基礎環境学スタートアップセミナー(3) ‐臨床環境学の3エリア...

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基礎環境学スタートアップセミナー(3<臨床環境学の3エリアをつなぐテーマを発見するセミナー> 第1回(打ち合わせ)2009.10.22 ★本日の議題 1) 自己紹介 2) 打ち合わせ:以下の点についての議論と確認 2-1.本セミナーの背景 2-2.本セミナーの目的 2-3.本セミナーの進め方 2-4.日程 2-5.役割分担(RAと教員)

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Page 1: 基礎環境学スタートアップセミナー(3) ‐臨床環境学の3エリア …ercscd.env.nagoya-u.ac.jp/envgcoe/nakatsuka1022.pdf · 臨床環境学テキスト(ラオ語・英語)

基礎環境学スタートアップセミナー(3)<臨床環境学の3エリアをつなぐテーマを発見するセミナー>

第1回(打ち合わせ)2009.10.22

★本日の議題

1) 自己紹介

2) 打ち合わせ:以下の点についての議論と確認2-1.本セミナーの背景2-2.本セミナーの目的2-3.本セミナーの進め方2-4.日程2-5.役割分担(RAと教員)

Page 2: 基礎環境学スタートアップセミナー(3) ‐臨床環境学の3エリア …ercscd.env.nagoya-u.ac.jp/envgcoe/nakatsuka1022.pdf · 臨床環境学テキスト(ラオ語・英語)

基礎環境学臨床を支える共通の基盤を

地域を越えて体系化する学問

拠点形成の構想と目的

診断型学問

・地球科学・生態学・地理学

治療型学問

・工学・農学・社会科学

臨床環境学地域での診断と治療に

一貫して責任が持てる学問

普遍

個別

SELIS地球生命圏研究機構

GELP国際環境人材育成プログラム

地域の環境問題(病気)の究明(診断)と解決(治療)には

診断型研究と治療型研究の協働・連携が必須

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診断・治療双方の研究者が問題の現場を共有することが重要

様々な現場からの知見を共有・体系化

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
本拠点形成計画では,医学の枠組みになぞらえて,人体における「病気」に相当する「地域の環境問題」に対して,「診断にあたる究明」と「治療にあたる解決」を行うのが「環境学」だと考えます.「これまでの実績」で説明した,21世紀COEおよびSELISは,地球環境の実態把握と機構解明を中心とする「診断型」研究であり,一方GELPは,環境対策と環境政策を中心とする「治療型」研究・人材育成でした. しかし,地域の環境問題の究明と解決には、診断型研究と治療型研究の協働・連携が必須です。 <クリック> そこで、地域での診断と治療に一貫して責任が持てる学問としての「臨床環境学」と、地域を越えた普遍的な課題を体系的に理解する「基礎環境学」を二本柱として、双方の密接な連携と協働を図ることを提案します。
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アジアでの臨床環境学の展開(拠点形成計画)

シベリア寒冷圏生態系・水循環変化

都市と農山漁村の共存

中国:急成長による環境負荷の軽減

ラオス生物多様性保全と伝統的生業の調和

ヒマラヤ氷河変動・氷河湖決壊

アジアでの環境研究・国際協力の豊富な実績→ 臨床環境学の

共通フィールドを設定

経済的発展段階の違う3エリア

東南・南アジア地域

北東・東アジア地域

伊勢湾流域圏

東南・南アジア地域開発途上(ラオス・ヒマラヤ)北東・東アジア地域高度経済成長(中国・シベリア)

伊勢湾流域圏経済成熟

アジアをフィールドに世界の協定大学との共同研究

15/39臨床環境学の世界拠点

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
アジアでの環境研究・国際協力の豊かな実績を背景に,本拠点形成計画では,高度経済成長の真っただ中にある中国などがある北東・東アジア地域,開発途上段階のラオスなど東南・南アジア地域,それに経済的には成熟段階にある地元の伊勢湾流域圏という気候も経済的発展段階も違う3つのエリアを共通のフィールドと設定しました.
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少子高齢化

都市の拡大、農地の転用、干潟の埋立、

ダム・河川改修、道路建設

利便性の高い都市生活水・物質循環変調、土地利用混乱、生物多様性低下、災害多発、農山村の疲弊

流域圏の持続不可能性増大

エネルギー節約都市

一次産業の持続性回復

気候変動に強い国土

陸海生物多様性の回復

都市の規模適正化農山村と都市の共存土地利用の正常化

水・物質循環の制御

治療的視点

気候変動の将来水・物質循環の構造地域の持続可能性生物多様性評価

診断的視点

これまで

診断と治療の協働

時代変化

伊勢湾流域圏:「都市と農山漁村の共存」の臨床環境学

高度成長と人口増加に伴う都市の水不足、土地

の不足

治療診断

35/39都市と農山漁村が共存できる人材・資金・物質の循環ネットワークの構築

臨床環境学の展開

列島改造計画

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
戦後、急激な成長を遂げた日本経済は産業活動の活発化と急激な都市人口増加をもたらし、そのための用地を都市郊外農村部に求め、また、干潟やため池などの埋め立て、都市型の河川改修、人と物流のための交通網などを行い、利便性の高い都市生活を獲得した。しかし、他方で、都市排水などの汚染物質排出、人工的取水、都市の被覆化などによる水循環の変調、土地利用の混乱、気象災害の多発、農山村の疲弊、生物多様性低下などをもたらした。これは都市、産業という限定的な視野で効率優先の開発を推進した結果であり、これからは、地球環境の保全を視野に入れた持続性の高い国土マネジメントを行う必要がある。このために、診断的視点として、気候変動の考慮、水循環の健全度評価、地域の持続可能性評価、生物多様性評価などに基づき、治療的視点として、都市のコンパクト化、農地・森林の再生、統合的都市利用計画と法整備、水系回復などを意識し、最終的には、エネルギー節約都市の構築、農山村の持続性回復、気候変動に強い国土計画、陸海域生物多様性の回復などを目標に研究、教育を実施する。
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診断 治療

環境政策(CO2吸収源)国際援助

生物多様性低下、水・物質循環変調森林面積維持、現金収入増加

診断的視点

地下水等の水文学的評価森林生態系サービスの評価都市・農村構造変化の評価

治療的視点

法整備の効果インフラ整備の効果

環境教育の効果

ラオス:臨床環境学の具体例

自然と経済活動、地域と世界の、持続的な調和

臨床環境学テキスト(ラオ語・英語)の作成

診断と治療の協働

焼畑禁止・植林

(竹中,岡本,横山:2009.4着任)

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現状

臨床環境学の展開

森林減少

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
次にラオスでの臨床環境学研究の具体例を説明します. ラオスでは,21世紀型の新たな環境問題が起こっていると言えるでしょう.森林減少に対して,焼畑禁止政策が取られ,先進諸国の温暖化対策のCO2吸収源として,ユーカリなどの単一樹種の植林が大規模で進められています.その結果,森林は,面積が維持されても,質が劣化し,生物多様性の低下や水・物質循環の変調が生じています.つまり,ラオスでは,先進諸国による治療による環境変化の副作用を再診断すべきフェーズにあり,そこから次世代の治療法を見いだす臨床研究が必要です.
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低炭素型の都市交通網

公正な水資源配分制度

気候と調和可能な開発

陸海生態系の安定化

広域の水資源管理都市のエミッション制御

農村と都市の共存地域に根ざした環境管理

治療的視点モンスーン変化と水循環東シナ海の環境変化農村の持続可能性生物多様性の評価

診断的視点

中国:臨床環境学の具体例

更なる経済成長、都市化、農業形態の変化

(林・井村・太田)

温室効果ガス・エアロゾルの排出と気候変動(安成・神沢)

水循環・物質循環の変調と海洋環境の変化(安成・石坂・中塚)

急激な経済発展による人口の増大、水・エネルギーの不足

都市域の拡大巨大水資源開発

診断 治療

資源、エネルギー・水の大量消費(竹内・加藤)

現状

大規模な国土開発

効果と副作用

広域環境と調和した,都市農村間での持続可能なエネルギー・水・物質循環系の構築

診断と治療の協働

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臨床環境学の展開

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
急速な経済発展を続ける中国では,様々な環境問題が顕在化しています.診断的観点からの原因究明と,治療的観点からの対策・制度設計を,この図ように結び,共通するテーマについて診断・治療の両面からアプローチします. 例えば,私が研究しているこの「人間活動とアジアモンスーンの変化」は,「海洋環境変化」の研究とともに,水・物質循環の機構解明と将来予測を通じて,「資源,エネルギー,水消費」や「大気や水の汚染」といった環境問題の診断部分に大きく関わっており,これが「水資源配分制度」や「都市計画」といった治療型研究と,現場において連携・協働することで,臨床環境学が実践されると考えます.
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シベリア寒冷圏生態系・水循環変化

都市と農山漁村の共存

中国:急成長による環境負荷の軽減

ラオス生物多様性保全と伝統的生業の調和

ヒマラヤ氷河変動・氷河湖決壊

東南・南アジア地域

北東・東アジア地域

伊勢湾流域圏

臨床環境学の3エリアをつなぐテーマとは?

A.エリア間の直接的リンケージ

・ 経済的取引(グローバリズム)・ 汚染物質の伝播(放出と影響)・ 地球温暖化の原因と結果(温室効果ガスの放出と温暖化の被害)

等々

B. エリア毎に起きている現象の相同性

・ 環境問題発生のメカニズム(自然・社会・人文科学的過程)

・ 問題解決の工学的技術、利害関係者間の協力関係の構築方法

・ 問題の発生から克服に至る歴史的展開

等々

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私自身が提案した3つのテーマ(8月初旬)その背景と問題点

1.グローバリズムが地域環境に与える影響‐持続可能な地域と地球の関係とは?‐

2.上流‐下流システムの環境学‐非対称な関係を、どう管理するか?‐

3.気候の長期変動に対する人間社会の対応可能性‐その過去・現在・未来‐

○背景: 総合地球環境学研究所における長年のプロジェクト研究の経験を踏まえて、課題及びセミナーの進め方について、練りに練ったもの。

●問題点: 独善的に練られ過ぎている。つまり、このようなテーマを、トップダウン的に設定しても、3つの臨床環境学の具体的な成果と、噛み合うかどうか分らない。他にもっと良いテーマがあるかも…。

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本セミナーの目的

臨床環境学の3つのエリアで、現在、計画が立てられつつある、教育・研究プロジェクトの具体的な構想(特に、問題意識)を、持ち寄って、その中から、エリア間で、「直接のつながりが認められるテーマ」や、「共通の相同的なテーマ」を、みんなで発見し、来年度以降の具体的な基礎環境学講究(セミナー)のテーマとしていくこと。

【留意点1】 基礎から臨床へ、検討を要請する課題もあり得るのでは(ある地域の問題を理解し解決するために、他の地域での問題の検討が必要な場合、基礎が臨床の橋渡しをする可能性もある)

【留意点2】 基礎環境学スタートアップセミナー1や2と協力して、「名大で実際に行われている研究」と「行われていない研究」を、今年度中に正確に把握し、基礎環境学の目的を達成していく上で、「必要だけれども、追究不可能な課題」や、「必要なので、外部講師を頼んででも是非追究すべき課題」、等を、明確にしていく。

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本セミナーの進め方

●前半『3つの臨床環境学サイトのそれぞれにおける、教育・研究計画のレビュー』(最低3回)

★特に、他の地域(サイトの外部。隣接地域やグローバルな問題)との関係や、普遍的な環境問題の構造について、意識して、レビューして頂く。

●後半『“3つの臨床環境学のサイトをつなぐ共通の課題”であると認定できた課題に関する、ぞれぞれの専門的立場からレビュー』

★(予想される課題例)グローバル経済の現状と展望、地球温暖化が各地に及ぼす様々な影響、越境汚染問題の現状と課題

それぞれ、発表40分、質疑40分を目途とする。

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日程

★基本は、隔週木曜日の5限目(第一講義室)

★今後の日程(2009-10年)

・11月5日 (臨床レビュー1): 伊勢湾

・11月19日(臨床レビュー2): ラオス

・12月3日 (臨床レビュー3): 中国

・12月17日(臨床レビューの総括と各論の選定)

・1月7日(各論1)

・1月21日(各論2)

・2月・3月

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役割分担●世話人

中塚+臨床3領域の教員1名ずつ

●RAの方の役割★共通する役割(セミナーに参加すること)

★具体的な仕事(以下のどちらかを選択する?)

A.自ら発表する(前半:どこかの臨床環境学の議論に参加している場合‐世話人と相談。後半:個別の課題について、レビューが行えること‐前半の総括時に調整。)

B.他人の発表後に資料を整理して、サマリを作成し、Webに掲載する(Web掲載については、教育推進室の渡邊先生と相談)。

→セミナー1回に付き、対応するRAを、1名(Bのために)選任する(AとBが両方、RAの仕事になった場合は、合計2名)。

次回、担当は、伊勢湾のPD、RA