家庭用インクジェットプリンターの印刷コスト表示 ～国際標準化の流れの中で～

CEATEC2012

JEITAプリンター専門委員会

プリンター技術分科会副委員長

キヤノン株式会社 岩崎信一 32

■プリンター技術分科会概要

■印刷コスト表示ガイドラインとは

■プリンターを対象とする国際標準について

■印刷コスト表示ガイドラインの改訂

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■プリンター技術分科会概要

■プリンター新製品調査 情報端末フェスティバルにて「プリンターに関する

調査報告書」を発表

■関連省庁・機関への対応/業界団体との協働 省エネ法、SAR規制対応etc.

■国際標準規格策定作業への参画 ファーストプリントアウトタイム規格策定（FPOT-WG）

ISO/IEC24734印刷生産性国際標準改訂の国内検討 ■JEITA印刷コスト表示ガイドライン(IJ)改訂作業

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平成23年度の主な活動内容

■省エネＷＧ

■環境対応ＷＧ

■海外IJ&DS標準化WG

・省エネ法基準値を経済産業省と検討

・エネルギースター第三者認証制度への意見出し

・Blue Angel改定案について、JBMIA経由で意見出し

・中国エネルギー効率ラベル（強制認証）実施への対応

・Blue Angel改定案検討

・中国セキュリティ標準「OA機器」についての意見交換

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■プリンター技術分科会概要

■印刷コスト表示ガイドラインとは

対象：家庭用インクジェットプリンター

何を：印刷コストの算出方法と表示方法

具体的には： A4普通紙の印刷コスト（インク代のみ） L判写真の印刷コスト（インク及び用紙代）

目的：消費者の購入選択において、優良誤認を 防止するため

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ガイドライン制定の経緯

■印刷コスト表示ガイドラインとは

2005.8.1 全国家庭電気製品公正取引協議会（家電公取協）

による類例追加(＝掲名という)

2005.8.10 自主基準WG（JEITA)検討開始

2006.8.1 家電公取協の承認を得る

2006.6.20 家電公取協に｢家庭用IJプリンタの 印刷コスト表示ガイドライン｣を審議依頼

2006.8.22 JEITAホームページにて公開 2006.9月以降に発売の新製品より適用 27

■印刷コスト表示ガイドラインとは

概要

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各カートリッジの価格を用いてコスト計算する必要あり

各カートリッジの容量は各社様々であり比較困難

カートリッジの耐用枚数

A-110黒・・200枚，A-120シアン・・150枚，・・ 表示例：

各カートリッジ1ccいくらかを別途求めてのコスト計算が必要

インク1ccの価格も各社様々であり比較困難

単位インクあたりの印刷枚数 （車の燃費（・・Kｍ/ｌ）に相当）

20枚/黒1cc，15枚/シアン1cc，・・・ 表示例：

1枚あたりの印刷コスト（円）

表示例： 8.3円/枚

ダイレクトでわかりやすい（何色あるかやカートリッジの価格がいくらか認識の必要なし）

比較もしやすい

何を表示するか

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比較可能な印刷コストを求める前提条件

・広くいつでも入手可能な消耗品

・標準化された方法で印刷可能枚数を求める

・カートリッジ価格はメーカーオンラインショップ価格

キヤンペーン品や多色パック商品は除く

A4普通紙：ISO/IEC24711/12 当時国際標準策定中（FDIS)

L判写真：JBMS77/78 JBMIA殿に策定依頼

写真用紙は広く入手可能な物を使用（入り数はメーカー判断）

インクカートリッジは最小販売単位

ただし、インクの販売価格を拘束するものではない

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1.印刷原稿

・A4普通紙……ISO/IEC24712

2.印刷モード/各種設定

・ A4普通紙…… A4サイズ選択，その他は原則初期設定

印刷コストの求め方

・ L判写真…… L判サイズと使用用紙種(フチなし)を選択し、その他は 原則初期設定

・L判写真…… JBMS78

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4.インクカートリッジの寿命の判定 ・プリンターのインクなし表示 ・回復しない印刷のかすれ/スジ

3.テストサンプル数

・プリンター3台以上で試験 ・ A4普通紙…… YMCKの４種のカートリッジを各3個/台以上 ・ L判写真…… Y,M(LM),C(LC)の3種のカートリッジを各3個/台以上

印刷コストの求め方

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5.印刷可能枚数の算出方法

各色とも得られたデータから信頼水準90％ （両側推定）の下限値を求める

95％の確率で この枚数以上印刷できる という数値 印刷枚数

印刷コストの求め方

21

6.印刷コストの算出方法

Ａ4普通紙 インクコストのみとする

を，小数点以下1桁まで求める

各色インクカートリッジ価格

∑ 各色印刷可能枚数

印刷コストの求め方

20

全インク色

6.印刷コストの算出方法

L判写真の場合

各色インクカートリッジ価格 +

用紙価格

用紙入り数 ∑

各色印刷可能枚数

を，小数点以下1桁まで求める

インク及び用紙コストの合計とする

印刷コストの求め方

19

全インク色

Ｌ判写真の印刷コスト状況

SFP MFP

0%

20%

40%

60%

80%

100%

2009年 2010年 2011年

39.9円以上

28.9～39.9円以下

26.9～28.9円以下

24.9～26.9円以下

22.9～24.9円以下

20.9～22.9円以下

18.9～20.9円以下

16.9～18.9円以下

14.9～16.9円以下

13.9～14.9円以下 0%

20%

40%

60%

80%

100%

2009年 2010年 2011年

39.9円以上

28.9～39.9円以下

26.9～28.9円以下

24.9～26.9円以下

22.9～24.9円以下

20.9～22.9円以下

18.9～20.9円以下

16.9～18.9円以下

14.9～16.9円以下

13.9～14.9円以下

プリンターに関する調査報告書（IS-12-情端-2）より

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写真の印刷可能枚数測定のための国際標準が発行（2011.8)

2012年8月より発表または発売される新製品より適用

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■印刷コスト表示ガイドライン改訂

写真印刷可能枚数を上記標準規格にて算出することを

盛り込んだ第２版を発行（2011.12.22)

改訂した内容

■L判写真の印刷可能枚数算出標準の変更

JBMS77/78 ⇒ ISO/IEC29102/29103

A4普通紙の印刷可能枚数算出標準は変更なし

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JBMS77/78 ISO/IEC29102/29103

対象印刷サイズ L判フチなし 4X6フチなし、L判フチなし、 A6フチあり

試験台数 3台以上 同左

試験CRG数 主要CRGを3個/台終了するまで 同左

主要CRGの定義 C(orLC),M(orLM),Y 早く終了した３種のCRG

試験終了判断 CRG交換指示またはかすれ判断 回復動作は3回/400枚まで、 以降1回/150枚増

同左

画像チャート 20枚（5枚組X４セット） 6枚（5X5の合成画像6種）

カウント単位 5枚単位 1枚単位

標準変更による測定方法の差異

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2012年8月1日以降発表発売の家庭用IJプリンター

新基準 マークがついたものが新ガイドラインの数値

新基準の適用時期

既発売機種(旧基準)との区別のため

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新基準表示の例

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■プリンターが関係する 主な国際標準規格について

印刷可能枚数算出標準

生産性標準

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印刷可能枚数算出標準 1個のカートリッジで何枚印刷できるか

ISO/IEC19752

ISO/IEC19798

2004

Method for the determination of toner cartridge yield for monochromatic electrophotographic printers and multi-function devices that contain printer components

Method for the determination of toner cartridge yield for colour printers and multi-function devices that contain printer components

2007

電子写真

ISO/IEC24712

ISO/IEC24711 2007

2007

Method for the determination of ink cartridge yield for colour inkjet printers and multi-function devices that contain inkjet printer components

Colour test pages for measurement of office equipment consumable yield

インクジェット

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ISO/IEC29103 2011

Colour photo test pages for measurement of ink cartridge yield for colour photo printing

印刷可能枚数算出標準

ISO/IEC29102 2011

Method for the determination of ink cartridge photo yield for colour printing with inkjet printers and multi-function devices that contain inkjet printer components

1個のカートリッジで何枚印刷できるか

インクジェット写真印刷用

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生産性標準 印刷生産性標準

ISO/IEC24735

2009/3

Method for Measuring Digital Copying Productivity

ADFかつコレート機能付きの複写装置が対象

（ADF無し/コレート機能無しの複写装置については ANNEX Dに参考として記載）

ISO/IEC29183

2011/2

Digital Copying Productivity of a single, One Sided Original

ADF無し/コレート機能無しの複写装置が対象

ISO/IEC24734

現在改定作業中（A3生産性の規定追加など） 2009/3

Method for Measuring Digital Printing Productivity

複写生産性標準

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生産性標準

FPOT標準

ISO/IEC17629_WD Method for Measuring First Print Out Time for Digital Printing Device

現在ＷＤ検討中

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●ESAT：この間の印刷枚数/時間

●EFTP： この間の印刷枚数/時間

時間

N

●FSOT：最初の1セットが出るまでの時間

●FPOT : 最初の1枚が出るまでの時間

1セット＋30秒 1セット＋4分

出力セット数

印刷指令

1

2

印刷生産性で規定するスループット

●FSOT(First set output time) 第1部印刷時間

●EFTP(Effective throughput) 実効速度

●ESAT(Estimated saturated throughput) 推定最大速度

●FPOT(First printout time) ファーストプリント時間

1セット

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生産性標準適用のトピックス （インクジェットプリンター）

L判写真の印刷速度は速くなってきている

SFP MFP

0%

20%

40%

60%

80%

100%

2009年 2010年 2011年

10sec.以下

20sec.以下

30sec.以下

40sec.以下

50sec.以下

60sec.以下 0%

20%

40%

60%

80%

100%

2009年 2010年 2011年

10sec.以下

20sec.以下

30sec.以下

40sec.以下

50sec.以下

60sec.以下

6

プリンターに関する調査報告書（IS-12-情端-2）より

L判写真

A4普通紙 SFP MFP

0%

20%

40%

60%

80%

100%

2009年 2010年 2011年

36ipm超

～36ipm

～32ipm

～28ipm

～24ipm

～20ipm

～16ipm

～12ipm

～8ipm

～4ipm 0%

20%

40%

60%

80%

100%

2009年 2010年 2011年

36ipm超

～36ipm

～32ipm

～28ipm

～24ipm

～20ipm

～16ipm

～12ipm

～8ipm

～4ipm

2011年はSFP/MFP共に回答機種全部が12ipm以下 (SFP:7機種 MFP/26機種)

5

A4普通紙の印刷速度は低速化傾向！

プリンターに関する調査報告書（IS-12-情端-2）より

生産性標準適用のトピックス （インクジェットプリンター）

0 秒

20 秒

40 秒

60 秒

80 秒

100 秒

120 秒

0 ipm 10 ipm 20 ipm 30 ipm 40 ipm

2008年独自基準(10)

2009年独自基準(9)

2010年独自基準(7)

2009年ISO標準(9)

2010年ISO標準(9)

A4普通紙印刷速度

L判

写真

印刷

速度

（時

間）

普通紙印刷速度の測定方法により大きく2つのグループに分かれる

2011年ISO規格(19)

生産性標準適用のトピックス （インクジェットプリンター）

4

生産性標準チャート

Office-color-word

Office-color-Excel

Office-color-PDF

ISO/IEC24734 オフィスカテゴリー用チャート

3

2

生産性標準適用のトピックス （インクジェットプリンター）

・国際標準を採用するまでは、各社独自基準によった印刷速度表示を 行っていたため比較が難しい（対他機種・他方式）

各社独自基準だと何が異なるか 印刷原稿 印刷モード 測定方法etc

・今後は国際標準に沿った表示がされることにより他機種・他方式との 比較が可能になった

■プリンターが関係する 主な国際標準規格について

JEITAは引き続きプリンターの関係する 国際標準の策定に注力していきます

関係各方面のご協力をお願いいたします

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ご清聴ありがとうございました

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