公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 「市民の …...要介護3 24,274単位...
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公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団
2018年度(前期)指定公募
「市民の集い開催への助成」
完了報告書
「看取り」での経験を語る会
テーマ : 介護と看護が共に提供され看取りも安心なホスピス相当の 住み慣れた街の施設「看護小規模多機能型居宅」を学ぶ
平成31年3月23日
申請者 : 近藤康男 所属機関 : NPO法人さいたまシニアライフアドバイザーの会 提出年月日 : 平成31年4月2日
1 講座概要
1)メインテーマ
看護小規模多機能型居宅の、看取りを含む実際、
並びに看護小規模多機能型居宅の背景や今後の開設見通しなどを学ぶ。
2)講座講師
看護小規模多機能型居宅「ナーシングホーム岡上」の実際として、(株)リンデン
代表取締役林田奈緒美看護師。 看護小規模多機能型居宅の背景や今後の開設見通しとして、公益財団法人日本看護協会
斎藤訓子副会長に講師を依頼した。
3)講座日時、場所等
平成31年3月23日(土)13:30から16:10、 於いてエッサム神田ホール1号館401会議場。
2 当日資料レジメ
各々の講師によるPPTドキュメント 並びにそのPPTの印刷冊子(講座受講者向け)
3 感想
報告者自身としては看護小規模多機能型居宅にせよ、小規模多機能型居宅にせよ よく知る所ですが、講座受講者のほぼ全員が知らないようで、やや意外でした。 が、知らないからこそ講座を開催した意義は十分にあった、と言えましょう。
「 公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 の助成による 」
市民講座
介護と看護が共に提供され看取りも安心なホスピス相当の
住み慣れた街の施設「看護小規模多機能型居宅」を学ぶ
日時 2019年 3月23日(土)13:30~16:10予定(13:00開場)
場所 JR神田駅北口から3分 エッサム神田ホール1号館4F401
定員 40名(無料)
主催 NPO法人さいたまシニアライフアドバイザーの会
http://saitama-sla.at.webry.info
~ 本講座は 公益財団法人在宅医療助成 勇美記念財団 の助成によるものです ~
皆さんは「かあさんの家」をご存じでしょうか。宮崎市発祥の謂わば街の「一軒屋ホスピス」。
県に一つを目標に設立が進んでいます。
同様なのが「小規模多機能型居宅」という街の施設です。利用者(会員制)ごとに
「訪問介護、通所介護、短期宿泊」が“定型”ではなく“柔軟”に提供されます。
なお看護師が必ずいる、とは限らず看取りは、約1/3にとどまります。
この強化版で看護師が必ずいる施設が「看護小規模多機能型居宅」です。
「訪問介護看護、通所介護看護(兼療養通所の場合)、短期宿泊」とあり、介護と共に看護が
提供され、「短期宿泊」を利用した居宅での看取りも行われます。
高齢一人暮らしの方、二人でも高齢な場合、また家族がいても勤務があり手薄な場合や看取り
に不安がある場合など、利用に適し謂わば「在宅ホスピス」といえるものです。
この「看護小規模多機能型居宅(略称「看多機カンタキ」)」を学びます。
第1部 13:30~14:25 看護小規模多機能型居宅における看取り事例
ナーシングホーム岡上(看護小規模多機能型居宅)代表 林田菜緒美
第2部 14:40~16:10 看護小規模多機能型居宅の意義と開設状況(今後見込みを含む)
公益社団法人 日本看護協会 副会長 齋藤訓子
看護小規模多機能居宅介護医療ケアがあっても在宅療養を支えます
株式会社リンデン 代表・看護師 林田菜緒美
か
2011.4 訪問看護ステーションゆらりん
2013.4 ナーシングホーム岡上(看多機)
2014.9 ヘルパーステーションゆらりん居宅支援センターゆらりん
2016.10 KIDSゆらりん(児童発達支援・放課後デイ 主に重心)
2018.7 ゆらりん家(サテライト看多機)KIDSゆらりんも引越し同一建物に
川崎市初
サテライト看多機ゆらりん家
1
2
か
利⽤者
通い 訪問宿泊
様態や希望により
様態や希望により
宿泊サービス体調が不安なとき、看取り期・退院直後やご家庭の都合などで泊まりを利⽤
通いサービス⼀⼈⼀⼈のペースに合わせた時間・回数で⽇常の毎⽇を⽀援
訪問サービスご⾃宅に看護師や介護職が訪問。緊急時も駆けつけ、⼀⼈暮らしの⽅も安⼼
ご⾃宅
看多機
看多機は在宅療養に必要な通い・泊り・訪問を一元的に柔軟に行えるサービス料金は介護度で決まり、回数の制限はない
適宜 適宜
別途 体制強化・緊急・訪問体制等加算あり 月約7000円
保険外費用 食費(朝350円 昼夕700円)宿泊費 3000円/1泊
例) 要介護3 月土通所(お昼)水木金泊り(3食)火日訪問 月の自己負担約90,000円
基本利用額 報酬単価 1割の方の利用金額(月)
要介護 1 12,341単位 13,427円
要介護 2 17,268単位 18,788円
要介護 3 24,274単位 26,411円
要介護 4 27,531単位 29,954円
要介護 5 31,141単位 33,882円
包括料金・地域のシェアハウス
4
nh1
独居・看取りを支える最期の2週間を泊まりで
「つきたての餅を食べたいわ」「死んだかみさんの骨壺と
一緒に埋葬してくれ」
5
医療ニーズの高い人を支える
呼吸器の妻と家で過ごしたい 吸引が必要で特養に戻れず
介護離職を防ぐ
6
医療的ケアを減らしていく
胃ろうから普通食に
娘さんの就労を支えて
7
株式会社リンデン 設立
訪問看護ステーションゆらりん 開所
複合型サービス ナーシングホーム岡上 開所
居宅介護支援センターゆらりんヘルパーステーションゆらりん 開所予定
頼れる場があれば、最期まで自宅で
8
希望に寄り添うからスタッフも頑張れる
9
グリーフケア・居場所に
ご主人を亡くした方が生徒 母を亡くした方が先生
10
地域とつながる
運営推進会議 岡上夏祭り ゆらりんカフェ
餅つき大会 ゆらりん子供会 そうめん流し etc 11
看護師 14人(常勤8人)
ケアマネ4人(兼務3人)
PT・OT 6人(常勤4人)
介護職17人(常勤11人)
児童指導員2人調理・運転手など5人
事務員3人
人
ナーシングホーム岡上敷地 376㎡床面積 198㎡登録 29人泊り 6人通い 18人
訪問看護・介護居宅事務所併設
スタッフ
サテライトゆらりん家
床面積 225㎡登録 18人泊り 5人通い 13人
児童発達支援放課後等デイ併設
ニーズに寄り添ってきたら、共生型ケアの定義に似てきた?
①地域のなかで当たり前に暮らすための小規模な居場所を提供し②利用の求めに対しては高齢者・子ども・という対象上の制約を与えることなく③その場で展開される多様な人間関係の形成を共に生きるという新たなコミュ二テイとして形づくる営み。 平野隆之氏(日本福祉大学教授)
13
ご清聴ありがとうございました14
公益社団法人 日本看護協会
副会長 齋藤 訓子
(さいとう のりこ)
市民講座 23/03/2019「看護小規模多機能型居宅介護」を学ぶ
看護小規模多機能型居宅介護の意義と開設状況
日本看護協会のご紹介
• 日本の就業看護職員 約166万人(女性17人に1人)
• 看護の資格(保健師・助産師・看護師・准看護師)を
持つ個人が自主的に加入し運用する、日本 大の
看護職能団体
• 創設:1946年• 会員:個人会員 約75万人
法人会員 47都道府県看護協会
(すべて公益社団法人)
• 事業所:原宿・清瀬・神戸3か所
• 会長:福井トシ子(第13代)
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本日のお話
1.なぜ看護小規模多機能型居宅介護が誕生したのか
2.看護小規模多機能型居宅介護が提供するサービスの実際
3.今後の見込み
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死亡者数の将来推計
出典:厚生労働省 医療と介護の連携に関する意見交換http://www.mhlw.go.jp/file/05‐Shingikai‐12404000‐Hokenkyoku‐Iryouka/0000156003.pdf19
死亡数の年次推移
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
昭和2630 35 40 45 50 55 60 元 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 6567
(千人)
実績値
推計値
平成52年(2040年)166万人
資料) 平成17年までは厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」平成18年以降は社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成18年12月推計)」(出生中位・死亡中位)
平成
(千人)
320
9.1(病院)
74.6(病院)
12.7(自宅)
0
20
40
60
100
82.5(自宅)
80
昭和26年
30 35 40 45 50 55 60 平成2年
7 12 17 22 27
自宅 その他
死亡場所の推移
資料:厚生労働省「人口動態統計」
[ %]
病院 診療所 介護老人保健施設 老人ホーム
※ 老人ホームとは、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム及び有料老人ホームをいう。平成6年までは、老人ホームでの死亡は、自宅又はその他に含まれている。
6.3(老人ホーム)
0.0 (介護老人保健施設)
1.5(老人ホーム)
2.3(介護老人保健施設)
2.1(その他)
4
2.0(診療所)
21
回答 割合
自宅で家族中心に介護を受けたい 4%
自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けたい 24%
家族に依存せずに生活出来る様な介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい 46%
有料老人ホームやケア付き高齢者住宅に住み替えて介護を受けたい 12%
特別養護老人ホームなどの施設で介護を受けたい 7%
医療機関に入院して介護を受けたい 2%
その他 3%
無回答 2%
自分が介護が必要になった場合の希望
自宅
高齢者住宅等
施設・医療機関
両親が介護が必要になった場合の希望
回答 割合
自宅で家族中心に介護を受けさせたい 4%
自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けさせたい 49%
家族に依存せずに生活出来る様な介護サービスがあれば自宅で介護を受けさせたい 27%
有料老人ホームやケア付き高齢者住宅に住み替えて介護を受けさせたい 5%
特別養護老人ホームなどの施設で介護を受けさせたい 6%
医療機関に入院して介護を受けさせたい 2%
その他 3%
無回答 4%
自宅
高齢者住宅等
施設・医療機関
【出典】 第29回社会保障審議会介護保険部会(平成22年8月23日)【原典】介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集(平成22年5月15日、厚生労働省老健局)
国民のニーズは「家族に負担をかけずに在宅療養」
22
2010年当時
23https://www.mhlw.go.jp/file/05‐Shingikai‐12404000‐Hokenkyoku‐Iryouka/0000161550.pdf出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会 平成29年4月12日 資料
24https://www.mhlw.go.jp/file/05‐Shingikai‐12404000‐Hokenkyoku‐Iryouka/0000161550.pdf出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会 平成29年4月12日 資料
25https://www.mhlw.go.jp/file/05‐Shingikai‐12404000‐Hokenkyoku‐Iryouka/0000161550.pdf出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会 平成29年4月12日 資料
医療依存度が高くなると在宅では看とれない?
医療依存度の高い要介護(支援)者を支える多機能サービスのニーズについてヒアリング実施
○ヒアリング対象者・施設:計28施設、33名(訪問看護ステーション、在宅療養支援診療所、病院退院調整部門、ホスピス、患者団体、グループホーム、療養通所介護、小規模多機能、医療型療養病床等)
●在宅療養を断念するのはどのようなケースか?●医療依存度の高い要介護(支援)者の在宅療養を支えるにはどのような仕組みが必要か?
ヒアリング
ヒアリング
①地域ではサービス空白地帯が存在している。・医療依存度が高い利用者が退院するときに、在宅以外に選択肢がない・重度、長期化する介護を支えている家族のレスパイト施設がない・がん末期の在宅療養者は外出先がなく、閉じこもってしまう・在宅死を望んでいるが、在宅での看取りを支援してくれるところがない
②在宅療養を継続できない・自宅で状態悪化や症状変化が起きると在宅に居られず、在宅療養を断念せざるを得ない
現状現状
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ヒアリングから見えてきた課題
・家族の介護負担感の増大による、レスパイト的な緊急入院が多い・在宅看取りに対する家族の不安があり、在宅看取りへの覚悟が揺らいだケース・夜間独居状態にあり、ご家族と連絡が取れないため本人の不安がつのったケース
A 病院 退院調整部門A 病院 退院調整部門
・病院に入院したケースは、すべて自宅での介護力不足が問題(介護サービスさえあれば、ほとんどの医療的な対応、症状緩和は在宅でも可能)
・ 終末期の2~3週間を家族が支えきれない例)患者の病状が進行し家族がコントロールできない状況が発生する
不定期・不安的に「尿意がある」、「水が飲みたい」、「体を少し動かしてくれ」等で、家族が限界に達する・「緩和ケア外来などでの日中デイホスピス」、「家族のレスパイト用の ショートステイ」が必要
B 在宅療養支援診療所B 在宅療養支援診療所
・動けなくなるのは 期の何週間にすぎないが、その動けなくなった時を支える・見られる場所がない。日常生活の場を中心にタイムリーに医療や看護が入れる仕組みが必要
・家事援助がない為に在宅で生活できず、入院で何とかするという現状では、病院ももたない。現状では、不具合がある場合は全て病院が 終の受け皿になっている
C がんセンターC がんセンター
・「看取るというイメージがつかめない」「在宅で何がどのように進行するのか見通しがつかない」「在宅療養に係る負担が非常に大きいのではないか」といった家族の不安が大きい・(重度者を家でみるために)身近な相談窓口がない・病院と在宅を柔軟に行き来できる仕組み、宿泊機能のあるサービスが必要・医療依存度が高い方を受け入れてくれる宿泊施設があるとよい
D 患者団体D 患者団体
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訪問看護と
小規模多機能型居宅介護(訪問介護、通所、宿泊)を
一体的に提供できるような、新サービスの創設を要望
(平成22年8月23日 社会保障審議会介護保険部会において日本看護協会提案)
訪問看護訪問看護
訪問介護訪問介護
通所通所
宿泊宿泊 ●病状の変化時や 家族のレスパイトにも対応できる●退院して在宅へ戻るための受け皿として利用できる
●在宅療養上の不安や疑問を気軽に相談できる相談相談
訪問看護や訪問介護が限られた時間に訪問し「点」で支えるだけでは、在宅療養の継続は困難
従来の訪問・通所の在宅サービスに加え、「宿泊」や「相談」の機能が在宅療養の支えになる
これらの機能を一体的に提供できるサービスが必要
中重度者の在宅療養に対応できるしくみを提案
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○24時間365日の緊急対応や、在宅看取りの支援体制がない○医療依存度の高い人や、退院直後で状態不安定な人が 在宅で利用できる介護サービスがない○在宅療養における悩みや疑問を、専門職に気軽に相談する機会がない
なぜ、在宅療養が続けられないのか?なぜ、在宅療養が続けられないのか?
訪問看護+小規模多機能型居宅介護(通所、宿泊、訪問介護)の新サービスを提案
泊まり 通い 訪問
泊まり
通い
訪問看護
訪問介護
訪問看護が加わり、これまでの小規模多機能では受入れ困難だった医療依存度の高い人、退院直後で状態不安定な人、在宅看取りを希望する人 の在宅療養支援を可能に!
平成24年 介護保険法改正により新サービス創設
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看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)の創設
看護小規模多機能型居宅介護(平成27年改定で複合型サービスから改称)
平成30年7月414事業所
複合型サービス(小規模多機能+訪問看護)のメリット
●家に近い環境で、顔なじみの職員から訪問・通い・泊まりのサービスを一体的に受けられる安心感
●毎回ケアプランを作り直さなくても、その時々に応じて臨機応変に利用できる
●契約する事業者が1つなので、連絡などの手間が少ない
●利用料が月定額なので、介護費用がふくらみすぎない
利用者にとっては
これまでの小規模多機能では受け入れの難しかった 医療依存度の高い人、退院直後で状態が不安定な人、在宅での看取りを希望する人の在宅療養を支援
●利用者の状態に応じた柔軟な人員配置が可能
●職員間の情報・方針の共有がスムーズ
●効率的なケアの提供が可能
●利用回数の変動があっても、一人あたり月定額報酬のため、毎月安定した収益が得られる
事業者にとっては
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看護小規模多機能型居宅介護の概要
【出典】厚生労働省ホームページ第138回社会保障審議会介護給付費分科会資料https://www.mhlw.go.jp/file/05‐Shingikai‐12601000‐Seisakutoukatsukan‐Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000169140.pdf
利用者は家に近い環境で、顔なじみの職員から、「通い」「泊まり」「訪問看護」「訪問介護」の4つのサービスを一体的に受けられる。 看多機の利用料は、要介護度に応じた月定額制。 医療ニーズへの対応が必要な利用者に対して、小規模多機能型居宅介護で対応できなかったが、看多機では対応できる。
看多機のケアマネジャーが、「通い」「泊まり」、「訪問(看護・介護)」のサービスを一元的に管理する。急な「泊まり」や、夜間の訪問看護・介護にも対応できるため、利用者・家族にとって安心。
特徴特徴
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看護小規模多機能型居宅介護に期待される役割
医療機器を利用する方
胃ろう・気管切開などの管理、カテーテル類
の交換
リハビリが必要な方
嚥下訓練、車いす移乗、歩行の訓練、排泄の自立
褥瘡などがある方
創傷の処置、悪化防止
認知症の方
生活リズム調整、認知症状への看護、介護相談
終末期の方(がん、老衰など)
苦痛の緩和、精神的な支援、
看取り
ご家族や介護者の方
医療機器の取扱いや介護の相談・指導、精神的な支援
医療ニーズの高い方の受け入れが可能に
看多機では、訪問看護の提供にあたり交付される医師の指示書にもとづき、「通い」や「泊まり」の時にも、看護職員が在宅と同様の医療処置を行うことができます。これにより、従来の小規模多機能型居宅介護では対応が難しかった、医療ニーズの高い方の受け入れが可能となります。
●看多機で対応できる医療的ケアの例
利用者の自立を高めるケアの提供看多機は、一人一人の状態に合わせて「通い」「泊まり」「訪問看護」 「訪問介護」を柔軟に組み合わせることができま
す。 初は訪問看護が緊密に関わり、状態の改善に合わせて無理なく泊まりや通いにシフトしていくといった利用が可能であり、病状の悪化防止や予防にも効果が期待できます。
訪問看護状態把握・看護の提供
介護相談・指導療養環境の整備 通い・泊まり・訪問介護
身体介護家事援助
週3日の「通い」メインに移行
退院直後
看護・介護の必要度
2か月後
定期的な訪問看護
利用者の自立度に合わせてサービスの利用パターンが変えられる 例:気管切開をした状態で退院、家族が介護に不慣れな利用者に対し、退院直後からサービスを提供
状態安定すれば他の在宅サービスにも移行可
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看多機の人員基準と配置
【出典】看多機事業所開設のご案内パンフレット、日本看護協会
看多機の人員基準は、おおむね小規模多機能型居宅介護の基準にそっており、さらに看護職員を手厚く配置する構成となっている。
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看多機の介護報酬 看多機の介護報酬は、月額固定の包括報酬になっている。利用回数の変動による影響を受けにくい。 利用者の要介護度に応じた基本単価である本体部分とサービス実施状況に応じた加算がある。 このほか減算措置もある。
【出典】看多機事業所開設のご案内パンフレット、日本看護協会
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事業コンセプトや設計プランを検討するには、収入と家賃や人件費などの支出を計算し、事業計画が経営面で適切かどうかを検証することが大切です。収入の試算を、看多機パンフレットに紹介してます。
各種減算
【出典】看多機事業所開設のご案内パンフレット、日本看護協会
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【出典】厚生労働省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164649.html
36
【出典】厚生労働省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164649.html
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【出典】厚生労働省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164649.html
38
【出典】厚生労働省ホームページhttp://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000164649.html
39
40【出典】第62回社会保障審議会介護保険部会資料(H28.8.31)
【出典】厚生労働省ホームページ 介護給付費分科会H29,11,8http://www.mhlw.go.jp/file/05‐Shingikai‐12601000‐Seisakutoukatsukan‐Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000184014.pdf
41
看多機の利用者は要介護3以上の中重度者が6割を占め、小多機に比べて医療ニーズ対応や看取り対応が多い。
一方で、看多機では利用者の状況に合わせ柔軟に「通い」・「泊まり」・「訪問」を組み合わせるサービス提供体制と、看護職員のアセスメントにもとづく看護と介護の協働のもとで、ADLの自立支援や重症化予防のケアを実施し、中重度者の在宅療養継続を支援している。
その状況について、平成29年9月に事業所にヒアリングを行った。
自立支援・重度化防止の取り組み
42
看護小規模多機能型居宅介護における自立支援・重度化防止の実施状況
状態改善の内容(複数回答)
事業所数 割合
胃ろう→完全経口に移行 22 27.8
胃ろう→経口摂取を併用 38 48.1
経鼻・経管栄養→完全経口に移行 14 17.7
経鼻・経管栄養→経口摂取を併用 13 16.5
IVH→完全経口に移行 11 13.9
IVH→経口摂取を併用 12 15.2
その他 17 21.5
無回答・不明 1 1.3
計 79 100.0
看護小規模多機能型居宅介護における自立支援・重度化防止の実施状況
【アンケート調査】調査対象:全国の看護小規模多機能型居宅介護事業所調査時期:2017年9月調査方法:調査票を郵送配布、FAXまたはメール添付で返送回収率:49.7%(169事業所)
※回答事業所中、承諾の得られた事業所に後日ヒアリングによる事例調査を実施
47%の事業所で経口摂取の状態が改善した利用者がおり、胃ろうや経鼻経管栄養、IVHから完全経口摂取に移行したケースもある
1.経口摂取支援による効果
52%の事業所でおむつが不要になった(又は枚数が減った)利用者がおり、61%の事業所ではトイレで座位で排泄ができるようになった利用者がいる
2.排泄自立支援による効果
9名以下
5%
10‐19名以下
36%20‐24名以下
34%
25‐29名以下
25%
回答事業所の利用者数(平成29年9月現在)
43
看護小規模多機能型居宅介護における自立支援・重度化防止の実施状況
4.状態改善によるサービス卒業
5.褥瘡の治癒または改善 6.痰の吸引回数の減少
3.運動機能の改善
44
45
看護小規模多機能型居宅介護における排泄の自立に向けたケア看護小規模多機能型居宅介護における排泄の自立に向けたケア
【事例】90歳代 女性要介護度3 脳梗塞後 廃用症候群 高脂血症 誤嚥性肺炎の既往あり
脱水・発熱のため入院していたが、状態改善し退院。高齢の妹と二人暮らしであったため、姪たちは施設入所を促したが、本人及び妹の在宅療養の強い希望があり看多機利用開始。入院中は安静臥床であったためADLが低下し、排泄はおむつを使用していた。同居の妹も要介護状態であったため、自立が必要であった。
・自宅でトイレまで安全に往復できるような環境整備(手すりをつけるなど)を行う
・尿意の確認をし、尿意があることを確認・トイレまでの移動や衣服の上げ下げ等、排泄に係るADLの状況を確認する・自宅でもトイレまでの環境を整備すれば、トイレでの排泄が可能と判断
・排尿パターンや水分摂取量について把握
・筋力アップと安全な移動のため、歩行器を選択し、移動動作を確認しながら歩行器を用いた歩行訓練開始
・尿意に合わせて、通い・泊まり時にもトイレ誘導を行う
訪問看護での介入
通い・泊まり時の介入
看多機利用開始時の
看護師によるアセスメント
介入内容
介入結果
トイレでの排尿が可能と判断
排泄の自立が在宅療養継続のキーポイントであると判断
月 火 水 木 金 土 日
泊まり 泊まり 通い 通い 訪問看護 訪問看護 自宅
利用開始時の看多機利用パターン
おむつでの排泄からトイレでの排尿が可能になった
【事例】90歳代 女性要介護度5 レビー小体型認知症 長男夫婦と同居
在宅で過ごしていたが、閉眼していることが多くなり、ADLが著しく低下。意欲・食欲低下が進んでいた。右臀部に深い褥瘡発生(DESIGN分類D4)。 褥瘡ケアを目的として、看多機の利用開始を開始した。
看護小規模多機能型居宅介護における認知症の方の褥瘡の治癒に向けたケア看護小規模多機能型居宅介護における認知症の方の褥瘡の治癒に向けたケア
・初期に連続の泊まりを有効活用して、集中的なケアの実施・泊まり+通い+訪問を柔軟に組み合わせ、在宅でも無理なく継続できる生活・介護のパターンを確立
利用開始後10日間
利用開始後10日間
10日間連続の泊まり
10日~2ヶ月10日~2ヶ月2泊/週の泊まり+通い+訪問看護・
介護
(状態に合わせて柔軟に組合せ)
3~5ヶ月3~5ヶ月 2泊/週の泊まり+通い(2回)+
訪問看護(2回)
5~8ヶ月5~8ヶ月2泊/週の泊まり+
通い(3回)+訪問看護(1回)
童謡歌唱・音楽療法・フラワーアレンジメントなどの趣味を通して参加を広げる
・怒っているときは不快や怒りの原因に向き合い続ける
・大声で叫ぶ、乱暴になることが少なくなる・不快なことは避ける
褥瘡の経過
看多機を中心としたいつも同じ顔、同じ場所で関係性を深め、認知症症状の緩和を図る
認知症に対するケア
5.5cm×4.5cmD4
5cm×4cmD4
1.5cm×2cmD4
0.5cm×0.5cmD2
食事量の増加、ADL向上が褥瘡治癒に向けて必要であると判断
栄養 ADL
・食事介助方法を検討
・体重38kg(BMI:15.4)
訪問介護で家族に食事介助方法の支援ができるように介護職と情報共有
食形態の調整
食事以外の会話をしながら食事介助
臥床時間を少なくする
立位・歩行訓練
・スプーンを持って自己摂取できる・体重47kg(+9kg BMI:19.1)
座位が保持できるようにする
食事摂取量が安定
食事量の安定に伴い、排便パターンも整う 大幅な改善
日中トイレ歩行、トイレで排泄
日本看護協会作成
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泊まりを利用して、水分摂取量・パターン、排泄量・パターンを把握する
看護小規模多機能型居宅介護における重症化予防のケア看護小規模多機能型居宅介護における重症化予防のケア
自宅でも通い・泊り時の水分摂取方法を継続し、水分摂取過多にならなくなった
【事例】80歳代 男性要介護度1 日中独居 慢性心不全、慢性腎不全、心筋梗塞の既往あり
水分を多量に摂取して入退院を繰り返しており、家族がご本人1人の時間が心配なため、看多機の利用開始。
ある月の看多機利用パターン
月 火 水 木 金 土 日
泊まり 泊まり 泊まり 自宅 訪問看護 通い 自宅
・通い・泊まり時は小さいコップで水を小出しにし、多飲にならないようにしつつ、脱水にもならないように注意したケアを看護・介護で統一して実施する・通い・泊まり時に看護師が体重モニタリング、全身チェック(浮腫、呼吸状態など)をしっかり行う→状況に応じて主治医と相談し、早期の外来受診に繋げる
入院をすることなく、在宅療養が継続できている
看多機利用開始時の
看護師によるアセスメント
介入内容
介入結果
自宅での服薬状況を確認する
排尿量に比して頻回に多量に飲水をされていると判断
既往歴や全身状態も含め水分摂取方法、量について介入が必要であると判断
服薬忘れがあることを把握
確実に服薬ができるように介入が必要と判断
・送迎時に内服状況確認し、朝の内服を忘れていたらその場で内服
・貼付薬は看多機からの帰宅時に貼付して、自宅での貼付忘れを予防する
服薬忘れがなくなった
6日本看護協会作成
看護小規模多機能型居宅介護における重症化予防のケア看護小規模多機能型居宅介護における重症化予防のケア
【事例】80歳代 男性 うっ血性心不全の既往あり月に1回の頻度で入退院を繰り返しており、頻回な入院で家族の負担が重くなってきたため、看多機利用開始
・訪問看護師が初回訪問で薬カレンダーを作る・主治医と相談し、朝に集中して内服できるように処方の変更、一包化
看多機利用開始時の
看護師によるアセスメント
介入内容
通い・泊まり時に
早期発見・対処
介入結果・自宅での内服が習慣化できるようになった・重症化して入院することがなくなり、在宅療養が継続できている・入退院による家族の介護負担が軽減された
薬の内服忘れが多いことが、症状が悪化し入退院を繰り返す一因であると判断
看護・介護の働きかけで
内服の習慣化
毎朝、朝食が終わったと思われる頃に事業所より自宅へ電話をして内服確認し、内服が生活の中に組み込まれるようにする
服薬方法の簡易化
ケアマネとの連携による臨機応変なケアプラン
の変更
・看護師が体重モニタリング、全身チェック(浮腫、呼吸状態など)をしっかり行い早期に症状増悪の兆候を把握できるようにする
症状増悪が認められた場合泊まり、もしくは訪問看護の回数を増やすようにすぐにケアプランを変更し、重点的にケアができるようにする
・入院に至らず、日中の外来受診で済むように早めに対処する
日本看護協会作成
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中重度者の在宅療養の受け皿
無床診療所等との連携により地域の在宅療養体制の構築
障害児・者の通所・宿泊サービス※の実施、配食などの保険外サービスの併設により、地域包括ケアの総合拠点へ
サービスの機能の周知(市町村担当者、事業者、ケアマネジャーの理解促進)
サービスの使い方の周知(利用者、事業者、ケアマネジャーの理解促進)
開設・運営支援(ハード・ソフトの補助金確保、相談対応、事業者交流会)
マンパワー確保(研修教育支援)
今後の可能性と課題
設置数・利用者数をいかに増やすか
医療・介護・生活支援の総合拠点サービスとして
※小規模多機能型居宅介護と同様に、基準該当障害児通所支援(児童発達支援、放課後等デイサービス)等の実施が可能
○サービス趣旨の周知・理解が進んでいない→保険者(市町村)、事業者に向けた情報提供○看護職員の確保が難しい→訪問看護の人材確保策の推進○効率的な経営・運営方法がわからない→経営・運営モデルの提示
看護小規模多機能型居宅介護の推進に向けた課題看護小規模多機能型居宅介護の推進に向けた課題
事業所数・利用者数の伸び悩み
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50出典:厚生労働省 第7期計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000207410.html
看多機(看護小規模多機能型居宅介護)を始める前に、ぜひ冊子をご一読ください!
利用者さん等への周知用のリーフレットもあります。ぜひご活用ください!
日本看護協会ホームページで公開中http://www.nurse.or.jp/nursing/zaitaku/shokibo/index.html
さいごに・・
本日、セミナーの参加者に配布しています。資料をご確認ください。【事業者用】
【利用者等への周知用】
日本看護協会 看多機51
暮らしを支える看護
日本看護協会HPhttp://www.nurse.or.jp/
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This is the end ofmy brief presentation
Thank you very much for your kind attention