山田緑地の烏類 - 北九州市立いのちのたび ... ·...

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山田緑地の自然、201-221ページ、1992年3月 NatureofYamadaPark,KitakyushuCity,Japanpp、201-221.Marchl992. 山田緑地の烏類 林宏 九州女子短期大学 (〒807北九州市八幡西区自由ケ丘) BirdsofYamadaParkinKitakyushuCity,Japan HiroshiHAYAsHI KyushuWomen'sJuniorCollege (Jiyugaoka,Yahatanisiku,Kitakyushu807,Japan) AbstractTheavifaunawasinvestigatedbythecommitteefOrtheuseof YamadaParkandKitakyushuNaturalHistotySocieryatYamadaParkin KitakyushuCityduringl987-l990、Eighty-sixspeciesofbirds(lOordersand 28families)wereobservedthere、Thepercentdominancetothetotalofall specieswerecalculatedastheindexfortheabundanceofeachspeciesin eachseason、ZosterOpsノapo凡jcadominatedinspringandsummer,and Hypsjpetesamaz"・otjsdominatedinautumandwinter,Elevenspeciesbred thereduringthestudyperiod・TheywerePhasia皿ssoemme〃iFzgjj,MOtacj"α c伽e花α,Hjノpsjpetesamα”otjs,Ce此jas9uamejcaps,Ce従jadjpノione,Fjce血jα 凡”cjssj"α,Parusuarjus,Parusm”or,ZbsterOpsノ〔Zpo凡jca,Em6erjzacjojdes, andCmqdue"ssmjca. はじめに 201 山田緑地を含む山田弾薬庫跡地の鳥類については岡山(1977)、岡山(1988)に、長年月に亘る 詳細な報告がなされ、これらに1963年から24年間に調査された127種の鳥類について記載された。 本報告は、山田緑地を対象とした、北九州自然史友の会による1987.1988年の調査と、山田緑地 利用検討委員会による1990年の調査結果をもとに作成した。友の会による調査は、鳥相の現況把握、 繁殖地としての利用状況を目的とし、委員会による調査は区域による鳥相の違い、鳥類の繁殖状況 および渡り鳥の状況把握を目的とした。 調査方法 友の会による調査の現況把握については、1987年2月21日から1988年6月18日までに計20回、山

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山田緑地の自然、201-221ページ、1992年3月

NatureofYamadaPark,KitakyushuCity,Japanpp、201-221.Marchl992.

山田緑地の烏類

林宏

九州女子短期大学

(〒807北九州市八幡西区自由ケ丘)

BirdsofYamadaParkinKitakyushuCity,Japan

HiroshiHAYAsHI

KyushuWomen'sJuniorCollege

(Jiyugaoka,Yahatanisiku,Kitakyushu807,Japan)

AbstractTheavifaunawasinvestigatedbythecommitteefOrtheuseof

YamadaParkandKitakyushuNaturalHistotySocieryatYamadaParkin

KitakyushuCityduringl987-l990、Eighty-sixspeciesofbirds(lOordersand

28families)wereobservedthere、Thepercentdominancetothetotalofall

specieswerecalculatedastheindexfortheabundanceofeachspeciesin

eachseason、ZosterOpsノapo凡jcadominatedinspringandsummer,and

Hypsjpetesamaz"・otjsdominatedinautumandwinter,Elevenspeciesbred

thereduringthestudyperiod・TheywerePhasia皿ssoemme〃iFzgjj,MOtacj"α

c伽e花α,Hjノpsjpetesamα”otjs,Ce此jas9uamejcaps,Ce従jadjpノione,Fjce血jα

凡”cjssj"α,Parusuarjus,Parusm”or,ZbsterOpsノ〔Zpo凡jca,Em6erjzacjojdes,andCmqdue"ssmjca.

はじめに

201

山田緑地を含む山田弾薬庫跡地の鳥類については岡山(1977)、岡山(1988)に、長年月に亘る

詳細な報告がなされ、これらに1963年から24年間に調査された127種の鳥類について記載された。

本報告は、山田緑地を対象とした、北九州自然史友の会による1987.1988年の調査と、山田緑地

利用検討委員会による1990年の調査結果をもとに作成した。友の会による調査は、鳥相の現況把握、

繁殖地としての利用状況を目的とし、委員会による調査は区域による鳥相の違い、鳥類の繁殖状況

および渡り鳥の状況把握を目的とした。

調査方法

友の会による調査の現況把握については、1987年2月21日から1988年6月18日までに計20回、山

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202

図1.1987.1988年のラインセンサスコース

図2.1990年のラインセンサスコース

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18.Apr、19901羽.

少ない

13.Jun、19901羽.

少ない

少ない

田緑地内の谷部と尾根部にラインセンサスコース(図l)を設定してセンサスを実施した。また、

繁殖のための利用状況については、山田緑地内をできるだけ詳細に探査してテリトリーの推測と繁殖行動の観察をした。

委員会による調査は、谷部・尾根部から支線を設定してラインセンサス(図2)を、また当地で

繁殖が見込まれる鳥類のテリトリーマップ作成の資料にするため、繁殖期の行動調査をつとめて詳細に記録した。

結果

全期間中に、山田緑地で観察された野生鳥類目録を表lに挙げた。これに10目28科86種のものを

記載した。また、参考資料として1987年の、国有地である北部の貯水池の水鳥の記録を表2に示し

た。これにカイツブリ科1種、ガンカモ科8種を記録した。

目録に挙げられた86種のうち、陸地に依存するものは72種で83.7%、水辺にも依存するものは14

種で16.3%であった。また留鳥が29種で33.7%、夏鳥が14種で16.3%、冬鳥が27種で31.4%、旅烏が16種で18.6%であった。

1987.1988年および1990年の、ラインセンサス結果から、前者については春夏秋冬の、後者につ

いては春夏秋の、季節ごとの鳥相を表3a~3.に記した。季節の分け方は、3~5月を春、6~8月を夏、9~11月を秋、12~2月を冬とした。

表1.山田緑地で観察された野生鳥類目録

CICONIIFORMESコウノトリ目

ARDEIDAEサギ科

lGo7sa虎虹sgojsagi(TEMMINcK)

21Vjノctjcom虻・〃yctjcom苑(LINNAEus)

3B“orjdesstrja虹s(LINNAEus)

4地rettaaj6a(LINNAEus)

5Egrettaga極etta(LINNAEus)

ANSERIFORMESガンカモ目

ANATIDA E ガ ン カ モ 科

6A〃αscreccaLINNAEus

FALCONIFORMESワシタカ目

ACCIPITRIDAEワシタカ科

7Pemjsapjuorus(LINNAEus)

8MIjuusm唇rα凡s(BoDDAERT)

9Htzノjaee”saj6jcj"a(LINNAEus)

lOAccjpjterge”"s(LlNNAEus)

llAccjpjter凡js哩s(LINNAEus)

l2B“eo6”eo(LINNAEus)

l3B“as”rmdjc邸s(GMELIN)

FALCONIDAEハヤブサ科

l4FajcojDeregrmusTuNsTALL

GALLIFORMESキジ目

PHASIANIDAEキジ科

イギイギ

ゴサゴサギ

ゾイサイサ

ミゴサダコ

203

夏留夏留留

コガモ

ハチクマ

トビ

オジロワシ

オオタカ

ハイタカ

ノスリ

サシ バ

30.Aug、19901羽.他

普通。上空飛翻

30.Mar、19901羽上空通過

13.Feb、19901羽

21.Feb、19871羽.他

30.Mar・'9872羽.他

9.Sep、19884羽同時飛翻

旅留冬冬冬冬夏

ハヤブサ15.Nov・'9902羽 冬

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11.May,19901羽

10.May、19902羽.他

留留留

l5Bam6usjcojathomcjca(TEMMINcK)コジュケイ

l6Pノiasja皿ssoemmerringjjTEMMINcKヤマドリ

l7Pノbasja皿scoZchjcusLlNNAEusキジ

CHARADRIIFORMESチドリ目

SCOLOPACIDAEシギ科

l8TringaochrOpusLlNNAEusクサシギ

COLUMBIFORMESハト目

COLUMBIDAEハト科

198t砲ptOpe"αorjentα"s(LATHAM)キジバト

20Sphe凡”ussjeboJd〃(TEMMINcK)アオバト

CUCULIFORMESホトトギス目

CUCULIDAEホトトギス科

21Cuc哩如Scα"omsLINNAEusカッコウ

22C型Cu血ssa虹、虹sBLYTHツツドリ

23C必CIM皿spo〃ocepノiaJusLATHAMホトトギス

STRIGIFORMESフクロウ目

STRIGIDAEフクロウ科

24jVjno難scu“Jata(RAFFLEs)アオバズク

25StrなumJe凡sjsPALLAsフクロウ

CAPRIMULGIFORMESヨタカ目

CAPRIMULGIDAEヨタカ科

26Caprjm叫増z4smdjcusLATHAMヨタカ

APODIFORMESアマツバメ目

APODIDAEアマツバメ科

27Apuspac城cz4s(LATHAM)アマツバメ

CORACIIFORMESブッポウソウ目

ALCEDINIDAEカワセミ科

28Ce砂jejUgu6rjs(TEMMINcK)ヤマセミ29Ajcedoatt賊s(LlNNAEus)カワセミ

PICIFORMESキツツキ目

PICIDAEキツツキ科

30Pjc型SazuoノberaTEMMlNcKアオゲラ

31De凡drocOposjejz”(TEMMINcK)コケラ

PASSERIFORMESスズメ目

HIRUNDINIDAEツバメ科

32Hiru"dorustjcaL1NNAEusツバメ

少ない

28.May、1987成鳥雌1羽雛5羽

18.Jun、19891羽

冬21.Feb、19871羽

留冬

多い

2.Mar、198837羽.他

旅旅夏

羽羽

11

27.May、1987

28.May、1987

少ない

夏留

204

夏12.Jun、19901羽

夏30.Jun、19904羽

留留

3.0ct、19902羽

13.Ju1.19901羽.他

留留

少ない

普通

夏夏

普通

30.Au9.19902羽.他33HjrundodaurjcaLlNNAEusコシアカツバメ

MOTACILLIDAEセキレイ科

34De"drona凡t”smdjcus(GMELIN)イワミセキレイ

35MOtacj〃αcmereaTuNsTALLキセキレイ

36Mbtaci"ααJ6aLINNAEusハクセキレイ

37Mbtacj"αg7wzdjsSHARPEセグロセキレイ

38A〃tノカ叫shodgsonjRlcHMoND ビンズイ

旅留冬留冬

22.0ct、1990

普通

22.0ct、1990

少ない

少ない

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CAMPEPHAGIDAEサンショウクイ科

39Per”OCC皿sdjUarjcatus(RAFFLEs)サンシヨウクイ13.Jun、19901羽

PYCNONOTIDAEヒヨドリ科

40H〕psjpetesamα”otjs(TEMMlNcK)ヒヨドリ多い

LANIIDAEモズ科

41Lα凡虹s6z4cepノtα此sTEMMlNcK&ScHLEGELモズ普通

CINCLIDAEカワガラス科

42α刀cノ必Spa"αsjjTEMMINcKカワガラス10.Jun、19881羽

TROGLODYTIDAEミソサザイ科

43Trogjodjltestrogノodytes(LlNNAEus)ミソサザイ15.Nov、19907羽.他

MUSCICAPIDAEヒタキ科

TURDIN AEツグミ亜科

44母itノiac必sαたαノtjge(TEMMlNcK)コマドリ11.May、19902羽.他

45Eだめαc哩scya凡e(PALLAs)コルリ28.Apr,19903羽.他46mα応jgerCyα"urus(PALLAs)ルリビタキ少ない

47Pノtoe兇jcurusα”o”us(PALLAs)ジヨウビタキ29.Mar,19877羽群れ.他

488α瓦COノator9uata(LINNAEus)ノビタキ22.0ct、19907羽

49Tu79dusdaumaLATHAMトラツグミ5.May、19901羽

50”rd必scardjsTEMMINcKクロツグミ3.May、19881羽

51Tt"・血Scノ2秒SOJα叫sTEMMlNcKアカハラ3.May・'9885羽.他52Tt"・duspα"jdusGMELINシロハラ普通

53,"dus〃α哩加α""jTEMMINcKツグミ多い

SYLVIINAEウグイス亜科

54Cettjas9uamejceps(SwINHoE)ヤブサメ普通

55Cettjadjpノto凡e(KITTLlTz)ウグイス多い

56Pノby"oscop叫s6oreajjs(BLAslus)メボソムシクイ18.Apr、19901羽

57Pノby"oscOpuste"e伽esSwINHoEエゾムシクイ28.Apr、19901羽.他

58Pノby"oscOp回soccjpjtα"s(BLYTH)センダイムシクイ12.May・'9883羽.他59Regujus79gg哩如s(LlNNAEus)キクイダキ少ない

60αsticoJα""cidjs(RAFINEsQuE)セツカ18.Jun・'9891羽MUSCICAPINAEヒタキ亜科

61Fjce血ノα〃αrcjssj"a(TEMMINcK)キビタキ普通

62FicedujamUgjmaノセ』(TEMMINcK)ムギマキ30.Aug・'9901羽.他63Cya瓦OptjjaCyanomejα"a(TEMMINcK)オオルリ普通

64Mi4scjcapasj6jrjcaGMELINサメビタキ3.0ct、19902羽

65Mt4scjcapagFjsejsticta(SwINHoE)エゾビタキ3.0ct、19901羽.他

66Mt4scjcqpajatかostrjsRAFFLEsコサメビタキ3.0ct、1990他MONARCHINAEカササギヒタキ亜科

67,9噸sjpノto"eatroca皿data(EYToN)サンコウチヨウ少ない

AEGITHALIDAEエナガ科

68AegjthaJosca哩dα虹s(LINNAEus)エナガ

PARIDAEシジュウカラ科

69Pamsuar虹sTEMMINcK&ScHLEGELヤマガラ多い

旅留留留冬

旅旅冬冬旅冬旅冬冬冬

夏留旅旅旅冬夏

夏旅夏旅旅旅

留留

205

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普通

少ない

3.Mar、19885羽.他

15.Nov、19909羽

7.Aug、1990.他

少ない

留留

多い70Hzr必Sm"orLlNNAEusシジュウカラ

ZOSTEROPIDAEメジロ科

71Zostempsノapo凡jcaTEMMINcK&ScHLEGELメジロ

EMBERIZIDAEホオジロ科

72Em6erjzacjojdesBRANDTホオジロ

73EmberjzarustjcaPALLAsカシラダカ

74Emberjzaejega7zsTEMMlNcKミヤマホオジp

75EmberjzaSpodocephaノaPALLAsアオジ

76Em6erjzaUarja6jjjsTEMMINcKクロジ

FRINGILLIDAEアトリ科

77Cとz池叫e"ssj"jca(LINNAEus)カワラヒワ

78Cとz極uejjsSpmus(LINNAEus)マヒワ

79Umgussjbjrjc必s(PALLAs)ベニマシコ

80Pyr戒uZapyr戒uja(LINNAEus)ウソ

81EOpho"αperso凡ata(TEMMINcK&ScHLEGEL)イカル

82Coccothmustescoccotノtmustes(LlNNAEus)シメ

PLOCE I D A E ハ タ オ リ ド リ 科

83Passermo"tα皿s(LINNAEus)スズメ

CORVIDAEカラス科

84Garm血sgノα"darjus(LINNAEus)カケス

85Coruuscoro凡eLINNAEusハシポソガラス

86Coru必smacro流y〃chosWAGLERハシプトガラス

多い

多い

普通

普通

普通

30.Mar・'9883羽.他

留冬冬冬冬

留冬冬冬冬冬

206

留施設付近に多い

冬留留

25.May,19904羽

やや少ない

普通

表2.国有地内の北部の貯水池における水鳥の記録(1987年)

数字の単位は羽

種名

調査日 21.Feb、26.Feb、27.Mar、29.Mar.

カイツブリ

マガモ

カル ガ モ

コガモ

オカヨシガモ

ヒドリガモ

シマア ジ

ハシ ビロガモ

キンクロハジロ

不明カモ類

1 0 20

24 142

1043 7300

2518310

020

39320

OOOO

430

11 0

0700

計 19817765

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優占度(%)||優占度順位種名

表3a・季節ごとの鳥相(春)

優占度(%)

ロスクウイス

ラジラキシキヨクラ

カオガワダムコダチイキイシガ

ウスリロトララホトヒビトイシタキメラウケタレムミリキソ

ロジュイドジバハラガマメメプラミガワウバグマイタサハコリスバュビキソジモセルマボ

ジオジグョオオロゲマヤバズシワグナヒョビジンソニクビプカメンスケシジズリセボロガワオギシ

メァシウヒホァシコヤミッスハカッエマジトキセウベキキヤアシサノカサコモルキメクコカオムハ

1987.1988年 1990年

05224377080822087659888666655444333322211111

●●。●●●●●●●■●●●●の●●■■。■●●●●③●ゆ●■●●●●●●●●●●●由●

77776655433222211110000000000000000000000000

優占度順位種名

207

スクスロウ

ララシラジョイキ

カワガムスガイオチメクコクイミタ

リウロスラキメヒトトリイトラギラソケホウリバリシシギズレグビ

ロドュガジイラガタサジラプバメルダバハトゲルポュバリマコスギドッドムマサバキミッウ

ジヨジナオグゲマビプオワシジバオンオロビトオカシジシルヤンケサマママゾニイオズセグラョ

メヒシエホウコヤキヤアカハキッオセアシトホアイハコサコミサカコヤアコエベゴアモキットジ

l23356779mu吃田圃賜蝿Ⅳ肥田加皿創創別別型誕鑓詔釦鋤釦羽調詔調諏師訂如如如如如

780563455906442098755555555332222221111111

●号●●●●●●●自甲。●●■●●●●●●Ba●●●●申●色●●●●●申●●●●●●●

0398655433221111100000000000000000000000000

21

種数(穂)4 4総個体数(羽)1374

羅紗:’1098.803鯛査日幾%M彩漂・悩蜘馴姓)調査回数(回)10

l234567899uu過皿皿略Ⅳ昭凶加皿創虹皿皿皿幻幻調羽鉦釧認調調調訂訂訂訂訂訂訂

43

1333

277.3

0.048

3Ⅷ溌茄糊術Ⅲ7

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表3b・季節ごとの鳥相(夏)

38

1653

476.9

0.035

13.14.30/Jun,13.28/Ju1.7.30/Aug.(1990)7

種数(種)29総個体数(羽)399

綴Vi柵qO9542.0

調査日10.11/Jun.(1987),18/Jun.(1988)調査回数(回)3

208

優占度(%)

2907151570842206521887754433222111111l

●●●●●●●③●●●■●●缶■①●●●●⑧●●●●巴■●①●申●●合●●G

40766554332222211110000000000000000000

21

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種名

表3c・季節ごとの鳥相(秋)

優占度(%)

スロスメイ

ララジキキラキパイレ

カガオワダイタキガタシイイレキキキ

リウロラトトスラホヒタザビタソビキカケライサレミトキタギミセタ

ドロガュジハメワプバイガマライ当フジミサメビボウルタアユゲズプキスセバセビルサバリセミビ

ョジナジオロズヒシジグズマヤワクゲオグソサリショカソメビシビジオンヤセケマオクメカイシスワワゾ

ヒメエシホシスマハキウモヤミカキコアッミコルハジイウシノコトコアピハキカヤアハサイゴサノカイエ

1987.1988年

優占度順位種名優占度(%)

1スズメ20.62ヒヨドリ14.0

3ホオジロ11.2

4キジバト9.35シジュウカラ8.4

6ハシブトガラス7.5

7ツバメ5.6

8 サシバ4.7

8メジロ4.7

8エナガ4.7

11コゲラ3.7

11ヤマガ ラ 3 . 7

1 3 セ グ ロセキレイ2.8

13キセキレイ2.8

1 5 コ サメビタキ1.9

16ゴイ サ ギ 0 . 916トビ0.916モ ズ0.91 6 ハ シ ボソガラス0.9

1990年

優占度順位

209

19

107

24.3

0.044

8.9/Sep.(1988)2

l23456789nu凪旧哩喝略肥肥廻加加加加拠妬弱”””調釦訓訓孤劃拓鎚拓拓拓拓拓拓調妬鍋調

46531866339876533097777655443322222111111111111

●●●●●ゆゆ由●●●■●●●●●●●●●ゆゆ●●●●●●●●●由■守由●●●●①●●●●。●

86066543321111111100000000000000000000000000000

111

種数(種)総個体数(羽)延面積(ha)密度(x/a)調査日鯛査回数(回)

47

1645

201.0

0.082

3.22/0ct,15/Nov.(1990)3

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優占度(%)

表3..季節ごとの鳥相(冬)

210

1987.1988年

123456789皿皿吃鴫皿M肥Ⅳ喝蜘四劃創蝕創迦塑迦犯犯訓鋤釦

優占度順位種名

2.4/唖b,(1988)

菰数(種)32総 個 体 数 ( 羽 ) 1 0 3 0

綴iii棚0.,2781.3

鯛在日21.26/Feb.(1987)綱盗回数(回)4

ロス

ラキジラ

カタコオスイキガワ

リラスウビロトシラホギケラタラトヒギギト

ドミロハジイュウジラバワマガマガトジギュゲビハブラサシバ

ョグジロオグジメョオゲジヒニマソヤナトロズサジオリカシビワイサオ

ヒッメシアウシシジホコキマペヤウミエホクモココアルアハトカゴクア

06632967205109987644333333322111

曲■車由仙早句①■●ら■◆。◆岳缶各各丹●岳①■岳岳色色■”申■

95199332221110000000000000000000

211

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211

春では、1987年3月30日から1988年5月13日までに10回実施して44種1374羽が得られ、延面積が

166.0ha、相対密度(以下密度とする)が0.083/a、1990年には3月30日から5月22日までに7回

実施して延面積が277.3ha,43種1333羽、密度が0.048/aであった。

夏では、1987年6月10日・'1日、1988年6月18日に3回実施し、29種399羽で、延面積が42.0ha,

密度は0.095/a、1990年には6月14日から8月30日までに7回実施し、38種1653羽で476.9ha,密

度は0.035/aであった。

秋では1988年9月8.9日に2回実施して19種107羽で24.3ha,密度が0.044/a、1990年には10月

3日から11月15日までに3回実施し、47種1645羽で密度が0.082/aであった。冬では1987年2月

21日から1988年2月4日までに4回実施し、32種1030羽で81.3ha、密度が0.127/aであった。

これによって主な留鳥の生息状況を季節ごとに比較すると、メジロは春に1987.1988年の優占度

が17.0で1990年が20.0(以下同順)夏に19.3と24.2で高かったが、秋には4.7と16.6,冬には11.6で秋

と冬に下がった。ヒヨドリは春に6.4と13.7で夏に3.5と10.9であったが秋には14.0と18.4で冬には2

9.0で秋冬に高くなった。ウグイスは春に7.2と5.6で夏には3.5と5.5,秋には0.0と1.9で冬には

3.9で秋に低かった。ホオジロは春に6.3と6.5で夏には13.3と7.0,秋に11.2と6.1で冬には2.0で

冬に低かった。シジュウカラは春に7.2と9.8で夏には6.5と6.7,秋には8.4と6.3で冬には3.9

で春夏秋には安定していたが冬にやや低くなった。ヤマガラは春に3.8と3.5で夏には3.5と2.8、

秋には3.7と1.7で冬には0.9で冬にやや低くなった。コゲラは春に4.0と5.3で:夏に2.5と3.7,

秋に3.7と1.3で冬には1.5で冬にやや下がった。キジバトは春に0.8と1.4で夏には2.5と2.4,

秋に9.3と2.3で冬には1.1で秋の一部を除いて全体に低かった。エナガは春は1.7と8.0、夏には

0.0と5.1,秋には4.7と10.5で冬には0.6でばらつきが大きかった。また、キジが1987.1988年の

夏に、ヤマドリが1990年春と夏に記録された。

夏鳥の1987.1988年と1990年を比較すると、キビタキは春には0.6から3.5へと高くなったが夏

には2.5と2.2でほとんど変わらなかった。ヤブサメは春が0.6から3.5へ、夏が0.8から2.2へと、

両季とも高くなった。サンコウチョウは春が0.4から0.3へ、夏が0.8から1.1へと、ほとんど変化

が無かった。ホトトギスは春が0.0から0.5へ、夏が0.8から2.0へ両季ともに増大した。オオルリ

は春が0.1から1.2へ、夏が0.3から0.4へと、春には増えた。

冬鳥のうち、優占度が高かったものは、春には1987.1988年のアオジ(7.5)、シロハラ(5.7)、

ミヤマホオジロ(3.0)、ツグミ(1.8)、マヒワ(1.6)、ジョウビタキ(1.5)、1990年のアオ

ジ(2.9)であった。秋には1990年のシロハラ(5.8)、マヒワ(3.6)、ミヤマホオジロ(1.7)、

キクイタダキ(1.5)、ツグミ(1.0)であった。冬には1987.1988年のツグミ(15.6)、シロハラ

(9.3)、アオジ(9.2)、シメ(2.7)、ジヨウビタキ(2.2)、マヒワ(1.0)などであった。

旅烏は春にメポソムシクイ・ムギマキ・コルリ・コマドリ・エゾムシクイが、秋にハチクマ・ノ

ビタキ・コサメビタキ・サメビタキ・イワミセキレイ・エゾビタキが記録された。

次に、渡り鳥と山田緑地の関係を把握するために、夏鳥・旅烏・冬鳥に相当する42種を抜きだし、

1990年3月30日から11月15日までの17回の調査日ごとの、ラインセンサスで記録された数を表4

1990年の渡り鳥の動向に記した。

これによって夏鳥の状況を見ると、サシバが4月18日から11月3日まで、ホトトギスが5月11日

から8月7日まで、ツバメが4月12日から8月30日まで、コシアカツバメが8月30日と10月3日に、

ヤブサメが3月30日から8月30日まで、キビタキが4月28日から7月28日まで、オオルリが4月12

日から8月7日まで、サンコウチヨウが5月11日から7月28日まで出現した。また、ササゴイ・ヨ

タカが6月13日に、アオバズクが5月11日にそれぞれ1羽、ヤマセミが10月3日に2羽記録された。

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411411161496

93

表4.1990年の渡り鳥の動向(羽)

*印はラインセンサス外

9986

16

月日|細鳳脇息脇,脇淵捌、鯵脇息患種名

1本ササゴイ

ハチクマ

オジロワシ

サシバ

ハヤプサ

ホトトギス

アオバズク

ヨタカ

ヤマセミ

ツバメ

コシアカツバメ

イワミセキレイ

ピンズイ

サンショウクイ

ミソサザイ

コマドリ

コルリ

ルリビタキ

ジョウビタキ

ノビタキ

トラツグミ

シロハラ

ツグミ

ヤプサメ

メボソムシクイ

エゾムシクイ

センダイムシクイ

キクイダキ

キビタキ

ムギマキ

オオルリ

サメビタキ

エゾビタキ

コサメビタキ

サンコウチョウ

ミヤマホオジロ

アオジ

マヒヮ

ベニマシコ

ウソ

イカル

シメ

l*

l*

1*212113811

11

1532212141

1*

l*

41561025341191

26

447

2 3

41

247

071

212

2222335

23

412 33

25

9219171476101

2571222212

511 1

938

記腔帥

25

141014 7

1 2 2 1 2 721111

旅烏ではハチクマが8月30日に、イワミセキレイが10月22日に、コマドリが4月18日と5月11日

に、コルリが4月28日と5月5日に、ノビタキが10月22日に、メポソムシクイが4月18日に、エゾ

ムシクイが4月28日に、センダイムシクイが3月30日から5月5日までに、ムギマキが8月30日に、

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サメビタキ・エゾビタキが10月3日に、コサメビタキが8月30日から10月22日までに観察された。

冬鳥ではオジロワシが3月30日に、ハヤブサが8月30日以降に、ピンズイが10月22日に、ミソサ

ザイが10月3日以降に、ルリビタキが10月22日以降に、ジョウビタキが3月30日と10月22日に、シ

ロハラが4月18日までと10月3日以降に、ツグミが4月18日までと11月15日に、キクイタダキが11

月15日に、ミヤマホオジロが4月12日までと11月15日に、アオジが4月18日までと10月22日以降に、

マヒワ・ウソ・シメが11月15日に、ベニマシコが3月30日に出現した。イカルは3月30日から10月

3日までl~2羽観察されたが、10月22日以降に数が増えた。

調査期間中における繁殖行動の記録を表5に示す。この中でサシバ・ヤマドリ・ツバメ・キセキ

レイ・ヒヨドリ・ヤプサメ・キビタキ・ヤマガラ・シジュウカラ・メジロ・ホオジロ・カワラヒワ・

スズメの13種は、何らかの繁殖行動をとった。

表5.繁殖行動の記録

1.サシバ 9.Sep、1988観察した4羽のうち2羽は巣立ち雛と思われる。

2.ヤマドリ28.May、1987雛5羽観察。

3.フクロウ10.May,19902羽生息。つがいの可能性がある。

4.ツバメ18.Jun,1989巣立ち雛5羽観察。

5.キセキレイ30.Jun、1990幼鳥2羽観察。

6.ヒヨドリ10.Jun、1988餌運搬観察。28.Ju1.1990巣立ち雛3羽観察。

7.ヤブサメ22.May,1990巣立ち雛観察。

8.キピタキ18.Jun、1989巣立ち雛2羽観察。

9.ヤマガラ18.Jun,1989巣立ち雛2羽観察。22.May、1990家族群及び巣立ち雛2羽観察。13.Jun、1990餌運搬及び巣立ち雛2羽観察。

10.シジュウカラ

u・メジロ

12.ホオジロ

13.カワラヒワ

14.スズメ

10.Jun、1988巣立ち雛2羽及び3羽観察。5.May、1990巣箱内で抱卵中を観察。22.May・'990巣立ち雛観察。13.Jun・’990巣立ち雛2羽及び雛2羽を含む3羽の群れ、3羽の雛連れ、

巣立ち雛連れを観察。13.Ju1.19905羽の家族群を観察。

10.Jun、

5.May11.May13.Ju1.

10.Jun、

18.Jun、

22.May28.Jul.

1988餌運搬観察。1990四の谷で営巣を観察。1990四の谷で餌運搬を観察。1990巣立ち雛2羽を連れた3羽群を観察。

1988餌運搬観察。1988巣立ち雛3羽観察。1990奥の谷で餌運搬観察。1990雛2羽を含む4羽の群れ及び雛1羽を観察。

10.Jun、1988巣立ち雛2羽観察。

10.Jun、1988巣立ち雛10羽観察。

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図3a・ウグイスのテリトリーマップ(1990年3月30日~7月13日)

図3b・ヤブサメのテリトリーマップ(1990年4月29日~6月14日)

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図3c・キビタキのテリトリーマップ(1990年4月29日~7月13日)

図3..オオルリのテリトリーマップ(1990年4月18日~7月13日)

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図3e・サンコウチヨウのテリトリーマップ(1990年5月11日~7月28日)

図3f,ホオジロのテリトリーマップ(1990年4月29日~7月13日)

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3月30日から7月28日までの、繁殖鳥類6種の行動を記録してテリトリーマップを作成した(図

3)。そのうちウグイスは3月30日~7月13日、オオルリは4月18日~7月13日、ヤプサメは4月

29日~6月14日、キビタキ・ホオジロは4月29日~7月13日、サンコウチョウは5月11日~7月28

日に記録したものである。

その結果テリトリー数はウグイスが16ケ所、ヤプサメが7ケ所、キビタキが11ケ所、オオルリが

4ケ所、サンコウチヨウが2ケ所、ホオジロが7ケ所であった。

結果から見た鳥類の状況

(1)山田緑地の鳥相

生息鳥類の季節による変動を見ると、春夏はメジロが最優占種で春夏の優占度の平均は20.1であっ

た。1990年のメジロの優占度がこの値に近い20.0であるので、このときの総個体数1333羽から逆算

すると、7回のラインセンサスの平均が38.1羽である。夏に巣立ち後の集団と思われるスズメが25.

8を占めたことがあるのでこれを考慮すればメジロの優占度はさらに高くなる。すなわち全個体数

の5分の1以上はメジロ、であった。

ところが秋冬にはヒヨドリが妓優占種となるが、これは冬鳥として渡来したヒヨドリが加わるた

めとメジロの移動が考えられるが、冬でも2種の冬鳥の次にはメジロが位置する。

次に高い留鳥はシジュウカラ・ヒヨドリ・ホオジロ・ウグイスで、冬の冬鳥を除けば四季を通じ

て安定している。以上の5種と山田緑地の環境との関係を以下に述べたい。

春夏には子育てのための小動物、秋冬には成鳥の越冬に要する樹木草本の果実種子と小動物を食

物として必要とする。緑地内および近接区域には以上の量の鳥類を養う食物量があるが、1987.

1988年春のヒヨドリの優占度が6.4で他の季節に比べて低くなったのは、冬鳥としてのヒヨドリの

北上だけでなく、1987.1988年冬に優占度がヒヨドリ(29.0)、ツグミ(15.6)で、2月頃樹木の果

実を食べ尽くしたことが樹上摂食性であるヒヨドリ数の制限原因になったことも考えられる。

メジロとヒヨドリは食蜜性で、これに伴い昆虫の少ない冬に開花するヤブツバキ・サザンカ・ビ

ワ・ウメの花粉の媒介をするが、山田緑地内には冬期に開花する樹種は多くはないと思われるので、

他地域に見られるような花粉媒介効果は少ないであろう。しかし3月末より開花を始める多くの樹

種の花粉交配には、昆虫とともに役立っている。メジロ・ヒヨドリは蜜の他に果実や小動物を好む

が特にメジロは冬季にミノムシ類を好む。

シジュウカラは樹洞営巣性の鳥類で、その樹洞は出入孔が28mm以上で洞内の横径は10cm

,程度は必要である。緑地内でも人工巣箱を利用したが、記録された最を保つだけの樹洞またはそれ

に代わるものが当地域に存在すると言える。シジュウカラの食性は動物質の割合いが高くまた季節

によっても変わる。冬季の昆虫卵、ミノムシは好物である。シジュウカラの多い地域にはミノムシは生息しにくい。

ホオジロの成鳥は草本の果実種子を主食とするが少量の小動物も食う。林縁を好むため、林縁が多い当緑地はホオジロの生息に適する。

ウグイスの成鳥の食性の大部分は昆虫を主とする小動物で一部植物質をとる。プッシュ性の鳥類

でそのさえずりも、低いプッシュ内の外部から見えにくい場所で鳴くことが多い。緑地内の昆虫量の調節に大きく関与している。

冬鳥で優占度が高い種類は、アオジ・シロハラ・ジョウビタキ・ミヤマホオジロ・ツグミ等であった。これらの当地での越冬のための食物は、おもに樹木草本の果実種子である。

このうちアオジはプッシュ内の地上で、落下した果実種子を摂食する。1987.1988年の春に優占

度が7.5と高かったのは、北上のための移動期に集まった他に、地上にはまだ食物が残っていたた

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め、ヒヨドリ・ツグミの減少のためと思われる。何れにしても当緑地の林相はアオジの生息に好適

である。

シロハラは樹上でも摂食するが、ブッシュ内で地上に落下した樹木の果実を、足であせって食べ

る習性があり、それと同時に地中のミミズ類他の小動物も摂食する。当緑地の林相はシロハラの生

息に好適である。

ジヨウビタキは低木に実る果実も食うが、肉食率も高い。地上でも摂食する。

ミヤマホオジロはブッシュ中または林縁の草原中の地上で、草本の果実種子を拾って食う。当緑

地内の環境は本種が好むような場所に恵まれている。

ツグミは樹上または地上で、樹木の果実・落下した地上の果実種子・地上の小動物など食性の範

囲が他の鳥類に比べて広い。大群を作ることがあり、その群れが飛来すると樹木の果実は早急に無

くなることがあり、樹上摂食性のヒヨドリ・アオバトの食餌が無くなりそれらの生息数に影響を与

える。しかし本種はその後も地上の食物で生息できる。

夏鳥で優占度が高かったものはツバメ・キビタキ・ヤプサメであった。ツバメは飛翻昆虫を、キ

ビタキ・ヤプサメは主として動物食である。夏鳥としてのキビタキ・ヤブサメの優占度が高いこと

は当緑地の特徴であろう。キビタキは1987.1988年と1990年との差は無かったが、ヤブサメは後者

の方がかなり高かった。その理由は不明であるが、将来2.2~3.5程度の値は続く可能性はある。こ

の両種ともにプッシュ性で、鳴き声は聞かれても姿が見にくい種類である。その点では留鳥のウグ

イスと共通している。

優占度が中位のおもな種としては、留鳥のヤマガラ・コゲラ・カワラヒワ・エナガ・キジバト、

冬鳥のマヒワ・シメ・アオバト・イカル・キクイタダキ、夏鳥のオオルリ・ホトトギス・サシバが

挙げられる。

留鳥のうちヤマガラは、シジュウカラと同様に樹洞で営巣する。営巣場所は一応足りているであ

ろう。コゲラは、枯れた樹幹に自ら巣穴を掘って営巣する。カワラヒワは地上の草本の果実種子を

摂食するが、秋冬季には樹上でヤシャブシ・ノグルミの果実も食う。エナガは群れを作って森林中

を移動するので、その群れに合うかどうかで優占度にばらつきが出るのはやむを得ない。昆虫卵や

小昆虫を好む。キジバトは一般地域に比べて優占度が低かった。都市鳥として人の生活地域の方が

生息しやすいかもしれない。

冬鳥のうち、マヒワはスギの種子を好み数十羽の集団で行動する。シメは樹上・地上で摂食する

が、やや開けた地上に落下した樹の実を食う習性があり、樹上のミノムシも好物で、体櫛が大きい

だけその消費量が多い。アオバトはもっぱら樹上でのみ果実を食う数少ない完全植物食のようであ

る。体内のナトリウム塩不足のためか、海岸で塩水を飲む。イカルは主として樹上で果実を食う。

キクイタダキは肉食率が高い。近年数は多くない。

夏鳥のオオルリは、肉食である。ホトトギスは1987.1988年より1990年の方が優占度が高かった

がその理由は分からない。サシバはカエル・小鳥類を摂食する。

優占度が低位である鳥類のうち、留鳥のフクロウは樹洞営巣性で、出入口の径が15cm程度必要

である。そのような自然木が少なくなった現在、一般に数が減ったと言われる。当緑地に生息した

ことは意義がある。カワセミは1950年~1973年に多用された農薬によって激減していたものが、現

在回復途中にある。ヤマセミは一般に数が少ない。ヤマドリは、近年減少の傾向にある◎緑地の環

境の中で定着している。キジが記録されたが、その定着は不明である。コジュケイは少数のものが

定着していると思われる。カワガラスは一般に数は多くはない。

冬鳥のベニマシコは数の少ない稀少種である。夏鳥のサンコウチヨウは、このような低標高地区

で越夏するのは特記に値しよう。

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(2)渡り鳥の利用状況

夏鳥がどの時期に渡来していつ渡去するか、どのような旅鳥がいつどれだけの数通過するか、ま

た冬鳥が何月何日に渡来していつ帰るか、を調べるために表6を作ったが、以下のことが分かった。

ただしこれは1990年の1ケ年間の例に過ぎない。

夏鳥では、サシバは4月12日から18日の間に渡来して営巣を始め、7月末には他へ移動したよう

である。8月30日と10月3日のものは他からの移動途中のものであろう。ホトトギスの初認は5月

11日でその後数が増え、おそらく緑地内のウグイスの巣に托卵したであろう。8月30日以降には見

られなかった。ヤブサメは3月30日にはすでに渡来していて生息数が多く、7月13日と28日には見

られなかったのでその頃他へ移動した可能性がある。キビタキは渡来が遅く、4月18日から28日の

間に渡来して来たようで、その後数が多かったが8月7日以降にはまったく見られなかったのでそ

の前に他へ移動したであろう。サンコウチヨウの渡来はさらに遅く、5月5日から11日の間であろ

う。そして8月7日以降には見られなくなった。

旅烏では、コマドリ・コルリ・メボソムシクイ・エゾムシクイ・センダイムシクイが春に通過し、

このうちセンダイムシクイは壌高9羽が4月28日に記録された。ハチクマ・イワミセキレイ・ノビ

タキ・ムギマキ・サメビタキ・エゾビタキ・コサメビタキは秋に通過し、そのうちコサメビタキは

最高の11羽が10月3日に見られた。春と秋両方に見られた旅烏はいなかったが、これは調査精度の

不足もあるが、種類によっては南下と北上のコースの違いも考えられる。

冬鳥の渡来は、ミソサザイ・シロハラが早くて10月3日に、やや後れてルリビタキ・ジヨウビ

タキ・アオジ・ビンズイが10月22日に、さらに遅れてツグミ・キクイタダキ・ミヤマホオジロ・マ

ヒワ・ウソが11月15日に出現した。渡去は、ジヨウビタキが早くて4月12日以降には、ミヤマホオ

ジロは4月18日以降には、シロハラ・ツグミ・アオジは4月28日以降にはそれぞれ見られなくなっ

た。

以上のように、夏鳥・冬鳥の渡来渡去期が種によって違うのは、当地から繁殖地または越冬地ま

での距離の違いにもよるであろうが、その他の理由はよく分からない。

(3)鳥類の営巣状況

山田緑地は、陸生鳥類の営巣地としての特徴を持つようである。それは季節ごとの鳥相と夏鳥の

動向、繁殖行動の記録、6種の鳥類のテリトリーマップを検討すれば言えるであろう。

メジロは、春夏の優占度が1位であること、繁殖行動の記録から見ても、多数のものが当緑地内

で営巣繁殖している。雛を育てるための昆虫他の小動物の量は現在のところ十分に存在するであろう。

シジュウカラは、春夏の優占度順位が何れも4位以上で、人口巣箱を利用する他奥地に営巣に適

する樹洞も存在するであろう。人工巣箱を増設すれば、育雛用昆虫の量の不足により、本種および他種の営巣に影響を与える可能性がある。

ヤマガラはシジュウカラに比べて優占度が低いが、繁殖行動の記録と併せて考えると、相当数が

営巣している。人工巣箱についてはシジュウカラと同様である。

ヒヨドリは春夏の優占度がかなり高く、繁殖行動も観察されたことから、相当数のものが営巣している。

カワラヒワとキセキレイは優先度が低いので、数は少ないが、繁殖行動が認められたので、確実に営巣はしている。

ヤマドリの営巣も確実である。フクロウの営巣は確実とは言えないが多分に可能性がある。フク

ロウ用の巣箱は、他の種類と競合しないため設置する方がよい。同様にアオバズク用も必要である。サシバは近隣地区を含めて、ほぼ間違いなく営巣している。

テリトリーマップを作ったウグイスは般少13個のテリトリーが認められ、これの巣にホトトギス

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が托卵した可能性がある。ヤプサメのテリトリーは7ケ所認められた。キビタキのテリトリーは11

ケ所挙げたが、やや不完全であるが、巣立ち雛も認められたので営巣していることは確実である。

オオルリのテリトリーは4ケ所認められるが、資料不足であることは否めない。営巣は認めてよい

と思う。サンコウチヨウのテリトリーは2ケ所見当がつけられるが資料が不十分である。しかし皿

倉山周辺で3~5ケ所での営巣があるので、当緑地内での営巣はほとんど間違いないと思う。ホオ

ジロのテリトリーマップは7ケ所認められた。繁殖行動の記録から見ても確実に営巣している。

ツバメとスズメは近隣の施設で営巣しているであろう。

以上、当緑地内で営巣した種はヤマドリ・キセキレイ・ヒヨドリ・ヤプサメ・ウグイス・キビタ

キ・ヤマガラ・シジュウカラ・メジロ・ホオジロ・カワラヒワの11種で、隣接地域を含めた地域で

繁殖が考えられるのはサシバ・ツバメ・スズメの3種、繁殖が見込まれるものは、フクロウ・オオ

ルリ.サンコウチヨウの3種、他の種については調査できなかった。

まとめ

山田緑地の鳥類に関する特徴は、第1にメジロが最優占種であったこと、第2にウグイス・キビ

タキ・ヤプサメ・シロハラ・アオジ等のプッシュ性の鳥類の優先度が高かったこと、第3に樹洞営

巣性のシジュウカラが高く、ヤマガラもかなりの位置にあり、フクロウもいたように、これらの営

巣適地があること、第4に予想を越えて多数の種類の多数の営巣が認められたこと等であろう。

春夏は、これだけの営巣による育雛のための食物量が、現在は足りていても、もし緑が減るよう

なことがあればそれだけ不足し、営巣量に影響を与えるであろう。シジュウカラ・ヤマガラ用巣箱

の増設についても同様で、その点他の人工が加わった地域とは別に考えなければならない。

いわゆる実のなる樹は冬鳥・留鳥の越冬のための食物であるが、年によっては早く実が無くなり、

その無くなる時期も年によって異なる。今後植え増しても、無くなる時期は多少ずれようが、基本

的には変わらない、きりがないと言える。したがって実のなる木の植え増しもこの点を考慮する必

要があろう。

岡山速俊l977

岡山速俊1988

文 献

山田弾薬庫跡地の野鳥北九州市経済局殖産課

山田弾薬庫跡地の鳥類についてわたしたちの自然史第27号、北九州自然

史友の会

謝 辞

本報告は次記調査協力者のお力添えによります。厚く感謝申し上げます。

(ABC順)益田智久、永田尚志、武石全慈、武下雅文、山田覚

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山田緑地に生息する鳥類

221

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①②③④⑤⑥

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山田緑地に生息する鳥類

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山田緑地の鳥類pp、201-221.

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