福祉職場におけるwork engagement - doshisha...福祉職場におけるwork engagement 133...

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131 Graduate School of Policy and Management, Doshisha University あらまし 本研究では職場におけるメンタルへル スの一次予防の観点から台頭してきた Work Engagement仕事に関連するポジティブで充 実した状態に関する先行研究のレビューと福祉施設職員を対象に行った Work Engagement に関する調査研究の結果報告を行うそして福祉施設で働く職員のメンタルへルス向上の ための対策を提案するため施設種別の Work Engagement に対する効果検証と施設種別ご との Work Engagement に対する関連要因の検出 を試みたその結果Work Engagement の高さに施設種 別間の差は認められなかったまた調査対象 者全体における Work Engagement を従属変数と する重回帰分析の結果からも施設種別による 効果が認められなかったただし職業性スト レスや職場内サポート社会的スキル関連の指 標において施設種別間の差が見られ施設種別 により職員の状況に違いがあること所属施設 の種別により Work Engagement に対する関連要 因が異なることが示唆された施設種別ごとにみると保育所で働く職員の Work Engagement には上司からのサポートが 正の影響を与えており高齢者福祉関係施設に おける職員の Work Engagement には年齢務の処理スキル同僚サポートが正の影響を与 えているという結果が示されたそして障害 者福祉関係施設の職員では職業性ストレス が負の影響を関係の構築スキルが正の影響 Work Engagement に与えていることがわかっ 以上の結果を踏まえ本研究における調査対 象者においては第一にWork Engagement 高さそのものには施設種別で差はなかったもの 抱えているストレス状況やサポート資源が 異なっていたため施設種別に応じた課題点 があること第二に施設種別によって Work Engagement への関連要因が異なっていたこと から職場環境に応じたメンタルへルス保持増 進のための対策や教育研修の提案が必要である 可能性が示唆された1.はじめに 我が国の高齢化率は急速に増加しており立社会保障人口問題研究所の日本の将来推 計人口』(2006 12 月推計によれば2013 年には総人口の4人に1人が 65 歳以上の高齢 者で占めるようになると推計されているまた他の年齢層においても社会環境は変化してきて いる例えば総務省の 労働力調査 詳細集計)』 では平成 22 年の非正規労働者は 1700 万人を 超えたと報告されているそして国立社会保 人口問題研究所が5年ごとに統計を示して いる生涯未婚率は男女ともに上昇し続けて おり若年者への労働支援や女性労働者への生 活面に対する支援の強化が重要な課題となって いるさらに厚生労働省の平成 22 年国民 生活基礎調査の集計によると単身世帯は約 1,238 万世帯と示されており家族構造にも変 化が生じていることが窺えるこれらのような 社会構造の変化は個人のライフスタイルや人 間関係のネットワークのあり方にも影響を及ぼ しており従来は家庭内で機能していた保育や 介護のような領域でも福祉サービスの専門職が 次々と誕生しそれらの専門家へのニーズはよ り一層大きくなってきている福祉職場における Work Engagement 施設種別による関連要因の検討井上 裕美粟村 昭子長見まき子

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131Graduate School of Policy and Management, Doshisha University

あらまし

 本研究では、職場におけるメンタルへルスの一次予防の観点から台頭してきたWork Engagement(仕事に関連するポジティブで充実した状態)に関する先行研究のレビューと、福祉施設職員を対象に行ったWork Engagementに関する調査研究の結果報告を行う。そして、福祉施設で働く職員のメンタルへルス向上のための対策を提案するため、施設種別のWork Engagementに対する効果検証と、施設種別ごとのWork Engagementに対する関連要因の検出を試みた。 その結果、Work Engagementの高さに施設種別間の差は認められなかった。また、調査対象者全体におけるWork Engagementを従属変数とする重回帰分析の結果からも、施設種別による効果が認められなかった。ただし、職業性ストレスや職場内サポート、社会的スキル関連の指標において施設種別間の差が見られ、施設種別により職員の状況に違いがあること、所属施設の種別によりWork Engagementに対する関連要因が異なることが示唆された。 施設種別ごとにみると、保育所で働く職員のWork Engagementには、上司からのサポートが正の影響を与えており、高齢者福祉関係施設における職員のWork Engagementには、年齢、業務の処理スキル、同僚サポートが正の影響を与えているという結果が示された。そして、障害者福祉関係施設の職員では、職業性ストレスが負の影響を、関係の構築スキルが正の影響をWork Engagementに与えていることがわかった。 以上の結果を踏まえ、本研究における調査対象者においては、第一に、Work Engagementの

高さそのものには施設種別で差はなかったものの、抱えているストレス状況やサポート資源が異なっていたため、施設種別に応じた課題点があること、第二に、施設種別によってWork Engagementへの関連要因が異なっていたことから、職場環境に応じたメンタルへルス保持増進のための対策や教育研修の提案が必要である可能性が示唆された。

1.はじめに

 我が国の高齢化率は急速に増加しており、国立社会保障・人口問題研究所の『日本の将来推計人口』(2006年 12月推計)によれば、2013年には総人口の4人に1人が 65歳以上の高齢者で占めるようになると推計されている。また、他の年齢層においても社会環境は変化してきている。例えば、総務省の『労働力調査(詳細集計)』では、平成 22年の非正規労働者は 1700万人を超えたと報告されている。そして、国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに統計を示している『生涯未婚率』は男女ともに上昇し続けており、若年者への労働支援や女性労働者への生活面に対する支援の強化が重要な課題となっている。さらに、厚生労働省の『平成 22年国民生活基礎調査』の集計によると、単身世帯は約1,238万世帯と示されており、家族構造にも変化が生じていることが窺える。これらのような社会構造の変化は、個人のライフスタイルや人間関係のネットワークのあり方にも影響を及ぼしており、従来は家庭内で機能していた保育や介護のような領域でも福祉サービスの専門職が次々と誕生し、それらの専門家へのニーズはより一層大きくなってきている。

福祉職場におけるWork Engagement―施設種別による関連要因の検討―

井上 裕美・粟村 昭子・長見まき子

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 一方、福祉職場の従事者は施設管理や職員のメンタルヘルス対策への取り組みが問題となっている。労働政策研究・研修機構(2011)による「職場におけるメンタルヘルスケア対策に関する調査」の結果報告によると、メンタル不調者のいる割合が最も高い産業に「医療・福祉(76.6%)」が挙げられている。その一方で、産業別メンタルヘルスケアの取り組みの有無に関する回答では、「取り組んでいる」と回答しているのは「医療・福祉(43.8%)」と半数に満たない。実施率としては、他産業に比べて著しく低いわけではないが、メンタル不調者の割合からみると、その対策が追い付いていないことが窺える。その理由として、例えば田尾(1995)では、福祉職場を含むヒューマン・サービス組織においては、一人の利用者を対象に多くの専門家が関わっており、さらに利用者の家族を含む周囲の人々がサービスを行っているという理由から、それぞれの役割に線引きをすることが難しいという特徴があるとされている。この指摘からは、利用者のニーズや安全への配慮に対応する立場にあるはずの職員にとっても、自らの役割に線引きをすることが難しいため、際限のないニーズに対応することになり、結果的に心身の健康維持に課題が生じてくる可能性は十分にあると推察できる。このような現状を打開し、福祉サービスの送り手である立場の者が心身ともに健康状態を維持していくことは、サービスの受け手である利用者の安全性を守るため、そして双方の良好な関係性を目指す上でも重要である。 そこで本研究では、労働者のメンタルヘルス保持増進と、バーンアウト予防の観点から台頭してきたWork Engagementに関する先行研究のレビューを踏まえて、福祉職場におけるWork Engagementの促進に関連がある要因を施設種別毎に整理し、取り組みに必要な点を検討する。

2.Work Engagement とは

 従来の産業保健心理学の領域では、心理的ストレス反応などの概念を扱い、ネガティブな要因の除去が目的とされてきた。しかし近年では、ネガティブな要因の除去をもって健康であると結論付けるアプローチに対する疑義が示される

ようになってきている(Schaufeli et al., 2001; Bakker et al., 2008)。そのような中、WHOが健康を「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病または病弱の存在しないことではない」と定義しているように、ポジティブな側面にも焦点を当てていくことの必要性が着目されている。また、「ポジティブ心理学」の流れを汲んで研究者たちも、ストレス要因などのネガティブな面への関心に代わり、近年では労働者におけるWell-beingというポジティブな面に関心を広げている。ヒューマン・サービス職を中心に検討されてきたバーンアウトもまた、他の専門職や産業領域に研究が広められた後、その関心はバーンアウトの反対方向である仕事へのエンゲイジメントに移行してきている(Schaufeli et al., 2001)。このように、Work Engagement(以下WE)は、バーンアウト研究を基に 2000年前後から、バーンアウトと対峙した就業態度を表わす概念として、Schaufeli et al. を中心に検討されてきた。 WEは、仕事に関連するポジティブで充実した状態であり、「活力」「献身」「没頭」の下位概念によって特徴づけられる。はじめに「活力」とは、仕事中に保たれる高いエネルギーレベルと心理的な回復力、努力をいとわない職業態度、粘り強さなどで表すことのできる状態であり、バーンアウトの下位概念である「消耗感」の対概念として位置づけられている。次に「献身」は、仕事への強い関与・熱中・誇り・挑戦などで表すことのできる状態であり「脱人格化」の対の概念である。最後に「没頭」は、仕事中の幸福感・時間経過の早さ、仕事へのとらわれなどで表すことのできる状態を指す。この状態は特定の目標・出来事・個人・行動に向けられた一時的な状態ではなく、仕事全般に向けられた持続的な感情―認知の状態であると定義されている(Schaufeli et al., 2001)。また、Schaufeli et al. (2003)では、WE高得点者に構造化面接を行い①組織にコミットしていること、②バーンアウトのネガティブな疲労感とは異なる心地よい疲労感があること、③ワーカホリックとは異なり、生活全般を楽しんでいるという特徴などが確認されている。 WE研究の方向性としては、WEを高めている環境資源と個人資源という双方からの検討や、WEを促進していくための介入研究の必要

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性、WEの短期的・長期的な健康や生産性の向上への効果を測定していくことの必要性が指摘されている(Bakker et al., 2008)。

3.Work Engagement と関連要因

 WEに関する先行研究では、教員や企業労働者、看護師などを対象に実証研究が行われ、環境資源と個人資源の側面からWEとの関連要因が明らかにされてきている。また、ワーカホリズムやバーンアウトとの関連から、精神的に健康でWell-beingの状態を示す概念として、メンタルへルス対策における一次予防への取り組みという観点から着目されている。

3. 1 環境資源

 環境資源とWEの関連は、職業性ストレスモデルの枠組みから実証研究がいくつか報告されている。まず、Hakanen,Bakker&Schaufeli(2006)の教員を対象とした調査では、仕事の要求(仕事量の負荷、生徒の不正行為、物理的環境の乏しさ)は、バーンアウトを媒介してWEに負の影響を与えていること。また、仕事の資源(裁量権、情報へのアクセス、上司サポート、革新的風土、社会的風土)は、WEに正の影響を与え、結果的に組織へのコミットメントを高めるという結果が報告されている。そして、Hallberg&Schaufeli(2006)の企業従業員(IT)を対象としたWEに関する調査研究の中では、自律性と業務遂行のフィードバックとは正の関連が、役割葛藤と離職意志とは負の関連が認められている。三好・井上(2008)による IT企業の従業員を対象とした調査研究では、努力 -報酬不均衡モデルによる職業性ストレスが用いられており、外在的な報酬(ERI報酬)との間に正の関連が認められている。とりわけ男性には、金銭地位的な報酬とWEに正の関連が見られたことに対し、女性は安定性報酬の方がWEの高さに影響していたという結果が示されている。 その他にも、 質的ストレッサが低い人はWEが高く、また周囲からのサポートを高く自覚しているという調査結果が報告されている(鈴木・小杉、2006;設楽・新井、2009)。

3. 2 個人資源

 個人資源の側面からは、まず、ファストフード店の従業員を対象とするWE促進の介入研究の中で、自尊心、楽観性がWEを高める要因となっていることが示唆されている(Xanthopoulou,Bakker,Demerouti&Schaufeli,2009)。また、Simbula,Guglielmi&Schaufeli(2011)の教員を対象とした調査研究では、自己効力感がWEを促進することが縦断的研究により報告されている。さらに、これらの個人資源はいずれの研究においても、職場内サポートや研修の機会といった職場で得られる資源と相乗的に作用するものと論じられている(Xanthopoulou,Bakker, Demerouti&Schaufeli,2009;Simbula,Guglielmi &Schaufeli, 2011)。また、松本ら(2010)では、大学病院勤務看護師のWEに影響を及ぼす個人要因の検討を行っており、年齢が高い世代ほどWEも高く、未婚者よりも既婚者が、交代勤務よりも日勤の者がWEは高いことが報告されている。 その他にも、鈴木・小杉(2006)による製造業の従業員を対象としたWEと職業性ストレスの調査研究において、WEの高い人は、問題解決コーピングを採択しやすく、ストレス反応が弱いという結果や、設楽・新井(2009)では、対人ストレス過程との関連から、WEの高い人は、他者との間に起きた問題に対し積極的なコーピングを取る傾向があるなど、有効なコーピングスキルを採択する傾向にあることが示唆されている。

3. 3 Work Engagement と精神的健康

 Hallberg&Schaufeli(2006)の調査研究の中では、WEと精神的健康度との関連を分析しており、WEは情緒的消耗感、シニシズム、抑うつ感、身体症状、睡眠障害とは負の関連があり、バーンアウトと対峙する概念であることを示唆している。 また、WEがもたらす結果を予測するモデルを検討している、Shimazu & Schaufeli(2009)では、企業従業員を対象に共分散構造分析を用いてWEとワーカホリズムの違いが検討されている。そこでは、WEには心身の不健康とは負の、生活満足感、業務のパフォーマンスと

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は正の関連が見られるが、ワーカホリズムには心身の不健康とは正の、生活満足感と業務のパフォーマンスとは負の関連が示されている。この結果からは、WEはワーカホリズムとは異なる、労働者のWell-beingの状態を表す概念であることが確認されている。

3. 4  職 種 お よ び 職 場 環 境 と Work Engagement

 小杉ら(2006)は、Schaufeli et al. により提唱された「(WEは)“働くこと” 全般に関するポジティブで充実した持続的な感情と認知であり、仕事の種類を問わず、あらゆる仕事に向けられるもの」とされている非特異性に対し疑義を唱え、企業従業員(研究開発職)と看護師を対象に、WEと量的ストレッサ(業務量過多、時間的切迫)、ならびに質的ストレッサ(役割不明瞭、裁量権不足)との関係を検討している。その結果、両群ともに質的ストレッサとは強い相関関係があり、量的ストレッサにおいて、研究開発職では正の、看護職では負の関係にあることが示された。そして、この結果を踏まえてWEに影響している要因には業務内容に関わる特異性や方向性が存在することが示唆されている。さらに重要な観点として、WEの職場環境による違いがある。従来のWEは、個人差で論じられることが多く、職場組織や構成員の役割はあまり着目されてこなかった(Bakker et.al., 2008)。しかし、近年WEと職場組織に関する実証研究がされてきている。例えば、Sulea et.al.(2012)では、誠実さや理解がある組織のサポートを受けている従業員のWEは高く、結果として従業員が組織に寄与する行動が増えると示されている。また、Torrente,Salanova,Llorens&Schaufeli(2012)では、従業員の社会的資源を充実させることがチームのWEを促進し、生産性の向上に繋がるという研究が報告されている。 これらの報告からは、WEを促進する要因にも所属している組織の特徴や形態による違いがあることが推測できる。

3. 5 福祉施設におけるメンタルへルス状況

3. 5. 1 保育所

 近年の保育施策を取り巻く状況は大きく変動している。夫婦共働き家庭が一般化し、女性労働の質的量的な増大、勤務形態の変化(勤務時間や職種の多様化、通勤距離の遠距離化など)を背景に、保育施設へのニーズは多様化してきている。このような保育ニーズの多様化に応えるため、保育所では、延長保育、休日保育、一時預かりといった特別保育事業や、2010年時点で 2万 6,275人存在する入所待機児童を解消すべく、受け入れ拡充への動きが展開されている(厚生労働統計協会、2011)。 保育所における職員のメンタルへルスに関する先行研究では、職場環境におけるストレッサとストレス反応やバーンアウト、抑うつといった指標との関連が報告されている(磯野ら、2008;赤田、2010;宮下、2010;池田・大川、2012)。例えば、赤田(2010)では保育士のストレス評定尺度の作成過程において、子どもへの対応や理解に困難を感じることから生じるストレスや、職場組織内での人間関係のストレス、入所児童の保護者対応によるストレスなどが保育士特有のストレッサとして抽出されている。特に、職場内での人間関係の影響は、磯野ら(2008)や宮下(2010)の研究でも同様に指摘されており、職場の人間関係に問題を感じている職員は情緒的消耗感や抑うつを感じやすい傾向があるという結果が報告されている。また、池田・大川(2012)では、同僚や上司との不調和が保育士としての力量不足感を媒介して、バーンアウトを高め、職務における効力感を低下させていることを示している。このように、保育所におけるメンタルへルスには、職場内でも人間関係というストレッサがネガティブな影響力をもっていることが報告されてきているが、先述したように保育所へのニーズが多様化してきている中で、保育士のストレッサを単に除去するのではなく、働きやすい保育所の有り方を検討することでストレッサを乗り越える資源を見出す必要があると考えられる。

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3. 5. 2 高齢者福祉関係施設

 急速な人口の高齢化に伴い、高齢者福祉分野におけるサービスの整備充実は重要視されている。従来から高齢者福祉施設の職員には、不規則勤務や長時間労働の問題、非常勤職員の割合の増加、入職率ならびに離職率の高さによる人員入れ替わりの多さ、給与の水準が全労働者の平均に比して低いといった労働環境の問題がある(日本産業衛生保健学会、2007;宮崎、2008;介護労働安定センター、2011)。とりわけ介護職員は、その職務内容からもメンタルヘルスの不調が懸念されており、介護労働安定センターにより 2005年に実施された「介護労働者のストレスに関する調査」では、85%以上の介護職員が職場や仕事においてストレスを強く感じていることが報告されている。具体的には、「夜勤時に何か起こるのではないかという不安がある」と答えた者が8割を超えており、人員不足などによる勤務体制の見直しが重要視されている。その一方で、対策としては「介護能力の向上に向けた研修」、「事故やトラブルへの対応体制(の整備)」、「勤務体制の決定の際に職員の要望を聞く」などのような雇用管理面への対応が有効と答えた職員が9割を超えている。しかし、希望しているような対応が「十分に行われている」と回答した者は、5割に満たない現状が示されている。そのため、介護従事者の人材確保や処遇改善は大きな課題となっている。2009年度には、介護従事者の給与引き上げを図るため、介護職員処遇改善交付金が補正予算に盛り込まれ、2010年度以降においては、介護従事者のキャリア・パスに関する要件を加え、要件を満たさない事業所には交付率を減額するといった施策が取られている(厚生労働統計協会、2011)。このように高齢者福祉関係施設では、政府や事業所による改善の取り組みが始められたばかりの段階にあり、その労働環境は変動の最中にあると推察される。

3. 5. 3 障害者福祉関係施設

 障害者福祉関係施設では、2006年施行の障害者自立支援法に基づき、サービス内容が大きく変化した経緯がある。例えば、従来は障害の種類により異なっていた各種福祉サービスが一

元化され、障害の種類を超えてサービスが提供できるようになり、施設におけるサービス体系が再編された。具体的には、日中活動事業と居住支援事業に分けられ、施設に入所していても、日中に受けるサービス内容が選択できるようになった。また、運営主体の規制緩和や、障害者の就労支援の強化など、雇用などの分野と連携して障害者福祉が考慮されるようになってきている(厚生労働統計、2011)。 そのような施策の変化の一方で、利用者への関わりとしてはやはり障害の特性によって配慮しなければならない点があるため、障害者施設の職員は仕事に対して「質的困難さ」を抱えていることが懸念される。森本(2006)では、障害者支援施設の職員が体験する職場ストレッサとして、「職場の人間関係」、「利用者・家族との関係」、「職務量の多さ・職務の質的困難さ」の3因子を抽出してさらに、障害者支援施設では、「職務量の多さ・職務の質的困難さ」が中心となっているが、これらは仕事の方法や目標のコントロール度を上げることにより職務満足度の低下が緩和されることを示している。また、長谷部・中村(2009)では、「組織の運営管理」、「職員間の関係」、「制度・システム」といったストレッサが、バーンアウトに正の影響を及ぼしていることが示されている。これらの報告からは、サービスの一元化といった様々な制度・システム上の変化が、一人ひとりの障害者に合ったサービス計画を考え提供する支援業務の質的困難さと相まって、職場ストレッサを生み出している状況にあることが推察される。

4. 福祉職場のWork Engagement に関する調査報告

4. 1 目的

 上述したようにWEに関する研究は、教員、企業労働者や看護師などを対象にメンタルへルス対策の一次予防に貢献するものとして進められてきている。しかし近年、重要な役割を担っている福祉サービスの従事者を対象としたものは、バーンアウトやストレスに関する研究が進められてきたものの、メンタル不調の予防的な対策に有用と言われているWEに関する研究

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は十分に蓄積されていない。 以上のような課題を受けて、本調査は福祉職場のメンタルへルス対策を予防的観点から検討するため、WEに着目した調査内容を構成し、実施した。また、その対策を検討する際に考慮しなければならないのは、福祉職場では、支援を提供するサービスの対象によって制度・システム、労働環境や職員が体験するストレッサが異なる可能性があるという点である。 そこで本研究では、福祉職場におけるWEの関連要因を検出し、「保育所」「高齢者福祉関係施設」「障害者福祉関係施設」という施設種別ごとに職員のメンタルへルス保持増進のために検討すべき課題を考察する。

4. 2 調査概要

調査期間:2010年2月上旬~3月上旬にかけて調査を実施した。調査対象者:福祉施設(A保育所、B特別養護老人ホーム、C障害者支援施設、D福祉事業団、E高齢者総合保健施設)の職員 575名を対象に調査を実施し、376名から回答が得られた(回収率 65.4%)。なお、施設ごとの回収率は、A保育所では 16名に配布し 16名回収(100%);B特別養護老人ホームでは 60名に配布し 54名回収(90%);C障害者支援施設では、35名に配布し 32名回収(91.4%);D福祉事業団(総務課、給食センター、知的障害児施設、障害者支援施設、特別養護老人ホーム)では 374名に配布し 220名回収(58.8%);E高齢者総合保健施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、ケアハウス)では 90名に配布し 54名回収(60%)であった。なお、D福祉事業団と、E高齢者総合保健施設に関しては、管理者を通して各施設の職員へ調査票を配布したため、個別の施設における回収率の内訳は不明である。手続き:個別自記入形式の質問紙による調査を行った。質問紙の配布と回収は、所属機関の担当者を通じて行った。倫理的配慮:質問紙調査の実施にあたり、関西福祉科学大学の研究倫理会審査を受けている。また、調査協力者には調査開始時に文書で調査目的、個人情報の取り扱いについて説明し、協力の合意を得た。記入後の調査票は、無記名で厳封にて回収するよう、施設の担当者に依頼し、

プライバシーの保護に配慮した。解析対象:調査項目の3分の1以上回答が抜けているものは無効回答とした。なお、給食センター職員や事務職員、所属の施設種別が不明である者は今回の解析対象からは除外した。最終的な解析対象者数は、345名であり、性別の内訳は、男性 150名、女性 195名であった。全体の平均年齢は 37.95歳(SD= 11.28)、性別にみると男性 36.4歳(SD= 10.6)、女性 39.1歳(SD= 11.7)であった。回答漏れのデータに関しては、欠損値として指定し、集計・解析を行った。調査内容:測定項目は個人属性に加え、先行研究を参考に、環境要因の測定指標である ERI調査票と職場用ソーシャルサポート尺度、個人資源を測る社会的スキル尺度(KiSS-18)を採用した。以下に質問紙の構成と、各尺度の概要を示す。

(1)Work Engagement Schaufeli et al. (2003)により作成されたUtrecht Work Engagement Scale(UWES)の短縮版を使用した。短縮版 UWES (Schaufeli et al., 2006)は、9項目から成り「活力」「献身」「没頭」の3つの下位尺度から構成されている。回答は、「いつも感じる 毎日」「とてもよく感じる 一週間に数回」「よく感じる 一週間に1回」「時々感じる 一ヶ月に数回」「めったに感じない 1ヶ月に1回以下」「ほとんど感じない 1年に数回以下」「全く感じない 全くない」の7件法で求め、得点が高いほどWEが高いものとして評価されるものである。なお、

質問紙の構成・性別・年齢・婚姻状況・実務経験年数・当該立場の経験年数・職種・所属施設の形態・転職経験の有無・交代勤務・短縮版 UWES(Work Engagement)・ERI調査票(努力-報酬不均衡モデル)・職場用ソーシャルサポート尺度・Kiss-18(社会的スキル)

表1 調査内容

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短縮版 UWES は Shimazu et al. (2008)により我が国の労働者を対象として1因子構造となることが確認されている。

(2)職業性ストレス 堤(2007)の ERI(努力―報酬不均衡モデル職業性ストレス)調査票を使用した。努力―報酬不均衡モデルは、Siegristにより提唱された職業性ストレスを評価する理論的モデルを基にしている。質問項目は、第一に職業生活における仕事の要求度、責任、負担を測定する「努力」と、経済的な報酬(金銭)、心理的な報酬(セルフ・エスティーム)およびキャリアに関する報酬(仕事の安定性や昇進)を測定する「報酬」の二つの軸のバランスを基に慢性的なストレス状況を把握する。ストレス状況は、「あてはまらない」から「あてはまっており、非常に悩んでいる」までの5件法により求めた。努力と報酬に関する項目をそれぞれ合計し、高得点高努力、高得点高報酬とする。努力と報酬の比を求め、費やす努力とそこから得られるべき報酬とが釣り合わない「高努力/低報酬状態」がストレスフルとなる。第二に、仕事に過度に傾注する個人の態度や行動パターンを「オーバーコミットメント」と捉え、危険な個人要因として測定する尺度がある。採点方法は「全く違う」から「全くその通りだ」の4件法で求めた。

(3)ソーシャルサポート 小牧・田中(1993)の 15項目からなる職場用ソーシャルサポート尺度を使用した。本尺度は、個人が職場内で得られていると自覚しているサポートの高さを測定するものである。サポートの内容は、道具的サポートと情緒的サポートの両方を含んでいる。質問項目は、「上司」「先輩」「同僚」それぞれについて職場のサポートについて求めるところを、「上司」「同僚」「部下」に変更して回答を求めた。サポート源別の合計点が用いられる。回答は、「よくあてはまる」から「全くあてはまらない」に「該当者なし」を加えた6件法により求めた。

(4)社会的スキル 菊池(2007)の 18項目から成る Kikuchi's Scale of Social Skills : 18 items(KiSS-18)を使用した。質問項目は、「会話を始める」「和解す

る」などの具体的な行動が組み合わさった質問から構成されている。先行研究では、大学生を対象とし「問題解決のスキル」「トラブル処理のスキル」「コミュニケーションのスキル」の3因子が仮定されている。

統計解析:Work Engagement、職業性ストレス、職場内サポートを測る尺度に関しては、労働者を対象として開発され使用されてきた尺度であるが、社会的スキルを測る KiSS-18においては、大学生を対象に作成されたものであるため、はじめに今回の調査で得られた結果において因子分析により尺度の因子構造の検討を行った。 次に、施設種別にどのような違いがあるかを調べるために、各尺度における「保育所」、「高齢者福祉関係施設」、「障害者福祉関係施設」間の差を一元配置の分散分析によって検定した。そして、WEに影響を与えている要因、ならびに施設種別の効果を検討するため、「保育所」、「高齢者福祉関係施設」、「障害者福祉関係施設」を独立変数、WEを従属変数とする重回帰分析を行った。 最後に、「保育所」「高齢者福祉関係施設」「障害者福祉関係施設」における職員のWEに影響を与えている要因を検討するために、施設種別ごとにWEを従属変数とする重回帰分析を行った。

4. 3 調査結果

4. 3. 1  社会的スキル尺度(KiSS-18)の検討

 各項目の得点において天井効果、フロア効果がみられる項目はなかったため、調査に用いた18項目について因子分析(最尤法、プロマックス回転)を行った。固有値の推移により3因子構造であると解釈し、1つの因子に対して .40以上の因子負荷量を持つこと、複数の因子に対して .35以上の因子負荷量を持たないことを基準に項目を選択した。また、尺度の信頼性について Cronbachのα係数による内的整合性の検討を行った。最終的な因子パターンと因子間相関、および Cronbachのα係数を表2に示す。 分析の結果、第1因子は業務上必要とされるスキルに関する内容の項目が高い負荷量を示し

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ていることから、「業務の処理」因子と命名した。第2因子は、対人関係や仕事でのトラブルといった葛藤状態に陥った時に問題を処理するスキルに関する内容が高い負荷量を示していることから、「葛藤の処理」因子と命名した。第3因子は、対人関係の構築に必要なスキルに関する内容が高い負荷量を示していることから、「関係の構築」因子と命名した。なお、2、3、

17の3項目に関しては .40以上の因子負荷量が認められなかったため、削除項目とした。 KiSS-18の各因子のα係数は、「業務の処理」が .825、「葛藤の処理」が .864、「関係の構築」が .822と十分な値を有しており、本調査対象者においても尺度の内的整合性が確認された。

4. 3. 2  調査回答者の個人属性と各変数の記述統計

 福祉職場における調査回答者の個人属性の内訳を表3に、福祉職場の職員における各変数の記述統計量(平均、SD)と施設種別間の分散分析結果を表4にそれぞれ示す。 今回の調査対象となった施設では、保育所の職員は女性の割合が多く、高齢者と障害者福祉関係施設の男女比は概ね同程度であった。また、いずれの施設も非常勤、パートの割合は少ないことが窺える。職種の内訳からは、保育所では保育士、高齢者福祉関係施設では介護士、障害者福祉関係施設では相談・支援・指導員の割合が多いという結果が得られた。 本調査の対象者において、保育所の職員は、他の施設職員に比べて職業性ストレス(ERI比)

因子負荷量項目 F1 F2 F3 α

第1因子「業務の処理」12.仕事の上で、どこに問題があるかすぐに見つけることができますか。9.仕事をるつときに、何をどうやったらよいか決められますか。

18.仕事の目標を立てるのに、あまり困難を感じないほうですか。14.あちこちから矛盾した話が伝わってきても、上手く処理できますか。13.自分の感情や気持ちを、素直に表現できますか。16.何か失敗したときに、すぐに謝ることができますか。

.827

.729

.648

.527

.485

.439

.025

.057-.060.300

-.071-.035

-.122-.115.140

-.055.312.113

.825

第2因子「葛藤の処理」6.まわりの人たちとの間でトラブルが起きても、それを上手に処理できますか。7.こわさや恐ろしさを感じたときに、それを上手く処理できますか。4.相手が怒っているときに、うまくなだめることができますか。8.気まずい事があった相手と、上手に和解できますか。

11.相手から非難されたときにも、それを上手く片づけることができますか。

-.069.103

-.049.067.287

.805

.739

.690

.609

.480

.104-.074.113.061.028

.864

第3因子「関係の構築」5.知らない人とでも、すぐに会話が始められますか。1.他人と話していて、あまり会話が途切れないほうですか。

15.初対面の人に、自己紹介が上手にできますか。10.他人が話しているところに、気軽に参加できますか。

-.220.040.288.141

.156-.003-.077.120

.850

.633

.603

.537

.822

削除項目2.他人にやってもらいたいことを、上手く指示することができますか。3.他人を助けることを、上手にやれますか。

17.まわりの人たちが自分とは違う考えをもっていても、上手くやっていけますか。

.386

.393

.331

.074

.220

.242

.259

.126

.025

因子間相関 F1F2F3

― .730―

.684

.719―

表2 KiSS-18 尺度の因子負荷量と信頼性係数

福祉職場におけるWork Engagement 139

が低く( F(2,274)= 7.52、p< .01)、比較的上司からのサポートを受けやすい環境にあることが窺える( F(2,289)= 7.81、p< .001)。一方、高齢者福祉関係施設では他施設と比べて職業性ストレスが高く、上司からのサポートが受けにくい環境にあるという結果が示された。障害者福祉関係施設の職員は、保育所よりも職業性とレスが高く、上司からのサポートが低いという高齢者福祉関係施設の職員と類似した状況にあることが窺えるが、多重比較の結果によると高齢者福祉関係施設よりも、職業性ストレスが低く( p< .05)、業務の処理スキルも低いことが

窺える(F(2,294)= 3.77、p < .05)。

4. 3. 3  所 属 施 設 種 別 に よ る Work Engagement への効果検証

 WEに影響を与えている要因として施設種別の効果を検討するため、交絡変数を考慮した上で、「保育所」、「高齢者福祉関係施設」、「障害者福祉関係施設」、個人属性(年齢、性別、婚姻状況、勤務形態)と、職業性ストレス(ERI比)、上司サポート、同僚サポート、社会的スキル(業務の処理、葛藤の処理、関係の構築)を独立変数、

保育所N= 15

高齢者福祉関係施設N= 166

障害者福祉関係施設N= 117

度数 (%) 度数 (%) 度数 (%)施設内訳   保育所 15 100.00 ― ―   特別養護老人ホーム ― 149 89.76 ―   介護老人保健施設 ― 14 8.43 ―   ケアハウス ― 3 1.81 ―   障害者支援施設 ― ― 101 86.32   知的障害児施設 ― ― 16 13.68性別   男性 2 13.33 73 43.98 48 41.03   女性 13 86.67 92 55.42 69 58.97婚姻状況   既婚 10 66.67 80 48.19 57 48.72   未婚 5 33.33 67 40.36 49 41.88   離婚・死別 0 18 10.84 11 9.40勤務形態   正職員 10 66.70 114 68.67 65 55.56   常勤(正職員以外) 0 0.00 25 15.06 33 28.21   非常勤 1 6.70 7 4.22 1 0.85   パート 4 26.70 19 11.45 15 12.82職種   介護職 0 0.00 119 71.69 14 11.97   相談・支援・指導員 0 0.00 8 4.82 79 67.52   介護支援専門員 0 0.00 7 4.22 3 2.56   ホームヘルパー 0 0.00 5 3.01 0 0.00   保育士 14 93.33 0 0.00 7 5.98   看護職 0 0.00 14 8.43 2 1.71   セラピスト(PT/OT/ST) 0 0.00 2 1.20 0 0.00   施設長 0 0.00 1 0.60 2 1.71   管理者 1 6.67 4 2.41 3 2.56   その他 0 0.00 6 3.61 7 5.98

表3 各施設における調査回答者の個人属性

注:無回答を除いて集計

井上 裕美・粟村 昭子・長見まき子140

UWES得点を従属変数とするステップワイズによる重回帰分析を行った。なお、「保育所」、「障害者福祉関係施設」、性別、婚姻状況、勤務形態にはダミー変数を割り当て、投入した。また、基準カテゴリーとして「高齢者福祉関係施設」のダミー変数は回帰式より除外した。その結果、本研究の調査対象者においては、WEに対してERI比(高得点高ストレス)が負の影響を、年齢、同僚サポート、業務の処理スキルは正の影響を与えていることが示された(表5)。

4. 3. 4  施設種別のWork Engagementの関連要因

 「保育所」、「高齢者福祉関係施設」、「障害者福祉関係施設」それぞれにおいてWEに影響を与えている要因を検討するため、UWES得点を従属変数とするステップワイズの重回帰分析を行った。独立変数には、年齢、性別、婚姻状況、勤務形態、ERI比(高得点・高ストレス)、上司サポート、同僚サポート、業務の処理、葛藤の処理、関係の構築を採択した。

 その結果、保育所で働く職員のWEには、上司からのサポートが大きく正の影響を与えているという結果が得られた(表6)。また、高齢者福祉関係施設における職員のWEには、年齢、業務の処理(スキル)、同僚サポートが正の影響を与えているという結果が示された(表7)。そして、障害者福祉関係施設の職員では、ERI比が負の影響を、関係の構築(スキル)が正の影響をWEに与えていることがわかった(表8)。

5.考察

 はじめに、社会的スキルの尺度である KiSS-18尺度の妥当性と信頼性を検討した。その結果、大学生を対象とした菊池(2007)の「問題解決」「トラブルの処理」「コミュニケーション」の3因子とは、いくつか異なるところもあったが、概ね同様の因子構造が得られた。まず、先行研究の第一因子である「問題解決」では、「仕事の上で、どこに問題があるかすぐに見つける

保育所 高齢者福祉関係施設 障害者福祉関係施設 分散分析N 平均 SD N 平均 SD N 平均 SD F値 p 多重比較

年齢 15 33.73 11.10 166 37.06 10.77 117 37.69 11.63 .85 n.s. ―実務経験年数 15 11.40 10.05 164 9.50 8.12 117 10.66 8.74 .84 n.s. ―当該立場の経験年数 14 5.86 4.96 156 4.84 5.34 112 6.28 6.05 2.17 n.s. ―UWES得点 15 31.33 14.52 166 26.24 12.71 116 27.01 10.79 1.25 n.s. ―職業性ストレス

   ERI努力 14 11.71 3.54 157 16.94 5.54 103 15.47 4.64 7.98 ***保育<障害者;高齢者障害者<高齢者

   ERI報酬 15 47.07 5.68 160 41.30 7.99 107 44.57 7.95 7.80 **高齢者<保育高齢者<障害者

   ERI 比 15 .47 0.18 157 .79 0.37 103 .68 0.35 7.52 **保育<障害者;高齢者障害者<高齢者

   OC得点 14 14.86 2.85 155 14.26 3.30 116 13.94 3.77 .58 n.s. ―

上司サポート得点 15 58.27 10.51 165 44.76 15.47 112 49.53 14.24 7.81 ***高齢者<保育:障害者障害者<保育

同僚サポート得点 15 60.27 10.42 157 52.96 11.22 112 54.19 11.77 2.91 n.s. ―社会的スキル(総得点) 15 53.73 13.50 166 57.51 10.03 117 56.17 13.58 .98 n.s. ―   業務の処理 15 19.20 4.44 166 20.36 3.57 116 19.21 3.53 3.77 * 障害者<高齢者   葛藤の処理 15 14.20 4.46 166 15.08 3.14 116 14.48 3.17 1.47 n.s. ―   関係の構築 15 11.33 3.75 166 12.25 3.16 115 11.97 2.98 .75 n.s. ―

*p< .05 **p< .01 ***p< .001

表4 福祉職場の職員における各変数の記述統計量と施設種別間の分散分析結果

注:無回答を除いて集計

福祉職場におけるWork Engagement 141

ことができますか」「仕事をするときに、何をどうやったらよいか決められますか」といった高い負荷を持つ項目は、本研究においても、第一因子の「業務の処理」と一致していた。しかし、項目4の「相手が怒っているときに、うまくなだめることができますか」に関しては、本研究では第二因子の「葛藤の処理」スキルに含

まれていた。次に、先行研究の第二因子である「トラブルの処理」では「まわりの人たちとの間でトラブルが起きても、それを上手に処理できますか」「こわさや恐ろしさを感じたときに、それをうまく処理できますか」といった高い負荷を持つ項目は本研究において「葛藤の処理」と命名した第二因子と一致していた。しか

高齢者福祉関係施設モデル β p 偏相関

年齢 .35 *** .36業務の処理 .25 ** .23同僚のサポート .19 * .21

R2乗 .26除外された変数 性別(女性=1) .05 n.s. .05

婚姻(既婚=1) -.04 n.s. -.04勤務形態(正職員=1) -.09 n.s. -.10上司サポート .03 n.s. .04ERI比 -.14 n.s. -.15葛藤の処理 -.02 n.s. -.01関係の構築 .10 n.s. .08

*p< .05 **p< .01 ***p< .001

表7  高齢者福祉関係施設職員のWE を従属変数とする重回帰分析

障害者福祉関係施設モデル β p 偏相関

ERI比 -.29 *** -.29関係の構築 .19 * .20

R2乗 .14除外された変数 年齢 .10 n.s. .10

性別(女性=1) .02 n.s. .02婚姻(既婚=1) .02 n.s. .03勤務形態(正職員=1) -.07 n.s. -.07上司サポート .01 n.s. .01同僚サポート .09 n.s. .09業務の処理 .12 n.s. .11葛藤の処理 .05 n.s. .05

*p< .05 **p< .01 ***p< .001

表8  障害者福祉関係施設職員のWE を従属変数とする重回帰分析保育所

モデル β p 偏相関上司サポート .56 ** .56

R2乗 .31除外された変数 年齢 .22 n.s. .27

性別(女性=1) .24 n.s. .26婚姻(既婚=1) .20 n.s. .24勤務形態(正職員=1) .30 n.s. .31ERI比 .40 n.s. .41同僚サポート .31 n.s. .27業務の処理 .25 n.s. .30葛藤の処理 .31 n.s. .36関係の構築 .09 n.s. .11

*p< .05 **p< .01 ***p< .001

表6  保育所職員のWEを従属変数とする重回帰分析

調査対象者全体モデル β p 偏相関

ERI比 -.17 ** -.18年齢 .27 *** .29同僚サポート .21 *** .23業務の処理 .21 *** .23

R2乗 .24除外された変数 性別(女性=1) .41 n.s. .05

婚姻(既婚=1) -.20 n.s. -.02勤務形態(正職員=1) -.09 n.s. -.11上司サポート .02 n.s. .02葛藤の処理 .02 n.s. .02施設種別(保育=1) .06 n.s. .07施設種別(高齢者=1) .00 n.s. .00関係の構築 .10 n.s. .08

*p< .05 **p< .01 ***p< .001

表5  調査対象者全体におけるWE を従属変数とする重回帰分析

井上 裕美・粟村 昭子・長見まき子142

し、項目8の「気まずい事があった相手と上手に和解できますか」は、「コミュニケーション」に該当する項目である。また、先行研究の第三因子「コミュニケーション」に関しては、先述した項目8を除き、本研究の第三因子「関係の構築」と同様の項目から構成されていた。違いが表れた項目に関しては、大学生の学校や生活場面で求められる問題解決のスキルと、本調査で対象となった福祉職場における業務に係る処理スキルとの捉え方の違いが影響しているのではないかと推察できる。しかし、両者の因子構造に多少の違いは見られるものの、因子負荷量の高い項目に関しては概ね一致しており、また、内的整合性も確認できたため(α係数= .822~ .864)、本研究における社会的スキルの指標として採用した。 次に、サービス対象を基準とした「保育所」、「高齢者福祉関係施設」、「障害者福祉関係施設」でどのような違いがあるかを検討するため、各尺度得点において施設種別間の差の検定を行った。その結果、WEの高さそのものには施設種別による有意な差が認められなかった。しかし、職業性ストレス(ERI比)や、上司サポート、業務の処理スキルにおいて、施設種別による有意な差が認められた。これは、施設種別によって職員の置かれているストレス状況や受けられるサポートの程度には違いがあり、施設種別に応じた介入ポイントの検討が必要である可能性を示唆するものと思われる。 そして、福祉職場におけるWEへの関連要因を検討するために、「保育所」、「高齢者福祉関係施設」のダミー変数、個人属性(年齢、性別、婚姻状況、勤務形態)、職業性ストレス(ERI比)、職場内サポート(上司、同僚)、社会的スキル(業務の処理、葛藤の処理、関係の構築)を独立変数、WEを従属変数とする重回帰分析を行った結果、職業性ストレス(ERI比)からは負の、年齢、同僚サポート、業務の処理スキルからの正の影響が認められた。ただし、WEに対する施設種別の効果は認められなかった。この結果からは、保育所、高齢者、障害者福祉関係施設のいずれにおいても職場内でのサポートや業務を処理するためのスキルといった、職員一人ひとりの取り組みや専門家による研修の機会を得ることによって、改善可能な点がWEを高める可能性があると推測できる。今後は、

さらに現場の状況やニーズに対応した教育・研修機会を提案することが、職員のメンタルへルス保持増進の観点からも必要となるだろう。ただし、この効果に関しては、さらに対象者数を増やし、継続的にコホートを調査研究することにより、精緻化した検証を行う必要性がある。また、見逃してはならないのは、 ERI比がWEに負の影響を与えていたという点である。これは、職員の仕事に対する努力と仕事から得られる報酬とが不均衡な状態にあることがWEの阻害要因となっていることを示唆する結果である。この点に関しては、堀ら(2011)や、竹野・丸山(2012)でも指摘されているように、施設で働く職員のメンタルヘルスや労働意欲には、適切な人事考課を行い、評価をフィードバックすることや、昨今問題とされている福祉職場の低報酬の問題にも取り組んでいくことの必要性が示されたものと考えられる。 最後に、施設種別ごとにWEに影響を与えている要因を調べるため、個人属性、職業性ストレス(ERI比)、職場内サポート、社会的スキルを独立変数、WEを従属変数とする重回帰分析を施設種別ごとに行った。その結果、調査対象となった保育所のサンプル数は少なく、性別にも偏りがあるため、他の施設種別と一概に比較はできないが、今回の調査結果からは、上司からのサポートを多く自覚できている者ほどWEが高いという傾向が示された。  一方、高齢者福祉関係施設職員では、年齢が高く、業務を上手くこなしていくスキルを備えて、同僚からのサポートを多く自覚できている者ほどWEは高い状態にあるという結果が得られた。年齢や同僚サポートの影響に関しては、教員や企業労働者、看護師を対象とした先行研究の結果を概ね支持する結果となった(Hakanen,Bakker&Schaufeli、2006; 三 好・ 井上、2008;松本ら、2010;設楽・新井、2009 ;Simbula,Guglielmi&Schaufeli、2011)。年齢が高いほどWEが高いという傾向は、看護職を対象とした調査結果でも同様の結果が報告されている(松本ら、2010)。先行研究と同様に、本調査の対象となった高齢者施設の職員においても介護という職務において、より年齢を重ねている者ほど、相手を尊重しながらも、自らがやりがいを持ってサービスを提供できているのではないかと推察できる。

福祉職場におけるWork Engagement 143

 障害者福祉関係施設の職員では、職業性ストレスが低く、関係の構築スキルが高いほどWEは高いという結果が示された。障害者を対象とする支援において、他の施設では検出されなかった、関係の構築スキルがWEの予測因子としてあるのは興味深い。堀ら(2011)でも指摘されているように、発達障害や知的障害、精神的な障害を有している者は、健常児や高齢者に比べて対人関係を築くことがより一層困難となる場合がある。そのため、本研究の調査対象者においても、他の施設で働く職員より、最初の段階で適切なコミュニケーションを取り、信頼関係を形成していくスキルを有していることが重要となっていたのではないかと考えられる。そして、その信頼関係の形成が成立するか否かが、職員のWEにも影響を与えていたのではないかと推察できる。また、障害者福祉関係施設において、職業性ストレスがWEに負の影響を与えているという傾向が示された。この結果に関しては、調査対象者全体の解析からも示されたものではあるが、特に障害者と向き合い、支援を提供するのは相当の努力を要するということは想像でき、報酬が仕事に要求される努力に見合わない状態が、活き活きと働く姿勢にネガティブな影響を与えていたものと推察できる。ただし、本調査から得られた障害者福祉関係施設における重回帰モデルの説明率は14%に留まっている。この点に関しては、今回調査で採用した要因以外にもWEには重要な予測変数があることが窺える。また、とりわけ障害者福祉関係施設のデータにおいてこのような傾向が見られた理由として、本調査で示された「相談・支援・指導員」という職種の役割が多様であることが対象集団の傾向を弱めたという可能性があり、本研究における限界が反映されたものと考えられる。

6.今後の課題

 本研究では、福祉職場における一次予防の視点からのメンタルへルス対策を提案するために、「保育所」、「高齢者福祉関係施設」、「障害者福祉関係施設」の施設種別に、WEに影響を与えている要因を検討した。結果として、WEの高さそのものに施設種別による差は認められ

ず、また、WEに対する施設種別による影響も認められなかった。ただし、施設種別間の差の検定において、職業性ストレス(ERI比)や、上司サポート、業務の処理スキルにおいて、施設種別による差が認められた。これは、施設種別によって職員の置かれているメンタルへルス状況には違いがあり、施設種別に応じた介入ポイントの検討が必要である可能性を示唆したものと思われる。また、施設種別ごとに行った、WEの関連要因の検討でも、施設によってWEに影響を与えている要因には違いがあることが示唆された。ただし、本研究において対象となったサンプル数は少なく、所属施設などの属性にも偏りがあるため、今回の分析結果から述べたことの一般化には限界がある。 以上の問題点を踏まえて、今後はさらにサンプル数と対象施設を増やした量的調査による検討や、質的手法も併せて現場のニーズをより詳細に把握し、職員の一次予防に貢献し得るような調査を行い、施設形態や職場環境から得られる資源と個人の持つ特性、両方を考慮したメンタルへルス対策の提案ができるような研究が望まれる。

付記

 本研究は、関西福祉科学大学大学院社会福祉学研究科心理臨床学専攻 2010年度修士論文のデータを一部使用し、編集したものである。

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