周波数特性解析...目次 1. アナログ/デジタルの周波数特性解析 . . . . . . . ....
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周波数特性解析株式会社 スマートエナジー研究所
Version 1.0.0, 2018-08-03
目次
1. アナログ/デジタルの周波数特性解析 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1
2. 一巡周波数特性(電圧フィードバック). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
2.1. 部分周波数特性解析 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
3. 一巡周波数特性(電流フィードバック). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7
4. 補足 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
4.1. 周波数範囲の設定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
4.2. 信号電圧について . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
4.3. Slow解析における設定. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
4.3.1. 周波数分割数の設定(Ndiv). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
4.3.2. 解析時間の設定(Tanl) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
4.4. 周波数特性の結果がうまく得られないときは . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 9
1. アナログ/デジタルの周波数特性解析
サンプルファイル AnalogDigitalLpfFra.cvt2
アナログのLPF(Low Pass Filter)とデジタルのLPFを例に挙げ、周波数特性を確認する例です。
まず初めに Waveform で 100サイクル シミュレーションを行います。
シミュレーション結果からアナログとデジタルのシミュレーション結果の違いを確認すること
ができます。
このLPFの周波数特性を解析しましょう。
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Example 1. アナログLPFの場合
周波数特性解析を行う場合、回路状態を十分定常状態にする必要があります。定常状態を
保存し、周波数特性解析を行います。以下の手順に従って解析を行ってください。
1. Analysis:Transient を 1000サイクル
実行し応答が十分安定になっていることを確認してください。このTransient解析は
、回路パラメータの変更など、回路状態を変化させた場合には、必ず実行します。
2. Parameter:Update を行い、Transient解析の最終値を保持します。
3. Analysis:Frequency:Fast
を実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲の
From , to を選択します。ここでは、 OUT1:V:AVE , AnalogOut:V:AVE を選択し
OK を押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
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Example 2. デジタルLPFの場合
アナログの手順 1, 2と同様に十分定常状態になった結果を保持します。
1. Analysis:Frequency:Fast
を実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲の
From , to を選択します。ここでは、 OUT1:V:AVE , LPF.DigitalOut:FIN を選択し
OK を押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
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2. 一巡周波数特性(電圧フィードバック)
サンプルファイル AnalogPidControlFra.cvt2
この例では、フィードバック制御された回路の一巡の周波数特性を解析します。 図のように、
AC Sweep素子 を挿入し、その前後に入力出力波形検出用のOpen素子 OUT1 ,OUT2
を接続します。 周波数特性解析では、この OUT1 から OUT2
までを測定します。このようにすることで、 AC Sweep
から出力された微小変動が、フィードバック信号に加算され、一巡の周波数特性を解析するこ
とができます。
以下に解析手順を示します。
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Example 3. 一巡周波数特性解析
先述のアナログの周波数特性解析と同様に、
1. Analysis:Transient を 3000サイクル
実行し応答が十分安定になっていることを確認してください。
2. Parameter:Update を行い、Transient解析の最終値を保持します。
3. Analysis:Frequency:Fast
を実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲の
From , to を選択します。ここでは、 OUT1:V:AVE , OUT2:V:AVE を選択し OK
を押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
2.1. 部分周波数特性解析
系の一部分の周波数特性解析を行うには以下の様にします。
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Example 4. 補償器の周波数特性解析
1. 同様にして十分定常状態になっている状態を保持します。
2. From , to に、 OUT1:V:AVE , AMP1.Vo:V:AVE を選択し OK
を押下します。このとき Phase Fold
のチェックボックスを外しておくと、位相軸が固定されるのを解除できます。
Example 5. 主回路の周波数特性解析
1. 同様にして十分定常状態になっている状態を保持します。
2. From , to に、 CMP1.Vo:V:AVE , OUT2:V:AVE を選択し OK を押下します。
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3. 一巡周波数特性(電流フィードバック)
サンプルファイル AnalogPidCurrControlFra.cvt2
電流フィードバックの一巡周波数特性を測定したい場合には、例として図のように構成します
。
制御対象の電流を IV Sensor を用いてフィードバックします。 IV Sensor の出力電圧と、 AC
Sweep の合計を OUT1 で測定します。 周波数特性解析では、この OUT1 から制御対象の
L電流 までを測定します。このようにすることで、 AC Sweep
から出力された微小変動が、フィードバック信号に加算され、一巡の周波数特性を解析するこ
とができます。
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Example 6. 一巡周波数特性解析(電流フィードバック)
先述のアナログの周波数特性解析と同様に、
1. Analysis:Transient を 3000サイクル
実行し応答が十分安定になっていることを確認してください。
2. Parameter:Update を行い、Transient解析の最終値を保持します。
3. Analysis:Frequency:Fast
を実行します。するとダイアログボックスが表示されるので、周波数測定範囲の
From , to を選択します。ここでは、 OUT1:V:AVE , L:I:AVE を選択し OK
を押下します。
以上で周波数特性解析完了です。
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4. 補足
4.1. 周波数範囲の設定
AC Sweep素子 の Fmin 最低周波数, Fmax 最大周波数で設定します。 Fast解析
で解析結果が乱れている場合、 Fmin を低く設定すると正しく解析できる場合があります。
Fmax はメイン周波数の約1/4程度が限界です。
4.2. 信号電圧について
交流信号源の電圧Vacを設定します。Vacは、理論的にはなるべく小さいほうが解析は正確にな
りますが、小さすぎるとリップル等の雑音の影響を受けやすくなります。また、逆に大きすぎ
る場合には飽和したり波形が歪んだりします。通常は、デフォルトの1mVで良いでしょう。1u
V~1V程度で設定してください。
4.3. Slow解析における設定
4.3.1. 周波数分割数の設定(Ndiv)
Slow解析の場合は、周波数の分割数をNdivに設定します。Fast解析の場合は、自動的に設定さ
れます。
4.3.2. 解析時間の設定(Tanl)
Slowを使用する場合、解析時間Tanlを設定します。解析時間とは、過渡応答が終わり定常状態
になるまでの時間です。周波数特性解析ではAC
Sweep素子の周波数や電圧を変化させ、その応答を観測します。このとき、過渡応答が生じま
すが、これが十分安定しないと正確な測定ができません。通常は、デフォルトの10msで良いと
思いますが、時定数の大きい回路の場合は、長く設定する必要があります。もし、解析結果が
正確でないようなら20ms、30ms・・・等設定してください。Fast解析の場合は、自動的に設定さ
れます。
4.4. 周波数特性の結果がうまく得られないときは
周波数特性解析は、系によっては正確な結果が得られない場合もあります。正確な結果を得る
ために、下記の項目を検討してください。
Table 1. 周波数特性のチェックポイント
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ポイント 説明
回路を安定系にする 周波数特性は定常状態で計測するため、系全体が安定系となる
よう設計してください。
直流波形を解析する 交流電源や他の理由で波形が振動する場合、AC Sweep
素子の正弦波信号が乱されてしまうため、正確な周波数特性は
得られません。直流波形に変換して解析してください。
変数のモードをAveに設定する 入力・出力波形には任意の変数モードを指定可能ですが、通常
、平均値の特性で周波数特性を解析することが一般的と考えら
れるため、変数モードには「Ave」を設定してください。
周波数特性の解析帯域を確認す
る
AC Sweep
素子のパラメーターで、周波数特性を解析する帯域を指定する
「Fmin」と「Fmax」の値を確認してください。
「Fmin」の値が大きい場合、正確な特性が得られないことが
あるため、十分に小さい値にしてください。 「Fmax」
はメイン周波数の約1/4程度が限界です。
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