分散固相および固相カートリッジカラムを用いたlc-ms/ms...

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分散固相および固相カートリッジカラムを用いたLC-MS/MS による食肉中の動物用医薬品一斉分析法 誌名 誌名 食品衛生学雑誌 ISSN ISSN 00156426 著者 著者 山口, 貴弘 柿本, 健作 永吉, 晴奈 山口, 瑞香 起橋, 雅浩 梶村, 計志 山本, 容正 巻/号 巻/号 54巻4号 掲載ページ 掲載ページ p. 290-297 発行年月 発行年月 2013年8月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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  • 分散固相および固相カートリッジカラムを用いたLC-MS/MSによる食肉中の動物用医薬品一斉分析法

    誌名誌名 食品衛生学雑誌

    ISSNISSN 00156426

    著者著者

    山口, 貴弘柿本, 健作永吉, 晴奈山口, 瑞香起橋, 雅浩梶村, 計志山本, 容正

    巻/号巻/号 54巻4号

    掲載ページ掲載ページ p. 290-297

    発行年月発行年月 2013年8月

    農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

  • 290 食衛誌 Vol.54, NO.4

    ノート

    分散固相および回相カ}トリッジカラムを用いたLC-M8瓜18による食肉中の動物用医薬品一斉分析法

    (平成24年 12月14日受理)

    山口貴弘* 柿本健作 永吉晴奈 山口瑞香

    起橋雅浩 梶村計志 山本容正

    8imultaneous Determination ofVeterinary Drugs in Livestock Products Using Dispersive and Cartridge Column 801id-Phase Extraction by LC-M8品18

    Takahiro YAMAGUCHI*, Kensaku KA阻 MOTO,Haruna NAGAYOSHI, Mizuka YAMAGUCHI, Masahiro 0阻 HASHI,Keiji KAJIMURA and Yoshimasa Y品仏MOTO

    Osaka Prefectural Institute ofPublic Health: 1-3-69 Nakamichi, Higashinari・ku,Osaka 537-0025, Japan;

    * Corresponding author

    A method using dispersive and cartridge column solid-phase extraction (SPE) was developed for the simultaneous determination of veterinary drugs in livestock products by LC-MS瓜IIS.The samples were extracted with 85% acetonitrile and cleaned up using dispersive and cartridge col-umn SPE. Recoveries of 70 analytes fortified at the levels of 0.002 I-lg/g and 0:01μg/g in cattle, swine and chicken muscles were examined. Among 70 analytes examined, 64 in cattle, 58 in swine and 49 in chicken satisfied the required Japanese validation guideline. The limit of quantitation values of the 70 analytes were 0.001μg/g or 0.005阿倍 inthree kinds of livestock products. This method is suitable to analyze 40 analytes in three kinds of livestock products at levels under the MRL.

    (Received December 14, 2012)

    Key words:畜産食品 livestockproduct; 動物用医薬品veterinarydrug; 一斉分析 simultaneousdetermination;分散固相抽出 dispersivesolid-phase extraction;高速液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計LC-MS瓜日

    吉三ZE司

    抗菌剤,駆虫薬,ホルモン剤などの動物用医薬品は国内

    外において畜水産動物の感染症などの治療・予防に使用さ

    れ,生産性向上および畜水産食品の安定的な生産,品質の

    維持向上のためには欠かせないものとなっている.動物用医

    薬品が,用法・容量,使用禁止期間などを適切に管理され

    ず使用され食品へ残留した場合,ヒトへの健康被害や,耐

    性菌出現などを起こす可能性がある.外国では,家斎動物

    の筋肉を増加させる効果があるクレンブテロールなどのアド

    レナリン戸作動薬を不正に使用したため,薬剤が多量に残留

    した食肉を食べて中毒が発生した事例が発生している *1

    かし,対象動物用医薬品数が少なく,作業が煩雑であるに

    もかかわらず爽雑物の除去が不十分なため,分析機器への

    負担が大きくなるなどの問題があったまた,厚生労働省

    から平成22年12月に通知された試験法の妥当性評価ガイ

    ドラインの一部改正制により,食品中の残留農薬等の検

    査法についてガイドラインに基づき評価を行うことが求め

    られている.食品中の残留動物用医薬品分析にはヘキサン

    分配,多様な固相抽出カートリッジカラムやQuEChERS

    法で用いられる分散型固相を用いた精製方法が知られてい

    る1)-9) 本研究では,作業の迅速化と畜産物中の爽雑物除

    平成18年にポジテイブリスト制が導入され,多くの動物

    用医薬品について残留基準値が設定された*2 動物用医

    薬品の一斉分析法は厚生労働省より HPLCによる動物用

    医薬品等の一斉試験法 I,IT,!llが通知されている *3 し

    *連絡先 [email protected]大阪府立公衆衛生研究所:干537-0025大阪市東成区中道1-3-69

    *1食品安全委員会HP クレンブテロールの概要について(http://www.fsc.go.jp/sonota/clenbuterol.pdf) (2009)

    *2食品衛生法等の一部を改正する法律(平成15年法律第55号)判食品に残留する農薬,飼料添加物又は動物用医薬品の成分で

    ある物質の試験法について(平成17年1月24日厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知食安発第0124001号)

    *4食品中に残留する農薬等に関する試験法の妥当性評価ガイドラインの一部改正について(平成22年12月24日食安発1224第1号)

  • August 2013 分散困相およびカートリッジカラムを用いた食肉中動物用医薬品の一斉分析 291

    去効果の向上を目的とし分散固相抽出およびポリマー系

    カートリッジカラムを合わせて用いた動物用医薬品の迅速

    一斉分析法について検討を行い,食肉(牛肉,豚肉,鶏

    肉)を用いてガイドラインに基づき妥当性評価を行った.

    実験方法

    1. 試料および試薬

    試料:大阪府内で市販されていた牛肉,豚肉,鶏肉を用

    いた.試料はフードプロセッサーで均一化し,使用するま

    でそれぞれ-200

    Cで保存した

    標準晶:駆虫薬;ふ(プロピルスルホニル)-lH-ベンズイ

    ミダゾール-2・アミン, 5-ヒドロキシチアベンダゾール,

    チアベンダゾール,ピランテルパモ酸塩(以下ピランテ

    ル)およびプラジクアンテルは和光純薬工業(株)製,フル

    ベンダゾールおよびレパミゾールは関東化学(株)製,パル

    ベンダゾールはUSPConvention社製,オキシベンダゾー

    ルはSigma-Aldrich社製,メベンダゾールはRiedel-de

    Ha邑n社製,ジメトリダゾール,メトロニダゾールおよび

    ロニダゾールはDr.Ehrenstorfer社製を使用した.サル

    ファ剤;スルフイソゾールナトリウムは和光純薬工業(株)

    製,スルフアキノキサリンナトリウム塩,スルファクロル

    ピリダジン,スルフアジミジン,スルフアジメトキシン,

    スルファチアゾ}ル,スルファドキシン,スルファベンズ

    アミド,スルファメトキサゾール,スルファメトキシピリ

    ダジン,スルファメラジンおよびスルファモノメトキシン

    は関東化学(株)製,スルファセタミドおよびスルファピリ

    ジンはRiedel-deHaen社製を使用した.sラクタム系抗生物質;ナフシリンナトリウム塩一水和物は林純薬工業

    (株)製,オキサシリンナトリウム水和物,クロキサシリン

    ナトリウム塩水和物およびジクロキサシリンナトリウム塩

    水和物はDr.Ehrenstorfer社製を使用したホルモン剤;

    βトレンボロン,クロステボル,酢酸クロルマジノン,

    酢酸メレンゲステロール,ゼラノール,デキサメタゾン,

    プレドニゾロンおよびベタメタゾンは和光純薬工業(株)

    製, α回トレンボロンは林純薬工業(株)製,ノルジェスト

    メットは畜水産品残留安全協議会配付品,メチルプレドニ

    ゾロンはLKTLaboratories社製を使用した.アドレナリ

    ンF作動薬;ラクトパミンは畜水産品残留安全協議会配付品,クレンブテロールは関東化学(株)製を使用した.マク

    ロライド系抗生物質;タイロシン,チルミコシン,ピルリ

    マイシンおよびミロサマイシンは(社)日本科学飼料協会配

    付品,ジョサマイシンは関東化学(株)製,エリスロマイシ

    ン二水和物,およびリンコマイシン塩酸塩はRiedel-de

    Haen社製,オレアンドマイシンリン酸塩およびキタサマ

    イシンはDr.Ehrenstorfer社製を使用した.キノロン系抗

    菌剤;オフロキサシン,サラフロキサシン塩酸塩,ジフロ

    キサシン,ナリジクス酸,ノルフロキサシンおよびマルボ

    フロキサシンは和光純薬工業(株)製,エンロフロキサシ

    ン,オキソリニック酸,メシル酸ダノフロキサシンおよび

    フルメキンは関東化学(株)製,シプロフロキサシン塩酸塩

    はDr.Ehrenstorfer社製,オルピフロキサシンはFluka社

    製を使用した.オルメトプリムおよびトリメトプリムは和

    光純薬工業(株)製,ピリメタミンは関東化学(株)製,ジア

    ベリジンはRiedel-deHaるn社製を使用した.フマル酸チ

    アムリンは和光純薬工業(株)製を使用した

    標準原液:標準原液は6グループに分け,各標準品をメ

    タノール,アセトニトリルまたは水を用いて溶解した.駆

    虫薬13成分は5μg/mLの混合標準原液を調製した.サル

    ファ剤 14成分,オルメトプリム, トリメトプリム,ジア

    ベリジンおよびピリメタミンは50μg/mLの混合標準原液

    を調製した.sラクタム系抗生物質4成分は50問/mLの混合標準原液を調製した.ホルモン剤 11成分およびアド

    レナリン戸作動薬2成分は 10μg/mLの混合標準原液を調

    製した.マクロライド系抗生物質9成分およびフマル酸チ

    アムリンは5μg/mLの混合標準原液を調製した.キノロン

    系抗菌剤 12成分は 10μg/mLの混合標準原液を調製した

    6グループの混合標準原液を混合し50%メタノール水溶

    液で, 1μg/mL混合標準溶液を調製した.

    その他試薬:アセトニトリル,メタノ}ルは関東化学(株)

    製高速液体クロマトグラフイー用試薬を用い, 1-プロパノー

    ル,ギ酸アンモニウムは和光純薬工業(株)製特級試薬を用い

    たギ酸は和光純薬工業(株)製高速液体クロマトグラフイー

    用試薬を用いた.水はMILLIPORE社製ElixAdvantage 5

    およびMilli-QAdvantageで、精製したものを用いた.

    固相抽出カラムはWaters社製OasisHLB (60 mg/3 cc)

    (以下HLBカラム)を用いた.分散固相はジーエルサイエ

    ンス(株)製InertSepC18 (以下ODS)を用いた.

    メンブランフィルターはアドパンテック東洋(株)製

    DISMIC (親水性PTFE,13mmci ,0.2μm)を用いた.

    2. 装置

    高速振とう機はCM-1000(東京理化器械(株)製),高速

    ホモジナイザーはポリトロン PT3100(KINEMATICA社

    製),遠心分離機はhimacCR5B2 (日立工機(株)製),超

    音波洗浄器はUS-R4(アズワン(株)製)を用いた. LC-

    MS/MSは AQUITYUPLC-Quattro Premier XE (Wa-

    ters社製)を用いた.

    3. LιMSIMS測定条件

    (HPLC条件〉

    分析カラムはWatersACQUITY UPLC BEH C18 (150

    X2.1 mm i.d., 1.7ドm)を用い,カラム温度400

    C,注入量

    は5ドLとした.移動相はA液に0.1%ギ酸10mmol/Lギ酸

    アンモニウム水溶液, B液に0.1%ギ酸アセトニトリル溶

    液を用いたグラジエント条件は0分 (B=5%)→15分

    (B=28%)→24分 (B=28%)→32分 (B= 50%)→36分

    (B=70%)→ 38分 (B=95%) とし,流速は0.2mL/min

    とした.

    (MSIMS条件〉

    イオン化法:エレクトロンスプレーイオン化法 (ESI),

    測定モード:マルチプルリアクションモニタリング

    (MRM) ,イオン源温度:1200

    C,コーンガス流量:窒素,

  • 292

    50 L/h,脱溶媒ガス温度および流量:窒素, 350oC,

    900 L/h,成分ごとの条件はTable1に示した.ゼラノール

    はネガテイブイオンモードで測定を行い,その他成分につ

    いてはポジテイブイオンモードで測定した.

    4. 試験液の調製

    均一化した試料5gを50mLのポリプロピレン製遠沈管

    に採取し 85%アセトニトリル水溶液20mLを加え高速

    ホモジナイザーで均質化した. 3,000rpmで5分間遠心分

    離し上清を別のポリプロピレン製遠沈管に採取した.残

    留物に85%アセトニトリル水溶液10mLを加え,高速振

    とう機で5分間振とう後,同様に遠心分離し上清を採取

    した.合わせた上清にODS0.3 gを加え, 1分間振とうを

    行った後, 3,000rpmで5分間遠心分離し上清を

    100mL褐色ナスフラスコに採取した.ナスフラスコに L

    プロパノールを 15mL加え, 400

    Cに加温しながら減圧下

    で溶媒を留去した残留物に5%メタノール水溶液10mL

    を加え,超音波洗浄器に20分間静置し溶解したこの溶

    液をメタノール5mL,水5mLであらかじめコンデイショ

    ニングしたHLBカラムに負荷し流出液は廃棄した.

    5%メタノール水溶液3mLでカラムを洗浄した後,メタ

    ノール5mLを注入し溶出液を回収した.溶出液は窒素気

    流下濃縮後, 50%メタノール水溶液で1mLに定容し,メ

    ンブランフィルターでろ過して試験液とした.

    5. 検量線

    検量線は,マトリックス添加標準溶液を使用し作成し

    た.牛肉,豚肉,鶏肉のブランク試料を試験液の調製方法

    に従い調製し, HLBカラム精製後の溶液にそれぞれ混合

    標準溶液1問/mLを5μL,10ぃL,50ドL,100μL加え,窒素気流下濃縮後, 50%メタノール水溶液で1mLとし,

    0.005, 0.01, 0.05および0.1μg/mLのマトリックス添加標

    準溶液を調製した.

    結果および考察

    1. LC-MSlMS条件の検討

    LC-MS瓜日のイオン化にはESI法を用い, MRM法によ

    り測定を行った移動相は,測定対象成分がおおむね良好

    な感度となった, 0.1%ギ酸10mmolギ酸アンモニウム水

    溶液と 0.1%ギ酸アセトニトリルを使用した.対象成分中

    のα,トレンボロンとβトレンボロンおよぴベタメタゾン

    とデキサメタゾンは互いに立体異性体であり, MRMトラ

    ンジションが同じであったため それらが分離できるグラ

    ジエント条件を設定した.

    2. 精製法の検討

    本研究では田口らの方法 10) に基づき試験液の調製法を

    検討した.すなわち,抽出には 一定の除タンパク質効果

    が期待でき,高極性成分も効率よく抽出できる 85%アセ

    トニトリル水溶液を用いた.精製には,ヘキサン分配およ

    びカートリッジカラムを使用した.カートリッジカラムに

    は,親水性および親油性基両方を併せ持ち,幅広い極性物

    質の精製に利用できる HLBカラムを選択した.

    食衛誌 Vol. 54, NO.4

    HLBカラムに負荷する溶液条件について,動物用医薬

    品一斉分析を行う際に緩衝液を使用する報告があるが11)

    本研究では濃縮後に物性の違う対象成分を溶解させるため

    5%メタノール水溶液を使用することとした. HLBカラ

    ムの洗浄液は, 5%メタノール水溶液を用いて負荷を行う

    ため,水や緩衝液による洗浄では狭雑物を十分に取り除け

    ないと判断した.爽雑物の除去効果を目的に, 5%および

    30%メタノール水溶液を用いた洗浄液の検討を下記のと

    おり行った.試料に豚肉5gを用いて, HLBカラム精製ま

    では上記試験液の調製法に従い行った. HLBカラム洗浄

    液に5%と30%メタノール水溶液をそれぞれ3mL使用し

    洗浄したつづく操作は,上記試験液の調製法に従い試験

    液を調製しLC-MS瓜ilSで測定を行った(各試行数2,

    0.02同/g添加).高極性の対象動物用医薬品である, 5-ヒ

    ドロキシチアベンダゾール, 5-(プロピルスルホニル)-lH-

    ベンジミダゾールー乞アミン, リンコマイシン, ジアベリ

    ジン,メトロニダゾール,チアベンダゾールおよびピラン

    テルは30%メタノール水溶液の洗浄により HLBから大部

    分が流出した. 5%メタノ}ル水溶液を用いた方ではピラ

    ンテルを除き良好な回収率であったため,本研究では5%

    メタノール水溶液による洗浄を行うこととした

    当初は田口らの方法に基づきヘキサン分配による脂質等

    の除去を行っていたが,ピランテルの回収率が不良であっ

    たこと,多検体を処理する際にはヘキサンが大量に必要に

    なること,エマルジョンができやすく操作が煩雑になるな

    ど問題があった.しかし ヘキサン分配を行わずHLBカ

    ラムのみを用いた精製では爽雑物の除去が不十分であり,

    LC-MS瓜1Sを用いた測定ではイオン化が抑制されること

    による感度不足により十分な定量性を確保できない成分が

    あった.そのため, HLBカラム精製前に,簡便でヘキサ

    ン分配と同様の脂質などの除去効果が期待できる分散型固

    相のODSを精製に用いることとした.

    ODSの使用量については以下のように検討した.豚肉

    5gを85%アセトニトリル水溶液で抽出し,抽出液に

    ODSをそれぞれ0.3g, 0.5 g, 1 g加え振とうし遠心分離

    後,上清を回収した.つづく操作は,上記試験液の調製法

    に従い試験液を調製しLC司MS瓜ilSで測定を行った(各試

    行数2,添加濃度0.01μg/g). ODSを0.3g 使用した方法

    では対象成分70成分すべてで良好な回収率であった. し

    かし 0.5g使用した方法では 11成分, 1 g使用した方法

    では20成分の回収率が不良となったこれはODS量が増

    えるに従い,爽雑物以外に対象成分も吸着されてしまった

    と推測されたまた,ヘキサン分配使用時には回収率が不

    良であったピランテルは良好な回収率となった.ピランテ

    ルは, ODSを使用することでイオン化抑制成分が減少し

    たため回収率が改善したと推測された以上の検討より

    ODSの使用量は0.3gとした.

    3. 直線性および定量下限

    牛肉,豚肉および鶏肉における各対象成分の検量線の直

    線性はr2= 1.000~0.964であった定量下限値 (S/Nミ

  • August 2013

    Compound

    Metronidazole 5-Hydroxythiabendazole Sulfacetamide Lincomycin Ronidazole Levamisole 5-(Propylsulphonyl)ー1H-

    benzimidazole-2-amine Dia veridine Pyrantel Sulfa白thiazoleDimetridazole Marbofioxacin Trimethoprim Sulfapyridine Nor宜oxaClnOfioxacin Ciprofioxacin Thiabendazole Ormethoprim Sulfamerazine Danofioxacin Ractooamine Enrofioxacin Orbifioxacin Sulfadimidine Sulfamethoxypyridazine Sulfisozole Clenbuterol Sarafioxacin Difioxacin Sulfamonomethoxine Sulfachlorpyridazine Pirlimaycin

    Sulfadoxine Sulfamethoxazole Pyrimethamine Flumequine

    Sulfabenzamide Oxibenzazole Sulfadimethoxine Sulfaquinoxaline

    Tilmicosin Prednisolone Mirosamicin Oleandomycin N alidixic acid Erythromycin Oxolinic acid Mebendazole Methylprednizolone Betamethasone Dexamethazone Oxacillin Flubendazole Parbendazole Tylosin

    s-Trenbolone Thiamulin αTrenbolone Kitasamycin Cloxacillin Nafcillin Praziquantel Zeranol Dicloxacillin Josamycin Clostebol Norgestomet Chlormadinone acetate Melengestrol acetate

    分散固相およびカートリッジカラムを用いた食肉中動物用医薬品の一斉分析 293

    Retention

    time (min)

    4.5 4.6 4.7 4.9 4.9 4.9

    5.0

    5.1 5.2 5.5 5.6 5.6 5.7 5.8 6.0 6.0 6.2 6.2 6.2 6.3 6.5 6.5 6.9 7.1 7.2 7.2 7.4 7.7 7.9 8.0 8.2 8.7 9.0

    9.3 9.4 10.0 10.9 11.5

    11.9 12.4 12.7

    13.6 13.8 13.9 14.0 15.4 16.8 17.4 17.7 18.7 19.5 20.1 20.6 21.0 21.5

    22.0 23.8 25.3 26.5 27.0 27.3 29.9 31.1 31.2

    31.6 32.0 35.0 36.2

    37.4 37.6

    Table 1. MS瓜iISparameters for each analyte

    Quantitation Confirmation

    MRM transition Cone voltage Collosion MRM transition Cone voltage Collosion (m/z) (V) en町 gy(eV) (m/z) (V) e酒 田gy(eV)

    172→1~ W W 172→ 82 20 20 218→191 40 30 218→147 40 30 215→ 156 22 9 215→ 92 22 23 407→1~ ~ M 407→359 40 15 201→1~ W W 201→ 55 20 20 205→1~ W W 205→ 91 30 40

    240→1~ W W 240→ 198 30 20

    261→245 40 30 261→123 40 30 207→ 1W ~ w 207→ 135 40 30 256→1~ M W 256→ 92 34 28 142→ 95 30 20 142→ 81 30 30 363→320 30 W 363→205 30 40 291→261 40 30 291→230 40 30 250→156 28 16 250→ 92 28 28 320→233 30 34 320→244 30 34 362→261 30 28 362→318 30 22 456→396 20 16 456→ 126 20 16 202→175 40 30 202→ 131 40 30 275→259 30 30 275→123 30 30 265→ 92 28 25 265→ 108 28 25 358→ 3M W W 358→ 96 30 24 302→ 163 20 15 302→ 107 20 35 360→3W W ~ 360→245 30 28 396→295 30 22 396→352 30 22 279→186 34 17 279→ 92 34 31 281→156 28 16 281→ 92 28 28 240→ 92 22 25 240→156 22 11 277→202 20 15 277→ 132 20 25 386→299 40 28 386→342 40 22 400→299 40 28 400→356 40 28 281→1~ ~ ~ 281→ 126 34 34 285→1~ M W 285→ 92 34 34 411→1~ W ~ 411→363 30 15 311→ 156 35 22 311→ 92 35 36 254→ 92 25 30 254→ 156 25 15 249→2~ W W 249→ 177 50 30 262→2W W ~ 262→ WO 30 34 277→1M W W 277→ 91 10 22 250→1W W W 250→218 30 20 311→1~ M ~ 311→ 92 35 36 301→ 92 30 34 301→108 30 22 435→ 88 30 45 435→ 174 30 25 361→ 147 20 35 361→324 20 15 728→1~ ~ M 728→116 40 45 688→1~ ~ M 688→554 25 15 233→2~ W W 233→187 20 28 734→1~ W M 734→ 83 30 45 262→W2 W M 262→ 126 30 50 296→~4 W W 296→104 30 30 375→161 20 25 375→357 20 15 393→355 20 15 393→337 20 15 393→355 20 15 393→337 20 15 402→243 20 16 402→160 20 28 282→123 50 30 282→104 50 50 248→2W W W 248→173 30 30 916→ 174 55 45 916→772 M 35 271→253 35 25 271→ 199 35 25 494→1~ W ~ 494→119 30 45 271→253 35 25 271→ 199 35 25 772→109 50 45 772→ 174 50 35 436→160 30 10 436→277 30 10 415→171 10 34 415→ 199 10 28 313→203 30 20 313→ 83 30 30 321→277 40 25 321→303 40 25 470→311 10 10 470→ 160 10 46 828→ 83 50 45 828→109 50 45 323→ 143 30 25 323→ 131 30 25 373→313 30 15 373→271 30 15 405→309 W W 405→345 50 20 397→337 20 15 397→279 20 25

  • 294

    Compound

    Metronidazole 5. hydroxythiabendazole Sulfacetamide Linco皿 ycmRonidazole Levamisole 5.(Propylsulphonyl).lH.

    benzimidazole.2.amine Diaveridine Pyrantel Sulfathiazole Dimetridazole Marbo丑oxacinTrimethoprim Sulfapyridine Nor宣oxaClUOfloxacin Ciprofloxacin Thiabendazole Ormethoprim Sulfamerazine Dano宜oxacinRactooamine Enro宜oxacinOrbifloxacin Sulfadimidine Sulfamethoxypyridazine Sulfisozole Clenbuterol Sarafloxacin Difloxacin Sulfamonomethoxine Sulfachlorpyridazine Pirlimaycin Sulfadoxine Sulfamethoxazole Pyrimethamine Flumequine Sulfabenza皿ideOxibenzazole Sulfadimethoxine Sulfaquinoxaline Tilmicosin Prednisolone Mirosamicin Oleandomycin N alidixic acid Erythromycin Oxolinic acid Mebendazole Methylprednizolone Betamethasone Dexamethazone Oxacillin Flubendazole Parbendazole Tylosin s. Trenbolone Thiamulin α. Trenbolone Kitasamycin Cloxacillin Nafcillin Praziquantel Zeranol Dicloxacillin Josamycin Clostebol Norgestomet Chlormadinone acetate Melengestrol acetate

    Table 2. Coefficient of determination (r2) and LOQ of each analyte

    r

    1.000 1.000 0.999 0.999 0.999 0.998

    1.000

    0.997 0.998 1.000 0.999 0.997 0.999 0.998 0.994 1.000 0.999 0.999 0.997 0.996 0.995 0.997 0.999 0.998 0.998 1.000 0.997 1.000 0.998 1.000 0.996 0.994 1.000 0.999 0.993 0.997 0.997 0.996 0.998 0.998 0.997 0.998 0.998 0.999 0.999 0.999 0.999 0.998 0.999 0.992 0.999 0.997 0.996 0.993 0.998 0.998 0.998 0.999 0.999 0.998

    1.000 0.998 0.998 0.994 0.998 0.998 0.998 0.991 0.998 0.998

    Cattle muscle

    Limit of

    quant訪ation(μg/g)

    0.001 *

    0.001 0.001 0.001 0.001 *

    0.001

    0.001

    0.001 0.001 0.001 0.001 *

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.005 0.001 0.001*

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 *

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.005*

    0.001 0.001 0.001 * 0.001 * 0.001 0.001

    2 r

    0.996 0.997 0.999 0.995 0.999 0.999

    0.998

    1.000 1.000 0.999 0.998 0.997 0.999 0.999 0.998 1.000 1.000 0.999 1.000 0.999 0.996 1.000 1.000 1.000 0.993 0.997 0.995 0.996 1.000 1.000 0.992 0.994 0.995 0.998 0.998 0.998 1.000 0.996 0.997 0.997 0.990 0.995 0.976 0.999 1.000 0.998 0.999 0.998 0.998 0.999 0.991 0.999 0.996 0.998 0.996 1.000 0.999 0.999 0.999 1.000 0.996 0.994 0.999 0.999 0.972 1.000 0.993 0.997 0.988 0.991

    Swine muscle

    Limit of

    quantitation (flg/g)

    。.001*0.001 0.001 0.001 0.001 *

    0.001

    0.001

    0.001 0.001 0.001 0.001 *

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 *

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001

    0.001 0.001 0.001 0.005 0.001 0.001 *

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 * 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 * 0.001 *

    0.005 0.001

    食衛誌 Vol. 54, No. 4

    2 r

    0.993 0.998 0.998 0.999 0.999 1.000

    0.999

    1.000 1.000 0.998 0.997 0.992 0.997 0.997 0.994 0.998 1.000 1.000 0.998 0.995 0.996 0.997 1.000 0.999 0.994 0.998 0.996 0.997 0.997 0.999 0.996 0.996 0.997 1.000 0.998 0.996 0.996 0.964 0.999 1.000 0.981 1.000 0.999 1.000 0.999 1.000 1.000 0.997 1.000 0.991 0.999 0.997 0.995 0.999 0.999 1.000 1.000 0.996 1.000 0.998 0.993 0.991 1.000 1.000 0.996 0.999 0.999 1.000 0.987 0.994

    Chicken muscle

    Limit of

    quantitation (μg/g)

    0.001キ

    0.001 0.001 0.001 0.005* 0.001

    0.001

    0.001 0.001 0.001 0.001 *

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001*

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.005 0.001 0.005*

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001キ

    0.001 0.005 0.001 0.001 0.001 0.001

    0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 0.001 * 0.001 * 0.001 0.001

    * LOQ>MRL

  • 295 分散固相およびカートリッジカラムを用いた食肉中動物用医薬品の一斉分析August 2013

    Recoveries of veterinary drugs from fortified livestock products Table 3.

    Chicken muscle

    RSD,l RSDω (%) (%)

    Swine muscle

    RSDal

    (%)

    Cattle muscle

    RSDω

    (%)

    Fortified (μg/g) Accuracy

    (%)

    Pyrantel

    84761785

    一17635840257138156099674006686671817047646249332910588380175258506

    14寸

    A

    Q

    U

    1

    A

    -

    1ょ

    1ム。

    41ょ1QUIQυ1A1

    a

    G

    1

    9

    4

    1

    9A1ム唱

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    11A1i4111ム。

    G唱

    A

    1

    11ょ

    同日

    75ω675一9549583m5m7mmmuU6m8mmU63m85584m7m596m2打

    4M6U4mm95U585U798日

    874U474m6

    78358470-84538879519542692729515661730038398833662586500229328663646387268

    66875589

    一88898885587676889885697668799998799887789789800878878989988888887

    -砕寸i

    RSDbl

    (%)

    35179098270606871048224788066696086546163028077986469279318005574095171336

    1

    2

    1

    1

    1

    4

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    2

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    2

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    05179978260506876045564788946696876545051026977764359079218083574674979005

    1

    2

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    2

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    2

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    Accuracy (%)

    06856289495886531270589500114505506964413701084872294545517723376871052703

    76788877089878887688788798998687779888998798978789888898878799788889999788

    ーi

    RSDbl

    (%)

    01569696686786473118297828281390317699066099908866

    一4口mm9UU89U9日

    8m766149U77

    2

    1

    2

    2

    1

    1

    1

    1

    2

    2

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    1

    87919675284686341996296915758086986656066566778766

    一470892788日

    8日

    8m756U48175

    1

    1

    1

    1

    2

    2

    1

    1

    1

    1

    -

    1

    1

    Accuracy (%)

    44905173594634922545723726909808121935182705031398一46464019680871877932323

    8899888898989888977798779878769787989888979898988899809879899788788999898

    i

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    2

    nU唱

    iAU14nutinU吋

    Anu-4AU咽

    L

    U1ムハ

    U唱

    inU唱

    iAU寸

    iAU1AnU司ムハ

    U唱

    iAU寸

    inu--ハ

    U唱

    inU1ムハ

    U噌

    inU咽

    inU唱

    inU寸ムハ

    U噌ムハ

    U噌

    AnU守よハ

    U咽

    inU噌

    inU1ム

    nU1ムハ

    U咽

    inutiハ

    U咽

    AAU司

    AnU咽

    Aハリ寸よ

    AU--AU1ムハ

    U司

    i

    00000000000000000000000onMA』

    DnMAMAJnMnMβoOAMnM0βDnMnMn』

    nMDAMnMAMn』

    ODAMnMA』

    AMoonMonMβnMβDDDooonMAMA』

    DAM

    n仏仏

    ooon札仏仏

    oon仏仏

    on仏仏

    00000000000000000000000000000000000000000000000000000

    5-(Propylsulphonyl)ーlH-

    benzimidazole“2-amine Diaveridine

    Sulfamethoxypyridazine

    5.Hydroxythiabendazole

    Sulfamono皿 ethoxine

    Sulfachlorpyridazine

    Compound

    Sulfamethoxazole

    Pyrimethamine

    Thiabendazole

    Sulfamerazine

    Marbofl.oxacin

    Sulfadimidine

    Trimethoprim

    Dimetridazole

    Metronidazole

    Sulfacetamide

    Sulfapyridine

    Ormethoprim

    Ciprofl.oxacin

    Sulfathiazole

    Ractopamine

    Danofl.oxacin

    Sarafl.oxacin

    Enrofl.oxacin

    Orbifl.oxacin

    Pirli皿 aycm

    Sulfadoxine

    Clenbuterol

    Norfl.oxacin

    Lincomycin

    Levamisole

    Sulfisozole

    Ronidazole

    Difl.oxacin

    Ofl.oxacin

    Flumequine

  • 296 食衛誌 Vol. 54, No.4

    Table 3. Continued

    Cattle muscle Swine muscle Chicken muscle Compound

    Forti五edRSDa) RSDb) RSD') RSDb) RSDa) RSDb) (flg/g) Accuracy Accuracy Accuracy

    (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) (%) Sulfabenzamide 0.002 69 27 30 77 25 28 73 48 66

    0.01 65 5 5 84 8 16 101 17 22 Oxibenzazole 0.002 90 6 6 95 9 10 87 8 11

    0.01 82 9 9 86 9 9 87 5 9 Sulfadimethoxine 0.002 87 7 7 90 10 10 91 4 5

    0.01 85 5 5 96 3 6 91 4 4 Sulfaquinoxaline 0.002 91 22 22

    0.01 81 7 9 100 7 7 91 9 11 Tilmicosin 0.002 90 8 8 77 13 18 107 10 23

    0.01 71 8 13 57 12 16 97 16 23 Prednisolone 0.002 108 9 17 61 58 69

    0.01 84 13 13 92 14 16 91 11 19 Mirosamicin 0.002 87 6 6 82 9 10 70 5 6

    0.01 83 5 7 81 7 7 71 9 9 Oleandomycin 0.002 86 6 7 77 7 9 91 9 9

    0.01 80 5 7 78 4 7 92 4 6 Nalidixic acid 0.002 99 5 7 100 7 8 86 13 15

    0.01 90 5 6 95 5 6 78 4 5 Erythromycin 0.002 78 4 9 78 9 12 91 4 8

    0.01 73 7 11 76 5 7 87 3 5 Oxolinic acid 0.002 95 4 4 89 15 16 92 9 9

    0.01 88 8 8 92 4 6 98 4 5 Mebendazole 0.002 87 6 8 84 11 11 93 9 10 。.01 81 10 10 84 10 10 90 5 5 Methylprednizolone 0.002 117 7 10 83 16 16 70 29 29

    0.01 80 3 8 88 10 10 84 11 11 Betamethasone 0.002 108 11 11 95 18 18 100 16 16

    0.01 91 10 10 88 6 8 97 10 10 Dexamethazone 0.002 93 20 20 83 24 24 95 24 24

    0.01 82 7 8 93 7 9 99 20 20 Oxacillin 0.002 92 12 14 82 13 13 Flubendazole 0.01 85 8 9 94 11 11 80 9 9

    0.002 98 15 15 92 12 12 98 15 15 0.01 87 11 11 77 12 12 100 33 35

    Parbendazole 0.002 93 15 15 100 11 19 91 7 25 0.01 79 16 16 79 13 19 85 7 26

    Tylosin 0.002 79 7 7 67 9 11 58 8 15 0.01 72 6 6 74 5 9 62 B 9 s. Trenbolone 0.002 92 4 9 96 9 9 79 8 8 0.01 88 5 8 90 7 8 83 5 6

    Thiamulin 0.002 90 7 7 83 8 8 95 7 12 0.01 87 7 8 80 11 11 96 6 11

    α同Trenbolone 0.002 98 8 8 104 7 10 88 13 13 0.01 89 7 9 95 4 7 88 4 4

    Kitasamycin 0.002 74 7 7 62 10 10 54 11 19 0.01 71 5 5 71 6 8 67 7 10

    Cloxacillin 。.002 89 10 15 86 19 19 79 18 18 0.01 83 6 9 103 5 8 83 5 6

    Nafcillin 0.002 81 7 10 77 10 14 77 20 20 0.01 78 7 7 83 5 9 81 9 9

    Praziquantel 0.002 91 7 7 85 8 8 89 10 10 0.01 85 5 7 85 5 6 87 7 7

    Zeranol 。.002 79 19 19 79 17 25 0.01 87 8 9 86 8 8 76 7 20

    Dicloxacillin 0.002 96 32 35 34 91 108 78 22 29 0.01 82 9 20 100 17 17 67 24 24

    Josamycin 0.002 92 13 13 80 15 16 46 16 31 0.01 80 5 7 80 13 13 67 13 13

    Clostebol 0.002 86 6 9 89 13 13 85 16 21 0.01 81 8 10 85 10 10 94 11 11

    Norgestomet 0.002 98 18 18 73 26 26 73 28 28 0.01 94 10 10 79 11 13 89 8 8

    Chlormadinone acetate 0.002 88 21 25 95 36 39 0.01 73 15 15 92 21 21 78 18 18

    Melengestrol acetate 0.002 83 9 9 83 20 20 67 9 14 0.01 74 10 10 77 12 22 77 9 15

    Frequency') 64 58 49

    aJ Repeatability bJ Within laboratory reproducibility ,J The number of veterinary drugs with acceptable recovery (70-120%), repeatability (0-25%) and within laboratory repro-ducibility (0-30%) did not meet the criteria of the guideline.

  • August 2013 分散固相およびカートリッジカラムを用いた食肉中動物用医薬品の一斉分析 297

    10)は,各ブランク試料に標準溶液を添加し, 0,001同/g

    または, 0.005問/gであることを確認した (Table2). メ

    トロニダゾール,ロニダゾール,ジメトロニダゾール,ク

    レンブテロール,ベタメタゾン,クロステボルおよびノル

    ジ、ェストメットは牛肉,豚肉および鶏肉すべてで定量下限

    値が残留基準値を下回ることができなかった.また牛肉で

    はゼラノールが,豚肉と鶏肉ではプレドニゾロンの定量下

    限値が残留基準値を下回ることができなかった

    4. 分析法妥当性評価

    ガイドラインに基づき,一律基準値である 0.01同/gお

    よび本研究で対象とした動物用医薬品は一律基準値よりも

    低い基準値に設定されている成分があるため「各農薬等の

    基準値に近い一定の濃度」として定量下限値付近の

    0.002問/gを各試料に添加し評価した.自由度が4以上

    となるように牛肉,豚肉および鶏肉を試験者3名,試行数

    2で2日間実施した(添加濃度0.01および0.002μg/g,試

    行数3X2X2) (Table 3). 評価はガイドラインの目標値

    である,真度 70~120%,併行精度 (RSD%) 25%以下,

    室内精度 (RSD%)30%以下を良好とした.ただし定

    量下限値が0.002問/gを上回る成分については, 0.01問/g

    のみ実施した.

    牛肉,豚肉および鶏肉で2濃度ともに良好であった対象

    成分は 70成分中それぞれ64成分, 58成分および49成分

    であった.ガイドラインの目標値および牛肉,豚肉および

    鶏肉の残留基準値を満たす分析が可能で、あった成分は,牛

    肉で55成分,豚肉で49成分,鶏肉で43成分であった

    牛肉,豚肉および鶏肉すべてで残留基準値を下回る測定が

    可能であった対象成分はα・トレンボロンおよびs-トレン

    ボロンそれぞれ一成分と考え, 68成分中40成分であっ

    た.

    まとめ

    分散型固相と固相カートリッジカラムを用いて畜産物中

    の動物用医薬品一斉分析法を検討した試料から 85%ア

    セトニトリル水溶液により分析対象成分を抽出し,分散型

    ODSおよびHLBカートリッジカラムにより精製を行い,

    試験液を調製したこの試験液についてマトリックス添加

    検量線を用いて分析を行ったところ,添加回収試験におい

    て,対象成分70成分に対し,牛肉では64成分,豚肉では

    58成分および鶏肉では49成分がガイドラインの目標値を

    満たす分析結果が得られた.また,牛肉,豚肉および鶏肉

    すべてで目標値および、基準値を満たす分析が可能であった

    対象成分は40成分であり,多成分一斉分析法として有用

    な分析法が確立できた.

    謝 E平本研究の一部は, JST (科学技術振興機構)および

    JICA (国際協力機構)による SATREPS(地球規模課題

    対応国際科学技術協力)事業「薬剤耐性細菌発生機構の解

    明と対策モデルの開発プロジェクト」により助成を受けた

    ものである.

    文献

    1) Carretero, V.ヲ Blasco,C., Pico, Y. Multi-class determi-

    nation of antimicrobials in meat by pressurized liquid

    extraction and liquid chromatography圃tandemmass

    spectrometry. J. Chromatogr. A, 1209, 162-173 (2008).

    2) Hatakeyama, E., Kajita, H., Sugawara, T., Sasaki, A.,

    Takahashi, S., Komukai, T. Simultaneous determina-

    tion of pesticides in agricultural products by LC-MS瓜,'[S

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    tion of residual veterinary drugs in livestock products

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    Rugged and Safe) approach. Anal. Chim. Acta, 637,

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    extraction and HPLC using on-line clean-up with EC

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    in livestock foods. Chromatography, 28, 29-35 (2007).

  • 茶の加工工程および熱湯浸出時における農薬の消長(報文)

    近藤貴英水渡謹綾香設築紘史蕪木康郎

    柴田 雅 久 神 田 典 子 黒 川 千 恵 子井上豊

    宮崎 元 伸 外 側 正 之 小 津 朗 人内山徹

    小泉 豊 中 村 順 行 増 田 修 一 米谷民雄

    食衛誌 54(4), 259~265 (2013)

    3種の殺虫剤クロルフェナピル ピリミホスメチルおよ

    びクロチアニジンをチャに散布して被覆下で栽培し摘採

    後の茶の加工工程および熱湯浸出時における農薬の消長を

    調査した生茶葉に加熱や発酵などの加工工程が入ること

    で,加工茶における農薬残存率は減少したが,加熱時間や

    発酵時聞が長く,熱が茶葉へ伝わりやすいほど減少した.

    また,普通煎茶において 3農薬の農薬残存率に有意差は認

    められなかったが,ネオニコチノイド系のクロチアニジン

    のように,オクタノール/水分配係数が低く水溶性の高い

    農薬ほと茶浸出液への移行率が高くなる傾向が見られ

    た.一方,粒度による農薬移行率に有意な差は認められな

    お、っ?こ.

    *さいたま市健康科学研究センタ一 生活科学課

    天然トラフグ肝臓の毒性分布(報文)

    谷口香織高尾秀樹新名真也山中祐二

    岡田 幸 長 中 島 梨 花 王 俊 ボ 辰野竜平

    阪 倉 良孝高谷智裕荒川修*野 口 玉雄

    食衛誌 54(4),277~281 (2013)

    トラフグ肝臓につき,滑らかな面を表側,肝門脈との結

    合部を上部として 10分割し,マウス毒性試験で各部位の

    毒力を測定したところ,生肝臓 58個体中 16個体と凍結肝

    臓 13個体中 9個体ですべての部位が毒性を示した毒の

    主体はテトロドトキシンであった.これらにつき,個体の

    平均毒力に対する各部位の相対毒力を求めて二元配置分散

    分析を行ったところ,凍結肝臓では毒の分布に有意な偏り

    は見られなかったが,生肝臓では右側中央下寄りの毒性が

    有意に高いことが分かつた.肝臓の毒性評価に際しては,

    本部位を用いた個別検査の実施が望ましいと判断した

    *長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科

    分散固相および固相カートリッジカラムを用いた LC-MSIMSによる食肉中の動物用医薬品一斉分析法(ノート)

    山口貴弘*柿本健作永吉晴奈

    山口瑞香起橋雅浩梶村計志山本容正

    食衛誌 54(4), 290~297 (2013)

    分散固相および固相カートリッジカラムを用いた LC-MS瓜胞による食肉中の動物用医薬品一斉分析法を開発した試料に 85%アセトニトリル水溶液を加えて分析対象

    成分を抽出し, ODS分散固相およびポリマー系固相カー

    トリッジカラムを用いて精製を行った.牛肉,豚肉,鶏肉

    を用いて添加濃度 (0.002μg/g,0.01μg/g)での妥当性評価

    を実施したその結果,動物用医薬品妥当性評価対象 70

    成分に対し,牛肉が 64成分,豚肉が 58成分,鶏肉が 49

    成分で妥当性ガイドラインの目標値を満した.各動物用医

    薬品の定量下限は 0.001阿倍または 0.005問/gであった

    本法により牛肉,豚肉および鶏肉の各残留基準値を満た

    しかっ妥当性ガイドラインの目標値を満たした動物用医

    薬品は 40成分であった.

    *大阪府立公衆衛生研究所

    トウモロコシ中のフモニシン BloB2および B3のLC-MSIMSによる同時分析法の試験室閏共同試験(報文,英文)

    吉成知也田中敏嗣石黒瑛一堀江正一永山敏康

    中島正博内藤成弘大西貴弘小西良子*

    食衛誌 54(4),266~276 (2013)

    トウモロコシに含まれるフモニシン B1 (FB1) ,フモニ

    シン B2(FB2) およびフモニシン B3(FB3)のLC-MSIMS

    を用いた同時分析法を評価するために, 9機関の共同試験

    を実施した試験には添加試料 3種,自然汚染試料2種と

    陰性試料 1種を用いた. FBl' FB2およびFB3の回収率は

    それぞれ 79~87% , 79~103% および 80~93% であり,

    室内再現性および室間再現性の相対標準偏差は 3種のフモ

    ニシンいずれについてもそれぞれ 20%および30%以下で

    あり, HorRat 値は 0.2~0.9 の範囲であった本分析法を

    用いて,国内で入手したコーングリッツ中に含まれるフモ

    ニシンを分析した.以上の結果より,本法はトウモロコシ

    におけるフモニシンの汚染実態調査に有用で、あることが示

    された.

    *国立医薬品食品衛生研究所

    健康食品に関する健康被害事例の情報源およびその有用性

    評価(報文)

    梅垣敬三*山田浩千葉剛

    中西朋子佐藤陽子福山哲

    食衛誌 54(4),282~289 (2013) 健康食品による健康被害の因果関係評価を視点に, 3つ

    の情報源(保健所情報, PIO-NET情報,企業情報)で収集された事例の実態を調べた.保健所情報は約 20件/年が収集されており,約 40%が医療関係者からの通報で医

    学的データが含まれていた. PIO-NET情報は約 370件 /年が収集されており, 8割程度が利用者からの通報で,製品名や利用状況などの具体的内容が少なかった.企業情報

    は利用者からの通報が9割以上で,大部分が苦情に相当す

    る内容であった.保健所情報と PIO-NET情報を, 2つの因果関係評価法に試行的に適用したところ,因果関係が確

    からしいと判断できた事例は少なかった.収集されている

    被害事例を安全性確保に効果的に活用するためには,健康

    被害の症状に関して共通の考え方を持ち,収集事例の質と

    件数を高める取り組みが必要である.

    *(独)国立健康・栄養研究所情報センター

    調昧液への浸漬による牛肉中放射性セシウム量の変化に関

    する検討(ノート)

    鍋師裕美*堤智昭蜂須賀暁子松田りえ子

    食衛誌 54(4),298~302 (2013)

    食品中の放射性物質を低減させる調理・加工に関する情

    報の収集は,放射性物質の内部被ばく量を低減させ,より

    安全で安心な食品摂取を実現するために重要である.そこ

    で,本研究では牛肉を用いて調味液への浸漬の際に生じる

    放射性セシウム (Cs)量の変化を検討したその結果,

    牛肉中の放射性 Cs は,塩分濃度 8~10%の調味液中に 24

    時間浸漬することで浸漬前の約 20%が,塩分濃度約 9%

    の味噌調味液に 7日間浸漬することで浸漬前の約 55%が

    除去されたまた, 10%食塩水を交換しながら 7日後ま

    で浸漬することにより,牛肉中の放射性 Csを約 75%除去

    することが可能であった浸漬後の調味液は廃棄されるこ

    とが多く,調味液への浸漬は牛肉中の放射性 Csの除去に

    有効であるといえる.

    *国立医薬品食品衛生研究所