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笑顔いっぱい NPO法人 日本ティーボール協会編 水島新司

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笑顔いっぱい

ティーボール

第16回日本ティーボールセミナー資料

後援:文部科学省・厚生労働省

―小学3・4年生と5・6年生の学習指導案―

NPO法人 日本ティーボール協会編

第16回日本ティーボールセミナー資料

後援:文部科学省・厚生労働省

違水島新司

「笑顔いっぱいティーボールの教材を作る会」

表 紙

水島 新司 (協会顧問)

会 員

一之瀬 貴 (早稲田総研イニシアティブ・医学博士)

石田 一元 (山梨県甲府市立貢川小学校教諭)

内田 圭志 (石川県白山市立千代野小学校教諭)

加藤 明広 (千葉県印西市立大森小学校教諭)

久保寺 千広 (神奈川県南足柄市立岡本小学校教諭)

友添 秀則 (早稲田大学スポーツ科学部教授)

吉田 貴史 (福島県福島市立福島第二小学校教諭)

吉永 武史 (早稲田大学スポーツ科学部専任講師)

吉村 正 (早稲田大学人間科学部教授)

頼住 道夫 (神奈川県厚木市立東名中学校校長)

協 力

荒川 博 (協会副会長)

岩浪 文明 (協会専務理事)

山縣 俊明 (協会常務理事)

熊沢 誠二 (東京都東村山市久米川東小学校校長)

早稲田大学ソフトボール部

イラスト

錦織 砂緒里

2009年3月20日発行

NPO 法人日本ティーボール協会ホームページ

http://www.teeball.com/

非売品

お問い合わせはNPO法人日本ティーボール協会事務局まで

〒157-0066 東京都世田谷区成城2-40-5 ヴェルドミール成城605

TEL. 03-3749-0228 FAX. 03-3415-6768

はじめに

-ティーボールの生い立ちと魅力-

ティーボールは、投手のいない野球、ソフトボールです。したがって、そのゲームは、打者が本

塁プレートの後方に置いたバッティングティーにボールを載せ、そのボールを打者が打つことによ

って始まります。

打者は止まっているボールを90度のフェア地域に打つため、空振りやファウルはほとんどなく、

打球は内野手や外野手方向へ頻繁に飛び、短時間(1ゲーム約 30 分)で全員が運動の基本的な動作

である「打つ、捕る、投げる、走る」を楽しく学習できます。

ティーボールの広がりに関しては、世界で 3 つの大きな流れがあります。1 つはオーストラリア

とニュージーランド、2 つはアメリカやカナダ、3つは日本を中心としたアジアでの広がりです。

オーストラリアとニュージーランドでは、1980 年頃からソフトボールやベースボール、更にはク

リケットの入門期の6歳から12歳の子供たちを対象として、各地の小学校でプレーされています。

アメリカやカナダの北米、そして中南米では、1988 年国際野球連盟(IBA)と国際ソフトボール

協会(ISF)が協力して、6歳・7歳・8歳(7月 31 日生まれまで)の子供たちを対象としたティー

ボールのルールを成文化しました。

我が国においては、1977 年(昭和 52 年)に小・中学校および高等学校からソフトボール(ベー

スボール型球技)が学習指導要領から外れたのを機会に創設された「大学スローピッチソフトボー

ル研究会」(会長 吉村正)が中心となって、1993 年 11 月、「日本ティーボール協会」(会長 海部俊

樹)を発足させました。これは、健康医学、スポーツ科学、野球、ソフトボール、ゴルフ等の研究

者や指導者が協力して組織されたものでした。

日本ティーボール協会は、「すべての人にベースボール型球技を」を合い言葉に、アメリカやオ

ーストラリアのティーボールを参考に、小学生のみならず、女性や中高年、障がいのある人たちを

も対象としたボールやバットを作り、更には新しいルールを考案し、プレーする人たち全員が気持

ちのいい汗をかき、笑顔が出る日本式ティーボールのゲームを作り上げました。

また、近年、ティーボールはクリケットやラウンダースの前段階の球技として、イギリスを中心

にそれらの球技を愛する国々でも広がりをみせています。

この冊子は、「笑顔いっぱいティーボールの教材を作る会」のメンバーが、議論と実践、合宿や

ミーティングを重ねて作成したものです。日本全国の小学校のみならず、アジア、ヨーロッパ、ア

フリカの各国にも広がることを夢みて、全力投球したものです。

この冊子が、小学生を指導される先生方や地域の指導者の方々に役立てば幸甚です。

2009 年 3月 NPO 法人日本ティーボール協会

会 長 海部 俊樹(元内閣総理大臣)

理事長 吉村 正 (早稲田大学教授)

1

ティーボールの指導計画(3・4年生)

1 2 3 4 5 6 7

・打つ、捕る、投げる、走るなどの基礎技術を身に付ける。

・ルールを工夫した易しいティーボールを楽しむ。

0 ○集合、整列、あいさつ

○オリエンテーション ○学習内容の確認

単元の目標 ○準備運動ならびに基礎練習

学習の進め方 キャッチボール

チーム編成 ベースランニング競走

10 ○準備運動 ○課題練習

ジャストミートプレー

○基礎練習の説明 ホームラン競争

◆児童の実態や学習環境に応じて、いずれかの課題練習を選択する。

25 ○メインゲームの説明 ○メインゲーム

どか点ゲーム、三角ベースティーボール、ティーボール

○試しのゲーム ◆児童の実態に応じて、いずれかのゲームを選択する。

◆「どか点ゲーム」を三角ベースで実施するなどの工夫を行うことも可。

45 ○まとめ、整理運動

学習指導過程・時間配分

(

目安

)

時数

単元目標

ティーボールの指導計画(5・6年生)

1 2 3 4 5 6 7

・打つ、捕る、投げるなどの基礎技能を高め、ゲームで生かせるようにする。

・チームの特徴に応じた作戦を立て、ゲームで実行する。

0 ○集合、整列、あいさつ

○オリエンテーション ○学習内容の確認

単元の目標 ○準備運動ならびに基礎練習

学習の進め方 キャッチボール、一列キャッチボール

チーム編成 ベースランニング競走

ジャストミートプレー

○準備運動 ◆いずれかの練習を選択する。 「ジャストミートプレー」については、3・4年生で

ベースボール型が未経験の場合は、課題練習の代わりに実施しても可。

10 ○基礎練習の説明 ○課題練習 ○課題練習

メジャーリーグゲーム メジャーリーグゲーム

○メインゲームの説明 ローテーションゲーム カットインメジャーリーグゲーム

◆児童の実態や学習環境に応じて、いずれかのゲームを選択する。

○試しのゲーム ○作戦タイム

25 ○メインゲーム

ティーボール

◆3・4年生でベースボール型ゲームが未経験の場合は、「どか点ゲーム」でも可。

◆2・3・4時間目は「どか点ゲーム」、5・6・7時間目は「ティーボール」でも可。

◆2・3・4時間目は基本学習として「メジャーリーグゲーム」、5・6・7時間目は

発展学習として「ティーボール」でも可。

45 ○まとめ、整理運動

学習指導過程・時間配分

(

目安

)

時数

単元目標

2

【方法】

○二人一組となり、1人がボールを投げ、他の1人がボールを捕る。

○最初は下手から山なりのボールを5球から10球投げ合う。

○次に、上手から山なりのボールを5球から10球投げ合う。

○その後、ワンバウンドやゴロのキャッチボールを行う。

【用具】

11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクールボール。

【指導のポイント】

○ボールの握り方、投げ方、および捕り方は上のイラストを参考にさせる。

○投げる人には、相手が捕れるところに易しく投げるよう指導する。

○捕る人には、ボールの正面で、両手で捕るよう指導する。

キャッチボール(スロー&キャッチ)

3

二人一組となり、 ノーバウンドやゴロを投げ合う。上手投げ

下手投げ

ゴロの捕り方フライの捕り方

ボールの握り方

【方法】

○8名は、Aグループ①、②、③、④とBグループ⑤、⑥、⑦、⑧に分かれる。

○AグループとBグループは一列に相対する。

○まず、①が⑤にボールを投げる。

○①はボールを投げた後、図のように、⑧の後方に回る。

暴投したときは送球者がそれを取りに行く。

○次に、⑤は②にボールを投げる。

○これを繰り返す。

【用具】

11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクールボール。

【指導のポイント】

○投げる人には、相手の胸を目がけて丁寧にボールを投げるよう指導する。

○暴投したら、全力でボールを取りに行くよう指導する。

○捕る人には、フットワークを上手に使い、正面でボールを捕るよう指導する。

○列の後方に回ったとき、前の人のプレーをよく見て、自分のプレーの参考にさせる。

○②③④、⑥⑦⑧は、次のプレーに備えて足踏みするよう指導する。

一列キャッチボール(8名)

4

投げる人は、 下手投げでも、 上手投げでもよい。

A グループ

Bグループ①

③④

⑤ ⑥ ⑦ ⑧

【方法】

○6名は、攻撃側3名と守備側3名に分かれる。

○攻撃側は、打者、次打者、3番打者兼ボールキーパーとなる。

○守備側は、内野手A、B、Cが一列となる。

○打者と内野手の距離は10~15mとする。

○打者は、自分でバッティングティーの上にボールを載せ、内野手Aに向かって打つ。

○内野手Aは、打球を捕り、3番打者兼ボールキーパーに送球する。

○攻撃側は、打者→3番打者兼ボールキーパー→次打者→打者の順でローテーションする。

○守備側は、内野手A→B→C→Aの順でプレーする。

○攻撃側の3名がそれぞれ3回打ったら、攻守交代する。

【用具】

バッティングティーまたはコーン、11・12インチティーボール(ウレタン製)、

14インチスクールボール、バット(ウレタン製)。

【指導のポイント】

○打者は打つ前に「 くよ」と言い、守備者は「いいよ」と応えるよう指導する(6、7、8、9、10

ページのゲームも同様)。

○打者には、バットに当たる瞬間までボールをよく見て打つよう指導する。

○内野手には、打球の正面に入り、両手で捕るよう指導する。

○強打者のとき、内野手には更に後方で守備するよう指導する。

ジャストミートプレー(6名) ~狙いどおり打とう!~

5

内野手

ABC

送球後、内野手Cの後方に回る

内野手C

内野手B

内野手A

(打球を捕り、 ボールキーパーに送球する)

3番打者兼ボールキーパー

(内野手からの送球を捕る)

打者

(内野手Aに向かって正確に打つ)

次打者

(ボールを 1 個持って打者の準備をする)

【方法】

○6名は、打者、次打者、3番打者兼ボールキーパー、内野手A、B、および外野手となる。

○打者からホームランライン(校庭)あるいは壁(体育館)までの距離は20m前後とする。打者

から内野手までの距離は10m、打者から外野手まで距離は17~18mとする。

○打者は、ホームランラインあるいは壁に向かって思い切り打つ。

○打球が内野手AかBに捕られるか、止められるかすると1点、外野手に捕られるか、止められ

るかすると2点、ホームランラインを越える(壁に当たる)と3点とする。

○打者が打ち終えたら、打者→内野手A→外野手→内野手B→3番打者兼ボールキーパー→

次打者→打者の順でローテーションする(ジャストミートプレーのときのローテーションも可)。

○3回ローテーションして個人の得点を競い合う(ジャストミートプレーのローテーションで行うと

きは3名の合計点で勝敗を決める)。

【用具】

バッティングティーまたはコーン、11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチ

スクールボール、バット(ウレタン製)。

【指導のポイント】

○打者には、バットを水平に振らせ、ジャストミートするよう指導する。

○安全面を考慮して、打者が打ち終えたら、バットを次打者に渡すよう指導する。

ローテーションゲーム(6名) ~強く打とう!~

6

内野手

A B

外野手 ホームランライン (壁)

【方法】

○10名は、攻撃側5名と守備側5名に分かれる。

○攻撃側は、打者①、②、③、④、⑤の順で、できるだけ遠くへフライやライナーを打つ。

○フライ(ライナーを含む)が10mまでだと1点、10mから20mまでは2点、20mから30mま

では3点、それ以上はホームランで4点とする。

○守備側は、図のように、守備者Aが10m、Bが20m、Cが30m、DとEが30mから40mの位

置で打球を見守り、ノーバウンドは捕球せず、ワンバウンドかゴロでボールを捕り、その後、

攻撃側に送球する。ただし、D、Eは、4点ゾーンの中でのみ、ノーバウンドで捕球しても構わ

ない。

○攻撃側の5名が打ち終えたら、攻守交代する。

○5名の合計点でチームの勝敗を決める。

【用具】

バッティングティーまたはコーン、11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクー

ルボール、バット(ウレタン製)。

【指導のポイント】

○打者には、バットを思い切り振らせ、ボールをできるだけ遠くへ飛ばすよう指導する。

○お互い声をかけ合い、楽しくプレーする。

ホームラン競争(10名) ~遠くへ飛ばそう!~

7

A

B

C

D E

② ③ ④ ⑤

1点

2点

3点

4点

10m

20m

30m

②③④⑤は、打者の後方でプレーに参加する。(危険防止のため)

【方法】

○塁間は14~16mとする。

○2チームは本塁スタートと2塁スタートに分かれ、ダイヤモンドを1人1周のリレーをする。

○バトンの代わりにボールを使用する。

○ダイヤモンドの中央(バッティングティー)の横にいる人(先生または児童)がボールを上空に

げ、ボールがグラウンドに落ちたとき、両チームの第1走者がスタートする。

○最終走者が1周して、ダイヤモンド中央にあるバッティングティーの上にボールを載せたチー

ムを勝利とする。

【用具】

バッティングティー、11・12インチティーボール(バトンの代わりとして)、本塁プレート1枚、

塁ベース3枚。

【指導のポイント】

○塁ベースを回るとき、塁ベース上を直角に曲がるのではなく、スピードを落とさないようにふく

らんで走るよう指導する。

○塁ベースはしっかりと踏んでいくよう指導する。

○バトンの代わりのボールを次の走者にしっかりと渡すよう指導する。

ベースランニング競走(12 名以上)

8

【方法】

○6名は、攻撃側3名と守備側3名に分かれる。

○守備者は、図のように、A、B、Cに分かれる。

○打者は、守備者AかBに向かって力強く打つ。守備者AかBは、ボールを捕り、ベース代

わりのフラフープ内にいる守備者Cにボールを投げる。守備者Cが、両足または片足を

フラフープ内に入れてそのボールを捕ったときのみアウトとする。フラフープ外で捕球し

たときや落球したときはセーフとする。尚、返球は何回バウンドしても構わない。

○打者がセーフになったら、1点とする。

○3名全員が打ち終えたら、攻守交代する(3アウトで攻守交代も可)。

※その他アウトになるとき(打者が守備者のいる方向に打たなかったとき、守備者が打球

をノーバウンドで捕ったとき)。

【用具】

バッティングティー、11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクールボール、

バット(ウレタン製)、フラフープ。

【指導のポイント】

○投げる能力が高まってきたら、守備者AかBからの返球を守備者Cがノーバウンド、ある

いはワンバウンドで捕ったらアウトというルールにする。

○6ヵ所(36人学級)前後で行うので、バッティングティーの間隔を十分とるよう配慮する。

メジャーリーグゲーム(6名)

ミッキー・マントル(元ニューヨーク・ヤン

キース)たちが幼少時代にやっていたこ

とからこの名前がつけられた。

9

A B

C

アウトゾーン

アウトゾーン

打者は守備者のいない方向

へ打つとアウトになる。

フラフープ

【方法】

○メジャーリーグゲームに中継プレーを入れたゲームである。

○8名は、攻撃側4名と守備側4名に分かれる。

○守備者は、図のように、守備者A、B、C、Dに分かれる。

○打者は、守備者A、B、Cがいる方向に強く打つ。守備者Aがボールを捕ったら、中継プレー

(守備者B C)を使ってフラフープの中にいる守備者Dまでボールを返す。守備者間は、ノー

バウンド、あるいはワンバウンドでボールを返すことができればアウトとする。

○打者の打撃力が弱い場合、守備者B・C(内野手)はさらに前進して守備する。

○4名全員が打ち終えたら、攻守交代する。または、3アウトで攻守交代する。

※その他アウトになる場合(守備者がいる方向に打たなかったとき、守備者が打球をノー

バウンドで捕ったとき)。

【用具】

バッティングティー、11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクールボール、

バット(ウレタン製)、フラフープ。

【指導のポイント】

○中継プレーでは、守備者に正確に送球するよう指導する。

○各自の投げる能力を考慮して、中継プレーの位置を決めるよう指導する。

○3アウトで攻守交代する場合は、攻撃側と守備側の戦力を均等化する。

カットインメジャーリーグゲーム(8名)

10

A

BC

D

アウトゾーン

アウトゾーン

フラフープ

【方法】

○打者は、思い切りボールを打つ。

○打球を捕った守備者は、本塁手に送球し、本塁手が本塁プレートを踏むまでに打者走者が

到達した塁ベースの数を得点とする(1塁を踏んだら1点、2塁で2点、3塁で3点、ホームラン

なら4点)。したがって、走者は残らない。尚、本塁手に送球するとき、守備者から他の守備者

にボールを中継しても構わない。

○守備者が打球をノーバウンドで捕ると、打者はアウトで、得点は0点である。

○打者一巡で攻守交代する。

【用具】

バッティングティー、11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクールボール、

バット(ウレタン製)、本塁プレート1枚、塁ベース3枚、コーンまたはフラフープ、得点板。

【指導のポイント】

○打者は打つ前に「いくよ」と言い、守備者は「いいよ」と応える。

○チームワークを高めるため、味方の打者走者が塁ベースを踏むとき、攻撃側全員に「1点」、

「2点」、「3点」、「4点」と声を出させる。

○本塁手が守備者からの送球を捕って本塁プレートを踏んだとき、「ストップ」と声を出させる。

そのときの走者の位置を確認し、得点を決定する。

○ルールを工夫してプレーする。

例: 2周目も走れる(1打席につき8点まで得点できる)。

体育館でプレーする場合、ボールが壁に直接当たったときもプレーを続行する。

沢山(どかっと)点が入ることから

この名前がつけられた。

どか点ゲーム

三角ベース(12名)、四角ベース(14~20名)

11

【方法】

≪ゲーム≫

○1チームは6名とし、攻撃側の全員が打ち終えたら、攻守交代する。

○本塁プレートから開く角度は60°とし、本塁と塁ベースの間は12~14mとする。

○塁に走者が残ったときは次の回に受け継ぐ。最終回は残さない。

○回数は2回か3回とする。

≪打者≫

○打者がアウトになるとき

・打者走者が1塁ベースに達する前に1塁手がボールを保持して1塁ベースを踏んだとき。

・守備者が打球をノーバウンドで捕ったとき(学年や技術レベルによって、ワンバウンドでも可)。

○他のルールに関しては、ティーボール競技規則 4.打撃規定参照(18ページ)。

≪走者≫

○打者は打ったら打者走者となり、原則としてバットをコーンまたはフラフープの中に置き(打者

がバットを投げないようにするため)、1塁、2塁、本塁の順に走る。

○他のルールに関しては、ティーボール競技規則 5.走塁規定参照(18・19ページ)。

【用具】

バッティングティー、11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクールボール、

バット(ウレタン製)、本塁プレート1枚、塁ベース2枚、バットを置くためのコーンまたは

フラフープ。

三角ベースティーボール(12名)

12

フラフープ

フラフープを置き、 打者がバットを投げないようにする。

【方法】

≪ゲーム≫

○1チームは原則として10名とする(11~15名でも可、11名以上の人は打つだけのエキ

ストラヒッターとなる)。

○2チームが攻撃側と守備側に分かれ、攻撃側の全打者が打ち終えたら、攻守交代する。

○打者は打ったら打者走者となり、1塁、2塁、3塁、本塁の順に走る。

○塁に走者が残ったとき、次の回に受け継ぐ。最終回は残さない。

○回数は2回か3回とする。

○他のルールに関しては、ティーボール競技規則を参照(18・19ページ)。

【用具】

バッティングティー、11・12インチティーボール(ウレタン製)、14インチスクールボール、

バット(ウレタン製)、本塁プレート1枚、塁ベース3枚。

*安全面を考慮して、バットを置くためのコーンまたはフラフープの利用も可。

ティーボール(20~30名)

13

危険(バットがらみの事故)防止のため、攻撃側の選手

は、本塁手後方で図のようにプレーに参加する。

試合終了後は、全員並んでお礼の握手をする。

学習指導案(3・4年生対象)

≪ねらい≫

バッティングのときの立つ位置について知り、易しいゲームで強い打球を飛ばすことができるようにする。

また、ゲームの規則を守り、互いに協力してゲームを行い、勝敗を素直に認めることができるようにする。

時間 学習活動 指導上の留意点

5分

5分

10分

20分

5分

1.学習内容を確認する。

「バッティングのときの立つ位置を考える」

2.準備運動および基礎練習を行う。

・ストレッチ

・キャッチボール

3.ジャストミートプレーを行う。

・ボールをよく見て、守備者の正面に打つ。

4.どか点ゲームを行う。

5.学習のまとめを行う。

・整理運動を行う。

・バッティングのときの立つ位置について確認する。

「バッティングのときは、バッティングティーの後ろに(本塁手

の方に下がって)立つこと」を知る。

・次時の課題について確認する。

・「強い打球を飛ばすためにはどの

位置(①~③)に立つのが良いだろ

うか?」と発問する。

①バッティングティーの前(×)

②バッティングティーの横(×)

③バッティングティーの後(○)

・ノーバウンド、ゴロ、フライなどのキ

ャッチボールを取り入れ、投げた

り、捕ったりすることに慣れさせる。

・ボールを体の正面で捕らせる。

・バッティングのときの立つ位置を

工夫しながら行わせる。

・バットを力強く、水平に振らせる。

・打つ瞬間までボールをしっかりと見

させる。

・ボールをフェアグラウンド内に打っ

たら、塁ベースに向かって全力で

走り、塁ベースをしっかりと踏ませ

る。

・ゲームを通して審判の仕方(セーフ

かアウトの判定やフェアボールかフ

ァウルボールの判定)を学習させ

る。

・互いに声をかけ合うよう促す。

・使った部位をほぐすようにストレッ

チを行わせる。

・「①~③のどの位置が一番強い打

球を飛ばすことができたか?」を再

び問いかける。

・課題を明確にさせ、次時の学習へ

とつなげる。

14

学習指導案(3・4年生対象)

≪ねらい≫

バットを思い切り振って、ボールをできるだけ遠くに飛ばすことができるようにする。また、ルールを工夫

した易しいゲームを、友達同士で声をかけ合いながら楽しく行うことができるようにする。

時間 学習活動 指導上の留意点

2分

8分

10分

20分

5分

1.学習内容を確認する。

「バットを思い切り振って、ボールを遠くに飛ばす」

2.準備運動および基礎練習を行う。

・ストレッチ

・キャッチボール

・ベースランニング競走

3.ホームラン競争を行う。

4.三角ベースティーボールを行う。

5.学習のまとめを行う。

・整理運動を行う。

・チームとしてゲームを振り返る。

「たくさん点が取れたぞ」

「もっと遠くに打ちたいな」

「守備をすると失点が少なくなるよ」

・次時の課題について確認する。

・ノーバウンド、ゴロ、フライなどキャ

ッチボールを取り入れ、投げたり、

捕ったりすることに慣れさせる。

・塁ベースをしっかりと踏ませる。

・バッティングティーのやや後ろ(本

塁手の方)に立たせる。

・スタンスは自分の肩幅かそれより

も少し広くして構えさせる。

・ボールを両目でしっかり見ながら打

たせる。

・友達のバッティングを見て、改善点

をアドバイスするよう促す。

・力強くバットを振り、フェアグラウン

ド内にボールを打たせるようにす

る。

・ボールの正面に移動して捕らせる

ようにする。

・打つことや守ることが楽しくなるよう

に、ナイスプレーには大きな声で称

賛する。

・チームワークを高めるために、アド

バイスや声かけをするよう促す。

・使った部位をほぐすようにストレッ

チを行わせる。

・学習カードを活用させ、本時の学

習を振り返らせる。

・個人やチームの課題を明確にさ

せ、次時の学習へとつなげる。

15

学習指導案(5・6年生対象)

≪ねらい≫

打つ、捕る、投げるなどの個人技能を高め、ゲームに生かせるようにする。また、友達同士で協力し合いな

がら練習やゲームを楽しく行うことができるようにする。

時間 学習活動 指導上の留意点

2分

10分

10分

20分

1.学習内容を確認する。

「確実なバッティングとキャッチングをティーボールで生かす」

2.各チームで準備運動および基礎練習を行う。

・ストレッチ ・キャッチボール

・ジャストミートプレー

3.ローテーションゲームを行う。

4.ティーボールを行う。

5.学習のまとめを行う。

・整理運動を行う。

・本時の学習を振り返る。

・次時の課題について確認する。

・前時の学習を振り返り、本時の学

習内容を確認させる。

・打者に対してはバットを水平に振

るように、守備者に対しては打球を

正面かつ両手で捕るように声をか

ける。

・打 つときは、ボールに当たるまで

目を離さず、力強く振るよう助言す

る。

・捕球のときは、ボールの正面に入

り、ボールが手に入るまでボール

から目を離さないよう助言する。

・投げるときは、踏み出し足のつま

先を相手にまっすぐ向けて投げる

よう助言する。

・ゲーム中のナイスプレーに対して

大きな声で称賛する。

・互いに励まし合い、協力し合いな

がらプレーするように声をかける。

・バットを放り投げないなど、安全に

留意させる。

・相手チームの良さを見つけ、それ

を自分のチームの参考にするよう

助言する。

・ゆっくりとクールダウンさせる。

・学習を振り返らせ、個人やチーム

の良かった点ならびに改善点を明

確にさせ、次時の学習へとつなげ

る。

3分

16

学習指導案(5・6年生対象)

≪ねらい≫

中継プレーなどの集団技能を高めたり、チームの特徴に応じた作戦を立てたりして、ゲームができるよう

にする。また、友達同士で助け合いながら、練習やゲームを楽しく行うことができるようにする。

時間 学習活動 指導上の留意点

2分

6分

10分

3分

20分

4分

1.学習内容を確認する。

「チームの特徴に応じた作戦を立て、ゲームで試してみる」

2.各チームで準備運動および基礎練習を行う。

・ストレッチ ・キャッチボール

・一列キャッチボール

3.カットインメジャーリーグゲームを行う。

4.作戦タイム

・攻めの作戦 → 例)空いているスペースに狙って打つ。

・守りの作戦 → 例)進塁されないように、中継を入れて

素早くボールを戻す。

5.ティーボールを行う。

6.学習のまとめを行う。

・整理運動を行う。

・チームとしてゲームを振り返る。

・次時の課題について確認する。

・前回の授業で考えた作戦を掲示し

ておく。

・打つ、投げる、捕る、走る運動に使

う部位を中心に行わせる。

・相手が捕りやすいところ(胸付近)

へ投げるよう指導する。

・各チームを巡回しながら、バッティ

ングのポイント(バッティングティー

のやや後ろに立つことやボールを

しっかりと見ること)やボールの捕

り方(ボールの正面に移動するこ

と)などについて助言をする。

・チームのメンバーでバッティングフ

ォームを確認し合い、改善点をア

ドバイスするよう促す。

・各チームを巡回しながら、有効な

作戦の立て方について助言する。

・チームの作戦を把握し、作戦を生

かしている児童やチームを称賛す

る。

・チームの応援を一生懸命にする児

童を称賛する。

・プレー中ボールから目を離さないこ

とや打った後にバットを放り投げな

いことなど、安全には十分留意させ

る。

・作戦がうまくいったかどうか評価さ

せる。

・作戦の成功例を発表させる。

・個人やチームの課題を明確にさ

せ、次時の学習へとつなげる。

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ティーボール競技規則 (抄)

1.施設と用具

①施設・使用球・使用バット・対象者

②バッターズサークル

本塁プレートの角を中心として半径3mの円を描く。打者はこのサークル内で打撃を行う。

③バッティングティー

バッティングティーは、本塁プレートの後方50㎝以上1m以内の間に置く。

2.競技者

①競技者の数

競技者は10名~15名とする。両チームの選手の数は同数でなければならない。

②競技者の名称と守備位置

守備者は10名である。10名の守備者は、本塁手(ホームベースマン)と、1 塁手(ファーストベー

スマン)、2塁手(セカンドベースマン)、3塁手(サードベースマン)、第 1 遊撃手(ファーストショー

トストップ)、第2遊撃手(セカンドショートストップ)の5人の内野手と、4人の外野手に分かれる。

外野手は、左翼手(レフトフィルダー)、左中堅手(レフトセンターフィルダー)、右中堅手(ライトセ

ンターフィルダー)、右翼手(ライトフィルダー)に分かれる。他の選手はエキストラヒッター(打つだ

けの選手)となる。

3.本塁手規程

本塁手は打者が打撃を完了するまでは、バッターズサークルの外にいなければならない。

4.打撃規程

①打者は審判が「プレイ」と宣告した後、バッティングティーに載せたボールを打つ。

②打撃時の軸足の移動は 1 歩までとする。2歩以上動かしたときは、ワンストライクが加えられる。

ツーストライク後からこれを行ったときは、打者は三振である。

③打者がボールを打たないで、バッティングティーだけを打ったときは、空振りでワンストライクが

加えられる。ツーストライクからこれを行ったときは、打者は三振である。

④ツーストライク後からのファウルは、打者アウトである。

5.走塁規程

①走者は打者が打った後、離塁することができる。走者の離塁が早いときは、走者は離塁アウト

になる。

場所 使用球 使用バット 塁間 対象者

14 インチスクールボール 14m 小学1~6年生

11 インチティーボール 14m 小学3・4年生 校庭

体育館

12 インチティーボール

表面ウレタンバット

14~16m 小学5・6年生

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②盗塁は認められない。

③スライディングは禁止する(行うと走者アウト)。走者の1塁、2塁、3塁での駆け抜けは認めら

れる(走者は塁ベースを駆け抜けた後、進塁の意思がない場合には野手にタッチされてもアウ

トにならない)。

6.正式試合

①2チームが攻撃と守備に分かれ、攻撃側の全打者が打撃を完了した時点で攻守を交代し、規定

の回数(イニング)を終えたとき、得点の多いチームが勝者となる。残塁の走者は次回に受け継

ぐ。最終回の残塁者はこの限りではない。

②球審によって、「プレーボール」が宣告されると、試合は開始される。

③フェアボールとファウルボールは、野球やソフトボールと同じであるが、バッターズサークルフェ

ア地域内のライン上で野手がボールに触れたり、ボールが止まったときはフェアボールとする。

7.得点

走者がその回終了までに、正しく1塁、2塁、3塁、本塁に触れた場合1点が記録される。

8.審判員

審判員は、2人制で行う。2人は球審と塁審(1 塁)に分かれる。

9.フェアボールとファウルボール

止まった位置

バウンドした位置

フェアボール

ファ ルボールウ

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審判法/審判のしかた

1.プレイボール(試合開始)

右手を頭のところまで

挙げる。

3.タイム(プレーの中断)

両手を開いて頭の斜め

上に挙げる。

5.ファウル

両手を開いて頭の斜め

前方に挙げる。

7.セーフ

両手を胸の前から横に

伸ばす。

9.塁審の基本的な構え

2.プレイ(プレーの再開)

4.ストライク(打者が空振りしたとき)

右手を頭の上に

挙げる。

6.ファウルボール

両手を開いて頭の

斜め上に挙げる。

8.アウト

右手を開いて前方に伸ばし、軽く握りながら肘を

90 度程度曲げる。

10.ゲームセット(試合終了)

右手を頭の上に挙

げる。

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