1,000 ㎡を超える

店舗をいう。

22

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第 2編 町の概要

(8)雇用

完全失業率は、国と県、盛岡広域圏よりも低い状況です。

有効求人倍率は、国に比べ低い水準で推移し、求人数が不足しています。

① 完全失業率

紫波町の完全失業率は、国と県、盛岡広域圏(盛岡公共職業安定所管内)よりも低い値で

すが、ほぼ同じ傾向で推移しています。

■図2-12 完全失業率の推移

6.6

3.6

5.24.7

4.3

6.0

4.5

3.23.2

5.9

2.53.0

0

1

2

3

4

5

6

7

H7 H12 H17

(%)

全国 岩手県 盛岡広域圏 紫波町

出典:国勢調査(各年10月1日)

② 有効求人倍率

有効求人倍率については、岩手県は国よりも低い水準で推移しており、図には示していま

せんが、国と県の率の差は、平成 15 年に比べて平成 19 年の方が大きくなっています。また、

平成 19 年 4 月から 20 年 12 月までの有効求人倍率をみると、紫波町を含む盛岡広域圏は岩手

県とほぼ同じ倍率で推移していますが、国と比べるとやはり低い水準となっています。 ■図2-13 平成 19 年 4 月から 20 年 12 月までの有効求人倍率の推移

0.89

0.750.81

0.840.860.850.840.83

0.84

0.991.021.00

1.041.061.071.06

1.041.00

0.970.96

1.00

0.560.550.53

0.610.560.64

0.67

0.680.720.74

0.750.71

0.670.64

0.67

0.77 0.77

0.49

0.550.560.58

0.590.590.56

0.53

0.70

0.63

0.560.6

0.55

0.660.690.700.700.70

0.720.670.65

0.630.67

0.74

0.6

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80

0.90

1.00

1.10

1.20

19年

4月

19年

5月

19年

6月

19年

7月

19年

8月

19年

9月

19年

10月

19年

11月

19年

12月

20年

1月

20年

2月

20年

3月

20年

4月

20年

5月

20年

6月

20年

7月

20年

8月

20年

9月

20年

10月

20年

11月

20年

12月

(%)

全国 岩手県 盛岡広域圏(盛岡公共職業安定所管内)

出典:雇用失業情勢(20年 4 月・12 月)(岩手労働局)

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第 2編 町の概要

(9)公共交通

紫波中央駅と日詰商店街が交通拠点となっています。

公民連携推進区域の公共交通は、鉄道、バスなどで、紫波中央駅及び日詰商店街が交通拠点

(交通結節点6)となっています。中心市街地と町内の各地域間は、コミュニティバス「すこや

か号」が運行されていますが、運行本数が少ない(週 2日、1日 3便)ことが課題です。

主な路線とその拠点は次のとおりです。

■表2-19 公共交通と交通拠点

交通拠点(交通結節点) 区 分 分 類 路 線 等

開発区域内 町内

鉄道 東北本線 紫波中央駅 日詰駅

古館駅

長距離(深夜) 花巻-池袋 紫波中央駅 -

盛岡バスセンター(盛岡駅)

-日詰

盛岡-(長岡経由)-日詰

盛岡-(志和経由)-日詰

盛岡-北上(深夜バス)

日詰停留所

(日詰商店街地区内)

日詰駅前

バス

中・近距離

盛岡-紫波中央駅(深夜)

紫波中央駅-大迫

紫波中央駅

コミュニティバス 町内5路線(温泉線含む) 日詰停留所

紫波中央駅 -

乗合タクシー 盛岡-日詰(深夜) 日詰商店街地区 -

6 交通結節点 出典:国土交通省道路局ウェブサイト

交通結節点とは、異なる交通手段(場合によっては同じ交通手段)を相互に連絡する乗り換え・乗り継ぎ施設

をいう。

24

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第 2編 町の概要

2-4 公共施設の現状

図書館、役場庁舎の整備が必要となっています。

(1)図書館

町には図書館がなく、中央公民館に胡堂文庫(公民館図書室)が設置されています。図書館

の新設に対する町民ニーズも高く、市民参加による「図書館をつくろう委員会」での話し合い

を経て、学識経験者や町民の代表による「図書館建設検討委員会」により基本構想がまとめら

れ、基本計画の策定に向けて検討を進めています。町ではこの計画に基づき、図書館の整備を

行います。

(2)役場庁舎

昭和 38 年に建設された役場庁舎は、老朽化が著しく、耐震強度に問題があります。また、本

庁舎が狭いことから、第二庁舎、保健センター、中央公民館に機能が分散されています。耐震

強度を確保するとともに、利便性を高め、駐車場が狭いといった問題も解決するため、町では、

新たな役場庁舎の整備を行います。

2-5 現状まとめ

(1)現状

事業所と従業員数が減少しており、求人倍率も低迷しています。

昼間人口率は、周辺地域で最も低い割合となっています。

少子高齢化の傾向にあります。

人口は横ばい、世帯数は増加しています。しかし、日詰商店街地区(郡山

駅地区)の人口は減少傾向にあります。

18 歳から 29 歳までの転出者が多くなっています。

30 歳代前半から 40 歳代後半と 14 歳までの転入者が多くなっています。

本町では、30 歳代前半から 40 歳代後半までと 14 歳までの転入者が多くなっています。雇用

の場が近隣市町村に多いこと、交通アクセスがよく、土地が比較的安価なことなどが要因とし

て考えられます。一方で、18 歳から 29 歳までの転出者が多く、若者世代が少ないといった課

題があります。本町に高等教育機関や雇用の場が少ないことが要因の一つと考えられます。近

隣市町村の平成 12 年から平成 17 年までの人口の推移を見ると、滝沢村や矢巾町で人口増加が

進んでおり、本町に比べ増加率が高くなっています。ハウスメーカーへの聞き取りでは、盛岡

市からの距離がこの 2町村に比べ遠いことに加え、住宅を求める人にとって、紫波町は住宅地

としての印象が薄いといったことが要因として挙げられました。

また、日詰地区全体の人口は増加していますが、これは主に平成 10 年からの紫波中央駅前開

発によるもので、日詰商店街地区の人口は減少傾向にあります。

人口は横ばい傾向になっているものの、世帯数は依然として増加しています。これは、核家

族化の進展が要因の一つとして考えられます。

25

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第 2編 町の概要

少子高齢化といった課題についても、本町は全国と同様の傾向を示しています。町内には小

児科や産婦人科の医院が少なく、近隣市町村に依存している状況であることから、子育て環境

が町の強みという優位性を示すまでには至っていないと思われます。

本町の昼間人口率は、盛岡広域圏及び旧石鳥谷町、旧大迫町との比較で、最も低い割合とな

っており、雇用や就学の場が少ないことが要因として挙げられます。昼間に人がいないことが、

町の活力低下の要因の一つとして考えられます。

産業については、町内の事業所数と従業員数が減少しています。町内事業者からの聞き取り

によると、完全失業率が上昇している要因の一つとして、二次産業の町内企業の求人に対し町

内からの応募が少ないといった、町民の求職ニーズと企業の求人ニーズのミスマッチがありま

す。

(2)課題と方向性

①転入の多い世代の更なる誘導

住環境の充実による子育て世代の転入誘導を進めます。

30 歳代前半から 40 歳代前半までと、14 歳までの転入者が多くなっています。今後も、安

心して子育てができる住環境の充実により、この世代の定住を進めていく必要があります。

②若い世代の流出抑止対策

18 歳から 29 歳までの転出者が多く、若い世代が少ないといった課題があります。また、

昼間人口の割合が低いため、町内に活力が生まれにくくなっています。長期的には教育機関

又は多様な雇用の場を創出するとともに、短期的には、若い世代の農村自然体験の交流、挑

戦の場として町の資源を利用することなどが必要と考えます。公民連携推進区域は、その発

信の場や玄関口としての役割を担います。また、余暇を楽しむ場としての役割もあります。

③商店街地区の人口減少

長期的には教育機関や多様な雇用の場、短期的には交流・挑戦の場として

町の資源利用が必要です。

商店街地区の人口減少対策は、まちなか居住の促進が有効と考えます。

商店街地区の人口は減少傾向にあります。商店街に賑わいを誘導する一方策として、まち

なか居住の促進が有効と考えます。商店街地区は、近隣の産物の物流拠点として栄えてきま

した。そして、周辺の農村部から必要な時に必要な物やサービスを求めて人が集まることに

よって出来た街です。商業に限らず、町民が必要とするものを集積すれば、人が集まって来

る地の利を備えた地区だと考えます。 町全体の交通環境、自然環境、教育環境、医療環境、買い物環境といった住環境を公民連

携推進区域の一体的整備によって補完・充実させ、町の中心部としての機能を高めて行く必

要があります。

26

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第 2編 町の概要

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④少子高齢化

少子化や高齢化といった全国的な課題については、本町も同様の傾向を示しています。少

子化について、自治体が担う領域としては出産、子育て環境の充実があります。

高齢化については、健康推進や生きがいづくりが重要であり、町が進めている「元気はつ

らつ高齢者計画」に基づき、健康づくりと高齢者が楽しみながら活躍できる場づくりが重要

です。

⑤雇用の場の確保

出産・子育て環境の充実、高齢者の健康づくり・活躍の場づくりが重要です。

既存産業への理解醸成、多様な雇用創出と近隣市町村との連携が必要です。

町内に立地する企業への町民の就業が少ないのは、町民の既存企業への理解が少ないこと

や、町民の多様な求職ニーズに対応する企業が少ないことなどが原因として考えられ、雇用

の場の確保に町独自で対応することは困難です。そこで、町民の既存の産業への理解醸成と

既存産業の可能性を広げるなどの支援が必要です。さらに、多様な雇用を創出し、雇用の場

を確保するためには、企業立地の促進に加え、町の特性を生かした産業7の創出や近隣市町村

との連携が必要となっています。

また、町は、県都として県内経済の重要な役割を担う盛岡市と産業振興の著しい県南地区

(花巻市~一関市)へ通勤する人たちの生活の場としての役割を担っていきます。

7 産業 出典:フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」を改編

ここでいう産業は、「人々が生活するうえで必要とされるものを生み出したり、提供したりする経済活動」で

あり、「社会的な分業として行われる製品・サービスの生産・分配にかかわるすべての活動を意味し、公営・

民営のかかわりなく、また営利・非営利のかかわりなく、教育、公務などの活動をも含む概念」として定義

する。

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第 3編 公民連携による開発理念

第3編 公民連携による開発理念

3-1 理念設定の背景

町の利便性を生かすことと、循環型まちづくりへの取り組みを進めることが、

個性的に成長できる地域づくりにつながると考えます。

町が有する自然、風景、伝統、文化、建築物、暮らし方などの有形無形の財産は、「光り輝く

価値がある」と、訪れた方々から評価を受けます。 この町に住む私たちは、身近すぎて、本当の価値がわからないのかもしれません。しかし、

「モノ」の豊かさから、「ココロ」の豊かさを求めはじめた現代生活者にとって、魅力に感じる

価値が紫波にはあります。 町内の全域に水田が広がり、果樹園や野菜畑が多く見られます。農家のみなさんが、安全・

安心な農作物の生産を心がけ、町の基幹産業である農業を守っています。 町の中央部は、県都盛岡市と花巻市・北上市の中間に位置し、就業先・就学先への交通の利

便性が高いことから、良質な住環境が整い、都市化が進んでいます。また、沿岸部と盛岡をつ

なぐ国道もあり、中間点としての交通の要衝という利点を備えています。 私たちは良好な生活環境を保つために、「循環型のまちづくり」に取り組んできました。一見

すると同じように見える環境も少しずつ変化していきます。このまちづくりの姿勢によって紫

波の自然は 100 年後にも伝えられ、いつまでも住みよい町であり続けると考えています。 私たちが思い描く紫波での暮らしとは、自然に囲まれながらも程よく便利で、こだわりの産

物や質の高い産物をつくる暮らし。伝統を伝えつつ、そこから新たな価値を生み出していく風

土を育む暮らし。そして何よりも、ここでの安らぎある生活を愉しむ感性が息づく暮らしです。 町が持ち合わせている農村的要素と都市的要素を生かし、これまでの「循環型のまちづくり」

への取り組みを根底とした将来のまちづくりの理念を設定することにより、心豊かに暮らすこ

とができ、個性的に成長できる地域を目指したいと考えます。 3-2 理念設定

都市と農村の暮らしを「愉しみ」、環境や景観に配慮したまちづくりを表現す

る 場にします。

農村的要素と都市的要素を生かすということは、農村の環境と暮らしを守り続けることと、

都市の移り変わりや新しい人を受け入れることであり、両方の調和が重要であると言えます。 私たちは、農村の風景と豊かな「農(みのり)」を生かした暮らしをしながら、盛岡と花巻・

北上地域との中間点という利便性の高い公民連携推進区域に上質な都市空間を整備し、人々と

農とのかかわりを作り出し、付加価値を生み出していきたいと考えます。「紫波に住んで良かっ

た」と実感でき、ここに住む日常の姿が素敵な一コマとなる暮らしを演出していきたいと思い

ます。 これまで取り組んできた循環型のまちづくりも大切な要素です。農村と都市両方の暮らしを

「愉しみ」つつ、環境に配慮したエコライフを愉しんで実践する「これからの紫波の暮らし」

を表現する場を、紫波中央駅前に創出したいと思います。 また、人に喜びや潤いを与える優れたデザインの街並みは、私たちにも来訪者にもメリット

28

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第 3編 公民連携による開発理念

29

を与えてくれます。「こんな町に住みたい」という住環境を整え、「こんな町で働きたい」とい

う雇用の場を生み、紫波の暮らしに共感する人が訪れ、その良さを享受してもらえる、町の中

心部はそのような街並みと活動の場となることがふさわしいと考えます。町の特色や持ち味を

充分に具現化し、住む人と訪れる人がお互いにその価値を認め、尊重し合い、暮らしに生かせ

るまちを目指します。

3-3 開発の考え方

町中心部の賑わいが町全体へ波及し、中心部と各地域のつながりを重視した、

持続的に発展する町を目指します。

私たちが心豊かに暮らし、町が個性的に成長していくために、町民と民間事業者、町が連携

を図りながら、紫波中央駅前から日詰商店街を含む公民連携推進区域全体の価値を高めます。

町の中心部が賑わい、そこから町全体に経済活動が波及する仕組みを形成し、中心部と各地域

とのつながりを重視した持続的に発展する町を目指します。これからの紫波の暮らしを表現・

発信するため次の3点を開発の考え方とします。

① 農村(田園)と都市(街)が共生するまち

「町の農村地域と中心部をつなぐ」、「紫波と周辺都市をつなぐ」ため、周辺都市から田園

への魅力的な玄関口として、農村の豊かな農(みのり)ある暮らしを感じることができる街

を目指します。それは、家族や友達と楽しくすごしながら、紫波の文化や安全安心な農産物

の良さを実感できる街です。

また、町の中心市街地として、必要な都市機能を備え、緑を重視し、使いやすく便利で、

歩いて楽しい、人々が集う魅力的な街を目指します。

めざそう1:農産物や農村の良さにふれることのできる市街地の形成 めざそう2:都市機能の集積と使いやすく人々が集う市街地の形成

② 若者、高齢者、すべての人が希望を持ち、安心して暮らせるまち

住宅、交通、自然、教育、医療、買い物といった住環境の大切な要素を充実させ、人が住

まう街を目指します。それは、安心して子育てできる環境であり、高齢者が生き生きと暮ら

せる環境の街です。

紫波の将来のため、官民が共同で経済発展や多様な雇用の確保、文化・教育・健康・スポ

ーツ活動の強化に取り組み、若者が学び、働き、挑戦できる環境の充実を目指します。

めざそう3:定住促進を図るための住環境が充実した市街地の形成 めざそう4:多様な雇用が生まれ、若者が学び・働き・挑戦できる環境の充実

③ 人にも地球にも「やさしい」まち

紫波の豊かな自然を享受し、それを持続させるため、環境に配慮したまちを目指します。

それは、エコライフを愉しく学び実践することを通じ、自然の恵みを後世に引き継ぐ心を育

む街です。

すべての人にやさしい市街地を目指します。それは誰もが利用しやすく、洗練されたデザ

インの街であり、来訪者が町民と自然なかたちで交流し、街に笑みが溢れるまちです。 めざそう5:環境への配慮を実践する市街地の形成 めざそう6:すべての人にやさしい市街地の形成

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第 4編 公民連携開発区域の整備方針

第4編 公民連携開発区域の整備方針

4-1 方向性

町の特色を生かし、人に優しい統一感のある景観で住みよい町にします。

将来の世代のために、質の高い民間施設や公共施設整備を推進し、魅力のある住みよい町に

します。また、町の特色を生かした景観やテーマを基に、町民が地域社会の一員であるという

意識を共有できるまちづくりを進めます。個性の異なる地区が集まっている本町においては、

農業が盛んで自然の豊かな地区、商業施設の集中した地区、住宅の多い地区など、それぞれの

地区の個性を生かした開発を促進します。また、中心市街地においても、各々の地区の個性を

つないで、町民の暮らしの質を高めるような、多様な発展を促進します。

街並みの要素を統一すること、環境に配慮した設計をすること、そして個々の建物や地区を

結び付ける新たな特徴を生み出すことを目指します。特に、中心となる街路に面した開発は、

統一感のあるデザインを作り上げ、その良さを伝える場となります。建物には質の高いデザイ

ンを奨励するほか、人に優しい建物や街路、公共空間を創り出すように奨励します。

4-2 機能導入

歩行者がゆったりと愉しむことができるような歩行環境の充実を図り、安全

で快適な空間としての魅力を高めます。

町の中心市街地8は文化、教育、商業、行政、余暇・交流の中心としての役割を担い、遊ぶ場、

学ぶ場、買い物する場、働く場、人と会う場、暮らす場となります。歩いて楽しく、人々が集

う、住みよい中心市街地としての魅力を高めます。

その中にあって公民連携開発区域での新たな開発は、歩行者が歩道で立ち止まって何かを眺

めたり、おしゃべりしたり、又は休憩したりするための安全で快適な環境を整備します。ただ

し、歩行者の流れを妨げないように配慮します。建物の側に立ち止まって眺める、あるいは座

る空間を提供することで、歩行者は人間を観察する、交流する、食べるといったことをゆった

りと愉しむことができます。座る場所はベンチに限らず、大きなプランターの縁、大きな石、

広めの階段などが選択肢として考えられます。

4-3 道路と公共空間

公共空間は、多様な用途に活用できる空間、ゆったりした空間、安心できる

空間を目指します。

回遊性、快適性を重視した道路網の整備を推進します。

複合用途の開発、歩行者に優しい開発、歩行者や自転車利用者、公共交通機関の利用者を増

8 中心市街地: 旧法による中心市街地活性化基本計画において定義した地域

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第 4編 公民連携開発区域の整備方針

加させるような開発を支援します。道路設計においては、回遊性を重視し、連結性の高い道路

網の整備を推進します。道路の延長、結合などの可能性を探り、袋小路を制限します。

歩道沿いの建物は、雨、風、日光等の影響を緩和するなど、歩行環境に配慮します。建物の

設計と歩道との関係は、快適で活気ある歩行環境を創り出す上で非常に重要な要素であり、設

計段階で雨、風、日光等の自然の要素を考慮することが必要です。

車両交通から歩行者を保護します。標識や看板、歩道用の照明設備などを整備し、歩行者に

安心感を与えると同時に、快適な歩行環境を提供することを目指します。排気孔や搬出入口な

どは、歩行環境を損なわないような位置に整備します。

公共空間として使うことも念頭に置き、道路からの建物の後退基準を統一します。吹き抜け

や正面玄関、地上レベルの大きな窓を活用するなど、見通しを良くすることで、隣接する歩道

と建物の中とに視覚的・物理的なつながりを持たせることを奨励します。

広場や公園といった公共空間は、多様な用途に活用できる空間が望ましく、緑地や歩道の他、

可能であれば建物の屋上を公共空間として活用することも奨励します。公共空間は、そこでゆ

ったりとくつろぐことから、可能な場合には芸術作品を取り入れることやスポーツを楽しむこ

とまで、様々な活動の場となりえます。

これとは反対に、建物に囲まれた空間など、人に安心感を与える狭い空間も公共空間として

活用し、広々とした公共空間とのバランスを取りながら、安心して憩い集える場の提供に努め

ます。

新しい開発案が公共空間の近隣である場合は、建物の高さや面積、容積などを規制し、公共

空間に必要以上の影を落とさないようにします。これには、新しい開発や増築などが公共空間

における日照権を阻害することを防ぐ目的があります。

公園の効率良い維持管理・運営、適切な保全、町民に対する保養や余暇・交流機会の提供を

通して、公園及び公園施設の質、安全性、利便性を高めます。また、町民のニーズ及び町の目

的に適う余暇・交流施設の開発・運営を奨励します。

4-4 駐車場

駐車スペースをバランスよく配置し、公共交通機関との連携や商業活性化を

目指します。

各地区の土地利用に見合った位置に、長時間用、短時間用といった駐車スペースをバランス

よく配置し、交通循環への配慮や公共交通機関との連携を図ります。利用者にとって便利な場

所に駐輪スペースを設置します。適切と認められた場合には路上駐車スペースを設け、歩行者

を車両交通から保護します。

パークアンドライド駐車場を設置することにより、交通渋滞の緩和や環境保全といった交通

政策の目的達成に努めます。駐車スペース及び搬出入スペースの需要供給を管理することで、

全ての移動手段における安全性の確保、環境に与える負荷の軽減、商業地区の活性化、住宅地

における住みよさの向上を目指します。

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第 4編 公民連携開発区域の整備方針

4-5 交通循環・公共交通施設

環境に配慮した効率の良い交通システムで、多様な経済活動を支援します。

便利な公共交通システムを支援し、民間投資を誘導します。

地域の住みよさを高め、活力のある多様な経済活動を支援するため、効率が良く、様々な選

択肢を提供できる交通システムを目指します。空気汚染、騒音、水質汚染を削減し、交通の便

の良さを維持しつつ、自家用自動車への依存の緩和に努めます。

道路等の維持管理に努め、地域や企業のニーズに応えるため、限りある資源を有効活用する

ことで、町の交通システムの質の向上に努めます。さらに、地域の価値観と合致し、環境にも

配慮したシステムとします。車両、歩行者、自転車にとって移動しやすい道路網を構築する一

方で、通過型の交通量の抑制に努めます。

町に住む人々、町で働く人々にとっていつでも便利な公共交通システムを支援し、長期的な

民間投資を誘導します。既存の交通施設の改善、新規の交通施設の設計を行います。既存の運

行ルート又は新規の運行ルートにおいては、運営の改善、安全性の向上、運行時間の改善を目

指します。

4-6 公共設備・インフラ

官民の連携を構築し、公共インフラ整備とその他の開発事業を結び付けることで、公共投資

を誘発剤として民間投資を促進します。

町の経済開発の目標達成に向け、都市計画における各地区の役割を明確にします。そして、

目標実現に必要なインフラ事業を明確にし、整備計画を策定します。

4-7 民間施設

公共投資を誘発剤として、民間投資を促進します。

雇用機会を創出し、利用者に快適な環境を提供する民間投資を奨励します。

活力ある多様な経済活動を支援し、様々な雇用の機会を町民へ提供できるよう、雇用創出や

住宅開発、活性化に対する投資を奨励します。既存企業に留まってもらう、事業を拡大しても

らう、又は新しい企業を誘致するといった活動に努めます。

様々な産業や商業活動を奨励することで、多様な雇用機会の創出を目指します。その際には、

開発基準の採用や相反するタイプの開発を制限することで、相容れない土地利用を防止します。

商業地区においては、広い歩道や特別な照明などを活用し、利用する人に快適な環境を提供

します。特に、冬の天候への考慮が必要になります。建物の 1 階部分には店舗、飲食店等の商

業施設を奨励するとともに、駐車スペース等で地上部分の商業施設の並びが分断されないよう

に配慮します。

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第 4編 公民連携開発区域の整備方針

33

4-8 建築に関する水準と指針

眺望や景観、建物への連絡の良さに配慮します。

設計審査を通して、町の特色を生かし、創造性に富んだ設計を奨励します。

創造性に富む設計に基づく官民の開発事業を通して、町民の暮らしの質を高め、町の特色を

生かすことを目指します。建築家や設計者の独創力を奨励し、水準の高い設計を求めます。

町の個性、環境、歴史に関わる重要な分野における開発事業案(官民とも)について、設計

審査を実施します。審査では、事業案の詳細と共に事業案全体が町に与える影響も考慮します。

公民連携開発区域の各地区が目指す個性を実現・維持するような設計指針を設定し、設計審査

はその指針に基づいて行うため、開発業者にとって明確な基準となります。

設計過程において町民が参加できる環境を整えます。また、許可される設計を指針の中で明

確にし、町民が望むもの及び町民の懸念を開発業者や設計者と共有します。図を活用し、設計

指針で許可される設計例を分かりやすく解説します。

設計審査を通して、設計指針を満たし、かつ創造的な設計案を推進します。町民の暮らしの

質を重視し、かつ、町の特色を生かした質の高い創造性に富んだ設計であれば、指針と異なる

設計でも、審査において例外的に許可することもあります。

可能であれば、町独特の文化的、地理的な特色を開発の概念に取り入れます。例として、町

を南北に流れる北上川、東側と西側に広がる山並みなどが挙げられます。北上川を連想させる

流線をデザインに取り入れることで、北上川が町の豊かな自然において重要な役割を果たして

いることを発信する良い機会となります。

建物の窓や玄関口、ベランダなどを周辺の目印又は象徴的なものや、商業施設や交差点など、

何らかの動きのあるものへ向けて設計することを奨励します。新しい建物は既存の景観や眺望

を損なわないように設計することとします。建物の高さ制限の他、様々な取り決めによって、

街並み及び景観を保護します。新しい建物の窓やテラスなどの配置によって、新たな眺望を生

み出すことができます。新しい建物は、町の開発基準が認可する範囲内でのみ、眺望を変える

ことができます。

窓やテラスなどを北上川や東根山、公共空間などに向けて設計することで、建物の中に新た

な景色が生まれます。また、歩道からは、ロビーや窓を通して、建物の中の賑わいを感じるこ

とができます。

建物全体の設計をする際には、全ての人々が使いやすいように設計しなければなりません。

エレベーターやエスカレーター、傾斜路など、人の移動を助ける設備を新規の開発における全

体設計構想に適切に取り込む必要があります。

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第 5編 公共施設整備

第5編 公共施設整備

5-1 方向性

本計画は、公民連携手法により、民間の経済開発を誘導することで地域社会に変化をもたら

し、町民の暮らしの質を向上させようとするものです。本編に示す施設整備の方向性は町の一

案となります。これを超える民間事業者の優れた提案が必要と考えています。

ここでは、公民連携開発区域のうち、紫波中央駅前地区の施設整備の方向性を示します。人

が集まる機会を増やし、町民同士が待ち合わせをしたり、交流したりできる場所を創出すると

ともに、賑わいの場としての公共の緑地、広場、街並みの景観を確保し、快適でゆったりとし

た公共空間の整備を目指します。

5-2 公共施設

紫波中央駅前地区では、交流、賑わいの場を創出するとともに、快適でゆっ

たりとした公共空間の整備を目指します。

情報交流機能を備えた図書館を整備し、産業振興など町の将来に寄与し、賑

わいのある情報拠点とします。

役場新庁舎を整備する計画です。位置については、市民参加の手続きなどを

経て決定されます。

紫波町総合計画後期基本計画(平成 18 年 3 月)に基づき、紫波中央駅前地区内に、町民から

の要望が多い図書館と分散する行政機能を集積した役場新庁舎を整備します。公共施設の整備

にあたっては、施設の共用や複合施設としての一体的整備等についても検討します。また、隣

接地には、公共施設を利用する人たちだけでなく、周辺住民を呼び込む賑わいの中心となる新

しい事業者の進出を促します。

(1)図書館(紫波情報交流プラザ(仮称))

図書館は、図書館機能と交流機能で構成され、知識や情報を町民の財産として共有し、未来

へつなぐ役割を果たす賑わいのある情報交流拠点として整備します。図書館は、民間施設との

複合施設としての整備も可能です。複合施設とする場合は、それぞれの施設目的の調和など施

設同士がお互いの魅力を損なうことのないような配慮が必要です。図書館は、「図書館基本構

想・基本計画」及び「紫波情報交流プラザ(仮称)整備計画」に基づき、次の7つの使命を持

つものとします。 ①「たくさんの情報に出会える場」であること。 ②「次代を担う人づくりの場」であること。 ③「まちの歴史・風土・文化に出会える場」であること。 ④「活力あるまちづくりを支援する場」であること。 ⑤「協働の推進に寄与する場」であること。 ⑥「人に出会える場」であること。

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第 5編 公共施設整備

⑦「新しい自分を発見できる場」であること。 施設は、情報交流の核として、駅利用者にも便利なように町有地内の紫波中央駅側に整備し

ます。 (2)役場新庁舎

役場新庁舎については、分散している行政機能を統合することによって、町民の利便性や行

政効率の向上を図ります。また、災害発生時には対策本部となるため、災害に強い施設の整備

を目指します。図書館と同様に、民間施設との複合施設としての整備も可能であり、複合施設

とする場合は施設目的等の調和などに充分な配慮が必要です。新庁舎は、「新庁舎建設基本構想」

に基づき、次の特徴を備えたものとします。

① 町民サービスの向上を目指し、機能性・効率性が高い。

② すべての町民に開かれている。

③ 防災拠点機能を備えている。

④ 町民に親しまれる。

⑤ 環境のまちにふさわしい。

新庁舎の位置については、紫波町全域からの交通の利便性、経済性、効率性、周辺環境など

を考慮し、市民参加の手続き、議会の議決を経て決定されます。

5-3 道路と公共空間

町は、民間と共に街並みに配慮し、道路・下水道などを整備するとともに、

町民の暮らしを活気付けるような環境整備を促進します。

町は、民間と共に街並みに配慮して、道路・下水道・広場などのインフラを整備します。こ

れにより、開発理念を実現するための開発や区域内の歩行者の安全確保、町民の暮らしを活気

付けるような環境整備を促進します。 すでに整備済みのアヴニール紫波では、景観の障害となる電柱を排除し、水道管や下水道管、

ガス管、電線、電話線などのライフラインを、道路(なるべく歩道の下)に収容しています。

紫波中央駅前地区についても、同様の手法で整備を進める方針です。

(1)街並み

街並みの整備には、心地よさや安心感を抱くことができるような配慮が必要

です。

紫波中央駅前地区内の各施設を利用する人たちが、道路やそれを取り囲む建築物群、街路樹

などからなる街並みに、心地よさや安心感を抱くことができるような配慮が必要です。基本的

には、道路幅員と建築物高さの割合は、空間の狭い路地として感じられることのないように配

慮する必要があります。

これとは反対に、建物に囲まれた空間など、人に安心感を与える狭い空間も公共空間として

活用し、広々とした公共空間とのバランスを取りながら、安心して憩い集える場を提供するこ

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第 5編 公共施設整備

とも奨励します。

(2)主要道路

紫波中央駅前地区内の各施設を利用する人たちのために、区域内の連絡の利便性と歩行の安

全性を確保する目的で、地区周辺の町道に接続する主要道路を整備します。主要道路は、区域

内の各施設を沿道に持ち、車と歩行者の分離を図り、安全な空間を形成するものとし、区域内

に途切れることのない快適な歩道網を構築します。具体的には、図 5-1のように、区域を 6ブ

ロックに分割し、各ブロックへ連絡する道路網の整備を考えています。

■図5-1 紫波中央駅前地区ブロック図

ⅣⅠ

 紫波中央駅前地区

 主要道路

 公園・遊歩道

凡   例

紫波中央駅希

望ケ丘線

公園

東線中新田蓬田線

上野沢丸盛線

紫波中央駅前二丁目1号線

平沢大地町線

1号線

2号線

3号線

至志和

サン・ビレッジ紫波

連絡が容易で安全な空間を形成する道路網を整備します。

1 号線は、第Ⅱ・Ⅴブロックを南北に 2 分し、東側の希望ケ丘線から 2 号線と交差して、西

側の上野沢丸盛線に接続する 3 号線までを結ぶ大通りとします。2 号線との交差点は十字交差

とします。

2 号線は、区域を東西に 2 分し、地区北側の中新田蓬田線から南側の紫波中央駅前二丁目 1

号線までを結びます。2号線の北側は、公園東線と道路中心線を合わせた十字交差点とします。

3 号線は、第Ⅴブロック西側に位置し、1号線西端から薬師神社南側及びサン・ビレッジ紫波

北側を通り西側の上野沢丸盛線までを結びます。1号線との交差点はT字交差とします。

また、志和方面から中央駅前地区への流入を改善するために、平沢大地町線から地区西側の

上野沢丸盛線に接続する新設道路を整備します。

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第 5編 公共施設整備

① 道路の規格は、道路構造令に基づき設定します。 ■表5-1 道路諸元 1.道路の位置づけ その他の道路

2.道路区分 4種3級 都市部、町道

計画交通量(台/日):500 以上 4,000 未満

3.設計速度 20 ㎞/h

(特例値)

交差点が近いため、安全性を考慮し、低速走行

に設定する。

4.横断面の構成

① 車線数 2車線

② 車線幅員 3.00m 普通道路

③ 路肩幅員 0.50m

④ 側帯幅員 0.25m 1号線

3.00m 1号線 ⑤ 歩道幅員

2.50m以上 2号線、3号線、上野沢丸盛線南端部

歩行者 2人と車いすが同時にすれ違いできる。

0.75m×2 + 1.00m=2.50m

1号線

■図5-2 主要道路の幅員構成

2号線、3号線、上野沢丸盛線南端部

② 歩道は、高齢者や身体障害者等を含め、誰もが移動の利便性と安全性を享受できるように

バリアフリー化します。

③ 道路、とりわけ歩道の下は、水道管、下水道管、ガス管、電線や電話線などのライフライ

ン等の収容空間とします。

(歩道2.5m) 3.0m 0.5m 0.5m

路肩

12.0m(~6.0m) 車道

3.0m 路肩 (歩道 2.5m)

歩道 3.0m中央帯(公園・遊歩道)

34.0m

歩道 3.0m 車道 6.0m 8.0m

路肩 0.5m 側帯 0.25m

8.0m

側帯 0.25m

車道6.0m

路肩 0.5m

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第 5編 公共施設整備

(3)公園・遊歩道

利用者が寄り道を楽しめる環境、イベントなども可能な空間を提供する公

園・遊歩道を一例として示します。

町の案として、第Ⅱ・Ⅴブロックの1号線に、紫波中央駅入り口から区域中央部をまっすぐ西

に伸びる公園・遊歩道の整備を考えています。この公園・遊歩道は、静と動のバランスがとれ

た居心地のよい空間を構成し、区域内の新たな公共空間と公共及び民間施設を結びます。 この公園・遊歩道は、歩行者に優しい通りとして設計することで、中央駅側の地区と区域西

側との隔たりを埋める役割も担います。設計の一例として、雨をしのいで歩くことが可能な屋

根付の歩道が考えられます。 歩行者の利便性を確保するとともに、利用者がゆったりと寄り道を楽しむことのできる環境

を提供し、イベントなども可能な空間とします。ここは誰もが自由に使える空間とし、利用者

となる町民・民間事業者が管理・運営する仕組みの構築が望まれます。

(4)区画道路

区画道路を整備するときは、周辺施設の機能を配慮し、都市計画法の開発行

為基準を遵守する必要があります。

開発段階において、町が整備する区画道路以外に道路が必要になる場合は、 ① 沿道宅地への進入路 ② 施設等の収容スペース ③ 区画の形成、その規模

に配慮して計画し、区域内に発生又は集中する交通を円滑に集散するとともに、区域内の通過

交通を誘導しないように配慮するものとします。道路の規格については、都市計画法の開発行

為基準を遵守するものとします。 5-4 駐車場

駐車場の配置と台数は、施設の配置と効率性に配慮して決定します。

紫波中央駅前地区内には、紫波中央駅と施設利用者のための駐車スペースが不足しないよう

に駐車場を確保する必要があります。駐車場の位置決定にあたっては、施設の配置に配慮する

とともに、長時間用、短時間用といった駐車時間を考慮し、適切な役割分担と連携を保ちなが

ら、全体として効率的にその機能が発揮されるようにする必要があります。駐輪スペースは自

転車利用者にとって便利な場所に設置し、自転車利用の促進に努めます。また、駐車場の需給

調整により、自動車への依存度を緩やかに引き下げ、環境負荷を軽減することを目指します。

公共施設等の駐車場の収容台数は次のとおりです。

現在、区域内にあるパークアンドライド駐車場(紫波中央駅前駐車場)は有料であり、その

収容台数は 376 台ですが、平成 19 年度の平日1日当たり平均駐車台数は約 240 台となっていま

す。また、サン・ビレッジ紫波(多目的屋内スポーツ施設)の駐車場の収容台数は 63 台です。

整備が計画されている役場新庁舎の駐車場の収容台数は、「新庁舎建設基本構想 資料編」に

よると、庁舎来客用が 100 台、公用車用が 32 台となっています。図書館(紫波情報交流プラザ

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第 5編 公共施設整備

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(仮称))については、基本設計において検討することになっていますが、100 台程度の収容が

必要になると考えられています。

5-5 交通循環

紫波中央駅前地区内の交通は、道路網の整備により新たに発生するものであり、周辺道路へ

の影響が懸念されます。また、公共施設の整備に伴い、この地区はバス、タクシー等の公共交

通の結節点となります。周辺道路網との整合はもとより、区域内の円滑な移動を確保できるよ

う、周辺道路との接続位置や区域内道路の交差位置等について、交通の流れを充分に検討した

上で決定する必要があります。 区域の流入・流出交通の流れは、北側の中新田蓬田線及び東側の希望ケ丘線が主になると考

えられます。現在、希望ケ丘線の紫波中央駅入り口付近については、朝夕の通勤時に渋滞が発

生していることから、希望ケ丘線の接続位置については、とりわけ配慮が必要になると考えま

す。

5-6 公共交通施設

周辺道路網との整合、区域内の円滑な移動を確保できるよう、周辺道路との

接続位置や区域内道路の交差位置等について、交通の流れを充分に検討した

上で決定します。

公共交通の結節点として、バスやタクシーの利用者が安全かつ円滑に乗降で

きるよう、歩道に接続した停留所が必要となります。

紫波中央駅前地区は重要な公共交通の結節点となっていることから、バスやタクシーの利用

者が安全かつ円滑に乗降できるよう、歩道に接続した停留所が必要となります。停留所の設置

位置については、利用者の利便性・安全性、車線の確保、道路線形の円滑性等の観点から、総

合的に判断し決定する必要があります。この公共施設整備に合わせて、町は公共交通機関によ

る移動の利便性向上を図るため、バスの運行経路などの改善を目指します。

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第 6編 経済開発

第6編 経済開発

6-1 経済開発の方向性

経済開発の目的は、様々な雇用の機会を町民に提供するため、民間の投資を

誘導して活性化を図ることです。

経済開発の目的は、「3-3 開発の考え方」の展開により、様々な雇用の機会を町民に提供す

るために、活力ある多様な経済活動を支援し、民間の投資を誘導して活性化を図ることです。

そして、町民の暮らしの質を高めるとともに、経済活動が町全体に波及し、町が自立して持続

的に成長できる仕組みを目指します。 公民連携推進区域は、町の中心市街地として、文化、教育、商業、行政、余暇・交流の中心

としての役割を担い、働く場、暮らす場、遊ぶ場、人と会う場、買い物する場となります。歩

いて楽しく、人々が集う、住みよい中心市街地としての魅力を高めます。

この開発には、紫波町のまちづくりの理念を理解し、この区域での「開発の考え方」に賛同

した上で、「これからの紫波の暮らし」を表現・発信できる民間事業者の参加を望みます。 本編では、町の将来像及び開発の考え方に対し、民間事業者の優れた提案を受けるための経

済開発の方向性を開発対象地区別に示します。

6-2 紫波中央駅前地区

開発にあたっては、本計画に基づき、新しい街をつくる視点が必要です。

中央駅前開発地では、公共施設整備と経済開発の複合開発を行います。 紫波中央駅前地区にある開発町有地(以下「中央駅前開発地」とします。)には、多目的屋内

スポーツ施設サン・ビレッジ紫波、パークアンドライド駐車場が整備されていますが、残りの

土地は未利用となっています。この土地を活用して、町が行う公共施設の整備と、公共施設を

整備しない土地を民間事業者に賃貸又は一部売却して行う経済開発を進めます。 開発にあたっては、第 3 章「公民連携における開発理念」に掲げる町の将来像、開発の考え

方及び方向性並びに各公共施設の整備構想等に基づく民間事業者の提案により、官民が連携し

て進めます。 都市計画マスタープランでは、日詰商店街地区から中央駅前開発地までを市街地形成ゾーン

と位置付けています。中央駅前開発地においては、公益・行政の新たな業務地、住宅地として

の整備を図るとともに、副次的商業核として、鉄道利用者や住民へのサービス機能、文化・余

暇機能を持った民間施設を導入します。さらに、周辺の文教、福祉、保健機能を取り込みなが

ら、回遊型の歩行及び交通ネットワークにより、日詰商店街地区までをつなぐ市街地の形成を

目指します。 中央駅前開発地には、周辺環境との調和を図りながら「開発の考え方に基づいた新しい街を

つくる」という視点が必要です。

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第 6編 経済開発

(1)町民が望む民間施設

町民からは、教育、医療・健康、子育てといった分野の民間施設の要望が多

く出されています。

公害発生施設等の立地は望まないほか、景観への配慮が必要です。

町民からは、中央駅前開発地の民間施設として、教育、医療・健康、子育てといった分野の

要望が多く、自然との調和や景観の保全への関心も高くなっています。一方、周辺に住宅地が

あることから騒音、振動、臭害を発生する施設の立地は望んでいません。また、光害について

も考慮する必要があります。

(2)公共施設と民間施設の複合と調和

公共施設は、民間施設との複合施設とすることができます。 複合施設は、施設目的の調和により相乗効果が期待できる施設とします。

整備予定の公共施設は、民間施設との複合施設とすることができます。公共施設と民間施設

の複合にあたっては、施設目的の調和など施設同士がお互いの魅力を損なうことのないような

配慮が必要です。可能であれば、互いに相乗効果が期待できる組み合わせが望まれます。また、

単独の民間施設についても、全体の街並みとの調和が必要となります。

(3)中央駅前開発地の概要と賃貸(売却)予定土地

中央駅前開発地の賃貸(売却)土地は、およそ 4.5ha の予定です。

中央駅前開発地の概要と民間事業者に賃貸(売却)を予定している土地を次に示します。 ・所 在 ⅰ)紫波中央駅前二丁目 1-1、1-38

ⅱ)紫波中央駅前二丁目 5-1、平沢字上野沢 38-13、308-3

・全体面積 約 112,800 ㎡(ⅰ:107,347.15 ㎡、ⅱ:5,507.53 ㎡)

・造成の状況 ⅰ)住宅供給公社の開発時に発生土による荒造成を行っています。

ⅱ)一部荒造成を行っていますが、旧道の残地を含みます。

なお、場合により地盤調査が必要となります。

・賃貸(売却)土地 所在ⅰ)及びⅱ)のうち、公共施設や道路等の公共空間として使用

しない土地を賃貸又は一部売却する予定です。賃貸等の可能な面積

は、複合施設による整備など民間事業者の提案によって変わります

が、およそ 4.5ha の予定です。なお、一体的に賃貸する場合は、公

共空間部分の面積を含めた賃貸が可能です。

賃貸又は売却する土地の位置は、民間事業者の提案により、町と

民間事業者が協議して決定します。

また、民間事業者から購入の提案があった場合には、提案の内容、

所在その他を総合的に判断し決定します。

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第 6編 経済開発

(4)土地利用

中央駅前開発地は、第 4 編「公民連携開発区域の整備方針」及び第 5 編「公共施設整備」及

び 6-2「紫波中央駅前地区」に基づき土地利用を行います。

①中央駅前開発地の土地利用の方針等

中央駅前開発地は、公益・行政業務地及び副次的商業地としての土地利用

を想定していますが、民間の提案を踏まえて決定します。

中央駅前開発地は、町の玄関口及び中心市街地の一部として、複合的な市街地を形成する

ために、周辺環境との調和に配慮しつつ、公共施設の整備と合わせ、居住、交通結節点、文

化、教育、商業、余暇・交流等の都市機能を盛り込み、低・未利用地の合理的かつ健全な利

用を図ります。ここでは、中心部分を比較的高密度とし、そこから密度が漸次低くなる土地

利用を考えていますが、景観等に配慮し、高密度の建築物も中層までとします。 土地利用にあたっては、この方針に基づきながら、次のような土地利用を想定するととも

に、都市計画用途地域等の見直しを行います。

なお、次に示す施設は一例であり、民間事業者の提案を受けて、開発の考え方、整備方針、

都市計画用途地域及び地区計画などに沿って総合的に判断し決定します。

ⅰ)中央駅前開発地の中央部及び希望ケ丘線沿道の一部は、公益・行政業務地として土地利

用するほか、文化・教育機能、福祉・保健機能、余暇・交流機能の中心となる施設、集合

住宅、鉄道の利用者及び地域住民の日常生活の利便性を向上させる商業施設等の立地誘導

を図るとともに、歩行者空間の整備を図ります。(区域A)

ⅱ)中新田蓬田線及び紫波中央駅前二丁目1号線沿道には、周辺住宅から連続した住宅地の

立地誘導を図ります。中央駅前開発地の中央部から紫波中央駅前二丁目1号線までの一部

には、文教、民間業務地も考えられます。(区域B)

ⅲ)中央駅前開発地内の緑地整備に加え、周辺市街地との間に緩衝空間を整備します。

■図6-1 土地利用計画図

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第 6編 経済開発

②都市計画用途地域の見直し

区域Aは近隣商業とし、地区計画で建築制限を行う予定です。

公共施設以外の施設も建てられるよう用途指定等の見直しを行っています。

用途地域及び地区計画の見直しについては、現在、第二種住居地域である中央駅前開発地

の一部を近隣商業地域に変更し、地区計画による建築制限を表 6-1のとおり変更することを

予定しています。町民との意見交換や民間事業者の提案を踏まえ、詳細を決定していきます。

また、地区計画によって定められている壁面の位置の制限、建築物の形態又は意匠の制限、

垣又は柵の構造制限など建築物等に関する事項については、現在の基準を参考に開発理念に

基づいた基準の設定を考えています。

■表6-1 用途地域の建築物制限の予定

用途地域内の建築制限 対象区域現在

(全区域)変更後

変更後

規制根拠

備 考

住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿 全区域 × ○ -

区域A × ○ - 兼用住宅(非住宅部分 50 ㎡かつ述床面積 1/2 未満)

区域B × × 地区計画

区域A × ○ - 店舗等

区域B × × 地区計画

事務所 全区域 × ○ - 区域Bの一部

区域A × ○ - ホテル、旅館

区域B × × 地区計画

ボーリング場、スケート場、水泳場、ゴルフ練習場、バッティング練習場 全区域 × × 地区計画

区域A × ○ ― カラオケボックス等

区域B × × 地区計画

マ―ジャン屋、パチンコ屋、射的場等 全区域 × × 地区計画

勝馬投票券発売所、場外車券売場等 全区域 × × 地区計画

区域A × ○ - 劇場、映画、演芸場、観覧場

区域B × × 地区計画

遊技場・風俗施設等

キャバレー、ダンスホール等、個室付浴場 全区域 × × 用途地域

劇場、映画館、演芸場、観覧場、店舗、飲食店、展示場、遊技場等の建築物で床面積の合計が 10,000 ㎡を超えるもの

全区域 × × 地区計画

公共施設・病院・学校等 全区域 ▲ ▲ 地区計画 自動車教習場不可

自動車車庫 全区域 ▲ ▲ 地区計画 階数制限等

区域A × ▲ 地区計画 工場・倉庫等

区域B × × 地区計画

商業施設に附帯する醸造施設等(150㎡以下)

畜舎 全区域 × × 地区計画

注1)○は、建てることが可能なもの、×は建てられないものとして規制するもの、▲は一部制限のあるもの。

2)上記のほか、景観・住環境に配慮した設計基準等により規制を行う予定です。

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第 6編 経済開発

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6-3 日詰商店街地区・日詰西地区

(1)拠点施設の立地促進

日詰商店街地区は、町の商業地の中心です。まちなか居住や商業、その他サービスの拠点施

設の立地を促進し、賑わい創出を支援します。

日詰西地区は、日詰商店街地区と中央駅前地区をつなぐ役割を担います。この地区は、将来、

紫波中央駅東口の整備を図り、雇用の場が創出される業務地区にしたいと考えています。回遊

道路で、この地区で働く人たちを日詰商店街地区や中央駅前地区へ誘導するとともに、中央駅

前地区に集まる人たちを日詰商店街地区へ、日詰商店街地区に集まる人たちを中央駅前地区へ

と誘導します。

3 地区それぞれに役割を持たせ、回遊道路で 3 地区をつなぐことにより、活発に活動する町

の中心部を目指します。

(2)既存計画との整合

日詰商店街地区には、まちなか居住や商業、その他サービスの拠点施設の立

地を促進します。

日詰西地区は、紫波中央駅東口の整備を図り、雇用の場が創出される業務地

区として確立したいと考えています。

既存計画との整合を図りながら事業を進めていきます。

日詰商店街地区では、現在、くらしのみちゾーン及び日詰地区まちづくり事業が進められて

おり、この既存計画と整合を図りながら公民連携事業を進めていきます。

(3)区域内の回遊確保

歩行者又は自転車による公民連携推進区域内の回遊に配慮します。 公民連携推進区域内の歩行者又は自転車による快適かつ円滑な移動に配慮します。来訪者が

公民連携推進区域内の駐車場に停車し、そこから区域全体へ歩行又は自転車で移動することが

容易になるよう、回遊道路の交通環境を改善するとともに、ソフト事業も活用しながら各地区

間の歩行移動又は自転車移動を促進します。 (4)公民連携活用町有地の活用

日詰商店街地区の開発町有地の活用については、民間事業者からの提案を受

け付けます。

日詰商店街地区の開発町有地については、まちなか居住や賑わいの中心となる福祉、医療、

商業施設などについて、民間事業者の提案を受け付けます。

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第 7編 公民連携手法の導入

第7編 公民連携手法の導入

7-1 公民連携手法の導入

(1)公民連携手法の導入

本計画の実施にあたっては、VFM、民間事業者の採算性・安定性の確保、

町と民間事業者との適切なリスク分担に留意して公民連携手法を導入します

本計画の実施にあたっては、次の3点に留意して、町有地を活用した公民連携手法9を導入し

ます。

① VFM(Value for Money)10の最大化

② 民間事業者の採算性・安定性の確保 ③ 町と民間事業者との適切なリスク分担 (2)公民連携手法の効果的展開

本計画を効率的・効果的に展開するため、一括してマネジメントを行う必要

があります。基盤整備等には、国の交付金事業の活用を図ります。

本計画を効率的・効果的に展開するためには、計画・設計から工事、事業運営の各段階にお

いて、同一の機関が一括してマネジメントしていくことが必要です。基盤整備及び公共施設の

整備にあたっては、国の交付金事業の活用を図ります。 (3)公民連携手法の実施

詳細な事業手法については、今後、「事業計画(実施方針)」を策定する過程でさらに検討し

ますが、現時点では、未利用町有地の民間施設への賃貸と、公共施設と民間施設の一体的な整

備・運営を行う予定です。なお、運営については、最も効率的・効果的な手法を検討するもの

とします。 今後は、民間事業者の提案に基づき、そのノウハウや創意工夫を最大限に活用していきます。

また、広く町民の意見を聴きながら取り組んでいきます。

9 町有地を活用した公民連携手法:

町有地の一部を民間事業者に賃貸又は売却する。民間事業者が公共施設と民間施設を複合的に整備した後、

公共施設部分を町が借受け(又は買取り)、民間施設部分は民間事業者が所有運営を行う等の事業手法。 10 VFM:バリュー・フォー・マネー(Value for Money)出典:公民連携白書

「支払いに対して最も価値の高いサービスを提供する」ことと定義されている。実務的には、サービスの価

値水準が同一の場合には、民間が実施した場合に要するコストが、官が実施した場合に要するコストを下回

るときVFMがあるとされる。VFMが高いほど、当該事業を民で実施した方が効率的であることを意味す

る。

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第 7編 公民連携手法の導入

7-2 国の交付金等の活用

まちづくり交付金を活用する場合のイメージを示します。 本計画の実施にあたっては、まちづくり交付金など国の交付金事業を活用します。本計画で

まちづくり交付金事業における公共事業と民間事業のイメージを次に示します。なお、これは、

交付金を活用した場合の事業イメージであり、事業者の提案や交付金の制度的課題、他の補助

金を活用する場合など、状況によって実施方法は変わってきます。 まちづくり交付金の場合には、基盤整備工事は、基幹事業として町が事業主体となります。

情報交流プラザ(図書館)は基幹事業及び提案事業として、官民の複合施設を想定しています。

役場庁舎及び民間収益施設については、交付金の対象外であり、民間事業となります。 ■図7-1 交付金事業における公共・民間事業のイメージ

紫波町

公共施設

企業立地研究会

(まちづくり交付金)

公共事業計画

(民間事業グループ)

民間事業計画

民間施設

マネジメント

機関(アドバイザー)

事業マネージメント委託

(グランドデザイン)

空間的全体構想

(道路・上下水道・公園・地中化)

インフラ整備・造成

(民間)

民間施設

(町・民間)

情報交流プラザ

民間事業者募集

(民間)

役場庁舎

交付金

紫波町

公共施設

企業立地研究会

(まちづくり交付金)

公共事業計画

(民間事業グループ)

民間事業計画

民間施設

マネジメント

機関(アドバイザー)

事業マネージメント委託

(グランドデザイン)

空間的全体構想

(道路・上下水道・公園・地中化)

インフラ整備・造成

(民間)

民間施設

(町・民間)

情報交流プラザ

民間事業者募集

(民間)

役場庁舎

交付金

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第 7編 公民連携手法の導入

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7-3 今後の予定

今後の予定は、概ね次のとおりです。この予定は、町民の意向や事業者の参加意欲、市場環

境、交付金事業の採択など、事業の進捗に影響を及ぼす様々な要因により前後するものです。 詳細の日程については、ホームページなどで随時お知らせしていきます。

① 都市計画用途地域及び地区計画の見直し

平成 20 年度~平成 21 年度上期(予定)

② 「事業計画(実施方針)」の策定

平成 20 年度~平成 21 年度上期(予定)

③ 民間事業者の募集・選定

平成 21 年度上期~

④ 設計、土木・建築工事

第 1 期工事 平成 21 年度~平成 26 年度

※ 民間事業は、平成 21 年度から事業着手予定(議会の予算議決、事業者の選定、都市

計画用途の変更等を経てから着手となります。)

※ 公共事業は、平成 21 年度以降において国の交付金事業として採択された後、着手で

きます。

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紫波町公民連携基本計画

-公共施設整備と町有地の有効活用-

平成 21 年 2 月 10 日策定

岩手県紫波町経営支援部企画課

〒028-3392 岩手県紫波郡紫波町日詰字西裏23-1 電話 019-672-2111 E-mail:[email protected]