家庭科における伝統や文化を尊重する態度を育てる 効果的な ... ·...

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-1- 家庭科における伝統や文化を尊重する態度を育てる 効果的な授業の在り方 -日本の伝統的な和服のよさについて学ぶ学習を通して- 研究の概要 学習指導要領の改訂について「国際社会で活躍する日本人の育成を図る上で,我が国や郷土の伝統 や文化を受け止め,そのよさを継承・発展させるための教育を充実する」必要性が示され,家庭科の 関連事項としては「衣食住にわたって伝統的な生活文化に親しみ,その継承と発展を図る観点から, その学習の充実が求められる」と明記された。 そこで,本研究は日本の伝統的な和服のよさについて学ぶ学習において,実践的・体験的な活動を 取り入れ,体験したことを言葉と結び付け,言語活動の充実を図ることにより,伝統や文化を尊重す る態度を育てる効果的な授業の在り方を明らかにした。 キーワード 伝統や文化 衣文化 和服 実践的・体験的 主題設定の理由 時代の要請から グローバル化社会の中で,自分とは環境が異なる人を理解し共に生活していくためには,我が国や 20 1 地域の伝統や文化についての理解を深め 尊重する態度を身に付けることが重要である 平成 月の中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改 善について」では 「国際社会で活躍する日本人の育成を図る上で、我が国や郷土の伝統や文化を受 け止め、そのよさを継承・発展させるための教育を充実する」必要性が示され,家庭科の関連事項と しては「衣食住にわたって伝統的な生活文化に親しみ、その継承と発展を図る観点から、その学習活 動の充実が求められる」と明記された。答申に示された「生活文化」とは,衣食住の生活における歴 史的・文化的価値を持った行為や形式を意味している。本教科は家庭生活を主な学習対象とし,この 家庭生活は,具体的には家族などの「人 「もの 「時間 「金銭」などを要素として,それぞれが関 わり合って生活事象(生活行為)を生み出し,機能しているといえる。そして,その時間の流れの中 で生活事象の積み重ねの過程に生活文化が生まれ,その先には生活文化の新たな創造がある。子供た ちがこの文化的価値を感じ取るためには,普段見過ごしてしまいがちな生活事象(生活行為)をてい ねいに見つめ体験することにより,生活のメカニズムやその価値に気付くようにすることが大切であ る。また,そこから生活文化を創造できる基礎的・基本的な資質・能力を育むためには,その価値を 体得する生活体験が重要となる。つまり,生活文化を継承し発展させる資質・能力が育まれるよう, 単に日々の生活をなぞるだけではなく,衣食住の生活の営みをいつくしみ耕す視点をもつ実践的・体 験的な学び求められる。 社会の変化への対応 近年 各種サービスの多様化や流通手段の進歩から 手軽で便利な生活を営めるようになっている しかし,それらはややもすると,地域の風土や気候,歴史を生かした生活文化や,先人の生活の知恵

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家庭科における伝統や文化を尊重する態度を育てる

効果的な授業の在り方

-日本の伝統的な和服のよさについて学ぶ学習を通して-

研究の概要

学習指導要領の改訂について「国際社会で活躍する日本人の育成を図る上で,我が国や郷土の伝統

や文化を受け止め,そのよさを継承・発展させるための教育を充実する」必要性が示され,家庭科の

関連事項としては「衣食住にわたって伝統的な生活文化に親しみ,その継承と発展を図る観点から,

その学習の充実が求められる」と明記された。

そこで,本研究は日本の伝統的な和服のよさについて学ぶ学習において,実践的・体験的な活動を

取り入れ,体験したことを言葉と結び付け,言語活動の充実を図ることにより,伝統や文化を尊重す

る態度を育てる効果的な授業の在り方を明らかにした。

キーワード

伝統や文化 衣文化 和服 実践的・体験的

Ⅰ 主題設定の理由

1 時代の要請から

グローバル化社会の中で,自分とは環境が異なる人を理解し共に生活していくためには,我が国や

20 1地域の伝統や文化についての理解を深め 尊重する態度を身に付けることが重要である 平成 年, 。

月の中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改

善について」では 「国際社会で活躍する日本人の育成を図る上で、我が国や郷土の伝統や文化を受,

け止め、そのよさを継承・発展させるための教育を充実する」必要性が示され,家庭科の関連事項と

しては「衣食住にわたって伝統的な生活文化に親しみ、その継承と発展を図る観点から、その学習活

動の充実が求められる」と明記された。答申に示された「生活文化」とは,衣食住の生活における歴

史的・文化的価値を持った行為や形式を意味している。本教科は家庭生活を主な学習対象とし,この

家庭生活は,具体的には家族などの「人 「もの 「時間 「金銭」などを要素として,それぞれが関」 」 」

わり合って生活事象(生活行為)を生み出し,機能しているといえる。そして,その時間の流れの中

で生活事象の積み重ねの過程に生活文化が生まれ,その先には生活文化の新たな創造がある。子供た

ちがこの文化的価値を感じ取るためには,普段見過ごしてしまいがちな生活事象(生活行為)をてい

ねいに見つめ体験することにより,生活のメカニズムやその価値に気付くようにすることが大切であ

る。また,そこから生活文化を創造できる基礎的・基本的な資質・能力を育むためには,その価値を

体得する生活体験が重要となる。つまり,生活文化を継承し発展させる資質・能力が育まれるよう,

単に日々の生活をなぞるだけではなく,衣食住の生活の営みをいつくしみ耕す視点をもつ実践的・体

験的な学び求められる。

2 社会の変化への対応

, , 。近年 各種サービスの多様化や流通手段の進歩から 手軽で便利な生活を営めるようになっている

しかし,それらはややもすると,地域の風土や気候,歴史を生かした生活文化や,先人の生活の知恵

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。 , , ,から育まれた伝統が失われていく現象を招いている 一方で 地酒や地ビール 伝統工芸品や民芸品

一村一品運動など産業や観光と結び付けて地域を見直す動きもみられる。

衣の伝統文化については日本の伝統的な和服を日常,着ている人はとても少なくなっている。活動

, , ,性の問題や生活様式の変化など いろいろな理由が考えられるが 和服は目に見える伝統文化であり

。 ,世界に誇れるものである その中でも日本の伝統衣装である着物の中で生徒にもっとも身近な浴衣は

近年,和服の中でも需要は高まっている。しかし,ファッション性を重視した洋服感覚の色・柄の浴

衣もあり,着付けが適切でなかったり,外出先で着くずれをおこす姿も見受けられ,和服の伝統意義

や美的感覚が伝承されているとは言い難い。

, 「 」そこで 必修履修項目で和服を取り扱うことが可能となった新学習指導要領において 和服の着装

, , 。 ,に着目した題材を設定し 和服と洋服の構成や着方の違いに気付き 和服に関心をもたせたい また

生徒にも身近な浴衣を取り上げ,実際に着用する体験的学習活動を通して,和服に慣れ親しみ,着心

地や活動性などの違いから伝統的な衣装の智恵や装いの楽しさを味わい,日本に暮らす一人として伝

統的な衣装のよさを学ばせたい。

Ⅱ 研究のねらい

実践的・体験的な活動を通し,日本の伝統的な和服のよさについて学ぶ学習展開において,体験し

たことを言葉と結び付け,言語活動の充実を図ることにより,家庭科における伝統や文化を尊重する

態度を育てる効果的な授業の在り方を明らかにする。

Ⅲ 研究の基本的な考え方

1 家庭分野における伝統や文化

家庭科教育は,生活の文化を具体的・意識的に捉えることができる。家庭分野でも取扱いの軽重は

あるが,ABCDの四つの内容領域で,伝統的な生活文化の内容や観点を取り入れることができる。

食生活においては,学習指導要領やその解説に「地域の食文化 「文化を伝える食事の役割」の文」

言があり,食文化の学習を一層充実することが求められている。中学校では,地域の食材を生かす調

理,地域の伝統的な行事食,郷土料理など,地域の食文化に関心をもたせることに重点をおく。衣生

活では,着用に関して「和服の着装」を取り上げることができ,住生活においては「住居の基本的な

役割と住まい方」や「快適な住まい方の工夫」の学習で気候風土や文化など地域の特性や生活を反映

した題材を取り扱うことができる 「家族・子ども」と「消費・環境」では,学習指導要領に文言は。

入っていないが題材の工夫により 「家庭・子ども」では家庭生活と地域の関わりとして伝統的な行,

事,幼児の遊びとして伝承遊びも考えられる。また 「消費・環境」では地域に伝わる暮らしの知恵,

や文化などが題材になる。

このように,衣食住の生活や地域の人々との関わりにおいては,伝統的な生活文化に親しみ,その

継承と発展について考える学習を取り入れることができ,生活には伝統や文化を伝える役割があるこ

とに気付かせたいと考える。

2 家庭分野における言葉と体験

(1)家庭分野における体験

製作,調理などの実習や,実験,観察,見学,調査,研究などの実践的・体験的な学習活動を通し

て学ぶということは,家庭分野の目標を実現するに当たり,理論や考え方のみの学習に終わることな

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く,実習や調査などの活動を通して具体的に学習することであり,そのことにより,学習した知識や

技術が生徒自らの生活に生かされることを意味している。つまり,家庭分野では実感の伴う具体的な

学びを展開するすることで学習の質を高め,教科目標の実現を目指している。

(2)家庭分野における言葉

家庭分野の学習においては,日々の家庭生活を客観的にとらえたり,衣食住などの生活における様

々な事象のもつ科学性に気付き説明したり,価値判断が必要な生活場面を設けて自分なりの解釈や判

断したことについてまとめたり,解決策を探求したりするための言葉として「知的活動の基盤として

の言葉」が考えられる。また,家庭分野「家族と家庭生活」の内容では家族や幼児,地域の人々など

他者との関わりを考えて学習活動を行うため「他者とコミュニケーションするための言葉」や「他者

と相互理解し高め合うという言葉」の役割もある。さらに家庭分野の学習で用いる言葉には生活に関

連の深い様々な言葉があり 「生活への感性を育むための基盤としての言葉」という役割も考えられ,

る。

(3)言語活動の充実による家庭科のねらいの定着

技術・家庭科では,これまでも実践的・体験的な学習活動を重視してきたが,一層質の高い体験を

工夫し,言葉と体験をつなぐ活動を意識していくことが望まれる。そこで,家庭科で用いる生活に関

連の深い様々な言葉に触れ,目的をもって,学習対象を観察したり,直接体験や製作,調理などの実

習,インタビューや実験などの実践的・体験的な学習活動を充実させることが大切になる。そして,

体験を通し,様々な驚きや感動とともに実感を伴った理解となり,生徒の中で一つ一つの言葉が生き

た言葉へと変化すると考えることができる。また,体験しただけで終わりにせず,体験を振り返り,

体験したことを言葉で整理する等,活動と言葉が結びつくような場面を設定し,体験学習の質を高め

る活動の充実を図ることが必要である。

Ⅳ 研究の内容と方法

1 研究の内容

(1)新学習指導要領の実践に向けた学習指導計画の作成

新学習指導要領では地域や学校の背景や生徒の実態を踏まえて,生徒に育てたい力を明らかにし,

3年間を見通したストーリー性のある年間指導計画を立てることが望まれている。また,学習内容が

整理され,小学校との関連も明らかになり,知識や技能を習得し,活用,探求する家庭科の学習指導

の工夫が必要である。さらに,実生活で活用することによって確かな知識や技能,生活を創意工夫す

る能力として定着するよう,生徒が学習したことを実生活の中で実践することができるよう,地域や

家庭との連携も大切である。本研究では新指導要領の全面実施に向け,生活の中で,日本の伝統や文

化のよさ・智恵を意識的に捉え,実践力を伴って継承していけることを目指し,伝統や文化の継承を

重視した指導計画案に基づき 「C衣生活・住生活と自立」の内容における学習題材「衣生活や住ま,

い方の伝統や知恵を継承しよう」の衣生活について題材指導計画例を提示する。伝統や文化の継承を

重視した指導計画案については別紙補助資料に示す。

(2)授業モデルの作成

研究対象領域の題材について,衣生活の伝統や智恵を継承する学習活動の学習指導案及び教材を作

成し,研究授業を実施する。

(3)検証方法

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, 。 , ,研究の評価及び検証のため 事前・事後調査を実施する 事前調査は 生徒の実態を把握するため

衣文化の学習に対する興味・関心を中心とした実態調査を実施する。また,衣服の着装や機能・着物

のマナーなどの知識に関し,学習前の実態について把握する。事後調査は研究授業の内容に関する調

査を中心に実施する。

この事前・事後調査により学習に対する意識の変化や授業時ワークシートの記述内容を見取る。ま

た,和服という言葉のイメージや和服に関する紹介などについて題材初発及び題材終末に自分の考え

をまとめ,和服に関する衣文化についての学習の深まりを確認する。

2 研究の方法

(1)研究授業の対象

県内中学校第3学年

(2)研究授業の題材及び実施時期

ア 題材名 「衣生活の文化と伝承」

イ 実施時期 平成 年 月~ 月22 11 12

ウ 授業実施時数 研究授業4時間

エ 題材について

衣服は保健衛生上の機能,生活活動適応上の機能,社会生活上の機能,整容装身の機能,自己表現

上の機能を備えているが,普段私たちは,その機能を意識することは少なく,流行のデザインや個人

の好みで衣服を選択することが多い。しかし,これらの機能を理解することで,時・場所・場合など

に応じた,より適切な衣服の選択につながるといえる。

そこで,本題材では小学校家庭科で学習した保健衛生上の着方と生活活動上の着方を踏まえて,衣

服の社会生活上の機能を中心に理解し,時・場所・場合などに応じた衣服の着用や個性を生かす着用

の工夫ができるようにする。

また,土地の気候や文化によって影響を受け,独自に発達・形成されている日本の衣装「和服」は

現在は成人式や婚礼などの行事にしか用いられなくなり,和服に触れる機会が少ない。

, , , ,そこで 本題材では 衣服と社会生活とのかかわりを関連させ 和服の基本的な着装を題材に入れ

衣生活における日本の伝統や文化に関心をもてるようにする。

○ 内容のまとまりごとの評価規準(国立教育政策研究所『参考資料』より)

生活や技術への 生活を工夫し創造する 生活の技能 生活や技能についての関心・意欲・態度 能力 知識・理解

衣服の着用 選択 衣服の着用,選択,手 衣服の着用,選択,手 衣服の着用,選択,手, ,手入れについて,関 入れについて課題を見付 入れに関する基礎的な技 入れに関する基礎的な知心を持って学習活動 け,その解決を目指して 術を身に付けている。 識を身に付けている。に取り組み,衣生活 工夫している。をよりよくしようとしている。

○ 題材の評価規準の具体例

生活や技術への 生活を工夫し創造する 生活の技能 生活や技能についての関心・意欲・態度 能力 知識・理解

①衣服の着方による ①民族衣装や洋服の特徴 ①衣服の社会生活上の機印象の違いを考え と和服を比べ,色々な 能について理解していようとしている。 視点から和服の特徴を る。

②日本の民族衣装 和 考えている。 ②衣服の着方により,人「服 に関心を持つ ②生活文化について考え に与える印象の違いを」 。

③浴衣の着付けの実 たことを今後の生活で 理解している。習に意欲的に取り 生かしていけるよう工 ③時,場所,場合に応じ

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組む。 夫している。 た着用や個性を生かす着用の重要性を理解している。

④和服の特徴について理解している。

3 授業実践の内容

流れ 学習活動 評価 備考

○衣服のはたらきとコーディネート第1次

・事前調査・身近な生活を取り上げ,学校生活や行事など 知・理①②③

・ワークシート10/27 の目的に応じた,その場にふさわしい着方を

No.1~3(水) 考える。

・カラーコーディ3-1 3・ ・色や形などの調和や自分らしさを考えた着方 関・意・態①

( )の工夫をする。 ネート 色鉛筆

・民族衣装の資料第2次 ○和服の文化を探る

(PPT)~見て,触って・着て・考える~

・日本の伝統衣装11/17 ・世界の民族衣装と日本に伝わる衣装(和服) 創・工①

実物(着物・法(水) の違いから和服の特徴を調べる観点(視点)

被・浴衣・甚平3-1 3・ を考える。

など)・和服を実際に羽織ってみることにより,和服

・試着体験の特徴を調べる。 関・意・態②

・ワークシート・和服のよさがわかり,日本の民族衣装である

No.4和服に関心を持つ。

・着付け体験第3次 ○浴衣を着よう

・写真・日本の伝統衣装である着物の中でもっとも身 関・意・態③

・ワークシート12/10 近な浴衣のたたみ方や着方を体験し,伝統的

No.5(金) な衣装の智恵や装いの楽しさを味わう。

3-1 3・

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○衣生活における日本の伝統や文化第4次

・日本の民族衣装である和服に関心を持ち,和 知・理④ ・ワークシート

No.1,612/15 服について学んだことで広がった自分の考え

(水) についてまとめる。

・ ・今後の自分の衣生活で工夫できることを考え 創・工②3-1 3る。

4 指導事例

各時間における学習指導案及び指導計画(ワークシートを含む)については補助資料に示す。

Ⅴ 研究の結果と考察

衣生活の文化に関する学習シート「衣生活の文化~日本再発見・和服のすばらしさ~」を用い,和

服に関する実物観察や着付け体験などの実践的・体験的な学習活動を取り入れ授業を行った。その結

果,衣生活の文化や和服に対する興味・関心が深まり,衣文化を伝えていく意義についても思考する

ことができた。ここでは,授業実践の概要や実践結果の分析と考察について述べる。

(図1)1 事前調査から

(1)衣文化・和服の学習に対する興味・関心

平成19年 月~ 月に実施された国立教育政10 11

策研究所教育課程研究センターによる「特定の課題

に関する調査」では,中学校3学年において,技術

・家庭における基礎・基本となる知識・技能,生活

で活用する力に関する調査を実施した。この調査結

果によると,生徒質問紙に示された「衣服の組合せ

を工夫したり,流行について話し合ったりする学習

」 , 「 」 ,「 」が好きですか という質問に対し 3割強の生徒が 好きだ と回答し どちらかといえば好きだ

を含めると約7割の生徒が肯定的な回答だった。これは衣生活についての質問項目の中で「好きだ」

と回答する生徒の割合が最も高かった。また,家庭分野に関連する生徒の生活経験の有無や日常生活

の実践への意欲の調査においても 「衣服の組合せや流行について考えたことがありますか」という,

質問に対し 「学校の授業でも家庭でもしたこと・考えたことがある 「学校の授業でしたことがあ, 」

る」及び「家庭でしたことがある」などと肯定的な回答をした生徒は8割以上だった。本研究対象生

徒に実施した事前調査においても「衣服の組合せの工夫や流行について興味・関心がありますか」と

いう質問に対し,約8割が肯定的な回答を示した。特に女子生徒はその半数近くが「興味がある」と

回答している。

また,本研究の主題に迫る「日本の衣文化(和服)に興味・関心がありますか」という質問に対し

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ては男子生徒は約5割,女子生徒は7割が肯定的な回答であった。しかし 「和服のよさについて」,

「和服と洋服の違いについて」及び「和服のマナーや和装小物について」などについての知識に関し

ては 「説明できない」と回答した生徒も多く,最近では日常で和服姿を見かけることも少なく,和,

服を着る経験のない生徒にとっては,和服に関しての親しみはなく,和服について詳しく説明するこ

とはできないのが実態である。

また,事前調査とし,様々な被服に要求される機能や着装についての事前問題については正解率が

高かったが,和服(浴衣)を着るときのマナーについての問題に関しては特に「襟の重ね方 「正装」

用の着物のTPO」についての正解率が低い傾向にあった。

(図2) (図3)

(2)学習前における「和服」という言葉のイメージや和服に関する紹介などについて

(図4)興味・関心の広がりや意識の深まりを見取るた

め 「和服」という言葉のイメージや和服に関す,

る紹介などについて,事前に記述を試みた。こ

の学習前の調査では,イメージマップに書かれ

た言葉や文はクラス全員のもの合わせても ほ70

どの数であり,一人あたり平均8個の言葉が記

述されている。多い生徒は 個近くの言葉が記20

述されているが, 人中 人は5個以下という77 24

少ない記述である。また,その中には七五三や

成人式などの人生の節目である行事やお祭りや

初もうでなどの年中行事が多く書かれていた。

図4は学習前に記述した和服からイメージする言葉である。

さらに,和服の特徴を外国の方に説明するという設定での和服の紹介に関しては,和服のよさや和

服と洋服の違い・マナーなどを文章にまとめて説明できた生徒はとても少なく 「四季折々の模様」,

「 」 「 」「 」や 風景や生き物の絵柄 といったデザインのイメージや 体に巻く 上下に分けられず 枚の布1

などといった構成的特徴の記述があったが 「堅苦しい 「着付けが難しい 「歩きにくい」などのマ, 」 」

イナスのイメージの記述もあった。ここに示したイメージマップ及び和服の紹介に関するワークシー

トの記述は題材の終末に再度用い,言葉の増加や内容の深まりから興味・関心などの意識の広がりを

考察する。

日本の衣文化(和服)ついての興味・関心

19.5%

9.1%

22.1%

49.4%

ある どちらかというとある どちらかというとない ない

和服のよさについての説明

36.4%

61.0%

2.6%

詳しく説明できる 少し説明できる 説明できない

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2 実践結果の分析と考察

事前・事後調査,ワークシート・感想等の記述の分析により 「和服に関する興味・関心 「生活, 」

文化に関する思考」について検証する。

(1)和服の学習に対する興味・関心について

(図5) (図6)

和服の学習に対する興味・関心について事後調査結果を図5・6に示す 「和服に関する学習を充。

実していましたか」という質問に対し 「していた」と回答した生徒は . %であり 「どちらかと, ,86 5

いうとしていた」を含めると %となる。また,和服に関する学習の中でも本教科にとって大切な100

実践的・体験的な学習活動である「浴衣の着付け体験」に関しての質問については, . %の生徒89 2

が「充実していた」と答えている。

(図7) (図8)

その結果,上記の図7に示すように和服に関する学習への興味・関心については,学習前に「興味

がある」と答えた生徒の割合 . %が学習後には . %と増加した。また,図8のように「和服49 4 79 7

のよさについて知ることができましたか」という質問に対しても「できなかった」という否定的な回

答はなく,この学習を通して和服のよさについて思考することができたと考えられる。以下の資料1

には学習終末にまとめた和服のよさについての記述例をあげる。その他の記述例は補助資料に示す。

(資料1)

題材終末における『和服のよさ』についての記述例・落ち着いたデザインで,少し着にくいところなどもその複雑さが日本らしくよい。

・和服の色によって,個性が強調できることが和服のよさだと思う。また,華やかな色が多く,きれい

な柄も多い。だから着ている人がより美しく見えると思う。

・身体と同時に気持ちも引き締まる感じもし,姿勢がよくなり改まった気持ちになる。

・落ち着いた雰囲気を出すことができ,TPOを考えて色や模様などを変えてその場にあった衣服にす

ることができること。

和服の学習へ興味・関心はありますか

79.7%

0.0%

1.4%

18.9%

ある どちらかというとある どちらかというとない ない

和服に関する学習は充実していましたか

0.0% 0.0%13.5%

86.5%

していた どちらかというとしていた どちらかというとしてない してない

浴衣の着付け体験は充実していましたか

89.2%

10.8% 0.0%0.0%

していた どちらかというとしていた どちらかというとしてない してない

和服のよさについて知ることができましたか

0.0%0.0%

18.9%

81.1%

できた どちらかというとできた どちらかというとできなかった できなかった

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“ ” , 。 ,・日本の 和 の色や模様を使っており とても華やかではあるが派手ではないのがすばらしい また

着ているときに歴史や文化を感じることができ,日本古来の特徴を身を持って感じることができる。

・その時々や年齢,自分の身分を表したりすることができ,着るときやものが決まっていて統一感があ

る。簡素なつくりだが,素材そのものを意識していてきれいだと思う。また,着る当人のことを考え

てつくられているのがすごいと思った。

・しっかりと手入れをするだけで,長い間保管でき,多くの世代が着ることができる。

・まず和服は伝統衣装なので着ること自体に意味がある。

(図9)また,興味・関心の広がりを見取るために「和

服」から思い浮かぶ言葉を事前・事後に書かせた

ワークシートによると事前の記述数平均 個が平8

均6個の増加となり,学習後には平均 個に増14

加している。図9に示すように事後の記述内容に

は,和服を着用する人生の節目や行事の具体的な

記述が増えた他,和服の種類の記述の増加が見ら

れた。これは,和服の特徴についての学習の成果

だと考えられる。また,和服に対するプラスのイ

メージの記述にある「きれいに着付けるとかっこ

いい」や「女子が華やか 「意外と簡単」などは」

浴衣の着付け体験により感じた言葉である。このように本研究の学習により言葉の数及び言葉の種類

が増え,学習前からの変容が明らかにわかる。生徒のワークシート記述例を図 に示す。学習前に10

は鉛筆で示した記述が学習後には色を変えて記述させたため,ワークシートにより生徒自身も和服へ

の興味・関心の広がりや知識の広がりを意識することができた。さらに,図 に示すように外国の11

方に和服の紹介をする際の和服の特徴についても事前には外観的な特徴が多かったが,学習後には和

服の種類やその和服を着用する機会,また和服に関する豆知識などの記述も加わり,紹介文としての

記述が多く見られるようになり,和服についての知識の広がりを伝えようとする意識の高まりと思考

の広がりが見られた。図 ・ 以外の生徒の記述例は,補助資料に示す。10 11

(図 ) (図 )10 11

(2)衣生活における伝統や文化(和服文化)への意識について

下図 に示すように和服への興味・関心の広がりとともに,実践的・体験的な学習活動である試12

着体験や着付け体験を通し,その体験から感じたこと・気づいたことをまとめ整理する活動を充実さ

13せることにより和服のよさをを知り 和服に関する知識の広がりを実感することもできた また 図, 。 ,

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に示すように,この学習を通し 「和服文化を大切にし,伝えていきたいと思いますか」の質問に対,

し, %生徒が「思う」と回答し 「どちらかというと」を含めると ・ %の生徒がこの学習で77.0 98 6,

衣文化についてその重要性を認識し,伝えていきたいという意識を持ったことがわかる。

(図 ) (図 )12 13

さらに,この考察する活動を通し,資料 に示すようにこの題材において思考した『生活文化につ2

いて考えたこと』をまとめることもできた。これらの記述の中には,衣文化に限らず日本古来からの

文化に対する思いがこめられた記述が多く,今回の学習が着物を着ることが目標ではなく,伝統的な

生活文化に親しみ,伝統や文化を尊重する態度を育てることが目標であったことが読み取れる。

(資料2)

この学習を通して『生活文化について考えたこと』についての記述

・改まったり,しっかりと気持ちを締めることが少なくなったのか,本来大切にしなければならない文

化が,逆に面倒だと思ってしまうようになったと思う。文化は変わるのもだから仕方がないとは思う

が,大切にすることも重要であると再認識できた。

・やはり日本は古来から派手すぎず,目立ちすぎない,それであって華やか。そのような日本古来の文

化はすばらしいと思った。だから現代の人々も和服を着ているのだと思う。

・それぞれの国や地域によって,衣服には様々な違いがあることもわかった。その違いはそれぞれの文

化をそのまま表しているものだと思った。

・日本の和の心は,和服のよさのようなところから生まれているようにも感じる。

・新しいことを開発していくことも大事だけれど,昔のものや人の考えも取り入れていくことが大事だ

と思った。新しくつくるだけが「前進」ではないと思ったので,伝統を受け継いでいきたいと思う。

・和服や浴衣などの他の文化においても自分で気づけるところは考え,知ろうとしていくべきだと感じ

た。

(3)言語活動の充実

本教科では,実感の伴う具体的な学びを展開するこ

とで教科目標の実現を目指すことを基本としている。

生徒は理論や考え方のみの学習に終わることなく実践

的・体験的な学習を行うことにより,様々な驚きや感

動を味わう。本研究においては題材のワークシートに

この体験から感じたこと・気づいたことをまとめ,整

理し考察する学習活動,つまり言語活動を充実させる

和服文化を大切にし、伝えていきたいと思いますか

77.0%

0.0%1.4%

21.6%

思う どちらかというと思う どちらかというと思わない 思わない

和服に関する知識が広がりましたか

0.0%

32.4%

67.6%

0.0%

広がった どちらかというと広がった あまり広がらなかった 広がらなかった

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ことにより,これらの過程で一つ一つの言葉が生徒自身の生活

の中で生きた言葉へと変化していくと考えた。

資料1・2及び以下の資料3は,学習終末時に考えたことを

整理し,考察するためのワークシートの記述部分である。資料

3は「学習の感想」についての記述であるが,太字で示す部分

は実践的・体験的な学習活動を通し,思考したことが記述され

ているものであり,家庭分野の目標を実現するに当たり,実習

,や調査などの活動を通して具体的に学習することが大切であり

そのことにより,学習した知識や技術が生徒自らの生活に生か

されることを意味していることがうかがえる。また,実践的・

体験的学習活動(体験)と言語活動(言葉)を結びつけること

により,理論や考え方のみの学習や実習のみの学習に終わるこ

となく,より効果的に家庭科における伝統や文化を尊重する態

度を育てることができたと考えることができる。

(資料 )3

「学習の感想」についての記述

・ 大切にしていくべき文化の象実際に着たりして,感触がわかり,和服に対するイメージも変わった。

徴ともいえる和服を意識していきたいと思った。

・ ,昔の人の心というものを知れてとてもおも実際に着てみたりすると,日本がより近く感じられたり

しろかったと思う。

・ 話を聴くよりも着て,雰囲一番印象的だったのは,実際に浴衣を着てみることができたことだった。

気を感じてみることで,改めて和服を人ごとではなく自分のものとしてとらえることができた。そし

着ることにより何より落ち着いた気分になり 「日本的」な何かを感じ取れた気がした。て, ,

和服を着たことはなかったので,新鮮な感じがした。洋服を着るのとはひと味もふた味も違ったが,・

着ることによって和服を以前よりもずっと身近に感じられた。

・今回の授業では ような気がした。そして,そこから「伝統のも「和服を着ることの楽しさ」を学べた

のを受け継いでいくことの大切さ」も学べたと思う。これらのことは私たちが文化を創りあげていく

上でとても重要なことだと思うので,このような考えがもっと広がっていくといいと思った。

・そんなに興味はなかったが,和服に隠された工夫などを知ることで,考えを変えることができたと思

う。

Ⅵ 研究のまとめと今後の課題

本研究は,学習指導要領の改訂で充実すべき重要事項の一つとして掲げられた「伝統や文化に関す

る教育の充実」をテーマに昨年度より授業研究を行っている。特に今年度の研究で扱った「和服の着

装」については新学習指導要領において必修履修項目で扱うことが可能になった内容であり,昨年度

, ,の研究の中でも 食文化の他に家庭科の学習や日常生活の中から大切にしていきたい生活文化として

衣生活における生活文化では「着物」を挙げ,人生の節目や行事ごとの衣服の文化を大切にしていき

たいとの記述が掲載されていた。そこで,生徒にも身近な浴衣を取り上げ,実際に全員が着用する実

践的・体験的学習活動を通して,和服に親しみ,伝統的な衣装の知恵や装いの楽しさを味わい,伝統

整 理 し , 考 察 す るワ ー ク シ ー ト

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的な衣装のよさを学ばせたいと考えた。

この学習展開において生徒の和服についての興味・関心及び大切にしたい生活文化としての意識

は,実感を伴い変容し,高まりや広がりを見せた。このことからも,衣文化に関する学習シート『衣

生活の文化~日本再発見・和服のすばらしさ~』を用い,着物の実物観察や試着・浴衣の着付け体験

などの実践的・体験的な学習活動を取り入れた学習活動において,体験したこと・気づいたことをま

とめ,整理し,考察するなどの言語活動を位置づけ,体験と言葉を結びつけることを充実させること

は,伝統や文化を尊重する態度を育てる効果的な教科指導となったことがわかる。

今後も「身近な内容から入る教材の工夫 「相互に関連づけて指導する工夫」を考え,従来の授業」

実践を生かした伝統・文化にかかわる視点からの改善を心がけ,身近な教材の文化的な価値を再発見

できる指導について私たち教員自身が伝統・文化に対しての興味・関心や理解を深め,新学習指導要

領の完全実施に向け,他領域での題材の検討や教材化・さらなる教材の改良を行い,家庭科における

伝統・文化に関する教育の充実を目指したい。また,教科における言語活動の充実について,その目

標や具体的な方法・手立てを示す効果的な授業実践を試み,教科の目標実現を目指したい。

引用・参考文献 研究協力校

山梨大学教育人間科学部附属中学校・中学校学習指導要領解説技術・家庭科編 文部科学

校長 宮澤 正明省

研究協力員・中学校学習指導要領(平成 年3月告示) 文部20榛原砂穂理 甲斐市立竜王北中学校教諭科学省

赤岡 玲子 山梨大学教育人間科学部附属中学校・技術・家庭学習指導書家庭分野 開隆堂

教諭・伝統と文化に関する教育の充実ーその方策と実践事

平成 年度 山梨県総合教育センター例ー 教育開発研究所 中村哲編集 22執 筆 者 主査・研修主事 清田 礼子・中学校新学習指導要領の展開~技術家庭科家庭分野

編~ 明治図書 佐藤文子編著

( 「 」・家庭科の課題 言語活動の充実を図る 視点と方法

のある授業)山口大学教育学部附属光小学校著

明治図書

・中学校新学習指導要領の展開~技術家庭科家庭分野

編~ 明治図書 佐藤文子編著

・ 生きる力」をはぐくむために 小学校指導要領ポ「

イントと授業づくり 家庭 東洋館出版社

・家庭科ワークシート集CD-ROM 開隆堂

・新しい評価の進め方 評価基準・評価方法の工夫改

善 確かな学力をつける授業を目指して 中学校

家庭分野編 河野公子編著 明治図書

・自分らしい生活をつくる 家庭科ワークブック②

牧野カツコ編著 国土社

・平成 年度家庭科問題集基礎編(衣生活・食生活)20財団法人 全国高等学校家庭科教育振興会

・セルフ・エスティームをはぐくむ技術・家庭科教育

家庭分野 安東 茂樹 明治図書

・家庭科への参加型アクション志向学習の導入

中間美砂子他 大修館書店

・和服の着装に着目した中学校技術・家庭科に関する

教材の作成 木下みゆき 福井典代 鳴門教育大学

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平成22年度 主事研究補助資料

1.各時間指導案及び評価計画

2.ワークシート

3.事前調査

4.事後調査

. ( )5 学習前と学習後の興味・関心及び知識の広がり 記述例

山梨県総合教育センター 清田礼子

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各時間指導案及び評価計画○ 内容のまとまりごとの評価規準(国立教育政策研究所『参考資料』より)

生活や技術への 生活を工夫し創造する 生活の技能 生活や技能についての関心・意欲・態度 能力 知識・理解

衣服の着用 選択 衣服の着用、選択、手 衣服の着用、選択、手 衣服の着用、選択、手、 、手入れについて、関 入れについて課題を見付 入れに関する基礎的な技 入れに関する基礎的な知心を持って学習活動 け、その解決を目指して 術を身に付けている。 識を身に付けている。に取り組み、衣生活 工夫している。をよりよくしようとしている。

○ 題材の評価規準の具体例

生活や技術への 生活を工夫し創造する 生活の技能 生活や技能についての関心・意欲・態度 能力 知識・理解

①衣服の着方による ①民族衣装や洋服の特徴 ①衣服の社会生活上の機印象の違いを考え と和服を比べ、色々な 能について理解していようとしている。 視点から和服の特徴を る。

②日本の民族衣装 和 考えている。 ②衣服の着方により、人「服 に関心を持つ ②生活文化について考え に与える印象の違いを」 。

③浴衣の着付けの実 たことを今後の生活で 理解している。習に意欲的に取り 生かしていけるよう工 ③時、場所、場合に応じ組む。 夫している。 た着用や個性を生かす

着用の重要性を理解している。

④和服の特徴について理解している。

○ 題材の指導計画

流れ 学習活動 評価 備考○衣服のはたらきとコーディネート第1次

・事前調査・身近な生活を取り上げ,学校生活や行事など 知・理①②③・ワークシート10/27 の目的に応じた,その場にふさわしい着方を

No.1~3(水) 考える。・カラーコーディ3-1 3・ ・色や形などの調和や自分らしさを考えた着方 関・意・態①

( )の工夫をする。 ネート 色鉛筆

・民族衣装の資料第2次 ○和服の文化を探る(PPT)~見て、触って・着て・考える~

・日本の伝統衣装11/17 ・世界の民族衣装と日本に伝わる衣装(和服) 創・工①実物(着物・法(水) の違いから和服の特徴を調べる観点(視点)被・浴衣・甚平3-1 3・ を考える。など)・和服を実際に羽織ってみることにより、和服

・試着体験の特徴を調べる。・ワークシート・和服のよさがわかり、日本の民族衣装である 関・意・態②

No.4和服に関心を持つ。・着付け体験第3次 ○浴衣を着よう・写真12/10 ・日本の伝統衣装である着物の中でもっとも身 関・意・態③・ワークシート(金) 近な浴衣のたたみ方や着方を体験し,伝統的

No.53-1 3・ な衣装の智恵や装いの楽しさを味わう。○衣生活における日本の伝統や文化第4次・日本の民族衣装である和服に関心を持ち、和 知・理④ ・ワークシート

No.612/15 服について学んだことで広がった自分の考え(水) についてまとめる。

・ ・今後の自分の衣生活で工夫できることを考え 創・工②3-1 3る。

1

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(題材 ○衣服のはたらきとコーディネート 1/4)

(1)対象学年・教科 第3学年 技術・家庭科(家庭分野)

(2)題材 衣服のはたらきとコーディネート

(3)本時の目標(ねらい)

・衣服の社会生活上の機能について理解している。

・衣服の着方により、人に与える印象の違いを理解している。

・時、場所、場合に応じた着用や個性を生かす着用の重要性を理解している。

・衣服の着方による印象の違いを考えようとしている。

(4)指導と判断のめやす

関 創 技 知 充分満足と判断され おおむね満足と判断 努力を要する生徒へ 評価方法A B C意 工 能 理 る状況 される状況 の支援

ユニフォームや制服の 衣服の社会生活上の機 身近な衣服を具体的に ワークシート

○ 意味について具体的に 能について説明でき あげ、衣服の機能につ 観察

あげ、衣服の社会生活 る。 いて考えさせる。

上の機能について説明

できる。

色の変化の他にも柄や 色の変化により衣服の 変化が明確にわかる色 ワークシート

○ 形などの変化によって 着方によって、人に与 を使って、色の変化に

も人に与える印象が違 える印象に違いがある よって印象が違うこと

うことも説明できる。 ことを説明できる。 を助言する。

衣服の社会生活上の機 TPOに応じた着用や 具体的な場所や目的を 観察

○ 能や衣服の着方による 個性を生かす着用の重 提示し、それにふさわ

人に与える印象などを 要性を理解している。 しい衣服が選択できる

総合的に考え、TPO よう助言する。

に応じた衣服の着用や

個性の表現について考

えている。

スーツに合わせたシャ スーツに合わせたシャ 変化が明確にわかる色 ワークシート

○ ツや小物の色の変化に ツや小物の色を変化す を使うよう指示する。

よる着回し方につい ることによって、衣服

て、TPOに合わせた の着方による印象の違

り、個性を生かす着用 いを考えようとしてい

を考え、色による印象 る。

の違いを表現できるよ

う考えている。

(5)展開

段階 指導内容 学習活動 評価の観点 留意点

導 本日の目標確認 ・本日の目標を確認し、各自の課題を入 もつ。

・ワークシート衣服の働き ・衣服の働きについて、小学校では、保健衛生上、生活活動上の着用につ

展 いて既習していることを確認する。

・ユニフォーム・衣服には社会生活上の機能があるこ 知・理①③

や制服の意味とを知る。

2

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開・色鉛筆着装の工夫 ・スーツに合わせて、シャツや小物の 知・理②

間・意・態①カラーコーディネートをして、どんな着回しができるか考える。

・ワークシート次時の確認 ・ 和服」という言葉からイメージす「ま る言葉や文をイメージマップに表現と する。め

・ 和服」の特徴の紹介を考えまとめ「る。

・次時の学習内容について確認する。

3

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(題材 ○和服の文化を探る 2/4)

(1)対象学年・教科 第3学年 技術・家庭科(家庭分野)

(2)題材 和服の文化を探る~見て、触って・着て・考える~

(3)本時の目標(ねらい)

・民族衣装や洋服の特徴と和服を比べ、和服の特徴を考えることができる。

・日本の民族衣装「和服」に関心を持つ。

(4)指導と判断のめやす

関 創 技 知 充分満足と判断され おおむね満足と判断 努力を要する生徒へ 評価方法A B C意 工 能 理 る状況 される状況 の支援

民族衣装や洋服の特徴 民族衣装や洋服の特徴 色や構成などの視点を 観察

○ と和服の比較から、そ と和服を比べ、和服の 具体的にあげられるよ ワークシート

れぞれの衣服の違い比 特徴を考えることがで う比較する視点を具体

較する視点を考え、そ きる。 例を出して考えるよう

の視点から和服の特徴 促す。

や和服のよさについて

考えることができる。

○ 民族衣装や和服につい 民族衣装や洋服と和服 和服のいくつかの種類 観察

て、和服の特徴を考え の比較をすることによ の実物を間近で観察

ながら積極的に観察し り 日本の民族衣装 和 し、わかったことから、 「

たり、試着することが 服」に関心を持つ。 和服の特徴を考えるよ

できる。 う促す。

(5)展開

段階 指導内容 学習活動 評価の観点 留意点

導 本日の目標確認 ・本日の目標を確認し、各自の課題を入 もつ。

・資料世界の民族衣装 ・世界の民族衣装について、衣装名・・PPT国名・特徴を考える。

展・和服の実物着物の観察・試着 ・日本の和服(浴衣・甚平・着物・法 関・意・態②

被)を観察し、試着し和服の特徴を考える。

開創・工①和服の特徴 ・和服と民族衣装・制服を比べ、和服

の特徴を考える。・資料

・PPT和服の知識 ・着物とはどんな服なのか、どういう「着物を知ろう」 決まりごとがあるのか、着物の基本

について知る。

・ワークシート和服のよさ ・ 今日の学習を振り返り、和服についま てはじめて知ったことやわかったこと とをまとめる。め

次時の確認 ・次時の学習内容について確認する。

4

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(題材 ○浴衣を着よう 3/4)

(1)対象学年・教科 第3学年 技術・家庭科(家庭分野)

(2)題材 浴衣を着よう

(3)本時の目標(ねらい)

・浴衣の着付けの実習に意欲的に取り組む。

(4)指導と判断のめやす

関 創 技 知 充分満足と判断され おおむね満足と判断 努力を要する生徒へ 評価方法A B C意 工 能 理 る状況 される状況 の支援

○ 浴衣の着付けに必要な 浴衣の着付けの実習に 浴衣の着付け方につい 観察

物の準備や着付けの実 意欲的に取り組む。 て再確認しながら実習

習に積極的に参加し, に参加できるように促

自分できれいに着付け す。

られよう意欲的に参加

している。

(5)展開

段階 指導内容 学習活動 評価の観点 留意点

導 本日の目標確認 ・本日の目標を確認し、各自の課題を入 もつ。

・ゲストティー浴衣の着付け ・浴衣の着付け方法を知る。チャーの紹介展 関・意・態③

・浴衣を着付ける。・写真(机間巡視・適宜助言)

・実演開 浴衣のたたみ方 ・浴衣のたたみ方を知る。・浴衣をたたむ。

・ワークシート振り返り ・授業を振り返り、ワークシートに記ま 入する。とめ 次時の確認 ・次時の学習内容について確認する。

5

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(題材 ○衣生活における日本の伝統や文化 4/4)

(1)対象学年・教科 第3学年 技術・家庭科(家庭分野)

(2)題材 衣生活における日本の伝統や文化

(3)本時の目標(ねらい)

・和服の特徴について理解している。

・生活文化について考えたことを今後の生活で生かしていけるよう工夫している。

(4)指導と判断のめやす

関 創 技 知 充分満足と判断され おおむね満足と判断 努力を要する生徒へ 評価方法A B C意 工 能 理 る状況 される状況 の支援

○ 学習をふり返り,和服 和服の特徴について理 学習のワークシートを ワークシート

の特徴や和服のよさに 解している。 確認し,和服のよさに

ついて理解し,そのつ ついて書かれていると

ながりを言葉でまとめ ころを提示し,まとめ

ることができる。 られるよう支援する。

今回の学習を生かし, 今後の衣生活で生かし 学習のワークシートを 観察

○ どんなことをどんな場 ていけることを考え、 確認し,生活の中で実 ワークシート

面で取り入れていくか まとめることができ 践できそうな事柄を取

を詳細に記述し,実践 る。 り入れるよう支援す

をめざしてまとめるこ る。

とができる。

(5)展開

段階 指導内容 学習活動 評価の観点 留意点

導 本日の目標確認 ・本日の目標を確認し、各自の課題を入 もつ。

・ワークシート学習前と学習後の ・学習前に行った事前調査(和服に関・情報交換変容の見とり するウエビング,和服の紹介)の内(班→クラス)展 容について学習後の記述をし,和服

の紹介について発表する。

・ワークシート和服のよさの再発 ・和服のよさについて確認し,まとめ 知・理④

開 見 る。

・ワークシート生活文化について ・和服について学習し、わかったこと 創・工②

や生活文化について考えたことをまとめ、今後の自分の生活に生かせることを考える。

・事後アンケー事後アンケート ・伝統と文化に関する授業についてのト事後アンケートをとる。

。ま 学習のまとめ ・今回の学習の成果についてまとめるとめ

6

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ワークシート1 3年 組 番 氏名( )

衣生活の文化について知ろう 1.「和服」という言葉からイメージする言葉や文を思いつくだけ線で結んで表現してくだ

さい。

2.外国の方から質問されました。この質問にあなたはどう答えますか。

和服

最近、日本の伝統的な和服を見

かけなくなっていますが、和服

の特徴を教えてください。

8

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ワークシート2 3年 組 番 氏名( )

被服の機能・着装について確認!!

服装は、身体を保護する以外に大きな役割を持っている。それは着用者の

みが、( 快適 )であっても他人に( 不快感 )を与えるようでは、完

全な服装とはいえない。たとえば保健衛生的な清潔さを保持することも大切

であるが、場所・時・( 目的 )によく適合することも大切である。自分

さえ( 満足 )すればよいというのではなく、他人にも( 好ましい )

印象を与えるように心がけることが大切である。

【被服の機能】

① トレーニングウエア( 活動能率の向上 )

② 作業着( 活動能率の向上 )

③ アクセサリー( 個性の表現 )④夏のはだ着( 皮膚の清潔 )

⑤消防服( 身体防護 )⑥喪服( 社会的習慣への同調 )

⑦ウインドブレーカー( 温度調節 )⑧制服( 集団への所属 )

《考えてみよう》

世の中には学校の制服の他にも、様々な制服がある。制服のある職業について(消

防士・警察官・医師・弁護士・パイロット・自衛隊・シェフ・僧侶など)「もしも制

服がTシャツとジーンズだったら・・・」とか「制服を私がデザインするとしたら・・・」

を考えてみよう。

9

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ワークシート3 3年 組 番 氏名( )

自分の着装を考えてみよう 1.男性用・女性用スーツに合わせて、シャツ(ブラウス)、小物のカラーコーディネート

をして、どんな着回し方があるか考えよう。

※スーツは、好きな色を一つ決め、シャツ(ブラウス)や小物の色を変えることでイメー

ジを変える。

※男性用スーツと女性用スーツの色は異なってもかまわない。

男性用スーツ 女性用スーツ

【工夫したところ】 【工夫したところ】 【工夫したところ】 【工夫したところ】

被服の機能や着装について、自分はどんな衣服の着方をしていくか考えよう!!

KEYWORD(保健衛生上・生活活動上・社会生活上・TPO・個性・所属・慣習・印象)

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ワークシート4 3年 組 番 氏名( )

和服の文化を探る ~見て、触って・着て・考える~

1.世界の民族衣装には・・・・

衣装の名前 国名 衣装の特徴

⑤ 洋服(制服・体育

着・日常着など)

日本

⑥ 和服(着物・浴衣

など)

日本

2.和服とそれぞれの国の衣装の違いを見る観点(視点)は・・・・・

違いの視点(どこが違う?)

11

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3.着物(浴衣)を着用してみよう!!(触ってみよう・着てみよう)

4.和服に関する情報を別紙のワークシートで学ぼう。

5.和服(浴衣)について他の国の衣装との違いや「みて、触って、着て、学んでみて」

わかったことをまとめ、和服のよさについて自分の考えをまとめてみよう。

【気づいたこと】

12

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浴衣の着付けに挑戦してみよう 11 月より 3 年生の家庭科の授業において和服の着装を扱う授業を展開しています。テー

マは「衣生活の文化~再発見・和服のすばらしさ~」です。前回の授業では色々な種類の

和服を実際にみてもらったり、和服の特徴について勉強しました。次回は和服を身近に感

じる為に「浴衣の着付け」に挑戦してもらいたいと思います。そこで・・・

次回の授業は着付けの先生をゲストティーチャーにお招きし、本職の先生に着付けを教え

ていただきたいと思います。授業時間の中の短い時間ですが、なるべく全員が浴衣を羽織

れるようにと考えていますので、できましたらお手持ちの「浴衣」を持参してもらいたい

と思います。

日時 12 月 10 日(金)13:30~

3-1・・・・5 校時 3-3・・・・6 校時

場所 附属中学校家庭科室

持ち物 (ある人で結構です。新たに購入などはしないでください。)

浴衣・帯・ひも(男子1本・女子2本)

帯板(ある人)

服装 夏の体育着の上に羽織ります。

講師 先生・ 先生

「ゆかたの着付け」の授業に関して

3 年( )組 氏名( )

○ をしてください。

A 浴衣を持ってきます

B 浴衣は持ってきません

C 男性の浴衣を貸すことができます

(男性用が不足することが予想されるため、ご協力ください)

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ワークシート5 3年 組 番 氏名( )

浴衣を着よう 1.浴衣を着るのに必要な物

2.浴衣を着て、帯をしめてみよう。

3.次の動作をして感想を書こう。

①腕を上げる

②歩く

③走る

④階段を上る

⑤座る

⑥その他気づいたこと

4.浴衣をきちんとたたんでみよう。

(浴衣を着た写真をとろう) 撮影 H22. . ( )家庭科室にて

【学習の振り返り】

14

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ワークシート6 3年 組 番 氏名( )

衣生活の文化

~日本再発見・和服のすばらしさ~ 1.学習前に記入した「和服」から連想する言葉やその関連を広げよう。

(ペンの色を変えて追加しよう)

2.学習前に記入した「和服の特徴」について,紹介を改めて考えよう。

(ペンの色を変えて追加しよう)

3.和服のよさをまとめよう。

4.今回の学習(衣生活の文化)を通し,私たちの生活の中の文化(生活文化)について

あなたが考えたこと・見つめたことについてまとめよう。

5.授業の感想をまとめよう。

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「衣生活の文化について」事前調査 年 組 番 氏名( )

1.次の(1)~(7)について答えてください。

(1) 衣服の組合せの工夫や流行について興味・関心がありますか

ア ある イ どちらかというとある ウ どちらかというとない エ ない

(2) 衣服と社会生活とのかかわり(所属・職業・行事などによる衣服の着方)について興味・関心が

ありますか

ア ある イ どちらかというとある ウ どちらかというとない エ ない

(3) 自分に似合う色など自分を表現する着方に興味・関心がありますか

ア ある イ どちらかというとある ウ どちらかというとない エ ない

(4) 日本の衣文化(和服)に興味関心がありますか

ア ある イ どちらかというとある ウ どちらかというとない エ ない

(5) 着物・浴衣・甚平を着たことがありますか

ア ある( )イ ない

(6) 着物(浴衣など)の着付けは誰が行いますか

ア 自分 イ 家族( ) ウ 美容院 エ その他( )

(7) 和服のよさについて説明することができますか

ア 詳しく説明できる イ 少し説明できる ウ 説明できない

(8) 和服と洋服の違いについて説明することができますか

ア 詳しく説明できる イ 少し説明できる ウ 説明できない

(9) 和服を着たときのマナーや和装に伴う小物などについて説明することができますか

ア 詳しく説明できる イ 少し説明できる ウ 説明できない

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2.被服の着装・きものを着るときのマナーについての問題です!!

(1)次の文は着装について述べたものである。(1)から(5)までにもっとも適するものを、

ア~クまでの中からそれぞれ一つずつ選んで、その記号を( )に記入しなさい。

服装は、身体を保護する以外に大きな役割を持っている。それは着用者のみが、( )で

あっても他人に( )を与えるようでは、完全な服装とはいえない。たとえば保健衛生的

な清潔さを保持することも大切であるが、場所・時・( )によく適合することも大切であ

る。自分さえ( )すればよいというのではなく、他人にも( )印象を与える

ように心がけることが大切である。

ア.満足 イ.効果的 ウ.不快感 エ.快適 オ.服装 カ.目的 キ.適切 ク.好ましい

(2)次の①から⑧の被服はどのような機能をそなえているか。もっとも強く要求される機能をア

~キまでの中からそれぞれ一つずつ選んで、その記号を( )に記入しなさい。

(同じ記号を二度使用してよい)

①トレーニングウエア( )②作業着( )③アクセサリー( )

④夏のはだ着( )⑤消防服( )⑥喪服( )

⑦ウインドブレーカー( )⑧制服( )

ア.温度調節 イ.身体防護 ウ.皮膚の清潔 エ.活動能率の向上 オ.個性の表現

カ.集団への所属 キ.社会的習慣への同調

(3)浴衣などきものを着るときのマナーとして一般的に正しいか、○×をつけよう。

①正装用の足袋は、男女ともに白である。( )

②女性用のきものの丈はほぼ決まっていて、ひもで着丈を調整して着る。( )

③帯は、女性がきものを着るときのみ必要である。( )

④浴衣以外のきものには、襦袢(じゅばん)とよばれる下に着る物が必要である。( )

⑤正装用のきものには未婚者用と既婚者用の区別がある。( )

⑥正装用のきものは、着る時間帯により種類が異なる。( )

⑦きものの襟(えり)の重ね方は男女で異なる。( )

17

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事前調査結果(県内中学校 3 学年 男子38名、女子39名 計 77 名)

衣服の組合せの工夫や流行についての興味関心

31.2%

5.2%

18.2%

45.5%

ある どちらかというとある どちらかというとない ない

衣服と社会生活とのかかわりについての興味・関心

54.5%

23.4%

3.9%

18.2%

ある どちらかというとある どちらかというとない ない

自分を表現する着方ついての興味・関心

42.9%

18.2%

2.6%

36.4%

ある どちらかというとある どちらかというとない ない

日本の衣文化(和服)ついての興味・関心

19.5%

9.1%

22.1%

49.4%

ある どちらかというとある どちらかというとない ない

着物・浴衣・甚平の着用経験

19.5%

80.5%

ある ない

誰が着物の着付けを行うか

16.9%

26.0%

13.0%

44.2%

自分 家族 美容院 その他 18

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和服のよさについての説明

36.4%

61.0%

2.6%

詳しく説明できる 少し説明できる 説明できない

和服と洋服の違いについての説明

6.5%

71.4%

22.1%

詳しく説明できる 少し説明できる 説明できない

和服のマナーや和装小物についての説明

57.1%

42.9%

0.0%

詳しく説明できる 少し説明できる 説明できない 19

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(男女別)

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

衣服の組合せの工夫や流行についての興味・関心

ある

どちらかというとある

どちらかというとない

ない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

衣服と社会生活とのかかわりについての興味・関心

ある

どちらかというとある

どちらかというとない

ない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

自分を表現する着方についての興味・関心

ある

どちらかというとある

どちらかというとない

ない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

日本の衣文化(和服)への興味・関心

ある

どちらかというとある

どちらかというとない

ない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

着物・浴衣・甚平を着たことがありますか

ある

ない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

着物の着付けは誰が行いますか

自分

家族

美容院

その他

20

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0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

和服のよさについて説明することができますか

詳しく説明できる

少し説明できる

説明できない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

和服と洋服の違いについて説明することができますか

詳しく説明できる

少し説明できる

説明できない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男子

女子

和服のマナーや和装小物について説明することができますか

詳しく説明できる

少し説明できる

説明できない

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「衣生活の文化について」事後調査 年 組 番 氏名( )

★次の(1)~(10)について答えてください。

(1) 和服の学習へ興味・関心はありますか。

ア ある イ どちらかというとある ウ どちらかというとない エ ない

(2) 和服に関する学習は充実していましたか。

ア していた イ どちらかというとしていた ウ どちらかというとしてない エ してない

(3) 和服の着装(浴衣の着付け)体験は充実していましたか。

ア していた イ どちらかというとしていた ウ どちらかというとしてない エ してない

(4) 今回の学習で和服のよさについて知ることができましたか。

ア できた イ どちらかというとできた ウ どちらかというとできなかった エ できなかった

(5) 今回の学習で和服に対するイメージが変わりましたか。

ア 変わった イ どちらかというと変わった ウ あまり変わらない エ 変わらない

(6) 今回の学習で和服に関する知識が広がりましたか。(ワークシート 1)

ア 広がった イ どちらかというと広がった ウ どちらかというと広がらなかった

エ 広がらなかった

(7) これからの生活の中で和服を着てみようと思いますか。

ア 思う イ どちらかというと思う ウ どちらかというと思わない エ 思わない

(8) 成人式に和服で参加したいと思いますか。

ア 思う イ どちらかというと思う ウ どちらかというと思わない エ 思わない

(9) 日本の伝統衣装の和服についてさらに詳しく知りたいと思いますか。

ア 思う イ どちらかというと思う ウ どちらかというと思わない エ 思わない

(10)日本の伝統衣装の和服文化を大切にし,伝えていきたいと思いますか。

ア 思う イ どちらかというと思う ウ どちらかというと思わない エ 思わない

授業への協力ありがとうございました。

“日本再発見~和服のよさ~”の学びから

生活文化を大切にしていく気持ちを持ち続け

ることができたらいいですね!!

22

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事後調査結果(県内中学校 3 学年 男子36名、女子38名 計 74名)

和服の学習へ興味・関心はありますか

79.7%

0.0%

1.4%

18.9%

ある どちらかというとある どちらかというとない ない

和服に関する学習は充実していましたか

0.0%0.0%

13.5%

86.5%

していた どちらかというとしていた どちらかというとしてない してない

浴衣の着付け体験は充実していましたか

89.2%

10.8% 0.0%0.0%

していた どちらかというとしていた どちらかというとしてない してない

和服のよさについて知ることができましたか

0.0%0.0%

18.9%

81.1%

できた どちらかというとできた どちらかというとできなかった できなかった

和服に対するイメージが変わりましたか

36.5%

5.4% 0.0%

58.1%

変わった どちらかというと変わった あまり変わらない 変わらない

和服に関する知識が広がりましたか

0.0%

32.4%

67.6%

0.0%

広がった どちらかというと広がった あまり広がらなかった 広がらなかった 23

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これからの生活の中で和服を着てみようと思いますか

54.1%37.8%

8.1% 0.0%

思う どちらかというと思う どちらかというと思わない 思わない

成人式に和服で参加したいと思いますか

24.3%

9.5% 1.4%

64.9%

思う どちらかというと思う どちらかというと思わない 思わない

和服についてさらに詳しく知りたいと思いますか

36.5%

2.7% 0.0%

60.8%

思う どちらかというと思う どちらかというと思わない 思わない

和服文化を大切にし、伝えていきたいと思いますか

77.0%

0.0%1.4%

21.6%

思う どちらかというと思う どちらかというと思わない 思わない

24

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題材終末における『和服のよさ』についての記述

・落ち着いたデザインで、少し着にくいところなどもその複雑さが日本らしくよい。

・和服の色によって、個性が強調できることが和服のよさだと思う。また、華やかな色が

多く、きれいな柄も多い。だから着ている人がより美しく見えると思う。

・身体と同時に気持ちも引き締まる感じもし、姿勢がよくなり改まった気持ちになる。

・落ち着いた雰囲気を出すことができ、TPOを考えて色や模様などを変えてその場にあ

った衣服にすることができること。

・日本の“和”の色や模様を使っており、とても華やかではあるが派手ではないのがすば

らしい。また、着ているときに歴史や文化を感じることができ、日本古来の特徴を身を

持って感じることができる。

・その時々や年齢、自分の身分を表したりすることができ、着るときやものが決まってい

て統一感がある。簡素なつくりだが、素材そのものを意識していてきれいだと思う。ま

た、着る当人のことも考えてつくられているのがすごいと思った。

・日本の季節感・感性にあった着物は日本という雰囲気に合っている。

・華やかな雰囲気・柄・色などに季節感があり、情緒もある。

。 、 。・身体のラインがはっきりしない 生地の色や柄は美しく 使い回しができることがよい

・洋服とは違った華やかな優雅な感じがする。

・人生の節目できたり、正式な場所へ着ていくことができ、気が引き締まる。

・日本の伝統を感じることができる。

・普段着ていないので新鮮さがある。

・男性・女性共に姿を美しくするために独特の着方がある。

・色とりどりで明るく華やかだと思う。

・身体が引き締まって見え、とてもきれいに見える。

・昔から変わらない姿というのがすばらしいと思う。

・和服には保温性があり、肌触りもよい。

・日本の歴史的背景があり生まれた服なので、西洋とは違ったスタイルの服だと感じる。

・着方を覚えれば意外と簡単に着ることができ、手触りもよく、着ると落ち着く。

・まず和服は伝統衣装なので着ること自体に意味がある。また、柄や色などを変えること

によって季節感や風情を感じさせるものがでてくる。和服はあまり激しく動くことを考

えてつくられていないので、自然と行動が落ち着いてくる。

・着物は季節によって色柄や素材が違い、四季を美しく感じることができるところがいい

ところだと思う。また、大切な行事の時に着る物なので、その行事に対する丁寧な気持

ちを表すことができ、この相手に対する丁寧な気持ちや四季を感じる心。これこそ日本

人が大切にすべきことだと感じる。和服を着るとこれらのことが自然とできるので、す

ばらしい文化だと思う。

・しっかりと手入れをするだけで、長い間保管でき、多くの世代が着ることができる。

・風情があり、日本の古い町並みに合う。

・小物にもこだわる日本人の心が感じられる。

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この学習を通して『生活文化について考えたこと』についての記述

・日本古来の姿をしてみて、落ち着いたデザインなどが昔の日本人らしさを教えてくれた

と思う。

・改まったり、しっかりと気持ちを締めることが少なくなったのか、本来大切にしなけれ

ばならない文化が、逆に面倒だと思ってしまうようになったと思う。文化は変わるのも

だから仕方がないとは思うが、大切にすることも重要であると再認識できた。

・自分の形にあったものを選び、動きやすさや雰囲気を考えることが大切だと思った。ま

た、自国の文化を尊重し、それを残していくことも大切だと思う。

・やはり日本は古来から派手すぎず、目立ちすぎない、それであって華やか。そのような

。 。日本古来の文化はすばらしいと思った だから現代の人々も和服を着ているのだと思う

・それぞれの国や地域によって、衣服には様々な違いがあることもわかった。その違いは

それぞれの文化をそのまま表しているものだと思った。

・簡素なつくりで、素材そのものを意識する。ということは、日本の古来からの「美」に

対する意識の表れだと思う。日本人が忘れていた「美」というものが身近にあることを

改めて感じた。

・日本の和の心は、和服のよさのようなところから生まれているようにも感じる。

・シンプルなものを、そのまま生かしてつくることは、日本らしいというか昔の日本の象

徴のようにも感じる。また、それを知ることで身近になった。

・私たちが生活していく中で、隠された文化は数多くあり、特に日本古来からの文化を学

習し、知っていくことが大切だと感じた。

・昔ながらの「和」は、和にしかない美があると思う。日本の生活文化と共に作られた和

服も日本にあっている。また、時や場合によって柄や種類を変えるのも衣文化の大切な

ことだと感じる。

・普段は洋服を着ているため、和服は動きづらそうで、また着るのに時間がかかるから大

変そうだというイメージがあったが、人生の節目などできて、気が引き締まるなどの良

さを発見できたと思う。また、和服を着ることにより、日本の伝統を感じ、見つめ直す

きっかけになると思った。

・着物の文化が薄れていることは前々から知ってはいたが、とても悲しいことだと思って

いる。と同時に、この文化を守っていきたいと感じた。少しでも着物などを着る機会が

増えるといいと思った。

・日本は外国人からみて、とても細かいところまで気を遣うという特徴があるようだ。そ

のため、着物などは見えないところまで細かく気を遣っていると思う。

・自分は日本人だが、その日本の文化をあまり知らないことに気づいた。日本は西洋の文

、 。化をどんどん取り入れているが その中でも自国の文化を大切にしていきたいと感じた

・西洋の服の方が着やすく、便利だったので日常に着られるようになったが、和服には歴

史もあり、日本人には着やすい服になっている。

・以前は和服は堅苦しいので着る人がいないのは当たり前と思っていたが、今は浴衣や着

物で歩く人は祭りぐらいなのが悲しいと思う。和服は日本人の体型に合うようにつくら

れていると思うので、積極的に着た方がよいと思う。

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・最近は日常で和服姿を見かけることは少ないが、巫女さんや舞妓さん、華道など日本文

化にかかわっている人は着ている。また、私たちも七五三や成人式などの節目で着るこ

とがあり、やはり和服は日本文化を象徴する大切なものだと思った。また、伝統的な衣

服が文化を象徴しているのは全世界で共通していることだと思う。

・新しいことを開発していくことも大事だけれど、昔のものや人の考えも取り入れていく

ことが大事だと思った。新しくつくるだけが「前進」ではないと思ったので、伝統を受

け継いでいきたいと思う。

・和服は重苦しくて正直、面倒という考えを持っていたので、その便利さや実際着たとき

のことを考えるとそうでもないのかという発見があった。偏った意見だけで判断するの

ではなく、それについて詳しく知ってこそ本来の文化が生きていくのではないかと感じ

た。

・和服や浴衣などの他に他の文化においても自分で気づけるところは考え、知ろうとして

いくべきだと感じた。

・昔のような和服が洋服の伝来とスピードと利便性が重視される世の中の移り変わりによ

って姿を消しつつある。そんな社会に少しでも和服文化が復活することで日本を自覚で

きると思う。

・和服ならではの身のこなし、色柄で日本独特の美しさの感覚を感じた。この学習で考え

た「和」の心を大切に守りたいと思った。

・現代の人たちは流行などに流されて日本らしい「着物」などの文化を忘れているような

気がする。

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「学習の感想」についての記述

・実際に着たりして、感触がわかり、和服に対するイメージも変わった。大切にしていく

べき文化の象徴ともいえる和服を意識していきたいと思った。

・和服の使い道やよいところ、昔の人がどのようなものを着ていたのかを知る機会が得ら

れたのでよかった。

・和服に関しては親しみがなかったが、実際に着てみることによって言葉に表せない「何

か」を感じ、人の意識に触れることができたような気がする。そして何よりも和服が意

外と快適だった。

・実際に着てみたりすると、日本がより近く感じられたり、昔の人の心というものを知れ

てとてもおもしろかったと思う。

・一番印象的だったのは、実際に浴衣を着てみることができたことだった。話を聴くより

も着て、雰囲気を感じてみることで、改めて和服を人ごとではなく自分のものとしてと

。 、 、「 」らえることができた そして 着ることにより何より落ち着いた気分になり 日本的

な何かを感じ取れた気がした。

・和の文化として、日本の美を学んだ。布1枚とわずかな小物と素朴であるが柄や素材や

雰囲気がとても優雅だと思う。日本は日本なりの文化を大切にしていってほしい。

・和服には自分の知らない種類・着方・着る場所・身こなしなどたくさんあって、興味を

持つと共に、成人式や卒業式で着ることができることを知った。

・浴衣を着るときはとても楽しかったです。日本の文化と浴衣や着物などの和服は非常に

密接に結び付いていることを感じました。また、着付け方を身につけられたらかっこい

いと思いました。

・和服を着たことはなかったので、新鮮な感じがした。洋服を着るのとはひと味もふた味

も違ったが、着ることによって和服を以前よりもずっと身近に感じられた。

・外国の文化的なものは結構派手なものが多いが、和服はどちらかというと控えめで、落

ち着いた感じがする。自分が着たときも、和服のゆったりした感じや楽な感じがして、

落ち着いていると思った。着てみて、その難しさや手間にも驚き、昔と今の違いを感じ

た。

・世界各地の伝統衣装や、現在の洋服を比較したり、実際に和服を着て学ぶことができよ

かった。何よりも色や素材は洋服にはない独特の色合いや柄、素材も多種多様であり、

時と場合に合わせて着られるところに魅力を感じた。また、道具の名前の由来や着方に

疑問があるので、さらに調べてみたいと思った。

・今回の授業では「和服を着ることの楽しさ」を学べたような気がした。そして、そこか

ら「伝統のものを受け継いでいくことの大切さ」も学べたと思う。これらのことは私た

ちが文化を創りあげていく上でとても重要なことだと思うので、このような考えがもっ

と広がっていくといいと思った。

・そんなに興味はなかったが、和服に隠された工夫などを知ることで、考えを変えること

ができたと思う。

・浴衣を着ることによって、今まで遠かった日本文化を身近に感じることができた。

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学習前と学習後の興味・関心及び知識の広がり

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