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教師なし学習の適用

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Page 1: 教師なし学習の適用 - MathWorks · 教師なし学習の適用 10 一般的な次元削減手法 最も一般的な次元削減手法は、以下の3つです。 主成分分析(pca):

教師なし学習の適用

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教師なし学習は、データについて詳しく調べたいけれども、その結果何が分かるのか具体的な目標が定まっていない場合や、データに含まれている情報がはっきりしない場合に役立ちます。また、データの次元を減らす際にも有効です。

どんな時に教師なし学習を 検討するべきか

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教師なし学習手法

セクション1で紹介した通り、教師なし学習手法の大半はクラスター分析のかたちをとっています。

クラスター分析では、何らかの類似性の指標または共通する性質に基づいて、データのグループ分けを行います。同じクラスター内の対象物は非常に類似し、異なるクラスターの対象物は違いが明確となるようにクラスターを形成します。

クラスタリングアルゴリズムは、次の2つに大きく分けられます。

• ハードクラスタリング: データポイントは1つのクラスターのみに属します。

• ソフトクラスタリング: データポイントは2つ以上のクラスターに属することができます。

データがどのようにグループ化されるかがあらかじめ分かっている場合は、ソフト、ハード、どちらのクラスタリング手法も使用できます。

データがどのようにグループ化できるのかが分からない場合は、

• 自己組織化マップまたは階層クラスタリングによって、考えられるデータの構造を調べます。

• クラスター評価によって、特定のクラスタリングアルゴリズムにとって「最適な」クラスター数を調べます。

混合ガウスモデルを使用した2つのクラスターへのデータの分割

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一般的なハードクラスタリングアルゴリズム

k平均法原理 データを相互に排他的なk個のクラスターに分けます。あるポイントのクラスターへの適合度は、そのポイントとクラスターの中心との距離によって決定します。

最適な用途

• クラスター数が既知の場合• 大規模データセットの高速クラスタリング

kメドイド法原理 k平均法に似ていますが、クラスターの中心とデータのポイントとが一致することが要求されるものです。

最適な用途

• クラスター数が既知の場合• カテゴリーデータの高速クラスタリング• 大規模データセットに拡大

結果: クラスターの中心 結果: クラスターの中心とデータのポイントとが一致

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一般的なハードクラスタリングアルゴリズム(続き)

階層クラスタリング原理 ポイントのペア間の類似性を分析し、対象物を階層的な2分木へとグループ化して、クラスターの入れ子集合を作成します。

最適な用途

• データ内のクラスター数が事前には分からない場合• 可視化して選択の指針としたい場合

自己組織化マップ原理 ニューラルネットワークに基づくクラスタリングで、データセットを位相を保存した2次元のマップに変換します。

最適な用途

• 高次元データを2次元または3次元で可視化する• トポロジー(形状)を保存しつつ、データの次元を削減

する

結果: クラスター間の階層関係を示した樹形図(デンドログラム)

結果: 低次元表現 (典型的には2次元)

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一般的なハードクラスタリングアルゴリズム(続き)

例: k平均法クラスタリングによる携帯電話中継塔の立地決定

携帯電話会社は、最も信頼性の高いサービスが提供できる携帯電話中継塔の数と配置を知りたいと考えます。信号受信を最適化するためには、中継塔は利用者のクラスター内に位置している必要があります。

ワークフローは、必要なクラスター数を最初に推測するところから始まります。次にこの最初の推測を評価します。中継塔が3カ所の場合と4カ所の場合でサービスを比較し、各シナリオにおいてどちらがより適切にクラスタリングできるか(すなわち中継塔の提供するサービスはどちらが良いか)を調べます。

携帯電話が一度に接続する中継局は1カ所のみなので、これはハードクラスタリングの問題になります。この場合は、k平均法クラスタリングを使用します。k平均法は、観察されたそれぞれのデータを、空間内に位置を持つ対象物として扱うからです。k平均法によって、各クラスター内の対象物同士は可能な限り近く、また他のクラスターの対象物とは可能な限り離れているように分ける方法を見つけます。

そのアルゴリズムを実行すれば、データを3つまたは4つのクラスターに分けた場合の結果を正確に知ることができます。

教師なし学習の適用

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一般的なソフトクラスタリングアルゴリズム

ファジィC平均法原理 分割に基づくクラスタリングで、データポイントが2つ以上のクラスターに属する可能性がある場合に使用できます。

最適な用途

• クラスター数が既知の場合• パターン認識• クラスターに重なりがある場合

混合ガウスモデル原理 分割に基づくクラスタリングで、データポイントはそれぞれ一定の確率を有するさまざまな多変量正規分布から生成されます。

最適な用途

• データポイントが2つ以上のクラスターに属している可能性がある場合

• クラスターのサイズがさまざまで、クラスターの相関構造が異なっている場合

結果: クラスターには (k平均法と同様に)中心があるが、1つのポイントが2つ以上のクラスターに属すことができる曖昧さがあります。

結果: ポイントがクラスターに属している確率を示した複数のガウス分布からなるモデル

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一般的なソフトクラスタリングアルゴリズム(続き)

例: ファジィC平均法クラスタリングによる遺伝子発現データの分析

生物学者のチームが、正常および異常な細胞分裂に関与する遺伝子について理解を深めるため、マイクロアレイの遺伝子発現データを分析する場合を見てみましょう(遺伝子がタンパク質生成などの細胞の機能に活発に関与している場合、遺伝子が「発現している」と言われます)。

マイクロアレイには、2つの組織サンプルからの遺伝子発現データが含まれています。2つのサンプルを比較することによって、特定の遺伝子発現パターンががんの増殖に関与しているかどうかを知りたいのです。

ノイズ除去のためにデータの前処理を行った後、データのクラスタリングを行います。同じ遺伝子が複数の生物学的プロセスに関与していることが考えられるため、どの遺伝子も1つのクラスターのみに属している可能性は低そうです。従って研究者は、ファジィC平均法アルゴリズムをデータに適用します。その後、クラスターを可視化して、挙動が似ている遺伝子のグループを特定します。

教師なし学習の適用

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次元削減によるモデルの改善

例: EEGデータの削減

脳の電気的活動を記録した脳波図(EEG)データを用いて、将来の発作を予測する場合を考えてみましょう。データは何十という電極を用いて集められており、それぞれがオリジナルのデータセットの変数に対応しています。これらの変数には、それぞれノイズが含まれています。予測アルゴリズムの頑健性を高めるためには、次元削減手法を用いて特徴量の数を減らします。次元削減手法を適用した特徴量は複数のセンサーのデータから計算されるため、生データを直接用いる場合に比べて、個々のセンサーのノイズの影響を受けることが少なくなります。

機械学習は、大規模なデータセットの中のパターンを見つける方法として効果的です。しかし、データが大規模になるほど複雑さも増します。

データが大規模になればなるほど、特徴量の数、すなわち次元の数を減らす必要が頻繁に生じます。

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一般的な次元削減手法

最も一般的な次元削減手法は、以下の3つです。

主成分分析(PCA): データの線形変換を行い、高次元のデータセット内の分散あるいは情報の大部分を、第1主成分をはじめとするわずかな主成分によって捉えます。第1主成分が最大の分散を捉え、第2主成分が第2位の分散を捉え、というように続きます。

因子分析: データセット内の変数間の潜在的な相関関係を明らかにし、より少数の観測されない潜在因子、あるいは共通因子によって表現します。

非負値行列因子分解: モデルの項が、物理量など非負値を表していなければならない場合に使用します。

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主成分分析(PCA)の利用

例: エンジンの状態監視

エンジンのさまざまなセンサーからの測定値(温度、圧力、排出量など)を含むデータセットがあるとしましょう。大部分のデータは良好なエンジンからのデータですが、メンテナンスが必要なエンジンからのデータも含まれています。

個々のセンサーのデータを調べても、明らかな異常は見当たりません。しかし、PCAを用いてこのデータを変換すれば、センサー測定値の分散の大部分を、少数の主成分で捉えることができます。主成分を調べれば、生のセンサーデータを見るよりも、良好なエンジンとそうでないエンジンとをより簡単に区別できます。

多くの変数を持つデータセットでは、多くの場合、同じように変化する複数の変数が見つかります。PCAは、このような情報の冗長性を利用します。もともとの変数を線形結合して新たな変数を生成し、少数の新たな変数によって、大部分の情報を捉えます。

それぞれの主成分は、もともとの変数を線形結合したものです。全ての主成分が互いに直交しているため、冗長な情報はありません。

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因子分析の利用

例: 株価の変動の追跡

100週間にわたり、10社の株価の変化率を記録しました。これら10社のうち、4社はテクノロジー企業、3社は金融機関、残り3社は小売企業です。同じ業種の企業の株価は、経済情勢の変化に伴って同じように変動すると考えるのは妥当と思われます。因子分析を利用すれば、このような前提を裏付ける定量的証拠が得られます。

データセットに含まれる測定変数に重複がある場合があります。これは重複する変数が互いに依存していることを示しています。因子分析では、モデルを多変量データに当てはめ、このような相互依存関係を推定します。

因子分析モデルにおいては、測定変数は少数の観測されない因子(潜在因子)に依存しています。それぞれの因子がいくつかの変数に影響を及ぼす可能性があるため、共通因子と呼ばれます。それぞれの変数は共通因子を線形結合したものに依存していると仮定します。

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非負値行列因子分解の利用

例: テキストマイニング

いくつかのウェブページの語彙や表現スタイルの差異を調べたいと仮定してみましょう。各行が個々のウェブページに、各列が一つの単語(「the」「a」「we」など)に対応する行列を作成します。データは特定の単語が特定のページに登場する回数を表します。

英語には100万を超える単語がありますから、非負値行列因子分解を用いて、個々の単語ではなく、高次の概念を表す任意次元の特徴量を作成します。これらの概念を用いることにより、例えば、ニュース、教育コンテンツ、オンライン小売コンテンツなどをより簡単に識別できます。

この次元削減手法は、特徴空間の低ランク近似に基づいています。特徴量の数を減らせるだけでなく、特徴量が非負値であることを保証するので、物理量の非負性などの特徴に配慮したモデルを作成できます。

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次のステップ

このセクションでは、教師なし学習で用いるハードクラスタリングとソフトクラスタリングのアルゴリズムについて詳しく学びました。 また、データに合った適切なアルゴリズムを選択するためのヒントや、データセット内の特徴量の数を減らしてモデルの性能を改善する方法を紹介しました。次のステップは以下の通りです。

• 教師なし学習が最終目標である場合もあるでしょう。例えば、マーケットリサーチを実施していて、ウェブサイト上での行動に基づいてターゲットとする消費者グループを細分化したい場合は、クラスタリングアルゴリズムを用いれば、求めている結果がほぼ確実に得られるでしょう。

• 一方で、教師なし学習を教師あり学習の前処理段階に使用したい場合もあるでしょう。例えば、クラスタリング手法を応用してより少数の特徴量を導き出し、その特徴量を入力情報として用いて分類器の学習を行うような場合が挙げられます。

セクション4では、教師あり学習アルゴリズムとその手法について学ぶとともに、特徴選択、特徴削減、パラメータ調整によって、モデルを改善する方法を紹介します。

モデル

教師あり学習

特徴選択

低次元化されたデータ

結果

データクラスター

教師なし学習

多数のデータ

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機械学習について、さらに詳しく学んでみませんか?教師なし学習の詳細については、以下の資料もぜひご参照ください。

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93079v00

k平均法k平均法および階層クラスタリングによるデータ内の自然パターンの発見k平均法および自己組織化マップを使用した遺伝子のクラスタリング (英語)k平均法クラスタリングを用いた色によるセグメンテーション (英語)

階層クラスタリング階層クラスタリング (英語)

アヤメのデータのクラスタリング (英語)

自己組織化マップ自己組織化マップによるデータのクラスタリング (英語)

ファジィC平均法ファジィC平均法クラスタリングを使った疑似乱数データのクラスタリング (英語)

混合ガウスモデルガウス過程回帰モデル混合ガウス分布データのクラスタリングソフトクラスタリングによる混合ガウスデータのクラスタリング混合ガウスモデルの調整

画像処理の例: 混合ガウスモデルに る自動車の検出

次元削減主成分分析を使った米国都市の生活の質の分析因子分析を使った株価分析

非負値因子分解非負値行列因子分解の実行減算クラスタリングを使った郊外居住者の通勤モデル (英語)

クラスタリングアルゴ リズムおよび手法

参考資料