総務経済委員会行政視察調査報告書 - abashiri...1...

36
総務経済委員会行政視察調査報告書 1.調 平成28年5月16日から5月19日まで 2.調 査 先 ・ 項 目 香川県 さぬき市 ・結婚定住奨励事業について 徳島県 つるぎ町 ・つるぎクラブ事業(つるぎの達人)について 徳島県 三好市 ・サテライトオフィスの取組みについて ・体験型観光について 高知県 高知市 ・中心市街地活性化の取組みについて 3.調 査 派 遣 委 員 川原田 佐々木 4.調 別紙のとおり

Upload: others

Post on 18-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

総務経済委員会行政視察調査報告書

1.調 査 月 日 平成28年5月16日から5月19日まで

2.調査先・項目 香川県 さぬき市

・結婚定住奨励事業について

徳島県 つるぎ町

・つるぎクラブ事業(つるぎの達人)について

徳島県 三好市

・サテライトオフィスの取組みについて

・体験型観光について

高知県 高知市

・中心市街地活性化の取組みについて

3.調査派遣委員 渡 部 眞 美 井 戸 達 也

川原田 英 世 工 藤 英 治

佐々木 玲 子 田 島 央 一

立 崎 聡 一 松 浦 敏 司

4.調 査 結 果 別紙のとおり

Page 2: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

1

平成 28年度総務経済委員会行政視察調査報告書

委員長 渡部 眞美

日 程:平成 28年5月 16日(月)~ 19日(木)

視察先:

1. 香川県さぬき市 結婚定住奨励事業

2. 徳島県つるぎ町 つるぎクラブ事業(つるぎの達人)

3. 徳島県三好市 (1)体験型観光について

(2)サテライトオフィス誘致の取組み

4. 高知県高知市 中心市街地活性化の取組み

5月 16日から 19日の日程で実施した総務経済委員会所管行政視察について

報告する。

1.さぬき市・・・結婚定住奨励事業について

平成 24年に実施した若手職員による人口減少対策に関する政策課題研究が原

案。「若年層の社会的減少対策」をテーマとし、結婚を機に生活環境等に勝る県中

心部(高松市など)へ転出する若者が多いとの分析結果を基に、「新婚世帯の転出

抑制」に関する各種提言を行い、その提言をさらに発展・深化させたものが「結

婚定住奨励事業」である。

事業内容は、若い世代の定住を促進し活気あふれるまちづくりを進めることを

目的に、一定の要件を満たす夫婦に対し市共通商品券 10万円を交付する。

事業開始してから対象となる世帯に対し周知 DMを発送することができない

など課題があるようだが、窓口対応やタウン情報誌の広告掲載により周知してい

る。交付件数は、平成 25年は事業の周知期間で、平成 26年は 52組、平成 27年

は 76組であった。

成果として、社会減(転出者数)が減少(H22年 1,586人 → H27年 1,465人)

社会増(転入者数)の落ち込みが抑制(H22年 1,288人 → H27年 1,272人)と

なり、一定の効果が生じている。

平成 27年度末で終了する予定だったが、切れ目のない人口減少抑制・定住促

進策が不可欠であるとして、平成 31年度末まで事業を継続することとなった。

Page 3: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

2

※市の若手職員による人口減少対策に関する政策課題研究から、当結婚定住奨励

事業の立案がなされた。また、本事業に加え、本年度より移住促進家賃補助金、

三世代同居・近居支援金、定住促進奨励金などを開始し、さらに発展・深化して

いることに感心した。商品券を交付することにより同時に商店、地域の活性化

にも、相乗効果をもたらしている事業である。

2.つるぎ町・・・つるぎクラブ事業(つるぎの達人)

事業内容は、つるぎ町探訪ツアーと称し、案内人“つるぎの達人”が町を案内す

る。平成 18年、つるぎ町主催による「観光案内人養成講座」を開催(年 12回の講

座)受講者 33名が「つるぎの達人」として認定を受ける。

平成 19年度、「国民文化祭・とくしま 2007剣山山系の暮らしと文化」で巨樹め

ぐり、二層うだつの町並みの案内人を務めた。

年間6回、定期的に会議を開催し、反省会をして次のツアーの企画を行っており、

近年「ふる里バイキング」など地域の協力を得て交流し、土産を買うなど町にお金

が落ちるツアーに結び付いている。

つるぎの達人の方のお話で「今まで町を歩いて、何回もその場所を通っても何も

目がいかなかったが、養成講座に参加し勉強した後、見慣れた急傾斜もすごい!と

感じ、『ワァーッ』と思うようになり、のめり込んでいった。」(談)とのことで、

とても印象的な体験談を伺った。

実際に、つるぎの達人の方に“うだつの町並み”をガイドしていただいた。

「やっぱり好きだからやれるのでしょうね」の言葉どおり、ガイドの方の熱意が伝

わり、丁寧かつ楽しい会話ありのツアーを体験でき、町並みと共に、つるぎの達人

との時間は忘れられない印象深いものとなった。

訪れた町での景観鑑賞などに加え、地元の人との会話や体験などを通じた人的交

流が観光には大切ことと改めて感じた。

3.三好市・・・「体験型観光について」と「サテライトオフィス誘致の取組み」

(1) 体験型観光について

始まりは体験型教育旅行で、神戸などの関西圏から学生が1泊2日で農家に

民宿の暮らしを体験したことである。受け入れ数は 160件(民宿含む)。農家の

Page 4: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

3

方には、一人あたり、夕食 6,000円、一つの体験 2,000円、昼食 800円の収入

がある。平成 20年度4校で、合計 977泊であったのが、H26年度には、26校

3,484泊に増加。また、農家さんとの交流により子どものハートに変化がみら

れる効果があった。

現在は古民家を活用した宿泊施設を8棟に拡充しフル活動。かやぶき屋根な

ど古民家の雰囲気や昔ながらの集落が残る風景を楽しみながら、田舎暮らしを

体験できる滞在型観光の集客力を強化。

※受け入れ体制は、その地区のお父さん(餅つき体験など)、お母さん(掃除、

食事)が行っている。ボランティアガイドや4人の Iターンの若者もいるが、

担い手不足が課題であるとのお話であった。しかしながら、地域の特性を生

かした農家民泊や古民家の活用は魅力ある体験型観光であり、観光による地

域づくりとして確立しているものと感じた。

(2) サテライトオフィス(SO)誘致の取組み

平成25年に、徳島県が企画したサテライトオフィスプロジェクトツアーに

参画した東京本社の人事強化システム「㈱あしたのチーム」が旧旅館に開設

を決め、同旅館に東京本社の家事代行サービスの㈱ベアーズも開設。

また、北海道が本社のスポーツ店「風の株式会社」は、旧佐野小学校にサテ

ライトオフィスを開設。

サテライトオフィス誘致セミナー、現地視察ツアーの開催、地域を挙げての

バックアップ体制、廃校の無償貸付を行っており、ネットショップや業務書類

の電子化などブロードバンドを活用。地元で新規雇用することを要件とし

ている。

※現地に行って、働いている方に話しを伺ったが、旧旅館、旧小学校をそのま

ま利用しているので、オフィスの雰囲気が暖かく感じられ、職員の方も生き生

き明るい印象を受けた。地元採用は地産地消であるとの担当者のお話が

あり、高卒の採用も増えているとのことであった。

また、空き家だったところに灯りがともり、若い人の出入りは、地域の活性

化に結び付いている。

Page 5: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

4

4.高知市・・・中心市街地活性化の取組み

平成 24年 11月「高知市中心市街地活性化基本計画」を策定。

課題として、中心市街地での居住人口の減少と中心市街地の魅力低下にとも

ない、来街者の減少が中心市街地での賑わい(回遊)の低下を招いている。

・目標1・・・新しい街なかの暮らしを実感できる基盤を充実させる。(街なか暮ら

しのハード等の充実)

⇒評価指標1:(1)中心市街地の居住人口、(2)空き店舗率

・目標2・・・街なかの回遊性を向上させる(街なか暮らしの仕組みの強化)

⇒評価指標2:(1)歩行者通行量、(2)施設の入館者数

※評価指標について、H23年度を現況値として、平成 30年度目標値として

それぞれ設定し、具体的な目標をかかげている。

【なぜ空き店舗が生じるのか?】

・中心市街地からの都市機能の郊外流出と大型店の郊外出店

・中心市街地の大型店撤退等による商業吸引力の低下

※460自治体において、275の大型店が撤退(中小企業庁調査 2002年)

・中心市街地商店街の魅力不足(時代の変化に対応不足)

※「魅力ある店舗が少ない」が 66.3%と多くの割合を占める。(中小企業庁調査

2004年)

・中心市街地商店街の担い手の高齢化と人材不足

※商店街の大きな問題点は「経営者の高齢化等による後継者難」67.1%、

商店街への要望に無料駐車場の設置があったが、大きな効果はなく、商品の

魅力が大切であることを再認識したとのこと。空き店舗の規模は違うが、当市に

おいても同様のことが言える。木曜市を見学したが、自らが生産した果物、野菜、

干し魚など、手作りのおこわや餅、産地から直接仕入れたものを、自らのブース

で対面販売する歴史を持つ市場は、地元の人が集い、郊外と街を結び付ける交流

の場になっており、守っていくことが大切であると感じた。

計画を作成し、目標を立てている事に取組む姿勢を感じ、当市の中心市街地と

しての役割や魅力を再認識し、取組む必要があると思った。

Page 6: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

平成 28年度総務経済委員会行政視察報告書

副委員長 井戸達也

香川県さぬき市 結婚定住奨励事業他

人口 51,196人のさぬき市は平成 14年に合併によって誕生したまちであり、

平成 24年に実施した若手職員による人口減少対策に関する政策課題研究にお

いて「若年層の社会的減少対策」をテーマとし、結婚を機に生活環境等に勝る

県中心部(高松市など)へ転出する若者が多いとの分析結果を導いたうえで、

「結婚世帯の転出抑制」に関する各種提言を行い、それらの対策として「結婚

定住奨励事業」を開始する事となった。

この事業は一定の条件を満たす夫婦に対して 10万円分の市共通商品券を交

付するもので、

①婚姻日現在の年齢が夫婦いずれか 40歳未満であること

②婚姻届提出後、6か月以内にさぬき市に住民登録をしていること

③住民登録後 1年を超えて市内で居住し、今後も定住の意思を有すること

④過去に夫婦ともにこの要綱による商品券の交付を受けていないこと

⑤市税及び国民健康保険税の滞納がないこと

を条件としている。

交付の実績としては、交付初年度の平成 26 年が 52 組、平成 27 年度が 76

組と制度周知が進むにつれて交付件数も順調に進展している事から、また人口

は減少傾向にあるものの転出者数の減少、転入者数の落ち込みが抑制されてい

る事もあり、一定の効果が生じていると考えられる。

現段階での問題点・今後の課題については、婚姻世帯の特定(捕捉)の困難

が挙げられており、戸籍法の趣旨を踏まえると、婚姻に関する情報を、個人を

特定することなく閲覧することは承認できないと判断されているため、事業対

象となる世帯に対して周知文等を発送していない状況であり、代替手段として、

市窓口に婚姻届を提出した夫婦へ周知文配布、市広報紙への記事掲載、県内結

婚情報誌への広告掲載等を実施している。

事業開始時は交付の対象者を「平成 25年 4月 1日から平成 28年 3月 31日

までの間にある者」としていたが、さぬき市は人口減少傾向局面にあり切れ目

のない人口減少・定住促進支援策が不可欠であること、この取組みが「さぬき

市まち・しごと創生総合戦略」における移住・定住促進に関する重点施策に盛

り込まれたことから、交付対象となる期間を平成 31年末まで延長する要綱改

正を実施している。

また、これらの改正に併せて、移住・定住促進効果を高めるため、婚姻後の

Page 7: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

さぬき市転入に関する要件や商品券交付申請期間などの交付条件を緩和して

いる。

このほかに 1週間以上 3か月以内、日額 2,000円で、さぬき市での生活を体

験できる「移住体験ハウス」を用意。

香川県外に 3年以上居住した後、平成 28年 1月 1日以降にさぬき市に転入

した世帯を対象とした「移住促進家賃等補助金」を民間の賃貸住宅を借り上げ

る方にその住宅にかかる家賃の実質負担額の半額(上限 2万円)を最大 2年間

助成している。

また、三世代同居・近居支援金(商品券 10万円)やさぬき市に新築、住宅

購入し居住している方へ住宅の固定資産税の 2分に 1に相当する額を 3年間交

付するなど、様々な支援がなされている。

こうした施策を展開する大きな目的は、さぬき市が近隣都市のベットタウン

としての役割が大きく、その可能性を最大限に活用する事でまちの活性化につ

なげていこうと考えた事が始まりであると考える。

徳島県つるぎ町 つるぎクラブ事業

人口 9,751人のつるぎ町は平成 17年に2町1村が合併して誕生した町であ

り、町の面積の 84%を森林が占めており、急峻な傾斜地に民家と耕地が点在

している。現在、このつるぎ町の高齢化率は 40%を超えているが、かつて「商

売のまち」と呼ばれた貞光地区を中心とした商家の街並みを生かした取組みが、

まちを支えるボランティアの方々を中心に進められている。

このまちでは、素晴らしいまちの財産を生かす取組みとして平成 18年に町

の主催で「観光案内人養成講座」を開催し、12回の講座を受けた 33名を「つ

るぎの達人」として認定をした。その後「求められる観光の形」を追求するた

め、民間旅行会社と連携し、つるぎの達人による美しい街並みの紹介や森林の

魅力を伝えるツアーがスタートすることとなった。この「つるぎの達人」とは

様々な経歴の方々が楽しみながら集い、つるぎの魅力を発信するべく、日々研

鑽を重ねている方々で、アットホームなホスピタリティあふれる案内人であっ

た。

また、まちの森林の美しさと巨樹の魅力をできるだけ多くの方々に知ってい

ただき、楽しんでいただくため「つるぎクラブ」を立ち上げ、現在全国に 1,000

名もの会員がおり、巨樹めぐりツアーや二層うだつ街並みウォーキングやカヌ

ー体験や鍛冶体験など様々なツアーやイベントの案内を会報で発信し、達人と

ツアー会社、行政が連携し取組んでいる。

Page 8: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

こうした積極的な取組みを継続するため今後、新たなメンバーを加え世代を

超えた活動の展開が必要であり、人と人とがつながりを深め、自然と人がふれ

あえるまちを目指していくとしている。

都会の生活で疲れた心と身体に癒しを求めて訪れる、心温まるまちであると

感じた。また、小さなまちで人と人との繋がりを生かし、一人ひとりが必要と

される事で生きがいを感じる取組みの一つであると感じた。

徳島県三好市 体験型観光についてとサテライトオフィス誘致の取組み

平成18年に合併し誕生した三好市は人口28,028人の自然豊かな市であり、

特に大歩危峡や黒沢湿原、深い山々の自然による数々の紅葉の名所や四国霊場

第 66番札所・雲辺寺、平家落人伝説の残る祖谷のかずら橋など、歴史的文化

遺産などがある。

この三好市では平成 26年までの8年間で人口の約 14%が減少、高齢化率は

40%と少子高齢化が深刻な状態であり、更に平成 24年までの3年間に事業所

が 18%減少するなど危機的な状態であった。こうした問題を解決するため平

成 25年に徳島県が企画したサテライトオフィスプロジェクトツアーに参画し、

東京等から参加した企業関係者に、三好市の支援施策の説明を行うとともに、

自然やラフティング、食べ物など三好市の魅力を紹介した事がきっかけで現在、

5つの企業が休廃校舎や旅館、空き店舗を活用しサテライトオフィスを構える

結果となっている。

「仕事はデジタル、暮らしはアナログ」の発想は田舎の強みを生かした取組

みでありトップレベルのデジタル環境を備え、自然豊かで癒しのある、ここで

の生活は仕事をするうえで不自由がなく、むしろ自由な発想が生まれる環境で

あると感じた。現在でも年間6回、東京や大阪で招致セミナーや視察研修など

で、積極的にまちを紹介するプロモーションビデオを上映し誘致活動を行って

おり、その中で北海道(札幌)の企業も廃校舎と体育館を活用したインターネ

ットによるスポースウェアーの販売を行っている。

これにはサテライトオフィス進出のための「助成金制度」や「集落再生プロ

ジェクト発足」など、徳島県や三好市などの行政が積極的に県外の企業誘致に

取り組んでいる事も大きな力となっている。

また、平成9年より田舎の強みを生かした中学生の修学旅行で農家民泊を実

施し、体験型教育旅行の受入組織「一般社団法人 そらの郷」を平成 23年に設

立し、平成 26年では 26校(3,484泊)年間 4,600万円の売り上げをあげてい

る。この仕組みの一つとして、受け入れて頂いた農家さんに夕食 6,000円、

Page 9: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

体験 2,000円、昼食 800円の合計 8,800円が農家さんに支払われる事となり、

大きな収入源にもなりつつある。今後は企業の研修でも利用できると可能性を

感じている。また、古民家を現代風に改修し、現在では8棟の宿泊施設が外国

人観光客や都市部の富裕層をターゲットとした高級感漂う山郷民家ステイを

実施し、雇用確保につなげている。

こうした考えは「田舎である」、「自然が豊か」という観光素材の強みを最大

限に商売につなげる取組みとして大成功していると感じた。

高知県高知市 中心市街地活性化の取組み

高知市は土佐藩の城下町から発展した都市であり、高知県中部の中心的な都

市であり県内の人口の 46%を占めている。人口 334,223 人の高知市における

人口減少は 10年間で 1.9%、中心市街地では 17%であり、少子高齢化、消費

生活等の状況変化に対応して、中心市街地における都市機能の増進及び経済活

力の向上を総合的かつ一体的に推進することとし、平成 24年「高知市中心市

街地活性化基本計画」の認定を受けた。

「豊かな暮らしの魅力強化」、「土佐の気風・文化性の活用」、「街なか地域資

源を楽しめる環境づくり」の3つの基本的な方針に基づく計画では、中心市街

地の居住人口の増加、中心商店街の空き店舗率の減少、歩行者通行量の増加、

施設入館者数の増加に努める取組みであり、その中でエリアを4つの拠点に分

け 57の事業を展開している。

多くの商店街が集まる「にぎわい拠点」では新たな街なか暮らしを支える店

舗や中心市街地への来街者を創出するため、物販・オフィス・生活支援サービ

ス施設等多機能を備える集合住宅が建設されており、91 戸のマンションとし

て機能している。また、県市合築の図書館の建設も予定されており平成 30年

から運営開始予定となっており、施設の劣化が進み採光性や照度の劣るアーケ

ードをリニューアルし、来街者が安心・安全に買い物できる環境を向上させる

ためのアーケードリニューアル事業が平成 27年までに完了している。

高知城周辺の「歴史拠点」では狭隘化や老朽化、庁舎の分散など多くの課題

を解消するため、現在地で建て替えを行うとともに、災害時の災害対応拠点機

能の確保や市民が気軽に利用できるスペースを整備するための新庁舎建設事

業が平成 31年までに、戦国時代から明治時代までの高知の歴史を概観できる

教育文化施設の建設では新資料館整備事業が平成 29年から運営開始となる。

「文化拠点」では、はりまや橋周辺を拠点として、よさこいをテーマとした

展示、イベント開催など、高知の生活文化を広く内外へ発信する機能を強化す

Page 10: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

るためのよさこい情報発信強化事業が平成 25年から運営開始となっている。

これらを含め高知市中心市街地活性化基本計画登載事業では 57の事業を掲

げ、現在 54事業を着手している。

こうしたハード面での事業と併せて各商店街での工夫を凝らした季節・定期

イベントも盛んに行われている。商店街を 100 円ショップに見立て、店先に

100円商品を陳列し販売する。また、子供を対象とした職業体験イベントやま

ちゼミと称して各商店主らが講師となって「商品のコツ」などを教えるミニ講

座、土佐のおきゃくと称した酒、料理、音楽、アート、よさこいをテーマとし

た数多くの企画を期間中に集中的に実施するなど、あらゆる角度で取組みを行

っており、高知大学の学生によるスポーツ GOMI拾いなどユニークなイベント

も開催されている。

また、空き店舗の活用として中心商店街以外も対象として一定の成果を挙げ

ている。

防災の面では、高知市は土佐湾からみて、すり鉢状の土地となっており、津

波がきた際、大規模な浸水が予想されるため、中心部の民間ビルと協定を結び、

いざというときは侵入できるという形をとっている。

人口 33万人という大きな規模の市であり、歴史の深い市であるため大型の

建築物が多く、何よりも、よさこい祭りを中心にイベントが盛んなまちでもあ

る。平成 30年で計画は終了するが、これまで進めて来た結果、西部と東部で

偏りが生じてきている事も問題点として挙げていた。

人口規模と産業、そしてそのまちの歴史や文化は深いつながりがあり、素材

を生かしたバランスの良い取組みが必要であると思う。

Page 11: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

平成 28年度総務経済委員会行政視察報告書

総務経済委員会 委員 川原田 英世

5月 16日(月) 1日目 視察先 香川県さぬき市

「結婚定住奨励事業」

さぬき市では、若年層の人口流出が顕著であり、高齢化と年 5.1%もの人口減

少が進んでいます。

人口の流出先は、香川県や徳島県の都市部への流出であり、近隣の自治体が

同じ問題を抱えていることから、自治体間の奪い合いのような状況が発生して

います。この問題に対し、U・I ターンを促して若年層の定住を図るべく、さぬ

き市ではいくつかの政策を実施しているところです。

主には、移住促進家賃等補助金、定住促進奨励金がありますが、その中で、

独特な事業として「結婚定住奨励事業」があります。

本事業は、結婚してさぬき市に定住する方に対して、10 万円の商品券を付与

するものであり、結婚して家庭を持つことを促すとともに、市外へ流出してし

まった方に対して、U・Iターンを促すことを目的として始められた事業です。

実施3年目ということで、これまでの成果をうかがったところですが、市内

での年間結婚数が約 200組に対して、H26年度は 52組、H27年度は 76組の制度

の利用があったとのことです。

しかしながら、本事業はさぬき市にすでに定住している方も対象としたこと

から、事業を受けられた方のほとんどがさぬき市に定住している方であり、U・

Iターン、定住にはなかなか結び付いていないのが現状です。

今後の課題としては、婚姻世帯の特定が困難なため、対象者への周知ができ

ないなどの課題がありますが、私の所見としては、他の移住促進事業との連携、

そして、さぬき市にゆかりのある方の年間結婚数が約 800 組というデータがあ

るとのことですので、その対象者の捕捉と制度の周知を進め、U・I ターンを促

す手段として活用されるようにしていくかが求められていると考えるところで

す。

網走市においても同様の課題を抱えておりますので、今後の動向に注視しな

がら、U・I ターンを促す取組みを加速させていく必要があり、状況に応じたさ

まざまな対応のあり方を知るうえで、有意義な視察となりました。

Page 12: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

5月 17日(火) 2日目 視察先 徳島県つるぎ町

「つるぎの達人事業」

つるぎ町では、つるぎの町のガイドとして「つるぎの達人」を町民から集い、

観光ガイドを行っています。町民と自治体、さらには観光業者が一体となって

町の観光業の振興を進めています。

主な事業内容としては、全国から「つるぎクラブ」という町のファンクラブ

のような会費無料の会員を募り、加盟者に観光ツアーのパンフレットを送付、

さまざまな体験型観光のメニューを揃え、そのガイドとして「つるぎの達人」

がいます。

「つるぎの達人」になっている方は、退職してつるぎ町に戻ってきた方や主婦

をされている方などで、地元の魅力を再発見して、その魅力を伝えたいという

方たちです。33名いるということですが、現在活動中なのは 15名とのこと。

月に 1 度会議を行い、担当割などの調整をおこなっています。地域の身近な

魅力を知る「つるぎの達人」からは、通常の観光では見ること、知ることので

きない貴重な体験が提供され、観光客の知的好奇心と貴重な体験という二つの

要素を満たすものがあります。

地域が一体となってまちの魅力を発信しようという本事業は、単に観光ガイ

ドとしての役割だけでなく、地域の住民に対する観光業の啓発や、地域の新た

なコミュニティの場として、そして退職後の高齢者の活躍の場としても活用さ

れており、網走市の観光業に対しても非常に参考になる視察となりました。

5月 18日(水) 3日目 視察先 徳島県三好市

「体験型観光について」

三好市は、もともとタバコの葉の生産で栄えた町であり、山間に長く町が伸

びています。三好市も他市と同様に、人口減少が大きな課題であり、特に若者

の人口流出が顕著です。それによって、H18 年から本年までに 40 校あった小学

校が 16校まで減少しており、極端な減少が大きな課題となっております。

吉野川沿いに長く町が形成される三好市では、川を活用した様々な体験型観

光が実施されており、2017 年にはラフティング世界選手権も開催されるとのこ

とであります。若者が流出する最大の原因は雇用の少なさとミスマッチによる

ものであることから、若者に人気のある観光業の振興に取組んでいます。

なかでも、農業者らと協力した体験型教育旅行は人気が高く、主に関西から

の予約が相次いでいるとのことです。農業体験と実際に農家に泊まるプログラ

ムは、農家の方たちへの収入にも大きく繋がり、地域全体が関わったなかで行

Page 13: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

われています。また、それらの運営などは「観光地域づくりプラットフォーム」

として「一般社団法人そらの郷」が行っており、1次産業者、観光業者、商工

業者などの連携と、ワンストップサービスの提供を行っています。

今後の課題としては、「一般社団法人そらの郷」の自主財源をどう確保し、日

本版 DMO へと進めていくことができるかだと考えられますが、すでにプラット

フォームとして運営されていることから、観光地としてはかなり進んだ取組み

が行われていますので、網走市も参考にしながら、観光の振興に努めていく必

要があると考えさせられる視察となりました。

「サテライトオフィス誘致の取組み」

三好市では、先にあげたように若者の人口流出が顕著なことから、サテライ

トオフィスの誘致に取組んでいます。現在、実際に数社の企業が廃校や空テナ

ント、廃業したホテルなどを活用して事業を行っており、若者を現地で雇用し

ています。

IT 技術が進んだ現在、コールセンターやプログラミングを行うなどのオフィ

ス機能は、国内場所を選ばずにできるようになりました。これに対して、市が

率先して廃校などの空物件を企業に提供、また新規雇用への助成、施設整備へ

の補助をしています。

実際に数社のオフィスを拝見させていただきましたが、若い方たちが自然環

境に恵まれた地域でのびのびと仕事をしているという印象を強く受け、働いて

いる方たちからも、同様の話を伺いました。

こういったサテライトオフィスは、まだまだニーズがあると考えられ、また

地域性などの条件がそろえば、今後検討していくと考えられる企業も多いこと

から、網走市も取組む必要があるのではないかと考えます。

5月 18日(水) 3日目 視察先 高知県高知市

「中心市街地活性化の取組み」

高知市では、中心市街地の居住人口の減少や来街者の減少、郊外に大規模店

舗進出してきたことによる消費者の分散などによって、中心市街地の空洞化が

進んできたことを受けて、「中心市街地活性化基本計画」を作成し、現在活気の

ある中心市街地の再生に向けて取組んでいるところです。

基本計画では、町の拠点をテーマ化し、駅前はおもてなし拠点、高知城など

のエリアは歴史拠点、商店街エリアはにぎわい拠点などとして、それぞれ拠点

のテーマに特化した事業を展開しています。現在は計画の後半まで進んでおり、

Page 14: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

市役所の建て替え、図書館の建て替え、高知城歴史博物館の建設などが行われ、

図書館を除くほぼすべての計画が今年度中に実施されます。ハードの事業にあ

たっては、南海トラフによる津波を想定し、避難場所となるように計画されて

おり、その配置についても、防災計画と連動した内容となっています。

また、ソフトの事業の実施も行われており、商店街ににぎわいを生み出すた

めの各イベントが開催されています。そして、空き店舗の活用事業も行われ、

新規起業者向けの支援策と連携した商店街の出店支援がされております。

中心市街地の活性化に向けては各市それぞれに事業を展開していますが、な

かなか結果に結びついていません。それには、市民に利用してもらいやすい仕

組みづくりも重要ですし、魅力のある店があるかどうかということもあります。

この課題は網走市も同様でありますので、参考となる有意義な視察となりま

した。

Page 15: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

平成 28年度総務経済委員会行政視察報告書

工藤 英治

1.さぬき市「結婚定住奨励事業」

この事業は若い世代の定住を促進し、活気ある町づくりを進める目的を謳っ

ている。

一定の要件を満たす夫婦に、さぬき市共通商品券 10万円分を交付。

夫婦いずれか 40歳未満であること。婚姻届提出後、6ヶ月以内に住民登録し

ていること。住民登録後1年を超えて市内に定住し、今後も定住の意志を有す

ること。過去に夫婦ともに、この要綱による商品券の交付を受けていないこと。

市税及び国民健康保険税の滞納がないこと。

これらの用件を満たした者は奨励金 10万円の地元利用商品券が交付される。

この事業は、若手職員の人口減少対策に関する政策課題研究が原案である。

結婚を機に県都高松市に転出する若者が多いとの分析結果を基に、「新婚世帯

の転出抑制」に関する各種提言がなされた。この提言を発展、深化させたのが

「結婚定住奨励事業」となっている。

平成 25年から実施され、平成 26年は 52件、平成 27年は 76件で、今までに

合計 128件、1,280万円交付されている。

さぬき市の人口は「結婚定住促進事業」実施以後も、減少の歯止めが見えて

いない。5年で 2,776 人が減少し、本事業が実施されていなければ、それ以上

に人口は減少したかもしれないと見るべきなのか。

番外編として、さぬきのカラ風呂を視察してきた。

から風呂は古代サウナと呼ばれ、保温機能に適した石造りの窯である。松の

枝葉を焚いた石室の中に、ムシロを敷き塩水を撒き、着衣、頭巾をかぶり、汗

をかく。煙突がなく、煙が入り口から出てくる。温度は約 200 度と高く、肌を

露出して入ることはないそうだ。室温が高く、すぐ汗が出るので5分ぐらいで

出て、水をかぶりながら数回入退室を繰り返すらしい。リフレッシュするには

最高との説明であった。丁度、定休日であったが、中は2日経っても蒸し熱く、

私たちの入るサウナ程度の室温があった。市の補助金を得て観光協会が運営。

現在、から風呂は全国に2箇所あるが、そのうち1箇所は近く閉鎖され、さ

ぬき市の1箇所になるそうだ。維持が大変そうですが、隠れた観光施設として

リピーターがありそうだ。

Page 16: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

2.つるぎ町「つるぎクラブ事業(つるぎの達人)」

平成 18年「観光案内人養成講座」を開催し、12回の講座を受けた 33名が「つ

るぎの達人」として認定を受けている。達人の皆さんは、おじさん、おばさん

のボランテイアで、案内、観光施設等の清掃等をこなしていた。

また、行政と共同で企画、案内など行い、「求められる観光の形」の調査も行

っている。悩みは後継者の育成と言っていた。後継者の育成はどこでもなかな

か大変なことである。

巨樹、うだつ、和菓子、野鍛冶、吉野川ツーリングカヌー、物語を作り育て

れば、すべてを観光資源に出来るものだ。案内人が居ることで必ず一定の時間

町に滞在し、いわれを聞けば、土産物にも一味違いが出てくる。

今回は、二層うだつの町並みを案内いただいたが、興味津々で時間も忘れた。

さすが達人。

つるぎ町では体験型教育旅行を平成 20 年から開始していて、平成 23 年から

は体験型教育旅行の受入れ組織「そらの郷山里物語協議会(三好市、東三好町、

美馬市、つるぎ町2市2町)」を母体に法人を設立。本格的受入れの誘致活動を

行い、平成 20年の受入れは4校 977泊であったのが、平成 26年度は 26校で 3,484

泊になった。受入れ農家戸数は 160 戸登録されていて、夕食、体験他で 8,800

円。農家民泊の売り上げは 4,800 万円になっている。その後、親と共に遊びに

来るなど、新たなつながりも出来上がり、リピーターによる経済効果が今も拡

大しているそうだ。網走の農家に民泊の余地は少ないと思われるが、何か参考

に出来そうだ。

3.三好市

(1)「体験型観光について」

田舎は高齢化、過疎化が進み、農山村生活は大変なものであるが、そこを逆

手にとって澄みきった空、山、森、川に続く、豊かな自然を売りにして、農村

住宅に滞在し、作業を手伝い、周囲で取れる山菜や野菜、地域食材で作る田舎

料理を学び、食育、社会性、人間関係が希薄な時代に、日本人が忘れかけてい

る「心豊かな田舎暮らし」に触れてもらう。

「本物田舎体験」とは、人と人との心の通い合いであり、人間関係構築能力

を育む究極のコミュニケーションなのだと謳っている。

高峰剣山、日本の3大奇矯「祖谷のかづら橋」「四国三郎吉野川」「大歩危、

小歩危」それぞれ素晴らしいものである。

Page 17: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

(2)サテライトオフイス誘致の取組み

徳島県過疎研究会の「徳島からの提言」。

新過疎法制定に向けて、徳島県から国へ「過疎地域でこそ ICT が大きな役割

を果たしうると考えられることから、民間事業者との協働による技術開発等を

通じ、遠隔医療による在宅健康管理システム整備や SOHOによる起業など、日常

生活や産業面の様々な分野において、ICTの積極的な利活用を促進させる必要で

ある。」と提言された。

当初は三好市も交流人口の増加と限界集落の活性化のために、山間部の古民

家を中心に循環型オフイスの誘致を検討。

徳島県主催の視察ツアーの際に山間部だけでなく、市街地の空き家等の紹介

も行った。その際、「ビジネス環境としては、こちらのほうが適している。県内

の多過疎市町村より人口、経済規模が大きいことから地元雇用型によるサテラ

イトオフイスが開設できるのでないか。」と視察団から意見が出された。

実際に進出を検討する企業が物件を探したところ、市内中心部に廃業した旅

館があり、歴史もあり、中庭が日本庭園と言う絶好の環境。そこを安価に貸し

出すことをオーナーが了承。

丁度、その時に三好市地域起こし協力隊が古民家を改装した「スペースきせ

る」を開設、地域おこし NPO 法人「マチトソラ」も設立され、地域上げての受

入れ態勢が整った。

以上がサテライトオフイス誘致に至った経緯のあらましで、県の積極的姿勢

と企業立地条件が結びついた結果と考えられる。

背景には、この 10年で小学校が 28校、中学校が2校廃校になっている。

それと中心市街地にもシャッターを降ろしている店があること。

平成 25年に1社、26年に4社に進出があり、地元採用が 22名、28校廃校の

うち8校が地元企業、また NPO が借り上げ利用している。休廃校の一カ所には

札幌本社のスポーツ用品製造販売の企業が進出している。

今後も、全国的に立地条件の良い廃校の需要は続く可能性がありそうだ。

4.高知市「中心市街地活性化の取組み」

平成 24 年国の認定を受け、基本計画事業 57 事業のうち 54 事業を実施され、

または、実施済み。ハード事業等は人口規模相当事業で特筆。また、網走の参

考事例に成り得ない感じだった。

ソフト事業で、学生による日曜サポート事業。街の灯台エスコーターズ事業。

町なか学生活動事業。これらの事業は、高知市、高知県立大学、商店街、高知

TMO が協力して、平成 13 年からエスコーターズ事業として実施された延長線

上にあり、中心市街地活性化事業に再掲載されたものだ。

Page 18: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

学生による日曜市サポート事業が、高知県立大学生が毎週日曜日に、中心商

店街で「挨拶、案内、清掃、介助、整理」といった活動を行って、誰もが安心

安全に来られる楽しい街づくりを趣旨としている。エスコーターズは市民と商

店街をつなぐ大きな役割を果たして、長く続いているのは、事務局とエスコー

ターズが対等な関係で、ミッションを共有し、エスコーターズの気づきを活か

し、まちが次の世代を育てている。学生活動交流館が、平成 25年に空きや店舗

を活用してオープン。ボランテイア活動他、学生同士の交流の場にもなってい

る。網走で参考にできそうだ。

空き店舗活用創業支援事業

どこの街も空洞化、ドーナツ現象が見受けられる。人口減少とモータリゼー

ション時代の現象だ。

それでも支援事業だ。新規創業者、事業拡大者を対象として補助金を出し、

商店街や中心市街地への出店を促し、空き店舗の解消をはかる。継続できる店

舗運営を促し、新たな空き店舗の発生を防ぐ。これらは、網走に置き換えて参

考材料に出来るが、時間が必要なものと考える。

Page 19: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

平成 28年度総務経済委員会行政視察報告書 佐々木 玲子

平成 28年度総務経済委員会の視察は「体験型観光」を主テーマに網走市が抱えている

経済の活性化・人口減少対策等にどの様な対応策を講ずるべきか、此れ迄も様々議論・考

察されて来た経過があるが、さらなる研鑽を目的に網走市と相通ずる課題に取組んでいる

3市 1町に伺い、先進事例を学ぶ内容で行った。

一箇所目は、さぬき市の「結婚定住奨励事業」について。

若年者の市街流出はどこの自治体も共通の難問題で、網走市もその最たる自治体であ

る。網走市は、此れ迄少子化対策に力点を置いて一定の評価を得ているし効果もあると認

識しているが、その支援する子供が年々減少している要因が晩婚化であったり、若年者の

就職困難な状況が遠因となっていると推察しており、喫緊の課題となっている。

さぬき市の本事業は、「若い世代の定住を促進し、もって、活気に満ちあふれたまちづ

くりを進めることを目的に、一定の要件を満たす夫婦に対して、さぬき市共通商品券 10

万円分を交付するものです。」と謳われている。

この事業は、平成 24年に実施した若手職員による人口減少対策に関する政策課題研究

が原案と成っていて、「若年層の社会的減少対策」をテーマとし、結婚を機に生活環境に

勝る県中心部(高松市)へ転出する若者が多いとの分析結果から「新婚世帯の転出抑制」に

関する各種提言を発展・深化させた結果「結婚定住奨励事業」を生む事になったというこ

とである。

此処で非常に心打たれたのは、若手職員のよる政策課題研究が原案になっているという

点である。行政に限らず、仕事の現場で大きな成果を出している所ではトップダウンでは

無く、ボトムアップ方式が取り入れられていると言われていて、正しくその結果ではない

かと思うからである。

是非、網走市も取り入れるように提言していきたいと考えるところである。

この事業を実施した結果、初年度が 52組、27年度が 76組と交付件数も順調に進展

し、転出者数が減少するとともに、転入者数の落ち込みが抑制されて、一定の効果を上げ

ていると伺った。

そして、さぬき市は定住者を確保するための施策が連動する形で設けられている。

「移住体験ハウス」「移住促進家賃等補助金」「三世代同居・近居支援金」「定住促進

奨励金」「病児・病後児保育」「地域就職サポートセンター」(移住する人に仕事が無い

と来れないから)などの事業が寄り添う形で実施されている事がこの事業の後押しになっ

ていると考えられ、縦割りの行政に終わらず其々の施策が機能している点も我が市でも研

究して取り入れていく方向に持っていきたいと強く感じた所である。

(挨拶を交わした松原議長が東京農大出身)

二箇所目は、つるぎ町の「つるぎクラブ事業」(つるぎの達人)について。

平成 17年 3月 1日、一字村・貞光町・半田町の 2町1村が合併してつるぎ町が誕生。

Page 20: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

森林率 84%の巨樹王国で、「巨樹巨木林の会」に調査依頼した所、四国一の巨木が何本

も見つかったことから、人と人の繋がりを課題に巨樹で街が輝くと考え、巨木を生かした

地域おこしを実施している町を視察。

合併時一万二千人余りいた人口が激減する過疎の町で大きな産業が無く、経済活動は厳

しい状況にみえたが、歴史的遺産には大いに魅力的な町と感じた所である。

今回の調査項目である、つるぎクラブ事業の「つるぎクラブ」は、平成 19年に開催さ

れた「第 22回国民文化祭とくしま 2007」又平成 22年に開催された「23回巨木を語ろう

全国フォーラムつるぎ町大会」など、つるぎ町の文化や観光を取り入れた探訪ツアーや催

し物で、多くの方々がつるぎ町を訪れ、素晴らしさを知ってもらった。又これらの一連の

イベントと関連し、つるぎモニターツアーとして「巨樹めぐりツアー」、「二層うだつ町

歩きイベント」(うだつとは、『うだつが上がらない』の語源となった防火壁の事で経済

力のある家ほど立派な物を構えたと言われる建造物)「農業収穫体験」などを開催し、魅

力ある観光や街づくり目指す素材として生かして来た。その中で巨樹は訪れた方々に癒し

と明日からの生きる力を与えてくれた。その反響は大きく巨樹めぐりツアーは民間旅行会

社の商品として販売されるまでになったという事で、町内で開催されるさまざまな情報発

信するサイトのタイトルで、事業というのはそのサイトで紹介されているイベントの事。

此処で私が印象的に感じたのは、土着の資源をどの様に発掘し観光資源として活用して

いるかと言う点である。

「つるぎの達人」と言われるボランティア観光ガイドさん達が 33人いるが、平成 18年

度につるぎ町主催で「観光案内人養成講座」が開催され、12回の講座を受けて認定され

た方々がしっかり町の歴史や地域資源をよく勉強して、改めて自分の住んでいる地域の貴

重な歴史遺産や巨樹・巨木林の有用性を再認識して、とにかく笑顔で胸を張って案内して

頂いた姿に感銘を受けずにはいられなかった。達人の一人に伺うと、養成講座を受けるま

では、特に自分の住んでいる地域に関心もなかったが、勉強してみると驚くほど素晴らし

い地域に住んでいるんだなと感動すら覚えたと仰る姿に、網走も同じ様に自分の街に無関

心な方がいらっしゃるので、何らかの勉強の機会を作って網走を内外に発信する人材養成

をしていきたいと思った視察であった。

三箇所目は、三好市の「サテライトオフィス誘致の取組み」と「体験型観光」について。

三好市は、高齢化率 37.7%と全国平均 25.5%に比べ非常に高い地域で若年層(15〜29)の

人口減少が顕著で小中学校の休廃校数が顕著な街で、林野率 87%で工場地帯が極端に少

ない町。

「サテライトオフィス誘致の取組みについて」

新過疎法制定に向けて、徳島県から国への提言がなされ、「過疎地域でこそ ICTが大き

な役割を果たしうると考えられる事から、民間事業者との協働による技術開発等を通じ、

遠隔医療による在宅健康管理システムの整備や SOHOによる起業など、日常生活や産業面

の様々な分野において、ICT積極的な利活用を促進する必要がある。」と方向性が示され

た。

当初交流人口の増加と限界集落等の活性化の為に、山間部の古民家を中心に循環型オフ

ィスの誘致を検討していたが、事業を進める際山間部だけでなく、市街地の空き家等も視

Page 21: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

野に入れ紹介を行った結果、ビジネス環境としては県内の他過疎市町村より人口、経済規

模が大きいことから地元雇用型によるサテライトオフィスが開設できるのではと意見が出

され、市内中心部に廃業した歴史ある旅館が見つかり、オーナーも安価での貸し出しを了

承。

その際、三好市地域おこし協力隊が古民家を改装した「スペースきせる」を開設。地域

おこしの NPO法人「マチトソラ」も設立され、地域あげての受け入れ態勢が整った。

現在、サテライトオフィス 5社が進出して来ていて、旧旅館に 2社、廃校に 3社入居し

ているとの事。地元の企業の他東京から 2社、札幌から 1社が操業している。働いている

方は皆地元からの採用であったり、Uターンしてきて起業している方が多く、人口減少の

影響で当市にも活用出来る施設は少なからず有る事から、ICTを活用する事によって多様

な事業展開が様々な業種でなされている今日、具現性のある取組みと考える。又、この事

業に対しての支援策、(コールセンター、データセンターに対する奨励措置)(ふるさとク

リエイティブ企業に対する奨励措置)(新卒者等就職促進事業補助金)などが設けられてい

て、作りっぱなしにしていない事も大変重要な進め方で行政にありがちな縦割りの弊害抑

止にもなっていると感じ、これからの経過も見守りながら研究して行きたいと思う事例で

あった。(仕事はデジタル、暮らしはアナログという言葉が印象的であった。)

三好市 2項目の視察課題は「体験型観光」

三好市は観光都市として、にし阿波の 1市として位置付けられている。観光資源に大変

恵まれている街で羨ましい限りであるが、昔ながらの資源そのものを見せるだけの観光で

はお客様を満足させられない。リピートして貰うためにはどうするのかという課題は両市

に共通する問題点である。三好市では、大きな変化を踏まえ、交流人口の拡大による経済

活性化、地域コミュニティの活性化を進め、「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づく

りのサイクルを行う事が非常に重要。という点に着目し、観光圏事業として国から加速化

交付金をもらって、事業の底上げを図っている状況と伺った。

そのような取組みの中で、体験型教育旅行の受入組織「そらの郷山里物語協議会」を母

体に法人化し、平成 23年観光地域づくりプラットフォーム「一般社団法人そらの郷」が

設立され、地域資源の「コーディネート機能」、「市場・来訪者との窓口機能」が出来

て、これまでの受け身の観光事業の改善体制がまず出来た。

プラットフォームのイメージは、個々の事業者が、それぞれ観光客を囲い込んで商品・

サービスを提供するのではなく、対象とすべき来訪者の客層の行動範囲となる地域の全体

が一体となり、地域内の滞在プログラムを集めて地域との市場(旅行会社・来訪者)をつな

ぐワンストップ窓口の機能を担う事業体である。

一列を挙げると、体験型教育旅行では、一泊二日の農家民泊、一軒あたり4〜5人の規

模で行うが、抱き合って別れを惜しむほど変わる様子に教師たちが悔しがるほど大きな変

化に反響があり、後日親を連れて遊びに来たり、結婚式に出て欲しいと案内があると言う

くらい子供たちに大きな影響、心身の鍛錬になるような事業が展開されているのは素晴ら

しいものだと感じた。平成9年から始まり、にし阿波として2市2町 160軒が受け入れ登

録しており、これまでの売り上げ 4,600万に到達したと伺った。

Page 22: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

その他の体験型観光などもある為、人材が集まらない悩みはあるそうだが、非常に参考

になる取組みで、網走でも慎重にではあるが、研究課題としたいと思う事例であった。

四箇所目は、高知市の「中心市街地活性化の取組み」について。

高知市は中心市街地活性化基本計画を他市に先駆けて、作成している。

[目的] 少子高齢化、消費生活等の状況に対応して、中心市街地における都市機能の増

進及び経済力の向上を総合的、一体的に推進。[基本理念] 地方公共団体、地域住民及び

関連事業者が相互に密接な連携を図りつつ、主体的に取組むことの重要性に鑑み、その取

組みに対して国が集中的に支援を行うとの基本計画活性化法の概要に則り、平成 13年に

各種都市機能の充実、調和を図りつつ商店街の活性化を目指す最初の計画を策定。

平成 18年には『まちづくり三法』の改正を受けて、旧計画に加え、少子高齢化、消費

生活の変化等に対応した都市機能の増進、経済の活力の向上を目指す計画概要に活性化の

主たる課題を解決する 51の具体的事業を登載。そして平成 24年 11月 30日、高知市中心

市街地活性化基本計画の内閣総理大臣認定と市街地活性化計画の変遷を辿る。

【具体的に事業を始める為の問題点などを分析】

・活性化における主たる課題

中心市街地での居住人口の減少、魅力低下に伴う来街者の減少、賑わい(回遊)の低下

・活性化に向けた基本コンセプト

『土佐の風土と文化』を継承、創造、発信する街

【南国ならではのエネルギーを持って、新たな暮らし方を切り拓く(暮らし維新を起こす)

街・高知-3つの基本的な方針】

・方針 1 街中の暮らしの魅力強化(多様な人材・世代が快適に、楽しく暮らせる街中)

・方針 2 土佐の気風や歴史・文化性の活用(土佐の大らかさやパワー、歴史性・文化

性を生かした新しい生活文化を発信する街なか)

・方針 3 街なか地域資源を楽しめる環境づくり(街なかの魅力を、誰もが快適に楽し

く、回遊して満喫出来る環境が整った街なか)

【活性化の目標】

・目標 1 新しい街なかの暮らし方を実感できる基盤を充実させる(街なか暮らしの、

ハード等を充実させる)

・目標 2 街なか回遊性を向上させる(街なか暮らしの、仕組み等を強化する)

以上のような計画のもと、事業実施に向け種類別の実施箇所を[おもてなし拠点]、[歴

史拠点]、[にぎわい拠点]、[文化拠点]の 4つに分けて地図上に落とし作成して進捗状況

もきめ細かく登載する手法は視覚から入っている事もあり、非常に分かりやすい。

当市においても、この様に具体的な施策を講ずる為に「中心市街地活性化基本計画」に

取組む必要性を感じた。そして、それをもとに、もっともっと多角的視野で足元に目を向

けた活性化策を講ずるべきではないかと強く感じた。

Page 23: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

空き店舗対策活用事業として、高知市はチャレンジショップ事業、空き店舗活用創業支

援事業を実施しており、当市の単なる空き店舗の改修費補助と家賃の補助とは本質が全く

違う。

チャレンジショップ事業は、10ヶ月間やってみて経営ノウハウなどを学ぶ事から支援

している。また、空き店舗活用創業支援事業は、新規創業又は事業拡大を行おうとするも

のに対して補助するもので前進性を感じる事業内容である。商店街エリアも追加するなど

一工夫も二工夫も有り、一考の余地を感じさせられる内容であった。

今回持ち帰った資料を詳しく研究して、網走において、空き店舗対策や活性化支援の充

実はまだまだ出来ることが大いにあると、勇気を貰う視察であった。

Page 24: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

平成28年度総務経済委員会道外調査報告書

網走市議会議員 田島央一

1.結婚定住奨励事業について(香川県さぬき市)

さぬき市では、さぬき市結婚定住奨励事業の概要、事業の成果や効果、

今後の課題について説明を受けました。若手の各部局の市役所職員(6~

7名)人口減少対策に関する政策課題研究から事業の立案がなされており

ました。若手職員の発想力と地域事情をしっかりと押さえた制度であると

感じました。政策効果については、過去5年の人口推移から転出者数が減

少、転入者数の落ち込みが抑制出来ている点から、一定の成果は見られる

との分析でした。今後の課題は、個人情報保護の観点から、結婚定住奨励

事業による婚姻世帯の把握が困難である点が挙げられました。質疑におい

ては、私から移住体験ハウスの運用状況、さぬき市の総合戦略に掲載して

いる婚姻数の KPI の設定、市外への広報の状況などについて、それぞれ質

問させて頂きました。鉄路を活用した市外等への広報も含め、香川県は面

積的にも狭いので効果的な取組みがなされていると実感致しました。また、

移住促進家賃等補助金制度にも触れ、一定条件を満たした場合、民間賃貸

住宅の家賃の実質負担額の半額(上限2万円)を最大2年間補助し、契約

初期費用についても(上限6万円)補助する制度は非常に魅力的だと感じ、

状況等をお伺いしましたが、これは香川県が1/2補助している県独自事

業があるので、さぬき市も連動して事業展開しているとの事でした。

2.つるぎの達人事業について(徳島県つるぎ町)

つるぎ町では、つるぎクラブ事業の概要、事業の成果や効果、今後の課

題について説明を受けました。体験型観光のベースとなる観光案内人を養

成する講座を開設し、「つるぎの達人」として認定を受けて、ツアーの受け

入れなどを行なっています。つるぎ町には観光協会が無く、行政と「つる

ぎ達人の会」が連携して、ツアーの受け入れをする有料ツアーガイドとし

て確立しています。観光資源の掘り起こしは、元首長の方や地域の方のア

イデアをキッカケとして行なわれ、現在のツアーの原型にもなっており、

季節感に溢れ、価格帯も 500円~6,500円のツアー造成がなされ、ラインナ

ップに富んでいます。課題としては、認定は受けたものの、実働できる案

Page 25: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

内人がまだまだ少ないようで、大規模な受け入れにはなっていないように

も見えました。同様に宿泊のキャパも限られているようで、大規模な受け

入れが出来ない環境下にあるとも思われます。実際に街並みをガイドして

頂いたが、周辺整備を含め、まだまだ課題があるように感じられました。

3.体験型観光について(徳島県三好市)

三好市においては、体験型観光における取組み状況と、運営における課

題等について説明を受けました。体験型教育旅行の誘致では、中学生の修

学旅行で農家民泊を始め、関西圏を中心に、中部や九州まで営業していた

との事。全国的な取組みとして認知され、修学旅行のみならず企業研修に

も採用するところがみられたようです。現在では年間 4,600 万円の売り上

げがあり、宿泊 6,000円、各種体験 2,000円、食事 8,00円が一般的な価格

で、すべて農家の収入となっているそうです。この他にも茶摘み体験等の

ツアーも造成しており、3,000円程のオプショナルツアーで、年間 1,600万

円の売り上げを記録しているとの事で、驚きました。また、海外のメディ

アであるナショナルグラフィックで紹介され、外国人向けの餅つき体験な

どのメニューも用意され、地元民が体験型観光を対応し、接客するフロン

ト業務を移住者が対応するなどしているとの事。質疑では運営する剣山・

吉野川観光圏協議会のプラットフォームとして、「一般社団法人そらの郷」

があるが、自主財源確保の取組みが聞かれたが、各種制度資金を活用して

いるが自主財源は乏しく、運営が難しいようで、今後の課題としては、金

融機関のメンバーが運営に入り込むような仕組みづくりが必要との認識が

示されておりました。

4.サテライトオフィスの取組みについて(徳島県三好市)

三好市では、サテライトオフィス誘致に至った経緯と市の状況を含め、

ご説明頂きました。高齢化率が高く、若年層の人口減少が顕著でここ 10年

で半減するという驚異的な状況にあります。それに伴い、休廃校数が小中

学校で 30校となっており、利活用が求められる環境下にありました。三好

市では、コールセンター・データセンターに対する奨励措置、ふるさとク

リエイティブ企業に対する奨励措置、新卒者等就職促進事業補助金などの

支援策を創設し、立地条件の良い学校や中心部の旅館跡地にサテライトオ

Page 26: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

フィスを誘致することが出来たとの事。学校を活用した事例として、札幌

に本社があるウィンタースポーツ関連用品を扱う会社のサテライトオフィ

スを視察し、体育館が倉庫として活用され、夏場の人員は少なめだったが、

繁忙期となる冬期間は、夏場ラフティングなどの体験型観光に従事してい

た方々が働く場ともなっており、非常にマッチしていたように感じられま

したし、ほとんどが地元採用との事でした。また、札幌に本社があるが、

物流拠点を徳島に置く事によって、翌日配送でほぼ本州全域となるような

範囲をカバーできるメリットなどもお聞きする事が出来ました。もう一ヶ

所の旅館跡を活用したサテライトオフィスでは2社が入居しており、人事

評価システムの会社の方からは本社と変わらず働けるとの感想や、03発

信のため、外部からも東京とやりとりしていると思われているとのお話も

お聞きする事が出来ました。もう一社の家事代行サービスのコールセンタ

ーでは、総務部機能も移転しており、業務が粛々と行なわれておりました。

取組みとしては、素晴らしいものがありますが、若年人口の減少を抑制で

きるだけの規模にはなり得ていない現状も垣間見えました。

5.中心市街地活性化について(高知県高知市)

高知市では、中心市街地活性化法の概要、基本計画、事業実施個所など

を含めての説明をお聞きしました。図書館整備については、高知県と高知

市が連携して複合施設などを運営していくとの事だが、東洋ゴムによる免

震ゴムの強度問題で、遅れている事業もあるとの事。他にも、市役所新庁

舎建設事業は東京オリンピックの影響か入札不調により、こちらも遅れが

発生しているとの事。課題は基本計画エリア内の歩行者通行量のアンバラ

ンスや前述の期間内に整備が完了しない状況との事。空き店舗活用事業に

おいては、チャレンジショップ事業で高知県単独事業だったものに高知市

も支援するようにし、拡充を図っているとの事。空き店舗活用創業支援事

業では、年々、支援枠を拡大し、新規創業者だけでなく、事業拡大者も対

象にする事にし、補助率及び補助限度額の引き上げ、中心商店街エリア以

外を補助対象に拡大するなど、エリア内の商店街を活性化する観点から拡

大方針で取組んでいるとの事。質疑においては、私から、大型客船による

外国人受け入れの取組みや課題などを質問致しました。外国人向けの商品

ラインナップやニーズの調査が必要との事。電子機器を活用した通訳とい

った販売側の対応はこれからの課題だとの事。免税一括カウンターや表記

などは整備してきているそうです。もう一点質問しましたが、南海トラフ

Page 27: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

対策でどのような取組みをしているかお聞きしたところ、国のメニューで

ある防災・省エネまちづくり緊急事業を活用しての施設整備や、津波避難

ビルを高知市内で 300 ヶ所近く指定し、高知市と協定を結ぶなどの取組み

がなされておりました。説明では、高知市内中心部の各施設の概要などを

聞けたので、その後、中心市街地にある京町チャレンジショップや、よさ

こい情報交流館、ひろめ市場を個人で訪れましたが、すべて定休日であっ

たのが残念でした。

以上

Page 28: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

平成28年度総務経済委員会行政視察報告書

立崎 聡一

・「結婚定住奨励事業」について

香川県さぬき市は、平成 14年(2000年)に津田町・大川町・志度町・

寒川町・長尾町の 5町が合併して成立した。 人口は 52,832人、世帯数は 20,257

世帯(2012年 1月 1日現在)、面積は 158.63km2(2014年 10月 1日現在)であ

る。香川県庁所在地の高松市から東へ約 15㎞に位置している。

東は東かがわ市、西は高松市および木田郡三木町、南は東かがわ市五名お

よび徳島県美馬市と接しており、北には瀬戸内海を隔てて小豆島がある。

南の讃岐山地から北東へ向かって津田川が津田湾へ、鴨部川が鴨庄湾へと

流れている。さぬき市の大部分は、この 2河川の流域である。

結婚定住奨励事業の概要は若い世代の定住を促進し、活気にあふれたまち

づくりを目的に、一定の条件を満たす夫婦に対してさぬき市共通商品券 10万

円を交付する。

交付条件は次のとおりである。

1、婚姻日現在の年齢が夫婦いずれか 40歳未満であること。

2、婚姻届け提出後、6か月以内にさぬき市に住民登録していること。

3、住民登録後 1年を超えて市内に居住し、今後も定住の意思を有すること。

4、過去に夫婦ともにこの要綱による商品券の交付を受けていないこと。

5、市税及び国民健康保険税の滞納がないこと。

交付実績は、初年度の平成 26年度 52組、平成 27年度 76組。人口推移に

ついては、減少傾向にあるものの社会減(転出者数)が減少(H22 年 1,586

名⇒H27年 1,465名)し、社会増(転入者数)の落ち込みを抑制(H22年 1,288

名⇒H27年 1,272名)、一定の効果が生じている。

問題点・課題として婚姻世帯の特定(捕捉)の困難性。戸籍法の趣旨を踏

まえ、婚姻に関する情報について個人を特定することなく閲覧することは承

認できないと判断。事業対象世帯に文書発送はしていない。このため窓口に

婚姻届けを提出した夫婦へ周知文配布、市広報誌への掲載、県内結婚情報誌

の広報等を実施。

なお、本事業は平成 27年度末で終了予定だったが、「さぬき市まち・ひと・

しごと創生総合戦略」における移住・定住促進に関する重点施策に盛り込ま

れたことから平成 31年度末まで延長。併せて「さぬき市暮らしのススメ」と

して移住体験ハウス・移住促進家賃等補助金・空き家バンク登録住宅リフォ

ーム支援・子育てサポート・就職支援も併せて実施している。

感じたことは、成果が上がっていることは素晴らしい。今後は、地元の大

学とも連携し取組んでいただきたい。

Page 29: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

・「つるぎクラブ事業(つるぎの達人事業)」について

つるぎ町は徳島県の北西部に位置し、平成 17年に半田町、貞光町、一宇村

が町村合併してつるぎ町になり、今年で 10周年を迎えた。

この地域には誇るべき文化や歴史、そして豊かな自然が残っている。しかし

ながら、高齢化率 40%を超える過疎地域にあって、生産人口の減少や他地域よ

り進んだ高齢化などの構造的な問題を抱えている。こういう状況の中で、地域

を誇り高く維持していくために残された道は、半田町・貞光町・一宇村が一つ

になって力を合わせることだと信じて合併という道を選択した。ここに住む人

が安全に、そして少しでも豊に暮らすことができることを目指している。

つるぎクラブとは、町内で開催されるさまざまな情報を発信する冊子のこと。

その中でつるぎ町単探訪問ツアーの案内人が「つるぎの達人」であり、ツア

ー企画、研修会を実践し皆様の来町を待っている。

平成 18 年度に町主催の「観光案内人養成講座」を開催、12 回の講座を受け

た 33名が「つるぎの達人」として認定を受け、平成 19年「第 22回国民文化祭

とくしま 2007」。平成 22 年に開催された「第 23 回巨木を語ろう全国フォーラ

ムつるぎ町大会」など、つるぎ町の文化や観光を取り入れた探訪ツアー(エク

スカーション)や催し物で、多くの方々がつるぎ町を訪れ、素晴らしさを知っ

ていただいた。

またこれらのイベントと関連し、つるぎクラブモニターツアーとして「巨樹

めぐり」「剣山系の登山」「二層うだつ町歩き」「巨樹めぐりハイキング」「お花

見ツアー」「農業収穫体験」などを開催し、魅力ある観光や町づくりを目指す素

材として活かしてきた。その中で巨樹は訪れた方々に癒しと明日からの生きる

力を与えてくれた。その反響は大きく巨樹めぐりツアーは民間旅行会社で開催

する旅行商品として販売されるまでとなった。

今後も巨樹の町「巨樹王国」としてさまざまな情報を発信し続けて行くとの

こと。

また、プログラム体験は「二層うだつ町歩き」を体験。「うだつ」とは、元来

防火壁として造られたものでしたが、当時の裕福な家は競ってこの「うだつ」

を上げた立派な家を造ったようです。「うだつが上がらない」という言葉は転じ

て、「いつまでもぐずぐずして成長・発展がない」という意味で使われている。

特に貞光のうだつは二層うだつと呼ばれる全国的にも珍しいもので、段になっ

た防火壁に立派な屋根がある重厚なもの。正面には家ごとに異なる美しい絵模

様(鏝絵・こてえ)が施され、美術建築としても風格も備えている。

課題として世代の違う人を取り込んで進めていくことが重要であり、多くの

人がこの街を訪れることこそが町の活性化につながることだと考える。

Page 30: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

・「体験型観光について」「サテライトオフィス誘致の取組み」について

徳島県三好市は、平成 18年3月、三野町、池田町、山城町、井川町、西祖谷

山村、東祖谷山村が合併し、誕生した。四国のほぼ中央に位置し、古くからこ

の地域は交通の要衝として、また、県西部での社会、経済、文化、観光の中心

として発展してきた。「仕事はデジタル、暮らしはアナログ」をコンセプトにお

話していた。

まず、体験型観光ですが平成 18年 7月から徳島県西部二市二町による剣山観

光メッセージを締結、平成 20年 10 月「にし阿波観光圏」が四国初観光圏認定

された。その後平成 23年観光地域づくりプラットフォーム「一般社団法人そら

の郷」設立。

平成 24年度・実施事業数 42プログラム、参加者数延べ 675名

平成 25年度・実施事業数 63プログラム、参加者数延べ 801名

平成 26年度・実施事業数 87プログラム、参加者数延べ 1,150名

と着実に成果を上げている。

今後の課題として財源確保、担い手不足等を上げていた。

財源確保はどこの自治体でも頭を悩めるところで、こちらの地区もあくまで

自主財源。日本型 DMO との道筋をしっかりと行い財源確保に努めると説明して

いたが、そのとおりだと思った。また、担い手不足問題は、少子高齢化に伴い

これもどの地域においても問題だと思う。三好市には、まちのおばちゃんと呼

ばれる黒木公子さんがおります。三好市女性連絡協議会 会長 きらり本町 代

表など数々のまちづくりを手掛けており、そらの郷山里物語でのカギを握る一

人だと思います。改めてお話を聞きたいものだと思う。

次にサテライトオフィス誘致についてです。少子高齢化の進展については先

ほどからの説明のとおりで生産年齢人口の低下は否めない。生徒数・学校数の

減少、市内のほとんどが中山間地域で工場適地が極端に少ないなどの理由によ

り、サテライトオフィス誘致に至ったそうです。そして、この事業は、冒頭申

し上げた「仕事はデジタル」を活用し、空き家対策にも一助としている。三好

市でサテライトオフィスを実践している企業は旧旅館、旧学校を利用し企業と

自治体のウィンウィンの関係が取られている。株式会社ベアーズが三好市池田

町の「旧政海旅館」に、サテライトオフィスを開設。風の株式会社が三好市池

田町の「旧佐野小学校」に、サテライトオフィスを開設。風の株式会社につい

ては学校すべてを使い、全国への配送基地としての機能もある。地元雇用も積

極的に取組まれており、成功例である。

サテライトオフィス誘致には、大都市圏での誘致セミナーの開催、現地研修、

受け入れ態勢を企業に説明、実践している。今後の過疎地の企業誘致の在り方、

方向性を感じた。課題は、全国各地で展開されるサテライトオフィス誘致との

差別化をしっかりさせていくところだと思った。

Page 31: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

・「中心市街地活性化」高知県高知市について

高知県中部の中心都市であると同時に、四国太平洋側の中心都市ともなって

いる。県内最大の商業地を持つと同時に、県内の人口の 46.4%を占めるプライ

メイトシティ(一極集中型都市)でもある。いわゆる昭和の大合併までは県内

唯一の市であった。昭和の大合併が始まる 1953年の時点で、市が 1つしか存在

しない県は高知県が唯一であった。国内では、酒類の消費量が多い都市の一つ。

名物にはカツオのたたきとよさこい鳴子踊りなどがある。高知市民の気風と

されている要素は、女性は、はちきん(八金: 「『男 4人分』より強い」とも言

われる、勝気な女衆)、男性は、いごっそう(偉骨相: 頑固者。ただし敬意の念

も含まれる)などである。日曜市を初めとする定期市(いわゆる「街路市」。開

催場所、形態や運営方法は異なるものの、月曜日を除く毎日、市内で開かれて

いる)が有名であり、「スローライフ」志向が強いとする見方もある。休日を中

心に市内外からの来店者で賑わっている。

少子高齢、消費生活等の変化に対応し、中心市街地の昨日増進及び経済活力

の向上を総合的かつ一体的な推進を目的に、主たる課題を定義しそれに向かっ

ていく目標と実践をしていく。

新図書館等複合施設、市役所新庁舎の建て替えなどハード面での事業と街な

か季節イベント・商店街定期イベントの充実などのソフト面での事業、両方が

進んでいる。とくに近年のインバウンド対策として免税店の増、新港からのシ

ャトルバスの運行なども行っている。成果としては、中心市街地の居住人口、

中心部空き店舗数は目標値よりも低いものの、歩行者数、施設入館者数では目

標値にわずか届かず一定程度の成果はあがっていると思われる。今後の課題と

して、歩行者量の偏り(西高東低)の平準化を目指す。図書館完成の遅れによ

る周辺地区の土地利用の遅れが心配される。

全体として市民協働型のまちづくりを目指している。それは、空き店舗活用

創業支援事業補助金、高知大学学生主体イベントなどを見て取れる。更に、イ

ンバウンドの来客効果も見逃せない。また、防災の観点から中心市街地におけ

る施設の改修、建て替えもしっかりと対応し、防災意識の高さを感じた。

Page 32: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

総 括

少子高齢化社会に伴う人口減少にいかに歯止めをかけるか。まちおこしでの

交流人口増加。これは、良い素材がたくさんあってもそれを活用し、いかに仕

掛けていくのかがキーワードになる。そして、良い素材を生かすも殺すもそこ

に住んでいる人の心構えでがらりと変わる。今回、さぬき市、つるぎ町、三好

市、高知市にゆったり感が感じられた。我が網走も素晴らしい素材と豊かな人

間性は十二分にある。それをどう生かすのか思考しなければならない。

少子高齢化対策、地方創生に向けた取組みが着々と進む中、1次産業を着実

に成長させながら、観光産業の充実、地元の素材を活用した観光商品の開発な

どあらゆる方面からの地方創生に向けた取組みを改めて感じた。

良い品を作り、しっかりマーケティング、地域の雇用を生み、活性化に繋げ

ようとしていた。まだまだ、問題点、課題もあるがそれは、取組んだ結果わか

ったことで、行動しなければ何もわからないものである。

素晴らしい素材があり、それを活用した良い品を生産・販売。各企業間のコ

ラボレーション。手掛けるのは人です。取組み方で変わるものである。だから

こそ、今までもこれからも人づくりはとても重要だと改めて確認できた。

今後もこれらの事例を参考にしながら政策提言をし、より良いまちづくりに

励む。

Page 33: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

平成 28年度総務経済委員会行政視察報告書

松浦 敏司

総務経済委員会として5月 16日から 19日までの3泊4日の日程で視察を行いましたの

でレポートを提出する。

初日の 16日は、香川県さぬき市で「結婚定住奨励事業について」の説明をさぬき市の担

当者から受けた。事業の目的は、若い世代の定住を促進し、活気に満ちたまちづくりをす

すめるため、一定の要件を満たす夫婦に対して、さぬき市共通商品券 10万円を交付する。

【交付要件】「①婚姻日現在の年齢が夫婦いずれか 40歳未満であること、②婚姻届提出

後、6か月以内にさぬき市に住民登録していること、③住民登録後1年を超えて市内に居

住し、今後も定住の意思を有すること、④過去に夫婦ともにこの要綱による商品券の交付

をうけていないこと、⑤市税及び国保料の滞納がないこと」となっている。

この事業は、平成 24年度に実施した若手職員による人口減少対策に関する政策課題研究

が行われ、「若年層の社会的減少対策」をテーマとし、結婚を機に生活環境等に勝る県中

心部(高松市など)へ転出する若者が多いとの分析結果を基に「新婚世帯の転出抑制」に

関する各種提言を行い事業化したもの。

事業の成果・効果として、平成 26年度が 52組、同 27年度が 76組と制度周知が進むに

つれて交付件数が順調に増えている。

この事業創設後、人口の推移については引き続き減少傾向にあるものの、社会増減のう

ち社会減(転出者数)が減少(H22年 1,586人⇒ H27年 1,465人)するとともに、社会増

(転入者数)の落ち込みが抑制(H22年 1,286人⇒H27年 1,272人)されていることから、

一定の効果が生まれていると分析している。

問題点・今後の課題では、婚姻世帯の特定(捕捉)の困難性が上げられる。戸籍法の趣

旨を踏まえ、婚姻に関する情報は、個人を特定することなく閲覧することは承認できない

と判断されているため、事業対象となる世帯に対して周知文等を発送できない。そのため、

代替手段として、窓口に婚姻届を提出した夫婦への周知文配布、市広報紙への記事掲載、

県内結婚情報誌への広告掲載等を実施しているとのこと。

なかなかユニークな取組みで、一定の定住効果も出ている。商品券を交付することで地

元経済に波及する内容となっていて、当市にも参考になる取組みだと感じた。

2日目は、徳島県つるぎ町で、つるぎの達人について担当者から説明を受けた。

平成 18年に開かれた講座で、つるぎ町の特徴・良さについて再認識して衝撃を受けたと

のこと。

例えば、二層うだつの街並みが残っている。つるぎには巨木がある。四国一のアカマツ、

四国一のトチや大杉スギ、ヒノキなど、地元では当たり前と思っていても他から見ると大

変な特徴であり財産であることに気づいた。

Page 34: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

このような町の特徴や自然などをアピールすれば、人は来るとの考えからUターンやI

ターンなども含め、町の住民がやれることをやる。

取組みとして、①つるぎクラブ定番巨樹めぐりツアーで桜の巨樹めぐり、②二層うだつ

の町並みと吉良のエドヒガンザクラウオーク。主催は JR阿波池田駅、③吉野川ツーリング

カヌーをやってみよう。主催は Trip四国の川の案内人、④つるぎクラブ定番巨樹めぐりツ

アー。旅行企画・実施は美馬市観光有限会社、⑤つるぎ山里で野鍛冶体験。主催はつるぎ

町地域おこし協力隊、⑥つるぎ和菓子と町並みのぶらぶら初心者ウオーク。主催はつるぎ町

役場、⑦夏の清流で遊ぶ!フロートキャニオニング。主催は Trip四国の川の案内人など、

多彩な取組みを多くのボランティアの力を借りて、楽しく、生き生きとした活動で、町全

体が活気を取り戻してきているような印象を受けた。

当市でも、それに類する網走の特徴や良さを再発見する取組みがなされる必要があるの

ではないかと感じた。

3日目は、徳島県三好市でサテライトオフィス誘致の取組みについて

三好市は、平成 18年3月に三野町、池田町、山城町、井川町、西祖谷山村、東祖谷山村

が合併して誕生した。

三好市では、平成 26年までの8年間で人口の約 14%が減少、高齢化率は約4割と少子

高齢化が深刻である。また、平成 24年までの3年間に事務所が約 18%減少するなど、町

自体が小さくなっていく感じだった。しかし、工業団地を造成して外部から工場を誘致で

きる状況にない。

三好市は面積が四国最大の自治体だが、林野率 87%と平地が極端に少ない地域で、まと

まった広さの土地は既に使用中だったり、河川の侵水域であったり、加えて、平成 25年に

県が南海トラフ対策のために定めた条例によって、吉野川沿いの中央構造線上の土地の開

発は、事前の安全性調査が義務づけられ、工場建設のハードルが高くなった。

なにができるか模索する中、平成 25年に徳島県が企画したサテライトオフィスプロジェ

クトツアーに参画した。東京などから参加した企業関係者に、三好市の支援施策の説明、

充実したブロードバンド環境のデモを実施。自然やラフティング、食べものなど三好市の

魅力にも触れてもらうことも行った。

取組みの概要は、首都圏、関西圏でサテライトオフィス誘致セミナーを実施、セミナー

受講企業で進出を検討する企業に対して現地視察を開催し、三好市へのサテライトオフィ

ス企業誘致を図っている。サテライトオフィス進出先にも休廃校となった小学校の校舎や

民間の空き家など遊休施設を活用している。

取組みの効果として、平成 24年度に第1号のサテライトオフィスが進出からはじまり、

現在は5社がきて全員が現地採用で 22名になっている。

現地視察では、北海道から進出してきた「風の株式会社」が旧小学校を活用してスポー

ツウエアーの発送を全国各地にしていた。また、旧旅館を活用して「あしたのチーム」三

好ランドと「家事代行ベアーズ」ダイレクトコミュニケーション三好の2社が入っていて、

「家事代行」は網走ではない職種であるが、生き生きと仕事をしている様子を視察させて

いただいた。また、現地に行けなかったが、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定され

ている東祖谷の集合集落では、市が古民家8棟を宿泊施設に整備。設計を監修したのは、

Page 35: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

東洋文化研究科アレックス・カーさんが、各種メディアで紹介していることもあり、視察

団がたくさん来ているとのこと。

担当者の説明で言っていた「仕事はデジタル、暮らしはアナログ」は、名言である。

地域を回ると急斜面の山と山の谷間に町がある状況ではあるが、インターネットの整

備・普及が進んでいるという条件を生かした取組みである。

学ぶべきは、地域の条件(有利・不利)を生かして、知恵を出す努力が必要であると感

じました。

最後に、高知県高知市の中心市街地の活性化についてであるが、過去の基本計画は、平

成 11年に策定し、居住、交通、観光、商業など各種都市機能の充実・調和を図りつつ商店

街の活性化を目指すというものであった。

平成 18年の『まちづくり3法』の改正を受けて、旧計画に加え、少子高齢化、消費生活

の変化等に対応した都市機能の増進、経済の活力向上を目指すことをいれた。

★活性化における主たる課題として、

①中心市街地での居住人口の減少(ドーナツ化現象)、

②中心市街地の魅力低下に伴う来街者の減少(歩行者の通行が 17%減少している)

③中心市街地での賑わい(回遊)の低下がある。

★活性化に向けた基本コンセプトとして、

土佐の風土と文化を継承・創造・発信するまち‐南国ならではのエネルギーをもって、

新たな暮らし方を切り拓く(暮らし維新をおこす)まち・高知。

★3つの基本的な方針

・方針①街なか暮らしの魅力強化(多様な人材・世代が快適に、楽しく暮らせる街なか)

・方針②土佐の気風や歴史・文化性の活用(土佐の大らかさやパワー、歴史性・文化性

を活かした新しい文化を発信する街なか)

・方針③街なか地域資源を楽しめる環境づくり(街なかの魅力を、誰もが快適に楽しく、

回遊して満喫できる環境が整った街なか)

★活性化の目標

・目標①新しい街なかの暮らし方を実感できる基盤を充実させる(街なか暮らしのハー

ド面等を充実させる)

・目標②街なかの回遊性を向上させる(街なか暮らしの、仕組み等を強化する)

評価指標 中心市街地の居住人口、現況値(H23)5,017人⇒目標値 (H30) 5,145人、

参考指標 中心部の空き店舗率は現況値 (H23) 14.4%⇒目標値 (H30) 13.4%など、

具体的な目標をかかげている。

指標に関する実績として、中心市街地の居住人口、歩行者通行量とも過去の推計予想

から見て改善され成果が出ている。

【空き店舗活用事業1】では、チャレンジショップ事業がある。

★空き店舗への出店を促すとともに、商店街の活性化を図るため平成 24年3月に京町商

店街に「京町チャレンジショップ」がオープン(現在7期生が取り組み中)

★卒業生から現在4店舗が中心商店街に出店

Page 36: 総務経済委員会行政視察調査報告書 - Abashiri...1 平成28年度総務経済委員会行政視察調査報告書 委員長 渡部 眞美 日 程:平成28年5月16日(月)~

★平成 26年度から県の移住相談会でもブースを設けPR

★平成 28年度から県市で負担(平成 27年度までは県単独事業)

★補助対象経費は人件費を除く運営費、補助率2分の1

【空き店舗活用事業2】では、空き店舗活用創業支援事業がある。

★商店街や中心市街地の空き店舗を活用して新規創業または事業拡大を行おうとする者

に対し、店舗賃借料の一部補助を行う事で、商店街や中心市街地への出店を促し、空

き店舗の解消を図る。

★申請時に必要な事業計画書の作成にあたって商工会議所の指導を受ける事で、しっか

りした経営計画をもった継続できる店舗運営を促し、新たな空き店舗の発生を防ぐと

いう事業。

この制度は、平成 16年度に創設し、平成 21年度に新規創業者に加え、事業拡大者も

対象とし、補助限度額も見直す。平成 25年度に中心商店街の補助率及び限度額の引き上

げを行う。中心市街地以外のエリアは限度額に引き上げを行う。平成 28年度から商店街

エリアを追加し、中心商店街以外の商店街の補助率及び限度額の引き上げを行うなどの

支援で、実績も件数、金額、新規創業、事業拡大などが順調に伸びている。これは、商

店街の実態調査を行い、分析することで適切な支援をすることにつながっているのでは

ないかと感じた。その点では、当市のこれまでの対策・支援のあり方が、どうだったの

か検証が必要ではないかと痛感した。