社会実装に向けて リモートセンシングに期待すること€¦ · 2015年10月22...

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東京大学名誉教授 安岡善文 リモート・センシング技術センター 設立40周年記念講演会 2015年10月22日 社会実装に向けて リモートセンシングに期待すること

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東京大学名誉教授

安岡善文

リモート・センシング技術センター 設立40周年記念講演会

2015年10月22日

社会実装に向けて リモートセンシングに期待すること

Page 2: 社会実装に向けて リモートセンシングに期待すること€¦ · 2015年10月22 日 社会実装に ... 2)の月平均値の推移 2009/06 2012/09 (tanso-fts swir

北米とオーストラリアにおける二酸化炭素 カラム平均濃度(XCO2)の月平均値の推移

2009/06 2012/09

(TANSO-FTS SWIR Level 2 (Ver.02.**)

NIES, JAXA, MOE 国立環境研究所 横田博士

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緩和策 適応策

観測から対策までのサイクル

観測調査

データ 情報 インテリジェンス (推論)

モデル化 シミュレーション (予測・評価)

施策

効果

評価 制御 管理

対象を 対策を 対象を

戦略

対策立案

最適化

効果の観測

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緩和策 適応策

観測から対策までのサイクル

観測調査

データ 情報 インテリジェンス (推論)

モデル化 シミュレーション (予測・評価)

施策

効果

評価 制御 管理

対象を 対策を 対象を

戦略

対策立案

最適化

いぶき

効果の観測

いぶき

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科学技術における幾つかの流れ

☆ 社会的課題解決への要請

社会実装、政策実装、トランスディシプリナリ

☆ 国際的な連携の推進

地球規模課題の解決

☆ イノベーション推進

☆ 日本の強みの強化

日本の地球観測センサには貢献できるものが多い

TRMM, GPM, AMSR, GOSAT, ALOS, ・・・

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☆ 地球環境はどう変わっているか?

☆ 地球を持続可能にするためには?

☆ リモートセンシングの役割は?

今日の話題

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人間と自然の相互作用

自然

大気圏

水圏

陸圏

生物圏

持続型 循環

人間 人間・社会(影響)

エネルギー

資源

(生産活動)

利用 廃棄

資源枯渇

地球表面改変

自然への影響

負の影響を減らして持続型循環を実現するには 計測、プロセス解明、モデル化、評価、対策立案

負の影響

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スーパーコンピュータを用いた将来の気候変化予測の結果

文部科学省「人・自然・地球共生プロジェクト」

気候変動将来予測 (NIES-CCSR-FRCGCモデル)

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30℃ 以上の日数 (100kmx100km グリッド)

NIES-CCRS/UT-FRSGC K-1, A1B

日本における真夏日日数の予測

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北極海における海氷面積の減少(1978-現在)

AMSRシリーズの貢献

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持続可能にするための3つのサイクル

☆ 環境を知る

・・・事象のサイクル

☆ 因果を知る

・・・因果のサイクル

☆ 課題を解決する

・・・行動のサイクル

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温暖化問題における因果サイクル(D-P-S-I-R)

人間活動

駆動力(D)

気温

状態(S)

圧力(P) CO2

対策(R)

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真夏日日数

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豪雨日

影響(I)

CCSR/NIES/JAMSTECモデル

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サイクルを廻すには?

計測調査

データ 情報

インテリジェンス

戦略

最適化・効率化 モデル化 シミュレーション (予測・評価)

施策

制御管理

効果

自分の位置確認と、サイクルへの繫ぎ

強みの確認による サイクルの強化

分析から設計へ の意識

複数施策候補からの適性選択

施策からのバックキャスト

境界条件の確認 空間、時間スケール

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☆ リモートセンシングが有利なことは多い

特に、データインフラの弱い国々では

☆ 日本のような完成された社会の仕組みや

ルールが世界標準になるわけではない

特に、リープフロッグアプローチが必要

な国々では

リモートセンシングの役割

RSの強みを生かす、特に、日本の強みは?

RSを世界に展開するには?

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宇宙を活用した地球観測の特性

☆ 広域性 地域から地球までをカバー ☆ 同報性 迅速・広範な情報発信 ☆ 耐災害性 自動・継続性の担保 ☆ 公平性・透明性・平等性 世界標準・国際認証のデータ作成

宇宙政策セミナー(2015/2/17)資料より

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リモートセンシングと社会との関わり

☆ リモートセンシングと法律

☆ リモートセンシングと政策

☆ リモートセンシングと社会

科学技術が社会に対して責任を取らなければ

ならなくなってきた

宇宙法、特に、リモートセンシング法

「政策のための科学」、

「科学技術イノベーション政策のための科学」

科学技術の社会実装

・・・Future Earth、SATREPSなど

平成27年日本リモートセンシング学会春季大会資料より

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日本の衛星最前線(環境観測)

☆ いぶき(GOSAT:2009 ~ ) 温室効果ガスを観測(CO2、CH4)

☆ TRMM/PR(1997-2014年) 降雨強度を観測(分解能4.3km、観測幅215km)

GPM/DPR(2014年~) 降雨・降雪強度を観測(分解能250m、観測幅125km;

Kaバンド 35.55GHz)

☆ しずく(GCOM-W)/AMSR-2(2012年~)

海面水温、海上風、水蒸気量、積雪深、海氷密度等を観測

(分解能 3km-35km(観測周波数による)、観測幅1450km)

・・・ハイパースペクトル

・・・マイクロ波

・・・マイクロ波

・・・マイクロ波

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日本の強み(シーズ)と社会的課題(ニーズ)の邂逅

日本の強み ☆ いぶき(GOSAT:2009 ~ ) 温室効果ガスを観測(CO2、CH4)

☆ TRMM/PR(1997-2014年) 降雨強度を観測(分解能4.3km、観測幅215km)

GPM/DPR(2014年~) 降雨・降雪強度を観測(分解能250m、観測幅125km; Kaバンド 35.55GHz)

☆ しずく(GCOM-W)/AMSR-2(2012年~) 海面水温、海上風、水蒸気量、積雪深、海氷密度等を観測 (分解能 3km-35km(観測周波数による)、観測幅1450km)

温暖化 旱魃・豪雨防災 北極海

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社会的課題の解決に向けた学会等の動き

@ 地球観測利用戦略コミュニティ委員会 (RESTEC ← 文科省) @ タスクフォース会合・リモートセンシング分科会 (27学会の連合体)

右手;日本の強み 左手;社会的課題の解決

両手で握手

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社会的課題の解決に向けた学会等の動き

5分科会

☆エネルギー

☆食糧

☆水資源

☆社会基盤(インフラ)

☆気候・環境・気象

@ 地球観測利用戦略コミュニティ委員会 (事務局;RESTEC)

持続可能(“再生可能“)に向けた管理

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まとめ

☆ 社会が何を期待しているかを探る

☆ 課題解決に向けた方法論、道筋を探る

☆ 常に新しい方法論を磨く

その中でリモートセンシングの役割を位置づける

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リモートセンシングの歴史

1800 1900 2000

ティンダル

大気に赤外線を吸収する気体がある

1861

アレニウス

(大気中のCO2は気温上昇を引起こす)

1896

キーリング

(マウナロア、南極でCO2

観測開始)

1957

気候変動

枠組条約

1992

地球温暖化

リモートセンシング

1858

ナダル

気球からパリの街を撮影

1957

スプートニク-1

1972

LANDSAT-1

1987

MOS-1

1903

ライト兄弟

航空機