神経芽腫205 6 神経芽腫 6 神経芽腫 Ⅱ クリニカルクエスチョン一覧 総論 cq...

51
診療ガイドライン 6章 神経芽腫 神経芽腫は,胎生期の神経堤細胞を起源とする細胞が癌化したものであり,体幹の交 感神経節,副腎髄質に多く発生する。約 65 %が腹部であり,その半数が副腎髄質,そ れ以外には頸部,胸部,骨盤部などから発生する。悪性度の高いものや,自然退縮する ものなど,様々な腫瘍動態を示す 1) 発症頻度は米国の報告で,15 歳未満の小児腫瘍の 8〜10 %を占め,7,000 人に 対して 1 人の発生割合である。小児がんの中では白血病・脳腫瘍に次いで多くみられ る腫瘍である。小児慢性特定疾患治療研究事業の登録によると,わが国では年間 320 例前後の新規患児が発生している。年齢分布では 0 歳で最も高いピークがあり,3 歳 に第二の低いピークをもつ二峰性のパターンを示し,1 歳未満は 51 %,1〜3 歳が 28 %,4 歳以上は 21 %であった。 神経芽腫患者の約 70 %は診断時に転移がみられるが,予後は診断時年齢,臨床病 期,生物学的因子と強く関連する 2-4) 。年長児の進行期にある神経芽腫では,強力な治 療を行っても長期生存の可能性は明らかに低いが 5) ,1 歳未満の乳児では,進行期に あっても長期生存の可能性が高く 6, 7) ,乳児例の一部では自然退縮することも知られて いる 8) 【参考文献】 1)Maris JM, Hogarty MD, Bagatell R, et al. Neuroblastoma. Lancet 2007; 369: 2106-20. 2)Brodeur GM, Pritchard J, Berthold F, et al. Revisions of the international criteria for neuroblastoma diagnosis, staging, and response to treatment. J Clin Oncol 1993; 11: 1466- 77. 3)Shimada H, Umehara S, Monobe Y, et al. International neuroblastoma pathology classifi- cation for prognostic evaluation of patients with peripheral neuroblastic tumors: a report from the Children’s Cancer Group. Cancer 2001; 92: 2451-61. 4)Bown N, Cotterill S, Lastowska M, et al. Gain of chromosome arm 17q and adverse out- come in patients with neuroblastoma. N Engl J Med 1999; 340: 1954-61. 5)London WB, Castleberry RP, Matthay KK, et al. Evidence for an age cutoff greater than 365 days for neuroblastoma risk group stratification in the Children’s Oncology Group. J Clin Oncol 2005; 23: 6459-65. 6)Schmidt ML, Lukens JN, Seeger RC, et al. Biologic factors determine prognosis in infants with stage IV neuroblastoma: A prospective Children’s Cancer Group study. J Clin On- col 2000; 18: 1260-8. 7)Simon T, Hero B, Faldum A, et al. Infants with stage 4 neuroblastoma: the impact of the chimeric anti-GD2-antibody ch14.18 consolidation therapy. Klin Padiatr 2005; 217: 147- 52. 8)Pritchard J, Hickman JA. Why does stage 4s neuroblastoma regress spontaneously? Lancet 1994; 344: 869-70. はじめに

Upload: others

Post on 18-Mar-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

診療ガイドライン

6 章

神 経 芽 腫

神経芽腫は,胎生期の神経堤細胞を起源とする細胞が癌化したものであり,体幹の交

感神経節,副腎髄質に多く発生する。約65%が腹部であり,その半数が副腎髄質,そ

れ以外には頸部,胸部,骨盤部などから発生する。悪性度の高いものや,自然退縮する

ものなど,様々な腫瘍動態を示す1)。

発症頻度は米国の報告で,15歳未満の小児腫瘍の8〜10%を占め,7,000人に

対して1人の発生割合である。小児がんの中では白血病・脳腫瘍に次いで多くみられ

る腫瘍である。小児慢性特定疾患治療研究事業の登録によると,わが国では年間320

例前後の新規患児が発生している。年齢分布では0歳で最も高いピークがあり,3歳

に第二の低いピークをもつ二峰性のパターンを示し,1歳未満は51%,1〜3歳が

28%,4歳以上は21%であった。

神経芽腫患者の約70%は診断時に転移がみられるが,予後は診断時年齢,臨床病

期,生物学的因子と強く関連する 2-4)。年長児の進行期にある神経芽腫では,強力な治

療を行っても長期生存の可能性は明らかに低いが 5),1歳未満の乳児では,進行期に

あっても長期生存の可能性が高く 6, 7),乳児例の一部では自然退縮することも知られて

いる 8)。

【参考文献】 1) Maris JM, Hogarty MD, Bagatell R, et al. Neuroblastoma. Lancet 2007; 369: 2106-20. 2) Brodeur GM, Pritchard J, Berthold F, et al. Revisions of the international criteria for

neuroblastoma diagnosis, staging, and response to treatment. J Clin Oncol 1993; 11: 1466-77.

3) Shimada H, Umehara S, Monobe Y, et al. International neuroblastoma pathology classifi-cation for prognostic evaluation of patients with peripheral neuroblastic tumors: a report from the Children’s Cancer Group. Cancer 2001; 92: 2451-61.

4) Bown N, Cotterill S, Lastowska M, et al. Gain of chromosome arm 17q and adverse out-come in patients with neuroblastoma. N Engl J Med 1999; 340: 1954-61.

5) London WB, Castleberry RP, Matthay KK, et al. Evidence for an age cutoff greater than 365 days for neuroblastoma risk group stratification in the Children’s Oncology Group. J Clin Oncol 2005; 23: 6459-65.

6) Schmidt ML, Lukens JN, Seeger RC, et al. Biologic factors determine prognosis in infants with stage IV neuroblastoma: A prospective Children’s Cancer Group study. J Clin On-col 2000; 18: 1260-8.

7) Simon T, Hero B, Faldum A, et al. Infants with stage 4 neuroblastoma: the impact of the chimeric anti-GD2-antibody ch14.18 consolidation therapy. Klin Padiatr 2005; 217: 147-52.

8) Pritchard J, Hickman JA. Why does stage 4s neuroblastoma regress spontaneously? Lancet 1994; 344: 869-70.

はじめに

204

6 神経芽腫

Ⅰ 診療アルゴリズム

治療終了 化学療法 摘出術 化学療法造血幹細胞移植

手術療法

低リスクCQ 14, 15, 16, 17

中間リスクCQ 18, 19, 20 ,21

高リスクCQ 33

放射線治療CQ 12, 13CQ 24

CQ 22, 23, 25

再 発CQ 26, 27

生 検

症状,X線写真所見,身体所見CQ 31, 32

腫瘍マーカー,X線写真,超音波検査CT,MRI,MIBGシンチグラフィー,骨髄穿刺

CQ 1, 2, 3, 4, 28, 29, 30

転移なし or 病期 4SCQ 9, 10, 11

全摘出術CQ 14

予後因子判定(生物学的因子・病理)CQ 5, 6, 7, 8

転移ありCQ 10, 11

205

6

神経芽腫

6 神経芽腫

Ⅱ クリニカルクエスチョン一覧

総論 CQ 1  �神経芽腫の診断には,疾患に精通した臨床医,病理医,放射線診断医の協力,情報交換は必須か?

診断と病期分類・リスク分類

CQ 2  よく用いられる病期分類は?CQ 3  病期診断のために必要な検査,手順は?CQ 4  PET検査は有意義か?CQ 5  適切な病理分類は?CQ 6  予後因子は?CQ 7  治療方針の決定のためのリスク分類は必要か?CQ 8  神経芽腫のリスク分類に用いる診断時年齢は?

治療

外科治療

CQ 9  局所性神経芽腫の生検と一期的切除の適応は?CQ 10 骨盤内腫瘍の適切な外科治療は?CQ 11 ダンベル腫瘍での椎弓切除の有効性は?

放射線治療

CQ 12 放射線治療の有効性とその適応は?CQ 13 術中照射は有効か?

低リスク群の治療

CQ 14 外科的全摘可能な低リスク群腫瘍に対する治療は?CQ 15 外科的全摘不能な低リスク群腫瘍に対する治療は?CQ 16 乳児神経芽腫の治療法は?CQ 17 病期 4S 腫瘍への放射線治療,化学療法の意義と適応は?

中間リスク群の治療

CQ 18 中間リスク群腫瘍に対する治療の原則は?CQ 19 乳児の中間リスク群腫瘍に対する治療は?CQ 20 病期 3の適切な局所治療は?CQ 21 腹部神経芽腫の手術における腎合併切除の意義は?

高リスク群の治療

CQ 22 高リスク群に対する寛解導入療法は?CQ 23 高リスク群に対する自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有用性は?CQ 24 病期 4に対する外科治療の原則は?CQ 25 高リスク群における幹細胞移植のための自家幹細胞の適切な採取時期は?

セカンドライン治療

CQ 26 中枢神経系再発例の予後は?CQ 27 再発腫瘍に対する救済療法は?

その他 CQ 28 胎児および新生児における神経芽腫の治療法は?CQ 29 両側性,多発性腫瘍への対応は?CQ 30 MIBGシンチグラフィーによる治療効果判定は予後予測に有用か?CQ 31 眼球クローヌス /ミオクローヌス症候群への対応は?CQ 32 神経芽腫スクリーニングは有効か?CQ 33 分化誘導療法は有効か?

206

神経芽腫は,頸部から骨盤の交感神経幹と副腎を原発とする腫瘍であり,乳児期には自然に退縮する腫瘍も存在するが,多くは進行が速く,迅速な診断が求められる。病期や組織分類などによってリスク分類がなされることから,病理診断は,高い専門性が求められる。CT画像やMRI 画像,メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)シンチグラフィーを駆使した放射線診断には放射線専門医の協力が不可欠である。

神経芽腫の診断は,免疫組織化学検査,電子顕微鏡検査の他,バニリルマンデル酸(VMA),ホモバニリン酸(HVA)など尿中カテコラミン代謝産物値の上昇を検出することによって証明される。神経芽腫の中には,従来の光学顕微鏡検査ではリンパ腫,原始神経外胚葉腫瘍,横紋筋肉腫など小児の他の小型円形細胞腫瘍と鑑別できないものがある。診断は腫瘍組織での病理診断か,尿中のVMAと(または)HVAの上昇と骨髄で神

経芽腫を示唆する細胞塊を検出することによってなされる(図 1)。国際的な神経芽腫診断の必要最低基準は,以下のいずれか 1つを満たす必要がある1)。

① 光学顕微鏡検査による腫瘍組織の明確な病理診断が得られていること。その際に免疫組織検査,電子顕微鏡所見,尿中または血清カテコラミン代謝産物値の上昇が認められることを参考とする。

② 骨髄吸引や外科生検組織により明確な腫瘍細胞(例えば免疫組織学的に陽性の細胞集塊)が認められ,かつ上述の尿中または血清カテコラミン代謝産物値が高値を示していること。

さらに,治療に際してリスク分類を行ううえでも,国際病理分類(INPC分類,CQ

5 参照)によって病理所見を正しく分類することが必要であり,このために施設病理医の診断に加えて,小児腫瘍病理に精通した複数の病理医による中央病理診断を行うことが推奨される。

背景・目的

解 説

6 神経芽腫

Ⅲ 推 奨

神経芽腫の診断には,疾患に精通した臨床医,病理医,放射線診断医の協力,情報交換は必須か?

神経芽腫の診断には,クリニックや地域総合病院の一次,二次医療施設による画像診断に加えて,診療体制が整っている地域や大学病院のがん治療センターで初期から診療されることが推奨され,数日のうちに紹介される地域の診療連携が不可欠であり,さらに小児腫瘍に精通している複数の病理医,放射線医の参加が必要である。� (エビデンスレベル Ⅵ)

推奨グレード A

CQ 1

207

6

神経芽腫

生検あるいは切除時には,MYCN遺伝子増幅をはじめいくつかの生物学的因子の解析が腫瘍のリスク分類に必須であるため,これらの検査のための凍結組織あるいは生標本を準備し,これらの検査を行うことが必須である2)。遠隔転移の診断には,MIBGシンチグラフィーが推奨される。このMIBGは 123I を用

いる。稀にMIBG陰性の骨転移病変が報告されており,これらの検索には必要に応じて,骨シンチグラフィー,X線写真撮影を行う。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,152 件),2. × diagnosis(10,713 件),3. × review(950 件)。この中から本テーマに関連する 2文献を選択した。

1) Brodeur GM, Pritchard J, Berthold F, et al. Revisions of the international criteria for neuro-blastoma diagnosis, staging, and response to treatment. J Clin Oncol 1993; 11: 1466-77.(エビデンスレベルⅥ)

2) Maris JM, Hogarty MD, Bagatell R, et al. Neuroblastoma. Lancet 2007; 369: 2106-20.(エビデンスレベルⅥ)

検索式・参考にした二次資料

参考文献

症状(発熱,腫瘤など),X線写真の異常

尿中VMA/HVAによるスクリーニング

MIBGシンチグラフィー

骨シンチグラフィーX線写真

異常なし 異常集積

骨髄穿刺骨髄生検 生検または摘出

尿中VMA,HVA血清NSE,LDH,フェリチン

X線写真,CT,超音波,MRI 画像

図 1 神経芽腫の診断手順

208

神経芽腫のリスク分類に用いられる病期分類について検討した。

1993 年に国際標準として定められた INSS(表 1)は,現在広く病期分類に用いられている1)。また,INSS は予後と相関し,予後予測に有用であることが示されている2)。なお,この病期分類は,術中の所見を基に手術後に判定されるものである。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × staging(1,035 件),3. × review(153 件)。この中から本テーマに関連する 2文献を選択した。

1) Brodeur GM, Pritchard J, Berthold F, et al. Revisions of the international criteria for neuro-blastoma diagnosis, staging, and response to treatment. J Clin Oncol 1993; 11: 1466-77.(エビデンスレベルⅥ)

2) Ikeda H, Iehara T, Tsuchida Y, et al. Experience with International Neuroblastoma Staging System and Pathology Classification. Br J Cancer 2002; 86: 1110-6.(エビデンスレベルⅥ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

よく用いられる病期分類は?

国際的に最も多く用いられている病期分類は神経芽腫国際病期分類(International�Neuroblastoma�Staging�System:INSS)である。� (エビデンスレベル Ⅳ)

推奨グレード A

CQ 2

表 1 INSS 病期分類

病 期 定 義

1 限局性腫瘍で,肉眼的に完全切除。組織学的な腫瘍残存は不問。同側のリンパ節に組織学的な転移を認めない(原発腫瘍に接し,一緒に切除されたリンパ節転移はあってもよい)。

2A 限局性腫瘍で,肉眼的に不完全切除。原発腫瘍に接しない同側リンパ節に組織学的に転移を認めない。

2B 限局性腫瘍で,肉眼的に完全または不完全切除。原発腫瘍に接しない同側リンパ節に組織学的に転移を認める。対側のリンパ節に転移を認めない。

3 切除不能の片側性腫瘍で,正中線(対側椎体縁)を越えて浸潤。同側の局所リンパ節の転移は不問。または,片側発生の限局性腫瘍で対側リンパ節転移を認める。または,正中発生の腫瘍で椎体縁を越えた両側浸潤(切除不能)か,両側リンパ節転移を認める。

4 いかなる原発腫瘍であるかにかかわらず,遠隔リンパ節,骨,骨髄,肝,皮膚,および / または他の臓器に播種している(病期 4S は除く)。

4S 限局性腫瘍(病期 1,2A,2B)で,播種は皮膚,肝,および / または骨髄に限られる(1 歳未満の患者のみ)。骨髄中の腫瘍細胞は有核細胞の 10 %未満で,それ以上は病期4 である。MIBG シンチグラフィーが行われるならば骨髄への集積は陰性。

209

6

神経芽腫

神経芽腫の転移の有無,転移の場所はリスク分類や,その後の治療を左右するために,その検索法について検討した。

転移巣の検索は,治療を開始する前に実施する必要がある1)。以下にその方法を示す。① 骨髄転移を除外するため,両側後腸骨稜の骨髄穿刺吸引および骨髄生検(コア生

検)により骨髄を評価すべきである。十分に評価するためには,コア生検の検体に骨髄が少なくとも 1 cm以上(軟骨を除く)含まれていなければならない。1期腫瘍では骨髄の採取が不要な場合がある2)。

② 骨転移の評価には,遠隔転移部位の診断が可能な 123I を用いたメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)シンチグラフィーを実施し,その結果が陰性ないし検出不能であれば,テクネチウム 99(99mTc)を用いた骨シンチグラフィーを実施する。陽性病変には,骨転移の確認のためX線写真撮影が推奨される。

③ 触知可能なリンパ節は臨床的に評価し,必要に応じて組織学的な確認を行う。触知不可能なリンパ節の評価には,三次元(3D)CTを用いる。

④ 腹部および肝臓の評価には,CTおよび /またはMRI を用いる。次善手段として,超音波検査も精密な三次元測定に適している。MIBGシンチグラフィーが陽性の際に,腹部腫瘍の進展や,肺転移の発生を発見するためCTにより胸部を検査すべきである。

⑤ 診断時に中枢神経系転移が存在することは稀であり3),腰椎穿刺は,その後の中枢神経転移発生率の上昇に関連しうるため,避けるべきである4)。

傍脊椎腫瘍は,神経孔を通って伸展し,脊髄を圧迫し得る。傍脊椎腫瘍に隣接する脊椎のMRI が推奨される。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,152 件),2. × diagnosis(10,713 件)3. × staging(1,023 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。

1) Guidelines for the pediatric cancer center and role of such centers in diagnosis and treat-ment. American Academy of Pediatrics Section Statement Section on Hematology/Oncolo-gy. Pediatrics 1997; 99: 139-41.(エビデンスレベルⅠ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

病期診断のために必要な検査,手順は?

原発巣,転移巣の綿密な評価は,治療を開始する前に実施する必要がある。� (エビデンスレベル Ⅰ)

推奨グレード A

CQ 3

210

2) Jennings RW, LaQuaglia MP, Leong K, et al. Fetal neuroblastoma: prenatal diagnosis and natural history. J Pediatr Surg 1993; 28: 1168-74.(エビデンスレベルⅤ)

3) Mahoney NR, Liu GT, Menacker SJ, et al. Pediatric horner syndrome: etiologies and roles of imaging and urine studies to detect neuroblastoma and other responsible mass lesions. Am J Ophthalmol 2006; 142: 651-9.(エビデンスレベルⅤ)

4) Hiyama E, Yokoyama T, Hiyama K, et al. Multifocal neuroblastoma: biologic behavior and surgical aspects. Cancer 2000; 88: 1955-63.(エビデンスレベルⅤ)

211

6

神経芽腫

2-[fluorine-18]-fluoro-2-deoxy-D-glucose(FDG)-PETについてMIBGシンチグラフィーと比較してその有効性を検証した。

近年の画像診断の進歩により,PETが多くの腫瘍性疾患の診断に応用されるようになった。そこで,今回,PETの神経芽腫診断への応用を検討した報告を検索した1)。17例 20 スキャンの PETとMIBGの比較では,16 例を PETで検出,1例はMIBG陰性例であったが,20 スキャン中 13 スキャンはMIBGのほうが良好な集積を示した。PETは,カテコラミン産生能に関連しないので,MIBG集積不良例,すなわちカテコラミン非産生性腫瘍の診断に有効かもしれない。また,113 例の神経芽腫症例での PETとMIBGの比較検討では,進行神経芽腫病期

4症例において,MIBGが有意に有用であった2)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,152 件),2. × diagnosis(10,713 件),3. × PET(60 件)。この中から本テーマに関連する 2文献を選択した。

1) Shulkin BL, Hutchinson RJ, Castle VP, et al. Neuroblastoma: positron emission tomography with 2-[fluorine-18]-fluoro-2-deoxy-D-glucose compared with metaiodobenzylguanidine scintigraphy. Radiology 1996; 199: 743-50.(エビデンスレベルⅤ)

2) Sharp SE, Shulkin BL, Gelfand MJ, et al. 123I-MIBG scintigraphy and 18F-FDG PET in neuroblastoma. J Nucl Med 2009; 50: 1237-43.(エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

PET検査は有意義か?

神経芽腫診断においてPET検査の有用性は不明である。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード C

CQ 4

212

神経芽腫の初診時治療前の摘出組織での病理学的分類が予後に影響を与えるかを検討した。

神経芽腫の INPC病理学的分類(表 1)では,治療前に採取された腫瘍検体を用いて,間質増生量,神経芽腫細胞の成熟度および神経芽腫細胞の有糸分裂 -核崩壊指数

(MKI)を評価する1, 2)。これらの組織学的パラメーターと患者の年齢に基づいて,予後良好および予後不良に分類する。この分類システムや,ほぼ同じ基準を用いる他の分類

背景・目的

解 説

適切な病理分類は?

神経芽腫の病理分類は,国際神経芽腫病理分類(International�Neuroblastoma�Pathology�Classification:INPC分類)に従うことが推奨される。� (エビデンスレベル Ⅰ)

推奨グレード B

CQ 5

表 1 International Neuroblastoma Pathology Classification (Shimada System)

以下の 4 グループとそれぞれの亜分類に分ける

1. Neuroblastoma(Schwannian, stroma-poor)

 a.Undifferentiated(no obvious neuropil) b.Poorly differentiated(ganglionic cell<5 %) c.Differentiating(5 %<ganglionic cell)

2. Ganglioneuroblastoma, Intermixed(Schwannian stroma-rich, GNB stroma-rich)

mature Schwannian cell>50 %ganglioneuromatous tissue with scattered foci of variably differentiated neuroblastic cell

nests.

3. Ganglioneuroma(stromal dominant)

 a.Maturing(scattered neuroblasts, not in nests) b.Mature ganglio-neuromatous tumour with a few randomly dispersed immature

neuroblasts. No distinct nests of neuroblasts are found.

4. G anglioneuroblastoma, Nodular (composite Schwannian stroma-rich stroma-poor, GNB, nodular)

A discrete mass of stroma poor neuroblastoma trapped in mature matrix. Usually seen macroscopically and haemorrhagic. Has a sharp pushing margin or an encapsulated border.

The classification into favourable and unfavourable histology is then determined by the above morphological features and the patient's age in the case of the stroma-poor group.

Unfavourable histology group は以下のように定義する 1.All undifferentiated neuroblastomas 2.All nodular ganglioneuroblastomas 3.All neuroblastomas in patients older than 5 yrs of age 4.Patients less than 1.5 yrs with high MKI neuroblastomas 5.Patients 1.5-5 yrs with poorly differentiated neuroblastoma or with high/intermediate

MKI’s.

213

6

神経芽腫

システムによる予後予測との一致度は,いくつかの後方視的研究により確認されている1-4)。これらの病理分類は,小児腫瘍の病理に精通した病理医によってなされることが推奨され,施設の病理医の診断に加えて,複数の病理医による中央病理診断が必要である。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × international pathology(106 件),3. × classification(49 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。

1) Shimada H, Umehara S, Monobe Y, et al. International neuroblastoma pathology classifica-tion for prognostic evaluation of patients with peripheral neuroblastic tumors: a report from the Children’s Cancer Group. Cancer 2001; 92: 2451-61.(エビデンスレベルⅣ)

2) Ambros IM, Hata J, Joshi VV, et al. Morphologic features of neuroblastoma(Schwannian stroma-poor tumors)in clinically favorable and unfavorable groups. Cancer 2002; 94: 1574-83.(エビデンスレベルⅣ)

3) Burgues O, Navarro S, Noguera R, et al. Prognostic value of the International Neuroblasto-ma Pathology Classification in Neuroblastoma(Schwannian stroma-poor)and comparison with other prognostic factors: a study of 182 cases from the Spanish Neuroblastoma Regis-try. Virchows Arch 2006; 449: 410-20.(エビデンスレベルⅣ)

4) Navarro S, Amann G, Beiske K, et al. Prognostic value of International Neuroblastoma Pa-thology Classification in localized resectable peripheral neuroblastic tumors: a histopatholog-ic study of localized neuroblastoma European Study Group 94. 01 Trial and Protocol. J Clin Oncol 2006; 24: 695-9.(エビデンスレベルⅣ)

検索式・参考にした二次資料

参考文献

214

神経芽腫では,これまで多数の生物学的特性が検討されている。治療法の決定は,病理分類(INPC分類,Shimada 分類),腫瘍細胞の染色体数,腫瘍組織中のMYCN癌遺伝子の増幅,不均衡な 11 番染色体長腕(11q)のヘテロ接合性の消失および 1番染色体短腕(1p)のヘテロ接合性の消失などが重要な因子が報告されているがこれらの意義について検討した。

MYCN遺伝子増幅は,神経芽腫における強力な予後不良因子である。臨床研究の発展につれて,MYCN遺伝子以外の生物学的因子が,治療や臨床的に重要な予後因子として有用であることが明らかとなってきた。MYCNの増幅は 1番染色体短腕(1p)の欠失および 17 番染色体長腕(17q)の増幅と関係しており,後者は単独で予後不良を予測するとも報告されている1)。また,1番染色体短腕(1p)の欠失および 11 番染色体長腕(11q)の欠失が予後不良と相関するとの報告がなされている。腫瘍中のMYCN遺伝子産物の発現量はMYCN遺伝子の増幅とは相関せず,予後の予測には利用できない2)。広範囲に研究されているその他の生物学的予後因子には,腫瘍細胞のテロメアの長さ,テロメラーゼ活性3, 4),尿中バニリルマンデル酸(VMA),ホモバニリン酸

(HVA)の排泄量,および両者の比率,腫瘍細胞のCD44 発現,TrkA遺伝子の発現,血清神経特異性エノラーゼ値(NSE),血清乳酸脱水素酵素値(LDH),および血清フェリチン値がある5)。MRP1 薬物抵抗性遺伝子の高レベルの発現は,生存率低下の指標との報告ある6)。神経芽腫に発現するGABA作動性受容体のプロフィールは,年齢,病期,およびMYCN遺伝子の増幅に関係なく予後を予測するとされ 7),また,遺伝子発現プロファイリングは予後の予測に有用であるとされている8)。また,治療への反応性は治療成績と関連している。例えば,化学療法中または化学療法後の骨髄中における神経芽腫細胞の遺残は予後不良と関連している9, 10)。しかし,これらの多くの因子は,エビデンスが乏しく,MYCN遺伝子増幅以外にリスク分類に採用される因子は確定しておらず,時代とともに変化している。最近報告された,国際神経芽腫リスクグループによるリスク(International Neuroblastoma Risk Group Risk:INRGR)では,年齢,病期,MYCN遺伝子の増幅,11 番染色体長腕(11q)の欠失を予後因子として採用した14)。また,診断時年齢も重要な予後因子である(CQ 8 参照)。

表 1 に,一般的な予後因子と予後との関係を示す。

背景・目的

解 説

予後因子は?

予後因子は,病期,病理分類,腫瘍細胞の染色体数,腫瘍組織中のMYCN癌遺伝子の増幅である。� (エビデンスレベル Ⅰ)

推奨グレード B

CQ 6

215

6

神経芽腫

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × biology(1,195 件),3. × outcome(67 件)。この中から本テーマに関連する 14 文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Bown N, Cotterill S, Lastowska M, et al. Gain of chromosome arm 17q and adverse outcome in patients with neuroblastoma. N Engl J Med 1999; 340: 1954-61.(エビデンスレベルⅣ)

2) Cohn SL, London WB, Huang D, et al. MYCN expression is not prognostic of adverse out-come in advanced-stage neuroblastoma with nonamplified MYCN. J Clin Oncol 2000; 18: 3604-13.(エビデンスレベルⅣ)

3) Poremba C, Hero B, Goertz HG, et al. Traditional and emerging molecular markers in neuro-blastoma prognosis: the good, the bad and the ugly. Klin Padiatr 2001; 213: 186-90.(エビデンスレベルⅣ)

4) Ohali A, Avigad S, Ash S, et al. Telomere length is a prognostic factor in neuroblastoma. Cancer 2006; 107: 1391-9.(エビデンスレベルⅤ)

5) Riley RD, Heney D, Jones DR, et al. A systematic review of molecular and biological tumor markers in neuroblastoma. Clin Cancer Res 2004; 10: 4-12.(エビデンスレベルⅠ)

6) Haber M, Smith J, Bordow SB, et al. Association of high-level MRP1 expression with poor clinical outcome in a large prospective study of primary neuroblastoma. J Clin Oncol 2006; 24: 1546-53.(エビデンスレベルⅢ)

7) Roberts SS, Mori M, Pattee P, et al. GABAergic system gene expression predicts clinical outcome in patients with neuroblastoma. J Clin Oncol 2004; 22: 4127-34.(エビデンスレベルⅣ)

8) Wei JS, Greer BT, Westermann F, et al. Prediction of clinical outcome using gene expres-sion profiling and artificial neural networks for patients with neuroblastoma. Cancer Res 2004; 64: 6883-91.(エビデンスレベルⅣ)

9) Burchill SA, Lewis IJ, Abrams KR, et al. Circulating neuroblastoma cells detected by re-verse transcriptase polymerase chain reaction for tyrosine hydroxylase mRNA are an inde-pendent poor prognostic indicator in stage 4 neuroblastoma in children over 1 year. J Clin

検索式・参考にした二次資料

参考文献

表 1 神経芽腫の生物学的特性と予後 11-14)

生物学的因子 予後良好 予後中等度 予後不良

MYCN 増幅 なし なし あり核 型 hyperdipolid near-diploid near-diploid

near-triploid near-tetraploid near-tetraploid 1 p 欠失 稀 少数 あり11 q 欠失 稀 あり あり17 q 増加 稀 あり ありTrk A 発現 高発現 低発現 / なし 低発現 / なしHa-ras 発現 高発現 低発現 / なし 低発現 / なしテロメラーゼ 低発現 / なし 低発現 高発現

年 齢 通常 1 歳 6 カ月未満 通常 1 歳 6 カ月以上 1〜5 歳INSS 病期分類 1,2,4S 3,4 3,4無病 3 年生存率 90 %以上 30〜50 % 20 %以下

216

Oncol 2001; 19: 1795-801.(エビデンスレベルⅣ) 10) Seeger RC, Reynolds CP, Gallego R, et al. Quantitative tumor cell content of bone marrow

and blood as a predictor of outcome in stage IV neuroblastoma: a Children's Cancer Group Study. J Clin Oncol 2000; 18: 4067-76.(エビデンスレベルⅣ)

11) Brodeur GM. Neuroblastoma: biological insights into a clinical enigma. Nat Rev Cancer 2003; 3: 203-16.(エビデンスレベルⅥ)

12) Brodeur GM, Maris JM, Yamashiro DJ, et al. Biology and genetics of human neuroblastomas. J Pediatr Hematol Oncol 1997; 19: 93-101.(エビデンスレベルⅥ)

13) Hiyama E, Hiyama K, Ohtsu K, et al. Telomerase activity in neuroblastoma: is it a prognos-tic indicator of clinical behavior? Eur J Cancer 1997; 33: 1932-6.(エビデンスレベルⅣ)

14) Cohn SL, Pearson AD, London WB, et al. The International Neuroblastoma Risk Group(INRG)classification system: an INRG Task Force report. J Clin Oncol 2009; 27: 289-97.(エビデンスレベルⅣ)

217

6

神経芽腫

神経芽腫患者の約 70 %に,診断時に転移巣がみられる。神経芽腫患者の予後には,診断時の年齢,臨床病期,原発腫瘍の部位および腫瘍の組織型が,さらに生物学的因子が関わっている 1-4)。これらの予後因子を用いたリスク分類について検討した。

神経芽腫は,小児がんの中でも腫瘍特性が最も多様性を示すがんとして知られ,その治療は,リスク分類に従って選択されるのが一般的である。限局性神経芽腫の全年齢の患児および,進行期にあるが悪性度の低い神経芽腫の 1歳未満の乳児では,長期無病生存の可能性が高い1, 5)。治療方針決定に必要な,正確な生物学的特性を把握するためには,手術的摘出または生検での腫瘍の解析が必須となる。リスク分類は,診断時年齢,

背景・目的

解 説

治療方針の決定のためのリスク分類は必要か?

神経芽腫は臨床的特徴と生物学的特性に基づき3群(低リスク群,中間リスク群,高リスク群)に分類され,これらのリスク分類は治療法の決定には必要である。� (エビデンスレベル Ⅰ)

推奨グレード A

CQ 7

表 1 Children’s Oncology Group Neuroblastoma Risk Grouping(COG リスク分類)

INSS Age MYCN INPC Ploidy Risk

2A/2B 0〜30 歳 + 高3 0〜30 歳 + 高3 >=547 日 − UF 高4 <365 日 + 高4 365〜<547 日 + 高4 365〜<547 日 DI=1 高4 365〜<547 日 UF 高4 >=547 日 高

4S <365 日 + 高

3 >=365 日 − FH 中間3 365〜<547 日 − UF 中間3 <365 日 − UF 中間3 <365 日 − DI=1 中間3 <365 日 − FH DI>1 中間4 <365 日 − FH DI>1 中間4 <365 日 − UF 中間4 <365 日 − FH DI=1 中間4 365〜<547 日 − FH DI>1 中間

4S <365 日 − UF 中間4S <365 日 − FH DI=1 中間

1 0〜30 歳 低2A/2B 0〜30 歳 − 低

4S <365 日 − FH DI>1 低

FH:Favorable histology,UF:Unfavorable Histology,DI:DNA index米国 COG では,INSS 分類病期 1 全例を低リスクとし,病期 2A/2B で 1 歳未満の症例すべてと1 歳以上の MYCN 増幅例の中で favorable type の組織型のものは低リスクとしている。実際にはこうした MYCN 増幅の早期症例は極めて少数である。

218

組織分類(嶋田分類,INPC分類,CQ 5 参照)6-8),病期(INSS 分類,CQ 2 参照)などの臨床的因子に,MYCN遺伝子増幅,腫瘍細胞の染色体数(ploidy)などの分子生物学的因子を組合せて判定する。米国COGでは,表 1 の分類にてリスクを分けている。なお,近年国際的標準でのリスク分類として,INRGRが報告された。このリスク分類では,年齢,病期,MYCN遺伝子の増幅,11 番染色体長腕(11q)の欠失を予後因子として採用した9)。図 1 にリスク分類の簡単なフローチャートを記載する。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1970〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(26,556 件),2. × risk(1,211 件),3. × staging(243 件),4. × factor(30 件)。この中から本テーマに関連する 9文献を選択した。

1) Adams GA, Shochat SJ, Smith EI, et al. Thoracic neuroblastoma: a Pediatric Oncology Group study. J Pediatr Surg 1993; 28: 372-7; discussion 377-8. (エビデンスレベルⅤ)

2) Evans AE, Albo V, D’Angio GJ, et al. Factors influencing survival of children with nonmeta-static neuroblastoma. Cancer 1976; 38: 661-6.(エビデンスレベルⅤ)

3) Hayes FA, Green A, Hustu HO, et al. Surgicopathologic staging of neuroblastoma: prognos-tic significance of regional lymph node metastases. J Pediatr 1983; 102: 59-62.(エビデンスレベルⅤ)

4) Cotterill SJ, Pearson AD, Pritchard J, et al. Clinical prognostic factors in 1277 patients with neuroblastoma: results of The European Neuroblastoma Study Group 'Survey' 1982-1992.

検索式・参考にした二次資料

参考文献

MYCN

Age

INSS

INPC

Ploidy

Risk

1 歳半未満

Hyper-dipolid Dipolid

低リスク 中間リスク 高リスク

Favorable Unfav Favorable Unfav

1,2A/B 4S 3,4 1,2A/B 3 4

1 歳半以上

MYCN非増幅 MYCN増幅

図 1 リスク分類のフローチャート Unfav:unfavorable

219

6

神経芽腫

Eur J Cancer 2000; 36: 901-8. (エビデンスレベルⅣ) 5) Brodeur GM, Azar C, Brother M, et al. Neuroblastoma. Effect of genetic factors on prognosis

and treatment. Cancer 1992; 70(6 Suppl): 1685-94. (エビデンスレベルⅥ) 6) Castleberry RP, Pritchard J, Ambros P, et al. The International Neuroblastoma Risk Groups

(INRG): a preliminary report. Eur J Cancer 1997; 33: 2113-6.(エビデンスレベルⅣ) 7) London WB, Castleberry RP, Matthay KK, et al. Evidence for an age cutoff greater than 365

days for neuroblastoma risk group stratification in the Children's Oncology Group. J Clin Oncol 2005; 23: 6459-65.(エビデンスレベルⅣ)

8) Hiyama E, Yamaoka H, Kondo S, et al. Heterogeneous subgroups in human neuroblastoma for clinically relevant risk stratification. Pediatr Surg Int 2007; 23: 1051-8.(エビデンスレベルⅤ)

9) Cohn SL, Pearson AD, London WB, et al. The International Neuroblastoma Risk Group(INRG)classification system: an INRG Task Force report. J Clin Oncol 2009; 27: 289-97. (エビデンスレベルⅣ)

220

神経芽腫患者の予後には,診断時の年齢,臨床病期,原発腫瘍の部位および腫瘍の組織型のほか,さらに生物学的因子が関わっていることが示されている。1歳未満の乳児は,長期無病生存の可能性が高い 1, 2)とされてきた。また,病期 4S のように自然退縮するものも存在し,リスク分類に用いるべき年齢の境界を検討した。

米国COGが,1986〜2001 年の 3,666 人について検討したが,年齢に基づく予後予測は自然界の中では連続的である3)。臨床的に関連のリスク層別化として,統計解析上,最も大きな差は,460 日(1歳半)前後に存在することを示した。しかし,これは単に統計的差であり,実際には 460 日(1歳半)以前であっても,予後不良な症例は存在し,以後の症例であっても予後良好例は存在する。わが国においても同様の結果であり4),年齢因子は連続的なリスク因子であるといえる。その中で,国際神経芽腫リスクグループによるリスク(INRGR)では,1歳半を採用した5)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,155 件),2. × age(1,690 件),3. × risk(384 件),4. × outcome(134 件)。この中から本テーマに関連する 5文献を選択した。

1) Adams GA, Shochat SJ, Smith EI, et al. Thoracic neuroblastoma: a Pediatric Oncology Group study. J Pediatr Surg 1993; 28: 372-7; discussion 377-8.(エビデンスレベルⅤ)

2) Brodeur GM, Azar C, Brother M, et al. Neuroblastoma. Effect of genetic factors on prognosis and treatment. Cancer 1992; 70(6 Suppl): 1685-94.(エビデンスレベルⅥ)

3) London WB, Castleberry RP, Matthay KK, et al. Evidence for an age cutoff greater than 365 days for neuroblastoma risk group stratification in the Children’s Oncology Group. J Clin Oncol 2005; 23: 6459-65.(エビデンスレベルⅣ)

4) Hiyama E, Yamaoka H, Kondo S, et al. Heterogeneous subgroups in human neuroblastoma for clinically relevant risk stratification. Pediatr Surg Int 2007; 23: 1051-8.(エビデンスレベルⅤ)

5) Cohn SL, Pearson AD, London WB, et al. The International Neuroblastoma Risk Group(INRG)classification system. J Clin Oncol 2009; 27: 289-97.(エビデンスレベルⅣ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

神経芽腫のリスク分類に用いる診断時年齢は?

神経芽腫では予後分類を規定するリスク因子として,診断時年齢1歳あるいは1歳 6カ月が用いられている。�(エビデンスレベル Ⅳ)

推奨グレード B

CQ 8

221

6

神経芽腫

遠隔転移のない神経芽腫について,診断時の画像所見から,一期的に切除するか,生検を行って化学療法後に二期的切除術を行うべきかを検討した。

こうした外科的切除に関する検討は少ないが,外科的リスク因子(Surgical Risk Factors:SRFs)という概念を導入し,診断時の画像所見においてこれらが認められる症例と認められない症例について,後方視的に検討した報告1)がある。ヨーロッパの共同研究で,外科的リスク因子を有する症例では完全切除率が低下し,外科関連合併症が増加することが明らかになった。外科的リスク因子を設定し,その有用性を検討した初めての報告で,症例数も多く有用な解析である。さらに,これらに改定が加えられ,IDRF(Image Defined Risk Factor)という概念が提唱され,INRGRに取り入れられた。IDRFは,局所性神経芽腫の症例に対し,画像所見から手術のリスクを推定し,初期手術として摘出を試みるのか生検のみで留めるのかを判定するための評価項目である。従来の INSS 分類は術後の分類であったが,IDRFは画像診断から術前に病期分類を行うことができ,今後の治療法選択に有用な指針となると考えられる2)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × localized(425 件),3. × surgical risk(17 件)。この中から本テーマに関連する 2文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Cecchetto G, Mosseri V, De Bernardi B, et al. Surgical risk factors in primary surgery for localized neuroblastoma: the LNESG1 study of the European International Society of Pediat-ric Oncology Neuroblastoma Group. J Clin Oncol 2005; 23: 8483-9.(エビデンスレベルⅤ)

2) Monclair T, Brodeur GM, Ambros PF, et al. The International Neuroblastoma Risk Group(INRG)staging system: an INRG Task Force report. J Clin Oncol 2009; 27: 298-303.(エビデンスレベルⅥ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

局所性神経芽腫の生検と一期的切除の適応は?

局所性神経芽腫において,外科的リスク因子のある症例は,生検を先行させることが推奨される。� (エビデンスレベル Ⅵ)

推奨グレード B

CQ 9

222

骨盤内原発神経芽腫は比較的予後良好とされるが,全摘するためには臓器や神経の合併切除が必要である。こうした観点から,外科的アプローチについて検討した。

ロンドンの小児病院からの 17 例の後方視的検討 1)やフランスの 47 例の前方視的多施設共同研究 2)によれば,骨盤内原発神経芽腫は比較的予後良好(5年全生存率 93 %,5年無病生存率 89 %)2)であるが,その解剖学的位置により,神経や血管を巻き込んで発育することが多く,全摘するためには臓器や神経の合併切除がしばしば必要で,特に神経学的な後遺症が生じやすい。肉眼的遺残のある症例は摘出術後に強い治療が選択されるというバイアスはあるものの,全摘できた症例に比べその予後は極端に悪くない

(5年無病生存率 76 % vs. 89 %)ことから,術前化学療法による縮小に期待し,主要臓器温存を心掛けた外科的アプローチが推奨される。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × pelvic(89 件),3. × surgical(33 件)。この中から本テーマに関連する 2文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Cruccetti A, Kiely EM, Spitz L, et al. Pelvic neuroblastoma: low mortality and high morbidi-ty. J Pediatr Surg 2000; 35: 724-8.(エビデンスレベルⅤ)

2) Leclair MD, Hartmann O, Heloury Y, et al. Localized pelvic neuroblastoma: excellent surviv-al and low morbidity with tailored therapy ─ the 10-year experience of the French Society of Pediatric Oncology. J Clin Oncol 2004; 22: 1689-95.(エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

骨盤内腫瘍の適切な外科治療は?

骨盤内原発神経芽腫は比較的予後良好であり,手術合併症を防ぐために術前化学療法を行い腫瘍の縮小を待って手術するべきである。また,必ずしも全摘を必要としない。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード B

CQ 10

223

6

神経芽腫

神経芽腫椎管内浸潤(ダンベル型)腫瘍に対する有効な治療法を検討した。

13 例のダンベル型神経芽腫で神経症状のあるものに対し,全例で化学療法が行われ,3例が回復,4例改善,6例不変で,不変 6例中 2例が緊急椎弓切除を受けて回復したことより,化学療法不応性の症例では緊急椎弓切除が有効であるとの報告がある1)。フランスの多施設共同研究では,42 例中 32 例が化学療法を最初に受け,このうち神経症状があった 19 例中 11 例が消失,3例が改善した。1例のみが化学療法中に神経症状が増悪し,緊急減圧で回復した。また,7例の急性発生の神経症状の症例に手術を行い 5例が回復した2)。米国 POGからの 83 例の後方視的検討 3)では,急性期の椎弓切除例と化学療法のみの症例との比較では,神経症状の改善率が 83 %と 92 %で差はなかった。わが国の 94/98 乳児プロトコールでは 33 例のダンベル症例に対して,低用量のビンクリスチン,シクロホスファミド,ピラルビシンの治療を行うことで,椎弓切除を行わず,神経症状の改善が 33 %でみられ,神経症状の増悪例はなかった4)。椎弓切除術は側弯という晩期合併症をきたすことから,低リスク群あるいは中等度リ

スク群では,晩期障害が少ない化学療法を先行することが推奨されている。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × intraspinal(17 件),この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Yiin JJ, Chang CS, Jan YJ, et al. Treatment of neuroblastoma with intraspinal extensions. J Clin Neurosci 2003; 10: 579-83.(エビデンスレベルⅤ)

2) Plantaz D, Rubie H, Michon J,et al. The treatment of neuroblastoma with intraspinal exten-sion with chemotherapy followed by surgical removal of residual disease. A prospective study of 42 patients ─ results of the NBL 90 Study of the French Society of Pediatric On-cology. Cancer 1996; 78: 311-9.(エビデンスレベルⅢ)

3) Katzenstein HM, Kent PM, London WB, et al. Treatment and outcome of 83 children with intraspinal neuroblastoma: the Pediatric Oncology Group experience. J Clin Oncol 2001; 19: 1047-55.(エビデンスレベルⅤ)

4) De Bernardi B, Balwierz W, Bejent J, et al. Epidural compression in neuroblastoma: Diag-nostic and therapeutic aspects. Cancer Lett 2005; 228: 283-99.(エビデンスレベルⅣ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

ダンベル腫瘍での椎弓切除の有効性は?

神経芽腫の脊髄圧迫症状の発生から72時間以内の緊急手術以外は,椎弓切除の有効性は明らかでない。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード C

CQ 11

224

進行神経芽腫の治療法として,放射線治療の適応と有効性を検討した。

体外照射の放射線治療としての有効性を検証した報告は少ないが,介入試験において,化学療法単独よりも局所の放射線治療併用が 1歳以上の進行神経芽腫で長期生存に寄与していた1)。また,放射線治療は,生命を脅かすまたは臓器不全症状をもたらす腫瘍があり,化学療法に十分迅速に反応しない患者,または腫瘍の生物学的特性が不良で,完全切除できず化学療法にも完全には反応しない中リスク患者にも使用される。さらに,原発部位への術中放射線治療は,完全切除の場合でさえも,高リスク患者の予後改善に寄与しているのではないかとの報告がなされている2)。高リスク群に対する後方視的研究では,大量治療後の 21 Gy の局所放射線治療が予後の改善に寄与するとの報告がある3)。また,進行神経芽腫では局所への体外放射線照射 10 Gy と幹細胞移植時の全身放射

線照射(total body irradiation:TBI)10 Gy が予後を改善したとの報告がある4)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × radiation(809 件),3. × review(94 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。

1) Castleberry RP, Kun LE, Shuster JJ, et al. Radiotherapy improves the outlook for patients older than 1 year with Pediatric Oncology Group stage C neuroblastoma. J Clin Oncol 1991; 9: 789-95.(エビデンスレベルⅡ)

2) Gillis AM, Sutton E, Dewitt KD, et al. Long-term outcome and toxicities of intraoperative radiotherapy for high-risk neuroblastoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007; 69: 858-64.(エビデンスレベルⅤ)

3) Bradfield SM, Douglas JG, Hawkins DS, et al. Fractionated low-dose radiotherapy after my-eloablative stem cell transplantation for local control in patients with high-risk neuroblasto-ma. Cancer 2004; 100: 1268-75.(エビデンスレベルⅤ)

4) Haas-Kogan DA, Swift PS, Selch M, et al. Impact of radiotherapy for high-risk neuroblasto-ma: a Children’s Cancer Group study. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2003; 56: 28-39.(エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

放射線治療の有効性とその適応は?

進行神経芽腫に腫瘍床に対する術後照射と骨転移部への局所療法として,放射線治療を行うことで予後の改善が得られる。� (エビデンスレベル Ⅱ)

推奨グレード B

CQ 12

225

6

神経芽腫

進行神経芽腫の局所療法として,術中照射の適応と有効性を検討した。

術中照射の放射線治療としての有効性を検証した報告は少なく,少数例での解析が行われているのみである。進行神経芽腫の局所制御療法としての術中照射の有効性を示したものや 1, 2),明らかに全摘できた症例では有効であるが亜全摘以下の症例では有効性が不十分であるとの報告がある3, 4)。さらに照射野外からの再発を指摘している報告もある3, 5)。合併症として,腎動脈や腸間膜動脈狭窄なども報告されており2),今後の検証が必要な治療法であると考えられる。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × intraoperative radiotherapy(14 件)。この中から本テーマに関連する 5文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Gillis AM, Sutton E, Dewitt KD, et al. Long-term outcome and toxicities of intraoperative radiotherapy for high-risk neuroblastoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2007; 69: 858-64.(エビデンスレベルⅤ)

2) Zachariou Z, Sieverts H, Eble MJ, et al. IORT(intraoperative radiotherapy)in neuroblasto-ma: experience and first results. Eur J Pediatr Surg 2002; 12: 251-4.(エビデンスレベルⅤ)

3) Kuroda T, Saeki M, Honna T, et al. Clinical significance of intensive surgery with intraoper-ative radiation for advanced neuroblastoma: does it really make sense? J Pediatr Surg 2003; 38: 1735-8.(エビデンスレベルⅤ)

4) Haas-Kogan DA, Fisch BM, Wara WM, et al. Intraoperative radiation therapy for high-risk pediatric neuroblastoma. Int J Radiat Oncol Biol Phys 2000; 47: 985-92.(エビデンスレベルⅤ)

5) Sugito K, Kusafuka T, Hoshino M, et al. Intraoperative radiation therapy for advanced neu-roblastoma: the problem of securing the IORT field. Pediatr Surg Int 2007; 23: 1203-7.(エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

術中照射は有効か?

進行神経芽腫の局所療法としての,術中照射の有効性については明らかでない。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード C

CQ 13

226

低リスクに分類された患者の適切な治療法を検討した。

低リスク群の治癒率は 90 %以上であることから1-5),外科的摘出術のみにて経過観察する1, 3-5)。外科的に全摘できた低リスク症例で,化学療法施行による有意な成績向上が得られた報告はない。複数の研究は,スクリーニングなどにより乳児に発見された神経芽腫が疑われる一部の症例は,外科的介入および病理診断なしに安全に経過観察できることを示唆している 6, 7)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × low risk(185 件),3. × therapy(110 件)。この中から本テーマに関連する 7文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Matthay KK, Perez C, Seeger RC, et al. Successful treatment of stage III neuroblastoma based on prospective biologic staging: a Children’s Cancer Group study. J Clin Oncol 1998; 16: 1256-64.(エビデンスレベルⅢ)

2) Hayes FA, Green A, Hustu HO, et al. Surgicopathologic staging of neuroblastoma: prognos-tic significance of regional lymph node metastases. J Pediatr 1983; 102: 59-62.(エビデンスレベルⅤ)

3) Evans AR, Brand W, de Lorimier A, et al. Results in children with local and regional neuro-blastoma managed with and without vincristine, cyclophosphamide, and imidazolecarbox-amide. A report from the Children’s Cancer Study Group. Am J Clin Oncol 1984; 7: 3-7. (エビデンスレベルⅡ)

4) Alvarado CS, London, WB Look AT, et al. Natural history and biology of stage A neuroblas-toma: a Pediatric Oncology Group Study. J Pediatr Hematol Oncol 2000; 22: 197-205.(エビデンスレベルⅤ)

5) Perez CA, Matthay KK, Atkinson JB, et al. Biologic variables in the outcome of stages I and II neuroblastoma treated with surgery as primary therapy: a Children’s Cancer Group Study. J Clin Oncol 2000; 18: 18-26.(エビデンスレベルⅣ)

6) Nishihira H, Toyoda Y, Tanaka Y, et al. Natural course of neuroblastoma detected by mass screening: s 5-year prospective study at a single institution. J Clin Oncol 2000; 18: 3012-7.(エビデンスレベルⅤ)

7) Holgersen LO, Subramanian S, Kirpekar M, et al. Spontaneous resolution of antenatally di-agnosed adrenal masses. J Pediatr Surg 1996; 31: 153-5. (エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

外科的全摘可能な低リスク群腫瘍に対する治療は?

低リスクに分類された患者の治療は,外科的に全摘できた場合は,そのまま経過観察する。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード A

CQ 14

227

6

神経芽腫

低リスクに分類された患者の適切な治療法を検討した。

低リスク群では,手術のみを原則とするが,脊髄圧迫症状を呈す症例や,4S 期で肝腫大の著明な症例には化学療法を用いる。化学療法による後遺障害を最小限にとどめるため,各薬物の総投与量を低く抑えるべきである1, 2)。化学療法の期間は 6〜24 週間,シスプラチン(CDDP),シクロホスファミド(CPA),ビンクリスチン(VCR),ドキソルビシン(DXR),エトポシド(VP-16)を副作用予防のため比較的低用量で使用する。CPA,VCRを 1週ごとに投与して,3クール後に効果判定し,必要な場合さらに3クールを追加する。①カルボプラチン(CBDCA)1回とVP-16 3 回,② CPA,CBDCA,DXR各 1回,③ CPA 1 回と VP-16 3 回のレジメンを 3週ごと 6〜24 週行う。化学療法が奏効しない症例には放射線治療を併用する場合もある1, 3)。低リスク腫瘍にこれらの薬剤を使用した群と使用しない群での生存率の有意差は得られていない4)。

図 1 にわが国の外科的全摘不能な低リスク群腫瘍の治療アルゴリズムを示す。

背景・目的

解 説

外科的全摘不能な低リスク群腫瘍に対する治療は?

脊髄圧迫または,4S期の肝への浸潤に続発する呼吸障害などの症状のある患者にのみ6〜12週間の化学療法を併用する。� (エビデンスレベル Ⅲ)

推奨グレード B

CQ 15

腫瘍生検

3コースの化学療法(VCR/CPAなど)

手術摘出 3コースの化学療法を追加

手術摘出 化学療法の追加または放射線治療

図 1 外科的全摘不能な低リスク群腫瘍の治療アルゴリズム

228

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × low risk(185 件),3. × therapy(110 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Nickerson HJ, Matthay KK, Seeger RC, et al. Favorable biology and outcome of stage IV-S neuroblastoma with supportive care or minimal therapy: a Children’s Cancer Group study. J Clin Oncol 2000; 18: 477-86.(エビデンスレベルⅢ)

2) Evans AR, Brand W, de Lorimier A, et al. Results in children with local and regional neuro-blastoma managed with and without vincristine, cyclophosphamide, and imidazolecarbox-amide. A report from the Children’s Cancer Study Group. Am J Clin Oncol 1984; 7: 3-7.(エビデンスレベルⅤ)

3) Schleiermacher G, Rubie H, Hartmann O, et al. Treatment of stage 4s neuroblastoma ─ re-port of 10 years’ experience of the French Society of Paediatric Oncology(SFOP). Br J Cancer 2003; 89: 470-6.(エビデンスレベルⅤ)

4) Katzenstein HM, Bowman LC, Brodeur GM, et al. Prognostic significance of age, MYCN on-cogene amplification, tumor cell ploidy, and histology in 110 infants with stage D(S)neu-roblastoma: the pediatric oncology group experience a pediatric oncology group study. J Clin Oncol 1998; 16: 2007-17.(エビデンスレベルⅣ)

検索式・参考にした二次資料

参考文献

229

6

神経芽腫

一般的に,乳児神経芽腫は予後が良好であり,外科的治療法や化学療法のあり方を検討した。

乳児期の限局例の大部分は手術のみで治療が可能であり,残存腫瘍ないしは摘出不能例には低用量の化学療法が追加されることが一般的である1-3)。初回治療が手術単独である米国CCG 3881 研究では,完全切除率病期 1;100 %,病期 2;約 90 %であり,再発率は病期 1;7%,病期 2;18 %であり,3年全生存率は,病期 1;99 %,病期 2;約98 %と極めて良好であった3)。予後は良好であるため,治療合併症の軽減が望まれる。複数の研究で,スクリーニングまたは偶然に発見された乳児の限局性神経芽腫の一部は,組織診断の確定と外科的介入を行わずに経過観察のみで自然消退することが報告されている4, 5)。

一方で,予後不良因子であるMYCN遺伝子増幅がみられる進行症例は乳児例であっても高リスクに含まれ,化学療法を含む集学的治療が必要である6)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × low risk(185 件),3. × therapy(110 件)。この中から本テーマに関連する 6文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Guglielmi M, De Bernardi B, Rizzo A, et al. Resection of primary tumor at diagnosis in stage IV-S neuroblastoma: does it affect the clinical course? J Clin Oncol 1996; 14: 1537-44.(エビデンスレベルⅤ)

2) Jennings RW, LaQuaglia MP, Leong K, et al. Fetal neuroblastoma: prenatal diagnosis and natural history. J Pediatr Surg 1993; 28: 1168-74.(エビデンスレベルⅤ)

3) Perez CA, Matthay KK, Atkinson JB, et al. Bilogic variables in the outcome of stages I and II neuroblastoma treated with surgery as primary therapy: a children’s cancer group study. J Clin Oncol 2000; 18: 18-26.(エビデンスレベルⅣ)

4) Yamamoto K, Hanada R, Kikuchi A, et al. Spontaneous regression of localized neuroblasto-ma detected by mass screening. J Clin Oncol 1998; 16: 1265-9.(エビデンスレベルⅤ)

5) Fritsch P, Kerbl R, Lackner H, et al. “Wait and see” strategy in localized neuroblastoma in infants: an option not only for cases detected by mass screening. Pediatr Blood Cancer 2004; 43: 679-82.(エビデンスレベルⅣ)

6) Iehara T, Hosoi H, Akazawa K, et al. MYCN gene amplication is a powerful prognostic fac-tor even in infantile neuroblastoma detected by mass screening. Br J Cancer 2006; 94: 1510-5.(エビデンスレベルⅣ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

乳児神経芽腫の治療法は?

乳児神経芽腫は生物学的予後因子を有しない場合,治療軽減が可能である。� (エビデンスレベル Ⅳ)

推奨グレード B

CQ 16

230

病期 4S 期はときに化学療法が施行されるが,その有効性について検証した。

自然退縮や分化の現象は,特に乳児の病期 4S 腫瘍にみられるため,本群の治療法は,臨床症状によって異なる。このタイプの腫瘍は臨床的に安定していれば治療は不要である。生後 2〜3カ月未満児に多い巨大な肝腫大による圧迫症状,呼吸不全などの合併症は治療対象となる1-4)。80 例の病期 4S 症例の生存率は,保存的治療例が 5年全生存率 100 %であったのに対し,低用量シクロホスファミド(CPA)の化学療法と放射線治療を受けた症例は 81 %であった。原発の切除は予後の改善につながらないが,有症状例に最小の治療を行う本治療法は,病期 4S に対して有効である1)。一方,94 例の後方視的報告では,無症状の症例は対症療法のみで,生命を脅かす症

状を有する症例は放射線治療やCPA,ビンクリスチンからなる初期治療を受け,3年生存率はそれぞれ 100 %と 79.8 %で(P<0.005)であった。症状を有する治療が必要な症例の治療はCPA,エトポシドの組み合わせのように,さらに強化する必要があるかも知れないとしている2)。しかし,初期治療(放射線治療や化学療法)を受けている症例は,単に支持療法のみ

の症例にくらべ,悪性度の高い 4S 期腫瘍が選択されている可能性もあり,治療法の有効性は腫瘍の生物学的特性に依存している可能性もある。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × 4s(170 件),3. × therapy(75 件)。この中から本テーマに関連する4文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Nickerson HJ, Matthay KK, Seeger RC, et al. Favorable biology and outcome of stage IV-S neuroblastoma with supportive care or minimal therapy: a Children’s Cancer Group study. J Clin Oncol 2000; 18: 477-86. (エビデンスレベルⅢ)

2) Schleiermacher G, Rubie H, Hartmann O, et al. Treatment of stage 4s neuroblastoma ─ re-port of 10 years’ experience of the French Society of Paediatric Oncology(SFOP). Br J Cancer 2003; 89: 470-6.(エビデンスレベルⅣ)

3) van Noesel MM, Hählen K, Hakvoort-Cammel FG, et al. Neuroblastoma 4S: a heterogeneous disease with variable risk factors and treatment strategies. Cancer 1997; 80: 834-43.(エビデンスレベルⅤ)

4) De Bernardi B, Gerrard M, Boni L, et al. Excellent outcome with reduced treatment for in-fants with disseminated neuroblastoma without MYCN gene amplification.J Clin Oncol 2009; 27: 1034-40.(エビデンスレベルⅢ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

病期4S腫瘍への放射線治療,化学療法の意義と適応は?

神経芽腫病期4S症例への放射線治療,化学療法は個々の症例で判断する必要がある。� (エビデンスレベル Ⅳ)

推奨グレード C

CQ 17

231

6

神経芽腫

リスクに基づく神経芽腫治療計画では,各患者を低リスク群,中間リスク群または高リスク群に割り付ける。中間リスク群における有効な治療法を検討する。

治療成績が概して,75〜80 %の治癒率が期待できる群を中間リスク群としているが,非常に多様な生物学的特性,臨床像をもつ腫瘍群であり,治療法も異なる。中間リスクに分類された 3期例は,一期的全摘が不可能な症例であり,初回手術は生検にとどめ,初期治療として化学療法を施行し,その後二期的切除術となる。米国CCG(CCG 3881研究)では,Shimada 分類が予後良好群(favorable:FH)であれば 12 週間,予後不良群(unfavorable:UH)であれば 24 週間のシスプラチン,シクロホスファミド,ドキソルビシンおよびエトポシドの薬剤の組み合わせの化学療法を実施する。予後良好な組織型(FH)では生存率 100 %,1歳未満の予後不良な組織型(UH)では生存率90 %であったが,1歳以上のUHでは生存率 54 %と治療成績は不良であった1, 2)。乳児の病期 4症例に関しては CQ 17 参照 3, 4)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × intermediate risk(42 件),3. × therapy(23 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) West DC, Shamberger RC, Macklis RM, et al. Stage III neuroblastoma over 1 year of age at diagnosis: improved survival with intensive multimodality therapy including multiple alkyl-ating agents. J Clin Oncol 1993; 11: 84-90.(エビデンスレベルⅡ)

2) Bowman LC, Castleberry RP, Cantor A, et al. Genetic staging of unresectable or metastatic neuroblastoma in infants: a Pediatric Oncology Group study. J Natl Cancer Inst 1997; 89: 373-80.(エビデンスレベルⅢ)

3) Castleberry RP, Shuster JJ, Altshuler G, et al. Infants with neuroblastoma and regional lymph node metastases have a favorable outlook after limited postoperative chemotherapy: a Pediatric Oncology Group study. J Clin Oncol 1992; 10: 1299-304.(エビデンスレベルⅣ)

4) Bagatell R, Rumcheva P, London WB, et al. Outcomes of Children with intermediate-risk neuroblastoma after treatment stratified by MYCN status and tumor cell ploidy. J Clin On-col 2005; 23: 8819-27.(エビデンスレベルⅣ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

中間リスク群腫瘍に対する治療の原則は?

中間リスク群に分類される腫瘍は,非常に多様な生物学的特性をもつ腫瘍が含まれ,各症例の年齢,病期,生物学的予後因子に応じた治療方針の決定が必要である。� (エビデンスレベル Ⅱ)

推奨グレード C

CQ 18

232

リスクに基づく神経芽腫治療計画では,各患者を低リスク群,中間リスク群または高リスク群に割り付ける。中間リスク群における有効な治療法を検討した。

米国COGスタディではCCG 3881 はシスプラチン(CDDP),シクロホスファミド(CPA),ドキソルビシン(DXR)およびエトポシド(VP-16)の薬剤の組み合わせで10 サイクル,9カ月間の治療となる。CCG 3891 は前記 4剤を増量した寛解導入療法を行い,3年無イベント生存率(EFS)はMYCN非増幅症例で 93±4 %であった1)。治療関連死亡が 4例報告されている。さらに,近年のCOGの報告では cell ploidy の違いによる検討で,MYCN非増幅かつ hyperdiploidy の群が 6年 EFS 86 %±3%と最も予後良好であると示している2)。フランス SFOP(French Society of Pediatric Oncology)では,CPA,ビンクリスチン(VCR),カルボプラチン(CBDCA),VP-16,DXRの組み合せによる治療が 4〜6コース行われ,骨転移のない症例では 5年 EFS 90 %とこれも良好な成績であった3)。この報告では 2例の化学療法関連死亡が記載されている。わが国における乳児神経芽腫治療プロトコール 9405 研究および 9805 研究の治療成績では,VCR,CPA,ピラルビシン(THP)(LI-B レジメン)を 9コースまたはVCR,CPA,THP,CDDP(LI-D レジメン)を 6コース施行し,3年 EFS は 93 %と良好であった4)。よってMYCN非増幅で乳児あるいは 1歳半以下の病期 4の症例(中間リスク群)には,大量化学療法は不要である。放射線治療は標準的治療としては使用されないが,乳児の病期 4症例において,骨転

移なしが 5年 EFS で 90±5.5 %,骨転移ありが 27±10.6 %(P<0.0001)と,骨転移を有する症例はその予後が不良であることがフランス SFOPから報告されており3),こういった症例に対しては骨転移部に照射を施行することが計画されているが,中間リスク群に対する放射線治療の適応は意見の分かれるところである。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × stage 4(856 件),3. × infant(492 件)。この中から本テーマに関連する 3文献を選択した。検索フィールド:医中誌,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. 神経芽腫(1,844

件),2. ×乳児(151 件),3. ×治療(67 件)。この中から本テーマに関連する 1文献を

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

乳児の中間リスク群腫瘍に対する治療は?

乳児の中間リスク群腫瘍はMYCN遺伝子非増幅の病期4の症例が該当し,標準的な治療法は数種の抗がん剤を組み合わせて周期的に行う化学療法であるが,治療期間は一定ではなく,大量化学療法は不要であるとされている。� (エビデンスレベル Ⅱ)

推奨グレード B

CQ 19

233

6

神経芽腫

選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Schmidt ML, Lukens JN, Seeger RC, et al. Biologic factors determine prognosis in infants with stage IV neuroblastoma: A prospective Children’s Cancer Group Study. J Clin Oncol 2000; 18: 1260-8.(エビデンスレベルⅢ)

2) Bagatell R, Rumcheva P, London WB, et al. Outcomes of children with intermediate-risk neuroblastoma after treatment stratified by MYCN status and tumor cell ploidy. J Clin On-col 2005; 23: 8819-27.(エビデンスレベルⅣ)

3) Minard V, Hartmann O, Peyroulet MC, et al. Adverse outcome of infants with metastatic neuroblastoma, MYCN amplification and/or bone lesions: results of the French society of pediatric oncology. Br J Cancer 2000; 83: 973-9.(エビデンスレベルⅡ)

4) 家原知子.乳児神経芽腫統一治療プロトコールのこれまでと今後.小児がん 2004;41:35-8.(エビデンスレベルⅥ)

参考文献

234

遠隔転移のない神経芽腫病期 3症例について,局所療法がいかに予後に寄与するかを検討した。

外科的切除に関するランダム化比較試験の報告はなく,いずれも後方視的検討である。1980 年代には手術による全摘が予後を改善するという報告1)があった。しかし,その後の検討により,胸部原発のもの2)あるいは 1歳未満の乳児症例 3, 4)では,局所の完全切除が予後に寄与することは少ないとの報告が多い。一方,1歳以上の症例や,MYCN遺伝子が増幅している症例では,局所の完全切除や,放射線治療が生存率に寄与しているとの報告がある4-6)。いずれも少数例の報告であり,悪性度の高い腫瘍では完全な局所制御が予後に寄与している可能性を示唆している程度である。また術前化学療法に対する反応が良好な腫瘍ほど切除率が向上するといったバイアスがかかっている可能性も考慮する必要がある。さらに,限局性神経芽腫に対して,外科的リスク因子を有する症例では完全切除率が低下し,外科関連合併症が増加するとの報告がなされ,一定の基準により画像所見から手術のリスクを推定し,初期手術適応判定のための評価項目として Image Defined Risk Factors(IDRF)という概念が国際的に提唱されている7)。したがって,現時点では完全切除は合併症をきたさない場合にのみ,試みるのが一般的と考えられる。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × stage 3(585 件),3. × surgical resection(51 件)。この中から本テーマに関連する 7文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Haase GM, Wong KY, deLorimier AA, et al. Improvement in survival after excision of pri-mary tumor in stage III neuroblastoma. J Pediatr Surg 1989; 24: 194-200.(エビデンスレベルⅤ)

2) Horiuchi A, Muraji T, Tsugawa C, et al. Thoracic neuroblastoma: outcome of incomplete re-section. Pediatr Surg Int 2004; 20: 714-8. (エビデンスレベルⅤ)

3) Kaneko M, Iwakawa M, Ikebukuro K, et al. Complete resection is not required in patients with neuroblastoma under 1 year of age. J Pediatr Surg 1998; 33: 1690-4.(エビデンスレベルⅤ)

4) Matthay KK, Perez C, Seeger RC, et al. Successful treatment of stage III neuroblastoma

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

病期3の適切な局所治療は?

神経芽腫の病期3の局所療法については確立されたものはない。� (エビデンスレベル Ⅳ)

推奨グレード C

CQ 20

235

6

神経芽腫

based on prospective biologic staging: a Children’s Cancer Group study. J Clin Oncol 1998; 16: 1256-64.(エビデンスレベルⅤ)

5) Laprie A, Michon J, Hartmann O, et al. High-dose chemotherapy followed by locoregional irradiation improves the outcome of patients with international neuroblastoma staging sys-tem Stage II and III neuroblastoma with MYCN amplification. Cancer 2004; 101: 1081-9.(エビデンスレベルⅢ)

6) Powis MR, Imeson JD, Holmes SJ. The effect of complete excision on stage III neuroblasto-ma: a report of the European Neuroblastoma Study Group. J Pediatr Surg 1996; 31: 516-9.(エビデンスレベルⅢ)

7) Monclair T, Brodeur GM, Ambros PF, et al. The International Neuroblastoma Risk Group(INRG)staging system: an INRG Task Force report. J Clin Oncol 2009; 27: 298-303.(エビデンスレベルⅣ)

236

腹部神経芽腫症例,特に広範なリンパ節転移のあるような症例では,片側の腎を合併切除することで,完全切除率を上げることが可能となる。局所療法の強化のための腎合併切除の適応と有効性を検討した。

腹部原発神経芽腫の手術について検討された報告 1)では,一期的切除例が化学療法後の二期的切除例と比較して,腎摘率が 2倍の頻度となっていたが,予後には関連がなく,むしろこうした症例は腎臓を温存し二期的手術を行うことが推奨される。術後化学療法が必要な場合に化学療法による腎合併症のことを考慮すると,腎臓摘出まで行って一期的切除を行うことは利益が少なく推奨されない。このような患者の治療成績は,外科的な局所の根治性よりも腫瘍の生物学的特性によって予後が規定される1)。また,二期的手術においては,腎臓温存を行っても局所再発を生じなかったという報

告 2)がある一方,腎を行ったほうが予後良好であったという報告 3)もみられる。二期的手術における腎臓摘出の有効性について一定の見解は得られていない。いずれも 10 年以上前の後方視的検討であり,その結果については慎重に判断する必

要がある。したがって,神経芽腫の一期的切除での腎臓摘出は推奨しない。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × nephrectomy(25 件)。この中から本テーマに関連する 3文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Shamberger RC, Smith EI, Joshi VV, et al. The risk of nephrectomy during local control in abdominal neuroblastoma. J Pediatr Surg 1998; 33: 161-4. (エビデンスレベルⅤ)

2) Hata Y, Uchino J, Sasaki F, et al. Kidney-preserving radical tumor resection in advanced neuroblastoma. J Pediatr Surg 1989; 24: 382-5. (エビデンスレベルⅤ)

3) Tsuchida Y, Yokoyama J, Kaneko M, et al. Therapeutic significance of surgery in advanced neuroblastoma: a report from the study group of Japan. J Pediatr Surg 1992; 27: 616-22.(エビデンスレベルⅣ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

腹部神経芽腫の手術における腎合併切除の意義は?

神経芽腫の一期的切除での腎臓摘出は推奨しない。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード D

CQ 21

237

6

神経芽腫

高リスク神経芽腫に対する,寛解導入療法の有効性について検証した。

米国COG 3881 研究では,5コースのシスプラチン(CDDP),エトポシド(VP-16),ドキソルビシン(DXR),シクロホスファミド(CPA)からなる高用量の多剤併用の寛解導入療法を行い,寛解導入率は 78 %との成績を得ている1, 2)。わが国の進行神経芽腫の研究では,CDDP,ビンクリスチン,ピラルビシン,CPAからなる高用量の多剤併用の寛解導入療法を 28 日ごとに 5〜6コース行い,寛解導入率は 93 %と良好な成績であった3)。各国の臨床試験では,CDDPと CPAは次第に高用量になる傾向があり,それに伴い

腎障害や骨髄抑制の副作用が重篤となっている2, 4)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × high risk(572 件),3. × induction therapy(96 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Matthay KK, Villablanca JG, Seeger RC, et al. Treatment of high-risk neuroblastoma with intensive chemotherapy, radiotherapy, autologous bone marrow transplantation, and 13-cis-retinoic acid. Children’s Cancer Group. N Engl J Med 1999; 341: 1165-73.(エビデンスレベルⅡ)

2) Matthay KK, Reynolds CP, Seeger RC, et al. Long-term results for children with high-risk neuroblastoma treated on a randomized trial of myeloablative therapy followed by 13-cis-retinoic acid: a children’s oncology group study. J Clin Oncol 2009; 27: 1007-13.(エビデンスレベルⅡ)

3) Kaneko M, Tsuchida Y, Uchino J,et al. Treatment results of advanced neuroblastoma with the first Japanese study group protocol. Study Group of Japan for Treatment of Advanced Neuroblastoma. J Pediatr Hematol Oncol 1999; 21: 190-7.(エビデンスレベルⅣ)

4) Berthold F, Boos J, Burdach S, et al. Myeloablative megatherapy with autologous stem-cell rescue versus oral maintenance chemotherapy as consolidation treatment in patients with high-risk neuroblastoma: a randomised controlled trial. Lancet Oncol 2005; 6: 649-58.(エビデンスレベルⅡ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

高リスク群に対する寛解導入療法は?

高リスク神経芽腫に対する寛解導入療法は,シスプラチン,エトポシド,ドキソルビシン,シクロホスファミドなどからなる多剤併用療法が一般的である。� (エビデンスレベル Ⅱ)

推奨グレード B

CQ 22

238

高リスク神経芽腫に対する,大量化学療法の有効性について検証した。

進行神経芽腫に対する自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有効性について,これまでに 2件の維持療法群と比較検討した,ランダム化割付試験の報告があり,ともに大量化学療法の優越性が示されている。5コースのシスプラチン(CDDP),エトポシド

(VP-16),ドキソルビシン(DXR),シクロホスファミド(CPA)からなる寛解導入療法を行った後に,大量化学療法群〔メルファラン,VP-16,カルボプラチン

(CBDCA)+全身放射線照射(TBI)〕と 3コースの維持療法群に無作為割付され,3年無病生存率(DFS)はそれぞれ 34±4 %と 22±4 %と大量化学療法群で有意に予後良好であった(P=0.034)1)。CDDP,VP-16,DXR,CPA,ビンクリスチン,CBDCA,イホスファミドからなる寛解導入療法を行った後の大量化学療法群とCPAの維持療法に無作為割付すると,3年 DFS はそれぞれ 47 %と 31 %と大量化学療法群で有意に予後良好であった(P=0.0221)2)。これらの報告では,レチノイン酸投与も,高リスクに分類された患者の治療成績を改善することが示されている。また,前述の米国の報告では大量化学療法群はTBI を併用し,後述のドイツの報告ではTBI を併用していない。TBI のランダム比較試験は存在しないが,TBI では腎などの多臓器障害や成長障害などの副作用が報告されており3),近年は全身照射を行わない大量治療法が主に行われている。さらに,2回の大量化学療法を行う治療では,5年の無増悪生存率(PFS)が 47 %と

良好な成績が示された4)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × high risk(572 件),3. × high dose therapy(162 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Matthay KK, Villablanca JG, Seeger RC, et al. Treatment of high-risk neuroblastoma with intensive chemotherapy, radiotherapy, autologous bone marrow transplantation, and 13-cis-retinoic acid. Children’s Cancer Group. N Engl J Med 1999; 341: 1165-73.(エビデンスレベルⅡ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

高リスク群に対する自家造血幹細胞移植併用大量化学療法の有用性は?

高リスク神経芽腫に対する,自家造血幹細胞移植併用大量化学療法は有効である。� (エビデンスレベル Ⅱ)

推奨グレード B

CQ 23

239

6

神経芽腫

2) Berthold F, Boos J, Burdach S, et al. Myeloablative megatherapy with autologous stem-cell rescue versus oral maintenance chemotherapy as consolidation treatment in patients with high-risk neuroblastoma: a randomised controlled trial. Lancet Oncol 2005; 6: 649-58.(エビデンスレベルⅡ)

3) Ladenstein R, Pötschger U, Hartman O, et al. 28 years of high-dose therapy and SCT for neuroblastoma in Europe: lessons from more than 4000 procedures. Bone Marrow Trans-plant 2008; 41: S118-27. (エビデンスレベルⅣ)

4) George RE, Li S, Medeiros-Nancarrow C, et al. High-risk neuroblastoma treated with tan-dem autologous peripheral-blood stem cell-supported transplantation: long-term survival update. J Clin Oncol 2006; 24: 2891-6. (エビデンスレベルⅢ)

240

遠隔転移のある神経芽腫病期 4症例ついて,腫瘍の切除度合がいかに予後に寄与するかを検討した。

遠隔転移を有する神経芽腫において,外科的切除に関する検討は多方面から行われているが,前方視的なランダム化割付研究の報告はない。手術療法について,肉眼的全摘が全生存率に寄与しているとの報告がある1, 2)。また,

大量化学療法で完全寛解が得られた症例では局所の完全切除が予後に関連するとの検討もみられる3, 4)。一方,完全切除は生存率向上には影響が小さく,術中照射の追加による局所制御や転移巣の制御のほうがより予後改善に重要であるとの報告もある5-7)。これらの報告では,遠隔転移をもつ患者の治療成績は,外科的な切除範囲よりも腫瘍の生物学的特性のほうに左右されていると論じている。つまり,手術による全摘を推奨する報告においては,術前化学療法に対する反応が良好な腫瘍ほど切除率が向上するといったバイアスがかかっている可能性もあり,その結果は慎重に検討されるべきである。したがって,生命予後の改善および局所再発を防ぐために完全切除が必要であるの

か,それとも外科手技による周囲臓器への侵襲を少なくし,化学療法の早期継続を目的とし,部分切除でよいのかという点で一致した意見は得られていない。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × stage 4(854 件),3. × surgical resection(63 件)。この中から本テーマに関連する 7文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) La Quaglia MP, Kushner BH, Su W, et al. The impact of gross total resection on local con-trol and survival in high-risk neuroblastoma. J Pediatr Surg 2004; 39: 412-7.(エビデンスレベルⅤ)

2) Haase GM, O’Leary MC, Ramsay NK, et al. Aggressive surgery combined with intensive chemotherapy improves survival in poor-risk neuroblastoma. J Pediatr Surg 1991; 26: 1119-23.(エビデンスレベルⅤ)

3) Adkins ES, Sawin R, Gerbing RB, et al. Efficacy of complete resection for high-risk neuro-blastoma: a Children’s Cancer Group study. J Pediatr Surg 2004; 39: 931-6. (エビデンスレベルⅣ)

4) von Allmen D, Grupp S, Diller L, et al. Aggressive surgical therapy and radiotherapy for

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

病期4に対する外科治療の原則は?

神経芽腫の病期4の原発巣の完全切除は予後の改善につながらない。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード C

CQ 24

241

6

神経芽腫

patients with high-risk neuroblastoma treated with rapid sequence tandem transplant. J Pediatr Surg 2005; 40: 936-41.(エビデンスレベルⅣ)

5) Kiely EM. The surgical challenge of neuroblastoma. J Pediatr Surg 1994; 29: 128-33.(エビデンスレベルⅤ)

6) Kaneko M, Ohakawa H, Iwakawa M. Is extensive surgery required for treatment of ad-vanced neuroblastoma? J Pediatr Surg 1997; 32: 1616-9.(エビデンスレベルⅤ)

7) Castel V, Tovar JA, Costa E, et al. The role of surgery in stage IV neuroblastoma. J Pediatr Surg 2002; 37: 1574-8.(エビデンスレベルⅤ)

242

高リスク神経芽腫に対する,大量化学療法の有効性が示されているが自家骨髄の採取の時期について検討した。

進行神経芽腫に対する,大量化学療法の有効性は明らかになってきたが,それに用いる自家幹細胞の適切な採取の時期は明らかでない。化学療法を施行した 31 人中 11 人で平均 4コースの治療後に骨髄中の微少残存腫瘍は陰性となり,11 人全員が無病生存している。微少残存腫瘍陽性の 20 人中 13 人が再発し,1人が死亡した。微少残存腫瘍陽性の有無で予後に統計学的差がみられた(P=0.02)1)。また,21 例の検討では 1例を除いて,細胞学的には骨髄細胞中の腫瘍細胞は 3カ月以内に消失していた。治療開始後 4カ月以内に骨髄細胞中に微少残存腫瘍陰性となった 6例全例が無病生存している。骨髄細胞中に微少残存腫瘍が残存した 15 例中 10 例が再発し,9例が死亡した。微少残存腫瘍陰性群の無病生存率は微少残存腫瘍陽性群に比べて有意に良好であった(P<0.05)2)。以上から,骨髄血中の微少残存腫瘍が予後と相関することが明らかになり,骨髄中の微少残存腫瘍陰性となった時期が採取の時期としては適当と推察される。また,末梢血幹細胞採取に関する研究では,末梢血中のCD34 陽性細胞が 40/μL以

上となった時期に幹細胞採取を行うと,一回の採取で必要移植細胞数が確保できるとの報告がある3)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × high risk(572 件),3. × high dose therapy(162 件)。この中から本テーマに関連する 3文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Cai JY, Tang YJ, Jiang LM, et al. Prognostic influence of minimal residual disease detected by flow cytometry and peripheral blood stem cell transplantation by CD34+selection in childhood advanced neuroblastoma. Pediatr Blood Cancer 2007; 49: 952-7.(エビデンスレベルⅤ)

2) Fukuda M, Miyajima Y, Miyashita Y, et al. Disease outcome may be predicted by molecular detection of minimal residual disease in bone marrow in advanced neuroblastoma: a pilot study. J Pediatr Hematol Oncol 2001; 23: 10-3.(エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

高リスク群における幹細胞移植のための自家幹細胞の適切な採取時期は?

骨髄中の微少残存腫瘍が陰性となることの多い平均4コース後の時期が採取時期としては適当と推察される。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード C

CQ 25

243

6

神経芽腫

3) Schroeder H, Kamperis K, Grunnet N, et al. Prediction of target CD34 positive cells follow-ing leukopheresis in children with neuroblastoma. Pediatr Blood Cancer 2006; 46: 786-92.(エビデンスレベルⅤ)

244

神経芽腫の中枢神経系再発例の背景と予後を検討した。

251 例の病期 4症例のうちの 11 例の脳転移再発症例が報告され,中枢神経の再発は,骨髄転移を有する患者の診断時に試行された腰椎穿刺との関連が示唆されている1)。さらに,434 例の検討では,23 例に中枢神経再発がみられ,腰椎穿刺とMYCN増幅が危険因子として挙げられている2)。また,43 例の病期 4で 1歳以上症例のうちの中枢神経再発 7例報告され,極めて予後不良であり,中枢神経系再発の重要性が示唆されている3)。未だに少数の解析であり,予後改善が得られた報告がなく,治療法についての情報は不十分である。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × CNS relapse(29 件)。この中から本テーマに関連する 3文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Kramer K, Kushner B, Heller G, et al. Neuroblastoma metastatic to the central nervous sys-tem. The Memorial Sloan-kettering Cancer Center Experience and A Literature Review. Cancer 2001; 91: 1510-9.(エビデンスレベルⅤ)

2) Matthay KK, Brisse H, Couanet D, et al. Central nervous system metastases in neuroblasto-ma: radiologic, clinical, and biologic features in 23 patients. Cancer 2003; 98: 155-65.(エビデンスレベルⅤ)

3) Blatt J, Fitz C, Mirro J Jr. Recognition of central nervous system metastases in children with metastatic primary extracranial neuroblastoma. Pediatr Hematol Oncol 1997; 14: 233-41.(エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

中枢神経系再発例の予後は?

神経芽腫の中枢神経への転移は,予後は極めて不良で,治療指針は確立していない。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード C

CQ 26

245

6

神経芽腫

再発,再燃の神経芽腫に対して,有効な救済療法のあり方を評価する。

フランス SFOPの報告では,低リスク限局性腫瘍 134 例中,再発は 4例であり,全例低用量の化学療法もしくは再手術摘出で,寛解に至り生存している1)。中,高リスクでの再発神経芽腫に対しては,様々な取り組みがなされているが,現段

階では試験的で確立したものはなく,わが国では保険適応上実施不可能なものが多い。米国での試験では,A〔エピルビシン+シスプラチン+エトポシド(VP-16)+イホ

スファミド〕,B(ビンクリスチン+VP-16)を 4週間ごとにABAと繰り返し,その後にメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)治療または放射線治療を行う。5年全生存率は 19 %であった。Grade 4 以上の副作用は,好中球減少,血小板減少,赤血球減少,感染症,消化器症状の順にみられた。また,再発 148 例に対して 18 mCi/kg のMIBG治療と幹細胞移植を行い,16 例に対して,12 mCi/kg のMIBG治療のみを行った報告の奏効率(完全奏効+部分奏効)は 36 %であった。以上から,再発神経芽腫に対する抗がん剤とMIBG治療の組み合わせが有効な症例が存在する2, 3)。さらに,フランス SFOPの試験では,再発神経芽腫症例に対してテモゾロミドを 28

日ごとに内服投与し,奏効率は 20±8 %であった。テモゾロミドは前治療のある再発神経芽腫に有効であり,さらに他の薬剤との併用も期待される4)。

また,米国での第 II 相試験では,再発神経芽腫 13 例に対してシクロホスファミド(CPA)と topotecan 併用療法を行い,完全寛解が 0例,部分寛解が 6例 46 %,変化なしが 2例 15 %であった。再発神経芽腫症例に対してCPAと topotecan の併用療法は緩和治療として有効であると報告している5)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × relapse(878 件),3. × therapy(708 件)。この中から本テーマに関連する 5文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Rubie H, Coze C, Plantaz D, et al. Localised and unresectable neuroblastoma in infants: ex-cellent outcome with low-dose primary chemotherapy. Br J Cancer 2003; 89: 1605-9.

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

再発腫瘍に対する救済療法は?

再発神経芽腫に対する治療は,初診時のリスクや再発様式によって異なる。低リスクの局所再発は予後良好であるが,高リスクの遠隔転移再発は確立した治療法はなく,試験的なものである。� (エビデンスレベル Ⅱ)

推奨グレード C

CQ 27

246

2) Castle V, Cañete A, Melero C, et al. Results of the cooperative protocol(N-III-95)for met-astatic relapse and refractory neuroblastoma. Med Pediatr Oncol 2000; 35: 724-6. (エビデンスレベルⅢ)

3) Matthay KK, Yanik G, Messina J, et al. Phase II study on the effect of disease sites, age, and prior therapy on response to iodine-131-metaiodobenzylguanidine therapy in refractory neuroblastoma. J Clin Oncol 2007; 25: 1054-60.(エビデンスレベルⅡ)

4) Rubie H, Chisholm J, Defachelles AS, et al. Phase II study of temozolomide in relapsed or refractory high-risk neuroblastoma: a joint Societe Francaise des Cancers de l’Enfant and United Kingdom Children Cancer Study Group-New Agents Group Study. J Clin Oncol 2006; 24: 5259-64.(エビデンスレベルⅡ)

5) Saylors 3rd RL, Stine KC, Sullivan J, et al. Cyclophosphamide plus topotecan in children with recurrent or refractory solid tumors: a Pediatric Oncology Group Phase II study. J Clin Oncol 2001; 19: 3463-9.(エビデンスレベルⅡ)

247

6

神経芽腫

乳児神経芽腫は一般に予後が良好であり,特に新生児期には自然退縮することが知られており,こうした症例に対する外科的治療法や化学療法のあり方を検討した。

胎児期のスクリーニングや新生児期に偶然に発見された無症候性神経芽腫は,しばしば自然退縮し,安全に経過観察し得ることが報告されている1-3)。また,新生児や胎児の腎上部腫瘤は 6割が神経芽腫で,その他は良性疾患であるとの報告もある4)。一方,CCG研究の病期 4S 症例の検討5)では,症状を有する場合,生後 2カ月未満の症例は,2カ月以上の症例に比べ,化学療法や低線量の放射線治療を要するリスクが 3倍あり,生存率も悪くなる(78 % vs. 90 %)という報告がある。したがって,予後良好とされる胎児期や新生児期の神経芽腫においても,一部の予後不良例,例えば多発性肝転移から呼吸困難をきたすような症例においては,迅速な対応と適切な治療法の選択が必要である。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × fetal/neonatal(65 件),3. × therapy(29 件)。この中から本テーマに関連する 5文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Guidelines for the pediatric cancer center and role of such centers in diagnosis and treat-ment. American Academy of Pediatrics Section Statement Section on Hematology/Oncolo-gy. Pediatrics 1997; 99: 139-41. (エビデンスレベルⅠ)

2) Jennings RW, LaQuaglia MP, Leong K, et al. Fetal neuroblastoma: prenatal diagnosis and natural history. J Pediatr Surg 1993; 28: 1168-74.(エビデンスレベルⅤ)

3) Granata C, Fagnani AM, Gambini C, et al. Features and outcome of neuroblastoma detected before birth. J Pediatr Surg 2000; 35: 88-91.(エビデンスレベルⅤ)

4) Sauvat F, Sarnacki S, Brisse H, et al. Outcome of suprarenal localized masses diagnosed dur-ing the perinatal period: a retrospective multicenter study. Cancer 2002; 94: 2474-80.(エビデンスレベルⅤ)

5) Nickerson HJ, Matthay KK, Seeger RC, et al. Favorable biology and outcome of stage IV-S neuroblastoma with supportive care or minimal therapy: a Children’s Cancer Group study. J Clin Oncol 2000; 18: 477-86.(エビデンスレベルⅢ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

胎児および新生児における神経芽腫の治療法は?

胎児および新生児の神経芽腫の多くは予後良好であり,慎重な観察のうえに症例ごとに適切な治療法を選択することが必要である。� (エビデンスレベル Ⅲ)

推奨グレード B

CQ 28

248

神経芽腫の患児には稀に,両側副腎を原発とする,あるいは異時多発する症例がみられる。多発,両側神経芽腫の臨床病理学的特性について検証した。

多発,両側神経芽腫の臨床病理学的特性についての報告は,症例報告あるいは少数の報告がほとんどである。また,わが国でマススクリーニングが施行されたために,こうした症例が多く発見されてきた1)。多くは組織学的に良好であり,MYCN遺伝子増幅を認めた報告もない。核DNA量は個々の組織でかならずしも一致しないが,多くは予後良好な腫瘍と考えられる。フランスの 15 例の報告では,予後良好な両側性神経芽腫では,手術によって副腎不全が生じるために,侵襲的な手術を避けるべきとしている2)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,323 件),2. × bilateral(95 件),3. × therapy(62 件)。この中から本テーマに関連する 2文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Hiyama E, Yokoyama T, Hiyama K, et al. Multifocal neuroblastoma: biologic behavior and surgical aspects. Cancer 2000; 88: 1955-63.(エビデンスレベルⅤ)

2) Pages PM, Dufour C, Fasola S, et al. Bilateral adrenal neuroblastoma. Pediatr Blood Cancer 2009; 52: 196-202.(エビデンスレベルⅤ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

両側性,多発性腫瘍への対応は?

異時多発,両側例は乳児例が多く,治療が軽減できる可能性が示唆される。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード B

CQ 29

249

6

神経芽腫

MIBGによる治療効果判定への有効性を検証した。

SFOP Group の後方視的研究で,診断時,化学療法 2コース後,4コース後のメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)強度をスコアリング(6人で個別に評価)し,診断時と治療後による予後評価を行った1)。その結果,スコアリングの一致率は良好であったが,診断時と the relative score による予後推定は困難であった。ドイツの 113例の検討では,原発巣のMIBGシンチグラフィーでの取り込みは予後と相関しなかったが,化学療法 4コース後と 6コース後の転移巣での取り込みの強度と予後は強く相関しており,MIBGによる遠隔転移巣の評価は予後と相関する2)。したがって,進行神経芽腫での遠隔転移巣でのMIBGシンチグラフィー判定は予後予測に有用である。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,326 件),2. × MIBG(238 件),3. × therapy(164 件),4. × response(48 件)。この中から本テーマに関連する 2文献を選択した。

1) Frappaz D, Bonneu A, Chauvot P, et al. Metaiodobenzylguanidine assessment of metastatic neuroblastoma: observer dependency and chemo sensitivity evaluation. The SFOP Group. Med Pediatr Oncol 2000; 34: 237-41.(エビデンスレベルⅣ)

2) Schmidt M, Simon T, Hero B,et al. The prognostic impact of functional imaging with(123)I-mIBG in patients with stage 4 neuroblastoma>1 year of age on a high-risk treatment protocol: results of the German Neuroblastoma Trial NB97. Eur J Cancer 2008; 44: 1552-8.(エビデンスレベルⅢ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

MIBGシンチグラフィーによる治療効果判定は予後予測に有用か?

治療前後でのメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)検査の,遠隔転移巣での取り込みの差は,予後予測判定に有用である。� (エビデンスレベル Ⅲ)

推奨グレード B

CQ 30

250

神経芽腫の患児には稀に,小脳性運動失調,眼球クローヌス /ミオクローヌス(opso-clonus-myoclonus:OPM)などの腫瘍随伴神経所見がみられる。その対処法について検討した。

1,187 例中の 15 例 1.3 %に OPM症候群がみられたと報告されており1),未だ十分に解明されていない免疫機序により引き起こされるようである2-4)。他のほとんどの神経芽腫とは異なり,この場合の原発腫瘍には典型的にリンパ球が散在性に浸潤し,組織学的にも分化している腫瘍が多い5)。この症候群を発症する患者はしばしば良好な生物学的特性(MYCN非増幅,aneuploid)をもつ神経芽腫を有し,腫瘍に関連する死亡も報告されているものの,生存する可能性が高い。神経機能障害が最もよくみられる主症状であるが,腫瘍摘出からずっと後に出現することもある。眼球クローヌス /ミオクローヌス症候群は,精神運動遅滞などの広汎性後遺神経障害および認知障害としばしば関連している4, 6, 7)。腫瘍摘出が臨床的に奏効する患者もいるが,改善は緩徐かつ部分的であり,対症療法が必要になることが多い。副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)療法が有効であると考えられるが,ACTHが奏効しない患者もいる3, 6)。一部の症例では,種々の薬剤,血漿浄化療法およびγグロブリンの静注が効果的であることが報告されている6, 8, 9)。化学療法で治療された患者では,おそらくは化学療法の免疫抑制作用のために,長期の神経学的な転帰が優れている2, 8)。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1990〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(19,144 件),2. × opsoclonus myoclonus(95 件)。この中から本テーマに関連する 9文献を選択した。また,PDQⓇCancer Information Japan を参考とした。

1) Gambini C, Conte M, Bernini G, et al. Neuroblastic tumors associated with opsoclonus-myoc-lonus syndrome: histological, immunohistochemical and molecular features of 15 Italian cas-es. Virchows Arch 2003; 442: 555-62.(エビデンスレベルⅤ)

2) Matthay KK, Blaes F, Hero B, et al. Opsoclonus myoclonus syndrome in neuroblastoma a report from a workshop on the dancing eyes syndrome at the advances in neuroblastoma meeting in Genoa, Italy, 2004. Cancer Lett 2005; 228: 275-82.(エビデンスレベルⅤ)

3) Connolly AM, Pestronk A, Mehta S, et al. Serum autoantibodies in childhood opsoclonus-

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

眼球クローヌス /ミオクローヌス症候群への対応は?

眼球クローヌス /ミオクローヌス症候群を伴う症例の生命予後は良好であるが,神経症状に関する有効な治療法は確立されていない。� (エビデンスレベル Ⅴ)

推奨グレード C

CQ 31

251

6

神経芽腫

myoclonus syndrome: an analysis of antigenic targets in neural tissues. J Pediatr 1997; 130: 878-84.(エビデンスレベルⅤ)

4) Rudnick E, Khakoo Y, Antunes NL, et al. Opsoclonus-myoclonus-ataxia syndrome in neuro-blastoma: clinical outcome and antineuronal antibodies-a report from the Children’s Cancer Group Study. Med Pediatr Oncol 2001; 36: 612-22.(エビデンスレベルⅤ)

5) Cooper R, Khakoo Y, Matthay KK, et al. Opsoclonus-myoclonus-ataxia syndrome in neuro-blastoma: histopathologic features-a report from the Children’s Cancer Group. Med Pediatr Oncol 2001; 36: 623-9.(エビデンスレベルⅤ)

6) Pranzatelli MR. The neurobiology of the opsoclonus-myoclonus syndrome. Clin Neurophar-macol 1992; 15: 186-228.(エビデンスレベルⅤ)

7) Mitchell WG, Davalos-Gonzalez Y, Brumm VL, et al. Opsoclonus-ataxia caused by childhood neuroblastoma: developmental and neurologic sequelae. Pediatrics 2002; 109: 86-98.(エビデンスレベルⅤ)

8) Russo C, Cohn SL, Petruzzi MJ, et al. Long-term neurologic outcome in children with opsoc-lonus-myoclonus associated with neuroblastoma: a report from the Pediatric Oncology Group. Med Pediatr Oncol 1997; 28: 284-8.(エビデンスレベルⅤ)

9) de Alarcon PA, Children’s Oncology Group: Phase II Randomized Study of Cyclophospha-mide and Prednisone With or Without Immune Globulin in Pediatric Patients With Neuro-blastoma-Associated Opsoclonus-Myoclonus-Ataxia Syndrome, COG-ANBL00P3, Clinical trial, Active. (エビデンスレベルⅡ)

252

神経芽腫の早期発見を目的として,わが国では生後 6カ月時のスクリーニングが施行され,諸外国においてもいくつかの検討がなされており,その効果を検討した。

尿中カテコラミン代謝産物(VMA,HVA)の定量による神経芽腫の生後 6カ月の乳児のスクリーニングが日本で始められた1)。カナダのケベック州の生後 3週および生後6カ月のスクリーニング,ドイツの生後 1歳のスクリーニングは,おそらく自然退縮する良好な特性2-4)をもつ神経芽腫を,多数発見することを明らかにした。わが国の結果も同様である。生後 3週間,6カ月または 1年におけるスクリーニングによって,その後の生物学的に不良な特性をもつ年長児の進行期神経芽腫の発生率が低下することはないとされてきたが,わが国の大規模なコホート解析で,進行神経芽腫の発生率の低下と,スクリーニング施行例での死亡率が半減していることが示され,スクリーニング受診によって 10 万対 2.7 人程度の死亡減少効果が報告された5)。過剰診断を最小限として,かつ効果を得るために生後 18 カ月スクリーニングが提唱されており,一部の地域で検討されているが,まだ有効性を示すデータは示されていない。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,326 件),2. × mass-screening(170 件),3. × evaluation(41 件)。この中から本テーマに関連する 5文献を選択した。

1) Sawada T. Past and future of neuroblastoma screening in Japan. Am J Pediatr Hematol On-col 1992; 14: 320-6.(エビデンスレベルⅣ)

2) Takeuchi LA, Hachitanda Y, Woods WG, et al. Screening for neuroblastoma in North Amer-ica. Preliminary results of a pathology review from the Quebec Project. Cancer 1995; 76: 2363-71.(エビデンスレベルⅤ)

3) Woods WG, Gao RN, Shuster JJ, et al. Screening of infants and mortality due to neuroblasto-ma. N Engl J Med 2002; 346: 1041-6.(エビデンスレベルⅡ)

4) Schilling FH, Spix C, Berthold F, et al. Neuroblastoma screening at one year of age. N Engl J Med 2002; 346: 1047-53.(エビデンスレベルⅡ)

5) Hiyama E, Iehara T, Sugimoto T, et al. Effectiveness of screening for neuroblastoma at 6 months of age: a retrospective population-based cohort study. Lancet 2008; 371: 1173-80.(エビデンスレベルⅣ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

神経芽腫スクリーニングは有効か?

神経芽腫の尿中バニリルマンデル酸(VMA),尿中ホモバニリン酸(HVA)によるスクリーニングは,死亡率を低下させる効果があるとの報告があるが,過剰診断が指摘されており,その適切な実施時期について明らかでない。� (エビデンスレベル Ⅲ)

推奨グレード B

CQ 32

253

6

神経芽腫

進行神経芽腫に対する,骨髄破壊的大量化学療法後の分化誘導療法の有効性について検討した。

434 例の病期 4症例のうち,骨髄破壊的大量化学療法後 13-cisRA(13-cis-retinoic acid)投与例 130 例と非投与例 128 例で,無病生存率が 46 %と 29 %(P=0.027)と有意に,13-cisRA投与例の予後が良好であった1)。非常によくデザインされた解析であり,長期予後でも有効との報告がある2)が,一方で有効でないとの報告や低用量では無効であったとの報告もある3)。さらに,米国では fenretinide の臨床試験が行われているところである4)。わが国では 13-cisRAの使用が認可されていないので,使用することは現在困難である。

検索フィールド:PubMed,検索期間:1998〜2009 年,検索式:1. neuroblastoma(12,326 件),2. × 13-cis-retinoic acid(67 件),3. × therapeutic regimen(20 件)。この中から本テーマに関連する 4文献を選択した。

1) Matthay KK, Villablanca JG, Seeger RC, et al. Treatment of high-risk neuroblastoma with intensive chemotherapy, radiotherapy, autologous bone marrow transplantation, and 13-cis-retinoic acid. Children’s Cancer Group. N Engl J Med 1999; 341: 1165-73. (エビデンスレベルⅡ)

2) Matthay KK, Reynolds CP, Seeger RC, et al. Long-term results for children with high-risk neuroblastoma treated on a randomized trial of myeloablative therapy followed by 13-cis-retinoic acid: a children’s oncology group study. J Clin Oncol 2009; 27: 1007-13. (エビデンスレベルⅡ)

3) Kohler JA, Imeson J, Ellershaw C, et al. A randomized trial of 13-Cis retinoic acid in chil-dren with advanced neuroblastoma after high-dose therapy. Br J Cancer 2000; 83: 1124-7. (エビデンスレベルⅡ)

4) Villablanca JG, Krailo MD, Ames MM, et al. Phase I trial of oral fenretinide in children with high-risk solid tumors: a report from the Children’s Oncology Group(CCG 09709). J Clin Oncol 2006; 24: 3423-30. (エビデンスレベルⅢ)

背景・目的

解 説

検索式・参考にした二次資料

参考文献

分化誘導療法は有効か?

進行神経芽腫に対する,大量化学療法後の非進行例で13-cisRAの有効性が示唆されている。� (エビデンスレベル Ⅱ)

推奨グレード B

CQ 33