大宅由香さん · 余計悪くなって出てくる、悪くすれば殺される。...

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1 「日本語講師勉強会」について 8 7 日(日)に、ボランティア・市民活動センターで、井上さんに講師をお願い して、初めての日本語講師の『勉強会』をしました。 まず、今回のテーマは≪『は』と『が』について。≫ 日本語の永遠の課題とい われています。井上講師が作られた問題を解きながら、16名の会員が有意義な1間半を過ごしました。当日、見学に来たばかりの新会員3名も参加してくれました。 日本語講師の役目は、 ① 学習者の日々の生活場面における不安・不都合・不便の解消。 ② 学習者がそれぞれ持っている希望・目的の実現に手を貸すこと。 だと思います。 しかし、それは、文法など ことばの指導の放棄を意味するものではありません。 そして、教えるのは、『外国語としての日本語』であり、子どもの頃に習った『国語』 とは趣が違います。これからも、こういう機会をできるだけ設けて、みんなで、日語の『感性』を磨いていきたいと思います。明るく、楽しく、ハッピーに、勉強して いきましょう。 日本語部会世話人; 内藤

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Page 1: 大宅由香さん · 余計悪くなって出てくる、悪くすれば殺される。 刑罰のシステムとは、基本的には矯正から更生という思想があるはずだが、その機能

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        第 1 回 「日本語講師勉強会」について

8 月 7 日(日)に、ボランティア・市民活動センターで、井上さんに講師をお願い

して、初めての日本語講師の『勉強会』をしました。

まず、今回のテーマは≪『は』と『が』について。≫ 日本語の永遠の課題とい

われています。井上講師が作られた問題を解きながら、16名の会員が有意義な1時

間半を過ごしました。当日、見学に来たばかりの新会員3名も参加してくれました。

日本語講師の役目は、

① 学習者の日々の生活場面における不安・不都合・不便の解消。

② 学習者がそれぞれ持っている希望・目的の実現に手を貸すこと。

 だと思います。

しかし、それは、文法など ことばの指導の放棄を意味するものではありません。

そして、教えるのは、『外国語としての日本語』であり、子どもの頃に習った『国語』

とは趣が違います。これからも、こういう機会をできるだけ設けて、みんなで、日本

語の『感性』を磨いていきたいと思います。明るく、楽しく、ハッピーに、勉強して

いきましょう。            日本語部会世話人; 内藤 記

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                        大宅由香さん

                              板津龍子

 大宅由香さんは、日常の会話にはあまり不自由されていない様子です。『みんなの

日本語 Ⅰ・Ⅱ』を一応終えられたとのことですが、基礎を固めていきたいと、もう

一度、最初から勉強されています。こつこつと努力を重ね、大変意欲的に取り組んで

いらっしゃいます。文法の理解も聴解もよくできていらっしゃいます。職場での同僚

との会話や、練習問題をされていて疑問に思ったことなどを質問されますが、その質

問は中級程度のものもあります。今年、3級の試験を受けることにされたそうです。

先日、問題集を一緒に買いに行きました。試験に向けて頑張って欲しいと思っていま

す。

 今、お母さんは上海に住んでいらっしゃるとのことで、今年の春、しばらく中国に

帰って来られました。子供の頃は、新疆ウィグル自治区にいらしたことがあるそうで

す。農作業のことや、スイカや梨のおいしいことなどを懐かしそうに話して下さいま

した。私も、トルファン、ウルムチに行ったことがあるので、なんとなく当地の雰囲

気が伝わってきました。今後、病院以外にもいろいろ体験されて、早く日本での生活

に慣れて、安心して、日本の生活を楽しんで下さるといいですね。

                             ==活 動 報 告==<8 月度>

 クスクスでは日本語教室や交流会以外にもボランティア市民活動センターに依頼

のあったニードに協力をさせていただいています。又、役員や各委員会の活動も報告

させていただきます。

8月 6日(土)クスクスだより印刷 編集委員

8月 7日(日)第1回「勉強会」  日本語教室部会(講師:井上さん)

8月 9日(火)旗の打ち合わせ   役員

8月12日(金)貴島診療所     内藤

8月26日(金)貴島診療所     内藤

            +=+=+=+=+=+=+=+=+

         ==広報部会からお知らせとお願い==

 *編集委員を募集しています。

  Ψ 月に1~2回の編集会議がありますが、編集、校正作業は主にメールで

    しています。

 Ψ パソコンの得意な方、イラスト、写真に興味のある方大歓迎です。

 *投稿をお願いします。

   ♪質問や感想・・・「クスクスだより」を読んで気がついたこと。

   ♪学習者の方へ・・・日本語の練習を兼ねて短い文でも結構です。

   ♪その他・・・文学散歩、古都紹介、四コマ漫画等、得意分野で連載を

         お願いできませんか?

  ⇒お問い合わせは編集委員(青合、保井、内藤、梅田、村尾、今野)まで。

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      <上海のレストランで>              <右は 万里の長城>

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                   Greg さんの授業―6(停車場で)その2     

                  奥野照夫

ハーンの「停車場で」を読んでいる時、新聞で荻野

アンナさん(作家)の記事を見つけてこれを教材にした。

内容は、日本の刑務所で、受刑者が支給された鼻紙を人にやったということで、懲罰

を受けた、というもの。「えっ!なんでそんな事で・・」というが、“刑務所のような世

界では、例え鼻紙のようなものでも、他人に譲ることを許せば、結局強いものの元に、

総ての物が集まってしまいかねない。受刑者一人一人の権利を守るためにも、このよう

な行為は許してはならない”というのが懲罰の理由だという。アンナさんは、飛行機で

NGO の理事長と乗合わせたが、この記事を見た彼は「各国を視察しているが、フラン

スの刑務所の、薬と暴力に荒みきった日常にはびっくりする。それだけに受刑者の人権

を守ろうとしている日本の刑務所は、素晴らしい。世界の刑務所のいずれかに収容され

るとしたら、私なら日本を選びますね」と言ったという。

Greg さんに「日本では、罪の償いをさせて、なんとかまともな人間に戻してやろう、

という姿勢がある。だから社会復帰に備え、いろいろ技術を身に付けさせるし、看守も

丸腰で対応しているようだが・・。アメリカではどうかね?」と聞くと「いや、とんで

もない、考えられない。アメリカの看守は囚人の人質になる恐れがあるから、絶対直接

接触しようとしない、放任している。囚人たちはすることが無いから、中は彼らの世界

だ。暴力や麻薬がはびこる。余計悪くなって出てくる、悪くすれば殺される。」

刑罰のシステムとは、基本的には矯正から更生という思想があるはずだが、その機能

は働かず、社会から一時的に隔離するだけというところが多いようだ。日本では、ハー

ンの「停車場で」の話にもあるような矯正という思想が未だ機能している。アンナさん

は「グローバルスタンダードとはアメリカ流の押し付けの代名詞だが“断罪より更生”

という日本の思想は世界に誇れる。日本流のグローバルスタンダードを発信したいと、

理事長は目を輝かせた」という言葉で記事を締めくくっている。

しかし現実に目を向ける時、この頃の日本の犯罪の凶悪化には心が冷える。人を人と

して扱った時代の日本は何処へいってしまったんだろう。未だ上のような話が聞かれる

間に、なんとかしなければ、それこそ取り返しがつかなくなるように思う。裁判員制度

の導入も予定されているが、こんな形で文化が外国化、変質していくのはごめんだ。 ~平成十五年七月十八日(金)の授業より~(Greg さんは帰国前、熊本旅行をしている)

(Greg さんシリーズはこれで終わります。この後は、日本語の変遷、文字の導入から「書き言

葉」の成立について書いてみたいと思います。)              以  上

           

日本文化探

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    「外来語」と「和語・漢語」のペア

                                   小池平二

 学習者との対話を通じて、よく質問を受ける同意語を集めて、区分して見ました。

 ただ、「言葉の言い換えだけで、対比する言葉は全部同じです。」と言える場合もあるし、そう

でない場合もあります。日本語で「氷」は英語で言えば、たしかに「アイス」となりますが、

言葉はそれぞれに進化して行きますので、普通に「アイス」と聞けば、何か口にできる氷果製品

を思い浮かべます。一方、「氷」と聞くと、南極の氷原の氷か、水割りの「氷塊」、または冬の季

節の「氷の張った」場面を思い起こすのではないでしょうか。一度、深く考えて見るのもいいで

しょう。新発見があるかも知れません。

 (初級段階の場合)

 アイスと氷          カットと切る      カレンダーとこよみ

 キャンセルと取り消し     ショックと衝撃打撃   スーツと背広

 スケジュールと日程      スタートと出発・開始  スピードと速度

 チェックと確認、照合     チケットと切符     トイレとお手洗い

 トラブルともめごと      バスルームと風呂    プリントと印刷、刷る

 プレゼントと贈り物・おみやげ ポストと郵便箱     ライスとご飯

 リストと名簿         レシートと受け取り、領収書

 (中級段階の場合)

 アドバイスと助言、忠告      イベントと行事、催し、催し物

 インフルエンザと風邪(感冒)流行性感冒(流感)

 エコノミーと経済          エチケットと礼儀

 ガイドブックと旅行案内書      カルチャーと文化

 キャッシュと現金          グラスとさかずき

 クリアすると乗り越える       コック、シェフと板前、調理師

 コマーシャルと広告         コミュニケーションと伝達

 コンセント、プラグと差し込み    シートと座席

 ステップと段階           ダブると重複する

 トップと先頭            バランスと釣り合い、均衡

 ボックスと箱            ボランティアと奉仕

 マスターと店主           マナーと礼儀

 メッセージと伝言          リラックスするとくつろぐ、憩う

 ルールと決まり、規則        レートと比率、相場     <以上>

                     

にほんご道場

ニッタヤさん

黒部ダム

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===お知らせ===

 <日本語教室> 9月11日(日) ボランティア・しみん かつどう センター

(“クスクスだより” だい13ごう はっこう)

9月13日(火) あくたがわ こうみんかん

9月18日(日) ボランティア・しみん かつどう センター

9月20日(火) あくたがわ こうみんかん

9月27日(火) あくたがわ こうみんかん

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

10月 2日(日) そうごう しみん こうりゅう センター

10月 4日(火) あくたがわ こうみんかん

10月 9日(日) そうごう しみん こうりゅう センター

        (“クスクスだより” だい14ごう はっこう)

10月11日(火) あくたがわ こうみんかん

10月16日(日) そうごう しみん こうりゅう センター

10月18日(火) あくたがわ こうみんかん

10月25日(火) あくたがわ こうみんかん

  *10月は、ボランティア・しみん かつどう センターでは、

        べんきょうすることができません。

<交流会・その他>9月11日(火) 会員ミーティング

       (ボランティア・市民活動センター 12時30分~)             

      

 今月号が2年目の第一歩となります。手元にある12冊の新聞を見

て忘れていたことが鮮明によみがえってきます。やった行事、帰国さ

れた学習者、今はお休みの会員さんの お顔と同時に、創刊するにあ

たって頭に考え、心に思っていた様々なことが・・・。

最初に城島代表から『多くの方に愛され、読まれ、“クスクス”ならではの新聞を期待しま

す』とお言葉をいただいています。今改めて反省をし、その意味の深さを感じています。

原稿をお願いするときによく「どなたを対象に書けばよいのですか」と訊ねられます。日

本語を学びに来られている外国人と教える日本人会員さんの両方が読者なのです。日本語初

心者と日本人の中でも言葉にこだわりを持つ人々!というわけで非常に難しく苦労のあると

ころです。まさにサラダボールのように種々雑多な原稿で何でもありの中身です。

 私たちのグループの特色ですが、いろんな国、いろんな世代、いろんな経歴の人が集まっ

ています。 お国柄や個性という一人一人の持ち味を損ねることなくお届けできたらと思っ

ています。『楽しく学んで、得た知識でより心がつながって、さらに深いことを学び視野を広

げる』・・これは若い編集委員の言葉ですがお互いが切磋琢磨して一人一人がそしてグループ

としても成長できたらと願っています。ふれあいの場、学びの場として「クスクスだより」

をこれからもご活用、ご愛読していただきたいと思います。      青合 記

新会員の紹介(3名)

 水谷久司さん(日吉台)

 久米洋平さん(安岡寺町)

 新田 光さん(南平台)