新免疫療法(nitc)による がん治療 - 前立腺癌 多発骨 …新免疫療法...

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前立腺癌 前立腺癌 前立腺癌 前立腺癌 多発骨転移 多発骨転移 多発骨転移 多発骨転移、当院治療 当院治療 当院治療 当院治療 4 9 ヶ間 間で卒業 卒業 卒業 卒業 患者様は 71 歳の男性で、平成 13 2 に激しい腰痛と背部痛が認められ、国 立病院の泌尿器科で前立腺癌(分化腺癌)による多発骨転移と診断され、それ以 歩くことができず車イス生活を余儀なくされた状態でした。担当医から息子様へ は『癌で極めて予後が悪い』との説明がなされていました。 ただちに入院となり、プロスタール 1 4 錠とゾラデックスをに 1 回のホルモ ン療法が開始されました。入院の前立腺癌の腫瘍マーカーPSA 値は 4700 ng/ml (基準値 4.0 ng/ml 以下)と異常高値を示しましたが、1 ヶ目には 32.4 ng/ml で低下しました。 その後、平成 13 5 に、当院を受診されました。 初診の PSA 値は 4.5 ng/ml (基準値 4.0 ng/ml 以下)まで低下しておりました。 骨転移のマーカーである 1CTP 14.2 ng/ml (基準値 4.5 ng/ml 満)と高値を示 し、ALP 327 IU/ml(基準値 260 IU/ml 以下)と高値を示していました。 また、免疫検査では、 NK 細胞の比率は 33%(11.0%以上が活性化)、活性化 NK 胞比率(NKP+)32%(10%以上が活性化)、NKT 細胞比率は 10.9%(10%以上 が活性化)と高い活性を示しました。 IFN-γは 10.4 IU/ml 10 IU/ml 以上が活性化)、 IL-12 値は 9.8 pg/ml 7.8 pg/ml 以上が活性化)とわずかに活性化が認められましたが、 充分とはいえない程度でした。 しかし、 2 ヵ目の平成 13 7 には、 IFN-γ値は 31.4 IU/mlIL-12 41.3 pg/ml と著しく改善しております。PSA 値も 1.9 ng/ml と基準値域に入り、以後順調に低下 しています。 前立腺癌の治療に対する新免疫療法(NITC)の各種免疫能力の貢献度について多変量 解析したところ、Th1 サイトカインの IL-12 がも貢献度が高く、次が NK 細胞でし た。この患者様の場合は、 IL-12 は初め充分でなかったのですが、治療開始後に著しく 改善しました。また、NK 細胞と NK 細胞活性化は治療開始より強力でした。 平成 13 8 (3 ヶ後)に、背部痛が激しく、痛みをとる目的で放射線療法を放医研で、多発骨転移の中で、も痛みの集 中する胸椎に受けております。 新免疫療法(NITC)と併用を続けておりましたホルモン療法は、平成 16 5 にはカソデックス(途中プロスタールより変 )を中止し、その3ヵ後にゾラディクスも中止しました。しかし、PSA 値は低下したままです。 新免疫療法(NITC)は、IL-X 6.0g/日、IL-Y 3.0g/日、さめ軟骨 20g/日、クレスチン 3.0g/隔日、そしてソニフィラン注とピシ バニール 5KE 1A/週からそれぞれ開始しましたが、平成 14 1 より、ソニフィランの筋肉注射を中止し、ピシバニール の経口投与もに 1 回に減薬されました。平成 17 2 からはクレスチンを中止し、平成 17 8 より IL-X 6.0g/日の単独 投与としても、PSA 値は 0.2 ng/ml 以下と低下したままでした。平成 18 2 からは IL-X の投与も中止し、PSA の値を現 在は経過観察しているところです。 平成 13 2 の新免疫療法(NITC)開始前の骨シンチと平成 14 5 の骨シンチを比較し、効と診断されました。平成 17 6 に放射線科専門病院で骨シンチを受け異常を認めないとの診断を受けております。 平成 23 1 息子様より電話を頂き、『父は元気にしています』とご連絡を頂きました。 新免疫療法 新免疫療法 新免疫療法 新免疫療法(NITC) (NITC) (NITC) (NITC)開始前 開始前 開始前 開始前 治療開始後 治療開始後 治療開始後 治療開始後 1 H13 2 H14 5 オリエント三鷹クリニック http://www.orient-ct.ne.jp/ 0 10 20 30 40 50 0 25 50 75 100 125 150 IFNγ(IU/ml) IL-12(pg/ml) 治療間() IFNγ:10以上が良好 IL-127.8以上が良好 IFNγ:10以上 IL-127.8以上 0 10 20 30 40 50 5 10 15 20 25 30 35 40 45 NK細胞比率 %,活性化NK細胞比率(%) 治療間() NK細胞比率:11以上が良好 活性化NK細胞比率:10以上が良好 NK細胞比率:11以上 活性化NK細胞比率:10以上 0 10 20 30 40 50 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 0 50 100 150 200 250 300 350 400 治療間() PSA:基準値4.0以下 ICTP:基準値4.5以下 ALP :基準値260以下 PSA(ng/ml) ICTP(ng/ml) ALP (IU/ml) ALP 基準値:260以下 ICTP基準値:4.5以下 PSA基準値:4.0以下

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Page 1: 新免疫療法(NITC)による がん治療 - 前立腺癌 多発骨 …新免疫療法 (NITC)と併用を続けておりましたホルモン療法は、平成 16 年5暻にはカソデックス(途中プロスタールより変

前立腺癌前立腺癌前立腺癌前立腺癌 多発骨転移多発骨転移多発骨転移多発骨転移、、、、当院治療当院治療当院治療当院治療 4444 年年年年 9999 ヶヶヶヶ月間月間月間月間でででで卒業卒業卒業卒業 患者様は 71 歳の男性で、平成 13 年 2 月に激しい腰痛と背部痛が認められ、国

立病院の泌尿器科で前立腺癌(未分化腺癌)による多発骨転移と診断され、それ以

来歩くことができず車イス生活を余儀なくされた状態でした。担当医から息子様へ

は『末期癌で極めて予後が悪い』との説明がなされていました。

ただちに入院となり、プロスタール 1 日 4 錠とゾラデックスを月に 1 回のホルモ

ン療法が開始されました。入院時の前立腺癌の腫瘍マーカーPSA 値は 4700 ng/ml

(基準値 4.0 ng/ml 以下)と異常高値を示しましたが、1 ヶ月目には 32.4 ng/ml ま

で低下しました。

その後、平成 13 年 5 月に、当院を受診されました。

初診時の PSA 値は 4.5 ng/ml(基準値 4.0 ng/ml 以下)まで低下しておりました。

骨転移のマーカーである 1CTP は 14.2 ng/ml(基準値 4.5 ng/ml 未満)と高値を示

し、ALP も 327 IU/ml(基準値 260 IU/ml 以下)と高値を示していました。

また、免疫検査では、NK 細胞の比率は 33%(11.0%以上が活性化)、活性化 NK 細

胞比率(NKP(+))は 32%(10%以上が活性化)、NKT 細胞比率は 10.9%(10%以上

が活性化)と高い活性を示しました。IFN-γは 10.4 IU/ml(10 IU/ml 以上が活性化)、

IL-12 値は 9.8 pg/ml(7.8 pg/ml 以上が活性化)とわずかに活性化が認められましたが、

充分とはいえない程度でした。

しかし、2 ヵ月目の平成 13 年 7 月には、IFN-γ値は 31.4 IU/ml、IL-12 は 41.3 pg/ml

と著しく改善しております。PSA 値も 1.9 ng/ml と基準値域に入り、以後順調に低下

しています。

前立腺癌の治療に対する新免疫療法(NITC)の各種免疫能力の貢献度について多変量

解析したところ、Th1 サイトカインの IL-12 が最も貢献度が高く、次が NK 細胞でし

た。この患者様の場合は、IL-12 は初め充分でなかったのですが、治療開始後に著しく

改善しました。また、NK 細胞と NK 細胞活性化は治療開始時より強力でした。

平成 13 年 8 月(3 ヶ月後)に、背部痛が激しく、痛みをとる目的で放射線療法を放医研で、多発骨転移の中で、最も痛みの集

中する胸椎に受けております。

新免疫療法(NITC)と併用を続けておりましたホルモン療法は、平成 16 年 5 月にはカソデックス(途中プロスタールより変

更)を中止し、その3ヵ月後にゾラディクスも中止しました。しかし、PSA 値は低下したままです。

新免疫療法(NITC)は、IL-X 6.0g/日、IL-Y 3.0g/日、さめ軟骨 20g/日、クレスチン 3.0g/隔日、そしてソニフィラン注とピシ

バニール 5KE を 1A/週からそれぞれ開始しましたが、平成 14 年 1 月より、ソニフィランの筋肉注射を中止し、ピシバニール

の経口投与も月に 1 回に減薬されました。平成 17 年 2 月からはクレスチンを中止し、平成 17 年 8 月より IL-X 6.0g/日の単独

投与としても、PSA 値は 0.2 ng/ml 以下と低下したままでした。平成 18 年 2 月からは IL-X の投与も中止し、PSA の値を現

在は経過観察しているところです。

平成 13 年 2 月の新免疫療法(NITC)開始前の骨シンチと平成 14 年 5 月の骨シンチを比較し、有効と診断されました。平成

17 年 6 月に放射線科専門病院で骨シンチを受け異常を認めないとの診断を受けております。

平成 23 年 1 月息子様より電話を頂き、『父は元気にしています』とご連絡を頂きました。

新免疫療法新免疫療法新免疫療法新免疫療法(NITC)(NITC)(NITC)(NITC)開始前開始前開始前開始前

治療開始後治療開始後治療開始後治療開始後 1111 年年年年

H13 年 2 月

H14 年 5 月

オリエント三鷹クリニック

http://www.orient-ct.ne.jp/

0 10 20 30 40 500

25

50

75

100

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IFNγ

(IU

/ml)、

IL-1

2(pg

/ml)

治療期間(月)

IFNγ:10以上が良好

IL-12:7.8以上が良好

IFNγ:10以上

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治療期間(月)

NK細胞比率:11以上が良好

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治療期間(月)

PSA:基準値4.0以下

ICTP:基準値4.5以下

:ALP:基準値260以下

PSA

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ml)、

ICT

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P (I

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ALP基準値:260以下

ICTP基準値:4.5以下

PSA基準値:4.0以下